【マギレコ二次創作】魔叙事詩カグラ・マギカ 1-3 触れるは代償ありきこと

二木市という場所は神浜から遠い場所にある町で、到着には時間がかかるらしい。しかし、キュゥべぇの奴が最短ルートを教えたらしく、地図で予測するよりは早めに到着する可能性があるという。

それなりの大所帯で動いているらしく、足並みをそろえるとなると案外地図から割り出した通りの期間で到達するのかもしれない。

なんて考えるならば、最短ルートで通らざるを得ないルートを張るのが手っ取り早い。

そのルートとなる場所へ到達した頃、淫靡な姿をした魔法少女に会った。黒肌の魔法少女と話すと妙な力を使えるという。

「魔力を調整できる調整屋、か」

「せや、うちは戦うことができんくても魔法少女たちの魔力を調整するっちゅう力を使ってサポートしてるんや」

「その調整っていうのをやるとどうなるの?」

「普段は使えていない魔力を効率よく使えるようになるんや。動きも良くなるし、おまけに感も鋭くなるっちゅういいことだらけや」

「その対価ってものも、勿論あるんだろ?」

「勿論や。報酬として、グリーフシードを要求させてもらうわ。言ったやろ?うちは戦えんって」

「なら、試しにシオリのソウルジェムを調整してよ。ちょっと興味あるからさ」

「ええよ、んじゃ、建物の中に入りいや」

調整屋という魔法少女に建物の中とは言われても、辺りにあった空き家のうちの一か所であり、つい昨日まで誰かが住んでいた痕跡があった。

「あの、この建物って家主がいるんじゃ」

「心配せんでええよ、なんせここの家族は昨日魔女に喰われたんやから」

ここら一帯を暴れ回った魔女がいるらしく、運悪く見つける魔法少女がいなかったため、みんな犠牲になってしまったという。

「だとすると、警察が動かないのは結構な怠慢ね」

「さ、そこのソファーに寝転がって。勿論、上半身裸になってな」

「裸に!?」

周りが少し静かになった。

「ピリカ、ジョークだよ」

「んんん」

「あらあら、茹で蛸みたいになってかわええな。でも、ジョークを真に受けてはあかんで。ま、うちとしては脱いでもらってもええけど」

「いいからはじめて頂戴」

「そしたら、落ち着いて深呼吸や」

そう言いながら調整屋はゆっくりとシオリのソウルジェムを触った

触った瞬間、シオリのソウルジェムから紫色の閃光が走り、調整屋は頭を抱えて苦しんでいた。

「なんや、頭に流れ込むこの情報量は」

あんたに流れるはずの記憶とやらに大量の情報を載せてやったんだよ。調整するとか言いながらシオリの記憶へ土足で踏み込むとはいい度胸ね!」

「シオリ!落ち着いて」

「す、すまんかったな記憶を見てしまうってとこを説明し忘れて」

「そうだな、人の記憶を見てしまうってのは私たちにとってはよろしくない。
でも、それ以上に、魔法少女の潜在能力を出すために魔力を掻き回すっていうのは、もっとよろしくない!」

カレンは糸で調整屋を外へ叩き出し、足を思いっきり貫いた。悶え苦しむ調整屋を前にピリカが止めに入った。

「ちょっと2人ともなにやってるの!そこまでやる必要ないじゃない」

「いや、こいつの能力は神浜へ大きな禍をもたらす種だ。こいつの調整が二木市の魔法少女や、血の気の多い奴らへ渡ったら神浜は混乱して計画どころじゃなくなる」

「なに、するんや」

「選ばせてやる。ソウルジェムだけ残されるのと、ソウルジェムだけ砕かれるのどちらがいい」

「どちらもゴメンや。あんたらみたいな超過激な魔法少女を見るのは初めてや」

「そうか、ならば第三の選択肢にするしかないな」

苦しそうな調整屋のソウルジェムを探し、その魂の結晶に対してシオリは指を伸ばした。

「お前がやっている調整とやらを試させてもらうよ」

調整屋のソウルジェムに触れるとソウルジェムの内部は火花が散るように光の粒子が激しく走り始めた。それと同時に調整屋は獣のように叫び声を上げながらのけぞっていたが、シオリは調整の方法を探るのに夢中だった。

なかなか相手のソウルジェムに溶け込むっていうのは難しいねぇ。しかし手元の魔力を変えて相手の魔力パターンに合わせてみたらどうなるかな」

溶け込むというのは願いによって得られる性質によるものだと予想はしていた。溶け込むという表現をどのように再現するのか試行錯誤し、自分の魔力を少しだけ相手も魔力に馴染ませてみるとノイズだらけではあるが、記憶のようなものが映し出され始めた。

映し出されたものはなにがどうなっているか全く分からなかったがかろうじて声はなにを伝えようとしているのかわかるくらいだった

「これは何人か使って試すしかないね」

「シオリ!」

ピリカの大声で我に帰ったシオリは調整屋のソウルジェムから指を離した。その一瞬でカレンは調整屋のソウルジェムを糸で貫いていた。

「シオリ、そこまでだ」

調整屋は糸が切れた人形のように横たわっていたが、見た目は口から泡を吹き出していたりとひどい見た目だった。

ピリカの方を見ると、手元で魔法を発動しそうなところを抑えていた。

そして魔力を治めるとその場に座り込んで泣き出してしまった。

「ピリカ、よく我慢したな」

「なにがあったの」

「話は後だ。わたしはピリカを空家で休めてくる。シオリはその死体の処理をお願い」

なにがあったのか分からないままシオリは死体へ雷をいくつも当てて燃やした。人っ気がない住宅街だ。死体が一つ燃えようとこの異臭に気づく人間はいないだろう。

「それにしても人気がなさすぎるね」

ゴーストタウンとなった住宅街から少し離れて大通りへ出てみると2台ほどのパトカーとバイクが止まっていた。どちらもパトランプが消えていてエンジンも止まっていた。

妙だな。

ゴーストタウンへ戻るとカレンが空き家の前に立っていた。

「ピリカになにがあったのさ」

「シオリ、用量ってのは少しわきまえて行った方がいい。何かに夢中になるとやりすぎるのは既に知っているが、今回は酷かったぞ」

「あれぐらいのこと今までもやってきたでしょ。聖遺物を体内に潜めているやつから抜き出そうとしたときだってあれぐらいの叫びはあげていた。ピリカだって何度も立ち会ったはずだ」

「違うんだ、そうじゃない。今回やばかったのは調整を受けていた調整屋の見た目がピリカのトラウマに引っ掛かったんだよ」

少しピリカの過去を思い起こしてみるが、そもそも調整屋の状態がどんな感じだったのか全く記憶になかった

「調整を受けていた調整屋は絶頂を繰り返すかのように仰け反り、喘ぎ続けていた。ここまで伝えればもういいだろ」

ピリカは過去に凌辱され、何人も同じ目にあってきた子たちに囲まれていた時期があった。本人の中で最も人間嫌いを加速させた時期であり、ソウルジェムの奥底まで刻まれた光景であり、それゆえにトラウマになっているという。

「そう、そんな感じだったの」

「ソウルジェムが穢れるスピードも急激に早まった。普段は実験を邪魔にしないように手を出さないつもりだったが、ピリカの辛そうな顔を見ていると耐えられなかった」

「悪かったよ。ピリカが起きたら謝っとく」

「そうしてくれると助かるよ」

しばらくの沈黙が訪れて、なんの音も聞こえやしなかった。

「それにしても、調整とやらを一瞬で物にするのは流石だね」

「当たり前でしょ、シオリは一度干渉できれば利用できるまで一直線なんだから。ただ、何人か試さないと記憶を覗くってのは難しいかもね」

「記憶を探ることができれば、神浜のことを理解するスピードも早まる。ピリカには隠して、何人か被検体を集めることは協力するよ」

「でもやっぱいいや。こんな気色悪い技、使う気にもなれないよ」

「そうか、それは残念だ」

この夜の間にシオリとピリカは神浜にある魔女化しないシステムの広げ方を話し合った。

得体のしれない力を行使するためには観測、解析、干渉という三段階を経る必要がある。この考えはキュゥべぇたちの思考から学んだことであり、観測というのはとても大事なことになる。

もし観測対象が概念だった場合、ほぼ不可能に近い。

しかし、概念のあり方を変える方法を私たちは知っている。それを叶える環境が神浜にはある。

「カレンはピリカに対して甘々だよね。ちょっと過保護に近いんじゃない?」

「ピリカは強いんだよ。どれだけ人や魔法少女がモノや液体状になろうと、心を捨てずにあり続けている。私たちはとっくに捨ててるけどね」

「まあ、ピリカの考えは尊重するよ。ピリカの優しさには助けられたことが何度もあるからね」

カレンとの話し声しか聞こえなかったゴーストタウンへ手を叩くような音が聞こえ始めた。

「ピリカを起こしてきて。ゴーストタウンの主が現れそうだ」

ピリカが起きてきてシオリたちは魔女の襲来に備えていた。

「魔女が近くにいるって。でも、ソウルジェムに反応はなかったよ」

反応を隠す魔女なんてこれまでにいくらでも出会ってきたじゃないか。まあ、向こうが行動を起こしてくれないとこの手の魔女を倒すのは難しいけどね」

「魔女がいるっていつから」

「ちょっと外側を見てまわったらさ、放置されたパトカーが数台あったんだ。警察はこの事態に駆けつけてはいた。でもその消息が途絶えて援軍も来なくなってしまった」

魔女へ一般人が争うことができないのは世の常。よほど戦闘慣れした人間でなければあっという間に餌食になってしまう。弱いったらありゃしないね。

「魔女達に動きがあったのはあれが原因だろうね」

燃やした死体へ台座に乗っかった球体が針を通して死体の体液を吸い上げるために群がっていた。

「あれって」

「さあ、親玉の場所まで連れて行ってもらおうじゃないか」

しばらく使い魔の様子を見つめていると死体を持って何処かへ向かい始めた。

後を追っているとゴーストタウンの中心地で魔女の結界の入り口を発見することができた。

「巣に持ち帰ってじっくり味わうのはアリとそっくりね」

「大抵の使い魔に当てはまるからわかりやすいさ」

結界に入ると珍しく階層が存在せず、そのまま魔女がいる最深部にたどり着いていた。

最深部の光景を目にし、ピリカはひどく怯えていた。

宙からは布のようなモノで縛り上げられた数十体の人だったものへ使い魔が群がり、地面には体液を吸われ尽くされた干からびたミイラが何体も横たわっていた。

使い魔の中にはミイラの頭をもぎ取って石を蹴るように遊んでいるものもいた。

「まさかこれ、全員この住宅街にいた人たち」

「案の定警官っぽいのもいくつか見受けられるね」

「いい趣味してるよ、ここの魔女は」

いくつもの魔女空間の中でもドン引きするくらいの光景を見ている中、使い魔達はシオリ達を見つけると群がってきた。

「ピリカ、動けるか」

「大丈夫、わたしだっていつまでも足手まといは嫌だもの」

使い魔達はシオリ達を取り囲むと台座の部品を打ち出しては対面の使い魔が打ち返すというテニスをしているかのような攻撃を繰り出してきた。

もちろんこんな攻撃をまともに回避し続けると体力を浪費するだけ

「賢しい騒がしさだね」

シオリは背中から伸びる二本のリボンを地面に打ちつけ、三人を中心とした周囲は衝撃波で吹っ飛ばされてしまった。

同時に使い魔達は衝撃波で倒されたようだ。

「さ、親玉の場所まで一直線だ」

階層がなく、直で最深部にきたかと思えたが結界は広く展開されていて奥行きがどこまであるのかも分からない。その為、魔女本体の反応はあってもなかなか姿を確認できなかった。

道中、何度か使い魔が襲いかかってきたが、吸い付いてきた蚊をはたき落とすかのようにあっさりとあしらっていた。

暗闇が濃くなってきた頃、闇の中から二つの帯が伸びてきてシオリを絞め殺そうとしてきた。

雷の結界を周囲に張って肌に触れさせないようにはしているものの、結界ごと絞め殺されるのは時間の問題だった。

「シオリ!」

「シオリのことはいいから魔女をやっつけて」

帯を伸ばしたまま現れたのは白子をボール状にまとめたような姿に紫色の羽織りを纏ったような姿をした魔女だった。

体を形成する白子のようなものはボロボロと体からこぼれ落ちては消えるを繰り返している。

また、魔女が見えてから周囲からは赤子の声が聞こえてくるようになった

「姿が見えりゃ、倒したも同然」

カレンが左右から糸をクロスさせて魔女を切り刻もうと試みたものの、体の中心部分まで糸が入り込まなかった。

「硬すぎだろこいつ」

魔女は他の帯を使ってカレン達も絞め殺そうとしてきた。

そんな中ピリカは炎の剣を使用してシオリを縛ろうとしている帯を焼き切った。

「大丈夫、シオリ」

「問題ないに決まってるでしょ。特大のをお見舞いするから2人で魔女の気を引いて」

カレンとピリカが魔女の気を引いている間、シオリは周囲に器用に積まれていた石を集め、手の中で圧縮し始めた。

雷の小さな結界を掌サイズの大きさで生成し、そこへ石を投入していくことで、結界にある空気を圧縮する。石の数が増えるほど圧力が溜まっていき、結界内は高温となってただの石も熱を帯び始める。

カレンとピリカが気を引いてくれたおかげで雷の結界は破裂寸前のところまで到達していた。

「2人とも十分だ。特大のをおみまいしてあげる」

2人がシオリの後ろまで下がると、破裂寸前の結界を魔女の口の中へ放り込んだ。

そうしたらどうだろう、限界まで圧力を加えられた空気が結界を破り、高温になった石は魔女の体内で四方八方へ飛んだ。

元々分厚い体をしていた魔女だったが、数個の石が体を貫いて飛び出してきた。

魔女は大きな口をこれでもかというくらい大きく開けてそのまま崩れていった。

魔女の結界が消えてわかったことだが、このゴーストタウンそのものが魔女の結界に飲み込まれていたようで、階層がなくとても広い魔女空間であったことも納得がいった。

「いつものバカリョクで助かったよ。ありがとね」

「ほんと、なまら硬かったから普通だと何時間もかかちゃいそうだったよ。流石だね!」

少し前にトラウマをえぐられたというのに、いつもと変わらない笑顔を見せるピリカ。

思わずシオリは顔を曇らせてしまった。

「あ、ごめん。なんか気に触ること言っちゃった?」

「いや、シオリこそ悪かったよ。ピリカに嫌な思いさせちゃってさ。ゴメン」

ピリカはきょとんとした顔を見せた後すぐに笑顔を見せた。

「ありがと。克服できてないわたしも悪いんだけどね」

「あら、そういうことならピリカの前でどんどん非道なことしてやろうか。その方が耐性がつくでしょ?」

「ちょっと!本当に反省してるの?!」

カレンはシオリとピリカのやりとりをただただ笑顔で見つめていた

そんな中、カレンが顔色を変えて遠くを見た。

その反応の正体はシオリとピリカにも察知することができた。

「数十人の集団の魔法少女反応だ。間違いなく二木市の奴らだろう」

風ひとつ吹かなかったゴーストタウンでは少し冷た目の風が舞い込み始めた。

「ここは離れようゴーストタウンの時間が動き出す。折角だからピリカ、無人の家から布団を拝借したらどうだ?欲しがってただろ」

「もう、使う人がいなくなっちゃったんだよね。お借りします」

数分するとゴーストタウンとなっていた住宅地に警察が集まっていた。

布団やら使えそうな物は廃墟へと隠し、シオリ達は二木市の魔法少女の元へと向かった。

 

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【マギレコ二次創作小説】魔叙事詩カグラ・マギカ 上の録

「軌跡を壊し、奇跡を創る そんな私たちが軌跡(人間社会、価値観、倫理観)を壊す」

 

願いを叶え、奇跡を得た少女は「魔法少女」と呼ばれる。

そんな魔法少女が生き続けた先に待ち受けるものは何なのか。

マギアレコードのパラレルディスク、ここから聞こえてくるのは築かれたものを破壊する宴であった。
人を否定する三人の魔法少女が神浜と出会う時、世界の在り方を変えていく物語が加速する。

 

この作品は「マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝」の二次創作です。

マギアレコードのパラレルワールドで展開される話であるため、実際のストーリーとは大きな違いが生じます。
人間の否定、キャラの扱い等で過激な表現が出る箇所がたくさん出てきます。耐性のない方は閲覧にご注意ください。

 

 

このページは魔叙事詩カグラ・マギカ 上の録 のトップページです。

下の録 はこちらです。

1章 スゴィガ ワカ ラナイ

1-1 彫りなおされる溝
1-2 頼れる白い情報屋
1-3 触れるは代償ありきこと
1-4 血の理に添える不尽
1-5 血の理の不尽にピリオドを
1-6 憂い心から来る焦り
1-7 有為な夜道今日越えて
1-8 神様を連れている女の子
1-9 神様?を連れてる女の子
1-10  ユリとアザミが咲く中で
1-11   睡蓮はまた悩む
1-12  突然の別れはいきなり

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2章 アツァ リマ エノキゲン ハ センノウ

2-1 開幕を示す悲劇の狼煙
2-2 度を越すということは
2-3 素直に、そして真っ直ぐに
2-4 たった一敵から始まる波紋
2-5 広がる波紋は朱に染めゆく
2-6 匿名希望のお菓子屋探し
2-7 黒いオーラの魔法少女
2-8 協調できると信じて
2-9 お近づきはお食事の席から
2-10  五十歩百歩で蓄積難題
2-11   煌道は縁切りから始まる
2-12  ウワサは怖さを運んでくるサ
2-13  足かせとなる断罪の証
2-14  売られる側の気持ち
2-15  小さな三人の証言者
2-16  スクエル者、スクワレナイモノ
2-17  感知されないその理由
2-18  選択肢の行き先はただ一つ
2-19  選択肢を開拓する者
2-20  堕ちはじめし魔法少女

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3章 ソノキジュンハ ダレヌォ メセン?

3-1   結んで、ひらいて
3-2  魔法少女会議
3-3  絶望よりも深いその先へ
3-4  自責の権化を前にして
3-5  塗りつぶされないその心に従って
3-6  眼鏡をはずして見る世界は
3-7  たとえ間違った道だとしても
3-8  自己犠牲のキモチ
3-9  天才はその結果をまだ知らない
3-10 一族の信念はカムイに響かず
3-11 欲望に、忠実に、手を伸ばす
3-12 悪魔法少女
3-13 ワルプルガを讃える夜

_________________________________

4章 シネントァ リシェ イデハ アラガエヌァイ ヨクボウ テキホンンォウ

4-1  軌跡を壊す序曲
4-2 私たちが今いる理由(ワケ)
4-3 この神浜にしかいられない私たち
4-4 叛逆の先にある物語
4-5 イライケレン
4-6 電波塔の麓では
4-7 イレギュラーリジェネイト
4-8 良い人って、なんだろう
4-9 その一矢に私念を込めて
4-10 魔法少女狩り前夜

エピローグ

 

あとがき

魔叙事詩カグラ・マギカはこれでいったん完結となります。
マギアレコードのパラレルワールドとして人と魔法少女は一緒の世界に存在できるのかという内容をテーマにして物語を書き上げていきました。

予想通り重たい内容となってしまい、視聴者を選ぶ内容となってしまいました。
大人になっても魔法少女として生きていけるのかは、自動浄化システムが世界に広がった後の課題となるだろうと私は考えています。
そこから目を背けない内容が、この小説なのです。

さて、このシリーズですが前半部分が終わったというところです。

後半の物語は既に構想を考えていて、始点と終点の内容は既に明白となっています。
しばらく間が空いてから公開することとなりますので、お待ちになっている方はどうかお待ちください。

見ていただき、ありがとうございました。

 

 

 

 

登場人物

:日継カレン:

身元不明の本来は存在しないはずの魔法少女。
契約の際にキュゥべえと繋がったことをきっかけに魔法少女の待遇を模索し、人間文化崩壊を目論む。
ピリカ、シオリを見守る姉のような存在であり、不器用ではあるものの他者への面倒見は良い。
身のこなしが素早く、踊りを得意とするが滅多に表へ披露しようとしない。
魔力反応を完全に消すことができるが、それは師匠と呼ばれる人物から受け継いだフィロソファ・ストーンがかかわっている。

 

:紗良シオリ:

飛行機事故で絶命するはずだった魔法少女。
家族を死に追いやったとある宗教の信者による事件をきっかけに人の倫理観を模索し、人間の倫理観崩壊を目論む。
願いのおかげで見聞きしたことを二度と忘れない代わりに眠ることができない。
カレンとピリカに助けられてからは師匠から錬金術を学んで聖遺物の力を発揮することができる。
好奇心旺盛な分、いつもトラブルを持ち込んでくる。

 

:保別ピリカ:

人身売買で身投げするはずだった魔法少女。
金のために家族の土地を奪われ、金のためにヒトに穢されたことをきっかけに人の価値観を模索し、金銭文化の排除を目論む。
願いと共にカムイの加護が具現化し、いつも周囲には三種類の使徒と聖遺物イペタムの思念が近くにいる。
普段は優しく接してくれるが、カレンとシオリ、師匠にも言われているが怒らせると一番手の付けようがないくらい怖いという。

 

 

【マギレコ二次創作】魔叙事詩カグラ・マギカ 1-1 彫りなおされる溝

この此岸では奇跡に出会わなければ生きることができない。

人間のまま奇跡を手に入れられる成功者は小匙の程度。

ほとんどの人間は人間として扱われない人間社会。

 

こんな世界に、果たして此岸と彼岸の境目はあるのだろうか。

 

そんな世界で奇跡に出会えた私たちは、決して人間に受け入れられない。

小匙の奇跡を、願いと共に手に入れられるのだから。

奇跡を得るとともに人間の軌跡は失う。そんな私たちと人間が平等な関係になれるはずがなく、同じ舞台で共演など夢のまた夢。

そんな舞台を人間社会が邪魔をするならば、破壊して一からやり直そう。

私たち、魔法少女のために。

 

 

アイヒシュテット某所

 

街明かりは消え始め、あらゆるものが静まり返る針が重なる頃。

静寂を破る馬の足音があった。

山道を疾走する馬足を聞くのは野生の動物だけではなく、身を潜める者共もいた。

「対象、予想進路を進行中」

「潔く正面突破か。儚いな、我々がアブノーマルだと知らないのだろう」

彼らは修道院の要請で派遣された武装部隊。

それもただの武装部隊ではなく、最近注目を浴びているという対魔法部隊。

こんな世界で魔法などというフィクションな単語を鼻で笑う者も少なくない。

しかし、そんな者共はフィクションが身近にあるとも知らず、さらには救われていることも知らない愚か者。

フィクションと思われる魔法というのは希望の象徴とされている。

そんな希望の象徴を狩る存在、それが対魔法部隊。

今宵も、希望の象徴が消えようとしていた。

「対象、なおも接近」

対魔法部隊が察知しているのは馬足だけではなく装置が感知している魔力反応。

近頃は現代技術で魔法少女の反応を検知する装置が出回っている。

その装置は表では認識できない裏の世界で取引されているものであり、傭兵を寄せ集めた組織などが所有していることが多い。

こんな事は西側の世界の一部にしか知らされていない事実。おそらく東側の世界には装置自体が存在していないだろう。

「ポイントまで3、2、1」

閃光が森に広がる。その明るさは、まともに見ていると失明してしまいそうなくらいであった。

「な、なんの光だ」

想定していたポイントで走った閃光は対魔法部隊にとって想定外。

本来であれば魔力を妨害するガスで待ち受けるはずだった。

閃光が収まった頃、ポイントにいたのは馬と魔力がこもっていたと思われる石3つだった。

「ポイントに対象を確認できません」

「まさか、魔力は捉えていたはずが」

隊員たちが周囲を見渡しながらおどおどとしていると、魔力探知機に大きな反応があると同時に大きなブザーが鳴り響いた

「魔力反応検知!場所は、僧院中心地!」

「魔法少女め、一体いつから」

対魔法部隊が狩る相手、魔法少女の一人は僧院のてっぺんへ器用に立ち、片手を高々と挙げた。

「ワッカ!濁流と化せ!」

僧院を中心に水が発生し、僧院内を駆け巡っては僧院外へいろんなものを流していく。もちろんその中には隊員の姿もあった。

大方のものが濁流に呑まれ、水の流れが収まると雷の壁がドーム状に貼られた。

しかしそんな中に僧院を守るようにドーム状の結界が展開されていた。

「驚いたね、ピリカの濁流を凌ぐか」

水音を鳴らしながら一人の少女が結界を見ながら驚いた。

先ほど発生した濁流は、僧院へ襲いかかっている魔法少女の一人が放った魔法。

現代社会に魔法へ抗える存在は魔女と呼ばれる化物か、それと同等の存在のみである。

「僧院の傭兵魔法少女か」

「あの隊員とやらの集団、全く役に立たなかったね」

「そんなの初めから知ってたさ。ここから先は聖域よ。希望を奪う魔法少女は入れやしないよ」

「傭兵魔法少女が何を言う」

「問答など無用…」

「それはこちらの言葉だ!」

面と向かうのは武器を持たない僧院を襲おうとしている魔法少女1人に対し、拳銃を一丁持つ魔法少女、レイピアを構える長髪の軽装な魔法少女という2人がいる。

武器を持たない魔法少女は糸を出したかと思えば収束させて銃持ちの魔法少女へ襲いかかった。

銃持ちの魔法少女が構える拳銃は収束された糸を受け止め、振り払った後に銃弾を放った。

放たれた銃弾は収束された糸を撃ち抜き、鋭利さを失わせた。

「なかなかやばい魔力弾じゃないか」

追い討ちでレイピアの魔法少女が糸を使う魔法少女へ襲いかかるも、すぐさま糸の刃で応戦した。

「其の場凌ぎで集められた割には結構合わせられるんだね」

「私たちだって、場数は踏んでるんだから!」

「なら、これを凌げるかな?」

鍔迫り合いが起きる中、糸を使う魔法少女の遠く背後から幼稚な声が聞こえてくる。

小さな魔法少女は近くにあった車のボンネットを2台分剥がしたかと思えば2枚をぶつけ合ってレールを作り上げた。

レールを作り上げる際に発生した稲妻はレールの間でなおも走り続け、レールの間には宙に浮かぶ鉄塊が1つ存在した。

「まさか、エル、下がって!」

僧院を守る魔法少女たちが下がると同時に、レールガンは放たれた。空を切る放たれた鉄塊を結界は弾き、周囲の外壁にはヒビが走った。

結界内に逃げた2人の魔法少女は無傷で、結界に入っていた亀裂はすぐに元に戻ってしまった。

「あら、これは雲行きが怪しいね」

「悪いけど、時間稼ぎをさせてもらうよ」

そう、時間がかかればかかるほど奇襲の効果も人払いを行った効果も薄れ、対魔法部隊が集まってくる。

僧院の魔法少女たちが狙っているのは時間稼ぎ。

「数分すれば君たちはバッドエンドだ」

「だとしても!」

身を潜めていた水を放った魔法少女が結界付近にいたエルという魔法少女へ斬りかかる。

「何をするのさ!」

エルは熱が入ったからか結界から身を乗り出し、遠く離れたところまで追いかけに行ってしまった。

「ピリカ、そいつの銃弾には気をつけなよ」

「エル!外に出過ぎ!」

「だってモリンガ、2射目は厳しそうだよ」

前へ出たエルへ小さな魔法少女は雷の力で勢いをつけた鉄塊を放った。

その勢いは魔法少女であっても避けるのが難しい程であったが、小さな結界が張られ、エルの身を守った。

「ミランダ、身を晒すことはなかったのに」

僧院へ結界を張っている魔法少女ミランダは僧院入り口へ姿を表していた。

「本名はお前か」

ミランダへ向けて糸を使う魔法少女が数本の糸を放つが、結界に阻まれてしまった。

「わたしの結界をそんな糸で破れるわけないでしょ」

「そのようだね」

それでも糸を使う魔法少女はひたすら一点を集中して斬り付けていた。

そんな中、ピリカとエルは一対一で戦い続けていた。

「アペ、刃となって!」

炎を剣の形にしてエルへ斬りかかるものの、素早くかわして当たる気配がなかった。

「ならこれで!」

ピリカは炎の剣で斬撃を飛ばした。

エルはこれを撃ち落とすが、銃弾が当たると同時に炎を収束していた魔力が弱まり、拡散する炎でエルの視界を遮った。

怯んだエルへピリカは回し蹴りを喰らわせ、僧院の壁へ撃ち付けられたエルは気を失ってしまった。

「どれだけ引っ掻き回そうが壊れるはずがないよ」

「そうかい、だけど綻びって一点から生じるものさ、シオリ!」

シオリと呼ばれる小さな魔法少女は小さな瓦礫を周囲に浮かばせ、間髪ない瓦礫の雨を糸の魔法少女が引っ掻き回した一点へ集中させた。

そしてついに結界にヒビが入ったかと思えばすぐに穴が広がってしまった。

「そんな、結界が再生していない。
ミランダ、どうしたの!」

モリンガと呼ばれていた魔法少女は、ソウルジェムを苦しそうに握るミランダの姿を見た。

「ミランダ、あんた穢れはは一切なかったはず」

「モリンガ、エル、ここまでかm」

ピリンッ

ソウルジェムを砕く糸をモリンガは見てしまった。

ミランダは糸が切れた人形のように入り口の壁に寄りかかっていた

「ミランダ!」

「聖域に穢れはまずいじゃない?
希望を奪う側になる前に救ってあげたのさ」

「ジョークのつもりか!」

モリンガは怒りに任せて糸の魔法少女へ斬りかかった。

「カレン!」

「どうした、もっとお前の希望とやらを輝かせてみなさいよ」

モリンガの突きは素早かった。不意打ちであれば確実に仕留められるほどのスピードだ。

しかしその突きは糸を何重にも重ねて作られた盾で遮られ、カレンへ届いてなどいなかった。

「儚い希望だな」

カレンは突くために腕を伸ばしたモリンガの懐へ入り込み、勢いよく糸で宙に掬い上げた。

「リズム良く突くのはいいが、ずっと同じだと読まれやすいに決まってるだろ」

宙に浮いたモリンガが目にしたのは笑みを浮かべているシオリだった。

「スクワレた気分はどうだい?」

シオリが放った無数の瓦礫がモリンガを襲い、外壁にぶつかったあとの肉塊は瓦礫の下敷きになってしまった。

「こんなものか」

その場が鎮まりかえって曇っていた空から月明かりが漏れ出してきた。

月が作り出した影からエルが現れてカレンの首を切ろうとする。

「アエヤァム!」

ピリカが割り込み、炎の剣で斬り上げてエルのソウルジェムを砕く。

エルは魔法少女の姿が解かれ、薄着の少女だったものへと変わった。

「悪いね」

「本当よ、対処できたからよかったものの」

「止めてくれるってわかってたからさ」

「カレン、ちょっとは自分でも」

「お話はほどほどにね。人が集まってくるよ」

2人が口論を始めようとするとシオリが仲裁に入った。

「そうだね」

「それではいただくとしようか、魔法少女の間で伝わる伝説の魔女、ワルプルギスの夜を引き起こした人物、ワルプルガの聖遺物をね」

 

世界の西側では一般人へ徐々に魔法少女の存在が知れ渡り、政府の裏で動く魔法少女がいるくらいだ。

そのため、今回のように雇われている魔法少女、通称傭兵魔法少女は多く存在する。

傭兵魔法少女が多い理由としては、長生きした魔法少女であるほど人間社会へ溶け込むことが困難であり、稼ぎ口が傭兵業か人を襲うかのどちらしかないというのが現状だ。

戦争が起きると素質がある孤児へ良い条件を提示しては願いを叶えさせるという事例だってある。

世界の西側にとって、魔法少女の居場所というのはないに等しい。

「その聖遺物とやらを使って何をしようっていうんだい?」

少女から魔法少女へ変える存在、キュゥべぇは魔法少女のことを知ってることだけ知っている。
しかしその行動原理は機械的であり、感情を持っていないというのは魔法少女の間で共通認識となりつつある。

「わたしたちが聖遺物調査に協力していた経験があることくらい知ってるでしょ?」

「確かに覚えているさ。魔法少女が魔力で生成していない物質に対して魔力を注ぎ続けたもの、または魔力が篭ったままの遺骸を人は聖遺物と呼んでいるね」

世界に存在する聖遺物の多くは魔法少女によって生み出されたもの、または遺品が該当している。かつて世界を変えた偉人であっても、その偉人の体液がついた聖槍であったとしてもその背景には魔法少女がいたという。

そう、聖遺物を辿ればかつてその魔法少女が使用していた力を再現できると私たちは聞かされ、目の当たりにしてきた。

「しかしある時、再現は失敗した。それは愚か、その聖遺物を経由して魔女化する魔法少女が現れてしまったじゃないか」

そう、その聖遺物を活性化させたところで願いの対価である呪いが使用者の身にもたらされることを過去の私たちは失念していた。そのせいで聖遺物と魔法少女を知る貴重な存在を失ってしまった。

「君たちがやろうとしている事は、かつて失敗した再現じゃないか。君たちは再び聖遺物を利用して魔女化という連鎖を繰り返すつもりかい?」

「魔法少女の連鎖をどうとも思わないのによくいうわね」

ピリカの言う通り、魔法少女には逃れられない運命が存在する。

その連鎖はキュゥべぇにとっては都合の良い事らしくいまだに解決される事はない。

私達はあんたがよしとしている連鎖を止めるために聖遺物へ関わってきたんだ」

「そして、その成果が実るときがすぐ近くに迫っている」

ワルプルギスの夜

長い間魔法少女たちの間で伝えられ続けた伝説級の魔女のことで、今までに討伐したと言う記録も残っていない。

「まあ、魔法少女は常理を覆す存在だ。君たちを見ていればその可能性があると頷くには十分だ」

「それで、ワルプルギスの夜は予定通りの場所に現れるんだろうね」

「前に伝えた通りだよ。次にワルプルギスの夜が現れるのは」

見滝原市

私達はこのワルプルギスの夜が現れるというチャンスを利用するために行動してきた。

そして今、手元にある聖遺物を使用すれば魔法少女の連鎖は止められる。

シオリが嫌う飛行機を利用しないと西から東へ行くのに数十日かかってしまう。

聖遺物は魔力を使用すれば簡単に検問を抜けられるし、魔法を使えば年齢の偽造だってできてしまう。魔法は使い方次第でなんだってできる。

その代償は、もう十分味わってきたはずさ。

世界の東側へ到着した頃、私達は異変に気がついた。

それは、見滝原に近い都市で既に大きな災害が起き始めていること。

災害が起きている都市へたどり着いた頃には、不気味な笑い声が響いていた。

「おかしいよ、予見では見滝原ってとこにワルプルギスの夜が来るって言ってたよね」

「しかも来るのが早すぎる」

「まずは声がする方向に向かうよ」

災害が起きている都市の中間部分へ来た頃、海岸線付近から大きな衝撃波が来たかと思うと空は晴れ渡り、ワルプルギスの夜は光の中で消滅した。

「うそ、ワルプルギスの夜が倒されただなんて」

「あんな化け物を倒せるだなんて、この町の魔法少女はどうなっているんだ」

「なら、その子に聞いた方がいいんじゃない?」

シオリが指差す先には、緑髪で制服と思われる服装に絵具が乗ったパレットを拭ったような手ぬぐいを腰に下げた少女の姿だった。

わたしは少女の首元へ手を出そうとすると魔力を感じ取った。

「この子は魔法少女のようだ」

水たまりのうつ伏せたままの少女の体をピリカは起こした。

「ソウルジェムにヒビが入ってる。死にかけだよこの子」

「その子から大きめの魔力を感じる。見た目は死にかけでも大きな魔力を放ってるって事は相当な実力者だろうね」

魔力というのは放出する量が多ければそれだけ大きな魔力を使用できるという指標でもある。

これだけ消費しててもソウルジェムが濁っていないという事は、魔力の扱い方も長けている可能性が高い。きっと何かしらの情報を得る事はできるだろう。

「一度この街に拠点を構えよう。その子は拠点で保護しようと思う。ピリカ、担いで行ける?」

「助ける事なら、わたしは躊躇わないよ」

こうして私たちの当初の目的は白紙に戻り、あり得ないことが起きた都市について調べることにした。

この都市の名前は、「神浜」という。

 

 

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次元縁書ソラノメモリー 1-14 みんながみんな独特の発想を持っているとは限らないからね

干渉液を扱っているキエノラという人物は聞いたことがない人物。

ソラからここにくるよう伝えられただけで、実は下調べなんて行なっていない状態。調べる時間自体そんななかったし。

「芸術家にしては平凡な店構えね」

「みんながみんな独特の発想を持っているとは限らないからね」

「まあいいや、干渉液とやらをもらいに行こうよ」

ぼくは頷いて恐る恐る店の扉を開いた。

真ん中、右左と部屋を見渡してみると赤や緑で装飾された絨毯が敷いてあって、正面を向くと大きな暖炉の上にいくつか鉱石が置いてある。

床とかにも鉱石が置かれていて、右隣には植物と泡立つ緑色の液体が入った試験管が並べられていた

「あのー、キエノラさんいますか」

ブリンクが大きな声で尋ねて見ても、返事がなかった。

「留守かな」

そう思っていると二階から何かが転けた音がした。

それからせわしなく足音が一階まで迫ってきた。

「いやぁ悪いね、ちょっと二階で用事してたんだ。わたしの名前を読んだのは君たちかい」

「じゃあ、あなたが」

「そう、わたしがキエノラだよ。名前で呼ばれるのは慣れていないんだ」

キエノラ茶髪の細身な女性で、肌は黄色気味の肌色だけど、指先に近づくにつれて色が真っ白になっている。

「あの、二階ですごい音がしたんですけど大丈夫ですか」

「いやね、少し前に新発見に出会って二階でハッスルしていたんだよ。忘れないうちにメモらないとってね。まあ、なんともないよありがとね」

キエノラは先ほど目に止まった唯一植物がある場所の椅子に座ってこっちを見た。

「わたしを尋ねてきたということは、何か依頼があるのだろう」

「そうそう、私たち干渉液が欲しいのよ」

ブリンクがすごくフレンドリーに接している。初対面にもそんな対応するのか。

「干渉液を欲しがるとは、さては悪いことに使おうとしているな」

「い、いえ!違いますよ」

「んぁはは、大丈夫ちょっとしたコミュニケーションさ」

ニコニコしながら話していたから、冗談だろうなという感じはした。

「さて、干渉液についてなんだけど、実は先ほど見つけた新発見のために材料が多めに必要となってね。その材料の調達を手伝ってくれれば干渉液を渡すよ」

ぼくたちはキエノラから干渉液に必要な材料を教えてもらい、植物屋が集まる場所へ向かっていた。

干渉液に必要な材料は複数あるんだけど、今足りないのはドコサーという野草だ。そこら辺じゃ取引されていない植物だから、ゲミニカに店を構えているハッカという人物に話を聞けばいいよ。

「触れ物」からの依頼できたといえば素直に教えてくれるはずさ。

そうそう、ペシャンも持ってきてくれると嬉しいね

「なんかおしゃべりな人だね」

無音が苦手なのかってくらいキエノラは色々話しかけてきた。

彼女の能力を知らないからなんとも言えないけど、人によっては疲れる人かも知れない。

「きっと新発見とやらに興奮していたんじゃない?」

「なるほど、なら仕方がないね」

納得するんだ。さっきまでブリンクもそうだしそりゃそうか。

ハッカという人物のことについて聞いて回っていると、どうやら染料になる植物に詳しい人物らしい。色を組み合わせる能力を持っていて、植物でできた色というのは相手の気持ちを落ち着かせる力があるらしい。

ハッカの店はゲミニカの中心、ゲミ二カ統括城からすぐの場所にあった。ハルーで飛べば近かった。

ハッカを尋ね、「触れ物」の依頼できたと伝えると少し悪そうな顔をしながら話してきた。

「さてはあんたたち、キエノラがどんなやつか知らないでお使いをさせられてるね?」

確かに下調べなしできていたから本当の彼女をぼくは知らない。

「まああいつはおしゃべりだし、自分から話し出すでしょ。ただ、あんまりあいつのお気に入りになるんじゃないよ。何でもかんでも知られちゃうからね」

そう伝えられた後、ドコサーが生息している場所を教えてもらった。

ドコサーはゲミニカの北部にあるディモノスリンの奥深くだよ。

周囲が真っ暗になるくらい奥にあるんだけど、ドコサーを摘んだら必ず日光が当たらないようにしてね。

少しでも日光に当たるとしおれちゃって使い物にならないから注意だよ

ディモノスリンという場所があるのは知っていたけど、立ち入るのは今回が初めて。

何でも森の中はとても暗いらしく、手持ちライトでは手元が明るくなるだけというくらいだという。

そんな森の中には所々に光る苔やキノコ、花といった植物があるため、それらが唯一の目印らしい。

「ねえ、こういう森って絶対行方不明になるやつだと思うんだけど」

「行方不明にはなりたくないなぁ。ブリンク、離れないように手を繋いで、ひたすらまっすぐ進もう。それならまっすぐ戻れば間違いなく戻ってこれる」

「わかったけど、不安しかないな」

ぼくとブリンクは手を繋いで恐る恐る森の中へと入って行った。

明るめの手持ちライトは持ってきたけど、本当に手元しか光らなくて役に立たない。

まっすぐ進んでいるはずだけれども、時々木の根につまずきそうになったり木を避けたりとまっすぐ進めているか怪しくなってきた。

恐る恐る歩いていると周りに水色に輝く粒子が舞い始めた。

どこかの植物から噴出されたのだろうか。

そう考えているとブリンクの足取りが極端に重くなってきたのが伝わってきた。

「ブリンク、大丈夫?」

「なんか、意識が、遠く」

ブリンクの声を聞こうとしているとぼくの意識も遠くなっていくのを感じていた。

ぼくとブリンクはその場で気を失ってしまった。

 

 

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【DQX】アストルティアアフィーマン オーグリード大陸

このページはアストルティアの記録として文字ではなく主に画像で残す活動を行っていきます。

今回はオーグリード大陸に注目していきます。

 

 

オーグリード大陸にしかないものといえば雪原地帯。
よく思い起こしてみれば、この大陸以外は雪が降らない。

 

 

住宅内部に当たり前のように見られる岩肌。地形を生かした建築方法なのだと感じてしまいます。

 

住宅村から見るグレン城

 

 

外から見たグレン城
よく見なくてもわかるほど城までの道中が命がけ

グレン西にある列車観察スポット

バグレア教会跡地

 

今や貴重な修正前ガミルゴの盾島
バージョンアップで地殻変動が起きるのはもう当たり前

 

列車観察スポットその2
ゲルト海峡

 

生息するモンスターたちが弱めであったり影が薄いのばかりなおかげで何かと影が薄いザマ烽火台
今や幻の神話篇予兆クエストで出番はあった

 

ガートラント城の外見。500年前に魔族を眠りから覚ましてしまったヤバい歴史を持つ

かつての繁栄の見る影も無くなったオルセコ王国跡地
地震が頻繁に起きても1000年近く形が残り続けているのでかなり頑丈

謎に包まれたまま滅んだエグゼリア王国
500年前にグレン城を占領していた人間たちが築いた国という意外な歴史があったりする。

 

※このページではドラゴンクエストXの要素を使用しています

次元縁書ソラノメモリー 1-13 生きることはあきらめないでほしい

私にはしっかりと両親がいた。

お母さんは世界でも有名な錬金術師で、お父さんは裏世界で有名なガンマン。

2人の出会いは裏世界から狙われているお母さんの護衛にお父さんがついたことが始まりらしい。
2人は恥ずかしい過去だって言うけど、絵に描いたようなかっこいい出会い。

こんな優秀な両親がいながら、私にできることは背中を見続けることだけだった。

そんな見続けた背中のうちの1人、お母さんが突然いなくなった。

お母さんがいなくなる数日前に突然所在不明の男が街に現れて、まるでこの世界のことをまったく知らないくらいに話がかみ合わなかったため、いったん身柄は国防に預けられた。

次の日、個室で1人になった男は身に潜めていた爆発物で逃げ出したと報道された。

決して国防が仕事をしなかったと言うわけではなく、錬金術で作られた危険物探知機を使用して異常はなかった。そんな中で国防の壁を破壊する爆薬が使われてしまった。

そう、私がいた世界はあらゆるものに錬金術がかけられていて錬金術という存在は貴重な存在となる世界だった。

お母さんは国防にあった探知機に異常がないか確かめに行った際に、取り調べ中だった男のカバンで気になるものを見つけてしまった。

お母さんはとてもワクワクした気持ちで部屋で持ってきたものを調べていたんだけど、姿を消したのはこの2日後だった。

世界的に大騒ぎになったこの出来事をきっかけに、私は親戚の家に預けられた。

お父さんからはお母さんのこどもだから狙われる可能性があると聞かされ、偽名で名乗る自体にもなってしまった。

お父さんはというと、探してくると言い残して何処かへ消えてしまた。

追ってきた背中を短期間で無くしてしまった私は、両親の得意分野をひたすら探求するしかなかった。
ただ真似していただけで、根幹となることは何も知らなかったのだと実感して、親戚の家で過ごす間はとても苦しかった。

それから一月経ち、お母さんが残したものの半分は他の錬金術師に扱えても、ブラックBOX化したものも数多いという。

もちろん私は扱い方も、直し方も知らない。

だって私にはそもそも。

過去のことを思い出しながら散歩していると、私は不思議と実家の前にいた。

実家は荒らされ、重要そうなものは手に持てるものだけ私に預けられてあとはお父さんが壊したとのこと。
きっと私と別れた後に実行したんだろう。

もはや廃墟と呼ぶにふさわしい外見となった家の玄関だった場所で私はただひたすら過去を追憶していた。

ただひたすら2人の真似事をしては怒られ、それでも優しく接してくれては苦手なはずなのに外で一緒に遊んでくれたりもした。

世の中では完璧人間な2人の不器用な失敗の数々は私にとってとてもいい思い出だった。

心が溶けそうなくらい痛くなって、その場に崩れ落ち、ただひたすら目から雫を落として柄にもなく大泣きしてしまった。

 

目を拭っていると目の前にガラスが割れたような裂け目が突然現れて、私は光に包まれてしまった。

それは一瞬であり、気付いた時にはあの、終わった世界にいた。

私はこの世界で、お父さんが得意なことの本当の意味を知った。
握った引き金はとても重くて、思い知らされた。

今帰ったって、追い続けた背中はいない。

今私の近くには別世界へと行ってしまうデタラメな出来事に対応できるヒトたちがいる。

ならば、わたしは

 

わたしが元いた世界に帰りたいのか、アルはそう聞いてきた。

いま帰ったって何もない元の世界に帰るくらいなら。

「わたしは戻ろうだなんて思ってないよ。あなたたちと会えたことで、ようやくやるべきことが見つかりそうなんだから」

「そう、そうか」

アルはそう呟くとしばらくペシャンとやらが流れる様子を眺めていた。

「なら、1つだけお願いがあるんだ」

アルは改まってわたしの前に両膝をついてわたしの手を握りしめた

「な、なに」

そのあと目を合わせてくるんだからなんだと思った。

「生きることはあきらめないでほしい」

わたしはしばらくなにを言っているのか理解できなかった。

きっとブリンクたちが行った世界よりももっと厳しい世界があるかも知れない。そんな世界に巻き込まれても、どうか生きることだけはあきらめないでほしい」

そうか、この子たちと一緒にいるといろんな世界に飛び込んでは危険な目に遭う日々が始まるってことか。
だからこそ見つけられそうな目的を確実性のあるものにできる。

そんなチャンス、逃すほどわたしの目は濁っていない。

「もちの論だよ。せっかくの拾われた命を簡単に捨てたりはしないよ」

「そうか、よかった」

アルは安堵した表情で立ち上がった。

「なら目的を果たしに行こうか。干渉液を手に入れないとね」

わたしは今後の目的が見つかりそうになっていたけど、目の前の目的を忘れていた。

「そうだった。ちょっと脳みその電流が足りなかったかな」

わたしとアルは干渉液とやらを探しに再び歩き出した。

干渉液とやらは一部の知識と力がある人物にしか作成ができないものらしい。

つづりやカナデからも聞いていたが、なんでもできる万能な人はこの世界にいないという。
でも、何か1つは必ず得意なことが存在し、この世界の人たちは得意不得意を協調で補い合っているとのこと。

独占できればお金儲けとか考える人が出そうだけど。

「え、お金って概念自体が存在しない?」

「ほかの世界だと当たり前にあるかもしれないけどね。ファミニアでは物のやりとりは依頼品との物々交換、または好意から来る一方的な受け渡しがほとんどなんだ」

「それ、お互いの求めている価値と釣り合ってるの?」

「価値とかそういう考え自体がないんだよ。お互いにできることを出し合って、相手の求めている不足感を満たし合う。
それが達成されただけでぼくたちは十分なんだよ」

「でも、有名になったりとか、名が知れ渡るようになりたいとかなんというか承認意欲みたいなものが少しはあるんじゃない?」

何をアルと話しているのかというと、はじまりは干渉液にいくらお金が必要なのかという話になったのがきっかけ。

ここまで物々交換だけで取引が行われていたから不思議で仕方がなかった。

「承認意欲か。ファミニアの人たちにもそういう欲求は存在するよ」

「なら」

「それでも、お互いの承認意欲の中には相手を思うという前提が必ずある。
お試しの飲み物を飲み物が欲しいと思わない人へ無理やり勧めはしないし、新技を披露する相手に対しても時間や状況を考慮して行っている」

「それって、アルたちの周りだけの話じゃない」

「早い話、取引条件として持ってる人も多いね。お試しの被験体になってもらうことを条件に相手の悩みを解決するとかね」

承認意欲があればそこから憧れや嫉妬が生まれて、自分だけのものにしようとする。
そんな考えが少しでもあれば必ず対価は大きなものを求めようとするはず。

無闇に主張して嫌がられたりとか、そんなのが普通だと思ってた。

この世界にはそんな考え自体がないの?

「なんか納得いかない」

「ファミニアで過ごせば自然と慣れちゃうよ」

「ふーん」

無意識にアルの後ろをついて回っていたけど、なんで私たち歩いているんだ?

「ねえ、あのハルーってやつ使って移動しないの?」

「実は一度も行ったことがない場所なんだ。距離的にここから歩いたほうが早いっていうのもあるね」

「最初が面倒なのはどこも同じなのね。で、今はどこに向かってるの?」

「このまま歩いていたら奇妙な門が見えてくるんだけど、そこを潜った先にある芸術都市ゲミニカに用があるんだ」

「アルはゲミニカって都市には行ったことないの?」

「ゲミニカ自体には行ったことがあるんだけど、門をくぐってすぐのところに目的地があるんだよ。
中央から歩くよりはいま歩く経路のほうが短いんだ」

「地図がないからわからないけど、ゲミニカってとこも広い都市なんだ」

「と、話していたら門が見えてきたよ」

門構えはわたしには理解できないほど酷いものだった。

門の表面は小山程度のトゲがたくさん出ていて、六角形やら五角形のような感じで虹からスポイトしたかのような色がぐちゃぐちゃに配してある。

そして何よりも気になるのが、照明として5個吊るされているライトが眼球の形をしていて青白く光っていること。

わたしのゲミニカに対する第一印象は思考がヤバい場所となった。

「芸術家の考え方を見直すところだったけど、やっぱダメだわ」

「あはは…」

門をくぐって2、3軒ほど建物を移動した場所に目的の場所がある

干渉液を扱っている人物、キエノラという人物が営んでいる店の前に僕たちは立ち止まった。

 

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【ドラゴンクエスト10】魔界ストーリーまとめ 魔界年表

DQXの世界、アストルティアの反対側には魔界が存在します。

魔界には魔界のストーリーがありその歴史はアストルティアとほぼ同じくらい長いものとなっています。

このページではアストルティア年表と連携する形で魔界の歴史、ストーリーをまとめていきます。

 

~全ての始まりから神代の時代~

ある時突然、大いなる闇の根源ジャゴヌバが現れ、7種族神へ対抗すべく7体の邪神を生み出してはアストルティアへ攻め入らせます。ある時は魔瘴をアストルティアへもたらしますが、ジャゴヌバは女神ルティアナによって封印されます。

度重なる争いによってアストルティアにあった一部の土地が魔瘴で汚染されます。その土地はアストルティアから切り離され、ジャゴヌバが支配する魔界として姿を変えます。

また、ナドラガと契約を結んだことでアストルティアへ大打撃を与えることに成功します。

邪神が封印されたり倒されたりされた中、魔界には戦乱の世が訪れていました。

そんな中、ある一人の魔族が魔界を統一し、国家を築いて大魔王と呼ばれるようになります。
初代大魔王ゴダはアストルティアから来た六聖陣を撃退します。

ゴダはゴダ神殿を建立し、魔仙卿を見出して大魔王の選出を制度化させます。

ゴダはそのままの勢いでアストルティアへと進行しますが、帰らぬ人となります。

後に、ジャゴヌバは魔界を統一した魔王を大魔王として選出し、力を貸し与えるようになります。しかしこの行いは大魔王をアストルティアへ向ける負の感情で蝕み、アストルティアを滅ぼす先兵として送り出す行為に過ぎなかったのです。

 

ワラキウスが魔界東部を荒らしていた激昂の巨人を自身の魔術で封印し、ゼクレス魔導国を建国します。
ワラキウスは大魔王になった身でもあります。

 

~約4500年前~

ヴァルザードは大ダコの魔獣を石化し、海運都市ザードを建国します。
そんなザードはズムーラ覇王国を打倒し、賢女の都レジャンナと手を結び、ゼクレス魔導国を退けるほどの力をつけます。

後にヴァルザードは大審門をくぐり、大魔王となります。

ヴァルザードは大いなる闇の根源は魔瘴の海の先にあるとにらみ、先代魔仙卿 ジャディンの協力のもと海を越えるための海洋生物 海魔獣ブルラトスを育て始めます。

ブルラトスはジャディンから滅星の邪園に通じる道を調査するよう指示されます。

~約3500年前~

ヴァルザードはアストルティアへ侵攻しますが、帰らぬ身となります。

~約2500年前~

海運都市ザードを支配していたヴァルザードの子孫が己の欲求を満たすために魔物が無数に封じ込められた万魔の塔を建設します。
万魔の塔には二匹の蛇が背中合わせになるような紋章、彫刻が施されています。

~1000年前~

魔王ネロドスが魔界を統一し、アストルティアへ攻め入ります。

しかしネロドスは破れ、魔界では新たなる戦乱の世が訪れます。
そんな最中、ヴァレリアは家族を殺されてしまい、傭兵として戦わされることとなります。ヴァレリアは出会った仲間と共に戦乱の世を戦い抜こうとしますが、バルディスタ要塞を築く魔王となったころには自分一人しか生きていませんでした。

~約500年前~

芸術家として異彩を放つ魔幻都市ゴーラの魔王マデサゴーラが創生のカケラを見つけて魔界を統一し、先代魔仙卿によって大魔王として選ばれます。

大魔王となったマデサゴーラはアストルティアで復活を待っている冥王ネルゲルと手を結び、アストルティアを自ら作り出した世界で塗り潰そうと考えます。
このころからマデサゴーラは創生のカケラを使った創作活動に力を入れるようになります。

~約数百年前~

時の牢獄から飛ばされたリーサはデモンマウンテンの頂上へ飛ばされていました。
そんなリーサを先代魔仙卿が発見し、しばらくの間リーサをかくまいます。
先代魔仙卿はリーサへもう少しで役割を終えること、そして後継者を探していると告げられます。
リーサは魔仙卿の後継者として推薦され、魔仙卿として魔界で生きていくと決心します。
そして、大いなる闇の根源と契約を交わしたことで時渡りの術の副作用から逃れることに成功します。

~約300年前~

ゼクレス魔導国の魔王イーヴはアストルティアを好む傾向にあり、歴代のゼクレスの魔王としては異例な存在でした。
そんなイーヴはゼクレス魔導国を身分に囚われない国とするために尽力していきますが、それをよく思わない集団もいました。

イーヴがアストルティアを訪れている間にイーヴの暗殺計画が進められ、アスバルが幼い頃にイーヴは殺されてしまいます。

このころからアスバルエルガドーラに厳しく育てられることとなり、アストルティアへ憧れるようになります。

ユシュカは宝石商の父親にくっついて魔界各地を旅してまわっていました。
そんな中、ユシュカの父親によってユシュカはネクロデアに身を置くようになります。

ある日、ユシュカの父親を含む宝石商のメンバーが突然現れた魔瘴塚の影響を受けて死んでしまったと話を聞きます。
ユシュカは父親と同じ目に合う人が出なくなるよう、魔瘴塚への対策法を探すために魔界を旅してまわるようになります。

賢者マリーンは魔界でレディウルフと名乗って旅をしていました。
その旅の中、マリーンユシュカと出会い、共に旅をしている間にユシュカから師匠と呼ばれるようになってしまいます。

 

~約200年前~

魔界で希少な鉱石が多く取れるネクロデア王国には幼き頃のナジーンユシュカがいました。
ネクロデア王国は独特な鉱石加工の技術によって国力は大きな国でした。しかし独断でバルディスタ軍を動かしたゾブリス将軍によってネクロデア王国は国民同士が幻術によって殺し合うよう仕向けられ、ゾブリス将軍が魔剣アストロンで封じられることで戦いは終結します。
ネクロデア王国は滅び、鉱石加工の技術はバルディスタへ奪われ、ナジーンユシュカはジャリムバハ砂漠にある小国へ逃れます。
亡者と魂がさまようだけになった旧ネクロデア領にファラザードの呪術師が現れ、亡者の魂を白い仮面へと封じ込めて訪れる者を王都へ近づけさせないようにする警報装置としてしまいます。

~150年前~

ジャムール王国がバルディスタ要塞へ戦いを挑みますが、敗れてしまい、国は滅んでしまいます。

~数年前~

マデサゴーラは偽りのレンダーシアへ自分の城を新たに創り出し、レンダーシアの一部地域と入れ替わるような形でアストルティアへと出向くことに成功します。

 

魔界へマデサゴーラが敗れたという知らせが伝わり、魔幻都市ゴーラは魔瘴に包まれてしまいます。

再び魔界は不統一な状況となり、混沌とした状態が続くこととなりました。

__________________________

時渡りし者は目覚めると魔界にいて、魔族の姿となっていました。
魔族の姿となったのはユシュカと血の契約を結んだからであり、元の姿に戻るためには大審門の先にいるという魔仙卿に会う必要があると知ります。しばらくの間、時渡りし者ユシュカのしもべとして魔界を歩むこととなりました。

ユシュカの目的は、ファラザード王国の使者として各地を回り、現在の魔界にいる有力な魔王を集めて大審門を開くことでした。

時渡りし者はゼクレス魔導国のアスバル、バルディスタ王国のヴァレリアに会うため、活動を開始します。

 

※ここから先の様々な選択は人によって異なります。
 結末に変わりはありませんが私が歩んだ道のりで進行していきます。

 

ゼクレス魔導国で情報集めを行っていると、ユシュカリンベリィに気に入られてしまい、パーティの招待状をもらいます。

時渡りし者は招待状を使ってパーティへもぐりこみ、シリルと呼ばれる人物と出会います。

シリルはアストルティアに興味を持つ魔族であり、時渡りし者へも興味を持ちます。そんな中、シリルが保護していた銀翼竜のヒナを群れへ帰すため時渡りし者はシリルへ協力します。

銀翼竜の群れへヒナを返すとことに成功した後、シリルはゼクレスの衛兵に連れていかれてしまいます。シリルという人物は、ゼクレス魔導国の王子アスバルだったのです。

六大陸堂というアスバルが経営している店から隠し扉を通じてユシュカ時渡りし者はゼクレス魔導国の城へ潜入し、宝物庫にいたアスバルと会います。

 

宝物庫で衛兵に見つかってしまい、3人は王族が使用する抜け道から逃げることとなります。その先で待ち構えていたのはゼクレス魔導国の王女エルガドーラであり、抵抗しようとするアスバルの前でアスバルが大切にしていたアストルティアのコンパスを壊してしまいます。

アスバルは怒りのままに使い魔を召喚しますが、エルガドーラの術によって正常な判断ができなくなってしまいます。エルガドーラの命令に従うがまま、アスバルが召喚した使い魔がユシュカたちを襲います。

使い魔を撃退した後、アスバルから大審門に行くという決意を聞き、ゼクレス魔導国の魔王を大審門へ連れていく手筈が整いました。

 

バルディスタ要塞へ向かいますが、ジャムール王国という滅びた国の王子がアストルティアから帰還したヴァレリアへ襲い掛かるという事件が起きます。これをきっかけに、バルディスタ城へ入ることが困難となります。

ヴァレリアの側近ヤイルへバルディスタ城へ入る手続きをしてもらうことを条件に、採掘場の盗賊たちを撃退することに協力します。

ヴァレリアと謁見することに成功しますが、大審門を開く誘いをあっさりと断られてしまいます。


対策を考えていたところ、もう一人の側近であるベルトロから月明かりの谷へ向かうといいという独り言を聞きます。

月明かりの谷にはヴァレリアが建てたという孤児院があり、そこで再びヴァレリアと再会しますが怒ってどこかへ行ってしまいます。

孤児院の子どもたちに話を聞き、バルディスタ周辺では見ることが困難となった花を探しに行くこととなります。
子どもたちの協力もあり、ユシュカ時渡りし者は子どもたちが書いた手紙と花をもってヴァレリアのもとへと向かいます。しかし、再び突き返されてしまいます。

謁見中、月明かりの谷で魔瘴が発生したという知らせがあり、ヴァレリアは急いで月明かりの谷へと向かいます。

ユシュカ時渡りし者も月明かりの谷へと向かいますが、そこには魔瘴の霧に飲み込まれた孤児院がありました。
ヴァレリアは孤児院へ飛び込み、子どもを救出しますが助けられる見込みはありませんでした。

そこへヤイルが現れ、孤児院に魔瘴が発生したのはヤイルの仕業だと発覚します。
時渡りし者たちはヤイルを撃退し、ヤイルはヴァレリアの手によって処刑されてしまいます。

孤児院で生き延びたものは一人もおらず、死んでしまった孤児たちは月明かりの谷へ葬られました。

ヴァレリアユシュカが持っていた子どもたちの手紙と花を受け取り、大審門へ赴くことを約束します。

ユシュカは目的を果たし、時渡りし者はファラザードへと向かうことになります。

 

ファラザードの収入源であるバザールはユシュカがいない間にディンガ交易所からの荷物が届かなくて品不足が続いていました。時渡りし者はバザールへ再び荷物が来るよう原因究明と解決を行うこととなります。

ジルガモットというバザールの元締めに話を聞き、今まで使用していた行路を襲う魔物を追い払うのは得策ではないことを聞き、新たな行路開拓のために閉ざされた門を開くこととなります。

ファラザードの住民に協力してもらい、行路開拓に成功します。そんな中、時渡りし者への果たし状を見つけます。
約束の場所へ行くとそこにいたのはバザールを失墜させようとしていたシシカバブ団であり、これをユシュカと共に撃退します。

シシカバブが去った後、ファラザードの副官であるナジーンが現れ、時渡りし者はファラザード城へ入ることを許されます。

ファラザード城ではユシュカがファラザードの魔王であることを知らされ、大審門へ向かうための準備を進めます。

 

いよいよ大審門には3人の魔王が集い、門が開いてデモンマウンテンへの道が開かれることとなりました。

デモンマウンテンでは強さ、魔物や部下を統治する能力や知識、知恵が試される試練が待ち受けていました。

試練が進むごとに挑戦者にふるいがかけられていき、様々な妨害がありながらもついに3人の魔王と時渡りし者、そして漁夫の利で進んできたスッテンテンが残ることとなりました。

スッテンテンの提案で一休みしている中、3人の魔王はお互いの想いを話しますがどの話も意気投合することはありませんでした。

最後の試練としてスッテンテンの姿だったデモンズゲイトが姿を現し、魔王の分だけ分裂して立ちはだかりますが、なぜかユシュカの前には二体出現してしまう事態となりました。

ここからさらにふるいにかけられることはなく、4人はそろって魔仙卿のもとへと向かいます。

先へ進むと4人は離れ離れとなり、時渡りし者はジャディンの園と呼ばれる場所にいました。そこはモーモン王国と呼ばれる場所でもあり、この場所を統治するモモリオンと出会います。モモリオンからはモーモン王国が抱えている危機を救うための助力を求められます。

時渡りし者はモーモン王国で萬栄している奇病に悩む魔物たちを治療することにします。病に侵されている魔物たちへ薬を届けて回り、時渡りし者は「やさしい人」として送り出されます。

その結果を見ていたモモリオンからは他の魔王たちの選択した結果を見ることができ、その後、モモリオンの姿だった魔仙卿が姿を現し、ゴダ神殿への道が開かれます。

モーモン王国の危機というのは試練を行うための設定でしかなく、試練が終わるといつもの平和なジャディンの園に戻っていました。

ゴダ神殿内に再び4人が集い、そこで魔仙卿からは近いうちに高濃度の魔瘴であふれかえる大魔瘴期が訪れると話を始めます。3人は再び対立しあう中、魔仙卿は大魔王を決める儀式場へ四人を招き入れます。

大魔王選出の結果、なんと大魔王となる可能性があるのは時渡りし者だけという結果となりました。

3人の魔王にはどこか欠けている部分があり、魔界を統一する者としてはあまりにも危険すぎると判断されたのです。

納得のいかないユシュカ時渡りし者と戦いますが、決着がつかない戦いであったのか魔仙卿は戦をやめさせます。

ユシュカもその場を去り、3人の魔王は己の方法で魔界を統一させようと準備を進めだします。

一方、時渡りし者は元の姿へと戻るために大いなる闇の根源と接触せざるを得なくなります。大いなる闇の根源へと通じる像に触れると、その幻影と呼ばれるものが姿を現します。

時渡りし者の本当の姿、存在はいかなるものかを問いかけ、襲い掛かってきました。

時渡りし者は勝ち、元の場所へと戻ると大いなる闇の根源へと通じる像が砕けてしまいます。そこからイルーシャと呼ばれる人の姿をしたものが現れ、イルーシャにとって時渡りし者は元の姿へと戻ることができました。

魔仙卿は時渡りし者イルーシャの前で改めて大魔瘴期の話を行いました。その話によると放っておくとアストルティアも滅んでしまうと知り、時渡りし者は再び魔仙卿のもとへ来る必要が出てきました。

イルーシャはしばらくの間ジャディンの園で保護されることとなりました。

 

 

時渡りし者は魔仙卿からの依頼でイルーシャと共に活性化している魔瘴塚を浄化して回ります。
活性化していた魔瘴塚を浄化し終わるころ、魔瘴で滅んだと考えられてきた魔幻都市ゴーラの使いがゴダ神殿へ現れ、ゴーラ周辺に溢れている魔瘴の浄化を依頼してきます。

マデサゴーラが納めていたゴーラという街はほとんどが魔瘴に飲み込まれていて、魔界にもともと創り出されていた魔幻宮殿へゴーラの民が逃れている状態でした。

時渡りし者は魔仙卿からマデサゴーラが持っていたとされる大魔王の覇印を入手してくるよう頼まれます。

時渡りし者イルーシャはゴーラの地へと向かいますが、その様子はヴァレリアに観察されていました。

魔幻宮殿には少数の民とマデサゴーラの孫であるペペロゴーラ、そしてゼルドラドの娘ジルドラーナがいました。

時渡りし者達はゴーラの長老からの依頼で、ゴーラの下層から溢れ出ている魔瘴の除去を依頼されます。ゴーラの下層にはマデサゴーラの大作が眠っているウワサもあることから、ペペロゴーラも共にゴーラの下層へと向かいます。

ゴーラの下層には魔幻園マデッサンスが存在し、その様子は奈落へいざなうゴンドラやメリーゴーランドと雰囲気はテーマパークのようでした。
その最深部へと向かうと、マデサゴーラが使用していたアトリエに到達します。そのアトリエには幻の大作が存在しませんでした。マデサゴーラが残した日誌を見ると、大作と噂されていた絵は失敗作を捨てていた空間に投げ出してしまったという記録が残っていました。

マデサゴーラが没頭していた作品「ほとばしる命の狂宴」には大魔王の覇印、そしてペペロゴーラが愛用している顔料が使用されていました。
それと同時に作品には何百もの魔物が閉じ込められていて、その中には魔瘴竜ジャオマンダという強力な魔物も存在していました。

芸術の墓場に向かうと、そこで成長して額縁から出られなくなってしまった魔瘴竜ジャオマンダが顔だけ額縁から出した状態で襲い掛かってきます。

時渡りし者達はこれを撃退し、魔瘴竜ジャオマンダは大魔王の覇印を吐き出しました。ペペロゴーラが顔料で魔瘴竜ジャオマンダを抑え込みますが、作品と一緒にペペロゴーラは谷底へと落ちていってしまいます。
イルーシャは構わず谷底へ飛び込み、谷底に溢れていた魔瘴を作品の中へと送りこんでペペロゴーラを助けます。その後、時渡りし者が作品へ大魔王の覇印で印を押すとペペロゴーラの作品がその場へ誕生したのです。

谷底の魔瘴を除去したことで魔幻宮殿周辺に漂っていた魔瘴が薄れてゴーラの民が息絶えてしまう心配はなくなりました。
同時に大魔王の覇印、そしてイルーシャペペロゴーラから絵を描くための道具をもらって時渡りし者達はゴーラを後にしようとします。

魔幻宮殿を出るとそこにはイルーシャを狙うためにバルディスタ軍が待ち構えていました。バルディスタ軍に潜伏していたユシュカナジーンが隙をついてその場からイルーシャを連れ去ってしまいます。

これをきっかけにファラザード-バルディスタ間で争いが発生してしまいます。
アビスゲートは閉ざされてしまい、安全にファラザードへと向かうためには滅んだ国であるネクロデアの領地を越える必要が出てきました。

時渡りし者は魔仙卿から関所の封印を解くための巻物をもらい、ネクロデアの領地へと向かいます。

ネクロデアを進んでいくと、滅んだ王都で魔物に襲われようとしていた少女を目撃します。そこでばったりとナジーンと出会い、ファラザードへの抜け道を教えてもらうことを条件に一時休戦してネクロデアの魔剣アストロンを手に入れるための手伝いをすることになります。

ネクロデアに滞在する亡霊たちの力を借りることでゾブリス将軍に突き立てられた魔剣を抜くことに成功しますが、少女に化けていたゾブリスの体の一部によってナジーンは動けなくなってしまいます。

時渡りし者達がゾブリス将軍を倒した後、ナジーンはネクロデアの王子であると同時にアストロンはユシュカナジーンが鍛え上げた剣であることも知ります。

ナジーンの案内でファラザードへとたどり着くことができ、イルーシャ無事を確認できました。
その後、ナジーンの説得もあり、時渡りし者ユシュカと協力関係に戻ることができました。

ファラザードはゼクレスと手を組んだ状態であり、砂漠までバルディスタ軍本体が進軍している中、ゼクレスがバルディスタ要塞へと進軍を開始しました。
バルディスタ軍は領土を守るために引き返し、後を追うようにファラザード軍はバルディスタ領地へと向かいます。

時渡りし者も戦いへ参戦し、バルディスタ軍を撃退していきます。

後方で見ていたエルガドーラはミアラの宝杖によってアスバルを太古の魔人へと変異させて自軍の兵士がいるにもかかわらず大地を焼き払ってしまいます。
この攻撃によってバルディスタ軍、ファラザード軍ともに被害が大きく出てしまい、ユシュカをかばったナジーンが命を落としてしまいます。

3国の軍は撤退し、ユシュカは自室へと籠ってしまいます。

魔仙卿からミアラの宝杖の破壊を依頼され、時渡りし者はバルディスタ軍が怒りのままなだれ込んだというゼクレスへと向かいます。

シシカバブ団がベルヴァインの森で戦闘中の兵士を相手し、時渡りし者はかつて通った裏道から宝物庫を通って城内へと潜入します。

広間に出るとエルガドーラたちがいて、正門から突破してきたヴァレリア達も広間へ現れました。エルガドーラは再びアスバルを太古の魔人へと変えてしまいます。

ヴァレリアは太古の魔人と交戦し、行方をくらませてしまいます。

そこへユシュカが現れ、アストロンの力で太古の魔人の攻撃を封じます。エルガドーラは自身の命を燃やし尽くして太古の魔人を暴走させます。

時渡りし者ユシュカと共闘して太古の魔人を撃退してアスバルは元に戻り、ミアラの宝杖は破壊されます。

こうして大戦は魔界に存在する3つの大国がそれぞれ大きなダメージを負った状態で幕を下ろしました。
アストルティアへの進行も、行われる可能性は低い状態となりました。

 

魔界で起きた大戦後も各地で混乱が収まるとこはありませんでした。

バルディスタは魔王不在のため、ゼクレス魔導国はアスバルがなかなか国政に手を出さない状態で国としての機能をほぼ果たしていない状態でした。

各地の混乱を治めるために、時渡りし者イルーシャは両国の抱える問題を解決させるよう魔仙卿から指示され、行動を開始します。

 

ゼクレス魔導国ではエルガドーラが死んだあと、叔父のオジャロスが国の立て直しを行っていました。その間はアスバルが一度も人前に顔を出していない状態で、国内は物価の上昇とオジャロスに従わない城で働く者たちが解雇されている状態となっていました。

時渡りし者はゼクレス城へ侵入するためにアスバルへ片思いしているリンベリィに協力を求めます。
アスバルを助け出すという目的で一応協力してもらえることとなり、リンベリィのしもべの証をもって城へ潜入します。

アスバルの部屋のカギがあるオジャロスの部屋へ侵入すると、ゼクレスの王が婚約の際に作る詩のようなものを口ずさむ生物がいました。

アスバルの部屋のカギを使って侵入すると、そこにはアスバルの声とそっくりな声をした魔族が替え玉として居座っていました。
替え玉の魔族へアスバルの行方を聞くと、オジャロスの手引きでアストルティアへ行っていることが判明します。

時渡りし者アスバルへ国に戻るよう伝えるため、アスバルが向かったというヴェリナード王国へ向かいます。

~アストルティアでの出来事はアストルティア年表にて記載します~

ゼクレス城へ戻るとアスバルはいきなりオジャロスへ王位を譲ると言い出します。
理由をアスバルは一言も話そうとしませんでしたが、別れ際に一枚のメモを渡してきます。

渡されたメモを頼りに奴隷として縛り付ける術を解くことができる”リドのタリスマン”を探しにゴーラ領へ向かいます。

リドのタリスマンを入手し、待ち合わせ場所となっていた六大陸堂でアスバルと合流します。そこでアスバルから詩を口ずさむ生物はオジャロスが生き返らせたエルガドーラであることを明かされます。エルガドーラはオジャロスによって傀儡となっている状態であり、アスバルエルガドーラを助けたいというのです。
その後はオジャロスの真実を国民へ明かすためにリンベリィとともにゼクレス城へと向かいます。

アスバルがオジャロスへ王位を譲るという話を聞きつけて集まった国民がいる中、リンベリィの幻術で国民たちは幻覚を見ている状態となります。
その間にアスバルはオジャロスへエルガドーラを解放するよう求めますが、交渉は決裂し、なぜか国民たちが急にアスバルたちへ襲い掛かります。

暴れ出した国民たちはイルーシャが魔瘴を集めて浄化したことでおとなしくなりましたが、オジャロスは集まった魔瘴を浴びて魔物の姿となります。

時渡りし者アスバルは協力してオジャロスを撃退し、リドのタリスマンを使用しますがエルガドーラの意識は戻っても元の姿には戻らず、さらには数分後に国を亡ぼすほどの威力を持つ爆発を起こしてしまうことが判明します。

アスバルは母親を殺すか国を亡ぼすか選択を迫られ、エルガドーラ、オジャロス共にレイジバルスを封印している空間へ引きずり込み、空間内で爆発させることを選択しました。

アスバルエルガドーラが死に際に遺したやさしい言葉を胸に、ゼクレス魔導国の魔王として再び活動していくことを国民たちに宣言します。そんなアスバルへ国民たちは安堵の表情を浮かべました。

 

バルディスタへ訪れるとそこでは暴力で魔王へ成り上がろうとする魔族や魔物たちが殺し合いを行っていました。
魔物たちの目をかいくぐり、なんとかバルディスタ城へ入るとそこには砦の様子をうかがうベルトロの姿がありました。

ベルトロヴァレリアがまだ死んでいないと考えていて、未調査領域であるガウシア樹海へ向かうよう時渡りし者へ伝えます。

時渡りし者がガウシア樹海を探索していると、トポルという小さな村を見つけます。トポルの村にはどこか見覚えのある少女がいました。
ベルトロも合流し、村で聞き込みを行っていると最近現れた大グモに注意するよう村人から伝えられます。

大グモがいるというレビンの洞窟へ入ると確かに大グモはいましたが、その正体はゼクレス魔導国へ侵攻した際に橋から落ちたというバルディスタ兵であることが判明します。
バルディスタ兵はガウシア樹海にある呪いの泉に触れてしまった影響で大グモになってしまったことを明かします。そんなバルディスタ兵を元の姿へ戻すためにラーの泉にある果実を手に入れます。
その果実を大グモに食べさせると元の姿へと戻ったのです。

どこか見覚えのある少女 ティリアがなにかと時渡りし者たちを避けていることが気になり、ティリアが向かったという呪いの泉へと向かいます。
呪いの泉でティリアへラーの泉でとれた果実を食べるよう言いますが、話の途中で村人がならず者に村が襲われていると伝えに来ます。
その村人を追ってきたのはギャノン弟でした。ギャノン兄弟はかつてバルディスタで好き勝手に拷問を行っていたことを理由にヴァレリアによって国から追放した過去があります。

ギャノン兄弟はバルディスタの現指導者としているベルトロを追ってきていたのです。

ティリアは村へと急いで戻り、ギャノン弟は時渡りし者たちが相手しました。
ギャノン弟を倒して村へ戻ると、ギャノン兄とついてきた魔物たちが村で暴れていました。

そんなギャノン兄たちの行いに対して我慢の限界を超えたティリアはイルーシャへラーの泉の果実を要求し、それを食べたとたんにヴァレリアの姿へと変わったのです。

ヴァレリアは村を襲った魔物たちを倒し、村人へ別れを告げてバルディスタへと戻りました。どうやらヴァレリアは残された余生を安息の地でゆっくりと過ごしていきたかったようです。
実はここまでの展開はベルトロの筋書き通りでした。何かと頭が回るベルトロの姿を目の当たりにしました。以降、時渡りし者はなぜかベルトロに気に入られてしまいます。

ヴァレリアがバルディスタへ戻ったとたんに砦内は静かとなり、バルディスタの混乱も治まりました。

 

時渡りし者たちは魔界に残った混乱が解決できたことを魔仙卿へ報告しに戻るとそこへユシュカが現れます。
ユシュカ時渡りし者が大魔王にふさわしいと話だし、イルーシャも便乗して話を薦めてきたこともあり、時渡りし者は大魔王の座につくことを決心します。

時渡りし者は魔仙卿に呼び出されて二人っきりとなります。
魔仙卿から明かされた真実は、なんと魔仙卿はリーサであることが判明します。

皮肉にも、マデサゴーラを大魔王へとしてアストルティアを襲わせる結果を作ったのはリーサだったのです。

※以降、魔仙卿として行動している間は魔仙卿、兄弟姉妹として話しかけてきたときはリーサと表現します

時渡りし者は戴冠式を行うために魔仙卿が書いた親書をアスバルヴァレリアへ届けることとなります。

まずはアスバルへ親書を届けると、ゼクレス式の魔王を試す試練を受けるよう伝えられます。試練の内容としては大魔王としてのふるまい、招待された人々への気配り、そして甘い考えをもたない決断力を試されました。

そんな試練を突破し、時渡りし者アスバルから王冠を渡され、喜んで戴冠式へ参加すると伝えられました。

次にヴァレリアへ親書を届けると、時渡りし者は決闘を申し込まれます。
時渡りし者はバルディスタの国民が見守る中ヴァレリアと戦い、かつて一撃で吹き飛ばされたときとは違ってヴァレリアの攻撃を耐えしのぎます。

この戦いでヴァレリア時渡りし者を認め、戴冠式へ出てもらえるようになりました。そんなヴァレリアからは魔界の馬が渡されました。

親書を2国へ届けたことを魔仙卿へ伝えに戻ると、ユシュカからイルーシャがさらわれたと話を聞きます。
時渡りし者イルーシャがいるというかつてネロドスが統治していた領地へ立ち入ります。そこには誰のものかわからない城がありました。

城の中へ入ると、そこには楽しげに話すイルーシャペペロゴーラがいました。
この後ユシュカからネタバラシされ、なんと秘かにユシュカが用意していた城を時渡りし者へ譲りたいと申し出てきたのです。
これで時渡りし者の正式な魔界での活動拠点が決まります。
※以降大魔王城と呼称します。

戴冠式は大魔王城で行われることとなり、ファラザード、ゼクレス、バルディスタの3国とゴーラの都市から魔王と要人、そして兵士が集まり、戴冠式が執り行われました。

しかしその途中で魔仙卿がいきなり魔界の真実を話し出し、大魔王となったものは魔界に漂うアストルティアへの負の感情を背負ってアストルティアへ出向いていったことを語りだしました。

そして魔瘴魂と呼ばれる存在を呼び出し、場内を混乱させます。
時渡りし者ユシュカが協力してこれを倒しますが、既に魔仙卿の姿はありませんでした。

こうして時渡りし者は大魔王として大魔瘴期を乗り越えるために動いていくこととなります。

時渡りし者が魔界にて大魔王としての活動を続けていると、ナラジアという人間の青年が囚われている現場を目撃します。ナラジアを解放したのは良いものの、どこかへと消えてしまいます。

アストルティアと通じているザハディガル岩峰の門から白いフードの4人組が現れたと知らせが入ります。
白いフードの4人組は魔瘴塚からあふれる魔瘴を取り除いた後、バルディスタ要塞でヴァレリアの居場所を聞いてきました。

ベルトロによって白いフードの4人組は大魔王城へ向かうこととなり、大魔王城では警戒が強まります。

大魔王城にいたアスバルが大魔王城の扉へ結界を張りますが、突然現れたナラジアによってあっけなく結界が突破されてしまいます。

ナラジアイルーシャを知っている様子であり、衰弱していることもあって大魔王城で保護することとなります。

少し警戒が緩くなったところで白いフードの4人組が現れます。4人は姿を現し、その正体はアンルシア、ルシェンダ、シンイ、エステラだったのです。

魔界を旅している間にアンルシアたちは新たに大魔王が現れていることを知っていて、魔界にいる魔王だけではなく大魔王討伐のために襲い掛かってきます。

戦いの中、勇者と大魔王が一対一で戦う状況となり、戦いの中でアンルシアは大魔王が時渡りし者であることを知ります。

これをきっかけに互いに一時休戦となり、アンルシアたちには大魔瘴期が近づいていて近々アストルティアも滅亡することになると知ります。

半信半疑なアンルシアたちは、魔瘴があふれ始めたというジャディンの園へ向かうこととなります。
ジャディンの園へ向かうのは時渡りし者、アンルシア、ルシェンダ、ユシュカ、イルーシャとなります。

ジャディンの園には魔瘴魂が出現していて、一部の魔物を除いてジャディンの園の住人は息絶えていました。

魔瘴魂を倒し、ジャディンの園の魔瘴をイルーシャが浄化しようとするとナラジアが現れ、二人で協力したことで魔瘴を祓うことに成功します。

そのまま時渡りし者たちは今回の事態を起こしたと思われる魔仙卿を追うためにゴダ神殿の最深部へと向かいます。

ゴダ神殿の最深部へ到着すると、イルーシャナラジアが何かにとりつかれたように語りだし、ジャゴヌバが封じられているという神殿へ向かう道を出現させます。

時渡りし者たちはジャゴヌバが眠っているジャゴヌバ神殿へ到着し、導かれるがままに仕掛けを解いてついにジャゴヌバの目の前まで到着します。

どうやらイルーシャナラジアには再びジャゴヌバを封印する役目があるようです。

ジャゴヌバの前にはなにかを施している魔仙卿がいました。

神殿が崩れ始めている中、魔仙卿時渡りし者が2人きりとなる状況ができ、リーサは事の顛末を時渡りし者へ伝えます。

大魔瘴期の到来が早まったのはリーサの仕業であり、アストルティアと魔界の争いが始まる前に両方の世界が手を取り合う方法を模索していたのです。

リーサ時渡りし者であればアストルティアと魔界が協調できると信じ、ジャゴヌバ討伐をお願いします。

しかしリーサによると想像以上にジャゴヌバの目覚めが早いらしい。

アンルシアたちが瓦礫を突破し、イルーシャナラジアがジャゴヌバへ近づくとジャゴヌバは目を開け、暴虐の邪神ダビヤガが現れます。

魔仙卿アンルシアたちを助けようとしますが暴虐の邪神にふきとばされてしまいます。

暴虐の邪神を倒すために時渡りし者、アンルシア、ユシュカ、イルーシャが戦に挑みます。

4人は暴虐の邪神の無力化に成功し、イルーシャが暴虐の邪神を消滅させようとしますが、腕輪の力が作動してうまく力を使うことができませんでした。

ジャゴヌバは暴虐の邪神を吸収して目を覚まそうとしたところ、マリーンが現れて宝石魔術を使用してジャゴヌバの目覚めを抑えます。

時渡りし者たちはマリーンからルティアナを復活させるよう告げられ、マリーンを残して大魔王城へ戻ります。

大魔王城ではジャゴヌバ討伐のためにアストルティアと魔界が手を取り合い、ルティアナを復活させるために活動しなければいけないことを再確認し、アンルシアたちはアストルティアへと戻りました。

ジャゴヌバがよみがえり、ルティアナが敗れて光の河へ戻ったころから魔界では大魔瘴期の前兆である各地での魔瘴濃度増加という現象が起きていました。

3国の魔王が時渡りし者へ状況を説明しに来ていたとき、時渡りし者エルドナが神託を下します。その内容は、ヒメアのもとを訪れて世界樹の花を受け取るようにというものでした。
時渡りし者はファラザードでは魔瘴の濃度増加が起きていないという理由でユシュカと共にヒメアのもとへ向かうことにします。

世界樹の花をもって魔界へ戻ると、魔界では魔瘴の濃度が増しただけでなく、各地の魔瘴塚から再び魔瘴が溢れ出るようになっていました。

まず時渡りし者たちはジャリムバハ砂漠にある魔瘴塚を浄化しに行きます。
魔瘴塚は一瞬で浄化され、その場でユシュカの昔話を聞いた後に次はバルディスタを訪れます。

バルディスタではザハディガル岩峰で再び魔瘴塚が活性化していて、時渡りし者たちヴァレリアから通行許可をもらって魔瘴塚の浄化を行います。

魔瘴塚の浄化後、遠征駐屯地の人々も併せて浄化を行いました。駐屯所にいる兵士長へ話を聞いていると、変わったものを拾ったと聞きます。それを見せてもらうとそれは魔仙卿のヘルメットでした。
リーサの行方が心配になる中、ゼクレスの使者から話を聞いて時渡りし者たちアスバルのもとへと向かいます。

アスバルからはゼクレス領の魔瘴塚を魔法の結界で封じ込めてあるという話を聞き、時渡りし者たちは魔瘴塚を浄化する手段が見つかったと伝えます。
他にもアスバルからはリドのタリスマンを奪った犯人が現れたこと、その犯人は時渡りし者へ宛てた手紙を残したという話を聞きます。その内容はリーサからの手紙であり、リーサジャゴヌバがいるという滅星の邪園へ向かうためにリドのタリスマンを盗んでいました。そしてそのままファラザード地下にある開かずの間へ向かったと記されていました。

時渡りし者ユシュカアスバルリーサのことを話し、二人はリーサを助けることを優先していいと答えます。時渡りし者ユシュカリーサを助けるためにファラザード地下にある開かずの間へと向かいます。
開かずの間へと向かうとそこには魔瘴塊に襲われているリーサの姿がありました。

魔瘴塊を追い払い、リーサの受けた魔瘴をルティアナが払おうとしましたが、そもそもリーサジャゴヌバと結んだ契約がリーサの命を奪おうとしていました。ルティアナは記憶の扉からリーサの記憶へ入り込み、呪縛を解くことを提案します。

ルティアナが記憶の扉を開くと再び魔瘴塊が襲いかかってきました。追い払っても際限なく現れる魔瘴塊を前にして、ユシュカリーサを助けることを優先するよう伝えます。時渡りし者は、リーサの記憶へと潜入します。

時渡りし者は知ってる時代の記憶から、自分の知らないところで活躍していた記憶まですべての記憶といえるほどの内容を覗くことになりました。
その記憶の所々には闇の根源の呪縛がナラジアの姿となって表れていました。

記憶の最深部へと到達すると現代のリーサへ出会います。
そこで闇の根源の呪縛がリーサを捕え、時渡りし者リーサは守るべき存在かと問いかけ、リーサの心を折ろうとしてきます。しかし時渡りし者はアストルティアへ悪影響も及ぼしていたリーサを姉だと思う気持ちは変わっていないとリーサへ伝えます。

それを聞いたリーサは再び呪縛へ抗うと決め、リーサ時渡りし者は闇の根源の呪縛へと挑みます。

二人は闇の根源の呪縛を倒し、記憶の世界を出ます。
元の場所へと戻るとナラジアが現れ、時渡りし者を連れ去ろうとします。ルティアナの抵抗が闇の根源に効かない中、ユシュカナラジアを挑発してそのままユシュカは闇の根源に連れ去られてしまいます。

時渡りし者はユシュカが残していった魔剣アストロンと傷ついて倒れたリーサを連れて大魔王城へと戻ります。ファラザードにはユシュカがどうなったのか伝えられ、しばらくの間はユシュカなしで国が動いていくことになります。

 

時渡りし者にはユシュカが捕らえられているという滅星の邪園のイメージが送られ、目が覚めたリーサ達に相談すると魔界の海の底にある場所だと判明します。

魔界の海を越えるためにはかつてヴァルザードが準備した海魔獣ブルラトスが必須となりますがブルラトスを目覚めさせるには力を取り戻したリドのタリスマンが必要とのことで時渡りし者はリドの霊魂へ頼み、タリスマンの力を取り戻してもらいます。

ジャゴヌバを討伐するメンバーがザードの祭壇に集まり、リーサは力が解放されたリドのタリスマンを使用してブルラトスを正気に戻します。

正気に戻ったブルラトスは時渡りし者たちを乗せて滅星の邪園へと向かいます。道中ジャゴヌバの妨害を受けますが、ユシュカの意識を頼りに滅星の邪園へとたどり着きます。

滅星の邪園では魔祖と呼ばれる500年前にガラテアによって封印された魔族の祖先たちが行く手を阻んできました。
魔祖が用意した昇降機には4人の生命力を注ぎ続けなければいけず、同行していたアンルシア、マリーン、アスバル、ヴァレリアはその場に残り、時渡りし者だけでユシュカのもとへと向かいます。

ユシュカはすでに闇の根源に囚われていて、正気に戻すために戦うしかありませんでした。

戦いの中でユシュカが爆散しようとした時、時渡りし者には魔剣アストロンから声が聞こえ、アストロンでユシュカを鋼鉄化させようとします。するとアストロンに宿っていたナジーンの魂がユシュカを呼び戻し、ユシュカは正気を取り戻します。この時にユシュカナジーンの魂と血の契約を結び、ナジーンの魂をアストロンに留めることに成功します。

そんな様子を見ていたジャゴヌバ時渡りし者たちが見せてきた協調という概念に興味を持ち、時渡りし者ユシュカの前に立ちはだかります。

ジャゴヌバが弱ったところでルティアナは光の力でジャゴヌバを滅しようとします。しかしジャゴヌバは光の力を吸収し、光と闇が交わることが協調だと理解します。

光の力を吸収したジャゴヌバルティアナを凌駕し、ルティアナは直接ジャゴヌバへ攻撃できるほどの力が残されていませんでした。
しかしルティアナはアストルティアに存在する人々の願いを集めてジャゴヌバへ対抗します。

時渡りし者を中心にして集まった人々の願いはミナデインという形でジャゴヌバに大きな一撃を与え、その一撃でジャゴヌバは果ててしまいます。

 

こうして大いなる闇の根源との戦いに終止符が打たれました。

大魔王の城で宴が開かれる中、イルーシャの部屋にはイルーシャ本人が戻ってきていました。
ルティアナ本人ではありませんが、どうやらルティアナの人と生きてみたいという願いが具現化し、イルーシャが戻って来たようです。

 

 

【DQX】アストルティアアフィーマン 写真で残すアストルティアの記録

アフィーマンとはAufnehmanのことである。

文字ではなく、写真を中心としてアストルティアの記録を行っていくページ
それが、アストルティアアフィーマンです。

DQXのようなオープンワールドだからこそ実現できた多くの風景写真や施設を写真で残していきます。

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【DQX】アストルティアアフィーマン 大エテーネ島、エテーネの島

このページはアストルティアの記録として文字ではなく主に画像で残す活動を行っていきます。

今回は大エテーネ島、エテーネの島に注目していきます。

エテーネの島

アストルティアの中心に位置するこの島には、各種族が誓いを交わしたとされる石碑が残っています。

上空から見たエテーネの島

ペガサスの姿を模したエテーネの村の模様

エテーネの村(復興前)

 

雨の中主張が激しい光の神殿

光の神殿 門上の模様

 

マデ島(マデ神殿)

マデ島の修道院

5000年後に修道院ができる場所

現在のマデ島

マデ神殿

現在と見比べると明らかですが、内海の水位は確実に上がっています。
歴史は色々と変わりましたが、現在は隕石落下が影響と言えます。

思いっきり水中まで伸びているマデ神殿の階段

マデ神殿(中心地)

大エテーネ島

スレア海岸から見る大エテーネ島

大エテーネ島から見えるリンジャハル、リャナ荒涼地帯

大エテーネ島から見る5000年前のエテーネの島
5000年前から光の神殿が存在したという証

大エテーネ島から見るドラクロン山地

夜のエテーネ王国

内部から見た隕石と障壁

外部から見た隕石と障壁

おそらく錬金に使用するであろう魔道具

王族にのみ入室が許されている温室

上空から見た大エテーネ島とエテーネの島

 

※このページではドラゴンクエストXの要素を使用しています

次元縁書ソラノメモリー 1-12 今帰れたところで私は嬉しくないし、逆に辛い

あれからつづりさんとかなでさん、ブリンクが戻ってきた。

戻ってきて早々、ソラはつづりさんへさっきまで探していた次元へ繋げるようお願いをした。

それからなぜかつづりさんだけが目的の次元へ飛び、ファミニアから観察を行うことになった。

何でこんな流れになったのかというと、ソラたちがいた世界の解析準備を行うためらしい。寄り道をしないとは何だったのか。

そしてぼくとブリンクは脳みそを浸からせるための干渉液を手に入れるために外へ出ている。

出る前にソラへいろいろ怒ったせいで消耗した感情エネルギー補給のために、ぼくとブリンクは食べ物を求めて歩いていた。

「ソラに何を怒っていたの?」

事実を知らせていないブリンクはぼくが怒る理由がわからなかった様子。

「いきなり寄り道するようなことを始めたからさ。まあ、すでに寄り道してるぼくが言えることじゃないけど」

「たまには寄り道も大事だと思うよ。急ぐことじゃないんでしょ?

干渉液に関しては、急ぐことじゃないかな。

「うん、そうだね」

「それで、今はどこに向かっているの?」

そうか、目的地を伝えずに歩いてたんだった。

「今は材料をもらうためにシチィケム  って場所に向かってるんだよ」

「あ、カナデから聞いたよ。食べ物と交換するための素材が集まる場所なんだってね」

農業都市 シチィケム

食べ物をもらうために要求される大抵のものはこのシチィケム にある。

ここには材料となる植物や動物がいてそれらを育て、管理する人たちが集まっている。育て屋と呼ばれる植物や動物の専門家は必ず一種類に1人だけ。これも育て方や管理方法を能力のおかげで知っているから。

育て屋たちは育てること、飼育すること自体が楽しいため、よっぽどのことがない限りは無償で材料を分けてくれる。

今回ぼくたちが集めるのはパンの材料となる小麦、挟むためのレタスとお肉。つまりはサンドウィッチを作りたいわけだ。

お肉は何でもよかったんだけどブリンクの要望で鹿肉になった。どうやらブリンクがもともといた世界では主食としていた家畜の姿に似ているかららしい。

鹿肉の育て屋にブリンクがいろいろ聞いていたようだけど、鹿について熱弁する育て屋にただただ驚いている様子だった。

ブリンクが思っていたものと類似している点は多かったみたいだけど、違ったのは鹿の主食だった様子。

私の世界にいるウカっていう動物はこの世界とだいぶ似てるんだよね。でも違うのは食べるもの。ウカは小動物を食べる肉食系なのよね」

あのツノで小動物を攻撃って、苦労するだろうなぁ。

レタスについては初めて見るらしく、キャベツのように葉っぱ系の植物が玉状になっているものはブリンクの世界になかったらしい。

球体の植物といえばタネの状態を食べるモカニンって植物があってね。珍しく果肉の方を捨てて食べるやつなんだよ。果肉は苦くて苦くて食べられたものじゃないけど、タネ部分は煮たりすりつぶしてパンの生地に混ぜたりすると甘くて美味しいんだ」

ブリンクは自分の世界の話についてはとてもいい笑顔で話す。しかも確実に伝えたいのかいつもよりゆっくりと話すからとても真剣なことがわかる。

あまり故郷のことを話すから気にしちゃったけど、ブリンクは知らない世界に夢中になっている様子だった。

「楽しそうだね、ブリンク」

「あの灰の世界よりもキラキラしているからね、そりゃはしゃいじゃうよ」

パンの材料となるライ麦の育て屋に材料をお願いしたところ、珍しく要求品を提示してきた。

「収穫のために動いていたんだが、思った以上にペシャンを使っちまってね。ちょっとこのタンク一杯分のペシャンを組んできてもらえないかな

タンクの大きさはドラム缶くらいといえば通じるか、まあ背丈より少し低いくらいの高さだ。

ブリンクは驚いていたけど、ファミニアでは大容量のカバンが出回っているから実はそこまで苦ではない要求だ。

少々手間なのは、少し高いところにあるペシャンの源泉まで行かないといけないということ。

育て屋が必要とするペシャンは新鮮な状態じゃないといけない。一番新鮮なのはペシャンの源泉であり、街中を流れるペシャンは途中で多くの人が触れるため、鮮度が落ちてしまう。

育て屋はペシャンが欲しいとだけ言ったけど、少々気を使って源泉まで行くことにした。

「アル、ペシャンの源泉ってここから近いの?」

「いや、ここからカムイナキを超えた向こう側にある場所だよ」

「え、遠くない?」

ファミニアの大きさは日々変わっていて拡大する一方だ。

ファミニアの土地はぼくたちの家がある中心都市 カムイナキを中心として外側へと拡大していく。

そのため、一週間前は1㎞先にあると表示されていた建物が今は1.2㎞先になっていることもある。

こんな不思議なことが起こっていると今回のようにただでさえ遠い場所がさらに遠くなってしまい不便だ。

「大丈夫。遠くの場所へ行くために、このハルーがあるからね」

ぼくが取り出したハルーに対してブリンクは夢中になっていた。

「この宝石みたいなやつがハルーって言うんだ。で、この石を使うとどうなるの、飛べるの?」

「飛ぶとは少し違うんだけど、ハルーは一度訪れた場所を記憶して、その場所へ一瞬で飛ばしてくれるんだよ」

「やっぱ飛ぶんじゃん」

「雰囲気としてはつづりさんが使う座標移動に近いかな」

「それって転送だよね。飛ぶと言うってことは何か違うの?」

ハルーが記憶するのは座標ではなく、記録したい場所の近くにあるプラキアと呼ばれる点を記録する。プラキアは始点を意味していて所持者が印象に残った場所がハルーの始点として記録される。座標を記録しないのはファミニアが常時変化しているということが影響してしまうからだ。

要するに一度は訪れたことがある場所にしかハルーでは移動できない。ブリンクは行ったことがなくても、ぼくがすでに訪れた場所だから一緒に移動することができる。

「じゃあ、ハルーを私が持ったところでペシャンの源泉には行けないってことか」

「そういうことになるね。じゃ、行こうか」

ブリンクと手を繋ぎ、ハルーを胸元に当ててぼくはペシャンの源泉を思い描いた。

すると気づいた時にはぼくたちはペシャンの源泉であるワッカイタクにいた。

「え、私たち動いた?周りだけが切り替わったみたいに何も感じなかったけど」

確かによく考えれば不思議な現象ではある。

別の場所へ瞬時に移動する際は何かしらの違和感が体で嫌でも感じることになる。

実は第三者視点で移動してきた人をみようと定点観測を行なったことがあった。

あの時は周囲を注意深く見ていても空間が歪んだり、いきなりその場に現れるなんてことが一切なくなんの収穫もなかった。

だからぼくは素直にこれが瞬間移動とか、指定した場所に飛ぶとか単純な言葉では言い表すことができない。

ハルーだからこういう芸当ができるという共通認識だから何も感じなかったが、よく考えるとハルーというものは得体のしれない奇妙なものであると再認識できてしまう。

「ねえアル、なんかあった?」

「え、ちょっと考え事してただけ。それじゃあ源泉に行こうか」

ペシャンの源泉は地下深くからペシャンが絶え間なく湧き続けるこの世界の生命線。

ここを独占するものが現れてもいいというほど重要な場所であるにもかかわらず、誰もそうしようとしない。

ハルー同様、そういうものだという考えで通っているんだろうけど今までにそう行った出来事が起きていないということが不思議でならない。

「源泉っていうから質素な場所かと思ったけど、噴水公園って言えるほど賑やかだね」

「何かとこの世界では材料になったり、感情エネルギーの補給だったりで人が絶えないからね。芸術好きな人たちが装飾して行ったって話だよ」

「芸術家ってあまりいい印象ないけど、湧き出るのが絵の具に変わってないあたりまだまともかな」

ブリンクの世界の芸術家って…。

ぼく達は新鮮なペシャンを回収してライ麦の育て屋へ届けた。

それから当初の目的だったサンドウィッチを手に入れて、ぼくとブリンクはペシャンの川へ足を浸からせていた。

「あの2人ともこの世界を歩き回ってみたけど、よくわからないなー」

「新しい世界ってそんなものじゃない?」

「いや、なんていうかどこにでもありそうな法則に全然当てはまらないってところが新鮮でさ」

この世界についてにこやかに話すブリンクを見ていると、ソラとの会話をふと思い出してしまった。

「当てっていうのは、ブリンクの魂と体を切り離す方法だよ。体っていうのは元いた世界の法則に縛られるんだけど、魂自体はどこに行っても普遍であって、縛られることはない。
器となる体がないと何処かに飛んで行っちゃうようなものだから、大抵は体とワンセットなんだよ」

「何を、言ってるのさ」

「ブリンクの魂を詰める器を作り、体を維持するエネルギーを感情エネルギーとする仕組みを作る、それが当てだよ」

「理解はできる。でもダメだよ!」

ソラは横目でこちらをみるだけだった。物言わずに人の方向を向くソラは時々怖さを覚える。

「わかるでしょ、代謝の概念がる世界の人が、どれほどからだと魂のつながりを気にしているのか」

「人は体あってこその存在。死んで初めて体と魂が切り離されて、魂は神様に救われるってのが普通だね」

「魂を切り離すなんて、ブリンクが首を縦に降るって、本当に考えているわけ?」

「最短でできるのはこの方法くらい。幸い、観測した次元の中にサンプルとして使えそうな法則があるからそれを使えばできる」

「ソラ!あんたは!」

ソラは表情1つ変えずぼくの目を見続けている。ソラの考えには人の気持ちが含まれていないことが良くある。

最近は良く考えるようになったと思ったらまたこれだ。

「あたしは当てを確実なものにするためにしばらく動けない。だからさ、頼みごとを完了する過程で聞き出してくれないかな。ブリンクの気持ちを」

聞くとしたら今かもしれない。

答えによっては、考え方を改めさせないといけない。尊重されるのは、本人の意思だ。

「ブリンクはさ、もし帰れるとしたら元いた世界に戻りたい?」

食べているサンドウィッチを全部口に入れて、飲み込んでからブリンクは話し始めた。

「戻れるなら戻りたいな。やっぱり元いた世界がしっくりくるし、戸惑うこともないだろうからね」

「なら」

「でも、今帰れたところで私は嬉しくないし、逆に辛い」

「帰りたくない理由って」

「お父さんとお母さん、2人とも私の世界ではちょっとした有名人でね。私の中では自慢の親だった」

「だった?」

ブリンクは頷いたあと、手遊びをしながら両親のことを話し始めた。

 

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