【マギレコ二次創作小説】魔叙事詩カグラ・マギカ 1-8 神様を連れている女の子

魔法少女になってから1ヶ月もたっていないはずなのに、数ヶ月分の出来事が起きたんじゃないかっていうくらい忙しい日々でした。

マミさんと会って、戦い方を覚えている中でほむらちゃんが転校してきて、幼なじみのさやかちゃんまで魔法少女になって。

そして神浜っていう町について触れていく中で杏子ちゃんと会った後にいろはちゃんや神浜の魔法少女達とたくさんお友達になりました。

そういえばお忍びで神浜の夜空を見たり、不思議なチョコレート屋さんへ一緒に行ったかこちゃんとはしばらく会っていません。また声をかけてどっかにお出かけしたいなぁ。

そう考えていられたらいいんだけど、マミさんがウワサっていうものに操られたり、神浜の魔法少女と一緒にワルプルギスの夜と戦ったり、そして魔法少女の真実が立ちはだかったり。

辛いこともたくさんありましたが、今はいつもよりは平和な日々を送っています。

私とほむらちゃんは、マミさんとさやかちゃんが杏子ちゃんを連れてくるまでのんびりと散歩をしていました。

散歩中は何の取り止めもない会話をしていました。

「早乙女先生、昨日の授業はご機嫌でしたね」

「うん、実はママが早乙女先生と会って何か伝えたみたいなんだけど、それがうまくいったみたい」

「鹿目さんのお母さんと早乙女先生って知り合いなんですか」

「うん、昔から友達みたい。ママもこれであいつもゴールインできるだろうって嬉しそうに話していたよ」

何気ない会話をしながら通学路に沿って流れる小川に沿って歩いていると、木の上に登っている女の子を目撃しました。

「あれ、木の上に誰かいるような」

どうやらほむらちゃんも気づいたようです。

今じゃ滅多に木に登る人を見なくなってしまったので余計に気になってしまったのでしょう。

「人もそうだけど、なんか動物もいるような」

女の子が何か話しながら手を伸ばす先には怯えて震えている黒い子猫がいました。

「あの人、子猫を助けようとしてるんだよ」

「でもあのままだと、枝ごと折れてしまいそうです」

ほむらちゃんと様子を伺っていると、女の子が思いっきり子猫へ手を伸ばして捕まえました。しかし、その瞬間に枝が折れてしまい、女の子は子猫を抱えたまま落ちてしまいました。

「大変!」

わたしとほむらちゃんが急いで落ちた女の子の様子を見にいくと、女の子は目を回した状況でしたが、子猫は胸元で女の子にしがみついた状態で無事でした。

「あの、大丈夫ですか?」

わたしが問いかけてから数秒して女の子がハッと気がつくと、顔を赤くしながら素早く一回バックステップをしました。

思わず、わたしとほむらちゃんもびっくりしてしまいました。

「あの、もしかして一部始終を見られていた感じですか」

「そ、そんな感じです」

「んんん、お恥ずかしいとこをお見せしました」

「あの、よかったらベンチで落ち着きませんか」

ベージュ色が主体のワンピースを着て、ベレー帽をかぶっていても靴はスニーカーというちょっと変わった女の子と一緒にベンチへ座り、そのまま話を進めていきました。

親猫っぽい猫が木の上に向かって鳴き続けていて何だろうなって見上げたら、この子が降りられない状況に出くわしまして」

「それで、木に登ってたんですね」

「親猫は逃げちゃいましたが、この子が助けられてよかったです」

そう女の子が話している間、子猫は女の子の膝の上で丸くなって寝ていました。

「それにしても凄いですね、野生の子猫がすぐ懐いちゃうなんて」

「わたしもびっくりしましたよ。もともと人懐っこい子なのかもしれないです」

「・・・鹿目さん、どうかしました?」

わたしははっと気づきました。

「えと、何だか黒猫を見ていると変に親近感が出てきてね。どこかで会ったかなって考えちゃった」

「そう、ですか」

もう一度女の子に撫でられている子猫の方を見ていたら、女の子の手に、見覚えのある指輪が見えたのです。

「あの、もしかしてあなたは魔法少女、ですか?」

「へ?!」

女の子は急いで指輪をつけている左手を隠しました。

「では、あなたも、そうなのですか」

「わたしもそうですよ。ほむらちゃんも」

思わぬところで魔法少女の子と出会ってしまいました。

お互いに軽く自己紹介をしました。女の子の名前は保別ピリカさん。最近神浜に来たらしく、キュゥべぇから魔女化しないシステムについて聞いて仲間の子と一緒に移動してきたとのことです。

「キュゥべぇ、神浜のことを遠くの人まで伝えているんだ」

「はい、おかげで私たちは魔女になるという運命を変えられるって希望を持つことができました。まどかさん達は神浜へ行ったことがあるんですか」

「ありますよ。いろいろあったけど、神浜で友達もできたし、ワルプルギスの夜っていう強い魔法少女もみんなで倒したし」

「ワルプルギスの夜を!その話、聞かせてもらっていいですか」

いまだに子猫がピリカさんの膝から動かない中、私たちは神浜であったことを軽くピリカさんへ伝えました。

「ウワサ、というのも気になりますが、背中を押してくれた暖かい力というのも気になりますね」

「うん、空が明るくなってピンク色の羽が落ちてきたかと思うと何だか背中を押してもらえてるように勇気が湧いてきたの。みんなにも力が沸いてきて、とにかく不思議だったとしかいえないです」

「なんか当たり障りのない感じ、神浜の自動浄化システムみたいですね」

「え」

ほむらちゃんだけ何か驚いたような表情をしていました。

ピリカさんもその後何かに気づいたかのようにおどおどと話し始めました。

「そ、そんな気がしただけですよ」

何だかよくわからないことで2人がソワソワしている中、ピリカさんの膝の上にいた子猫がむくりと起き上がり、何かに気づいたかのように走り出しました。

その先にいたのは、子猫の親猫と思われる子がいました。

子猫は親猫へすりついた後、蝶を追いかけて走っていってしまいました。

親猫はしばらく私たちの方を向いていて、しばらくしたら子猫の方へ歩いていきました。

「ありがとう、って言っていたのかな」

「多分、そうですね」

「子猫ちゃんもいなくなったことだし、この子を紹介しようかな」

[ちょっとピリカ、何するのさ]

ピリカさんが宙に指を振った先には、赤い色の二枚羽で飛んでいる妖精のようなものがいました。

「え、妖精さん?!」

[あらあら、妖精と同じだと思われるのは心外ですね。これでも歴としたカムイなんだから]

「カムイ?」

「この子はアペ。神様の化身で、魔法少女になったわたしをサポートしてくれるんです」

[ピリカが他人にわたしを紹介するなんて意外だよ]

どうやらピリカさんは魔法少女になってからカムイという神様が見えるようになったとのことです。いつもは他に3人いるようなのですが、今は何かの調べ物に出向いているそうです。

なんか妖精と一緒に過ごせるなんて、お伽話みたい。

キュゥべぇは、妖精とはちょっと違うのが残念だけど。

「あの、なんで私たちにピリカさんの秘密としていることを教えてくれたのですか」

「本来ならば、この街がワルプルギスの夜に襲われる予定でした。それは少し経験のある魔法少女の中では噂されていたことです」

わたしは思わずびっくりしてしまいました。ワルプルギスの夜が見滝原を襲ってしまうなんて未来は想像もできませんでした。

「この街にいたあなた達は、きっと神浜の子にはない大きな力があるのかもしれない、そう思ってしまったからです」

「そういえば、神浜の子達に神浜の外から来たのにここの魔女とまともに戦えるのは凄いって聞いたことが何度もあります」

「そうですか、やっぱり神浜の魔女は特別強いというのは本当のようですね」

「でもね、神浜の子達に調整屋さんを教えてもらったことで私達も神浜の魔女と戦いやすくなったんだよ」

「調整屋、ですか」

「神浜に滞在するなら一度訪ねてみることをお勧めします。場所を送ろうと思うんですけど、スマホとかありますか」

「ごめんなさい、わたし携帯とか持っていないんです。地図見せてもらえますか」

ほむらちゃんがピリカさんへ調整屋さんの場所を教えている間、私はアペさんに話しかけられました。

[なんかあなた、変わった力の強さを感じるね]

「え?」

[もしかしたらあなた、ここにワルプルギスの夜が来ていたら倒す役割を持っていたのかもね]

「どうして、そう言えるんですか」

[因果っていうのは、運命を変える存在ほどたくさん持っているらしいからね。もっとみんなを守っちゃいなよ]

「えと、はい」

神様に私はもっとみんなを守れる存在だって言ってもらえたのかな

でも、もし見滝原へあのワルプルギスの夜が来ていたらと考えてしまうと、私では止められなかっただろうなと考えてしまいました。

ほむらちゃんがピリカさんへ調整屋さんの場所を伝え終わった後、ピリカさんは立ち上がりました。

「それでは私はここで失礼します。まどかさん、ほむらさん、今回はありがとうございました」

「私も、ピリカさんと会えてよかったです」

「したっけ、まどかさん、ほむらさん、また会いましょう」

ピリカさんに手を振っている間、少しの間だけしたっけってなんだろうって思っていました。

「あ、まどかとほむらここにいたんだ」

元気な声で話しかけてきたのはさやかちゃんで一緒にマミさんとさやかちゃんに腕を掴まれて嫌そうな顔をしている杏子ちゃんがいました。

「いやーちょっと待たせちゃったね。ところでさっき向こうに向かって行った子は?」

「神浜に来たっていう魔法少女だよ。妖精さんを4人も連れてるんだって」

「なにそれ、私たちよりマジカルなんだけど」

「おいさやか!いつまで手を引っ張る気だよ。私はもう観念したって伝えたはずだぞ」

あんた手を離すとすぐどっか行くから離そうにも離しにくいんだよ

「少しは信用しろよ!」

「ならまずあんたが信用されるような行動とりなさいよね!」

「もう、やめなさい2人とも」

マミさんが仲裁に入ってムッとした顔をしながらさやかちゃんは杏子ちゃんの手を離しました。

その場が少し落ち着いた後、私はマミさんに一つ質問をしました。

「マミさん、この後はどこに集まるんですか」

「私の部屋に集まるって事でどうかしら、ちょうど紹介したい子もいるのよ」

「紹介したい子?」

私たちはそのままマミさんの住んでいるマンションへ向けて歩き出しました。

 

 

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