【マギレコ二次創作】魔叙事詩カグラ・マギカ 2-3-2 偉そうな研究者

日本へ到着し、私は神浜近くにある自衛隊の駐屯地へと向かった。

その駐屯地へはすでに神浜奪還作戦のための人員と物資が運び込まれており、移動命令が降りていた特殊部隊たちも集まっていた。

中にはヨーロッパで唯一成果を上げた特殊部隊も混ざっている。

一度は話をしてみたいと思っていた。

控え室へ突撃すると指揮官のマッケンジーがいた。

マッケンジーは神浜周辺の地図を見ながら何かを悩んでいた。

でも扉が開いた音には反応したようで、こちらを向いた。

「誰だあんたは」

「サピエンス研究所のディアだ。

お前はヨーロッパでの魔法少女狩りで成果を一番出した隊の隊長であったな。

武器庫破壊の主犯を捕らえたとか」

「まずはノックして入れ、礼儀も知らんのか。
3日後のために忙しいんだ。変に精神を使わせるな」

「別に敵地でもないんだし、そこまで気にすることか」

「はぁ、ここには作戦に使用する魔法少女が未施術状態で待機している。

スパイがいるかもと警戒して当然だ」

「流石は考えが違うね」

「で、なんの様だ。

世間話しかしないと言うならば邪魔だから出て行け」

まあどんなやつか見に来ただけだし、お手並みは神浜で見せてもらうか。

「施術は早めにやってくれ。不安で仕方がない」

「わかっているさ。邪魔して悪かったね」

私はマッケンジーの部屋を後にした。

本当ならば自衛隊の長にも顔を合わせたいところだが、魔法少女たちがすでに待機していると言うならばそっちに向かったほうがいいか。

施術の準備はできているし。

私は魔法少女たちが待機している場所へと訪れた。

魔法少女が待機している部屋は3箇所に分られていたが、最近投降してきた魔法少女たちがいたらしく、合計で4つの部屋が用意されていた。

手駒が増えただけだからどうでもいいが、神浜周辺でとらえた魔法少女以外はデータをもらっていないのでこの目で確かめるしかなかった。

部屋の中へ入ると、魔法少女に混じって大人が2人いた。

魔法少女達はただこちらを見つめるしかしなかったが、大人達はこちらに話しかけてきた。

「あなたは?」

「こっちこそ聞きたい。なぜ一般人がここにいる」

「私達は時女の集落から来ました。

この方はあの子の親なのです。心配で来て何かおかしなことがあるでしょうか」

「ならば尚更邪魔だ。これから彼女達に施術を施さなければならないからな」

「施術って、一体何を」

「誰だここの責任者は。施術の邪魔だからこいつらを連れ出せ!」

私は警備の兵に怒鳴りつけた。

すると連絡をとっていたそぶりもないまま自衛隊の1人が歩み寄ってきた。

「親を連れ込んだのは私だ」

「あんた、自衛隊の長じゃないか。

アンチマギアプログラムが発令された上でのこの行為か」

「この集団は日の本のためにと願いを捧げ続けてきた、いわばこの国のためにと命をかけてきたもの達だ。変な気は起こさない。

それに、彼女たちはまだ子どもだ。

親が近くにいた方が安心できるだろう」

これだから日本人は甘い。

「施術を行う。

邪魔だからあいつらを追い出してくれ」

「あんた、さっきから偉そうに喋ってるけど誰だ」

「サピエンス直属の研究者だ。

まさかサピエンスの存在も知らずそんな口を叩いているのか」

「知るか、そんなもの!娘に何をする気だ」

彼女がいきなり刀を取り出したかという時、私と彼女達の間に自衛隊の長が入り込んできた。

「互いに落ち着け。

時女さん、彼女は魔法少女の専門家だ。米国から送られてきた特殊機関で私達は従うしかない」

「高田さん、でも」

「ここはどうかお引き取りを。命をとりはしません」

まあ私たちがやろうとしている施術は魔法少女達の命を握って無理やり従わせるためのもの。

捕らえた魔法少女には必ずと言っていいほど行っていることだ。

大人2人は観念したのか、高田と呼ばれる男に連れられて部屋の外へと出ていった。

邪魔者がいなくなったことを確認して、私は施術を行う研究者達に通信を繋げた。

「準備が整った。施術を始めるぞ」

魔法少女達に行うこと

それは、ソウルジェムへ取り外し不可能な起爆装置を取り付けること。

それは指輪型の時であろうと、魔法少女姿になった時のアクセサリーに形状変化しようと外れることがない起爆装置で、少しでも歯向かうとこちらが握っているボタンで即起爆し、命を落とす。

この説明を先に実施したのは、会議室に集まったメンバーにだった。

サピエンス直属のメンバー、米国の兵達は驚きもしていなかったが、自衛隊の面々はよく驚いていた。

「そんなもの、なぜ!」

「当然だ。

魔法少女がいつ寝返るかわからない上、いつ背後から狙ってくるかもわからない。

安全のためのものだ」

「だが、あんまりな扱いではないか。

彼女達はまだ子どもであると伝えたではないか」

私は起爆装置を高田の前に出した。

「これを押すのはお前の役目だ」

「なんだと?!」

「そんなに慈しむなら、これの扱いはあんたに任せるよ。

でも、あんたの判断でこちらに被害が出ようものなら、米国との関係は改められることになるだろうね」

「た、高田1佐…」

高田は周囲の自衛官に動揺されながらもそのスイッチを受け取った

「いいでしょう。

あなた達と協力することになった以上、責任はしっかり果たします」

「そうかい。

とは言え、こちらは日本語が完全に扱えるものが少なくてね、こちらはこちらで勝手にやらせてもらう。

あなた達は魔法少女達を監視しながら私たちのアシストをしてくれればいい」

「司令書にはあるが意思疎通せずにできることなのか」

「言語の壁があるんだから仕方がないだろう。

どうしても伝えたいことがあれば私を経由してくれ。

まともな案件だけ通してやる」

自衛隊のメンツは納得しない表情だった。

当然だ。国のお偉いさんがいい顔するために安請け合いしたのは目に見えている。

この国はひどくなったものだね。

そんなことを考えていると、高田が提案してきた。

「ならば、翌日の夜に先行して実施したいことがある」

「なんだ、イザベラにはもう通していることか」

「はい、レディには了承を得ていることです」

「いいだろう、聞かせてもらおうか」

 

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