【Blue protocol、ブループロトコル】レグナスの歴史【ストーリーまとめ】

目覚める前、何か声が聞こえた

何者かに未来を託された

その声が誰なのか、自分が何もなのかもわからない

そんな中、私はレグナスで目を覚ました

 

このページではブループロトコルの世界「レグナス」の歴史をメインストーリー含めてまとめていきます。

このページの内容は、本編の進行に従い、随時更新を行っていきます。更新の際にはTwitter上でアナウンスを行います。

※このページでは平気にネタバレが行われます。気にする方はご注意ください

 

・プレイヤーが操作する主人公は「天に見守られし者」という表記で記録していきます。

・○○年後という表記は主人公が目覚めたメインストーリーの舞台となる時代を基準に表記します。

・出来事につながりがあり、時間が飛ぶ場合は~へ飛ぶというアナウンスを入れるので参考にしてください。

 

 

 

===神話時代===

バファリア神族は竜族と戦うために自分たちに似せた存在である人間を生み出します。人間が戦ったことで竜族を抑えることは出来ましたが、人間たちはバファリア神族に歯向かうようになっていきました。

バファリア神族は地面ではなく天空に住むことを余儀なくされ、人間たちへはバファリア教団というものを生み出して信託という形で助言を与えていくことになります。
その助言によってアバリティアは捕らわれ、そこから得たエングラムはバファリア神族にも提供されることになります。今後バファリア神族はアバリティアから得られるエングラムに依存するようになり、そのエングラムがないとバファリア神族は生きていけないようになります。

こうしてバファリア神族は神話上の存在となって、地上は人間たちが支配する世界となっていき、竜族は秘かに息をひそめるだけとなってしまいます。

※情報元:シアター メインクエスト3章 別れを惜しんで

 

===およそ400年前===

アステルリーズが交易都市として独立を果たします。

===およそ30年前===

バーンハルト公国の公子は双子であり、見た目が同じとされていました。
双子のうち、兄にあたる公子は冒険者にあこがれ、バーンハルト公国から無理矢理旅立ってしまいます。
国のことは弟に任され、弟は幽閉されて国のための勉学に励むようになります。
この弟 ノルベルトが後にバーンハルト公国の王位を継承します。

兄の方はというと、アステルリーズまで渡り、そこで冒険者として過ごした後に双面コイン亭という酒場を営むようになります。

 

===半年前===

=歴史改変!=

聖バファリア島にアバリティアシェルが現れ、バファリア教団は迅速に動いてアバリティアシェルに対して結界を張ろうとしますが、遺跡の防衛機構が作動して中へと入ることは叶いませんでした。

===およそ二カ月前===


バーンハルト公国の教団は、疑似アバリティアの実験を行おうとしていました。その実験が行き詰っていた中、アバリティアシェルの存在を知り、体組織を手に入れてさらなる実験を進めました。
その過程でヨルクが被検体とされてしまい、ヨルクはアバリティアへと変貌して化物の姿となって研究所で暴れまわってしまいます。
アバリティアが出たと聞きつけたダンケルクは目の前にいるアバリティアを討伐しますが、アバリティアから落ちたイマジンシードを手にして自分が討伐したのは自分の息子であることを初めて知ります。

ダンケルクは悲しみに包まれてしまいます。
そんなダンケルクへ竜族のリーンブルムが接触し、全てはバファリア教団の裏にいるバファリア神族が悪いと入れ知恵をします。その中でカーヴェインの形見である短剣がバファリア神族のものであり、カーヴェインはバファリア神族の血を引いた存在だということもダンケルクには伝えられます。

ダンケルクは悲しみから怒りへと変わり、リーンブルムと結託してバファリア神族の抹殺に動き出します。
ダンケルクはカーヴェインへ狙いをつけ、バーンハルト公国が竜族の襲撃を受けているそのさなか、バーンハルトの大公 ノルベルトが暗殺されてしまい、その犯人がカーヴェインということにされてしてしまいます。
カーヴェインは追われる身となりますが、アインレインカーヴェインが無実であると知っています。しかしカーヴェインはバーンハルト公国から指名手配されてしまい、公に無実だとは言えない状況となります。

結果的にバーンハルト公国の実権はダンケルクが持つこととなります。

弟のノルベルトが殺されてしまったことでアステルリーズにあるコイン亭の店主となっている兄は、バーンハルト公国へ戻らざるを得なくなります。
しかしすぐに戻ることはなく、バーンハルト公国が混乱しないようしばらくは情報収集に努めることになります。

 

  ===メインストーリー開始===

天に見守られし者が目を覚ますとそこは知らない洞窟の中でした。

自分が何者であるかも思い出せない中、ゴブリンに追われているフェステに出会います。天に見守られし者フェステを助けるためにゴブリンと戦って倒しますが、その後気を失ってしまいます。

アステルリーズという街にある双面コイン亭までフェステとコイン亭の店主が天に見守られし者を運び、しばらくすると天に見守られし者は目を覚まします。
そのあとはフェステに促されるままノートへ自分の名前を書くと、なんとそれは下僕契約書というものでした。
その日から天に見守られし者はフェステの下僕として行動していくこととなります。

行動を共にしているとフェステには借金があることを知り、その返済も兼ねてアステルリーズ周辺の遺跡探索を行うことになります。

その様子をジェイクという冒険者が見守っていて、天に見守られし者の強さを確認して開拓局に推薦してもらいました。開拓局に冒険者として認められることで、アステルリーズがあるマグナ大陸では冒険に融通が利くようになります。
依頼もうけられて金が溜まるということで冒険者登録の試験を受けて、天に見守られし者は冒険者として登録してもらえました。

冒険者として認められた天に見守られし者ジェイクフェステと共に巨竜の爪痕という遺跡へ向かうことになります。
そこの最奥で天に見守られし者達はアバリティアと呼ばれる次元を歪ませる存在となったボア系モンスターと出会います。
そのアバリティアを倒すことは成功します。倒してジェイクがその場から離れた後、メルロウフという人物が現れます。
メルロウフは自分は放浪者だとしか教えてくれず、天に見守られし者は来者かもしれないと言い残してその場から立ち去ってしまいます。

開拓局へ戻り、ジェイクから報酬をもらうと同時にアバリティアの目撃情報が他にもあること、同時期に竜族の動きが活発になっていることを知らされます。

その後、コイン亭の店主に来者について聞いてみるとバファリア教団なら知っているかもしれないと聞かされ、アステルリーズにあるバファリア教の神殿へ向かいます。
その神殿で初めてアインレインと出会い、来者についてはミンスターホルンに行けばわかると伝えられます。

ミンスターホルンへ行ってみると来者について知っている人物は確かにいますが付近へ調査に行ったきり戻ってきていました。

その人物はワールキンという名前で、遺跡近くでゴブリンに襲われているところを天に見守られし者達が助けます。 ワールキンから来者について聞くと、特殊な能力を持つ異邦者であり災いをもたらす存在という認識であることを知ります。
さらに来者について知りたいならば「神懸の御柱」という場所に入る必要があると伝えられます。

その話を頼りに神懸の御柱へ向かいますが、番兵にあっさり突き返されてしまいます。神官長クラスの人物に許可をもらえれば入れてもらえるとのことでした。

そんな人物と運よく出会えるわけがないと、神懸の御柱周辺の出来事を追っていると魔物に襲われた村にアインレインがいました。
アインレインへ今の状況を説明すると神懸の御柱への入場許可証をもらうことができました。

その許可証を番兵へ見せると驚きながらも神懸の御柱へ入れてくれました。
神懸の御柱の頂上へたどり着くとそこにはアバリティアと思われる存在が封印されていました。
その場がいきなり光りだし、その光の中から2人の人物が現れました。天に見守られし者は、なぜかその二人のうち一人に見覚えがありました。この時の光に反応してか、封印されていたアバリティアが目覚めて天に見守られし者達に襲い掛かってきました。

アバリティアを倒したかと思うと今度は周囲がいきなり暗くなり、謎の男が現れて、倒されたアバリティアを吸収してしまいます。
突然現れた二人によると、謎の男は竜王ヴォルディゲンというようです。

そんな状況の中、衛兵が紛れてしまいますがヴォルディゲンへ攻撃をしかけようとした後にあっさりと殺されてしまいます。
天に見守られし者は戦おうとしますが、突然現れた二人の意見でその場から立ち去ることになりました。

ヴォルディゲンからは逃れることができましたが、どうやらクロノリープという時間を飛ぶ能力でアバリティアが倒される前の時間に戻ったようです。
二人から名前を教えてもらい、クロノリープを発動させたのはエーリンゼ、その従者がティリスといいます。

少し時間が戻ったと聞いて天に見守られし者フェステは半信半疑でしたが、少し前の自分たちを目撃したことで時間が戻っていることを実感します。そこで来者はクロノリープを使った存在を指す言葉であると聞かされます。
エーリンゼは体力を大きく消耗していたようで、神懸の御柱近くのラルバルで休むことになります。 休んでいる間、二人の目的を聞くことになります。

どうやら二人は1000年後の未来からアバリティアの解放のために時間を越えてきたようです。
1000年後はアバリティアが手を付けられないほど強大な存在となっているようで、歪みを生み始めたアバリティアが多数いる1000年前である今の時代のうちにアバリティアを解放すれば、未来のレグナスは救われるとのことです。
話を聞いて、多くのことを知ってしまった天に見守られし者フェステは協力するかこの場で殺されるか選択を迫られますが、協力することを伝えます。
その後はフェステが巧みに誘導してティリスも下僕契約書にサインをしてしまいます。

しばらくしてティリスからの頼みごとで発光コアというものを探すことになり、機跡の谷でそれを手に入れます。発光コアはオムニストロンという装置を修理するために使われ、修理されたオムニストロンからはリッツェ村周辺でアバリティアと思われる反応が検知されます。

リッツェ村へ向かうとそこでもアインレインを目撃します。そこで初めてアインレインが神託の巫女であることを知ります。

リッツェ村周辺を捜索しているとアバリティアに遭遇し、これを倒すことに成功します。 その後、エーリンゼはアバリティア解放の儀式を実行して倒したアバリティアはその場から消え去ってしまいます。
どうやらアバリティア解放の儀式は1000年後の未来ではエーリンゼしか実行できないようです。

次のアバリティアの反応は音無き都という場所でした。ここはアバリティアが出現してから一般人は立ち入り禁止となっている場所です。

音無き都の最奥へ行くとすでに男がアバリティアと戦っていました。
男の消耗は激しく、アバリティアは天に見守られし者が倒すことになります。
アバリティアは討伐され、エーリンゼティリスはアバリティア解放のためにその場へ残り、天に見守られし者達は男を近くの駐屯所へ運ぶことになります。

駐屯所で男は目を覚まし、名前はカーヴェインであることを教えてもらいます。助けてくれたお礼として起動しないイマジンシードをもらいます。それはどうやらカーヴェインにとって大切な宝のようです。
そのイマジンシードからはなぜかカーヴェインの記憶を少しだけ見ることができました。
カーヴェインは記憶を見ている間にどこかへ行ってしまいます。

しばらくするとエーリンゼたちが戻ってきて、次は砂漠にいるアバリティアを解放しに行くこととなります。

砂漠へ行くには関所を通らなければいけないため、コイン亭の亭主に保証人となってもらって関所をくぐることができました。

砂漠を進んでいるとモンスターに襲われたという集団に出くわします。
まだモンスターに追いかけられている人物がいると聞いて向かおうとすると、銃を装備した言葉の荒い女と出会い、天に見守られし者達はモンスターに襲われている人物の救助を優先することになります。
モンスターに追いかけられていたのは旅芸人の一座で歌姫と呼ばれている存在でした。

丁度一座のメンバーが迎えに来て、女は一座のメンバーとともにサラムザードへと向かいました。
一座はサラムザードで講演を行うようで、それに興味を持ったエーリンゼのワガママでサラムザードへ向かうこととなります。

サラムザードに到着すると光彩風というものが発生していました。どうやらこれが発生しているとオムニストロンがうまく起動しないようで、しばらくの間アバリティアの居場所を検知できなくなってしまいます。

サラムザードを歩いているとバファリア教団の施設周辺で銃を持った女と再会します。名前はエレクトラというようで、アインレインを探している様子でしたのでアインレインを探すことになります。
アインレインは地元の子どもたちと交流していました。子どもたちは何か面白いことを欲しているようで、フェステはその様子を見て歌を披露しました。
その歌に子どもだけではなくアインレインにも気に入られてしまいます。

そんなアインレインへアバリティアについて聞くと暁の虫砦にいるかもしれないと教えてもらいます。 暁の虫砦へ向かうと確かにアバリティアがいました。

アバリティアと戦っているとダンケルクというバーンハルト公国騎士団を率いる騎士団長が乱入してきました。アバリティアはダンケルクの一撃で倒されました。 そのあとを追って騎士団員達も現れました。

ダンケルク達が去った後にアバリティアは解放され、天に見守られし者達はサラムザードへと戻りました。

サラムザードに戻ると助けた女がいる旅芸人の一座「ジルウェット旅一座」の公演が始まろうとしていました。公演が開始して、旅芸人の一座の歌姫 シャルロットが歌を披露しようとした時、盗賊たちが現れてシャルロットをさらおうとします。
シャルロットは周りの者を巻き込まないようその場から逃げてしまいます。一緒にいたアインレインはなぜか必死にシャルロットを助けるよう頼んできました。

天に見守られし者達はそのあとを追うと、カーヴェインが盗賊たちと交戦していました。
カーヴェインと共に盗賊たちを倒した後、ティリスが追いかけてきました。
その場でティリスがカーヴェインの落とし物を拾うのですが、その落し物はカーヴェインの母親をさらった集団が落としたもののようです。しかしそれは1000年後の世界に存在するものだったようでティリスは不思議に思いました。

皆そろってサラムザードに戻り、シャルロットは一座に戻り、カーヴェインは友人のもとへ、天に見守られし者達はカーヴェインと別れて休憩所へと向かいました。

休憩所で休んでいると天に見守られし者はカーヴェインが話していた母親がさらわれたという瞬間の夢をなぜか見ます。
気が付くとシャルロットが静かに天に見守られし者の傍へ助けてもらったお礼を置いてどこかへ行こうとします。それにはフェステも気づいていたようで共にシャルロットを追いかけます。

シャルロットに追いついて事情を説明してもらうと、狙われた理由が謎のまま一座にいるわけにはいかないという考えで、秘かに身を隠そうとしていたようです。
その話を聞いていたカーヴェインアインレインとともに現れます。そこでアインレインカーヴェインは知り合いで、カーヴェインは公国の騎士であることを知ることになります。カーヴェインシャルロットと共に身を隠すことを提案し、その隠れ家はアインレインが提供してくれるようです。
シャルロットも承諾し、カーヴェインシャルロットは隠れ家へと向かいました。

天に見守られし者はアインレインの頼みでカーヴェインアインレインの友人 ヨルクと会うために護衛することになります。
ヨルクはダンケルクの息子のようで、カーヴェインが行っていたという調査はヨルクの指示によるものだったようです。
少々トラブルはあったもののヨルクと会うことができ、アインレインカーヴェインからの預かり物をヨルクへ渡しました。

アインレインをサラムザードまで送り届けた後、天に見守られし者達は休憩所にいるエーリンゼたちの様子を見に行くことにしました。

エーリンゼたちと再会した後、サラムザードにクロノリープをしてきた疑いのある老人がいることを知ります。
その老人のことを追っていると、「アリシアのご加護を」と唱えるとクロノリープができてしまうことを知ります。そしてその老人は大昔に神官をやっていた人のようで、偶然クロノリープできてしまい今の時代に来てしまったようです。
その老人はしばらくして死んでしまい、天に見守られし者達はアバリティア解放を再開することになります。

エレクトラからアバリティアが現れたという情報をもらって、現場へ向かおうという時にエレクトラはバファリア教団がアバリティアを飼っていることを漏らしてしまいます。
どうやら1000年後の世界でもアバリティアの生み出すエングラムが人類のために利用されていたようで、現在の時代からその仕組みは出来上がっていたようです。

エレクトラから情報があった場所には確かにアバリティアがいて、それを倒して解放まで完了させますがその場にヴォルディゲンが現れます。そしてなんとエレクトラが竜族であることも判明し、アバリティア討伐の依頼自体が罠であったことを知ります。
エレクトラの本名はフレルベというようで、その正体を知るとエーリンゼたちはなぜかかわった驚き方をしていました。

天に見守られし者ヴォルディゲンと戦いますが力が及ぶことはありませんでした。
ティリスたちも倒されてエーリンゼが危険な状態となる中、天に見守られし者が持っていたカーヴェインからもらったイマジンシードが起動して歌が流れ始めます。それを聞いたヴォルディゲンはなぜか苦しみだしてその場を去ってしまいます。

フレルベは天に見守られし者を葬ろうと考えて竜の姿に変身して襲い掛かります。 しかし天に見守られし者に倒されてしまい、そのまま崖下へと姿を消しました。

無事に全員そろってサラムザードに戻ると、1000年後の世界から通信が入ってエーリンゼたちに帰還命令が出されます。

命令には従わないといけないようで、神懸の御柱へと向かうことになります。

その道中でエーリンゼはバファリア神族であることを伝えられます。

神懸の御柱の頂上へ行くと1000年後の世界から通信してきたバシュラールという人物が現れました。なんとバシュラールはエーリンゼを連れ去るという形でティリスを置いて未来へ飛んでしまいます。その時、天に見守られし者にはカーヴェインから預かったイマジンシードからカーヴェインの母親を連れ去ったのはバシュラールであるイメージが流れ込んできます。

突然カーヴェインから預かったイマジンシードから声が聞こえて、エーリンゼがとある計画に利用されてしまうと伝えられます。そしてそのためにもシャルロットに会うよう伝えられます。

シャルロットがいるというカルトゥームへ向かうとシャルロットだけではなくカーヴェイン、アインレイン、ヨルクがいました。
どうやらシャルロットが持っていたペンダントにはクロノリープができるほどのクロノグラムというエネルギーが含まれていたようで、それを受け取るために会う必要があったようです。

このシャルロットと会うための情報も段取りもすべて神託によるもののようですが、いったい誰によるものなのかはこの時誰もわかりませんでした。

天に見守られし者達は神懸の御柱の頂上でアリシアのご加護をと唱えて1000年後の世界へと向かいます。

~1~へ飛ぶ

~2~

戻ってきた天に見守られし者達はアステルリーズにいるメルロウフと会ってアバリティアシェルがどこにいるのかを教えてもらいます。

どうやら聖バファリア島と呼ばれる場所に出現したようで、アステルリーズにある聖堂から向かうことができるようです。

そしてどうやら歴史が変わってしまったようで、カーヴェインはバーンハルト公国の王を殺したという罪で指名手配されているようでした。
そしてコイン亭の亭主はどこかに出かけてしまい、コイン亭はしばらくの間ジェイクがきりもりすることになっていました。

聖バファリア島に辿り着くと、その入り口でアインレインたちは結界を張っていました。どうやら結界の先にアバリティアシェルがいるようで、バシュラールは信託という形で天に見守られし者達が中に入れるよう誘導していました。

天に見守られし者達は天恵の聖堂と呼ばれる場所を進むと、怪物と呼ばれている存在が立ちはだかります。それらはかつて竜族と戦うために用意された兵器達でした。防衛機構が作動して侵入者に襲い掛かっているだけのようでした。

奥へと進むとアバリティアシェルに取り込まれた状態のティリスがいました。
現在は眠っている状態で、常に結界を張っていないといけない状態でした。 入り口ではり続けるよりは効果が出るようになったようですが、長くはもたないようです。

アインレインは天恵の聖堂の奥に残って結界を維持し続けなければいけなくなってしまいます。

アバリティアシェルからティリスを分離する方法を見つけ出せるか否か。
しばらくはティリスを助け出す方法を探るために行動することになります。  

バシュラールから突然通信が入り、アバリティアの解放を進めるようエーリンゼに指示が出されます。
ヴォルディゲンに力を与えるわけにはいかない為、渋々バシュラールの言う通り天に見守られし者達はアバリティアの解放を行うことにします。

亜竜の水場にいるアバリティアの解放完了後、バシュラールへ報告を行います。
報告を行うと、1000年後の世界で未来が観測できなくなったとバシュラールから伝えられます。
解決方法はよくわからず、アバリティアシェルからティリスを分離するしかないと考えて、一度天恵の聖堂へ戻ることにしました。

天恵の聖堂へ戻ると、アインレインからカーヴェイン達の様子を見てきてほしいと言われます。

カルトゥームではカーヴェインがバーンハルト公国の教団襲撃計画を知り、シャルロットへは教団に匿ってもらうよう伝え、ひとりで公国に向かってしまいます。
シャルロットは無茶なことであると知っていたため、助けを求めるためにアステルリーズへと向かいます。

天に見守られし者達はカーヴェイン達が身を潜めているというカルトゥームの砂岩回廊へ向かいますが、その奥にはバーンハルト軍の兵士しかいませんでした。

バーンハルト軍を退けますが、カーヴェイン達を見つけることはできませんでした。
対峙した兵士たちは教団と手を組んで何かをたくらんでいるようなことを口にしていました。

アステルリーズへ戻ると、なんとアステルリーズの聖堂へバーンハルト公国が宣戦布告を行い、聖堂からアインレインがバーンハルト公国へ連れていかれたと知ります。

アインレインを連れ戻すためにはバーンハルト領へ向かう船が必要と考え、天に見守られし者達ジェイクを頼ることにします。
ジェイクがいるコイン亭へ向かうと、何とそこにはシャルロットがいました。
シャルロットもどうやらカーヴェインが無実であると知っているようで、ジェイクに救出の協力をお願いしていたようです。

ジェイクは事情を知ったうえで協力してくれることになり、その後は船と船員を調達することができました。
シャルロット、ジェイクも含めて天に見守られし者達はバーンハルト領へと向かいます。
バーンハルト領への潜入は危険であるため、エーリンゼはアステルリーズの教団に匿ってもらうことになります。

一方、バーンハルト公国ではアインレインと共にカーヴェインも囚われて牢屋に入れられていました。
二人へは処刑されることを伝えられ、二人は牢屋内で待つことしかできませんでした。

天に見守られし者達は西バーンハルト半島にあるカナロアという漁村に辿り着いていました。
カナロアの掲示板でアインレインカーヴェインが処刑されてしまうことを知り、天に見守られし者達はバーンハルト城へ直接潜入を急ぐことになります。

潜入する有力な情報がない中、天に見守られし者は謎の女性に出会い、謎の女性からアインレインカーヴェインを救えなかった未来を見せられます。

謎の女性は「あなたなら、未来を変えられる」と告げてその場から消えてしまいます。

フェステからコイン亭の店主とつながりのある人物によってバーンハルト城への潜入口のメモが渡されたと伝えられます。

潜入方法が明らかとなった中、ジェイクたちと共に潜入に必要な鍵があるというアルストン廃坑に向かいます。
その道中、兵士に見つかってしまいますがなんとその場に竜族が現れてその竜族とバーンハルト兵士が仲間であるかのように話す状況に出くわします。
その竜族はリーンブルムというようで、ダンケルクとも知り合いのようです。
兵士がなかなか言うことを聞かないため、リーンブルムは兵士もろともその場を焼き払ってしまいます。

リーンブルムはその場を去りますが、天に見守られし者達は無事でした。

天に見守られし者達は鍵の回収を完了し、ジェイクシャルロットが陽動、天に見守られし者フェステアインレインカーヴェインの救出と二手に分かれることになります。

廃棄されたマキナ達が闊歩する旧地下水路を進むと、ちょうどバーンハルト城の牢屋へと繋がりました。
牢屋の鍵を持つバーンハルト兵士を気絶させ、天に見守られし者フェステアインレインカーヴェインの救出に成功します。
ヨルクがどこにいるのかを聞きますが、アインレインカーヴェインからヨルクは既に死んでいると告げられます。
過去の記憶がある天に見守られし者フェステは、歴史改変の影響を知ることとなります。

そのまま脱出しようとしますが、カーヴェインの提案で無理を承知でダンケルクとの話し合いを行いに行くことになります。

バーンハルト城の庭園に出ると、副団長のヴェロニカに出会います。
ダンケルクの居場所を聞きますが、素直に話してくれるはずもなく戦うことになります。
ヴェロニカを行動不能にさせると、ダンケルクはドラーヴァ王立研究所という場所に居ると伝えられます。そこにはカーヴェインの秘密も隠されているようです。

天に見守られし者達がその場を去った後、動けないヴェロニカはリーンブルムに食われてしまいます。

ドラーヴァ王立研究所の奥地へ行くとそこにはダンケルクがいました。
ダンケルクは持っていたイマジンシードを起動し、そこからはアバリティアが出現しました。
出現したアバリティアが何であるかダンケルクはカーヴェインへ問いかけます。
そんな中、アバリティアはアインレインの名前を発しました。
その声を聞いて、アインレインカーヴェインはアバリティアの正体がヨルクであると察します。
二人が動揺する中、アバリティアが暴れ出して天に見守られし者達は戦うしかありませんでした。


アバリティアの後にいたダンケルクとも戦うことになりますが、なんとかその場は天に見守られし者達の勝ちで終わります。

アバリティアは消え、膝をついたダンケルクへカーヴェインは自分は何者であるのかを問いかけます。
突然、ダンケルクはカーヴェインが持っている母親の形見を話題に出します。
カーヴェインは母親の形見である短剣を取り出すとダンケルクはそれを強奪します。
そしてなんとダンケルクはその場で自害してしまいます。

何も知らされない中、カーヴェインはその場で泣くことしかできませんでした。

ドラーヴァ王立研究所を出ると、ヴェロニカに会いますが様子がおかしいことに気付きます。
天に見守られし者が何者であるかを尋ねると、ヴェロニカに成りすましていたリーンブルムがあっさりと元の姿に戻ります。

すべての種明かしをしたリーンブルムは、ヴォルディゲンの名を口にした後に満足してその場を去りました。

庭園にはヴェロニカの遺品を回収する兵士が現れ、その兵士が向かう先にはノルベルトがいました。
ノルベルトの顔を見て、フェステは直ぐにコイン亭の店主であることに気付きます。
ノルベルトはコイン亭の店主であったことも認め、天に見守られし者達へ今回の事件は「ダンケルクが錯乱し、謀反を企てていたところをカーヴェインが阻止した」として幕を閉じることを伝えます。
バーンハルト教区の教団がやろうとしていたことは秘密にされることとなり、アステルリーズの教団とは良好な関係へと戻ったことも伝えられました。

アインレインはバーンハルトに来ていたリュゲリオと共にアステルリーズへ戻りました。

カナロアでジェイクシャルロットに合流し、天に見守られし者シャルロットへ借りていたペンダントを返します。
全員でアステルリーズへ戻り、シャルロットはしばらくコイン亭が居場所となることになります。

神殿へ戻るとエーリンゼは何が起きたのか既に知っていて、アインレインが戻った天恵の聖堂へと向かいます。

天恵の聖堂では引き続き結界が張られている中、ティリスが意識を取り戻しつつありました。

バーンハルト城では式典が行われ、カーヴェインはノルベルトから褒美としてペンダントが渡されます。しかしそのペンダントの見た目はシャルロットが持っていたものとおなじ見た目でした。

式典を終えてしばらくし、天に見守られし者フェステはノルベルトから、元は弟が国をきりもりしており、実際に暗殺されたのは弟で今は兄である自分がノルベルトの代わりにノルベルトとして王をやっていることを知ります。
もちろんそんなことを国民へ伝えることは出来ず、弟の妻子へも秘密で弟のノルベルトとして過ごしているようです。

もちろんコイン亭へ戻れる状態でもなく、コイン亭のことはジェイクへ、フェステのことは天に見守られし者へ後のことを任せることを改めて伝えられました。

 

===1000年後===

バファリア神族の間ではゾルキシアという集団が力をつけていました。

ゾルキシアに所属するバシュラールは世界を長く保たせようとあらゆる手を施しますが、その行動にはどれほどの命が犠牲になるのかまでは考慮されていませんでした。

バシュラール手動でアバリティアシェル計画が進められ、核となる存在を作りだそうとされます。
その過程で核となる候補として竜族の男 ヴォルディゲンが被検体となります。しかしヴォルディゲンはアバリティアシェルの核になることは出来ず失敗に終わります。ヴォルディゲンは反抗し、クロノリープによって過去へ戻り、惑星の獣を制御するためにアバリティアシェルと一体化するための行動を開始します。


アバリティアシェル計画の進捗がよくない中、エーリンゼは世界の崩壊の原因となったアバリティアを過去で解放していこうと考えます。その考えはバシュラールによって一度反対されましたが、アバリティアシェル計画よりは実現性があるとされました。
エーリンゼの考えは認められ、過去のアバリティアを解放するという計画は実行されます。

その裏でバシュラールは協力者たちとアバリティアシェル計画を進め、虚数世界にいるとされる惑星の獣を制御するために計画の調整を進めながらエーリンゼの監視を行いました。

エーリンゼと従者のティリスは1000年前の世界へクロノリープすることになります。  

 

バシュラールはエーリンゼを連れてきてエーリンゼをアバリティアを制御するための機構 アバリティアシェルの核として利用しようとします。

~1~

天に見守られし者達はこの時代の神懸の御柱の頂上へたどり着き、エーリンゼが連れ去られたと思われる場所を目指して神懸の御柱を降りていきます。

その道中でなんとフレルベと再会しますが、どうやら記憶を失っているようで悪意なしに仲間として行動するようになります。

どうやら地下に作られた研究所へ連れ去られたようで、天に見守られし者達は研究所を目指します。
フレルベに追いかけてくる兵士たちを任せながら、天に見守られし者達エーリンゼがいる場所へとたどり着きました。

丁度辿り着いた時にはアバリティアシェルがエーリンゼを取り込もうとしているときでした。
それをティリスが止めようとして割り込み、エーリンゼを助けだしますが代わりにティリスが取り込まれてしまいます。

アバリティアシェルは意志を持ったかのように雄たけびを上げてその場から消え去ってしまいます。バシュラールが追跡したところ、どうやら1000年前の時代にクロノリープしたようです。
時空が歪みはじめた中、突然メルロウフが現れてこのままでは惑星の獣によって世界が滅ぼされてしまうと伝えます。

メルロウフの指示によって各々が動き出し、天に見守られし者達はメルロウフ協力の下で元の時代に戻ることとなります。

~2~へ飛ぶ

バシュラールが天に見守られし者達の監視を続けている中、未来の観測ができなくなりました。
時空が安定しなくもなり、危険な中で過去へ人員を派遣しますが成果は得られずしまいでした。
バシュラールは天に見守られし者達に頼るしかないと判断し、事実を伝えました。

ダンケルクの死が過去で確定し、再び未来の観測が可能となります。

 

※このページではブループロトコルの要素を扱っています

 

©2019 Bandai Namco Online Inc. ©2019 Bandai Namco Studios Inc.

【マギレコ二次創作】魔叙事詩カグラ・マギカ 2-3-3 今はただ、間章に浸るだけ

キュウべぇが姿を消した。

前代未聞の状態に私達は困惑していた。

もう直ぐ世界中に自動浄化システムが広がると思っていた子達は落胆していた。

「いつも邪魔だと思うくらい直ぐに現れる奴が、大事な時に顔を出さないなんてどうなってるんだ」

「そうだよ。キュウべぇに頼るしか方法がないんでしょ」

「どこに行ったのかもわからないのに、探すだなんて」

私はわからなかった。

今の状態では、大丈夫だと言ってみんなを安心させられない。

どうすれば、みんなを安心させられるだろうか。

「自動浄化システムが見送りとなったのであれば、先に解決しなければいけない問題がある」

話を切り出したのはひなのさんでした。

「その問題って?」

「難民問題ってやつだ。

捕まらずに逃れていた奴らが、どこからここが安全と聞きつけたのか侵入してくることが増えた。

血の気が多い奴はまだ見たことないが、そんな奴らが来ることも考えるべきだ」

「それって、キュウべぇが伝えてまわっているってことかしら」

やちよさんがそう言い出すと、周りのみんなはきっとそうなのだろうと信じ込もうとしていました

それでみんなが納得できるならいいのだけれど。

「まあまあ、ここで生きるための課題は多いんだからそれらの解決に専念しようじゃないか!」

そう言いながら抱きついてきたのはつるのちゃんだった。

「鶴乃ちゃん!久しぶりだね」

「本当だよ。

ずっとみかづき荘で待っていたのに全然姿を見せないんだもの」

「ごめんね、色々バタバタしていて。

さなちゃんとフェリシアちゃんは元気?」

「うん!2人はみかづき荘の畑を手入れしてるよ」

「畑?そんな規模のものあったっけ」

「いろはちゃん達がいない間に庭を畑に変えていたんだよ」

「そうなんだ」

ひなのさんはしばらくこちらの様子を見ていて、私に話しかけてきました。

「久々の再会なのだろう?会ってくるといいさ」

「え、でも」

「ひとりで全て抱え込む必要はないわぁ。

頼れる人がいるならば頼らないと」

結菜さんが話に割り込んできたのは驚きましたが、そうかもしれない。

「お前、いろはと何かあったのか」

「さあ、何があったのでしょうね。

周囲警戒はこちらで勝手にやらせてもらうわ」

「わかりました。お願いします」

そう言って去っていった結菜さんの姿が見えなくなったくらいのところでひなのさんが話しかけてきました。

「信用していいのか」

「大丈夫ですよ」

「そうか。お前が言うならそうなんだろうな」

周囲を見渡すと灯花ちゃんとねむちゃんは知らないうちにいなくなっていました。

あとでキュウべぇのことを聞いてみないと。

私は久々にみかづき荘への帰路にいました。

いつもの道とは違って瓦礫が転がったままで、目に入る家の中には壁が破壊され、一部は血痕が残ってはいるものの肉塊はきれいに片付けられていました。

そんな風景を見てふと口にしてしまいました。

「ちゃんと片付いてる」

「そうだよ、いろはちゃん達が神浜離れてからとりあえず綺麗にしようってみんなで頑張ったんだから」

「あ、えと、そうなんだ」

鶴乃ちゃんが反応したことで私は口に出していたことに気づきました

「できることからやっていこうってことで、それぞれが思いつくことをやってきたらさ、それぞれ生きていくのが精一杯になっちゃった」

「多くの大人に支えられた環境だったもの。

私たちだけではうまくはいかないのは当然よ。

そういえば鶴乃は家には」

「無事だったよ、家だけは。

片付けはしたけど、またお店っていうには食材もそうだし私の腕もまだまだだし、

悲しい気持ちにしかならないからしばらく戻ってない」

「…そうなのね」

「でもいいんだ。お店自体無くなっていたらダメだったかもしれないけど。

お父さんとかの件は割り切れたから、オッケーオッケー」

いつもの辛い気持ちを偽った笑顔ではない。

本当に吹っ切れたかのような笑顔でした。

「私はまだマシだよ。

中には複雑な感情でふさぎ込んじゃった子がまだいたりで、みんなでどう立ち直らせようか考える時もあったから」

「やっぱりいたんだ、そういう子」

「暇見つけていろはちゃんも会ってきなよ。

今後の方針も見つかるかも」

それぞれが、個々人のことで精一杯。

私だってそう、ういが元に戻ったからいいけどそれまではまわりに目なんて向けられなかった。

だから、どうしたらいいのかもわからず。

「せっかくの帰路なのに、暗い顔をするんだね」

そう話しかけてきたのはワルプルガさんでした。

「ワルプルガちゃん?」

「お母さんだってそうだよ、一時は占領しちゃった場所とはいえ、みんなの家に帰る道なんでしょ?

笑顔じゃないと」

「ワルプルガ、あなた、やっぱり最初の頃より変わっているわよね?」

「そうかな?

目覚めたての時よりはまともになったというのは自分でも理解しているよ」

「だとしてもいきなり大人びすぎよ」

「魔法少女が魔女になった後、その魂はどこにあり続けるのか」

「え?」

「もしこの世に残り続けるものだったとしたら、魔女になった方の私の魂が影響してきたからじゃないかな。

私を生まれなおさせた者達は、ワルプルギスを取り込んで魂ごと修復しようとしたみたいだし」

「彼女達そんなところまで」

「とは言え、私はワタシ。

お母さんの子どもだよ」

そう言ってワルプルガさんはういに笑顔を見せました。

それに応える様にういもワルプルガさんに笑顔を見せました。

過去に生きたワルプルガさんも、こうやってみんなを笑顔にさせようとしていたのだろうな。

私達はついにみかづき荘に着きました。

自分の家のはずなのに、扉を開けるのに緊張してしまいます。

私はドアノブに手をかけ、そして自然とこの言葉を発したのです。

ただいま

扉を開いた先には片付けの手を止めてこっちを見るさなちゃんとフェリシアちゃんがいました。

2人ともに驚きと喜びが混じった様な顔をしていました。

「いろはさん、おかえりなさい」

「ほんとうにいろはなのか、急に前みたいに襲いかかってきたりしないよな?!」

「するわけないよ」

「やっと、みんな元通りになったんだな」

フェリシアちゃんはそう言いながら泣きそうな顔になっていました

「うん、これからはみんなでいられなかった時間を取り戻そうね」

「いろはーーー!」

そう言いながらフェリシアちゃんは抱きついてきました。

「やちよさんも、お疲れ様です」

「迷惑かけたわね、二葉さん」

「ういちゃん、元に戻った様でよかったです」

「さなさん、ご迷惑おかけしました」

こうしてみかづき荘はやっと元に戻ったのです。

「これからはワルプルガちゃんも仲間入りだよ!」

「そうか、ワルプルガさんはういちゃんにつきっきりだものね」

「改めてお世話になります」

今日だけでも、何も考えずみんなとの楽しい時間を過ごしちゃっても、いいかな。

こういうみんなが集まる時は鍋をやるのが一番ではありますが、食糧生産が安定していないのが事実。

今日の食材はどうしようという話になり、ついでに神浜の食料事情を見て回ろうということになりました。

今まで食材を集める場所であった商店街に行ってみるとかつての様な活気はなく、瓦礫を片付ける魔法少女達の姿しかありません。

今食糧のやり取りが行われているのは電波塔跡地の中央区です。

数は少ないものの、寄せ集められたものが仮設倉庫へと仕舞われており、今はそこに保存された缶詰等がなくなるまでに食料問題を解決しようというのが神浜の魔法少女の方針となっています。

「神浜が襲われるまでは畑の下地作りとか、狩りの仕方とかで解決の糸口が見えていたんだけど、このみちゃんとかが紫色の霧を受けて動かなくなっちゃってあんまり進展ないんだよね」

そう鶴乃ちゃんが説明している間に向かっているのは北養区。そこには狩りの手ほどきをしてくれる子達がいるようです。

「狩り関係は時女一族の子達が担当してるんだよ」

「確か静香ちゃん達がいるところだったかな」

「あんまり話したことはないけど、狩りの腕前は確からしいよ」

「それなら肉くらいはあるよな!」

「でも神浜ってそんなに狩れる動物なんていたかしら」

「そうなんだよ、そこが一番気になるんだよ」

そう会話しながら狩場にされている場所へ移動したのですが、思った通り山奥でした。そこは思ったよりも賑やかで、何人かの魔法少女が狩ったであろう動物を囲んでいました。

そんな魔法少女達の中には見知った子もいました。

「まなかさんもここにきていたのですね」

さなちゃんが声をかけたのはレストランで働いていたまなかちゃんでした。

「おや、みなさんお揃いで。

みかづき荘のメンバーが勢揃いだと微笑ましいですね」

「みかづき荘ってことはいろは殿もいるでありますか」

そう声をかけてきたのは、かつて水徳寺で門前払いをしてきた魔法少女でした。

「あなたは確か」

「おお、いたでありますか。

私は三浦旭。時女一族のメンバーであり、今はここで狩りについて取り扱っているであります」

「うわ、血だらけ…」

フェリシアちゃんがそう呟いてしまうくらいに旭さんの服には血がついていました。

「あら、時女一族の子だったのね。

一つ気になるんだけど、聞いていいかしら」

「長くなりそうなら後でいいでありますか。

ちょうど今獲物の解体途中でありまして」

「はい、では少しだけ待ちますね」

やちよさんと鶴乃ちゃん、さなちゃんは食い入る様に解体作業を見学していましたが、私たちには見ていられませんでした。

「お、オレは見覚えのある肉だけをもらうだけだと思っていたのに」

「ああいう生々しいのを見せられちゃうと、ちょっと色々考えちゃうね」

「わたし、あれはダメかも・・・」

「魂をいただくというのはああいうこと。

食糧になった生き物には感謝をしないと」

「…やっぱこいつ前とは違うな」

「ワルプルガちゃん、私より大人かも」

ワルプルガちゃんはポカンとした顔をこちらに向けてきました。

これが見た目は子ども、頭脳は大人ってやつなのでしょうか。

私達が解体作業が終わるのを待っていると山菜をたくさん持った魔法少女達が近づいてきました。

「あら、そんなところでうずくまって何をしているのですか?」

「えっと、動物の解体作業を見ているやちよさん達を待っていて」

「やちよ?!」

山菜を持っている1人の子が驚き出しました。

その驚きに反射で私も驚く声を出してしまいました。

その声を聞いてか解体作業を見ていた魔法少女達が集まってきました。

「なにかあった?!」

「い、いや、ちょっと驚いて声に出ちゃっただけで」

やちよさんの名前に驚いた魔法少女へまなかちゃんが話しかけていました。

「莉愛先輩、また他人に迷惑かけたのですか」

「何もやっていないわよ!」

「何もやっていないならこんな騒ぎになっていませんよ。

今の状況、叫び一つで警戒してしまうのくらい分かってください」

解体作業をしていた旭さんもこちらにきてしまっていたようで山菜を持っている魔法少女の1人に話しかけていました。

「ちか殿、戻ってきていたでありますか!

現在取り込み中でありまして、いろは殿に山菜について話をしてもらえないでありますか!」

「旭!こっちは山菜をまず片付けないといけなんだよ!

その後になるよ!」

「それでいいであります!」

そんな騒ぎもあり、解体作業が終わった頃には夕方になっていました。

どうしよう、先に灯花ちゃんのところへ行った方がよかったかな。

結局、山菜については整理される様子を眺めるだけだったし。

全てが落ち着いた頃に、やっと旭さんと話す機会ができました。

服についた血は綺麗になくなっていました。

ただ着替えただけ、だよね?

「さて、改まって聞きたい話とはなんでありますか」

「この狩場のことよ。

北養区は山奥の土地とは言え、動物の数にも限りがあるはずよ。

そこを考えて狩りを行っているの?」

確かに無闇に狩ると動物達がこの土地から去ってしまったり絶滅する原因になるであります。

でも我らは成長途中の動物、妊婦の動物や巣を直接襲うといったことを避けて個体数軽減はさせない様取り組んでいるでありますよ」

「そんなこと可能なの?」

「ちか殿が動物の声を理解できるゆえ、見た目で判断できない時は助かっているであります」

「え、すごい」

「そんな大したことはしていないですよ。

狩るかどうか判断するのは旭ですから」

「狩られすぎていないか管理しているのも我でありますよ。

狩りは無闇に、そして自由にやられては困るものでありますからな」

「そう、そこまで気が行き届いている様で安心したわ」

狩について話がひと段落した様なので私は時女一族のことについて旭さんに聞きました。

「あの、時女一族って今はどうなっているのか聞いていいですか」

「我らのことでありますか。

まあ情報は共有していた方がいいでありますかな」

「隠しても得もしない話でしょうからね。
今時女一族は分裂状態にあるんですよ」

「え?」

話を聞くと静香ちゃんと一部の時女一族が人へ捕まりに行ってしまったというのです。

まさか神浜にいたのにまだ人を信じようとする魔法少女がいたなんて。

「放っておくわけにもいかないでありますし、そのうち我らは静香殿たちを助けに行くことになるであります」

「そんな、危険すぎます!」

「まだ可能性の話ですよ。

ちはるさんもまだどうしようか悩んでいるところですから」

「そう、ですか」

「さて、ここに来たのは動物解体の見学だけではないのでは?」

「そうだよ、オレ達は肉をもらいにきただけだぞ」

「なら解体したての肉を一部持っていくといいであります。

そんな長く持つものではないので、今日中に食べ切ることをお勧めするでありますよ」

そうしてやっと目当ての食材が手に入ったのですが、時女一族の情報も手に入れられました。

明日も訪れないといけない場所が多そうです。

夜は久々にみんなで鍋を囲んで談笑することができました。

神浜にいない間は何をしていたのか、反対に神浜ではどう過ごしていたかを冗談交じりで話している間にあっという間に鍋は空っぽになってしまいました。

笑顔に囲まれた空間、さつきさんたちと過ごした時よりもキラキラした暖かい空間になっていました。

今まで何気なく、こんな中にいたんだなってしみじみしてしまいました。

 

翌日、私は灯花ちゃんのところへと直行しました。

ういとワルプルガちゃんもついてきた中、灯花ちゃんのところを訪れた理由はアンチマギアを受けた子がなかなか目を覚まさないという状況を知りたいからです。

普通の部屋よりも温度が下げられた専用の部屋に寝かされた子たちは、ソウルジェムが無事でも目を開けることはありません。

こうなってしまった原因は、アンチマギアが原因とは聞いていましたが詳細なことはわからなかったので、二人に聞きに来ていたのです。

「中には時間経過で目を覚ました子がいて、時間とともに効果が減衰するものであることは確かにはなっているよ。

でも目覚めない子はなかなか目覚めないし、即効性がある対策が急務なんだよ」

「それで、それはうまくいっているの?」

「アンチマギアが魔法の成分でできていることはわかったよ。

その魔法はあらゆる魔法を拒絶する効果があって、そのせいで体とのリンクが切られてしまっているみたい」

「じゃあ、ソウルジェム自体には悪影響がないの?」

使い方次第ではソウルジェムを機能不全にもさせることは可能だろう。

アンチマギアに漬けられたソウルジェムはしばらく外部へ魔力を放つこともしなかったからね」

「今動けない子は、どうすることもできないの?」

「体内のアンチマギアを取り除けられれば、かな。

もう肺の中とか腸内とか全て洗浄してしまえればいいんだけど」

「体内洗浄は流石に無理だ」

「じゃないとこの部屋に置いておいたって体が腐るだけだよ」

「そんな」

ういは動かない子をしばらく眺めた後に、こう呟きました。

「本当に何でも拒絶しちゃうのかな」

そのつぶやきに対してワルプルガさんが答えました。

「そうなんじゃないかな。魔法に該当するものは全部ダメかも」

「私達にはどうしようもないよ。

悔しいけど」

まだ起きない子達の体は腐敗が進まないよう、今よりも温度を下げた大きな冷凍庫へ保存しておくしかないだろう」

「そう、だね」

アンチマギアの影響を受けてしまうと対処方法がない。

使用している側ならば、対処法もわかっているのでしょうか。

寒い部屋から出て灯花ちゃんとねむちゃんが普段から使用している部屋へ案内され、みんなが椅子に座ったころを見計らって灯花ちゃんはワルプルガさんに質問しました。

「そういえば、ワルプルガに聞きたいことがあったんだよ」

「なに?」

「ワルプルガってさ、聖女として有名だったわけでしょ?

今のあなたからはそんな感じが見て取れないんだけど、歴史上のワルプルガとは別人なの?」

「私の中にはオリジナルの魂との繋がりはある。だからと言ってこの体へ人格や記憶も綺麗に反映されるとは限らない」

「どうして?」

「オリジナルが魔女になった後、その魂はどこにあるのか。

私を生み出そうとした存在は、もともとオリジナルの私を蘇らせる方法としてワルプルギスの夜を使用して、その中にあるであろう魂をそのまま活用しようとしたみたい。

でも倒されてしまったから蘇生や再現の力でこうして魂との繋がりだけは確立させたという感じ、みたい」

「日継カレン達はそんなことまで考えていたんだ。

じゃああなたは聖女ワルプルガそのものというわけではないんだ」

「どうだろう。たまに私ではない考えが浮かんできたりするから、少しは影響されてきているのかもしれない」

「そこまで行くと魔法少女の死生観の話へと関わってしまうね」

3人はそこからどんどん難しい話へと突入していってしまいました

私とういは3人の話を聞いて、ただ愛想笑いをすることぐらいしかできませんでした。

私はこうして、久々の平和な日々というものを感じていました。

そんな中、その日の夜を境に新たな転換期を迎えてしまうのです。

 

back:2-3-2

レコードを撒き戻す:top page

Next:2-3-4

【マギレコ二次創作】魔叙事詩カグラ・マギカ 2-3-2 偉そうな研究者

日本へ到着し、私は神浜近くにある自衛隊の駐屯地へと向かった。

その駐屯地へはすでに神浜奪還作戦のための人員と物資が運び込まれており、移動命令が降りていた特殊部隊たちも集まっていた。

中にはヨーロッパで唯一成果を上げた特殊部隊も混ざっている。

一度は話をしてみたいと思っていた。

控え室へ突撃すると指揮官のマッケンジーがいた。

マッケンジーは神浜周辺の地図を見ながら何かを悩んでいた。

でも扉が開いた音には反応したようで、こちらを向いた。

「誰だあんたは」

「サピエンス研究所のディアだ。

お前はヨーロッパでの魔法少女狩りで成果を一番出した隊の隊長であったな。

武器庫破壊の主犯を捕らえたとか」

「まずはノックして入れ、礼儀も知らんのか。
3日後のために忙しいんだ。変に精神を使わせるな」

「別に敵地でもないんだし、そこまで気にすることか」

「はぁ、ここには作戦に使用する魔法少女が未施術状態で待機している。

スパイがいるかもと警戒して当然だ」

「流石は考えが違うね」

「で、なんの様だ。

世間話しかしないと言うならば邪魔だから出て行け」

まあどんなやつか見に来ただけだし、お手並みは神浜で見せてもらうか。

「施術は早めにやってくれ。不安で仕方がない」

「わかっているさ。邪魔して悪かったね」

私はマッケンジーの部屋を後にした。

本当ならば自衛隊の長にも顔を合わせたいところだが、魔法少女たちがすでに待機していると言うならばそっちに向かったほうがいいか。

施術の準備はできているし。

私は魔法少女たちが待機している場所へと訪れた。

魔法少女が待機している部屋は3箇所に分られていたが、最近投降してきた魔法少女たちがいたらしく、合計で4つの部屋が用意されていた。

手駒が増えただけだからどうでもいいが、神浜周辺でとらえた魔法少女以外はデータをもらっていないのでこの目で確かめるしかなかった。

部屋の中へ入ると、魔法少女に混じって大人が2人いた。

魔法少女達はただこちらを見つめるしかしなかったが、大人達はこちらに話しかけてきた。

「あなたは?」

「こっちこそ聞きたい。なぜ一般人がここにいる」

「私達は時女の集落から来ました。

この方はあの子の親なのです。心配で来て何かおかしなことがあるでしょうか」

「ならば尚更邪魔だ。これから彼女達に施術を施さなければならないからな」

「施術って、一体何を」

「誰だここの責任者は。施術の邪魔だからこいつらを連れ出せ!」

私は警備の兵に怒鳴りつけた。

すると連絡をとっていたそぶりもないまま自衛隊の1人が歩み寄ってきた。

「親を連れ込んだのは私だ」

「あんた、自衛隊の長じゃないか。

アンチマギアプログラムが発令された上でのこの行為か」

「この集団は日の本のためにと願いを捧げ続けてきた、いわばこの国のためにと命をかけてきたもの達だ。変な気は起こさない。

それに、彼女たちはまだ子どもだ。

親が近くにいた方が安心できるだろう」

これだから日本人は甘い。

「施術を行う。

邪魔だからあいつらを追い出してくれ」

「あんた、さっきから偉そうに喋ってるけど誰だ」

「サピエンス直属の研究者だ。

まさかサピエンスの存在も知らずそんな口を叩いているのか」

「知るか、そんなもの!娘に何をする気だ」

彼女がいきなり刀を取り出したかという時、私と彼女達の間に自衛隊の長が入り込んできた。

「互いに落ち着け。

時女さん、彼女は魔法少女の専門家だ。米国から送られてきた特殊機関で私達は従うしかない」

「高田さん、でも」

「ここはどうかお引き取りを。命をとりはしません」

まあ私たちがやろうとしている施術は魔法少女達の命を握って無理やり従わせるためのもの。

捕らえた魔法少女には必ずと言っていいほど行っていることだ。

大人2人は観念したのか、高田と呼ばれる男に連れられて部屋の外へと出ていった。

邪魔者がいなくなったことを確認して、私は施術を行う研究者達に通信を繋げた。

「準備が整った。施術を始めるぞ」

魔法少女達に行うこと

それは、ソウルジェムへ取り外し不可能な起爆装置を取り付けること。

それは指輪型の時であろうと、魔法少女姿になった時のアクセサリーに形状変化しようと外れることがない起爆装置で、少しでも歯向かうとこちらが握っているボタンで即起爆し、命を落とす。

この説明を先に実施したのは、会議室に集まったメンバーにだった。

サピエンス直属のメンバー、米国の兵達は驚きもしていなかったが、自衛隊の面々はよく驚いていた。

「そんなもの、なぜ!」

「当然だ。

魔法少女がいつ寝返るかわからない上、いつ背後から狙ってくるかもわからない。

安全のためのものだ」

「だが、あんまりな扱いではないか。

彼女達はまだ子どもであると伝えたではないか」

私は起爆装置を高田の前に出した。

「これを押すのはお前の役目だ」

「なんだと?!」

「そんなに慈しむなら、これの扱いはあんたに任せるよ。

でも、あんたの判断でこちらに被害が出ようものなら、米国との関係は改められることになるだろうね」

「た、高田1佐…」

高田は周囲の自衛官に動揺されながらもそのスイッチを受け取った

「いいでしょう。

あなた達と協力することになった以上、責任はしっかり果たします」

「そうかい。

とは言え、こちらは日本語が完全に扱えるものが少なくてね、こちらはこちらで勝手にやらせてもらう。

あなた達は魔法少女達を監視しながら私たちのアシストをしてくれればいい」

「司令書にはあるが意思疎通せずにできることなのか」

「言語の壁があるんだから仕方がないだろう。

どうしても伝えたいことがあれば私を経由してくれ。

まともな案件だけ通してやる」

自衛隊のメンツは納得しない表情だった。

当然だ。国のお偉いさんがいい顔するために安請け合いしたのは目に見えている。

この国はひどくなったものだね。

そんなことを考えていると、高田が提案してきた。

「ならば、翌日の夜に先行して実施したいことがある」

「なんだ、イザベラにはもう通していることか」

「はい、レディには了承を得ていることです」

「いいだろう、聞かせてもらおうか」

 

back:2-3-1

レコードを撒き戻す:top page

Next:2-3-3

【マギレコ二次創作】魔叙事詩カグラ・マギカ 2-2-10 偽りの神様

ある日、やちよさんはさつきさんへ3人の子達が学校へ行っていない理由を聞きました。

「事情があるのよ。

もしよければあなたがあの子たちに教えてあげてもいいわよ。

かつては家庭教師が来ていたのだけど、わたしたちだけになってからは誰も教える人がいなかったから」

そう、この神社にはお参りしに来る人と謎のスーツの集団以外全く来ないのです。

3人の子へ勉強を教える人もおらず、さつきさんやキクさんの両親もいません。

きっと踏み込んではいけない事情があるのでしょう。

やちよさんが暇をしている3人へ勉強をしたいか聞くと、ちかちゃんが真っ先に答えました。

「私は嫌かな。あまり勉強得意じゃないし」

他の二人はダンマリでした。

私は二人が言い出せない事情があるのかと思い、ちかちゃんを外へ連れ出すことにしました。

「じゃ、じゃあちかちゃん、ちょっと私に教えて欲しいことがあるんだけど」

「なになに?」

ちかちゃんを私が外へ連れ出した後、その後に残った二人は。

「私は勉強教えて欲しいかな」

「私も・・・」

「最初聞いた時は黙っていたわね。あの子の前では言い出しにくいことなのかしら」

「そうだね。

ちかの前では、“勉強”ってこと自体を話題にするのはよくない」

私はちかちゃんに畑の野菜について聞いていました。

そして聞いてみたのです。

「ねぇ、勉強は嫌いなの?」

そう聞かれると手を動かしながらいつもの元気そうな顔で話はじめました。

「私は勉強ができないからって家を追い出されたの。何が起きたかわからず彷徨っていたところをさつきさんに助けてもらったんだ!

拾ってもらった後も勉強を何度か誘われたんだけど、何をやっても覚えるところか嫌な気持ちになるだけだった。

だからこうやって体動かす方が好き!」

「・・・ごめんね、話しづらいことだったのに」

「いいよ、お姉ちゃんに知って欲しいと思ったから」

この子は拾われた子だった。

このような子へは勉強を強制できない、ではどうやって知識を広げてもらった方がいいのか。

これは魔法少女だけで生きていく上でも大事なことだと思う。

「私、勉強しないから悪い子だと思う?」

「そんなことないよ。こうやって野菜に詳しいでしょ?
それで十分に偉いよ」

「えへへ」

子どもは憎めない。

こんな無邪気な子達が大人になるとああなってしまうのは、そしてこの子のような子どもが増えてしまうのはなぜなのか。

カレンさんが主張していた人間社会の破壊。

それが為されれば、変わるのだろうか。

やちよさんから勉強の話題が終わったという合図が来るまでちかちゃんと外で過ごしました。

その日の夜、やちよさんから勉強を教えた二人について教えてもらいました。

「あの子達、どうやら親に暴力を受けていたみたいで、隙を見て家出したところをさつきさんに拾われたらしいの。

そのせいで人間不信になっているみたいで。

今はさつきさんしか信用していないらしいの」

「そんな辛い事情を話してくれたんですね」

「ええ。少しは心を開いてくれたってことなのかしらね」

あの3人と仲良くなるのはさつきさんを神浜へ連れて行くための過程でしかありません。

3人みんなが魔法少女になってくれればういを助けた後も仲良くできるかもしれない。

私達は後どれほどここに居続けないといけないのだろう。

 

3人が部屋に戻り、環さんと七海さんも部屋へ戻ったことを確認した後、本殿にいるさつきのもとを訪れた。

さつきは札を作る手を止めて窓から外を見ていた。

「また物思いに更けていたのか」

さつきは私の目を見て話しはじめました。

「キク…。

あなたは環さん達をどう思う?」

「あの3人が心を開くくらいいい奴らだし、魔女との戦いも問題ない。

私が言える立場じゃないが、いい加減ここのしがらみから解放される時なんじゃないか」

私と目を合わせながら話していたさつきは、再び窓の外へ向き直ってしまった。

「確かにキクが言えたことじゃないわね。

知ってるでしょ、私は父と母が亡くなった時に約束したのよ。私がここを守っていくって」

「・・・あの二人をここに縛っておく気か」

「仕方がないでしょう?

私はここから離れるわけにはいかないんだから」

何が仕方がないんだか。

さつきのこだわりはわかるが、今私の中では二人への申し訳なさが優っている。

段取りを組んで外に連れ出すしかないか。

「じゃあ、私は勝手にさせてもらうよ」

本殿を出ようとするとさつきは私の左手を掴んできた。

そんなさつきの目には涙が溜まっていた。

「勝手にどっかに行かないでよね・・・。

あなたなしだと、私・・・」

「今後のさつきの態度次第かな」

私はさつきの手を優しく放して本殿を出て行った。

 

「私、どうしたらいいのよ。

教えてよ、お父さん、お母さん…」

 

いつも通りの朝を迎えたかと思いましたが、朝食の席にさつきさんの姿がありませんでした。

「さつき、寝坊かな」

「私起こしてくるね!」

「ああ。いつもの裏口から行くんだぞ」

一人がさつきさんを呼びに行っている間、私達は先に朝食を済ませてしまうことになりました。

「珍しいですね、さつきさんが朝遅いのって」

「誰だってミスはあるさ。疲れてたんだろう」

結局さつきさんとは顔を合わせることなく、私とやちよさん、キクさんで魔女退治に行くことになりました。

ここの魔女は弱く、苦戦することは滅多にありません。

簡単に遭遇した魔女を倒した後、キクさんは真剣な顔で話しかけてきました。

「環、七海少しいいか」

キクさんに呼ばれて私とやちよさんは、キクさんと一緒に人が登れないような建物の屋上へ行きました。

「信頼にあたると思い、あなた達に私とさつきのことを教えてあげる」

===

わたしとさつきはもともと幼馴染の縁で一緒に魔法少女として活動していた。

さつきの魔法少女としての才能はとてつもないものだった。
この町に現れる魔女は相手になんてならず、彼女に刃を向けてきた魔法少女は皆彼女の力でねじ伏せられた。私だって到底かなわない。
だから、この町の魔法少女達はさつきへ大きな信頼を寄せていた。

さつきはあの神社で巫女として育てられてきた。巫女である特権として義務教育を受けることを免除されていて、普通に学校へ行っていた私は少しうらやましく思う時もあった。

だからさつきは同年代のやつと会う機会が少なかったんだが、頻繁に神社へ訪れる男子生徒がいてな。男子生徒が神社へ訪れていた理由は神社に祀られている神様に興味を持ったかららしい。

最初はその男子生徒をさつきは邪険にあしらっていたんだが、なんだかんだ仲良くなってしまってな。
隙があればあの男子生徒のことをわたしへ楽しそうに教えてきた。

「あいつ学校で流行ってるからと言って訳の分からない本を持ってきてね。
絵ばっかりで情報量が全然ない中身でびっくりしたよ」

「それはマンガってやつじゃないのか。
文字で伝えていた情報を絵にかき起こすことでキャラクターの心情を察しさせたりと新しい表現ができるんだ」

「そうなんだ。あいつ、あの本について私と語り合いでもしたかったのかな」

「あいつに興味があるなら、あいつの好きなものから好きになってやったらどうだ」

「ちょっとキク!私はあいつのことどうも思っちゃいないんだから!

でも、ちょっとは興味持ってやるんだから」

「はいはい」

男子生徒は私と同じ学校へ通っていて、周りに誤解されないようさつきをどう思っているか聞いたこともあった。

「さつきのことはどうも思っていないさ。
ただ、一緒にいる時間がもう少しあったらなって思う時がある」

「さつきが学校に来て欲しいってことか?」

「巫女の仕事があるから仕方がないっていうのは知ってる。
ただ、俺が大人になったらあの子をあの神社から連れ出したいとは思ってる。あの神社に祭られている神様ってのは少しうさんくさい気がするんだ。

それに、何かに縛られながら生きるってのはさつきだって望んじゃいないだろ」

「アンタが何か企てるんだっていうなら、私が手伝ってもいいよ」

「その時はお願い、キク」

ただ、あの楽しい日々にも終わりを迎える時が来た。

ある日、学校が丸ごと魔女の結界に飲み込まれるとんでもない事件が起きた。それが起こる前触れはいくらでもあった。

学校周辺で謎の殺人失踪事件が続いていて、その集大成だったのだろう。

たくさんの人々が使い魔の餌食になって次第に狂った人同士で殺し合いが始まった。

その殺し合いに、あの男子生徒も巻き込まれていた。

彼は最後まで冷静だったが、狂った生徒達を止めようとして、その後生徒達に八つ裂きにされた。

その状況を目にしてしまったさつきは、初めて魔法少女として人を殺した。

あの状況ならば、狂った人々を殺すしか手段はなかった。でも、初めて人を殺すという感触に私たちはショックを覚えるほかなかった。

そしてあの男子生徒を助けられなかったさつきに、とどめを刺すような出来事が起きたんだ。

一緒に魔女討伐をしていた魔法少女のうち一人が、目の前で魔女化したんだ。今まで自分が討伐してきた魔女が、元は魔法少女だったことを知ったさつきの精神は限界だった。

さつきはこの町で一番強い。でもメンタルはそうじゃなかった。

彼女は発狂してしまい、相手が元魔法少女だってことから魔女へ手を出せなくなった。

学校を結界に閉じ込めた魔女は強かったが、他の魔法少女達の活躍もあって私がとどめを刺して倒すことができた。

そしてさつきが魔女化しそうな時に私はグリーフシードを押し付けた。

「負けるんじゃない!戻ってこい、さつき!」

さつきは魔女にならずに済んだ。
だがこの件でこの町の魔法少女はさつきに対する信用を失った。

あの時魔法少女が魔女化した個体はあの戦いの中どこかに消えてしまって始末できずにいた。

そいつが数日後、皮肉にも私の家族を皆殺しにした。

私も多少は心にダメージを負っていたのだろう。私は怒り狂った。

そして自我が消えそうな時に、目の前にはグリーフシードを私のソウルジェムに押し付けるさつきの姿があった。

「負けるなって言ったのはあんたじゃん!

私を、ひとりにしないで。あの時助けた責任とってよ!」

行き場を失った私はさつきの神社へと引き取られ、その後間もなくさつきの両親は病でいなくなってしまった。

で、今日の今までここにいる。

===

過酷な経験をしたことを明かされて私はすぐに何と切り出せばいいかわかりませんでした。

「さつきはいなくなった両親の遺言を今も大事にしていて、神社を離れる気はないんだ。

だから、本当は神浜へ行く気なんてなかったんだ」

「そんな。じゃあ、私たちがいくら頑張っても神浜に来てくれない」

私が悩んでいるとやちよさんがキクさんへ尋ねました。

「キクさんの家族を襲ったという魔女、退治はされたのかしら」

「いや、その場を収めるためにさつきが札へ魔女を封印して、今もどこかにいるはずだ」

「その場所って、神社の裏にある」

「環、あの神社に魔女がいると知っているのか」

私はキクさんが魔女を倒さずに放置していることに驚きました。

「え、知ってるならなぜ倒さないんですか」

「あの神社に引き取られてからすぐわかったさ。あそこにいる魔女こそ、さつきが封印した、そして私の家族を奪った魔女だ。

でも何度始末しようとしてもさつきに止められたんだ。
”神様に手を上げるんじゃない”だってさ」

「さつきさん、おかしくないですか」

「ああ、あいつは両親を失ってから明らかにおかしくなってる。でも私はどうしてやればいいかわからないんだ。あのさつきに牙を向けられたら、勝ち目はない」

キクさん達が倒せなかった魔女が、あの神社にいる。

その魔女を、今もさつきさんは封印し続けている。

さつきさんが魔女を倒せないのはわかったけど、さつきさんには何があったのだろう。

私が悩んでいると、やちよさんが話を切り出しました。

「キクさん、少し協力してもらえますか」

 

back:2-2-9

レコードを撒き戻す:top page

Next:2-2-11

 

【マギレコ二次創作】魔叙事詩カグラ・マギカ 2-2-5 変わってしまった身近だった世界

神浜市から人が消えた日、私達は神浜市に滞在するか見滝原へ戻るかの2択でした。
私たちは、そんな2択に意見が分かれていたのです。

「まどか、今見滝原へ戻ったところで私達が今まで通りに過ごせるわけが」

「うん、もう人を信じたいとは思えないって心のどこかでは感じてる。
でも、私は最後まで信じてみたい。人のみんながみんな、酷いことをしないって」

「まどか…」

しばらくの間があった後、話し始めたのは杏子ちゃんでした。

「いいんじゃねぇの、お前がそう決めたんなら」

「杏子ちゃん」

「そうね。鹿目さんの意見を尊重するわ。

私も見滝原には戻ろうと思う。

耐えられないと思ったら、私の家に戻ってきてちょうだい。いつでも、鹿目さんを待っているから」

「ありがとうございます」

じゃああたしらはしばらくマミさんの家にいるってことになるのかな」

「あたしは好きにさせてもらうよ」

「…まどか、無理はしないでね」

私達はいろはちゃんに見滝原へ戻ることを伝え、私は私の家へと帰りました。

 

「ただいま…」

帰ってすぐはママに強く叱られました。

でも次の日からはいつもの日常となりました。

人を信じれなくなった影響で周りの人達と話すときは社交辞令のように対応してしまい、心から会話を楽しめてはいませんでした。

ニュースも、嫌な気持ちになるばかりであまり聞き耳を立てないように、そして見ないように心がけていました。

神浜市の出来事は謎の現象でゴーストシティとなったというニュースが連日流れ、なぜか調査が進まないと言う内容ばかりでした。

学校でも神浜市で起きたことについて話題に上がりましたが、他のことが話題になっていました。

「まどかさん、さやかさんが行方不明の件は本当に何も知りませんの?」

「うん、私もさやかちゃんがどこに行っちゃったかわからないの」

「高学年でも行方不明の方がいらっしゃるみたいで、なんだか最近怖いですわ」

「そう、だね」

いなくなった人のことを、みんなは心配してくれている。それだけで人にも優しさがあると感じることができる。

私は人を信じて、魔法少女でも人と幸せに暮らせる日々を送れると信じていた。

そう信じていたかった。

でも、それは無理なんだって、わからされることとなった。

人の生活に戻って2、3ヶ月後の日曜日の朝、珍しく自力で起きてきたママと一緒にパパの手伝いをしている時でした。

急につけていたテレビのチャンネルが変わり、画面にはアメリカ大統領が映っていました。

「なんだ、チャンネルが急に」

“…私は、世界を揺るがす事実を伝えると同時に、国連へ新たな提案を行うために今みなさまへお話ししています。

皆さん、この世に魔法と呼ぶものがあると思いますか。“

私は演説の内容を聞いて心が落ち着きませんでした。その内容は、魔法が存在すると主張する内容だったからです。

なんで、魔法のことをテレビで。

そしてテレビには神浜市で魔法少女のみんながドッペルを出して人を殺している映像が流れました。

「何だこの映像、神浜市でこんな事が」

私は思わず後退りしてしまいました。

「まどか、大丈夫?」

大統領の演説は続き、その演説の途中で魔法少女が魔女になる姿が中継されました。

そして、その魔女を撃退するアメリカの兵士が映っていました。

「こんな、こんなことをするなんて」

「まろか?」

「まどか、まどか!しっかりしろ!

まったく、なんだこの放送は。チャンネルが変わらないどころか消えもしない」

”このような事態にならないよう、私は化け物へ対抗するための案を用意しています。

それが、「アンチマギアプログラム」です。“

テレビにはアンチマギアプログラムと呼ばれる内容が大統領の演説が流れながら映されていました。

その内容は、魔法少女という存在にさせないための予防接種実施のお知らせ、そして魔法少女を保護する目的とその後の対応が示されていました

その内容を見て思ったことは、魔法少女の自由が奪われてしまうと言うことでした。

テレビで魔法少女の特徴について説明が始まるとママはいきなり私の手を掴みました。

「ちょっとあんた見せなさい!」

「や、やめて」

ママは私の指輪を発見して、怖い顔になってしまいました。

「そうか、あんたの帰りが遅くなったってそう言う!」

「ご、ごめんなさい。

でも私は、ママやパパにタツヤ、それにみんなに危害は加えないから!」

「危ないことに手を出して!」

私は怖くて身を縮めてしまいました。

でも、ママは私にハグをしてきたのです。

「安心しな。ここはあんたの家だ。
そして私達がいる。よその誰かに、引き渡しだなんてしないさ」

「ママ…」

「学校には私から和子に話をしといてやる。

心配するな。まどかも大切な家族だ」

私は思わず涙を流しながらママに抱きついてしまいました。

「ありがとう…」

お母さんが和子先生へ状況を説明すると、わたしは学校が安全な場所と言える状況になるまで、通信教育に切り替えられました。
そして、どうやら私の話をきっかけに学校側は、通信制に切り替えて週に一度だけみんなそろって学校に顔を出すという仕組みに変える流れとなりました。

自分の子どもが魔法少女、あるいはその素質があるかもしれないから無闇に外へ連れ出すのは怖い。
そう考える親が多かったそうです。

学校へ行かなくなってから少しだけ日が経った水曜日、魔法少女検査官と名乗る人たちが各家に訪れて魔法少女がいないか調査を行っていました。

その人達が、ついに私たちの家にも来てしまったのです。

「うちの娘が魔法少女なわけないですよ」

「でもですね、ちゃんと魔法少女の反応がこの家からしているんですよ。

へんに隠すと、貴方達家族が罪に問われるんですよ」

「帰ってください!」

パパが必死に匿ってくれましたが、私はもう決心しました。

「パパ、もういいよ」

人と魔法少女が一緒に暮らせる日々が来ると、私は信じていました。

「だめだ、まどか!」

でも、人と魔法少女が一緒に暮らせない世の中になりました。

それならもう、私はここに居続ける必要はない。

私が検査官の前に出ると、どこからともなく拳銃の音が聞こえて検査官たちは頭を撃ち抜かれて死んでしまいました。

「まどか!」

「ほむらちゃん…」

「もう分かったでしょ、早くマミさん達のところへ!」

唖然としているパパと泣きっぱなしのタツヤの方を振り返りました

そして私は何も言わずにパパとタツヤにハグをしました。

そして、別れの挨拶をしてその場をさりました。

「今まで、ありがとうございました」

 

私とほむらちゃんはマミさん達に合流し、神浜市へと向かいました。

「街中に魔法少女を捕らえるために武装した兵士が数人いたわ。

人気のない場所を通りましょう」

「全く、魔法少女の存在が知れ渡ったらこうなっちまうのか。

笑えねぇよ」

「とにかく神浜へ行きましょう。

あそこにいれば安心できるわ」

私達は神浜へと向かっている最中、神浜の方角で小規模の爆発を何度も発見できました。

「なんか派手にやってるな」

「まさか、魔法少女を捕らえようと本気で」

「急ぎましょう!」

私達が神浜の中へ侵入すると、着地した場所には武装した兵士が4人、瓦礫の隙間から現れました。

「チクショウ!こんなとこにいるなんて」

銃口を向けられてしまい、私は咄嗟に動き出すことができませんでした。

撃たれると思った瞬間、遠くからものすごいスピードで瓦礫が飛んできて2人の兵士の頭を吹き飛ばしました。

残った兵士は銀色の筒をこちらに投げてきました。

「右後ろへ大きく下がって!」

聞き覚えのあるそんな声に従ってみんな後ろへと下がりました。

投げられた筒からは紫色の煙が広がり、左側へと流れていきました。
紫色の煙が展開されている間に、兵士達はどこかへ行ってしまったようです。

「あれなんだ」

「魔法少女が動けなくなってしまう粉です」

声の下方向へ振り返るとそこにはかこちゃんと数人の魔法少女がいました。

「かこちゃん!」

「皆さん、無事で何よりです。よければ協力をお願いします」

「協力と言ったって、何を」

私たちの頭には、突然何かの風景が映し出されました。

そこには3人の魔法少女が気を失ったまま捉えられている様子が映し出されました。

そして、特定の方向になぜか意識が向いたのです。

「その方向に囚われた魔法少女がいます。助けてあげてください」

今のイメージ、まさかかこちゃんがテレパシーで伝えたの?あんなこともできるの?!

「わ、わかったわ」

「かこ!あっちも助けが必要そうだよ!」

遠くからかこちゃんを呼ぶ声が聞こえました。

「では、お願いしましたよ」

そう言ってかこちゃんは声がした方向に行ってしまいました。

私たちが唖然としている中、話し出したのは杏子ちゃんでした。

「んで、どうするよ」

「助けようよ、囚われた子たちを助けるために」

「…人を殺さないといけないことになるかもしれないわよ。鹿目さん、覚悟はあるの?」

マミさんにそう聞かれ、私はすぐに答えられませんでした。

悩んでいると、ほむらちゃんが私の手を握ってきました。

「まどかがやれないなら、私がやる。あなたの代わりに」

私はその発言に対してだけは首をすぐに横へ振れました。

「大丈夫、いざとなった時は」

マミさんは少し不安げな顔をしましたが、私達は囚われた魔法少女を助けに行くことになりました。

覚悟は、決まったはずだから。

 

back:2-2-4

レコードを撒き戻す:top page

Next:2-2-6

 

【マギレコ二次創作】魔叙事詩カグラ・マギカ 2-1-12 お前は永遠に魔法少女と人を戦わせたいのか

レベッカが私に追突した後、結界内からイザベラと刀の女の姿は消えていた。

「逃げられたのか」

「そうね、逃げる術を持っているとは想定以上の存在よ、彼女」

「イザベラもそうだが刀の女も相当だ。
魔法少女でもないのにあいつに力で負けている感覚だった。それに刀を放り投げるなんて行為」

「あれは偶然ね。狙ってもやれるようなことではない。

彼女達の思考は逃げるのが優先だった。もし殺しに来ていたら、ここにいる私達みんな死んでたかもね」

「物騒なこと言うなよ。

んなことより、レベッカはいつまで目を回してんだ!」

「太ももが柔らかくてつい」

私たちが変身を解いて拠点に戻ろうとすると何者かが話しかけてきた。

「あれが話にあった魔法を使う人間ですか」

声が聞こえた方を向くとそこにはピリカがいた。魔女化しない方法を探していたはずでは。

「あんた、カレンと一緒に行動しているはずじゃ」

「ミアラさんが不在だというので、向かったと聞いた場所へと来てみたのです。ミアラさん、戦えないのに何で戦闘の場に出てきたんですか」

「なんで見たままだった。参戦してくれたら仕留められたのに」

「すみません、事情を把握していなかったので静観の択を取りました」

「ピリカの判断は正しかった。理由は戻ってから話そう」

この後イザベラ達が逃げ込んだ場所を襲撃しなかったのは、人間に目立たないため。

まだ私たち魔法少女は、人間に公な存在になってはいけないという方針がある。

だから私達は、大人しく拠点に帰るしかなかった。

 

聖遺物争奪戦とバチカンでの悲劇が終息して数年後、キュゥべえからある話を聞いた。

「魔法少女に対抗しようとする人間?」

「人類がどうなろうがぼくには関係ないが、彼女達は人間が魔法少女を管理しようと企んでいるようだ」

「それ事実なの?」

人類の上に立とうと考えている君たちには重要な情報だと思うけど

「そいつらの中に、魔法を使える人間はいるか?」

「いるよ。もしかしてもう知っていたのかい?」

「マーニャが報告してきたあの話か。確か今はヨーロッパにいるらしいな」

「ならばすぐに消そう。生かしとくと私たちには不利益にしかならないだろ」

「消すかどうかはさておき、私も同行しよう」

「ミアラさん、戦えないあなたは行かないほうがいいと思うが」

「直接会ってみたいのよ、魔法を使う人間にね」

そして私はイザベラという人物に会い、彼女を取り巻く環境がどんなものかを知った。彼女は十分私たちの脅威になることはわかった。

「いいんですかミアラさん、あいつら生きて帰しちゃって」

見逃せば今以上に魔法少女にとってきつい世の中にはなるでしょうね。

でも、待っていれば向こうから宣戦布告してくれるのよ?

私達は正当防衛という流れで人間社会を破壊することができる」

「正当防衛なんて人間社会だけで通じる話でしょ」

「まあ状況は把握した。したっけ、私達は魔女化しない方法探しに戻るよ」

「カレン、イザベラという人物についての情報は集めておいてくれないか。私たちの情報収集能力にも限度がある」

「わかったよミアラ。シオリとピリカにも伝えておく」

私達魔法少女は、人類が作った本来の自分を押しつぶすことでしか幸せになれない人間社会や常識を壊して魔法少女中心の世界を作らないといけない。

今は息を潜めて力を蓄える必要がある。

イザベラという人物が何かやらかしてくれるまで、私達は静かに暮らそう。

なに、まだ時間はあるさ。

 

 

突然襲ってきた激痛は体を焼かれるような痛さで、その後は麻酔を撃たれたのか完全に意識が戻ったら見慣れない天井が見えていた。

周囲を見渡すとどこかの病室のようで、ベッドの隣には椅子に座ってうたた寝しているイザベラがいた。

こんなに不用心なイザベラを見るのは初めてだった。だから、彼女が自分で起きるまではそっとしておくことにした。

ほんの少しではあるがイザベラの寝顔を拝んだ後、目覚めて私が起きていると知ったイザベラは少し照れた表情をしていた。

「寝てしまっていたのか。情けないな、睡眠もコントロールできないなんて」

「無意識に寝てしまえるのは心が安心しきっている証拠さ。いいことじゃないか」

「・・・なんであんな無茶をした。下手したらキアラは死んでいた」

「私はイザベラのボディーガードだ。身を挺して守るのは当然だ」

「自分の命ぐらい大事にしなさいよ、馬鹿」

それからイザベラに私が気を失っている間に何があったのか聞くと、私が気絶してから2日経過していることを知った。

私の手術が終わり、命に別状がないと知ったイザベラは大統領向けに特殊対策課 「サピエンス」の設立依頼書を作成していた。

魔法少女対策を行うという内容を隠し、国を脅かす組織に対抗するための特殊部隊的立場になるような内容にしたという。PMCのような民間軍事企業としてではなく、米国政府公認である軍事組織の一部という位置づけだという。

そしてディアとカルラが滞在できる場所を米国に用意し終え、私とイザベラ以外は既に米国へ移動してしまったという。

私が退院した後、私達はすぐに米国へと移動した。
不思議と、裏路地で襲撃してきた魔法少女達は手を出しては来なかった。

魔法対策としてアンチマギアが作成されたものの、それが魔法少女に有効なのかは実証されていない。

合理的に魔法少女対策用の兵器を開発するために、イザベラはかつてお世話になった非正規のテロリスト達のところを訪れていた。

「その試作品を使って、魔法少女と戦ってくれと。

そして、その魔法少女をなるべく生捕しろってか」

貴女達が魔法少女に関わる依頼をこなせることは十分に知っている。報酬はこれくらいを目安に出すつもりよ」

「・・・なるほど、額は悪くない。

だが、俺たちは政府の犬として活動する気はさらさらない。

試作品とやらのテストをする依頼は他に魔法少女に関わる依頼があったときについでで受けさせてもらう」

「構わないわ」

「それにしてもこれ、魔法少女に害がある成分が入ってるんですね。

私のような魔法少女が扱っても大丈夫なんですか?」

はじめてあった時からいる魔法少女、まだ生き残っていたのか。

「一般人がグレネードぶん投げて、それが足元に転がって自爆するのと一緒だ。

扱いを間違えなきゃ害はないさ」

「なるほど・・・」

「マーニャはドジだし、やりかねないかもな」

「バカにしないでください!他の子たちよりは長生きしてるんですから!」

「バカ騒ぎはよそでやれ。イザベラ、依頼はあんたとの信頼関係があるからこそ受けただけだ。あんたがやろうとしていることはまだ詳しく説明されちゃいない。もし二度目を依頼するんなら、ちゃんと説明の場は設けてもらえるんだろうな」

「ええ。深く尋ねずに聞き入れてくれたこと、感謝します」

こうして裏組織の協力もあり、対魔法少女用の兵器開発と共に捕らわれた魔法少女を使って薬剤の研究も進んだ。

研究員も増え、イザベラの根回しによって武装集団の所持も許可された。

着々と組織化の動きが進んでいった。

対魔法少女兵器の開発以外にも、ディアはとんでもない実験を進めていた事をカルラから聞いた。

「クローン体を遠隔操作するための実験?」

「そうだ。あいつは元々人という貧弱な体を何百年も生きられる形にすることを目的に研究者となった。

いろんな動物を使って実験してきたみたいだが、どうやら代謝を持つ生物はどんなに手を施しても常に激しい動きをしつつ何百年も生きるのは不可能だという結論に至ったらしい。

そこで、体を使い回すことで擬似的に長生きできるクローンに手を出した」

でもクローンを作る技術は人の体を複製できるほど発展していないはず」

「あの子ならできてしまうのさ。

まあ、少しは錬金術を絡めているが」

倫理観がぶっ飛んでいる。ディアは元々倫理観がない人間だというのは理解しているが、超えてはいけない一線をどんどん超えていくな。

「遠隔操作と言っていたな。まさかロボット的なものなのか」

「いや、魔法少女やキュゥべえが使用するテレパシーを模倣した波を使って本体の脳から直接伝達して遠くからでも体を操作できるようにしている」

「何でキュゥべえが実験体になっているんだ」

「とらえた魔法少女をいじっている間に彼女たちしか使用できない特殊な波があることを知ってね。それを解析してみると奴らを認識できるようになった。
そしてキュゥべえとっ捕まえて徹底的に解剖したよ」

「そんなことまでできてしまうのか、あんたたちは」

さらっとカルラはとんでもないことを言った。

キュウべえを生捕?そんなことをしようとも、できるとも思わなかった。
やっぱり天才の考えることはどこかズレていて、ぶっ飛んでいる。

「奴らの本体を逆探知はできなかったものの、おかげで波と複製体のデータがたくさん取れたんだ。

良くも悪くも、クローン技術は実用レベルにまで至ってしまった」

「表社会には発表しないようにしてくださいよ」

「当たり前だ。ディアが出そうとしても私が止める。

そうだ、今夜イザベラを借りる代わりに、ディアの監視を任せていいか?」

「はい、いいですが」

 

 

カルラから食事に誘われた。

珍しくキアラは用事があるらしく、今は私の近くにいない。

一般人には少し高めのレストランの中に、カルラはいた。カルラは個室を予約していて、私達は個室で食事をした。

「それで、食事に誘った理由でもあるの?」

「行動一つ一つに理由がないと気が済まないのか?気まぐれだよ。

とはいえ、相談したいことはある」

「相談?」

「お前の計画している魔法少女狩りというもの、いったいどれだけの規模を考えている」

「規模?それは世界中よ。世界中の魔法少女を人間の管理下に置かないと何されるかわからないじゃない」

「テロリストだって根絶できない世の中だ。全ての魔法少女を管理するなど不可能に近い。

お前は永遠に魔法少女と人を戦わせたいのか」

「そうなるわね。

まあ魔法少女にさせない薬もあるし、自然と数は減るでしょ」

「仮に魔法少女に人類が負けることがあったら、お前はどうする?

「負けさせないし、魔法少女に主導権を握らせるくらいなら全てを終わらせるわ」

「なるほど。

では忠告しとこう。決して地球を死の灰と焦土で覆うようなことは考えるな」

「そんなこと、しないわ」

「・・・そうか。
では話題を変えよう。食事をするのだから、明るい話にしないとな」

序盤の話以外はディアや研究について、そして日常的な話をして食事は終わった。

ディアのクローン研究は興味深く、カルラの統一言語を実現させる技術も気になる。

今度視察にでもいってみようか。

 

 

back:2-1-11

レコードを撒き戻す:top page

Next:2-1-13

 

【マギレコ二次創作小説】魔叙事詩カグラ・マギカ 3-11 欲望に、忠実に、手を伸ばす

ただアリナ先輩を助けたいだけだった。

何の手掛かりもない中で、カレンさんたちに出会えたことは一筋の光だった。
私は自分のワガママに任せて、神浜マギアユニオンが敵対視しているカレンさんたちに協力した。

その結果がこれ。

アリナ先輩は確かに助かったの。でも、その代わりでいろはさんが捕らえられて、アリナ先輩はあの人たちの言うことを聞かないといけなくなっちゃった。

私が人質になっちゃったから。

アリナ先輩は目覚めた後、私を襲おうとしたドッペルを出したいろはさんをキューブで捕らえたの。

でもその後も私が人質になっていたからアリナ先輩は神浜に張られている被膜ってやつを解除することになった。

やる事はやったのに私達はいまだに捕らえられたまま。でもいつでも逃げようと思えば逃げられるの。

「逃げるってどこに?アリナは家に戻れるけどフールガールはどう思うワケ?」

「逃げるって、それはお家になの」

「聞きたいのはそうじゃないんですケド。ゴーホームではなく、エスケープをチョイスした理由を知りたいだけ」

「今ってあの人たちに監視されてる状態だから、逃げるが正しいの!」

「こーんなフリーハンドな状態で放置するとか、好きなタイミングで帰っていいよって言ってるようなものだよね。

なのにエスケープしないといけないワケ?」

「言いたい事がわからないの」

なんか引っかかる事があるからエスケープしようとしてるんじゃないの?フールガール」

引っかかることは、なくはない。

目の前でキューブに捕らえられて禍々しいオーラを放ったまま動かないいろはさんを巻き込んでしまった事。

でも、それについては後悔していない。

こうしないと、アリナ先輩を助けられなかったんだから。

「環いろは。このまま放置した結果は面白いことになりそうだけど、あいつらの思う通りに事が運ぶのは癪だヨネ」

「どういう事なの?」

「みかづき荘に顔出して、ここに環いろはがいることを伝えるの。そうすれば環いろはは不完全な状態で目覚めて、もしかしたらあいつらの目指す完全体になるのを邪魔できるヨネ。

この状態の環いろはを見たみかづき荘のメンバーの反応も最高そうだし」

「アリナ先輩!」

アリナ先輩はとても楽しそうな顔をして話していた。

でも、こんなの楽しくなれるわけないの。そんなアリナ先輩に、思わず大きな声を出してしまった。

「このままじゃいけないの、わかってる。でもみかづき荘に顔を出したところで、みんな信じてくれるか」

私が答えを出せずにいると、アリナ先輩は勢いよく立ち上がり、座り込んだ私の胸ぐらをつかんで私の目を見つめたの。

「イチゴ牛乳がないから思わず手が出ちゃったヨネ。
いい加減物事はっきりと判断できるようになったらどう?見てるこっちがイライラするんですケド!」

「アリナ、先輩。離して」

「アンタがあの漫画の怪盗みたいになりたいってんなら、まずその優柔不断さをなくしなさいよ。
ほら、何をどうしたいか教えてよ、フールガーーール!!」

目を背けたいけどどこを見ようとしてもアリナ先輩の目が視界から離れない。
ずっと見つめていたら私は恐怖のせいか意識がぼやけてきた。

視界が真っ暗になった中、頭の中に私ではないワタシの声が聞こえてきたの。

[欲望に忠実になればいいのよ。ほしいものは盗み取り、手放したくないものは絶対譲らない]

「そんな欲張りなこと、人として良くないの!」

[そんなきれいごとばかり考えているから、アリナ先輩も遠くへ行っちゃったんじゃない?
他人のことなんて考えず、自分の思うがままで生きればいいんだよ。そうすれば物事はっきりするさ]

「わからない、私にはわからない」

[そう、じゃあ私が欲しい、あんたの体を盗んじゃうね]

こころの中であるはずのワタシが鎌を構えると、私も無意識に魔法少女姿となって鎌で応戦していたの。

[なぜ抗うの?ワタシがアンタと入れ替われば、物事はっきりとさせてほしいものをすべて手中に収めてあげるのに]

きっとここで狩られると死んでしまう。私は。

「死にたくない!」

[その執着、何が原因?優柔不断なあなたにはっきりとわかる?]

「死んじゃいそうだからわかる。私はアリナ先輩が欲しい!
やさしくて、時には厳しくて、何を考えているかわからないけど、大切なことをいろいろ教えてくれる。
そんなアリナ先輩が、マジカルきりんくらいに、好きだから!」

[だからどうした?そんな一方通行な想いでは奪い取ることはできないぞ!]

もう迷わない、そのためには。

「最低限の理性だけ残して、あとは、ワガママになればいいんだぁ!」

そう言って私はワタシを真っ二つに刈り上げていた。

[イキナサイ。欲望に、忠実に]

ワタシが消えた後、私は真っ暗な闇の中、左手を前に出して何かをつかんだ。

つかんだとたんに周囲は真っ暗ではなくなり、目の前には胸ぐらをつかまれているアリナ先輩がいた。

「ドッペル出したと思ったら次は何?!」

「みかづき荘に行くの。そのあとはアリナ先輩の好きなように振る舞うといいの。
でももう、手放さないから!」

私はアリナ先輩の答えを聞く前に手を掴み、アリナ先輩と廃墟の外へ出た。

そして私はアリナ先輩を鎌の後ろに乗せてそのままみかづき荘へ向ったの。

空は夕日でオレンジ色になっていてまだ明るい頃、SNSに出ていた廃墟に向かうっていう時間までには間に合うと思う。

「そう、じゃあ好きにさせてもらおうかな。エスコートは任せたから

御園かりん」

 

 

3-10:BACK
レコードを巻き戻す:top page
NEXT: 3-12

【DQX】アストルティアアフィーマン エルトナ大陸

このシリーズはアストルティアの記録として文字ではなく主に画像で残す活動を行っていきます。

今回はエルトナ大陸に注目していきます。

 

エルトナ大陸の東側にあるツスクルの村には世界樹の巫女が滞在しています。また、ここには一人前となるためにたくさんのエルフたちが学む学舎が存在し、エルフの要人たちはここで学習を行った経験がある者ばかりです。

ツスクル平野では世界樹を見ることができるほか、光の河や学生たちが使用する学び舎があります。
特にエルフから始めた人は、ここで問いかけられる光の河が悪しきものかどうかという内容が印象深いのではないでしょうか。

ちなみにこの光の河と世界樹の位置関係は西側にある光の河と暗黒大樹と似ています。

 

キリカ草原はただの通過点、となる場合がほとんどです。しかしここにはキリカという僧侶にかかわりの深い人物の聖地となっています。

風の町、と呼ばれるだけあってアズランでは風が止むことはありません。
町中にある凧を朝から晩まで眺めているとわかりますが、ずっと空を舞い続けています。

モリナラ大森林には巨木が並んでいるほか、霧が発生しやすい場所です。
その最深部には神代の遺跡が残っていて特定の時期にしか立ち入ることが許されなかった貴重な場所です。ちなみにここの内部は小さな泉が広がっています。

↑内部の様子

 

スイゼン湿原にはスイの塔があるほか、みかがみの泉に立つともしびの木があります。ともしびの木は魔物払いの効果がある香料の材料となります。

スイの塔は当初から地下へと続く階段が用意されていましたが、バージョン3という長い年月の先に地下に社があることが判明しました。
内部はツスクルの村で使用されている紋章があちらこちらに見受けられ、老朽化による崩落が目立つ他魔物が徘徊するようになっています。

かつては神聖な儀式が行われていたかもしれませんが、見る影もありません。

カミハルムイ城下町にある南門を出るとため池があってここにはコイが生息しています。釣り人がここで勝手にコイを釣っていく様子が見受けられますが、何かがあるわけもなく。

カミハルムイには錬金術によって枯れることがない桜が存在します。
ちなみにカミハルムイにある堀はただのため池ではなく、アズランと繋がっている川の一部です。カミハルムイにある木工ギルドはアズランにある木こりギルドから川に沿って運ばれてきた木を使用しているとのことです。

夢幻の森はかつてカミハルムイ城の城下町だった場所であり、所々に建物の痕跡があります。
かつては鉄道も通っていたらしく、鉄道跡地では幽霊列車を目撃できるという噂があります。

捨てられた城は元カミハルムイ城であり、エルトナの聖地へと続く池が存在しています。

落陽の草原はアストルティアの中でも「秋」を感じられる場所です。また、ここは二代目王者が災厄の王に敗れた土地とされていて、災厄の王が出現した場所でもあります。
神話篇ではとても重要な場所となっています。

現在は暗黒大樹がよく見える状態となっていますが、かつてはお札がたくさん張られた門が存在し、そこにがけっぷち村が存在していました。物語が進むことによってかつてあったものがなくなってしまうのもオープンワールドの醍醐味です。

呪われた大地はアストルティアの中でも一番魔瘴の影響が色濃く見える場所であり、毒の沼地が点在します。
しかしながら少量の魔瘴が漂う程度で済んでいるのは、暗黒大樹がいまだに浄化の能力をもっているからであり、暗黒大樹が消滅すれば魔界以上の魔瘴の濃さとなることでしょう。

呪われた大地にある破魔のヒスイは魔物が近寄らない場所とされていて、魔物をこの場所まで追い込むとどこかへと消えてしまいます。

しかし戦闘中はお構いなしです。

 

 

※このページではドラゴンクエストXの要素を使用しています

次元縁書ソラノメモリー 1-9 この世界にとって、今や死は救済。生きる者に、救済を!

この世界では死の灰が降っています。死の灰とはこの世界に忽然と現れた人を一瞬で液状化させる恐ろしい物質。

そんな死の灰をかぶっても、飲まず食わずでも平気な生物がこの世界には存在していました。

元は人である大男たちは自分たちは不死の存在であると考え、今まで行動してきました。

しかし、私がこの世界のことを知りたいと言ったばかりに彼らのリーダーは気づいてしまったのです。

脳みそさえ無くなれば死ぬことができると。

灰がしんしんと降る中、大男のリーダーは他の大男へ何かを伝えていました。その内容は意図的なのか私たちには伝わってきません。

そんな中、つづりんは大男たちに気づかれないようすぐに行動できる態勢をとっていました。

「えっと、つづり、さん何をして」

ブリンクがつづりんへ小声で話しかけます。はじめて名前で呼んでくれたんじゃないかな?

「つづりでいいよ。あのリーダー、何かやばいことに気づいたみたいだからさ」

「え、何に気づいて」

いきなり大男たちの方で肉が潰れるような音がしました。

大男のリーダーがメンバーの頭蓋を砕き、次々と脳みそを潰しはじめていたのです。

「やりやがった!」

つづりんはすぐに槍を取り出し、隣のビルへ転送準備を始めます。

「ブリンク、こっち!」

私は動きが止まっていたブリンクの手を引いてつづりんの側まで行きました。

その頃には立っている大男はリーダーしかおらず、血で赤くなった彼の顔はこちらを見ていました。

大男はこちらへ走ってきて熊のような手を振りかぶります。

それと同時に私たちの周囲が黄緑色の光で包まれました。つづりんの転送が間に合ったのです。

振りかぶる前に隣のビルへ転送されたため無事でしたが間一髪でした。

「危なかった」

「まだ!走ってビルの上へ!」

ブリンクは安堵した様子でしたが私は二人へビルを登るよう伝えました。

大男は私たちの気配だけで居場所を特定していました。私たちがきた方向を認識できるならば、見つかるのは時間の問題です。

別のビルへとさらに移動することも考えましたが、実はあまりでたらめに動き回りたくはありませんでした。

何も考えず動き回ると、きっと向こう側で特定が難しくなるだろうから。

私たちはとにかくビルを登りました。

登ったところで何かできるわけでもないけど、今は距離を稼ぐことしかできませんでした。抵抗したところで、無傷の保証はありません。

ビルを駆け上っている間、私はひたすらブリンクの手を握っていました。
その手は温かく、何よりも湿っぽかったのです。

ただの代謝による汗なのか、危機的状況に対面してしまって冷や汗が出ているのかどちらにせよ、私たちの世界ではこんな感覚を味わうことなんてないのでなかなか新鮮でした。

ビルを駆け上っていると、髪飾りから雑音混じりではありましたが、アルの声が聞こえてきました。

どうやら向こう側とこちら側のつながりが復旧できたみたいです。さすがだね。

「ソラ、つづりさん聞こえる?聞こえるなら返事をして!」

「アル!帰還準備を整えて。人数は3人!」

「え、なんか人数おかしくない?!」

「とにかく急いで!」

「ちょっと、ソラさん誰に話してるの?!」

「ソラさん!あいつがこのビルを駆け上がりはじめたよ!」

「一斉に喋るな!特定できないぞ!」

カナの強烈なツッコミでみんな一時的に黙ります。

「特定作業!ソラさん!」

「ほい!」

「つづりん!」

「あい!」

「謎の一名くん!」

「えっと、はい!」

「あいわかった。座標特定行うからそっちでも準備してよね!」

向こうへの帰還見込みが立ったところで私たちはビルの最上階から2つほど下の階の奥で待機しました。

「な、なんだったのさっきのは」

息を切らしながらブリンクが聞いてきます。

「あれは私たちの世界でサポートしてくれる仲間だよ。今まで通信ができなかったんだけど助かったよ」

「いや、それもそうだけどさっきの返事は意味あるの?」

「座標特定のために映像と音を使用するんだけど、今回は音に頼ったからああなったんだよ」

「よ、よくわからない」

激しい動きを行うことで酸素の供給が追い付かなくなり、体が酸素を欲するが故に起こる過度な呼吸困難。

ブリンクはぜえぜえと一生懸命酸素を吸い込んでいるけれど、それに対して私とつづりんはそんな状態にはなっていません。

これはただの身体能力の違いというだけではなく、元いた世界で縛られていた概念による肉体の制限。

「何なのさあいつ、私たちに脳みそ突き付けてきたかと思ったら襲い掛かってくるだなんて」

「ブリンクは、初めて人を撃ち殺した後、次の人を殺すことに何か感じた?」

「え、いきなり何を」

私はただブリンクを見つめていました。ただ、答えだけを知りたかったから。

ブリンクはしばらく私の目をそらし、一呼吸おいてから話しはじめました。

「初めて人を殺したときは、後悔と、吐き気に襲われてまともに行動できなかった。でも、次に人を殺したときは変に冷静でいられたよ、必死だったってこともあったかもしれないけど」

「あの大男は、殺すという行為を知ってしまったんだよ。それで、永遠に感じると思った生き地獄から解放されるという事実を知ってしまったんだよ」

ブリンクと話している間につづりんは現時点の座標と転送先の座標をつなぐために集中していました。

「じゃあ、あいつが襲ってきた理由って」

ブリンクが話している途中で下から何かを壊す轟音が響いてきました。

下から階段を上がってくる轟音は大男のリーダーでしょう。気配を感じて追ってきたらしい。

ブリンクは息を整えると、持っていた拳銃の安全装置を切り替えていつでも使えるよう準備をしていました。

「だいぶ頑張って登ったはずなんだけどな」

私がそう呟いた頃には大男が部屋の入り口付近に姿を現しました。

大男の体の前半分は返り血で真っ赤に染まっていました。大男は真っ赤な足跡をつけながらゆっくりと部屋の中に入ってきます。

「2人とも、わたしにつかまって」

つづりんの囁きを聞き、私とブリンクはつづりんの服をつかみます。

大男は部屋から少し入ったところで立ち止まっていました。

「なんで私たちまで追いかけるの?!」

ブリンクの力強い問いかけに対して大男はしばらく黙り、震える口を不器用に動かしながら答えます。

「この世界にとって、今や死は救済。生きる者に、救済を!」

雄叫びをあげて大男はこちらへ向かってきました。

つづりんは準備ができた様子がない。

これ結構やばい状況では?

するとブリンクがとっさに大男の後ろ側へ拳銃を力強く投げました

地面に叩きつけられた銃は暴発して階段側で大きな破裂音を放ちます。

この音に反応してか大男は動きを止めて後ろを向きました。

「よし!」

つづりんがそう叫んだ頃には私たちは不干渉次元の中にいました。

不干渉次元では時々糸の繋がる先が変わったりある世界が消滅してその波動が伝わってきたりと不安定な状況となっていました。

今まで規則的な動きをしていた不干渉次元でしたが、いま目に入る光景はいろんな糸が繋がっては千切れ、眩く光ったかと思ったらはじけてしまう光。

飛び交う光は時々ぶつかってははじけ飛んだり、貫いたり。

秩序ある空間が、混沌とした空間へと変わってしまっていたのです。

この状態を放っておけばいずれはすべての次元がめちゃくちゃとなり、概念なんて存在しない虚無のような空間へと変わってしまうことでしょう。

問題は山積みですが、私たちは十分につかれていました。

そんな不干渉次元中で私たちはただ、疲れた顔をしながらファミニアへと戻ったのです。

 

1-8←Back page

list:お話一覧

Next page→ 1-10

【DQX】アストルティアの過去と今 歴史で変わる世界の形 オルセコ王国編

このページでは時渡りの術を利用して過去と現在で地形や施設の変化を調べ、まとめていきます。
今回は1200年前のオルセコ王国周辺を見ていきます。

オルセコ王国の過去と今

900年も裡捨てられていたはずの闘技場ですが、いまだに大まかな原形をとどめています。
大きな外傷もほとんど見られず、なぜ王国が滅亡してしまったのかは謎のままです。オルセコの大地に眠るパウギアの影響も考えられますが、施設を破壊されていない点を考えるとパウギアに直接襲われた可能性は低いでしょう。

とはいえ実は、かつてガズバランのしるしを収める重要な墓がこのオルセコの大地に存在したはずなのですが、現在は大部分が削れてしまい、闘技場で散った戦士たちの武器が残るままです。

オルセコ王国滅亡の原因は王家の墓消失と関係がありそうです。

オルセコ王国の内部は建国から300年経過しているとはいえ要塞化の真っ最中でした。


かつてバザーでにぎわっていた場所からは水路がなくなっていました。
また、1200年前には存在しなかった部屋もいくつか確認できました。


過去と今のオルセコ王国の地図を見比べるとすぐに違いが判ります。

一階部分でも300年の間で拡張が行われ、現代で主に使用している地下へと行くための通路は1200前には存在しなかった部屋です。瓦礫によって塞がれてしまっている通路がいくつか存在しますが、部屋の拡張は国民増加に伴って行われたのでしょう。

地下一階の拡張は1200年前とは比べ物にならないほどおこなわれており、先王の部屋だった場所は通路の一つとして利用されるようになっていました。
これは王族の部屋が一階に移動したことと、拡張工事の都合で、そうせざるを得なかったという様々な事情が考えられます。

ここまで多くの変化が起きているオルセコ王国ですが、闘技場へと通じる道に関しては驚くほど変わっていません。

天井が抜けるでもなく、像が倒れているでもなく、形がそのまま残っています。
この状態を考えるとオルセコ王国の滅亡は戦争による敗北、モンスターによる襲撃という戦いが理由ではないことがうかがえます。

 

さて、元オルセコ王国の建物はしっかりと残っているものの領土の境界線に位置する門は跡形もなく消え失せています。

1200年前から滅亡するまでの300年の間は門を構える必要がなかったからかもしれません。

跡形もなくなっているといえば、ドランド王国です。
かつてドランド王国があったとされる場所は要塞化していた岩山ごとなくなっています。

現在のガートラント領ですが、500年前にレイダメテスによって大地が焼かれた上に古代の魔族が一時的に復活してしまう、ゲルト海峡付近で魔瘴が噴出してしまうなど災厄続きであったためその過程で消え失せてしまったことは考えられます。

ここまで大きな災厄が訪れているならばオルセコの大地にも大きな変化が起きてもいいはずですが、闘技場に被害がなかったのはすでに人気が無かったからだと考えられます。

失ったものがあれば新たに生まれたものもあります。

ラダ・ガートによって建国されたガートラント王国は魔族を復活させてしまったという大事件から始まりました。

現在進行形でこの恐怖から逃れられてはいませんが、この国にはガミルゴの加護を受けるために多くの冒険者が必ず足を運ぶ地となっています。

厄災といえばオーグリード大陸には戦禍の邪神が封印されている地でもあります。


1200年の月日の中で邪神の宮殿へ続く道は封じられていましたが、最近再び解放されました。

1200年経過した宮殿内ではそれぞれの剣へ通じる道が新たに追加されたと同時に、遠方で輝く光が強くなっていました。
この光の強さはグラフィック設定を変更しなくてもわかるほど変化しているため、この光の強さで封印が弱くなっていることを実感できます。

1200年間の変化

オルセコ王国自体は1500年ほど前から存在した国であり、コロシアムの原型ともいえる闘技場を備えていました。それから300年ほど経過したころ、ゾンガロン出現と同時にドラント王国が滅亡し、オーグリード大陸中が戦乱の世でした。
ゾンガロン封印後は種族問わず各国から戦士たちが集まり、己の強さをぶつけ合う場として貢献してきました。

しかしそれからさらに300年経過すると原因は不明ですがオルセコ王国が滅亡してしまいます。

オーグリード大陸では長年戦禍の邪神の影響で多くの災厄が訪れています。これは現在も続いているものであり、様々な封印が弱くなっています。

また、オーガが心を手に入れた証拠であるガズバランのしるしとそれによって起動する戦いの舞の踊り方マニュアルは失われてしまいました。

しかし、踊り自体は文化という形で受け継がれています。
神代の力は文化へ組み込まれ、オーガ自体が滅びない限り神代の力が失われることはないでしょう。

神代の力に頼らない生活ということはいまだにできていません。封印の弱体化なども発生していて、いずれはガズバランに助けてもらうことになるかもしれません。

 

まとめ

1200年の月日は多くの国が建国されては滅び、戦いの舞が文化へと組み込まれた