【AbsentedAge】心を奪われた少女 カレンが心を取り戻すために奮闘する物語【ストーリー解説】

このページでは、AbsentedAge -幽玄の章-のストーリーについて解説していきます。

 

AbsentedAgeとは

Absented Ageは日本語にすると「欠けた時代」
物語の中では茶道バンド部のバンド名として使用されています。
AbsentedAgeの物語は幽玄の章だけではわかりにくいかもしれませんが、今後のアップデートでハヤトやスズも禁域で活動する様子があることから、カレンだけではなく茶道バンド部の物語として展開されていきそうです。

 

主人公であるカレンは何者か

主人公の名前は朝比奈カレン
雨降り橋高校の2年生で茶道バンド部に所属している。
特技はトランペット演奏。中学の頃にコンクールで優勝した実績がある。
記憶を失って霊体となった後、不思議な力を持っていてゲンガーを倒せる重要な人物だと発覚する。

現状判明している記憶を失うまでのカレンの記憶

-ここから前の記憶は公開されていない、または失われている-

・雨降り橋高校に入学したカレンは吹奏楽部へ入部する。

・吹奏楽部へ入部したカレンは吹奏楽部のメンバーとかみ合わず、居心地の悪い場所となっていった。

・カレンは吹奏楽部に所属していたハヤトと共に吹奏楽部をやめる。

・吹奏楽部をやめたカレンは校庭でトランペットの練習をするようになったが、学校の教頭等に迷惑がられ、どんどんトランペットが扱える場所がなくなっていく。
トランペットを演奏できる場所がなくなっていく中、カレンは自分の居場所がなくなっていく感じ、トランペットを演奏しているときじゃないと自分らしくいられないと強く感じるようになってしまう。

・教頭の策略によって茶道部が廃部となる。

・茶道部が廃止になった話を聞き、茶道部の顧問であったミナミ先生へハヤトが声をかけ、茶道バンド部の結成に向けて動き始める。

・廃部となった茶道部の部室を使ってハヤトとカレンは後輩のスズへ演奏を聴かせる。そこに教頭が乱入して演奏をやめるよう伝えてくるが、そこへミナミ先生も加わって茶道部の部室は茶道バンド部のものだと主張する。

-この間の記憶はまだない-

・茶道バンド部は「超楽祭」という音楽フェスに参加することとなる。この頃はまだ茶道バンド部が認められて間もなく、存在を認めようとしない人もいた。

-この間の記憶はまだない-

・新学期が始まった4月頃、カレンは行方不明となる。

-この間の記憶はまだない-

・7月頃、カレンは謎の禁域で記憶を失った状態で目覚める。

 

Absented Ageに登場する人物

・タルト(精霊)

エリシオ教会に所属している精霊。特に大きな力はもっていなくて他の精霊に下等精霊扱いされている。
カレンと出会ったことで精霊としての真価を発揮できるようになったが、同時にエリシオ教会に追われる身となってしまう。
禁域に存在する心のカケラを使用して物体を生成することができる。生成できるものと質は心のカケラに含まれた記憶に依存する。
水が苦手。

 

・ミカ(人間)

カレンが行方不明になってから、タルトへカレンの捜索をお願いした存在。カレンが見つかってからは自分の部屋に住まわせ、カレンの探索のサポート役という立場にいる。
ミカ自身には両親がいなくて児童施設で育ってきた。その児童施設というのは、エリシオ教会のことである。
6月頃、ミカはゲンガーに襲われて記憶喪失状態でエリシオ教会に保護される。その後はエリシオ教会の協力のもと、部屋を借りて一人で暮らすようにしている。カレンが来てからはカレンと一緒に暮らしている。
学校で何かあったらしく、親しい人間以外には人見知りが激しい。
両親がいないのは、ゲンガーに襲われたのが原因と思われる。ちなみに行方不明のカレンが禁域にいると知っていた理由は謎である。

 

・ハヤト(人間)

茶道バンド部のメンバーでキーボード担当兼部長。
カレン同様に1年生の頃は吹奏楽部に所属していたがカレンと共にやめている。
自分がおかしいと思ったことにはとことんつっかかる性格をしていて、カレンが行方不明になった後も10年前に起きた飛行機事故でカレンが死んだことになっていて違和感を持っていた。
カレンが行方不明ではないと最後まで信じてくれた1人である。

 

・スズ(人間)

茶道バンド部に所属しているカレンがいた中学校の後輩。
高校入学後、カレンがいる茶道バンド部に入部している。
ハヤト同様、カレンが行方不明ではないと最後まで信じてくれた1人である。
機械に強いらしいが、幽玄の章ではそのようなシーンが出てはこない。

 

・ヤヨイ(精霊使い)

 

フープのパートナーである精霊使い。
エリシオ教会に所属していて最初の頃は教会の言うことを忠実に守っていた。
カレンと出会ってからは考え方を改めるようになって、カレンへ協力するようになる。
そんなヤヨイも、ゲンガーに何かされた過去があるらしい。

 

・フープ(精霊)

エリシオ教会に所属するヤヨイのパートナーである上級精霊。
なにかとタルトへつっかかるが、精霊が扱える術についてはタルトよりも圧倒的に知識が豊富である。
一応エリシオ教会のおきてには忠実だが、隠れてヤヨイと共にカレンへ協力している。

 

 

Absented Ageに登場する重要な要素

・禁域

多くの心のカケラで形作られた世界。
この空間では創造性やイメージ力があるほど強力な存在となる。特別な力が働かない限り、現世と相まみえることはない。
禁域へ侵入できるのはその禁域にある心のカケラにゆかりの持つ人物か、精霊くらいである。

 

・ゲンガー

禁域に出没するようになったタルトたち精霊にとっての外敵。
正体は解明されておらず、禁域内の心のカケラを食い散らかしては禁域を崩壊させてしまう存在。また、ゲンガーは精霊も食べてしまう。
禁域内の心のカケラを吸収して吸収した心のカケラの持ち主になり替わろうとする個体もいた。
ゲンガーは他人の心のカケラを食らい、心のカケラに記録された記憶に映る人物へ擬態することができる。大きな力を持っていれば、生きている人間の心のカケラも奪って食べることができる。
そしてゲンガーに死の概念はない。しかしなぜかカレンには討伐されてしまう。

 

・エリシオ教会

「異常存在の徹底排除」を掲げて禁域と現世どちらも見守る組織。この組織に精霊と精霊使いが所属している。
エリシオ教会は自立型のユニットを作る技術があり、エリシオクローンやエリシオゴーレムといった存在を生み出して禁域に解き放っている。
禁域に現れるようになったゲンガーは禁域を乱す異常な存在のはずが、そんなゲンガーを倒せるカレンを教会は異常な存在とみなして教会のメンバーへカレンとパートナーのタルトを捕獲するよう命令を出している。

 

・エリシオ教会での精霊の決まり

エリシオ教会に所属する精霊は「禁域の怪異から現世を守る」という考えで動いている。
精霊だけでは禁域の怪異へ立ち向かうことが難しく、現世から精霊使いの才能がある人間を引き抜き、精霊使いとして精霊のパートナーを探すことを推奨している。

精霊使いと精霊のコンビで活動している例としてフープとヤヨイがいる。

 

・カレンの心にいる謎の花

ゲンガーにも奪うことができないカレンの心の中核に滞在する謎の花はカレンへ様々な精霊術を教え、助言をしてくれる。
カレンにとても協力的だが、正体は心の持ち主であるカレン自身も知らない。

 

 

記憶を失った後の物語 -幽玄の章-

記憶を失ったカレンは禁域と呼ばれる魔物が現れる場所に倒れていた。
その禁域で出会ったタルトと一緒に禁域を脱出しようとする。禁域の道中、カレンはカレンの心のカケラを発見する。
心のカケラとは、人が何かを忘れたときに記憶が剥がれ落ちたものとされている。
タルトの話の通り、カレンは心のカケラを手に入れたことで過去の記憶を少し取り戻す。現実世界へ戻った後に友人のハヤトとスズを見つけて声をかけようとするが気付いてもらえることができなかった。なぜかというと、カレンは現実世界では行方不明者扱いで、自身の体が霊体となっていたから。

カレンは現実世界では特定の場所でしか実体を表すことができない。その場所とは、ミカの部屋だけ。なぜかカレンはミカの部屋か禁域の中でのみ実体を見せることができる。

カレンは霊体となっているためタルトに死んだ人間だと誤解されたが、抱き着いた際の心音、ミカの部屋では実体を表すことができるという点から死んではいないが霊体になってしまった可能性があるとして、カレンにタルトが付いてくるようになる。そしてカレンは失った記憶を取り戻すために心のカケラを集めるようになる。

カレンは心のカケラを取り戻すためにカレンの心のカケラを狙うゲンガーを倒す必要がある。カレンの心のカケラに引き寄せられたゲンガーは本来倒せない存在だが、カレンはいともたやすく倒せてしまう。

このゲンガーを倒して回るというカレンとタルトの行いが禁域を管理するエリシオ教会には都合が悪いらしく、カレンとタルトを捕えるよう教会に所属する精霊、精霊使いへ命令を出している。
カレンとタルトへエリシオ教会は敵対したため、教会で生産されているエリシオクローン、エリシオゴーレムといった存在が禁域で襲い掛かってくる。

順調に心のカケラを取り戻していく中、「カレン」という大事な部分を含めた心のカケラをゲンガーに奪われてしまう。これが原因でカレンの体を心のカケラが受け付けなくなっていく。

カレンはゲンガーと再び現世で対峙した。その際、カレンは禁域以上の力を発揮してゲンガーを追い払った。それは一時的なことで、ゲンガーを追い払った後は使用できなくなってしまった。しかし、今以上の力をカレンは発揮できるということをタルトと現場に居合わせたフープとヤヨイは察した。

「カレン」という大事な部分を含めた心のカケラを失いながらもカレンは行方不明だと思い込んでいるハヤトとスズへ自分の無事を伝えようと考える。
ミカの協力を得てカレンはハヤトとスズに再会する。カレンの無事を知った二人だったが、超楽祭の予告編にカレンが姿を現さなければ茶道バンド部の讃歌が取り消されてしまうという事実をカレンへ教える。

事実を知ったフープはカレンたちへ一時的に現世へ実体を表すことができる降霊術の存在を教える。カレンたちは降霊術を教えてもらう代わりにカレンの心のカケラを奪ったゲンガーを確実に倒すよう伝えられる。

カレンは自分の心のカケラを奪ったゲンガーを追っているとゲンガーの罠にはまって自分の心を壊すと同時に今まで集めた心のカケラも奪われそうになってしまう。
心のカケラを奪ったゲンガーの目的は、カレンになり替わることだった。
そんなゲンガーにすべてを奪われる寸前まで追い込まれてしまうが、カレンの心の中核「謎の花がいる空間」は無事であった。
謎の花は自暴自棄になったカレンを励まし、カレンは再起する。
自分を見捨てなかった人たちのことを思い出し、自分は勝ちのない存在ではないと認識するようになる。
新たな決意と共に、カレンはゲンガーと戦うことになる。
ゲンガーはカレンの力を使って襲い掛かってくるが、カレン自身は禁域探索で手に入れた力とヤヨイたちの援護を得てゲンガーを追い詰める。

しかし再びゲンガーの策にはまってしまい、カレンの今まで集めた心のカケラはゲンガーに奪われてしまう。
力を得たゲンガーは現世へ手を出しはじめる。ゲンガーは現世を禁域と混ざった存在にしようとした。これが原因でカレンの心の中核が力を解放し、現世で見せた大きな力をカレンは振るえるようになった。

カレンはゲンガーを圧倒した。ゲンガーを倒し、心のカケラは全てカレンのもとへ戻り、現世と禁域の境界も元に戻った。
カレンの心を狙うのを諦めたゲンガーはタルトの質問に答えた。カレンが行方不明となる前にカレンの記憶と実体を奪ってはいない。事故で死んだなんて歴史に改変することもできないと。
カレンはゲンガーの願いもあって、心を奪ったゲンガーを倒した。

ゲンガーを倒したカレンは約束通りヤヨイたちから降霊術を教えてもらった。やり方は教えてもらったものの、自分の意思が弱いため実体化は困難を極めた。

超楽祭 選抜会当日
カレンの讃歌は絶望的かと思われた中、茶道バンド部の紹介が行われようとしたときに会場へカレンが実体を表した。

選抜会はうまく成功し、超楽祭へ茶道バンド部は参加できるようになった。
こうしてカレンの物語は一区切りだが、いまだに謎が多い。

 

ではここからはAbsentedAgeのストーリー解説と、残った謎についてみていきます。

〇本当は一般人かそれ以下並みに心が弱いカレン

主人公であるカレンの心はとても弱いです。霊体となる前から自分の居場所に悩み、本当の自分とは何者なのか悩んでいました。
そんな弱い心を付け狙われ、カレンは心のカケラが奪われたり、ゲンガーの罠へハマったりしました。
この心の弱さは誰でも経験することです。特に中学校から高校にかけては思春期真っ盛りで人の心の汚いところも見えやすくなるころです。人によってはハヤトのように、高校の頃には十分に免疫が付いた人もいるでしょう。

しかしカレンは中学校の頃は優秀なトランペット演奏者として周りから慕われていて、人の黒い部分を見る機会がなかったようです。高校に入ってから初めて自分とは何者かを向き合うようになったようで、霊体になった後も自分とは何者かを悩むことになります。

そんな悩みは幽玄の章内では明確な回答が出ていません。

自分を支えてくれた人がいたから、見捨てる人なんていなかったから、自分には価値があると、自分は存在していていいんだという認識しか得られていません。
今のカレンでは、カレンとは何者かという質問に対してまだ自信を持った返事を用意できないでしょう。

とはいえ、誰もが自分とは何者かという問いかけに対して明確な回答を用意するのは容易ではありません。

カレンは幽玄の章で、存在価値はあるという生きる自信を手に入れました。

今後追加されるストーリーで自分とは何者かを見つけることができるのかに注目していきたいところです。

 

〇みんなのつけているネックレスは、チームの証

ストーリーでは語られていない部分ですが、私服のカレン、ミカ、ハヤトはおそろいのアクセサリーを身につけています。

流行りものでひし形三つのアクセについての話は出ていないので、おそらくこのアクセはAbsentedAgeのトレードマークとなっているのでしょう。
今後追加されるストーリーで、このアクセを活用した展開があると存在感を主張できそうです。
スズも一応メンバーだけど、見えないところでつけているんだよね?

 

〇そもそもカレンやミカの記憶を奪った存在は誰なのか

今のところ真犯人はわかっておらず、記憶はおろか、霊体にしてしまうことはゲンガーができる芸当ではないことは明らかとなっています。
物語で強調されるのはカレンが記憶をなくしたことですが、実はミカも原因が不明の記憶喪失となっています。
ミカは実体はもっているものの過去の記憶を失い、自分を知る人物は誰もいなくなってしまうというカレンとは別の意味で重傷でした。

今は二人しか被害に遭っていませんが、今後は他にも被害を被る人が発覚していきそうです。

 

〇エリシオ教会は善なのか、悪なのか

未だに謎が多いエリシオ教会は禁域を破壊してしまうゲンガーよりもカレンの捕獲を命令します。ゲンガーよりもカレンを危険視する理由は最もで、カレンはゲンガーを倒せるだけではなく禁域でも、現世でも普通の人には扱えない大きな力を持っています。
そんな力が誰かに悪用されたら、ましてやゲンガーに悪用されたらそれこそ現世と禁域のバランスが保てなくなることから、誰にも狙われないようエリシオ教会は手元に置いておきたいのでしょう。

果たして本当に保護だけが目的なのか。

ゲンガー討伐のために、ゲンガーを倒せる力を持つカレンに協力を申し出て危険分子と判断したゲンガーを一緒に倒すのが穏便な方法ではないのか。
今までもゲンガーの監視だけでゲンガー討伐ができずに放置してきたエリシオ教会よりもカレンの働きの方が断然禁域の安全を確保できます。

ゲンガー討伐に乗り出さず、放置してカレン捕獲を優先するエリシオ教会は、何か大きな事実を隠しているのかもしれません。

今までは禁域と現世を見守ってきた存在かもしれませんが、今のエリシオ教会の行いはカレンたちにとって悪なのかもしれません。

 

〇カレンの心の中核に居座る花は何者か

カレンの心の中にいて精霊術を授けていった謎の花はカレン以上にカレンのことを知っています。
そんな心の中核は現世で使える強大な力 ヤヨイいわく「魔女の力」は謎の花が原因だと考えられます。
「魔女の力」は禁域ではなく現世にいるとき限定に発動できる強大な力です。この力はカレンの中に心のカケラがない状態でも使用できました。心のカケラがない中、カレンの中に残るのは心の中核だけです。そんな心の中核には謎の花がいる。

今まで現世にいたカレンは不思議な力なんて使用できませんでした。
不思議な力を使えるようになったのは、霊体になり、心の中核にカレンが接触できるようになってからです。

カレンの心の中核にいる花は、魔女の力の持ち主なのでしょう。しかしカレンの心の中核に居座る理由は何なのかは現状で知る手立てがありません。

 

まとめ

現状、AbsentedAgeには多くの謎が残っています。
とはいえ、幽玄の章だけでカレンがどんな存在なのかは記憶を失ったカレン同様に大雑把にわかる内容となっていました。そのため、主人公の目線で物語を進めていくことが容易でした。
描かれていた現世は頼れる友人がいる中、汚い人間社会が描かれていたりと中々考えさせられる内容でした。
何事も美化せずに描かれていた幽玄の章は個人的に好みです。

続編が作られることも決まっているため、無事にこの世界の物語が完結できることを祈ります。

下記にAbsentedAgeの販売サイトへのリンクを張りますので、ぜひプレイしてみてください。

steam
https://store.steampowered.com/app/1387580/AbsentedAge_SRPG/

 

dlsite
https://www.dlsite.com/home/work/=/product_id/RJ290851.html

 

あなたは自分がどんな存在か、自信を持って言える?

※このページは、Absented Ageの要素を扱っています

【原神(genshinimpact)】実はヤバイ原神の世界 神なき繁栄は許されないディストピアだった【考察】

原神はversion1.5の時点で7国あるうちの2国しか解放されておらず、ストーリー的に半分も進んでいない状態です。
しかし、3国目となる稲妻はこのゲームが1周年を迎えるころにならないと実装されないのではという雰囲気が漂い始めたため、version1.5時点で原神の世界はどんな世界なのかを振り返り、今後のストーリー展開がどうなっていくのかを考察していきます。

情報整理、考察を行うにあたって使用する情報はゲーム内に出てきた内容のみとします。公式サイトにある漫画や公式PV、MIHOYOの他作品にのみ公開されている情報は使用しませんのでご了承ください。

 

-原神の世界「テイワット」を支配する要素-

テイワットは主に元素力に支配されていて、他には陰ながら世界に影響を及ぼしている地底の力、星空の力という要素があります。

元素力は7種類存在します。
炎、水、氷、草、雷、岩、風と分類されて常人には行使できない力です。とはいえ、この元素力にテイワットは支配されていて無意識にではありますが常人も元素力を使用しています。

炎:料理に使う火、光源、熱源、鉱石加工のための火

水:料理、飲料水、洗濯、掃除、農業、漁業

氷:食料保存、料理や飲み物を冷やす氷

草:火の燃料、料理の食材、薬

雷:なし

岩:鉱石加工

風:なし

上記のように、常人でも無意識に元素力を扱っています。
ではだれでも将来は元素力を行使できるようになるのかというとそうではありません。元素力を操れるのは神の目、邪眼を持つ者、元素生物、アビス関係者、魔神であり、それぞれ使用できる元素力の種類は限られています。

神の目は神から認められなければ手にすることができないものです。神の目を持っていれば神の目で指定された元素に限って自由に行使でき、元素視覚で元素の痕跡を探知することができるようになります。
この元素視覚を使えるかどうかで研究者の実績には雲泥の差が出てしまうようです。また、軍隊に所属している場合は元素力を行使できるかできないかで戦力差が出てしまったりと神の目を持っているかどうかで人間社会での立場にも差が出ています。

邪眼は主にスネージヤナにて開発された人工の神の目です。神の目同様に元素を自由に行使できるようにはなりますが、元素視覚を使用できるかは明らかとなっていません。ファデュイが主に所持しています。
ファデュイは邪眼以外にも元素生物等を利用して元素兵器を開発しています。

元素生物にはスライムや精霊、ドラゴンといった生物が該当します。生まれながらに一種類の元素を使うことができて、社会を形成することなく自由に生活を送っています。
そんな元素生物ですが、数が増えすぎたり、成長しすぎたり、元素反応を起こしてしまった場合は災害の発生源となってしまう場合があります。とはいえ、災害扱いするのは人間だけでしょう。
精霊については人間社会でも存在していておかしくないという認識で、パイモンやオズ、グゥオパァーを見ても「謎の生物」と認識して誰も驚き戸惑うことはありません。
テイワットで元素生物は存在して当たり前という認識となっているのです。

魔神も元素生物同様に生まれながらに一種類の元素を行使する力を持って生まれています。とはいえ扱える力の規模はその辺の元素生物とは比べ物にならないほど大きく、国を一つ簡単に滅ぼせるほどの力を持っています。
2000年前に神に認められた俗世の七執政と呼ばれる七神はほとんどが魔神です。ウェンティに限っては精霊から神に昇格した異例の存在です。

アビス関係者とは、カーンルイアで謎の力によって容姿が変貌してしまった者たちのことです。もとはどういった存在であったかは不明ですが、地底の力を借りて元素を行使できるのは確かです。いまだに元素を行使する存在として謎が多い状態です。

 

元素の話はこれくらいにしておいて次は地底の力についてです。
地底の力とは、主に地脈、石化古樹を通して使用できる力のことです。地脈では元素力が世界を循環していてこのおかげで世界は元素力で支配されています。
この地脈に流れる元素力は時々元素生物へ影響を及ぼし、凶暴化させてしまう事例が存在します。

地脈へ意図的に接触できる方法はほとんど存在しません。数少ない接触方法として地脈の花に触れること、石化古樹に接触することです。
地脈の花は地脈での元素の循環が生き詰まって穢れが積もって地表に現れたものです。接触のためには天然樹脂と呼ばれるものが必要で、接触すると成長に必要なものを得ることができます。

石化古樹は大昔からテイワットに存在していた地底まで伸びる巨大な木が石化したものです。石化してもその木には生命力が満ち溢れていて枝を伸ばしています。
テイワットにはそんな石化古樹を通して地底の力へと接触できる人たちが存在しました。地底の力へ接触できると知恵を授かることができ、地底の力へ接触できる者がいる国は大きく発展したとされています。

また、アビスが元素力を行使できるのは石化古樹などの地脈へ接触できる方法を知っているがためでしょう。接触する仕組みはいまだに謎のままです。

 

最後に星空の力についてです。
星空の力とは、主に命の星座のことを指します。命の星座は神の目を持つ人それぞれに定められた運命そのものとされています。
神の目を持つ者には命の星座が必ずと言っていいほど存在し、その命の星座には過去から未来にわたるすべての運命が内包されています。

とはいえ、占星術というものが存在し、天体観測によって人々の運命を占うことは元々可能ではあります。そんな占星術を行う上でも強力な力を持っている星の並びが、命の星座なのです。
どうやら神の目を授けられた者であれば死後も星空に残り続けるようで、かつてファデュイが星空の力を利用した実験の際には2000年前の人物の命の星座が現代の人々へ悪影響を及ぼしたという事例が存在します。

そのため、星空には神の目を与えられた人物たちの運命が残り続け、それはやがて歴史へと変わります。その歴史の中身は、神が認めた者の旅路であり、そのすべては神が存在を保証した歴史だけが残されるという意味でもあります。
そんな命の星座には、俗世の七執政も含まれているようです。

 

以上の3点がテイワットを支配している要素です。

では、3点の要素を把握したうえでテイワットの歴史と今後の展開について考察していきます。

 

-テイワットでは地底の力 vs 星空の力が続いている-

テイワットには大昔から人間は空からの啓示を聞くことはでき、さらなる知恵を求めて地底の力へ手を出すと、地底の力を借りた文明ごと抹殺されるというサイクルが続いていました。
そのサイクルは祭りの冠シリーズからも読み取ることができます。


凍り付いた大地に住む人々は、神の使者が未開の地へ炎をもたらしてくれたことですべての繁栄を天空にいる神の啓示に任せるようになります。
人々は安定した生活を送っていましたが、この生活にもいずれ終わりが来るんだろうという未来に不安を持ち、未来への不安を天空へ問いましたが答えてはくれません。
未来への不安を持った人々は、知恵が眠るという地底へと答えを求めるようになります。

神の使者は炎の次に水をもたらします。水は大地を育て、神の啓示通りに豊作が訪れて人々は引き続き神の啓示に運命を任せていました。世界の人々は神の啓示に任せていたため、世界中の元素力は秩序をもって安定していました。
しかし未来への不安を抱く人々は絶えず、知恵だけではなく運命までも地底へ答えを求める人々が出始めました。

地上の人々は地底から持ち帰られた運命、知恵を知って神には頼らない発展をはじめます。神から与えられた以上の知恵を身につけた地上の人々は神の啓示を軽視するようになり、ついには天上の神へ抗う度胸を手に入れます。
地上の様子を知った天上の神は地上へ雷を落とし、地上へ神の怒りをあらわにします。

地上の人々は神の怒りを鎮めるために地底へ問いかけます。
その答えは、築いた文明ごと地底深くへ沈んでしまうこと。
こうして地底の力で発展した人々の文明は知恵をすべて地底へ戻し、地上は神の雷によって万物の気配が弱まる結果となりました。

そして、地上の世界は凍り付いた大地に包まれたのです。

これは存在したのかも定かではない人類が築いた文明の末路です。
この内容からだけでも、テイワットの神は地底の力へ頼って自分の言うことを聞かなくなった人々は抹殺するという傾向が見受けられます。

ただのおとぎ話ではないかと言いたくなりますが、上記のような流れで滅んだ文明が二つ存在します。

=シャール・フィンドニール=

シャール・フィンドニールはモンドが氷に包まれていた時代に、ある一族が安置を見つけて発展した都です。その都には天上の使者がかつて訪れたことがあり、シャール・フィンドニールの人々を助けた過去があるようです。

記載内容
“FIDELES ANGELI IUVANT(忠実な天使たちが助けた)”

そんなシャール・フィンドニールは神の啓示以外に、地底の声を聞ける者が存在し、シャール・フィンドニールは神だけではなく地底の力も借りて発展をつづけました。

記載内容意訳
“つべこべ言わず探求を続けろ”

そんなシャール・フィンドニールに天井から寒天の釘と呼ばれるものが飛来し、シャール・フィンドニールは吹雪に包まれてしまいます。
シャール・フィンドニールはなすすべもなく文明ごと滅んでしまいます。

 

=カーンルイア=

未だに謎の多いカーンルイアも神に頼らず発展した文明の一つです。
歴史上、シャール・フィンドニールに次ぐ神に頼らない国ということで神を信じない多くの人々がカーンルイアへ集まります。
カーンルイアは元素力以外に科学という力を使って今は遺跡守衛と呼ばれている”耕運機”などの機械人形を生み出します。
そんなカーンルイアは天上の神打倒を掲げていたようで、シャール・フィンドニールへ偵察に行った機械守衛たちは揃えて

“国家のために、我々はこの天空の力を諦められない”
※外国の方が解読した遺跡守衛が放つ謎のコード解読結果より

と語っています。
そんなカーンルイアは錬金術という力も活用するようになります。
元素力に頼らずとも生きていけるような知恵を得た人々を神が許すはずもなく、500年前についに神はカーンルイアを滅ぼしてしまいます。

神は文明を滅ぼすだけにとどまらず、文明を発展させたカーンルイア人を怪物へと姿を変えて知恵を失わせようと試みます。
一部の人々からは知恵を失わせることに成功しましたが、中には”アビスの怪物”へと姿が変わっただけで知恵が残る者もいました。
ちなみに知恵を失わせる施策は、シャール・フィンドニールへ神が裁きを与えた際にも行われた可能性があります。それは、生物誌のヒルチャールについての説明文に1000年前から存在が確認されているという内容から見て取れます。
知恵が残る者がいたのは500年前が初めてです。
ここから、少なからず地底の力も天空の神へ抗う姿勢があると見受けられます。

 

このように、おとぎ話だけではなく有史の中でも地底の力に頼った文明を、神は容赦なく抹殺するという傾向があるとわかります。

こういった神の行いによって地上から神に頼った文明の記録はすべて奪われ、地上に残る歴史は神が存在を許した国のもの、そして星空に残る神が認めた人物の命の星座だけとなります。
つまり、今のテイワットは”神が存在を認めた存在”しか残らないディストピアだったのです。
神に許された範囲の知恵しか扱うことができず、滅びを迎えるようなことがあればそれは運命だと受け入れて滅ぶしかない。

地上の人が滅ぶ機会を、そして地底の力へ耳を傾けないようにする対策として大きな元素力を持った存在を俗世の七執政として任命し、多くの国を神の統率下へと置く対策も行っています。

なぜそこまでして神が地底の力による文明の発展を嫌うのかというと、地脈の元素力が乱れることを恐れているからです。

神が地上の人々へ啓示をもたらしていた際に重視されていた点は、知恵の発展ではなく、元素力の秩序を保つことでした。地上の人々は元素力の秩序を保つための道具にすぎず、元素力によってもたらされる災害は運命として受け入れるよう、人々へ対策法を享受することもありませんでした。
元素力によって起こる災害はテイワットの元素力の秩序を保つため。

大きすぎる火の元素は必要以上の草木を死滅させ、多くの生命が死滅してしまう。炎の元素を弱めるために大きな水元素をぶつける洪水や嵐といった災害がもたらされる。

大きすぎる水元素は生命をすべて溺れさせて死滅させてしまう。
水の元素を弱めるために大寒波を引き起こし、必要以上の水が大地を侵食しないよう封じ込める。

大きすぎる氷の元素は、多くの生命から体温と命を奪って死滅させてしまう。
氷の元素を弱めるために四季がある。

残念ながらテイワットに流れる元素力は秩序を保とうという法則が存在せず、秩序を保つために対策を実行できるのは神だけなのです。
もし元素力の秩序が乱れ、特定の元素力だけが強くなりすぎた場合は最終的にテイワットの生命が死滅する結果となります。

テイワットから生命が失われないために、神は元素力の秩序を乱す存在を抹殺してきたのです。

 

では地脈の秩序を乱してしまうほどの地底の力とは何なのか。
実は地脈には元素以外にも記憶が循環しているとされています。この記憶が、地底の力に影響しているのでしょう。
地脈に流れる記憶は”知恵”として地上の人々へ影響を与えます。
この記憶について天上の神のように制御する者が存在するのかというと、実は明らかにされていません。
500年前に神が知恵を失わせる施策から逃れた存在は、アビスと呼ばれています。
アビス自体も謎に包まれていますが、活動目的は「神の打倒」です。
この神を打倒しようとする意志は知恵を制御する者が存在する故に起きた結果なのか。

残念ながら、今はアビスという存在を生み出した神に匹敵する黒幕が存在するのかは定かではありません。
しかし、少なくとも地底の力とはテイワットという大地で積み上げられてきた記憶そのものであることは確かです。

 

-今後の展開 七神とアビスが神へ反逆する-

今後に展開されるストーリー予想をします。

最初に結果だけを伝えると、

アビスが七国に脅威をもたらしながらも氷神は神の心の徴収を完了させ、天上の神へ反逆しようとしてもアビスに行く手を阻まれる。
アビス教団と反逆しようとしている氷神が統治するスネージヤナをまとめて抹殺しようと天上の神が現れた時、双子が天上の神と戦ってテイワットの神が統治する歴史は終わる

今のストーリーでは氷神が他の俗世の七執政から神の心を徴収して回っています。また、同時進行でアビスが神に抗う力を手に入れようとしている最中です。

氷神が神の心を徴収して回ることをたくらみだしたのはおそらくカーンルイア滅亡がきっかけです。
ウェンティによると500年前の氷神から、今の氷神は思考が変わっているらしくウェンティ自身も神の心を徴収して回っていることを知りませんでした。
しかし鍾離は氷神と直接交渉を行い、七神の座を降りる終わりの契約を結んでいます。鍾離は神の心を渡すほどの代償が何なのかを知ってはいますが、誰にも明かしてくれません。
そんな氷神が統治するスネージヤナには神の目を持たなくても元素を扱うための技術、遺跡守衛を調査できるほどの技術力があります。

おそらく氷神は、神へ反逆しようと計画しています。
神へ反逆しようと思ったきっかけは、カーンルイア滅亡です。氷神は人類が自ら発展を遂げたという偉業を神が己の勝手によって滅ぼしたという結果を目の当たりにして神の存在に疑問を抱いたのでしょう。
氷神が神へ反逆する理由は、人類の自由な文明の発展だと考えることができます。
実はこの理由が、鍾離が氷神へ神の心を渡した理由にもなります。
鍾離は3700年近く人々に寄り添って璃月を統治してきました。そんな中、璃月の民が神に頼らず人の力で発展しようとしている光景を目の当たりにします。
鍾離はこれをよい傾向だと判断し、璃月の発展を神の統治という力が妨げてしまうだろうと考え、鍾離は神の座を降りる契約を交わしたのです。
もちろんその代わりに氷神が受ける代償は、スネージヤナの滅亡です。
しかしスネージヤナは滅亡させないと、氷神は抗っている最中です。

今後は各国の俗世の七執政から氷神の考える思想に対する感想を聞くことができるでしょう。しかしどの神も氷神へ抵抗して天上の神の方へ着くことはないでしょう。

なぜなら俗世の七執政は、人々を愛しているから

 

アビスの方はというと、双子の片割れが実行部隊であるアビス教団の長として動いている最中です。その計画は、俗世の七執政を滅ぼして天理に挑むという流れです。
スネージヤナの計画を知っていれば共闘できそうではありますが、「神」という存在自体を許さないアビスにとって七神との共闘という道はないのでしょう。
アビスの目的は神ではなく人が統治する世界にすることです。

人によっては神に監視されたディストピアが理想郷でもよいと思う人もいるでしょう。
しかし文明の発展を拒まれるというのは発展した世の中を知る者にとってとても不幸なことだということがわかるはずです。

不要な物質を変換させて有用な物質を形成する。
瞬時に移動できるワープゲートを人工的に作れるようにする。
記録を残すために写真撮影をする。

これらが度を越えると、存在ごと抹殺されてしまうのです。
そんな神に見守られるのは幸せでしょうか?

今後の原神のストーリーは神を信じるものと、そうではないもので見方が変わってくるでしょう。

 

-まとめ-
“原神の世界「テイワット」は天上の神が元素力の秩序を守りたいがために、
人類の力で発展した文明は抹殺されるディストピアだった”

 

あなたは七神とアビス、どちらにつきますか?

※このページは原神の要素を扱っています

【原神(genshin impact)】名言・迷言まとめ

このページでは原神の世界で語られた印象深い言葉をまとめていきます。
※PVや漫画は除きます

ここの内容は随時更新していきますので追加された際は再度告知します。

 

 

 

 

~名言~

神に命じられた「自由」は、ある意味「不自由」だろう

発見場所:序章 トワリン鎮圧後

「自由に生きろ」という命令は自由でなければならないという拘束感を与えるとよく理解している自由を象徴する神。

________________________________

「仙人」の時代は終わった。「璃月七星」さえもそれを受け入れなければ、璃月の未来はどうなるの?

発見場所:1章 刻晴との初対面時

鍾離も認めた、仙人に代わって人が璃月を管理するを表現した力強い宣言。

________________________________

旅人としてお前が「記録」すれば、テイワットの時代も歴史も、「バックアップ」を得たのと同じだ

発見場所:古聞の章 第一幕

果たして何割の旅人がテイワットの記録を正確に残すことができるだろうか

________________________________

どうして人々は、自分の存在は他人より価値があると証明したがるのでしょう?存在していること自体、素晴らしいことなのに・・・そうですよね?

発見場所:甘雨の悩み

仙人目線だからこそ疑問に思えること

________________________________

________________________________

~迷言~

アンバー「それからその・・・マスコットは何なの?」

主人公「非常食だ」

パイモン「全然違う!マスコット以下じゃないか!」

発見場所:序章 アンバーとの初対面時

運営公認のパイモン=非常食という関係はここから始まり、しばらく続く

________________________________

ウェンティ「えへっ」

パイモン「「えへっ」てなんだよ・・・!!」

発見場所:序章 天空のライヤーを取り返した後

返事に困ったら「えへっ」と返すのはウェンティの癖。

________________________________

あれ?ドドコ、どこ?

発見場所:クレー放置時

なぜか耳に残るよね

________________________________

大人しくしやがれ

発見場所:ガイア元素スキル使用時

アチーブメント名にもなっている

________________________________

ヒルチャールのお兄さんが病気になった。
ヒルチャールのお姉さんが看病して。
ヒルチャールのお兄さんが薬を飲んでも治らない。

発見場所:1章 冥ちゃんとの初対面時、胡桃を知る1

胡桃が放置時に頻繁に口ずさむようになってしまったがために印象に残るようになってしまった歌。
元ネタは「十只兔子」という中国のネット上で秘かに存在しているホラー民謡のようです。

________________________________

テッテテー!騙されました!

発見場所:彼岸蝶の章 第1幕

素晴らしい煽り文句

 

 

 

異邦人、あなたの印象に残る言葉はあったかな?

【マギレコ二次創作小説】魔叙事詩カグラ・マギカ 4-  エピローグ

死んでしまったら真っ暗な中を彷徨うだけだと思っていた。

何も見えない、触れない、聞こえない、見えない、感じない無のような空間を意識だけ持ちながら永遠に彷徨うだけだと思っていた。

しかし私の目の前には田舎で見るような綺麗な夜空が映っている。

それに身体中が痛い。

そして風は冷たい。

もしかして、まだ生きている?!

私は急に上半身を起き上がらせて生きていることを再確認した。

両手のグローブにはまった宝石は輝いていて、胸元のソウルジェムも健在。

おかしい

あれほどの穢れの塊を受けて生きていられるはずがない。

「お目覚めですか」

聞き慣れない声の方向を向くと、白い服を身にまとった紫髪の女が立っていた。

しかし因果の線を見てすぐに理解した。

「あんた、私と同じく、別世界の人間なのか」

「どうやら因果を目視できるというのは本当のようですね。
潜在的に持っていたとは聞いていないので、契約で手に入れましたか」

何かを知っているようだが、まず聞かないといけないことがあった。

「なぜ私は生きている?あんたは知っているのか?」

「大変だったんですよ、肉体がボロボロになる前に救出するのは。

でも穢れを受けたのは事実で、腐りかけだった体が綺麗に自己修復されたようでよかったです」

「・・・何故助けた」

「あなたは次元改変に巻き込まれたんです」

「答えになっていないぞ」

「巻き込まれたままであればあなたは被害者だった。でも、あなたはこの世界の次元を改変させるようなことを行う加害者になってしまった」

「・・・」

「あなたを放っておけば、この世界はいずれ、次元改変に飲み込まれて世界ごと消滅してしまうでしょう」

「それと私に何が関係ある」

「次元改変を止める方法として、加害者に元に戻してもらう方法があります。

狂わせた分を帳消ししてもらうということです。

もう一つの方法は」

女は槍をどこからともなく呼び出し、抵抗する隙もないまま私の喉元へ刃を突き立てた。

「加害者を殺すことです」

「今の私を殺したところでこの後の軌跡に変わりは出ない。殺すことは無意味だ」

「誰が“この時間のあなた”を殺すと言いましたか?

はじまる前に終わらせるだけです」

どうやらこの女はとんでもない存在なのかもしれない。

過去へ行ける、下手したら未来へも干渉するようなやばい存在なのかもしれない。

「ならばその次元改変とやらに巻き込まれる前に私と、妹を助けることもできるのか」

女は目を閉じて、静かに首を横に振った。

「そうかい。私がここまでやってきたのは、妹と元いた世界と再び出会えないと知って自暴自棄になった結果だ

「では、この後はどうしますか?」

「自暴自棄で爆発した熱意も、勢いももはや残ってなどいない。
根本から刈り取ってもらっても構わないさ」

「あら、見知らぬ世界に飛ばされた後、魔女化という制約がありながら何十年も生き続けた魔法少女とは思えない言葉ですね。

師匠という方に触発されて生きてきたのでは?」

「どうして師匠とのことを知っているのかは気になるが、もうこの後の計画を進める原動力がない。

シオリも、ピリカも死んでしまった。

私が殺したんだ。

人間社会を滅ぼすなんて考えも師匠の受け売りで私自身には何もなかったんだ。
だから、もういいんだよ」

「穢れにでも負けましたか。

あなたが弱気に出るのは想定外ですが、死ぬべきかどうかはこれを見てから考えてください」

紫髪の女は古そうな絵巻を私に渡してきた。

「何だこの古い紙は」

「あら、あの世界では上質な紙なんですよ。慎重に取り扱ってくださいね」

絵巻を結んでいた紐をほどき、中身を見た瞬間、私は目を疑った。

そこに書かれていたのは、見覚えのある文字だった。

”お姉ちゃんへ

私はお姉ちゃんとはぐれた後、見覚えのない世界で目覚めたの。

その世界には怖い化け物がいて、最初は逃げて回っていたんだけど、助けてもらったお姉さんがきっかけで、私、化け物と戦うことになっただよ。

最初は怖かったけど、戦いの中でお姉ちゃんと練習していたカグラが使えるってわかって、どんどん色んな人を助けられるようになったんだよ!

最終的には悪い邪神を私の踊りでやっつけちゃった。

カグラってすごかったんだね!

今はこの世界を安定させるために、一緒に戦ったお姫様のお城に滞在しているの。

そしたら突然つづりさんと出会ってね、お姉ちゃんが生きているって教えてもらったの!

私はお姉ちゃんに会いたいって伝えたんだけど、今はできないって断られちゃった。

でも、この世界が安定したらいつかお姉ちゃんと会わせてくれるって言ってたよ!

私頑張って、お姉ちゃんに会いに行くから!

この手紙はつづりさんに無理を言って渡してもらう予定なんだ。

お姉ちゃんも別世界で頑張って生きてるって聞いてるよ。世界を変えちゃうくらいすごいことだって聞いてるよ!

私も頑張って追いつくから、お姉ちゃんも頑張ってね!

自慢のお姉ちゃんへ

カガリより“

目頭が熱い。

50年近く前に諦めていた、妹のカガリとの繋がりが今手元にある。

間違いない。この字は間違いなくカガリの癖字だ。

私は久しぶりに涙を流しながらしばらくすすり泣いた。大声で泣くことなんてしない。

私はそうやって育てられたんだから。

私は心が落ち着いた頃、目に溜まった涙を拭いて前を向いた。

「あんたは一体何者なんだ?」

「私のことはつづりと呼んでください。多次元を渡り、次元改変を未然に防ぐ者です」

「カガリは、生きているんだな?」

「はい。彼女もあなたほどではないですが世界を変えるほどのことをやらかしていますからね。いまは帳消しの為に世界の監視役をお願いしています」

「監視?」

「自分で作り替えてしまった世界を、責任を持って見守る。

何者かに導かれるはずだった世界を変えてしまった分、代わりに導いてもらっているんです」

「なるほど、カガリと同じことを私にもやれと言いたいんだな」

「察しが早いですね。やってくれますか」

「こんな希望を手渡してくれたんだ。死ぬにも死にきれなくなった」

変に頭に取り憑いていた弱気にさせる何かはとうに消え失せていた

今の私には、生きる以外の選択肢がない。

「それは良かった。それでは、まずはこちらをお渡しします」

そう言ってつづりが手渡してきたものを見て驚いた。

「これは、ピリカのソウルジェム?!」

「体は手遅れでしたが、ソウルジェムは無事だったのでお返しします」

ソウルジェムを受け取ると、聞き慣れた声が頭に聞こえてきた。

[ふふっ、カレンが泣く姿なんて、あの人と別れる時以来かしら]

[見ていたのか。

・・・守ってやれなくて、すまなかった]

[ううん、あれは私のミスだもの。
もう自分で動くことはできないけど、魔力で守ってあげられるよ]

「まったく」

思わず口に出してしまった。

「実はシオリさんもソウルジェムだけは助けているのですが、こちらの都合であなたの活動に進展があったらそのご褒美としてお渡しに行きます」

「シオリも助かっているのか。ほんと、私らの覚悟が馬鹿みたいじゃないか」

「自殺めいた覚悟で誇ろうとしないでください」

「やれやれ、あの状況下で生きているとはね。日継カレン」

声の方向を向くとそこにはキュゥべぇの姿があった。

「何だ?ワルプルガと契約してとっくに姿を消していたと思ったが」

「残念ながら今はワルプルガと契約できるような状況ではない」

「環ういの“異変”のせいでだろ?」

「そこまで理解しているなら、何でこんな回りくどい方法をとったんだい?

君たちにとってはすぐにでも魔女化しない世界を手に入れたいはずじゃないか」

「さぁてね。あんたには理解できないことさ」

キュゥべぇの方を見ながら話した後に顔を上げると、知らぬ間に彼女の姿はなかった。

眼下に広がる街を見ているが、人気は全くなかった。

私達という神浜に集まった多くの魔法少女にとっての共通の敵がいなくなった後、魔法少女だけで生きていく目標は見出せるのか。

今回の騒動は、私たちが残した魔法少女にとっての最後の課題を提起した。

本当はこの世界の存在だけで好きにやってくれという感覚だったが、彼女の話を聞く限り放置するのはまずいらしい。

カガリと再開する為だ。

魔法少女の本当の敵を消して、この世界を安定させる手助けをしようじゃないか。

この世界に起きている異変はすでに顔を出している。

しばらくはその異変を消していく活動になりそうだ。

 

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【マギレコ二次創作小説】魔叙事詩カグラ・マギカ 4-10 魔法少女狩り前夜

「さて、これは誰の物語なのだろうね」

「急にどうしたんですかキュゥべぇさん」

北陽区にある高い丘の上から神浜の外を見つめていると、となりへいきなりキュゥべえさんが現れました。

これまでに起きた出来事は明らかに日継カレン達を中心に動いていた。これから起こる出来事は彼女達がいない中、誰が主役となるのだろうね」

「仮に誰かの物語だとして、キュゥべえさんは最後まで見守っていてくれるんですか」

「それは無理だ。ぼくはワルプルガが契約さえしてくれればこの星から離れてしまうからね」

「まあ、予想していた答え通りでした」

「しかし思わぬ延長戦だよ。まさか環ういがワルプルガを誰にも渡さないなんて言い出すなんて。
ぼくがワルプルガへ話しかけたとき、攻撃してきたことはこれまでの環ういの行動パターンからは想像できないことだったよ」

希望の光線と穢れの塊がぶつかったあの後、日継カレンさん、紗良シオリさんが行方不明となりました。

保和ピリカさん含めて死体が残っておらず、死んでしまったという確証がない状態です。

穢れの塊が里見メディカルセンターを葬った瞬間に、神浜の魔法少女達は里見メディカルセンターにいた人たちの叫び声が頭に響いて正気を取り戻しました。
日継カレン達を倒したという喜びとヒトを無意識に殺してしまったという後悔が心の中に広がりました。

中には何とも思わない方もいたようですが、日継カレンさん達を殺したいという私念は自動浄化システムを広げるタイミングを延期させるきっかけとなったのです。

自動浄化システムを広げられない原因は、ういちゃんが凶変し、鋭い目つきでワルプルガさんを渡さないと言いはじめたからです。

ワルプルガさん自身もなぜかういちゃんを母親だと思い込んでいるようで、第三者の意見を受け入れてくれません。

力づくでういちゃんからワルプルガさんを奪おうとする魔法少女も現れはじめたため、現在神浜ではういちゃんを守る派とワルプルガを奪う派で勢力が分かれている状況です。

一難去ってまた一難

魔法少女同士の争いが落ち着かない状態が続きますが、現状は魔法少女同士で争っている場合ではないのです。

「ーーーーーーー」

「そう、ありがとう」

いろはさんの行動を偵察していた使い魔から探していた魔法少女を見つけたという知らせが入りました。

もうじき神浜での不毛な争いは終わるでしょう。

しかし、まだ戦わなければいけない相手がいるのです。

「かこちゃん、果てなしのミラーズからまた数人の侵入者が確認されたよ。また土地の主導権を奪おうとする連中で、みんな苦戦しているよ」

「わかりました。私も向かいます」

私に状況を教えてくれたのは欄さんでした。海外から逃げこんできた魔法少女グループが、再び神浜の主導権を主張しているようです。

「キュゥべぇさん、この世界の物語はヒトの数だけ存在すると考えています。

そんなこの世界に、今は魔法少女の数だけ物語が紡がれていっています。

この世界が誰の物語かと問われれば、魔法少女みんなの物語と答えましょう」

私はキュゥべぇさんの答えを聞かず、欄さんと共に丘を降りていきました。

「…日継カレン、これは君が望んだ結果なのかい?」

 

 

神浜から海を越えて大きな大陸にある暗い部屋。

ガラス張りにされている壁へ手をつけている少女へ女兵士が話しかけます。

「レディ、日の本で起きた出来事の証拠映像を押さえました。

あと、ご依頼にありました魔法少女を調査している男の確保ですが、失敗に終わりました。

しかし」

「しかし何?殺されたというの?あなた達には魔女を倒せるほどの兵装をさせたはずよ?
そんな失態をして魔法少女と戦っていけると思っているの?」

「も、申し訳ありません!」

「イザベラ、話は最後まで聞かないと」

「…悪かったわ。続けなさい」

「はい…。男と共に魔法少女について調べていた少女を確保しました」

「魔法少女ではないのよね」

「はい、確認済です」

「十分な戦果よ。焦ってしまって申し訳なかったわ。今後の活躍を期待するわ」

「ありがとうございます!」

女兵士が部屋を出た後、刀を持った少女がイザベラと呼ばれる少女へ話しかけました。

「他人に当たるのは良くないよイザベラ。
ヨーロッパの兵器格納庫を襲撃されてすべて使い物にならなくなったことでイラついているのはよくわかるけどね」

「わかってるわよ、悪かったわね」

イザベラは机の上に置かれたタッチパネルを操作し、女兵士が集めてきた情報を閲覧します。

その情報を一緒に見ていた刀を持った女性が話し出しました。

「なるほどね。魔法少女が魔女とならない現象、魔女とならずに寿命を持たない彼女達が牙を剥く時期は間違いなく来る確証となるでしょうね」

「これくらい予想していたじゃないのキアラ。何のために調査と実験を繰り返してきたと思っているの」

「大国を背負う人間がやるようなことではないけどね」

「これも人間存続のための大切な贄よ」

イザベラは再びガラス張りの部屋を見つめました。

「人の道を外れた化け物どもめ、あなた達の思い通りにはさせないわ。
この星の支配者は、人間様なのだから」

ガラス張りの壁のその先には、銃弾やら刃物によって肉塊にされた、宝石が割れた後の魔法少女だったものが広い部屋にたくさん広がっていたのでした。

 

4章 シネントァ リシェ イデハ アラガエヌァイ ヨクボウ テキホンンォウ

 

4-9:BACK
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To be continue

【マギレコ二次創作小説】魔叙事詩カグラ・マギカ 4-9 その一矢に私念を込めて

このはさんに助けられて地へ足をつけた頃、目の前には葉月さんとあやめちゃんがいました。

その2人の体には、返り血が目立つように付着していました。

「その姿は」

「ヒトがいたから斬っただけだよ。かこちゃんはかなり変わったね」

「変わってない魔法少女なんて、神浜にはもういないですよ」

「かこ、あの塔の上で何があったのか説明してくれない?」

「わかりました。でも、行きたい場所があるのでそこへ向かいながら話しましょう」

私はあやめちゃん達にワルプルガが復活したこと、紗良シオリさん達の過去と彼女達が人間嫌いとなった理由について話しました。

「争いが絶えないのは過去から積もった私念が原因。ヒトは過去を尊ぶため私念からは逃れられない。だから人間社会を滅ぼす、か」

「はっきりと口では言いませんでしたが、彼女達の過去に出てきた師匠が今の彼女達を大きく突き動かしているようです」

自動浄化システムを広げた後は人間社会崩壊のための活動が待っているのね。
話を聞く限り、彼女達の仲間になる気はないけど、対立する理由もないわね」

「かこはどうするの?」

「私は彼女達を償わせるだけです。いやでも生き続けてもらい、こんな世界にしたことを償ってもらいます」

「それは、ななかを殺されたからこその覚悟?」

「私はななかさん達が死んでしまう原因を作ってしまった。

カレンさん達を償わせることが、私の償いでもあるんです」

「そう…」

私たちが向かった場所は、ももこさん達が塔の上から落下した場所でした。

3人は魔法少女であることが幸いしたのか体の形は保たれていましたが、体内の血が全て飛び出てしまったくらいの量の血が周囲に飛び散っていました。

「酷い有り様ね」

「3人ともにソウルジェムは無事のようですが、助けても心身ともに長くは保たなさそうです」

「魔力反応が極端に薄い。それに、体とのリンクも不安定になっている感じがする。

ももこさん、あんたをそうさせるほどのものはなんだったんだ」

葉月さんがももこさんへそう囁くと、ももこさんの指がピクッと動きました。

私は驚きました。もう目を開かないと思っていたので。

私が少しだけ回復魔法を使用すると、ももこさんは半目だけ開けた状態で葉月さんを見ました。

「よう、こんなザマのあたしに何の様だ」

「…さっき話したこと、聞いてたかい?」

ももこさんは苦しそうに一呼吸置いて話し始めました。

私は少しでも長く会話できるよう、ささやかな回復をももこさんへ行いました。

「あたしが黒いオーラを纏って暴れてる時にさ、初恋のアイツをぶっ殺しちまったんだよ。あの時はヒトとしての考えが残っていたのか、深く後悔したよ。

あれが最初に、あいつらをぶっ倒そうと思ったキッカケだった。

でもその次に調整屋の調子を狂わせにきたと聞いて、あたしはヒトよりもあいつらを殺さないといけないって思ったのさ

その後何度挑んでも勝てない。

でももう引けなかったんだよ。時々見に行った調整屋の様子を見るたびに殺意を抑えられなくなっていた。

もうあいつらを殺す以外、元に戻る方法が思いつかなくなっていた。

それで、今に至るのさ」

中央塔の近くで大きな爆発音が聞こえてきました。

歩いている途中でも聞こえていたので、中央塔付近でカレンさん達が戦い続けているのでしょう。

「ねえ、まだ殺すために戦いたいの?」

あやめちゃんがももこさんへそう尋ねました。

「疲れたよ。お願いだから、放っておいてくれ」

私は回復の手を止め、立ち上がりました。

「では、失礼します」

私がその場を去ると、何も言わずにこのはさんたちも私の後をついて来ました。

「かこ、これからどうするの?」

「カレンさん達の様子を見守ります。

殺されることはないと思いますが、殺されそうになった時は加勢します」

「仇を守るって、変わっているね」

「死ぬよりも生きるほうが辛いからこそですよ」

・・・!

いきなり頭が割れるように痛くなり、負の感情が増大していきました。

そしてソウルジェムが急激に濁ってドッペルが発動しそうになりました。

私はドッペルが発動する前に身に纏って意識を保ちましたが、あやめちゃん達はドッペルを出してその場で頭を抱えたままでした

ドッペルは中央塔を向いたまま動かず、ドッペルから伸びる穢れの煙が周囲からどんどん中央区へ集まっていました。

一体何が起こったの?

何かの力で穢れを増大させられながら中央塔付近へ来ると、穢れの集結先はいろはさん、まどかさん、そして黒い羽を広げたほむらさんへ集まっていました。

頭が痛む中、私はカレンさんへ話しかけました。

「これはどういうことですか!」

「おっと、シオリのドッペルが放つ洗脳波形を受けても正気でいられるとは思わなかったよ」

「洗脳波形?これ以上何をしようと」

「人間性からの卒業をさせるのさ。

夏目かこ、あんたは既に卒業しているから見逃してあげるよ」

カチャリと音が左から聞こえたので振り向くと、いろはさんとまどかさんが合体させた大きな弓をこちらに向けていました。

「いろはさん、まどかさん!武器をおろしてください!」

「聞かないさ。彼女達には暁美ほむらの外界からもたらされた力を通して私念に支配されている」

「洗脳で私念を呼び起こしているとでもいうのですか」

「みんなまだまだ魔法少女とヒトの中間にいるような状態だ。私念があれば怒り、悲しみ、憎しみの感情が嫌でも溢れ出てくる。

ちょっと脳みそいじって煽っただけでこれだけシオリ達に殺意が向くくらいだ。

私念を根こそぎ潰さないとねぇ!」

シオリさんの周りに砂鉄が漂い始め、大量の砂鉄が上空に飛び上がったかと思うと一本の棒状になって塔へ一閃を放ちます。

塔の一番上部分が落ちて来て、シオリさんの頭の上すぐのところで浮遊し始めました。

円錐形の部品はゆっくりと回転を始め、回転が加速するほど電気を帯びていきました。

その反対側にいるまどかさん達は弓矢へ負の感情を集めるようにチャージをはじめていました。

カレンさんは電波塔の方を振り向き、塔の後ろ側へ走って移動しました。

移動した先には穢れが溢れ出て動けない魔法少女が数人いました。

そんな魔法少女達へカレンさんは糸を放ち、絡め取るとまどかさん達の斜線上から離すように放り投げていきました。

射線上に他の魔法少女がいないことを確認すると、カレンさんがテレパシーで私に語りかけて来ました。

この時、私は既に頭痛から解放されていたことを知りました。

[ここから離れろ。お前も巻き込まれるぞ]

[死のうとしているあなた達を放っておくわけないじゃないですか!
お二人こそそこから離れてください]

[ここまでの段取りでわかるだろう?人間性からの卒業、私念の排除には憎き私たちを殺した悦びと共に後悔の意識を知らしめる必要がある。

喜びと同時に後悔の思いが襲った時、はじめて私念を捨てる選択肢が生まれる]

[そんな不確定な方法のために、死ぬ必要は]

[私たちが死ななければ彼女達はこれから戦うべき存在に集中できない。これは必要なことだ]

[でも、それでも!]

シオリさんが操る電柱は電気エネルギーが高速で回転し、魔力ではないレーザーを形成しようとしていました。

対面のまどかさん達にはほむらさんが加わり、禍々しい弓矢には紫色の翼が大きく広がりました。

「実験は成功だ。疑似的に一つの思念体となったこの事例は貴重!

私念の塊となったあんたたちにはわかるだろう?!」

双方のエネルギー量は凄まじく、周囲には音を消し去りそうな暴風が発生していました。

立ち続けることは可能な程度ですが、油断すると倒れてしまいそうです。

「憎いだろう、殺したいだろう!

さああんた達、私念を吐き捨てて見せな!

だが、その先には後悔があることを知るが良いさ!

その矢を射るのは洗脳されたからじゃない。統合私念によって露わになった、ヒトが誕生から抗えない本能の叫びだ!」

洗脳が解かれているはずなのに穢れが晴れる様子はありません。

そんな中でシオリさんは死ぬかもしれないのに、笑っていました。

[夏目かこ、離れろ!]

[離れません!]

私はカレンさんを連れ去るために手を伸ばしますが、手が届く前に糸で絡め取られてしまいました。

[私たちの分も、魔法少女達を見守ってくれよ]

その言葉を聞いた頃、私は遠くまで飛ばされていました。

「ダメェェエエエエエエエ!!」

カレンさん達がいた左右には糸の壁が張られ、まどかさん達の矢とシオリさんのレーザー砲が同時に放たれました

 

 

 

「うい、起きて、うい!」

私は聞いたことがある声に反応して目を開けました。

目の前には灯花ちゃんとねむちゃんが見下ろしていました。

「よかった、目を覚ました!」

体を起こそうとすると何かが乗っかっている感じがしてお腹の部分を見ると白いローブを着た女の子が寝ていました。

「聖女ワルプルガを奪おうという行いには驚いたよ。自動浄化システムを広げる鍵を手に入れたことは功績だけど、ういらしくない無茶だったね」

あの混乱した中で、私は何故かワルプルガさんを手に入れないといけないと考えていたのです

何故かは、私にも分かりません。

「うん、わたしもあんな無茶ができちゃったことに驚いてる」

「まあ、ういが無事でよかったよ。何か撃ち込まれた時が一番びっくりしたんだから」

「うん、心配させちゃってごめんね」

話していると電波塔あたりから沢山の穢れが感じられました。

「なに、あれ」

しばらくしないうちに私達には頭に激痛が走り、穢れが溢れて来ました。

「だめ、意識が保てない」

私は再び気を失ってしまいました。

どれほど時間が経ったか分からない頃、誰かに服を引っ張られる感触がしたことで意識を取り戻しました。

目を開けると正座をしたワルプルガさんが目を開けてこちらを見ていました。

「ワルプルガ、さん?」

「お母さん、起きたの?」

え、もしかして私に言っているの?

試しに私に指を差しって問いかけてみました。

「私が?」

ワルプルガさんはペコリとうなづきました。

どうしよう、とても大変な誤解をされている。

灯花ちゃんとねむちゃんに意見を求めようと周りを見ると2人はドッペルを出し、穢れが溢れたまま動いていませんでした。

「2人とも、どうしちゃったの」

ゴォオン!!

いきなり中央塔あたりから轟音と共に太陽くらいに明るい光が溢れて来ました。

塔から放たれた眩しい光は穢れが固められたような塊を押し返そうとしていましたが、穢れの塊から翼が生えて不気味な笑い声が響きました。

穢れの塊は眩しい光線をどんどん飲み込んでいき、ついに中央塔を貫きました。

穢れの塊は矢の形を保ったまま直進していき、ある場所に直撃すると大きな爆発を引き起こしました。

そのある場所というのは、私達には馴染み深い里見メディカルセンターでした。

神浜の人たちが魔法少女に殺されている中、里見メディカルセンターは唯一残された避難所として多くの人が避難していました。

そこへ穢れの塊が直撃したのです。

私には漂っていた穢れにのって里見メディカルセンターにいた人たちの悲鳴が聞こえて来ました。

みんなを守っていた兵士さんからお医者さん、子どもからおじいちゃんおばあちゃんまで、多くの人たちが穢れに飲まれて骨まで溶かされていく様子が頭の中に投影されました。

私はその光景を見ていると胸の辺りで何かが弾けた感覚を覚えた後、出したこともない大きな叫び声をあげて再び意識が途切れたのです

 

 

 

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【マギレコ二次創作小説】魔叙事詩カグラ・マギカ 4-8 良い人って、なんだろう

私は日継カレンさん達に捕まってから生まれ変わったように、別人のように考え方が変わってしまった。

ヒトは守るほどの存在じゃない

むしろ殺してしまった方が良い

そんな考えに至らせたものは、眠っている間にあったかもしれない未来を見せられ続けたから。

 

お父さんとお母さん

 

海外出張に出ている2人は、出張先で楽しいことばかりではなく悩んだり、苦しいことを経験する。

その原因はいつだってヒト。

お父さんやお母さん自身も「仕事のため」と言って他のヒトを悲しませている。2人にそんな気がなくても、結果は悲しませている。

それは人間社会で“しょうがないこと”として容認されてる。

ヒトを傷つけてはいけないと、小学校の道徳の時間にそう教わった覚えがある。

この矛盾はなんなのだろう?

お父さんもお母さんも、他人の「その気がない」行為で心が傷ついている。

人間社会って、他人を傷つけないと維持できないものだったのかな?

わたしは、お父さんとお母さんがその気がない非道を行った先にいるヒトたちの末路を目にして、涙した。

 

学校の友達

 

転校前もその後も、表面上の友達はいた。

でも、いつも一緒にいたいと思える友達なんていなかった。

わたしの知らない話で盛り上がっていて、ついていけないっていうのもあったけど、わたし自身、仲良くなろうって思う気がなかったのかもしれない。

魔法少女の子達とは積極的に接しようと思えるのに、この差はなんなのだろう。

いじめや先生との意見の食い違い、そんな場面はたくさん見てきたけれども、そのどれもが魔女の仕業ではなく、そのヒト達自身が原因で生まれた負の感情だった。

悪意は魔女がいるから芽生えるものではない、ヒトが生み出していたんだ。

どうしてヒトは、負の感情を生み出して、他人へぶつけてしまうのだろう。

負の感情を他人へぶつけて楽しむ学校の子達を見続けて、わたしは胸が苦しくなった。

 

ういについて

 

ういは自分が死んでしまうかもしれない状況でも、諦めずに笑顔で生きてきた。

生きる未来を手に入れたういは中学校に上がると、いじめられている子を目にして止めに入るんだけど、逆に標的にされていじめられる未来を見た。

どうしていじめをするの?

大抵の理由はなく、行き場のない負の感情をぶつけて、優越感に浸るのが目的だった。

そんないじめっ子も説得させようとするうい。

見かねた先生がいじめっ子へ注意していじめがなくなったとしても、ういといじめっ子の溝が埋まることはなかった。

どうしたらみんなと仲良くできるのか、そんなことを考えてしまうういが陰で泣いている未来を見て、わたしも泣きそうになった。

そしてういが大人の世界に入った時、他人を傷つけなければ生きていけない世の中を目にして毎日悩むういの姿があった。

わたしが間違いなの?みんなが幸せにならないのが普通なの?

大人にういは「考えが甘い」と言われ続けた。

次第にういの目から光は消えていった。

ういはそんな未来に生きて幸せ?

私はういが大人に近づくに連れて傷つけられていく未来を見て、ヒトが嫌いになった。

「いいヒトだっているかもしれないよ?」

そんな言葉が頭に過った。

いいヒトって、誰だろう?

人間社会でのいいヒトは思いつくけど、みんなを幸せにできるいいヒトなんて思いつかなかった。

じゃあ、もういいよね?

ういを傷つけるヒトという存在は、いなくてもいいよね?

 

 

ういを追いかけようと思ったけど、タイミングを失ってそのまま降りちゃった。

灯花ちゃんとねむちゃんが向かったし、無事だと思うけど。

「いろは!」

後ろを振り向くとやちよさん達がいましたが、すぐに近くには寄って来ませんでした。

「私たちのことがわかる?いろは」

「はい、わかります。ご心配おかけしました」

「よかったよぉいろはちゃん!ちゃんと正気に戻ったんだね!」

そう言って鶴乃ちゃんが私に抱きついてきました。

「正気かは謎だけど、もう無闇に暴れたりしないよ」

「それで、あいつらはどうしたんだよ」

「カレンさんは」

「やっと降りてきたわね日継カレン!」

怒鳴り声に驚いて後ろの方を向くと電波塔を背にして立っているカレンさんとシオリさんの姿がありました。

あとは見覚えのない魔法少女の姿が。怒鳴ったのは大きな棍棒を持った魔法少女でした。

「どうした、二木市と三重崎の魔法少女。まだやるべきことは終わっていないぞ」

ワルプルガという少女を神浜の魔法少女が奪って行ったというのは既に知っているのよ。

あとは自動浄化システムが世界に広がるよう願わせればあなた達の役目も終わりでしょう?

ならば、ここで処しても変わらないわよね!」

棍棒を振り下ろしながら口調を強めに魔法少女は話した。

カレンさんは服についた埃を払いながら気だるそうに答えた。

「フライング気味だよ、紅晴結菜。

種は確かに飛んだ。でも花を開くまでの水と肥料が私たちなしでは間違いなく粗悪品で終わり、結果は悲惨となるだろう。

ここで私たちになり変われるほどの思考があるっていうなら、かかってきても構わないさ」

「うるせぇ!さっさとくたばれ!」

そう言って銃を持った魔法少女3人がカレンさん目掛けて発砲しました。

「長女さんさ、樹里さまも我慢できねぇんだわ。

ヤッていいか?」

「…許可するわ」

「待ってました!」

そう言ってカレンさんには火炎放射も降りかかりました。

悲惨な状況の中、炎と銃弾の雨の中から鉄塊がいくつか飛び出してきて、銃を持っている魔法少女と火炎放射器を持っている魔法少女の右腕に直撃しました。

カレンさん達に降り掛かる攻撃は止み、無傷のカレンさん達がその場にいました。

「私念たっぷりだねぇ。そんなんじゃ、極上なタネも腐っちゃうよ」

「この前のようにはいかないぞ!」

そう言って二木市の魔法少女と思われる集団がシオリさんへ襲いかかりました。

「したっけ倒せるかい!」

シオリさんは周囲に電気を走らせ、地面に足をつけた魔法少女は痺れていました。しかし足を止めることはなく、そのまま刃物を手にして前へ進みました。

「ふっ、感覚が鈍くなったからむしろ戦いやすいまであるね」

シオリさんは背中の帯を操り、襲いかかる魔法少女に応戦していました。

帯はしなやかに動きながらも先端は鋭利な刃物のようであり、ソウルジェムがある場所以外は容赦なく叩き、突き刺していきました。

カレンさんの方を向くと既に戦っているようであり、その相手は五十鈴れんさんでした。

「悪意の根源を絶てる。それは五十鈴れんにとって望ましいことではないのか?」

「あなた達は梨花ちゃんを悲しませた。だから私は、戦います…!

れんさんがカレンさんから離れると、後ろからビーム光線と薬品が飛んできてカレンさんは爆発に包まれました。

カレンさんの周囲は繭のように包まれていて花が開くように繭が消えていきました。

「察しが良いあなたならば理解できるはずだ。これは無意味な争いであると」

「そうだな。でも確認しなければいけないことがある」

ひなのさんの周りには梨花さん、れんさん、エミリーさんだけではなく令さんもいました。

「どうしてお前達はヒトの殲滅にこだわるんだ。中には良いヒトもいるかもしれないじゃないか。

そんな奴らも殺してしまうのか?」

シオリさんの方から飛んできた銃弾を扇で弾いたカレンさんが話し始めます。

「良いヒトとは、誰にとっての良いヒトなんだ?

ヒトか?お前にとってか?それとも魔法少女にとってか?

あるヒトにとっては良いヒトかもしれないが、第三者にとっては害を成す存在となっている場合がある。

その基準は誰の基準なのだろうな」

「お前にとって良いヒトはいなかったのか」

「1人だけいた。私たちにとっては師匠のような存在で、師匠は私にとって最初で最後の良いヒトであった。

そして師匠は一般人からは悪人として扱われていた。

まだ納得できないことはあるか?」

「そうか。価値観の違いは誰しも起こりうるものだろう。

だが価値観の違いは魔法少女同士でも存在する。それでもヒトよりも良い世界を作れると本気で思っているのか」

「できるさ。少なくともヒトよりまともなね」

ひなのさんとカレンさんの会話を聞いていると後ろからフェリシアちゃんにつつかれました。

「なあいろは、オレ達参加しなくて良いのかよ。あいつらに酷いことされたんだろ?

ぶっ飛ばさねーのかよ」

「確かに酷いことはたくさんされた。でも戦う理由が見つからなくなっちゃったの」

「なんだよそれ」

「そういえば、ういちゃんはどうしたんですか?」

「ういはワルプルガさんを捕まえて、今は灯花ちゃん、ねむちゃんと一緒にいるよ」

「ワルプルガ、その子が彼女たちの言っていた自動浄化システムを世界に広げる鍵なのね。

それならば、今までやられたことの仕返し以外に戦う理由はないわね」

「やちよも戦わないって意見なの?」

やちよさんが周囲を見渡し始めたので私も周りを見てみると、神浜の魔法少女達がカレンさん達を囲うように集まってきていました。

「みんな、カレンさん達を恨んでいるんだ。ヒト嫌いにさせられて、大切なヒトを殺してしまった元凶だから」

「彼女達を擁護する気はないわ。神浜の子達が危ない状態になったら私は動くわ。

あなた達が戦いたいのであれば止めはしないわ」

冷静になればなるほど、私たちにはカレンさん達と戦う理由はすでになくなっていた。

神浜のヒトへ酷いことをしたから

今までの私たちであればそんな理由で戦っていたのかもしれない。

でも今の私たちは、守るべきものがヒトではなくなってしまっている。

自動浄化システムを広げる手筈をとってくれたカレンさん達を倒さないといけない理由はどこにもない。

それでもカレンさん達へ襲いかかる魔法少女がいる。

そんなみんなは、ボロボロになって倒れたり、膝をついたりしていた。

「どうした、軽く30人は同時に襲いかかってきたはずだ。

それでもシオリ達を倒せないなんて、まだまだ戦い方の鍛錬が足りないんじゃないの?」

シオリさんの言葉に応える魔法少女はいなかった。

まあそんな中途半端な覚悟じゃ今後もやっていくの難しそうだし、

卒業式を行おうか。ヒトからの卒業式をさ」

 

 

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【マギレコ二次創作小説】魔叙事詩カグラ・マギカ 4-7 イレギュラーリジェネイト

「下でいくら騒ごうが、ここへ至る術は見出せないようだね。
ま、シオリ達の立場でもお手上げな状態だから仕方がないよね」

塔の麓の騒ぎはどんどん静かになりつつある。

しかし同時に気になっているのはピリカが魔力の使いすぎによる疲れを覚え始めているからだ。

本来であれば何度も魔女化するほどの魔力を無制限に使用しているのだから無理もない。

ワルプルガの復活は近いが、その前にやっておくことが残っている。

「夏目かこ、お前が2人の過去を覗き見たことを許したわけではない。潔いなら前へ出ろ、争うなら武器を構えろ。

さあ、アクションを起こせ!」

「どうしてもあなた達から手を出そうとはしないのですね。お二人の過去を見たことが気に食わないのであれば私念を込めて攻撃してきたら良いものの」

「目的なしに感情のまま力を振るうのはヒトのやることだ。

獣から進化してもなお本能から消えなかった負の遺産。

そんなものを持っているから行き違いや無意味な殺生が横行して、戦いが目的なんて世の中になるのさ」

「あなた達の人類史を終わらせるという考えは、私念からきているのではないですか?!」

「暁美ほむら、私たちがやろうとしているのはヒトを殺したいという私念が集まってできた結果ではない。

世界の魔法少女を見てきて、やらなければいけないと見出した目的だ。

今目の前で起きている出来事も手段に過ぎない。目的の結果はまだ目に見えてなどいない。

だが私念というのは今すぐ目の前で結果を得たいがために行われる愚かな行為ではないか。違うか?」

「私にはただの言葉遊びにしか聞こえないけど、あなた達はこのあと何をしようとしているの?」

「答えが知りたければ目的の軌跡を辿ればいい」

「あなた達が私念で動かないというのであれば、わたしはエゴで動かせてもらいます」

夏目かこは武器を取り出し、魔力を込めて石突きを地面へ力強くつけた。

すると周囲に強いリジェネ効果が発動し、塔上の瓦礫上にいる全ての魔法少女が動けるほど回復した。

「ういさん、行ってください!

あなたにはやりたいことがあるのでしょう!」

「は、はい!」

環ういは凧を呼び出してその場から飛び上がった。

「上空、まさかワルプルガをそのまま連れ去る気か!」

「無邪気ってのは怖いな!」

シオリがレールガンで環ういの行手を阻もうとすると、回復した見滝原組がシオリへ襲いかかってきた。

暁美ほむらに関しては不気味な黒い羽を広げていた。

わたしの前には環いろは、里見灯花、柊ねむが立ちはだかっていた。

「これ以上ピリカに負担をかけるわけには」

左側から数本の槍が飛んできた。

十咎ももこ達も回復の対象に入っていたか。

「こっちはわたしが止める」

「ピリカ!無茶だ!」

シオリの方からは爆風が伝わってきて、超電導で振動するシールドで見滝原の魔法少女の行手を阻んでいた

「飛べばいいってもんじゃないぞ」

シオリは一門のレールガンの弾丸を鉄塊からカースシードへと変えて鉄塊のレールガンと共に環ういへ放った。

環ういは先行して放たれた鉄塊の弾丸を2発避けたものの、3発目に放たれたカースシードを避けることはできなかった。

カースシードは環ういのソウルジェムには命中しなかったものの比較的近い場所へ当たり、肉体を貫通することなく体内へ止まった。

命中した際の衝撃で環ういは大きく背後にのけぞった。

「うい!」

環いろはがそう叫んだ後、環ういは器用に凧の上で踏み止まり、胸元を押さえながらワルプルガ目掛けて突撃した。

「負けるものかぁあああ!」

ワルプルガを囲う結界へぶつかる前に環ういは正面に4体の凧を呼び出して4体の凧は結界へ穴を開けるように合わさって回転し始めた。

結界には容易にヒビが広がっていき、環ういが結界へ接触して5秒後には結界が砕けた。

白衣のローブに包まれて髪も結われていないワルプルガは環ういが抱き抱え、そのまま意識がなくなったのか凧が粒子となって消えながら地面へ落下していった。

「みんな、ういの元へ連れて行って」

「うい!!」

柊ねむはウワサと共に、里見灯花は器用に傘をロケット状にして環ういの元へと急いだ。

ワルプルガが奪われたのは大事件だ。

しかし同時に起きた悲劇がわたしにとっては大きな衝撃だった。

 

 

十咎ももこ達の対応にあたったピリカは最初に秋野かえでを標的にした。

秋野かえでは魔法の力で蔦を召喚してピリカを縛り上げようとしてくる。

イペタムはピリカの拘束を許さず、蔦を薙ぎ払ってピリカは秋野かえでを斬り上げようとした。

そこへ水波レナが間へ入り、槍でピリカの攻撃を受け止めた。

ピリカがイペタムから手を離すとイペタムはそのまま水波レナと鍔迫り合いの状態となり、フリーハンドなピリカは秋野かえでの溝落ちを殴った後回し蹴りを喰らわせた。

反応できなかった秋野は武器を地面に落とし、地面を滑るように吹き飛ばされて動かなくなった。

イペタムは元々1人でに動き出す妖刀であり、必ず誰かが持っていなくてはいけないものではない。

しかし魔力または生命力を供給しなければイペタムは1人で行動できない。

今回のように少しだけ手放す場合はピリカと分かれて行動することができる。

そんな1人でに動く刀を目にして驚いた水波レナの隙をついてイペタムは鍔迫り合いをやめて柄の頭を水波レナに打ちつけた。

それは格闘家に殴られたほどの衝撃であり、水波レナは怯んだ。

そして再びピリカがイペタムを手を取り、力のこもった斬撃を繰り出した。

よろけた水波レナは槍で斬撃を防いだものの、衝撃に身を任せるかのように吹き飛ばされて瓦礫に打ち付けられて動かなくなってしまった。

「オラァ!」

十咎ももこが高く飛び上がって大剣をピリカへ振り下ろしたがピリカは受け止めることなく避けた。

「出鱈目が過ぎるぞ、あんた!」

本来の目的を見失って戦いが目的となったあなた達の行いが理解に苦しみます」

「全部、おまえたちのせいだろうがああ!」

そう言って十咎ももこは大剣をピリカへ投げた。。

しかしその大剣はピリカにあたることはなかった。ピリカはそのまま十咎ももこの動きを止めにかかる。

イペタムは剣先を十咎ももこに向けてそのまま前進し、それは十咎ももこの腹部へ深く突き刺さった。

これは丁度環ういへカースシードが撃ち込まれたタイミングと同じ

避けようとしなかった十咎ももこに驚き、ピリカは剣を引き抜こうとするが既に遅かった。

十咎ももこは力強くピリカを押さえ込み、さらにはドッペルを出してそのドッペルでもピリカを抑えた。

「構わずやれ、かえでぇ!!!」

ピリカは後ろを向き、背後に近づいてきていたのは十咎ももこが投げた大剣を地面に引きずりながら走ってくる秋野かえでの姿だった。

「ウワァアァアアア!!」

秋野かえでは大きく大剣を振り上げ、重力に任せるがままにピリカの背中を斬りつけた。

必死にピリカはもがいたが、いよいよ振りほどくことは叶わなかった。

十咎ももこの大剣は先端が出っ張っている鉈のような形をしていてそんな形状のためか秋野かえでの一撃はピリカの背中を大きく抉った。

脊髄にまでダメージが入ったであろう一撃を受けたにも関わらず、ピリカはその場で踏ん張り、突き刺さったイペタムをそのまま一回転させて十咎ももこの体を真っ二つにするように斬り上げた。

イペタムは十咎ももこの左肩を通って自由の身となった。

地面がピリカと十咎ももこの血で池が形成された状況の中、ピリカはゾンビのようにうなだれたままその場から動いていなかった秋野かえでの右手を斬り落とした。

十咎ももこは声を上げることなくドッペルが消えると同時に背中から血の池へ倒れ、秋野かえでは斬り落とされた腕を見ながら二、三歩後退りしてその場にペタリと座り込んだ。

そんな光景を見て、動けない状態だった水波レナは大きな叫び声をあげた。

この声を聞いて初めて環ういが落下していく様子に夢中となっていた各魔法少女達が悲劇の現場を目にした。

水波レナは7枚ほどの鏡を呼び出してそこから五月雨に槍がピリカへ降りかかった。

ピリカは背中と口から血を流しながらも糸で操られた人形のようにイペタムを振るって降りかかる槍を弾いていた。

1本もピリカへ槍が突き刺さらない中、水波レナはドッペルを出し、鏡から出た大きな足はピリカへ向かってかかと落としをした。

ピリカは踵の下敷きにはならなかったものの、踵落としの衝撃でその場の地面が崩れ、衝撃と共に地面へ落下して行った。

[2人とも、ごめんね]

そう頭にピリカの声が響いた。

「ピリカ!」

わたしがそう叫ぶといきなり空中の足場が不安定となり、電波塔上空の足場は重力に従うがままに地上へ落下して行った。

見滝原のメンバーは鹿目まどかを翼が出現している暁美ほむらが助け、美樹さやか、佐倉杏子は巴マミのリボンで集められ、小さな魔法少女のドッペルにつかまってゆっくりと地面へ落下していた。

環いろはは自分のドッペルでパラシュートを広げたようにゆっくり落下し、夏目かこはどこからともなく現れた他の魔法少女のドッペルに助けられていた。

「このはさん?!」

「来るのが遅れてごめんなさい。下で葉月とあやめが待っているから状況を説明してもらえるかしら

「…はい」

地上ではポンベツカムイが悲しげな雄叫びを挙げながら粒子となって消えて行った。

そして地上の魔法少女達は瓦礫から逃げるのに大忙しだった。

「みんな早く逃げて!」

逃げ遅れた魔法少女が数人いる中、上空に浮いていた瓦礫は全て地上へ落下した。

私とシオリは糸で落下速度を軽減させながら降りたので無事だったが、共有していたピリカの魔力がけは感じ取ることができなかった。

「ポンベツカムイも消えて。ピリカ、まさか本当に」

信じられなかった。

今までに人としては死んでいたであろう場面でも魔力反応が途絶えたなんてことはなかった。

ここで、私はピリカという仲間を失ってしまったんだ。

 

 

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【マギレコ二次創作小説】魔叙事詩カグラ・マギカ 4-6 電波塔の麓では

環うい、里見灯花、柊ねむの3人によって黒いオーラを纏っていた神浜の魔法少女達は正気を取り戻した。

しかし、正気に戻ったところで目に光が宿っている魔法少女など、誰1人いなかった。

「いやぁあああああああ!」

「お父さん、お母さん、返事してよ!」

「この子達を、私が、この手で」

正気に戻っても、ドッペルを出しながら人を襲った記憶は残っていた。
多くの魔法少女が嘆き、悲しんでいた。
しかし多くの魔法少女の心の奥まで刻まれたヒトへの負の感情は、ヒトを殺すことへの躊躇を薄め、その変化に違和感を与えていなかった。

 

 

私の持つ槍についた赤い液体。

どうやら私も、人を殺してしまったようね。

やってしまった後悔を抱くことなく、わたしは電波塔の頂上に目を向けた。

いろはやみんなをおかしくしてしまった日継カレン達を、倒さなければいけない。

その考えが真っ先に頭に浮かんだ。

「他のみんなは」

周りを見渡すとダルそうなフェリシアを見つけた。

「やちよ、お、俺」

「フェリシア、大丈夫、ではないわよね」

「やちよ、ここにいた!」

鶴乃は二葉さんと一緒だった。

でも、二葉さんの様子は少しおかしかった。

「さなちゃん、人殺しは後で早くいろはちゃんのところへ行かないと」

「そうですね。いろはさんも人を殺したがってたし、一緒の方が楽しいですよね」

口には出していないけれど、わたしも人殺しを躊躇する気持ちはなくなっていた。
人を殺してはいけない理由が、もう思い浮かばない私は二葉さんの発言に拒否反応を起こすことはなく、むしろ歓迎しようとしている気持ちがあった。

前から黒いオーラを纏った子は人殺しを躊躇しなくなるとは聞いていたけど、本当だったのね。

「さて、みんな揃ったし、いろはを助けるために電波塔へ向かいましょ」

電波塔へ向かう道中には生きている人の姿がなかった。
ヒトであった肉塊自体も少なく、異臭といえば肉が焦げたような匂いしか漂っていなかった。
この騒動が治まった後は、この肉塊の処分方法も考えないといけないわね。

顔を上げると空は曇っていて、光は電波塔の上で輝く球体くらいしか見つけられなかった。
果たして今は昼間になっているのか、それとも夜なのか。今どの時間帯に位置するのかも知ることができなかった。
もはやこの神浜は、魔女の結界と同じ状況なのかもしれない。

中央区へと足を踏み入れると、電波塔の麓では既に誰かが戦っていた。

「もう既に誰かが戦ってる?」

「でもあの首長竜、見たことあるぞ」

「ピリカさんの呼び出してたやつね。しばらく観察してみましょう。あの生物の情報が足りなすぎるわ」

私たちは瓦礫に隠れ、首長竜に立ち向かう魔法少女達を観察した。

大きな金棒を持った魔法少女が首長竜へ武器を叩きつけようとしても液状化して避ける首長竜。

炎をいくら浴びても湯気が上がるばかりで首長竜の形が崩れることもなかった。

魔法少女会議の際に独断行動を取ると言っていた二木市の魔法少女達は、全く歯が立っていなかった。

「負傷した子はいったん下がりなさい!さくや、退避する子の援護をして」

「三女さん、あんた頭がキレるんだからなんか思いつかないのか」
「浮かんでたらとっくにやってるよ。こういうバトルなららんかの方が攻略法見出せるんじゃないの?」
「わかってたらとっくに倒せてるっての!」

「ええい!お前らどけろ!樹里様の超火力で蒸発させてやる」

二木市の魔法少女達が首長竜から離れて、樹里と呼ばれる魔法少女が首長竜を覆い隠すほどの炎を放った。

炎の中で首長竜はうごめき、大きな魔力反応を感じた頃には首長竜がいたところから大波が発生した。

その大波は二木市の魔法少女達を呑み込み、水圧に耐えられる魔法少女がいるわけもなく、みんな瓦礫に打ち付けられて倒れてしまった。

「やちよ、あの首長竜凍らせることはできないのかな」

「氷を扱える子に覚えはないわね。このあたりにも凍らせる方法はなさそうだし」

「じゃあ、あの首長竜は彼女達に任せて、私たちは塔を登っちゃうってのはどう?」

「そうやったらどうなるかも含めて静観しているのよ。あの首長竜の感知能力が普通の生き物と同じと思っちゃいけないわ

「おい、誰か来たぞ」

フェリシアの言葉を聞いて、戦場を再び見ると、首長竜がいる反対側から欄という名前の魔法少女とその仲間達は黒羽根たちが使っていた鎖を駆使して塔へ登ろうとしていた。

そんな彼女たちが塔を登ろうとすると、塔全体に電撃が走った。

そして声が聞こえた。

[視覚外から入ろうという小細工、我らの前では無意味と知れ]

その後欄とその仲間達には落雷が襲い、皆塔から離れていった。

「あら、ダメなのか」

「こうなったら上空から降りる以外方法が浮かばないわね」

「んあ?あの生き物ぶっ倒すって考えはないのかよ」

「倒し方がわかれば苦労しないわ。方法が浮かばないから倒さなくても塔の上へ行く方法を探しているんじゃない」

前方の状況にしか注目していない中、後方の瓦礫の上から大きな魔力の反応を感じた。

振り向くとそこには手鏡を巨大化させて魔力のレーザー砲を撃とうとする綾野梨花の姿があった。

「いっけぇーーーーー!!」

放たれたレーザー砲は中央塔へ命中し、そのまま溶けて崩れ落ちると思われた。

しかしレーザー砲は鉄塊でできた障壁に阻まれて塔本体へは届かなかった。

綾野梨花がいた場所へ首長竜の周りに現れた雷槍が飛んでいき、反応できなかった彼女を五十鈴れんが助ける様子まで確認できた。

中央塔は首長竜だけではなく、紗良シオリのギミックにも守られていた。

「あの生物を倒せても、いくらでも防ぎようがあるってことね」

「打つ手なしかよ!」

そう、私たちにはできることがなかった。

いろは、あなたは塔の上でどういう状態になっているの?

 

 

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【マギレコ二次創作小説】魔叙事詩カグラ・マギカ 4-5 イライケレン

環いろはと鹿目まどかを助けたのは、私との接触を避けた魔法少女達がきっかけだった。

たった一つの街でも、縁がなければ出会えなかった魔法少女なんてたくさんいるだろう。

とはいえ、たまたま出会えなかった魔法少女がピンポイントにここまで大役揃いだという偶然があるだろうか。

予想もできないような奇跡を目の前で二つも目撃できたのは、その偶然のおかげかもしれないが。

目の前で起きた一つ目の奇跡は、3人の魔法少女によって行われた全魔法少女の縁を切っていくという壮大な光景。
夏目かこも、あの三人も縁を認識できるような能力は元々持っていなかったはず。知らないだけで、私以外に縁を視認できる存在が彼女たちへ縁を切る方法を伝えたとしか思えない。

とはいえ、魔法少女達の暴走が解かれようが悪夢を刻み込んだ時点ですでに目標は達成している。

もう一つの奇跡は、縁を切らなくとも黒いオーラが解除されて目の前に現れた見滝原の魔法少女達。

あの結界の中で何が起きたのかは知らないが、私たちの計画に狂いはない。

「驚いたよ、この一時で神浜にいる魔法少女が皆正気に戻るなんて誰が予想できたか。

さて、このまま待てば自動浄化システムが世界へと広がるのは必然だ」

「でも、黙ってる気はないんでしょう、あんたたち」

「まあ目的のことだけ考えると、あなたたちの邪魔をする必要はないよね。
でも確認しないといけないことがあるんだよー」

「いいよ、答えられることなら返事をしよう」

「大昔の人物、聖女ワルプルガを蘇らせたとして、そこにいるワルプルガってただの少女だよね。気になるのは記憶をどこまで持った状態で蘇るかだよね。そこらへんはちゃんと計算してるかにゃぁ」

「里見灯花が指摘した通り、故人を蘇らせると所持している記憶が一体いつからいつまでのものが残っているかなんて保証はされていない。
もしかしたら、空っぽの赤子同然で蘇るかもしれない」

「でも、シオリがこれまでの歴史をワルプルガへインプットするから少なくとも言葉が理解できる状態で復活するから安心しなさい」

「それは、誰目線の歴史と記憶をインプットするのですか」

「かこさん、それは勿論、”魔法少女”の目線でだよ」

「あなたたちの魔法少女目線というのは偏った思考です。ヒトは愚かであると、そんな歴史と記憶を教え込むということですよね」

「間違いではないでしょう?」

「それは違うよ!」

否定的な声をあげたのは環ういだった。

そういえば彼女へは悪夢を共有していなかったか。

「うい・・・」

「だって、おかしいよ。

みんなの生活を守るために、私達は魔女と戦っていたんだよね。人の中にはひどいことをする人もいるかもだけど、でも、全員ではないから。
私は、それはダメだと思う」

「と、妹は言っているが姉としての意見はどうかな?」

環姉妹は目を合わせ、何かが通じ合ったかのように姉の方はうなづいた。

「ういがそう考えるなら、私もカレンさんたちのやり方に抵抗します」

「そうか、妹を優先したか」

「お姉さまとういがそういうことなら、私も抵抗しちゃおうかな?
願いを叶えさせるならばワルプルガが誰の手元にいてもおかしくないでしょ?」

「私はまどかを苦しめたあなたたちを許さない。だからあなたたちには抗うわ」

各々の意思表示が行われた後、ピリカが一歩前に出てイペタムを振り下ろした。

「余計な争いはお勧めしません。
抵抗するようであれば、四肢を十分に動かせなくなることを覚悟しておいてください」

皆が攻撃態勢になっている中、夏目かこ達は武器を構えていなかった。

「夏目かこ、あなた達はどうする?」

「私たちにとっては争う理由がありません。遠くから静観させてもらいます」

「そうか、でもお前への仕置きが後で待っていると覚えておくんだな」

私は糸状の扇を取り出し、環いろは達にその先を向けた。

[シオリ、ピリカ。深追いも無理もするんじゃないよ。全てを見届けるまでは死ねないからね]

[何を今更。ワルプルガが願いを叶えた時点で袋叩きに会う覚悟くらいできてるってるの。神浜の外へでたがるやつもほとんどいないし、戦う分には問題ないよ]

[大丈夫、抑える]

[いいだろう]

そう、死ぬにはまだ早い。

せめて自動浄化システムが広がるまでは。

「さあ、お前達の希望を輝かせてみせろ!」

 

最初に仕掛けてきたのは見滝原の魔法少女達だった。

美樹さやかと佐倉杏子は真っ先に矢先をシオリへ向けていた。

シオリは周囲に浮かぶ鉄塊を雷の力を使って2人の進撃を遮ろうとするが、軽やかにかわしてスピードが落ちる気配がない。

こちらも行く手を妨害しようとしたが、こちらはこちらで環姉妹と元マギウスの2人が襲いかかってきていた。

[シオリの援護に集中して!]

そう言ってピリカは環ういへ斬りかかった。

「ならば容易い」

私は糸を放って美樹さやかと佐倉杏子の足と武器を持つ手を貫いた

「2人とも!」

巴マミは複数のマスケット銃を召喚して私たちに向けて一斉発射してきた。

糸の壁を3重に形成し、2層までは貫かれたものの、一発たりとも3層目は突き破れずに銃弾は速度を失ってその場に転がった。

その後追撃で鹿目まどかと暁美ほむらが弓で壁を攻撃し、糸の壁が目の前から消えた。

シオリが電車のレールを2本宙に浮かせて、電気を帯びたまま2本のレールは美樹さやかと佐倉杏子に向けて飛んでいった。

しかし間一髪で銀髪の魔法少女がドッペルと思われる者で駆け抜けて2人を救出したため血飛沫が広がることはなかった。

間髪入れず、巴マミは巨大なマスケット銃を生成し、こちらへ銃口を向けた。

「ティロ・フィナーレ!」

「したっけ勝てるかい!」

放たれたときの風圧は凄まじいものだった。

シオリは銃弾が放たれる直前に何か聖遺物を発動したらしく、突き刺さったレール2本には冷気が纏われ、銃弾に向けて傾斜を向けるとレールは円形に歪みながらも銃弾はレールを添うように空中へ打ち上がり、花火のように光が空中に広がった。

「ティロ・フィナーレが防がれた?!」

「超電導ってわかるかな?接触起爆式にすることをお勧めするよ」

そう言ってシオリはガードレールを二枚ごとにぶつけ合い、合計四門のお手製レールガンを作り出した。

「防げるか?防げるほどの奇跡が、あんた達にはあるか!」

そう言ってシオリは一斉にレールの間にある鉄塊を冷気を纏ったことで速度を増して放たれた。

いつ放たれたかわからないスピードで4発だけではなく、すぐに鉄塊が装填されて4門から合計5回も斉射が行われた。

しかし足場が崩れることはなく、土煙が晴れると暁美ほむらが見たこともない時空の裂け目のようなものを展開させて鉄塊を別の空間に移動させてしまったようだ。

「魔力の力が会ったときよりも強い。時間を止める魔法はどうした?」

「あなたたちには関係ない!」

そう言って一矢放ったもの、シオリは帯で軽くあしらった。

「まああの中で何があったかは知らないけど、ドキドキさせてくれるじゃないの!

環ういへ斬りかかったピリカはなにか話しかけていた。

「あなたの一言がここまで不毛な戦いを生み出した。言葉の重みを知りなさい!」

「ピリカさん、どうして」

環ういは凧のようなものを呼び出してイペタムを押しとどめていた

「自動浄化システムが広がってからでも良かったはず。なのに!」

「ダメだと思ったから、人を不幸にさせちゃいけないから」

「その人は私たちを汚れさせるというのに!」

「うい!」

環いろはがボウガンをピリカへ数発放ち、ピリカは環ういから離れた。

そんなピリカへ里見灯花は炎を放ち、柊ねむは光る紙切れを飛ばしてきた。

いずれもピリカは一振りのなぎ払いで消滅させてしまい、瞬時に環いろはの懐に飛び込んで脇腹から思いっきり斬り上げた。

環いろはの腹からは致死量の血が流れ出し、他の3人は絶望の眼差しだった。

「ここでは、終われない!」

環いろははドッペルを纏って致死量の血は包帯に包まれて血の流出は止まっていた。

「お姉さま、その姿は?!」

「穢れを纏うならば、何人たりとも私を超えることはできません。超えたいならば、輝かしい希望を携えなさい!」

イペタムは穢れに強く、さらには相手の希望を奪う。

魔女だろうと、魔法少女だろうとイペタムを持ったピリカを超えることはできないだろう。

環いろはは包帯を飛ばしてピリカを拘束しようとした。
しかし包帯は金属音と共に切られていき、ピリカは再び環いろはの懐に潜り込んだ。
包帯がピリカの後ろに広がり、抱擁するかのようにその包帯はピリカと環いろはを包もうとした。

包帯に囲まれた空間の中で環いろははナイフを取り出してピリカの心臓を一突きしようとしたものの、リーチはイペタムの方が長かった。

再び斬り付けられた環いろははその場に膝をつき、ピリカは再び環ういへ襲い掛かった。

しかし次は元マギウスの2人が環ういの前に出てピリカの斬撃を喰らった。

するとすぐに2人はドッペルを発動し、ピリカへドッペルの目が付いた腕と流星群が襲い掛かった。

柊ねむのドッペルは退けたものの、里見灯花が放った流星群は一振りで対処できる規模ではなかった。

そこへシオリは鉄板を壁とし、私がそれを糸でつなぎ合わせて大きな盾がピリカの前へ形成された

流星群はピリカへも、復活を待つワルプルガへも届かなかった。

ドッペルを放った2人は疲労が襲ってきたのかその場に倒れこんでしまった。

その時、私たちに襲いかかってきていた魔法少女皆が体が重たくなったかのように動きが鈍くなっていた。

それもそのはず。

 

シオリの一撃が不発に終わった後、私は糸で扇を形作り、鹿目まどかと暁美ほむらへ襲い掛かっていた。

「その力、別世界とのつながりが見える。一体どんなカラクリを使った」

「あなたに答える必要はない!」

至近距離で撃たれる矢を避けながら私はステップを刻んだ。美樹さやか達3人からも追撃を受けたものの、避けるのは容易い。

仕上げのステップを踏むと同時に、わたしはピリカの方へ応戦した。

舞が完結すると周囲の魔法少女には疲労感が訪れ、私たちには高揚感がもたらされた。

ピリカはたった1人立っていた環ういへ斬撃を飛ばし、それを受けた環ういは倒れ込んでしまった。

私は膝をつく見滝原の魔法少女達へ糸を飛ばし、四肢を突き刺して使えないようにした。

「気は済んだか?まだ足りないなら、ワルプルガが目覚めるまで付き合ってやるぞ」

「強さが、違いすぎる・・・」

「調整も受けていないのに、どうしてこうもあしらわれるの。わからない」

戦おうとする魔法少女は現れなかった。

「それじゃあ、大人しくそこで倒れててもらおうk」

急に遠方の方から一発の銃弾が飛んできた。

糸の剣で弾けたものの、崩れていないビルからスナイピングできる魔法少女は1人くらいしか心当たりがない。

「三重崎のやつか」

銃弾が飛んできた方向には確かに崩れていないビルがあり、そこには確かにスコープの光が見えた。

「コロス、殺す殺すこrosう!

日継カレン、お前だけは!」

遠くからでも分かる殺意を感じていると、塔の麓が騒がしくなってきた。

「カレン、下の魔法少女達が動き出したみたい」

「次から次へと、もう少しだけおとなしくしてくれないかね。ピリカは大丈夫か」

「大丈夫、カムイだけで抑えられる」

「そうか。でも、思ったより復帰が早いな」

街を襲った疲労感から解かれた魔法少女達が動き始めていた。

己の行った行為に嘆き悲しむ者

狂って人を殺す快感に目覚めた者

そして、私たちに殺意を剥き出す者

やがて神浜市にいる魔法少女達は、種類の違う”穢れ”を携えて中央区へ注目を集めていくのであった。

 

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