「リーダーを辞めるってどういうことですか!」
そう魔法少女達に言い詰められていたのは十七夜さんでした。
「そのままの意味だ。
魔法少女の間にリーダーという存在は不要な動きにある。いつまでも私が皆を仕切るというのは周囲に比べて不公正ではないか?」
「そうじゃないですよ、急になんでそんなことを言い出したんですかってことですよ」
「ふむ、ならば最初からそう言え。
私はサピエンス本部へ戦いに向かう。そのためだ」
「全然答えになっていないですよ。まさか1人だけで参加する気ですか」
「何を言っている?和泉十七夜は1人だけだ。それにリーダーはやめると言った。
私が決めたことだが、何か問題があるか?」
「えっと、もう少し周りの人が困っちゃうってこととかあると思うのですよ。
だって、行ったら生きて帰れないんですよね?」
十七夜さんは黙ってしまい、みんなに背を向けました。
「すまん、しばらく1人にしてくれ」
そう言って十七夜さんは港に向かって歩き始めました。
「十七夜さん!」
十七夜さんを追いかけようとした魔法少女へ飾利潤さんが止めに入ります。
「十七夜だって心の整理が必要だろうさ。1人にしてやれ」
そう言われて十七夜さんを追いかける魔法少女はいませんでした。
十七夜さんは夕陽が見える中、港の倉庫へ運び込まれるテレポーターを見ていました。
すると急にひなのさんが声をかけてきました。
「人も転送できるテレポーターだってさ。すごい奴らだよな」
十七夜さんが声がする方向を見るとそこにはひなのさんの他に令さんと郁美さんがいました。
「都、キミはサピエンス本部へ向かうのか?」
「ん?何言ってんだ行くわけないだろ。
先の戦いで大いに実感したからな。あたしじゃ足手纏いだよ。
それに、逝っちまうと悲しむ奴らが多くなっちまったからな。
それが理由だ」
「悲しむ者か。都にはそんな仲間がいるのだな」
「何言ってるんですか。あなたがいなくなって悲しむ人は大勢いるんですよ」
令さんがそう言った後、令さんは自身を指差しました。
「まずはここにね」
「クミもだよ」
「あたしだってお前がいなくなったら悲しいさ」
「お前達」
「・・・十七夜、なんで戦いに行こうと思ったのか教えてくれないか。お前のことだ、何か思うことがあったんだろう」
十七夜さんは少し考え、夕日に染まった空を見ながら話し始めます。
「先の戦いで私は見慣れぬ魔法少女のソウルジェムが爆散する様を目の当たりにした。
その爆発に巻き込まれた者もいる。
あんな非人道なことを行えてしまうサピエンスを放っておくと、いつか我々もあれらと同じ道を辿ることになる。
あんな特攻兵のような扱いをする奴らを許すわけにはいかん。
戦いに赴き今後の脅威を排除する。
だからだ」
「そうか。目の前で爆発されたんだったな」
「みふゆさんはそれで参って寝込んじゃっていたね」
「お前の意思決定を否定する気はないが、これだけははっきり言っておく」
「・・・」
「十七夜、生きて帰る気がないなら行くな」
「それを判断するのは」
「難しいっていうなら行くな。魔法少女達が安全に暮らせる未来に自分を含めないのはなぜだ。
皆のためとか言っておいて自殺願望を満たすために行くだけならばただの迷惑だ。
やめろ」
「言わせておけば私を自殺志願者のように」
「ならなぜ言えない。
ただの強がりでも『生きて帰ってくる』となぜ口に出せないんだ」
十七夜さんは何も言えなくなり、黙ってしまいました。
「十七夜、私だって十七夜と親しくやってこれたかは自信がない。
でもだ、今は私たちしかいないんだ。
今なら心の内を打ち明けてくれてもいいんじゃないか?
そんなに私たちが信用できないか?」
十七夜さんは一度変身しようか悩みましたが、思いとどまって少しだけ泣きそうな顔になってひなのさん達に話しかけます。
「私は生きる意味を失ったような状態なのだよ。
かつては東側の扱いが西側と平等になるよう行動し続けた。その点では八雲とは最も意気投合していたといえよう。
だが、日継カレンが現れたことで東西の偏見という概念自体がねじ伏せられ、さらには八雲を追いやられてしまった。
この時点で私は生きる原動力となる動機を失っていた。
今まで生きているのは皆に頼られてしまっているという惰性からだ。
日継カレンは私にとっては許し難い相手だ。
だがそれ以上に、サピエンスが人間と魔法少女の扱いを不平等にしようとしている。
ならば公平な関係の頃に戻るよう、サピエンスを倒すために行動を起こそうとするだろう。
しかしだ。
元々人間と魔法少女は公平であったか?
日継カレンたち海外の魔法少女達は人間社会崩壊を狙っている。
それも人間と魔法少女を不公平にする行為ではないか?
今まで公平さを重視してきた私の中に魔法少女優遇な世が望ましいと思う私がいるのだ。
都、観鳥、牧野、私はどう判断すべきなのだ」
ひなのさんは背伸びをして十七夜さんの右肩をポンポンと叩きました。
「よく話してくれたな。
一言言わせてもらうと、その公平さの考えは無視してみてもいいんじゃないか?」
「なんだと」
令さんは写真を一枚撮った後に十七夜さんへ話しかけます。
「十七夜さん、あなたには硬く考えてしまう癖がある。
だから自分のルールから外れることも許せないんだろうね。
でもね、私達は感情を持つ生き物だ。
たまには今見せてくれている表情のように、直感に従って行動してみたらどうですか?」
そう言って令さんはカメラで撮った画像を十七夜さんに見せます。
すると十七夜さんは軽く笑いました。
「私がこんな情けない顔をするなんてな」
十七夜さんが見ていたカメラを郁美さんが取り上げます。
「まあまあ、感情を持った生き物ならそういうことはありますって。
だから十七夜さん、今のお気持ちをどうぞ!」
十七夜さんは少し嬉しそうな顔をして答えました。
「私はサピエンスが許せん。
サピエンスを倒し、魔法少女の安寧を最優先としたい。
もちろんその中には私も含めてな」
「言えたじゃないか。
それなら私は何も言わん。しっかり倒して帰ってこいよ」
ひなのさんに続くように令さんと郁美さんも笑顔を見せます。
「3人ともに、感謝する」
十七夜さんは、最初の頃よりも覚悟を決めてサピエンス本部へ向かうことを決めました。
船で連れてきた他の地域の魔法少女達の受け入れが落ち着いた頃、私達もサピエンス本部へ向かうのか考えることにしました。
その話題を出すと欄さんは即答しました。
「あたしはパスだ。
もうサピエンスの件は大詰めなんだろ?あいつらだけでなんとかなるだろうし、面倒なだけだろうし降りさせてもらうよ」
すると近くにいた黒さんが口を挟みます。
「そう言ってマギウスの翼から速攻抜けてましたよね」
「あれはやばそうだからってのもあったけど、今回はただただ面倒そうだからだ」
「欄さん絶対活躍できるのに」
「そんなに行きたいなら黒がみんな連れて行けよ」
「なんでそうなるんですか!」
「まあ大人しく待っておこうや。
というわけだ、いいな夏目」
「はい。反論はありません。
無理なことでもいままで賛同してついてきてくれたことに感謝しています。ありがとうございました」
「あんたについて行けばここで腐ってるよりは刺激を得られると思ってついて行っただけさ。
思った通り刺激的で楽しかったよ。
じゃあな、生きて帰ってきたらちゃんと土産話聞かせろよ」
「はい」
欄さん達を見送った後に次に話を聞いたのは氷室さんと那由多さんです。
お二人に話を聞くと先に口を開いたのは那由多さんでした。
「私は嫌ですよ。
北海道に連れて行かれた時も美味しいものが食べられると思ったのに、そんな暇なく殺し合いに巻き込まれるのですもの。
あんなものに参加するのはごめんですわ」
「私は那由多様についていくだけですので、私も不参加です」
「あら、私に合わせなくてもいいのですよ?」
「別にあなたに合わせなくても行く気はなかったですよ。
私は元々傍観者。主戦場に参加する気はないですよ」
「そ、そうですの」
「久しいですな、ラビ殿…」
声がした方には時女一族の子がいました。
「あなたは時女一族の」
「旭、新たな居場所を見つけられたようで何より」
「えっと、目的から外れて行動してしまい申し訳ない。
2人についても」
「いや、あの場にいないことは正解だった。
調整屋を庇わなかったとしても、その仲間として日継カレン達に蹂躙されただけだったでしょう。
あの場で生き残ってしまった私こそが罪ですよ」
「ラビさん、あの大怪我で帰ってきた日にそんなことがあったのですの?」
「那由多様はしばらく黙っててください」
「うぐっ」
「旭、湯国の出身者で集まる必要はもうないわ。
世界はすでに大きく動き出して最悪なシナリオを歩みながらも魔法少女だけで生きていける世の中へ動き出している。
私達はそれが【意思】によって邪魔されるか否かを見守るだけよ」
「そうでありますか」
「旭はどうするの?」
「時女一族が不安なので残るでありますよ。しばらくはちはる殿ひとりぼっちでありますからな。
皆が回復した後も共に歩もうと思うであります」
「そう、それはよかった」
「ラビ殿も居場所は見つけられているようでありますな」
「私が?どこに」
隣で那由多さんが胸を張っていました。
「ラビさんのそばには私がいますわ。悩んだらなんでも言ってください」
「那由多様に相談しても謎が深まるだけだと思います」
「そ、そんなことないですわ!」
「ありますよ。ふふっ」
「冗談を言い合える仲なら十分でありますな」
私はその場を後にして北海道から持ってきた軍艦の甲板にいるあやめちゃん達に話を聞きに行きました。
質問に答えたのは葉月さんでした。
「私たちの中で相談したんだけどね、悪いけど不参加ってことで」
「はい、全然問題ないですよ」
「かこは行くの?」
「私は行きますよ。結末をしっかり見届けないといけないから」
「なら、ならさ!」
このはさんがあやめちゃんを止めに入ります。
「あやめ、何があっても連れて行かないって言ったでしょ?
今まだでだって十分危なかったけど、次は海外だし生きて帰られる保証もないなんてところへは連れて行けません」
「うう、わかってるよ」
「絶対帰ってくるから、フェリシアちゃんと一緒に待ってて」
「おう、あいつにも久々に会わないとね」
葉月さんが少し真剣な顔で話しかけてきました。
「かこちゃん、日継カレンにこだわり続けるのはいいけどかこちゃん自身はそのままでいいの?」
「特に」
「かこちゃんがななか達を殺す原因を作ったことは、今後も背負っていくべき罪であることはわかっているよ。
でも今のかこちゃんは前とは違って倒すべき相手ばかり見つめている気がするんだ。
あの人のようにね」
「…否定はできないです」
「かこちゃんの人生はかこちゃんのものだと思うんだ。
自分が今後どうしていきたいかは、しっかり持っておいたほうがいいよ。
そうしないと、命が軽くなっちゃうからね」
「わかりました。忠告ありがとうございます。
自分のやりたいことをしっかり持っておきます。
あやめちゃん、フェリシアちゃんと3人でまた遊べるようにちゃんと帰ってくるからね」
「おうよ!絶対だよ!」
私がその場をさった後にこのはさん達が話を始めます。
「葉月、なんであんなことをわざわざ言ったの?」
「いやね、ななかも危なっかしさがあったから。
彼女の背中を参考に行動しているかこちゃんにも同じ危うさを感じられたのさ。
だからかな」
「まったく、お節介さんね」
次の日、港はテレポーターの起動する様子を見ようと多くの魔法少女が押しかけていました。
テレポーターは倉庫の外に出された状態でたくさんの線が倉庫内に伸びていました。
私とやちよさん、ういに灯花ちゃんにねむちゃん、ワルプルガさんとさつきさんが揃ってテレポーターを見にきていました。
「あのテレポーターに灯花ちゃんも関わったんだっけ?」
「そうだよ。魔法石の魔力制御と座標指定でちょっと助言をしてあげたんだ」
「すごいね!海外の子も助けちゃうなんて」
「天才だから当然だよ!」
「あの輪っかから人が出てくるんだよね?」
「そうだね。別のテレポーターと座標が共有されて空間がつながった状態になる。
その境目となるあの輪の歪みで問題が発生しないかが注目すべきところだ」
テレポーターをいじっていた技術者さんが装置へ魔法石をはめるとテレポーターの輪っかは青白く光だし、輪っかの中にはブラックホールのような渦の模様が現れました。
「よし、あとはヨーロッパにつながるかだ」
「通過したら体が粒子になって消え去るかもね」
「こ、これからくぐる奴が目の前にいるのに不安になること言うなよ」
「えへへ、悪かったね」
技術者さん同士で冗談を言い合った後、その中の1人が覚悟を決めてテレポーターをくぐりました。
姿は消えてしまい、私達は無事に転送されたのかどうかわかりませんでした。
みんなが見守る中で灯花ちゃんはテレポーターに近づいていきました。
「ちょっと灯花ちゃん!」
灯花ちゃんはテレポーターの近くにあるモニターを見ていました。
「これなら大丈夫かな」
灯花ちゃんがそう言うとテレポーターからさっきの技術者さんが出てきました。
「よし、成功だ!」
周囲からは歓声が上がりました。
そしてすぐにテレポーターの向こう側から次々と魔法少女が出てきました。
私達はテレポーターから出てきた魔法少女達へテレパシーで話しかけました。
[神浜へようこそ!
徒歩での移動になりますが、魔法少女が集まって生活している場所があるのでそちらへ案内しますね]
「oh,Japanese magical girl using telepathy!」
「You too have to tell her by telepathy」
「oh! Sorry」
[ごめんごめん。神浜の皆さん、ちゃんと伝わったよ。
じゃあ日本の魔法少女さん、この後もたくさん来るから順次案内よろしく!]
海外の魔法少女達の案内は、協力してくれると申し出てくれた魔法少女達が受け持ってくれています。
「えっとまさら、テレパシーじゃないと通じないんだっけ」
「そう。でもいつも通りよ」
[はいはーい、皆さんしっかりついてきてくださいね!]
[持ちきれないほどの荷物がある方はいますか?
あるなら持つの手伝いますよ]
「この阿見莉愛が皆様をしっかりエスコートして差し上げるわ!」
「先輩、テレパシーじゃないと伝わらないですよ」
次々とテレポーターから魔法少女が出てくる中、魔力反応が少し違う子が混ざっていました。
「魔法少女ではない反応ね。何者かしら」
その反応が気になったのかさつきさんと、なぜかねむちゃんが変わった魔力反応がすると言ってその子の場所へと向かいました。
変わった反応を見せていた子は手には人形を持っていて、少し大きめなリュックを背負っていました。
「ちょっとあなたいいですか?」
「は、はい!」
「え?!日本人?!」
「わ、わたしはえっと」
私達は何かがあったと思ってさつきさん達のところへと向かいました。
「まあ日本語がわかる子が混じっていても不思議なことではない。
率直に聞かせてもらうよ。
君は“風の伝道師のウワサ”を連れているね?」
「それって、フゥちゃんのこと?」
[フゥちゃんとは偶然出会って、それから魔法少女の情報を集めてくれているよ]
「あれ?
いまあなたが話しました?」
[違うよ、これは腹話術。
直接話すのが苦手なかごめちゃんはこうやって私を通して話すことがあることが多いんだ]
「人形にしゃべってもらっている感じですか」
「ここで立ち話をするのは少し迷惑よ。落ち着いて話ができる場所へ移動しましょう」
やちよさんの提案で私達は南凪の公園で座って話を続けました。
「事情はだいたい把握した。
君が魔法少女達の声を受け取れるのは風の伝道師のウワサが拾っているからだろう。
その情報を集めて何に活用しているんだい?」
「魔法少女のことを多くの人に知って欲しいから、というのが目的で。
でも今は純粋に記録を残したいってだけ、です」
「あの米国大統領の演説とは関係がないのね?」
「関係ないですよ!あの時は私神浜市にいましたし」
「神浜で酷い状況を見た後に助けてもらったと思ったら、ホワイトハウスに監禁。
そこから攫われたかと思ったら保護されていた。
大変な日々だったね」
「そう、ですね。
大変でした」
「魔法少女の記録をしている子が来ていると聞いたのですが」
そう言って近づいてきたのはかこちゃんでした。
「いつのまに」
「記録はどこに残しているのですか?本に残しているのですか!」
「ファ、ファイルにまとめていて今は10冊に至りそうな勢いで」
「すごい数ね」
「その内容、見せてもらっていいですか!」
かこちゃんは久しく無邪気な顔を見せていました。いともはどこか恐ろしい表情をしているので。
「え、ええ?!」
困惑しているかごめちゃんの前にさつきさんが割って入ります。
「ダメです。まずはこの子が落ち着ける場所へ連れていくのが第一です」
「そうでしたね。すみません取り乱しました」
その後かこちゃんは港の方をしばらく見た後にかごめちゃんへ話しかけます。
「全てが落ち着いたらまた伺おうと思います。その時にはゆっくり記録を見せてくださいね」
「は、はい」
かこちゃんは港へと向かっていきました。
「そうか、いつ見てもらってもいいように整理しておかないとなぁ」
かごめちゃんはそうつぶやきました。
「まあ今後のことはさつきさんが言った通り落ち着ける場所を確保してからだよ。
とはいえしばらくはテント暮らしだろうけど」
「そうですか」
私が周囲を見渡すと灯花ちゃんがいないことに気づきました。
「あれ、灯花ちゃんは?」
「話に飽きちゃったって言って港の方に行っちゃったよ」
「ええ、見てきた方がいいかな」
「きっとテレポーターを見に行ったんでしょ。他の魔法少女もいるし大丈夫よ」
私達はそのまま居住区となっている栄区へと向かいました。
港ではヨーロッパからテレポーターで来る魔法少女が落ち着いた後に、サピエンス本部へ向かうと手を挙げた魔法少女を試すための決闘がはじまっていました。
決闘中は魔法を使うことが可能で、その様子を船の甲板からカレンさんとジーナさんが眺めていました。
「あんな魔法使える状況で見定めて意味あんのか?」
「あたし達では魔法を打ち消すシールドくらいしか用意できないし、守るばっかじゃつまらないってあいつが言って聞かなかった結果さ」
「まあ最悪肉壁にはなるだろうけど」
「最悪な妥協案だな」
「あたしらですら生きて帰られるかわからないんだ。
イザベラと対峙した事はあったが、今じゃどんな化け物になっているのか」
「問題は従者の方もそうだろ?」
「マーニャによると人間なのに魔法少女に楽に勝つヤバいやつって話だっけ。
なんだよ英雄クラスかよ」
「魔法少女に負けず劣らずの人間は過去にもいたし、おかしい話ではない」
「ぬわぁ?!」
目の前で繰り広げられていた決闘が終わった。
「また神浜側の負けか。
本当に大丈夫か?」
戦った者同士が少しだけ討論をした後、ヨーロッパの魔法少女は戦った神浜側の魔法少女を船へ招き入れた。
「あれ、全員乗せちゃった」
「誰も止めないならキレやすいあいつらが妥協できたってことだ。気にする必要はないさ」
少ししてからジーナさんがカレンさんへ問いかけます。
「今回の戦い、バチカンの時以上になると思うか」
「人類が最終手段としてあれを持ち出すならば必然的にそうなるだろうさ」
「あの時お前たちは人類が終わるような状況に奇跡を見せた。だからミアラや私たちはお前たちの師匠が言った言葉を信じてここまでついてきた」
「『やっと見つけた奇跡の体現者。私の目に狂いはなかった。どうかこの世界を救ってくれ』だったか」
「そう言ってお前たちの師匠は死んでいった。
人類があれを使ったらバチカンで起こした奇跡以上の負担がお前たちにかかるんだろう?あのときだってソウルジェムにヒビが入るまでの負担だったのに」
「らしくないな。心配してくれるのか」
「お前を殺すことを生きがいにしてるやつらが困るって言いたいんだよ。
ちゃんと責任もって生きてくれよ」
「今は生きる理由があるんだ。簡単に死ぬ気はないよ」
「・・・前から行っている見つけた生きる理由ってなんだよ」
「誰が教えるかよ」
そう言ってカレンさんは空を眺めてこう言いました。
「あれから随分と遠いところまで来たものだ」
これからしばらくして、世界を巻きこむ魔法少女VS人類の大戦が始まる。
第三章:激闘と見せかけた神浜鎮圧作戦(ミスディレクション) 完
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