【マギレコ二次創作】魔叙事詩カグラ・マギカ 2-3-8 神浜鎮圧作戦・その4

南側ではマッケンジー達の舞台と直面したいろは達。

マッケンジー達を見つけた瞬間にほむらは弓を構えて隊員の1人を撃ち抜こうとしました。

しかしその隊員は迷わずほむらが放った弓矢を避けて特殊部隊メンバーは皆遮蔽物へ身を隠した後、いろは達のいる場所へアンチマギアのグレネードを投げ入れました。

いろは達はすぐにアンチマギアの煙が至らないような場所にある瓦礫に隠れました。

「こんな時に魔法少女達に遭遇するとは」

「どうしますか、対応完了後に音の出所を破壊しますか」

「いや、構わずロケットランチャーを持つ者は自衛隊が送ってきた推定位置まで移動してくれ。

ディア経由で送られてくる情報の通りであれば沿岸の公園に設置されたスピーカーを壊せば我々の目的は達成だ。

気にせず向かえ!」

「イェッサー!」

瓦礫から姿を見せて南側へ向かった隊員に対してやちよは槍を放ち、いろはは瓦礫に身を晒しながらクロスボウを放ちます。

それに対してマッケンジーがアサルトライフルで飛んできた槍へ銃弾を撃ち込むと飛んできた槍すべてに命中させて、弾が当たった瞬間に魔法で生成された槍は次々と消え去ってしまいました。

そのままマッケンジーは身をさらしたままのいろはを見逃さず、いろはに対してアサルトライフルを撃ち込みます。

その中の一発がいろはの左肩を貫きます。
銃弾を受けた勢いに任せていろはは瓦礫に隠れるように倒れ込みます。

「いろはちゃん!」

まどかがすぐにいろはへ駆け寄って銃弾でできた傷口を塞ごうと回復を試みます。

しかし傷口が塞がることはなく、いろはは不思議な顔をしていました。

「左腕が、動かない・・・」

そのいろはの反応を見てその場にいた皆が絶句しました。

「まさか、アンチマギアの影響を受けて」

そうやちよが分析している間に瓦礫に隠れていた隊員がやちよたちを銃で牽制していました。

「まずは布で傷口を塞いで!」

やちよ達がいろはに夢中になっている間にロケットランチャーを持った兵士たちは南へ抜けてしまいました。
その様子はひなの達の目にも映っていました。

「うまく連携が取れているようだな。あいつらロケットランチャーを持って南側へ行ったよな?」

「ここから南側って、りかっぺたちが気絶しちゃったところじゃん。
もしかして、その原因の対処が目的だったり」

少し考えた後、ひなのはいろは達のもとへとむかいました。

「まさかこんなところで敵にあってるとはな」

「ひなのさん、コンテナターミナルに居たのでは」

「お前らならあそこで起こったことくらい知ってるだろ?
あの船団はどうしようもないうえに、周知されていない罠まで作動しやがった。
踏んだり蹴ったりだよ」

「灯花ちゃんが妨害装置を起動してしまったんですよね」

「あれのせいで仲間が動けなくなったんだよ」

「ええ!?でも灯花ちゃん止めてくれるとは思えないし」

「あいつには期待していない。だがあの兵士たちの目的はスピーカーの破壊だろう。
奴らはこちらで目をつけとく。それだけを伝えにきた」

「そうですか、わかりました」

ひなのはその場を影から見守っていた衣美里ちゃんと一緒に離れました。

「大尉、魔法少女の一部も海岸へ向かって行きました」

「あれは音の出所を破壊するまでは放っておけ」

「・・・よろしいのですか」

「我々の第一目標は動けないS班の救助だ。
ここでこうして構えているのも救助を妨害されないための牽制だ」

そう言いながらマッケンジーはアンチマギアが含まれたグレネードをいろはたちがいる場所へ撃ち込みます。

そのグレネードに対してマミがマスケット銃を放って銃弾がグレネードへ接触した途端に空中でアンチマギアを撒き散らしながら爆発しました。

こうして牽制し合っている中、まどか達へさやかからテレパシーで連絡が入りました。

[ねえ、そっちはなぎさ見つかった?]

[それどころじゃないよさやかちゃん。兵士さん達に見つかっちゃって]

[なんですと]

[そんなもんさっさと蹴散らしてこいよ]

さやかと行動を共にしていた杏子もテレパシーに混ざってきました

そんな2人に対してマミが2人に確認を行います。

[あなた達確か中央区あたりに行っていたわよね]

[え、そうですけど]

[ならばそのまま南下してきてちょうだい。きっと兵士たちの背後を取れるはずよ]

[なんだそれ。あたしら参加する必要あるか?]

[困っているんだし助太刀するしかないっしょ]

[ちょ、おいさやか]

ここでテレパシーのやり取りは終わり、マミ達はその場にとどまることにしました。

そうしている間にロケットランチャーを持った特殊部隊は音の出所であるスピーカーを射程に収められる場所へ到達しました。

ロケットランチャーを構えても妨害が入らない中、その一発は発射されて海岸に発せられていた音はスピーカーの爆散と共に消え去りました。

「大尉、成功です!救出作業開始できます!」

「よし、みな海岸へ移動だ!」

マッケンジー達はいろは達がいる方向へ銃を向けながらその場を後にしました。

「どういうこと、私たちを捉えるのが目的ではなかったと言うこと?」

「ならひなのの応援に行く?あの特殊部隊達が向かった方向と同じだよね?」

鶴乃の提案に乗ったいろは達はひなの達の元へと向かいました。

いろは達は動き出そうとしますがまどか達はその場から動こうとしませんでした。

「私たちはここでさやかちゃん達を待ちます。

ここから動いちゃったら入れ違いでどこに行ったのか分からなくなっちゃいそうだし」

なのでひなの達の方向にはいろは達5人だけが向かいました。

 

試験艦の方ではドローンで観測された戦況を確認できていました。ディラン大佐はイラついた状況で戦況を見ていました。

「マッケンジーのやつめ、魔法少女の集団を目の前にして救助を優先したのか」

結果として海岸へ上陸できる場所を確保できるのだから良いではないか」

「作戦はスムーズに行われるべきだと言いたいのだよ。

神浜をアンチマギアで覆ってしまえば誰も立ち入れずに済むと言うのに」

「航空部隊も控えています。だからこそ空への脅威は我々で消しておくべきです」

「それはそうだな」

ディラン大佐と副官が話し合っているとレーダー担当が話しかけてきました。

「自衛隊から情報あり。

次の魔法少女の集合地点は栄区、工匠区、北養区です」

「コウショウとホクヨウはマッケンジーの部隊が控えている。我々はサカエの鎮圧を行う。

各艦、主砲照準合わせろ!」

試験艦の周囲にいる巡洋艦は栄区を目標に砲塔を一斉に動かせます

微調整を行っている間に試験艦は突然アラートをあげます。

「何者かに照準が当てられています!」

「方向の割り出しを急げ!」

「もう算出はされているのですが、艦影が目視できません!」

魚雷の発射音をソナーはしっかり捉えます。

「魚雷来ます!」

「バリア緊急展開!」

バリアが即時展開され、試験艦は無傷で済んだものの、随伴していた巡洋艦が魚雷を受けてその一撃だけで一隻撃沈しました。

「一撃だと。本当にただの魚雷か?」

この様子はサピエンス本部でも確認できていました。

「魚雷発射源の予想地点割り出されました!
しかし衛星映像ではやはり何も映し出されていません」

イザベラはディラン大佐へ回線を繋げて指示を行います。

「ディラン大佐、魚雷発射源の予想地点を送る。流れ弾の行方を考えず構わず攻撃を加えろ。

魚雷を撃てるほどだ、潜水艦や巡洋艦クラスだと思え」

「いいだろう。

随伴A-Eは主砲を送られてきた座標に合わせて随時発射。

この艦からは爆撃ドローンを出せ」

試験艦に随伴していた護衛艦は五月雨にサピエンス本部から送られてきた座標へ主砲を向けます。

そうしている間に海中からは首長竜 ポンベツカムイが50メートルほどの大きさとなって艦隊に姿をあらわにしました。

「く、首長竜です!とてつもなく大きな!」

「あの首長竜、確か…

そうか、あいつがあそこにいるのか」

イザベラが何か企んでいる顔をしていることをキアラは見逃さず、嫌な予感がしていました。

イザベラから何か指示が出ることはなく、ポンベツカムイは稲妻の槍を形成して試験艦へと放ちます。

しかし試験艦はバリアを展開させていたため稲妻の槍はバリアに当たった途端に艦隊へ傷をつけることなく消え去ってしまいました。。

効かないことが分かるとポンベツカムイはその場で大きな波を形成させます。

発生した波は海面へ強く打ち付けられ、それは自然が発生させたかのような大波へと変化していきます。

魔法製ではなく自然の大波となり、艦隊は波に囚われてバランスを取れなくなり、各艦が注水などで転覆を防ごうと必死です。
そんな中、巡洋艦の一つが主砲を目標へと放ちました。

その主砲は間違いなく目標への直撃コースでしたが、バリアのようなものに直撃して空中で爆散してしまいました。

その後、バリアを発したと思われる存在は姿を現しました。

それは確かに巡洋艦の見た目であり、波の影響を受けていないかのように微動だにしていませんでした。

サピエンスの本部では魚雷を放った正体が船であると認識するとすぐにイザベラは不機嫌になりました。

「なぜここまでの観察で船一つ見つけられなかった。船ならば衛星映像ではで確認できたはずだ。
衛星画像班、妙な白波がここ数日発生していないか改めてしらみ潰しに確認しろ!」

「りょ、了解!」

サピエンス側で調査が行われている中、ポンベツカムイは動けない巡洋艦の一つを後ろから押して試験艦へと押し付ける。

試験艦はバリアを展開できるものの、巡洋艦はバリアを貫通して試験艦の横腹へと激突した。

その後ポンベツカムイは巡洋艦から離れて追突させた巡洋艦向けて稲妻の槍を3発撃ち込んだ。

それによって巡洋艦は爆破を起こし、それに誘爆するかのように試験艦も爆散してしまった。

その様子を見ていたカルラはその場でつぶやいた。

「物理的なバリアは形成できなかったからな、ああなる可能性はあった」

「だからと言って呆気なさすぎだ。やはり物理的にも弾けるようにするしか」

「電力不足で無理だという結果が出ている。

原子力船2隻でやっとペンタゴンを囲える範囲での物理的バリアを2分張れるレベルだ。

電力充電も必須なんて欠陥品よりも魔力を防げればいいという結論はすでに出されていた。

相手のバリアは物理的飛来物も防いでいたし、アンチマギアよりもマギア由来のバリアの方が上だったということだろう」

艦隊はポンベツカムイによって混乱状態となり、残った巡洋艦の下側へポンベツカムイが入り込んだ。

そこから掬い上げるようにポンベツカムイは体を持ち上げる。

巡洋艦内部は天地が逆転し、船内の人々はなすすべもなく海中へと投げ出された。

ポンベツカムイが海で蹂躙を行っている中、謎の船からは対地ミサイルが10発ほど発射され、自衛隊はそれらのミサイルへ対空迎撃を行った。

しかし、対地ミサイルは対空攻撃を避けるような挙動をし、ミサイルは先端だけが勢いを止めないまま空中分解した。

それぞれのミサイルからは人影のようなものが飛び出し、何かを展開しながら降下してきていた。

ミサイルを止められないと悟った戦車指揮官は各メンバーへすぐにその場から離れるよう指示を出した。

「総員退避!」

ミサイルの先端は自衛隊の戦車めがけて飛んでいき、戦線に配置していた戦車の多くが大破した。

降下してくる人影に向かって発砲がされるが、地面へ向けて展開している傘状のものが通常の硬い金属製なのかアンチマギアの銃弾を弾いていた。

人影は減速を行うと各々が違った魔法で地上への攻撃を始めた。

「魔法少女か、あんな奇天烈な方法で」

[各自、無事に地上に降りたら自由に暴れろ。

現地の魔法少女には迷惑かけるなよ]

[わかってるさ!]

ミサイルから飛び出してきた魔法少女達は自衛隊と隠密していたはずの特殊部隊に対して容赦なく攻撃を開始した。

サピエンス本部では新たな情報が入ってきた。

「イザベラさん、北海道と沖縄の航空基地が魔法少女による攻撃を受けていると報告が入っています」

「あそこにはアンチマギア散布用の輸送機が配備されていたはず。
そんなところまで奴らには情報が筒抜けだったか」

「ヨーロッパではなくてもこんな組織的な動きをできたなんてな。

まったく、ことごとく用意していた手を潰してくれる」

沖縄では沖縄に隠れていた魔法少女に協力してもらいながら欄達がアンチマギアの倉庫、滑走路、ヘリの破壊を行っていた。

「よーし、漏れなく破壊しろよ。残すと面倒だからな。

それにしても暑いな」

「どの程度破壊したらいいんでしょう。もうある程度破壊は行いましたが」

「まあなんだ、この基地から一つも航空機が飛び立たなければいいんだ。

目的は神浜へアンチマギアの輸送を行わせないことだし」

沖縄の航空基地では防衛に出動した兵士たちは皆殺されてしまい、垂直離着陸機は全てが破壊され、滑走路は使い物になっていませんでした。

「まあもういいだろう。

現地の奴らに協力してもらって神浜に戻るぞ。

神浜では面倒なことは終わっていればいいが」

北海道では千歳と呼ばれる場所にアンチマギアが保管されており、そこは夏目かこと静海このは達、そして氷室ラビに里見那由多、現地の魔法少女達が協力して航空基地の破壊を実施していました。

こちらでもアンチマギアの貯蔵庫の破壊、滑走路と垂直離着陸機の破壊が目的でした。

しかしここは通常の航空便で使用される滑走路も隣接しているためそちらにも被害が出ていました。

「自衛隊が動くと思ったのですが、そこまで派手に動かないですか」

「そりゃここでは米軍は本格的な活動はしていないし。

サピエンスだっけ?

あいつらも何故か北海道では活動していないみたいだし」

北海道では地元の魔法少女が言うようにアンチマギアは貯蔵したものの、サピエンスの特殊部隊は訪れていない様子でした。

「しかし持ち出す準備はしていました。破壊活動を行う意味はありました」

「この後神浜に行くんだよね?

したっけ苫小牧の港がちょうど軍港だしそこの船をもらって行こうよ。

使えるやついるしさ」

「苫小牧、再開発で軍港が用意された場所でしたか。

良いのですか、あなた達は人を殺すことに躊躇する者もいるようですが」

「あいつらはあいつらだ。

あたしらは覚悟がある。だから提案してんだ」

「かこ!あらからぶっ壊したよ!」

あやめがかこにそう伝えてきたことを合図にかこは魔法少女達に次の目的地を伝えました。

「次は苫小牧へ行きます。

みなさん、移動の準備を」

こうして神浜に対するサピエンスの航空支援は叶わない状態となっていました。

 

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【マギレコ二次創作】魔叙事詩カグラ・マギカ 2-3-7 神浜鎮圧作戦・その3

特殊部隊か何か知らないけれど、魔法少女をキャッチするために、人間が魔法少女へ襲いかかった。

もっとハードでアメイジングな結果になると思っていたら、あっさりウィンしてつまらない日々が続いてしまった。

でも今目の前では、再び命の削り合いが起きている。

創作意欲が湧き出てきて、今目の前に起きているものをアートとして残してしまいたい!

「もう、アリナ先輩、ただ見ているだけでいいの?」

「ワッツ?

今でもいい感じなのにフールガールは何を求めるわけ?」

「だってほら、魔法少女同士が戦っているのに、人間はそれを見ているだけなの。

あの人たちも、アリナ先輩が望む芸術に参加させてあげたほうがいいと思うの」

「へぇ。

まあ確かに傍観だけさせておくのは癪だよね。

いいよいいよ!あいつらの命の輝きもこの神浜というキャンパスに添えてあげる。

言い出したんだから、フールガールも協力してよね!」

「わかったの!

いっしょに…

“人間を殺しに行くの!”」

そう、フールガールも、この街の魔法少女もみんな変わった。

みんなが殺し合いを躊躇しなくなっただけ、カレンには感謝だよね。

 

 

今目の前にはずっと一緒だと思った親友がいる。

刃を交えたのも、戦いの練習をする時くらいだった。

なのに、どうしてなの、静香ちゃん。

私が静香ちゃんへ命令した人の元へ向かおうとすると静香ちゃんが止めてくる。
逆らったらソウルジェムを破壊されると、静香ちゃんからそう聞いた。
その恐怖だけで、静香ちゃんは私たちの前に立ちはだかっているわけではない。

「あなた達に本当に守るべきものを、思い出させてあげる」

そう言って静香ちゃん達は私たちへ襲いかかってきた。

[旭ちゃん、あの人を追って!
旭ちゃんなら狙えるかもしれないから!]

[残念ながらそうはいかないであります]

[どういうこと?!]

[静香殿の後方には軍人達が控えているのを発見したであります。

我がここで見張っていなければ、奴らが参戦してきた時に我らは敗色が濃くなるでありますよ]

[そんな簡単に私たちは!]

[落ち着いてくださいちゃる]

[すなおちゃん]

[その兵士達がみんなアンチマギアを使ったらどうなると思いますか

静香も、巻き込むかもしれませんよ]

「さっきから動きが鈍いわよ!」

静香ちゃんの攻撃で私はテレパシーに集中できなくなりました。

静香ちゃんの攻撃をやり過ごすのがやっとで、動きをとらえきれない。

水徳寺で訓練をしていた時から、私は静香ちゃんより優位に立てたことはない。

このままでは倒されるだけだと思った時に、頭の中をよぎった言葉があった。

“人というものは常識にとらわれがちだ。

解決の道を見出せない場合は、時に非常識な行いで切り開かれることだってあるのさ“

等々力耕一が苦労した犯人がそう言っていたことを思い出した。

そう、非常識、静香ちゃんにとって非常識になること。

ならば!

私は静香ちゃんが突き攻撃をよく出してくる正面から突撃した。

「訓練から学べてないのかしら。そんなのじゃダメよ!」

そう言って静香ちゃんは予定通り突き攻撃をしてきた。

その剣はそのまま私の左腕の付け根を貫いた。

私は痛みよ消えろ!と心の中で唱え続けて本来来るであろう激痛を無視し続けた。

静香ちゃんが驚いた顔を見せる中、私はそのままの勢いで静香ちゃんの首元に齧り付いた。

いやぁああああ!

静香ちゃんが叫ぶ中、私は十手を空高く掲げて私ごと静香ちゃんを縛り上げた。

[ちゃる!何やってるんですか!]

すなおちゃんのテレパシーを聞くことなく私は静香ちゃんへテレパシーを飛ばした。

[諦めてくれないとこのまま首を噛みちぎるから!]

[やめて、ちゃる…人間を辞めるどころか獣に成り下がるあなたなんて、見たくなかった…]

[ほら、どうするの!]

静香ちゃんは涙を流すもののテレパシーには答えなかった。

そんな中、静香ちゃんを助けにこようとする子達を牽制しながらすなおちゃんが私の十手の紐を魔法で切ってしまった。

驚いて私が静香ちゃんの首から口を話した隙にすなおちゃんに抱え上げられ、そのあと私にすなおちゃんは私の頬を一発叩いた。

「冷静になってください。
人はやめていてもケモノになってしまうなんて許しませんよ!」

「でも、静香ちゃんに勝つにはこうした常識はずれなことじゃないと」

「勝ちにこだわって理性を失っては意味がありません!

少しは加減を考えてください。あのままでは静香もちゃるも死んでいたかもしれませんよ」

そう言いながら血が垂れ続けている左腕の付け根をすなおちゃんは癒してくた。

「あ、ありがとう…」

ドーン!

自衛隊達が待機しているという方向から爆発音が聞こえてきた

みんなが戦いの手を止めて爆発のあった方向を向くと、上空を飛ぶ魔法少女に向けて自衛隊達が発砲している様子を見て取れた。

「何が起きているの?」

状況を飲み込みきれずにいると、テレパシーで旭ちゃんが話しかけてきた。

[自衛隊は上空のものに注目しているであります。

今の隙であればに向こうに行った皆をこちらに連れ戻すチャンスであります!]

「そうか。

静香ちゃん、一緒に!」

静香ちゃんの方を見ると静香ちゃんはフラフラと立ちあがろうとしていた。

「どうして…」

静香ちゃんがそう呟きながら立ち上った。私が噛み付いた方とは逆側に首を傾げながら静香ちゃんはこちらを見ていた。

「どうして、そんなになってしまったの、ちゃる…」

「どうしたの静香ちゃん、私の声が聞こえていないの?」

「みんながちゃるのようになる前に、私が正さなければ!」

そういうと静香ちゃんからドッペルが出現して静香ちゃんのドッペルはこちらに殴りかかってきた。

「静香!」

すなおちゃんは叫ぶことしかせず、私は静香ちゃんの攻撃をわざと受けて穢れを満たしてドッペルを出現させた。

ドッペルの鉤爪が一つ一つ静香ちゃんのドッペルの腕を止めていき、7つ全ての鉤爪が静香ちゃんのドッペルの動きを止めた。

そして私は再び静香ちゃんへ襲い掛かる。

「このわからずや!」

「それはこっちのセリフよ!」

互いの武器が鍔迫り合い、互いに睨み合う中、静香ちゃん側のドッペルは腕が一つ自由に動かせるはずなのに動かない。

ドッペルが躊躇している?

もしそうだとしたら、私と本気で戦う気がないの?

「本気じゃないでしょ、静香ちゃん!」

「私たちの目的は殺し合いじゃない、そうでしょ!」

「だったらどうしたら私たちは元に戻れるの。

人に管理されながら一緒なんて、嫌なんだから!」

「そんなの私も知りたいよ!

わからないよ。みんながこっちにきてくれたら済む話。

それだけ。なのに」

「お願いだから…」

「わからないって言ってるでしょ!」

噛み合わない主張。いや、噛み合うことを拒んでいる。

互いの主張がぶつかり合い、その中で妥協点なんて優しいものは生まれない。

きっと、どちらかが折れなければ終わらない。

だから、止められないんだよ。

 

立ちはだかっている蛇の宮を中心とした二木市の魔法少女達は本気で私たちを殺そうとしている。

そうしなければ殺される、そう彼女達は言っていた。

その手は震えつつも、かつて争いあった時のように。

しかしその力量はたかが知れていた。

次々と蛇の宮の魔法少女達は神浜側についた二木市の魔法少女に膝をついていった。

ひかるの呼び出した軍団に拘束されて跪いたまま動けないアオに対して私は見下ろしながら問いかけた。

「あなた達の命が誰かに握られているのはわかったわ。

そいつらを叩き潰せばあなた達は安心できるのでしょう?」

「やめて!

その人達に歯向かった時点で、私たちはボタンひとつで殺されちゃうの!」

「ならば教えず死ぬか、教えた後私たちがミスをして殺されるか。

アオ、あなたが生きられる可能性はどっちだと思う?」

アオは震えて泣き出してしまった。

「分からないよ。

わからないけど生きたい、私はそれだけだよ!」

「だったら早くそのボタンを持った奴のことを!」

「あらあら、ここはもうギブアップなの?」

聞きなれない声の方を見ると重武装の少女がそこにはいた。

「そのまま殺されちゃうと実験の意味がないからさ、ほら、この町で出るっていう魔女みたいなやつだしてから死んでくれない?」

「あんた、こんなところに来て平気でいられると思ってんのか!」

そう言って樹里が少女めがけて火炎放射を大火力で放ってしまった。

その炎は少女と同じ姿をしたもう1人の少女の盾の目の前で打ち消されてしまった。

「な、もう1人同じやつだって」

「それに、次女さんの炎全然届いてないっすよ」

「魔法製のものが効くわけないじゃないか」

そう言いながら盾を持たない少女はスイッチのようなものを取り出した。

「まさかそれって!」

アオが言っていたスイッチという言葉を思い出して、アオ達に爆弾をつけた犯人であることにはすぐに結びついた。

しかし思考を巡らせている間に少女は数字を打ち込んでスイッチを押してしまった。

すると蛇の宮の魔法少女の1人のソウルジェムが赤くひかりだした。

「い、嫌だ!死にたくない、死にたくないいいいい!」

そう言って少女の方へソウルジェムが赤く光った魔法少女が走り出した。

その魔法少女を少女は掴んで、その体をらんかの方へと放り投げた。

そしてらんかの頭上でソウルジェムは爆発した。

爆発は人の体を包む程度の威力で、至近距離だと爆発に巻き込まれて体が吹き飛ぶかもしれないほどの威力だった。

らんかは自分の武器で爆発を防いでいたが、同時に血飛沫と魔法少女だった肉がらんかの目の前へ落ちてきた。

「な、なんだよ、これ」

「いやぁぁっぁぁ!」

皆が動揺して動けない中、私はすぐに少女へ殴りかかった。

するとすぐに盾を持った少女が前に出てきた。

「邪魔だ!」

盾ごと殴り潰そうと思って振り下ろした棍棒は盾に当たった途端に形を失っていき、持ち手部分まで砂のように崩れ去ってしまった。

「魔法が効かないって、武器まで分解してしまうの?」

盾を持たない少女はアオの方を見て話し出した。

「ほら、死ぬ気で殺し合ってよね、じゃないとあの子みたいになっちゃうよ?」

「貴様!」

樹里が怒りをあらわにしているとアオが何かを呟きながら起き上がった。

「…にたくない。死にたくない。死にたくない」

そう呟くアオのソウルジェムは真っ黒だった。

「じゃあ、あとは楽しんでね」

そう言って少女達はその場から離れていった。

「お前!待ちやがれ!」

追いかけようとする樹里の前にドッペルを出す魔法少女達が立ちはだかった。

「お前ら。

邪魔するってんならウェルダン通り越して炭にしてやる!

あんなもので消される前にさ」

樹里が放った炎をドッペルを出した魔法少女達は受け入れ、次々と焼かれていった。

「ふざけるなフザケルナふざけるなふざけるなふざけるな!!!!

樹里は涙を浮かべながら魔法少女達を燃やしていった。

「死ぬってわかってるなら少しは協力しろっつうの」

結奈はドッペルを出したアオに行く手を阻まれていた。

「わかってる。こうやって姉ちゃん達を邪魔することが間違ってるって」

「ならどうして」

「ワンチャンがないかって思っちゃったからだよ。

もし勝てたら、もし成功したら、今より長く生きられるんじゃないかって」

「今を耐えられてもまた次の戦場でいいように使われるだけよ!

ワンチャンスなんて都合のいいものは」

「もう嫌だよ、早く解放してよ。

お姉ちゃん…」

アオのドッペルのギロチンがアオの首目掛けて自由落下した。

そして飛び出た黄色の液体が人型になって結奈へと襲いかかった。

黄色い人形が襲い掛かろうとするとそこにひかるが現れて人型の動きを抑えていた。

「結奈さん、こいつはひかるが引き受けるっす。

今のうちにアオさんのところへ!」

「助かるわ」

結奈はドッペルを出したままうなだれているアオの顔をあげ、目を見ながら言いつけた。

「私はあなた達を助ける方法を知らない。

でもあなた達を殺すスイッチを持っているあいつを殺せばそのスイッチが押されることは無くなるかもしれない」

話しかけてもアオは何も反応を示さなかった。

「あいつを殺すことに協力しなさい。

人間にいいように使われるのと、私たちに協力するの、どちらかを選びなさい!」

アオは返事をすることなくドッペルは消えてしまいました。

「結奈さん、アオさんは」

アオはその場で顔を上げることなく動こうとしませんでした。

結奈は周囲がどうなっているのかを確認した。
蛇の宮の魔法少女は皆樹里によって消し炭にされたわけではなく、中には神浜側の二木市の魔法少女に拘束されたままになった無事な子もいた。

蛇の宮の魔法少女との戦いが落ち着いたことを確認すると、結奈はテレパシーで皆に伝えた。

[動けるものはついてきなさい。

あの重武装の女を殺しに行くわ]

 

神浜の魔法少女が避難場所にしようとしていた北養区には、マギウスの翼にいた時に教官と呼ばれていた神楽燦が率いる宝崎の魔法少女を中心としたグループが待ち受けていました。

神楽燦が率いる魔法少女グループは神浜側の魔法少女へ攻撃を開始しますが、攻撃を行う魔法少女達は戦いを始める前に、相手へ必ずテレパシーでこう伝えました。

[戦うフリをしてください]

戦いをするフリという言葉にみふゆは困惑しました。

「燦さん、一体どういうつもりですか」

神浜側の魔法少女は困惑する者が多く現れました。

[みふゆさん、どうするんですか]

[きっと本気では来ないはずです。信じて訓練の要領で挑んでください]

そう言われて各々は神楽側の魔法少女達と刃を交え始めます。

言っていたことは本当のようで、どこか本気ではない様子でした。

そんな中、みふゆは燦と対面していました。

[これはどういうことか説明してください。どうして戦うマネなんていうことを]

[仕方がないんです。こうでもしていないと私たちは殺されてしまいますから]

[殺される?どういうことですか]

テレパシーでみふゆは燦から訳を聞き出します。

私はアンチマギアプロジェクトの話が世界に広まったあと、宝崎市を中心とした魔法少女達へ神浜へ行くことをやめるよう言って回っていたのです。

あそこは最も狙われやすい場所であるため、神浜以外で匿ってもらう必要があると考えていました。

その当てが青年会のメンバーでした。

しかし親しかったメンバーは庇ってはくれず、わたし達は特殊部隊に捕まっていたのです。

私は青年会のメンバーへ訳を聞かずにはいられませんでした。
聞いた結果は残酷なものでした。

「どうして、私はみんなと一緒にまつりの存続を願っていたのに」

「悪いな、俺たちじゃ何もできない。世界の決まりになってしまったからな」

「そんな、そんなことって!」

「殺されるわけじゃないんだろ。

落ち着いたら、またやり直せるかもな」

私は裏切られたとは思いたくなかった。

きっとまた戻ってきて元に戻れるとそう思い込み続けました。

でも捕まった後にSGボムというボタンひとつでソウルジェムを破壊されてしまうという状態にされてしまった時、私はひどく後悔したのです。

宝崎の魔法少女には私を責める者もいました。

「あなたが止めさえしていなければ!」

「燦様はみんなのことを思って行動したのですよ。助けられておいてそんなことを言うなんて」

「だって、じゃあこの憤りはどこにぶつければいいのよ!」

「スイッチさえ押されなければ生き延びられる可能性はある。

あの女さえどうにかすれば」

そんな皆が落ち込んでいる中で皆に合意してもらえたのが、戦うフリをしながら助けを求めることだったのです。

[教官らしくないですね。

それで、倒さないといけない相手というのは誰なのですか]

[サピエンスという組織に所属している科学者です。

名前は知らない、銀髪の小さい女で戦場に来ているのは確か。

そいつが殺されたと判明するまではそちらに寝返ることはできません]

[そうですか。

私は教官を信じますよ、いいですね?]

[みふゆさん、ありがとう]

みふゆは銀髪の小さい女がSGボムの起爆装置を握っているとテレパシーで周囲の魔法少女へ伝えていきました。

「灯花へ今のことを伝えてください!

探すくらいはしてくれるはずです」

その話を聞いて反応したのは宮尾とはぐむでした。

[私たちが伝えてきます!]

[場所はわかりますか?]

[手伝いに、何度か行っていたから多分]

[わかりました。

わからなければやっちゃん達に伝えてください。そうすれば確実に伝わります]

[[はい!]]

宮尾達はその場を離れましたが二人をを追おうとする魔法少女はいませんでした。

自衛隊も追うことはありません。

「自衛隊は追おうとはしないのですね」

「彼らは私たちの監視をしているだけです。

もしかしたら、彼らに見られていなければもしかしたら」

戦いながら器用にテレパシーと会話を織り交ぜながら情報交換をしていると、自衛隊が空を見上げて東側へ発砲を始めました。

その方向を見るとそこには鎌に乗った二人組がいて、そのうちの1人はみふゆ達が見慣れた存在でした。

「あれは、アリナ?!」

アリナ達は自衛隊の頭上で手榴弾などの爆発物を放り投げ、自衛隊は逃げ惑って混乱していました。

[皆いまだ、身を隠せ!]

燦達は一斉に森の中へ隠れて自衛隊の目が届かない場所へ姿を隠しました。

「みふゆさん、動くのは私だけでいい。

戦えない魔法少女と一緒にみんなをここに置いてくれませんか。

もちろん、最悪の事態を考えて離れておいた方がいい」

「良いのですか?見つかったらすぐに起爆されてしまうかもしれませんよ」

「SGボムをつけられた時点で、もう死んでいるようなものですよ」

 

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【マギレコ二次創作】魔叙事詩カグラ・マギカ 2-3-6 神浜鎮圧作戦・その2

水名区北部で偵察を行っていた時女一族のメンバーの前には、時女静香の部隊が遭遇していました。

「静香ちゃん…」

「ちゃる、迎えにきたわよ」

双方見つめ合って動かない中、その場に武装したディアが通りかかります。

「何やってるんだ、早く殺し合いなさいよ」

そんなディアを見て涼子がディアへ話しかけます。

「何だあんたは」

「あんたらを保護する存在だ。

投降してくれてもいいが、私としては殺し合いをしてもらったほうがありがたいんだけどね」

パンッ

ディアに向けて1発のライフル弾が放たれます。

その弾は少し遠い距離から撃たれたにも関わらずディアの頭部を撃ち抜く軌道でした。

しかし、その軌道の間に人が1人割り込みます。
その見た目はディアと同じ見た目で体と同じ大きさほどある盾を持っていました。

その盾をライフル弾が貫くことはできず、少しの凹み傷を付けただけでした。

「何?!」

「うーん、反応はいい感じかな」

「同じ人が、2人?」

「時女の、分かってるでしょう?」

そう言いながらディアはボタンのようなものをちらつかせます。

「はい、もちろんです」

静香はいつもとは違った刀を抜き、刃をちはるたちへと向けます。

「かかれ!」

そう静香が号令をかけると静香側についた時女一族がちはるたちへと襲い掛かります。
思いもよらない襲撃に神浜側の時女一族は皆戸惑いながらも襲い掛かってきた魔法少女達へ対応していきます。

ちはるへは静香が斬りかかってきたため、ちはるは咄嗟に武器を構えて静香の攻撃を受け止めます。

「静香ちゃん、どうして!」

神浜に残った時女一族は応戦しはじめ、だんだんと誰がどっち側の時女一族なのかが分からないほど混ざっていきました。

「何で私たちが戦わないといけないの!」

「そうしないと、あたし達は殺されるからよ!」

「どういうこと」

 

他の場所でも魔法少女同士の戦いは始まっていました。

二木市の魔法少女達は蛇の宮の魔法少女達と対峙して既に刃を交えていました。

「まさか臆病なテメェらがこの樹里様に噛み付くとはな」

「私たちだって、でも、死にたくないから!」

樹里とアオの間にひかるの呼び出した軍団が割り込んで2人を引き離します。

「邪魔するな馬!」

その場へ結奈が到着し、持っている金槌を地面へ振りかざした後にアオ達へ問いかけました
アオ達は金槌が地面にたたきつけられた衝撃に一瞬動きを止めて結奈を見てしまいました。

「いいからなぜ殺されるか話しなさい。

周りにいる自衛隊を始末したら殺されないの?

それとも別の何かに狙われているの?」

「違うよ、命令を無視したら、ソウルジェムが爆破されるんだよ」

「はぁ?なに言ってるんだ」

樹里の反応の後に蛇の宮の魔法少女が1人話に割り込みます。

「わたしら、あいつらにソウルジェムへ細工されたんだ。

それが、命令に反したら爆発させるものだって」

「どこにそれがついてる、直ぐに外してやる」

「無理だよ、ソウルジェムに溶け込む装置だから。

どうしようもないんだよ」

アオは泣き顔になりながらそう答えた。

神浜市側の二木市の魔法少女達が絶句する中、アオ達のインカムにディアが語りかけます。

「真剣に殺し合えよ、じゃないと直ぐに起爆させちゃうよ〜?」

蛇の宮の魔法少女達は一斉に結奈達へ切り掛かります。

「貴様ら!」

「お願いだから私たちに負けてよ!そうしたらみんな一緒だから」

「うるせぇ!

焼き尽くして大人しくしてやる!」

「みんな!全員の動きを止めなさい!

最悪四肢を粉砕しても構わないわ。ソウルジェムだけは外しなさい!」

「そんなのじゃダメだよ、どうせやるなら一思いにやってよ!」

泣きながらも笑みを浮かべて攻撃してきたアオへ攻撃を受け止めながら結奈は悲しげな顔をするしかありませんでした。

 

北養区でも再会の挨拶から始まっていました。

「お久しぶりです、みふゆさん」

「教官、あなた程の方がどうして」

「他の子達を守るために、そして地元の人たちを守るためにです」

「あなたは、こんな世界でも諦めきれずにいるのですか。あなたの守りたいものを」

「私だって諦めたくないと思っています。でも、いまとなってはそれも」

そう話しているとインラインスケートを装備した魔法少女がみふゆへ攻撃を仕掛けてきます。

「ミユリさん?!」

「さあ、大人しく私たちにつき合ってください。しっかり説明はしますよ」

そう言って教官こと燦が武器を構え、後続の魔法少女たちがみふゆが連れていた魔法少女たちへ襲いかかります。

 

囚われた魔法少女の4グループと名付けられた寄せ集めの魔法少女集団は大東区へ攻撃を仕掛けており、十七夜を中心とした東側の魔法少女達が対応していた。

「まさか戦う相手が魔法少女になるなんて」

十七夜は躊躇なく襲ってくる魔法少女達を気絶させていき、4グループ目の魔法少女達は順調に戦える数が減っていった。

「この程度何の障害にもならんな。

観鳥、他に怪しい集団はいないか」

そう言いながらテレパシーで聞くと、偵察を行っていた観鳥は報告を行った。

[建物に隠れるように自衛隊が待機しています。

魔法少女と戦わせて疲弊した私たちに仕掛ける気でしょうね]

「ふむ、あまり良くないな。

私が魔法少女達の相手をするから皆は隠れている自衛隊へ対処しろ

「1人でやる気ですか?!」

「これくらいの相手、造作もない」

「あら、もしかしてまた1人で抱え込もうとしていませんか?」

十七夜の顔を覗き込むように郁美が話しかけた。

「なに?」

[そうだね。

十七夜さんはもっとみんなに頼ったほうがいい。

あなたが思っている以上に、覚悟が決まっているメンバーは多いんだよ]

テレパシーで観鳥がそう十七夜に話しかけると、十七夜の周りにいる魔法少女達が笑顔でうなづいた。

「お前達、本当に覚悟はできているのだな」

「くどいですよ、ちゃんと信じてください!」

周囲の魔法少女達は十七夜へ笑顔を見せた後に人間側の魔法少女達を止めようと戦いへ向かっていきました。

「ふむ、そうだったな。
だが、死なせはしないからな」

 

南側はひなのを中心に迫り来る艦隊に対応しようとしていたが特殊部隊の存在を知ってしまって身動きが取れない状態になっていた。

奴らに気づかれないように一撃で艦隊に打撃を与えられないものか

「みゃーこ先輩、そんな簡単にできたら苦労しないよ」

「だが奴らに睨みをきかされているようじゃ、どこも安全だなんていえない。

梨花、一発でいい。

中央にある空母に一発撃ち込めないか」

「と、届くかな。

やってはみるけど、絶対位置はバレるっからね」

「分かってるさ、命中を確認できたらさっさと北養区へ逃げるぞ」

「それじゃあやるかんね!」

梨花は武器であるコンパクトをコンテナの裏で巨大化させ、試験艦へ向けて渾身の一撃を放った。

その一撃は試験艦を捉えていて確かに命中するコースであった。

しかしその一撃は試験艦手前でバリアのようなものに防がれ、弾かれた魔法の破片が海水を蒸発させて試験艦周囲は蒸気で包まれた。

バリアを展開したときの試験艦では

「バリア、正常に稼働しました!

動力炉不安定化、しばらくこの場から動けません」

「護衛艦に被害は」

「ありません。全て防げたようです」

「いいだろう。

動力炉安定化後、前進を開始する」

 

試験艦を破壊できなかったことに梨花は驚いていた。

「そんな、直撃したはず」

「いいから逃げるぞ!」

攻撃が効かないということか。
だとすると、あたしらにうつ手はないぞ。

[海岸にいる魔法少女達聞こえるかにゃ?]

[灯花、何のようだ]

[しっかり耳を塞いでよね。
じゃないと、そこから動けなくなっちゃうから]

[おい、何なんだいきなり]

[3、2]

こちらの問いかけを聞き入れず淡々とカウントを始めた。

[全員耳を塞げ!]

カウントがゼロになると近くにある非常放送用のスピーカーから音が発せられ、私らを発見した特殊部隊達は頭を抱えて倒れていった。

「なんだ、これは」

ひなのと衣美里が耳を塞いでいる中、梨花とれんは耳を塞ぎ損ねたのかその場に気絶して倒れてしまった。

「おい、二人とも!」

二人からはテレパシーでも返事はなかった。

 

南側で発生したことについてはマッケンジーにも報告が入っていた

「音だと?」

「はい。S班の最終報告によると頭が割れるような音が発生したとのことです」

「他の場所では」

「そのような報告はありません」

「魔法の影響を受けない装備を身につけているのだから、その音とやらは科学的に解決すべきものだろうな。

魔法少女達が扱ったのか」

「どうします?発生源を吹き飛ばせば済む話ですが」

「俺たちにできるのはそれだけか」

マッケンジーはディラン大佐へ回線を繋げた。

「ディラン大佐、港付近で発生した音の出所を自衛隊へ共有できるか」

「何を考えているマッケンジー」

「港を使えないと上陸作戦自体が敵わないだろう。

何のために港を標的に入れなかったと思っている」

「爆撃無人機の発進準備はできている。日本に頼らずとも」

「港で動けないS班ごと吹き飛ばす気か!」

「目標の近くで倒れる奴が悪いのではないか」

マッケンジーはディラン大佐との回線を強制的に切断した。

「ふざけたことをしてくれる」

マッケンジーは待機命令を出していたN班と共に南へと向かった。
そんなマッケンジーに対して隊員は困惑していた。

「大尉、何をする気ですか?!」

「爆撃機が任務を無事に完遂できるとは限らん。

ロケットランチャーを持って音の出所を破壊しに行くぞ」

「大尉が言うなら従いますが、知りませんよ」

想定外の事態へ対応するためのマッケンジー率いるN班が動き始めたことを知り、ディアはマッケンジーへ回線を繋いで問いかけた。

「何やってんだ、まだ何も起きていないだろ」

「港の出来事を共有されていないのか」

「もちろん知ってるさ。

何も急ぐ必要はないだろうさ。今行ったってどのみち間に合わない」

「仲間が吹き飛ばされると知って動かない奴があるか!」

「マッケンジー、少し感情的すぎるぞ。

軍隊にそんなものは不要じゃないか?」

「サピエンスの特殊部隊は軍隊ではない。そんなルールに則る必要はない。

お前も、ディラン大佐達も固く考えすぎだ。埋め合わせはするさ」

咄嗟にマッケンジーはディアとのプライベート回線に切り替えた。

「この本気じゃない戦いで命を落とすほど無駄なことはない。そうではないか?」

そう言ってマッケンジーは一方的に回線を切った。

ディアは目の前で戦う魔法少女達を眺めながら呟いた。

「ものは言いようだねぇ。

まあ、港がどうなろうがどうでもいいが。

それにしても行動不能にさせる音か。

動けなくなる原因の症状を聴かないと明言できないが、体に異常をきたすならば音圧の仕組みを利用したものだろう。

だとしたらそれは音として認知できるのか?

ヘクトパスカル台のものでなければそんな症状は起きないはずだ。

どうであれ、下手に近づかないのが賢明だろうね」

試験艦から発進した無人機は魔法少女達の目にも留まることになった。

南凪区近くで逃げ遅れた魔法少女達の救助を行っていたいろは達には、灯花から港には近づかないよう伝えられていた。

[そんなことを言われても、港の方には都さん達がいたはずだよ]

[彼女達にも伝えたよー?ちゃんとそこから離れられたかは別だけどね]

[灯花ちゃん、一体何をしたの]

[教えないよー]

「ちょ、ちょっと!」

灯花へさらに話を聞こうとしていると、遠くからまどか達がいろはたちに声をかけていました。

「まどかちゃん、避難していないの?!」

「えっと、私たち人探しをしていて」

まどかちゃんと一緒にいたのはほむらちゃんと巴さんでした。

巴さんが探している人について話し始めます。

「実は小さい子を探していて。

なぎさちゃんって言うんだけど、どこかに行ってしまってここまで探しに来たのよ」

「なぎさちゃん。

すみません、どういう見た目の子かわからないと」

「ケータイに画像があるはずなんだけど、今は手元になくて」

でも小さいこと言っても見覚えのある子達にしか会っていないわ。

多分見かけてはいないわね」

「そう、ですか」

やちよさんの回答に、少し巴さんは悲しそうな表情を見せます。

そんな中、まどかちゃんは南の方角に指を指します。

「あれ、何だろう」

船が見える方角からは鳥の群れとも言える黒い塊が向かってきていました。

「絶対良くないものだよあれ」

そう考えを巡らせていると三重崎の魔法少女から報告がされます。

[船団から来る物体、形状が無人機で、下にミサイルみたいなものがついている。

もしかしたら特攻型の無人機ミサイルの可能性があるから南側の奴らは特に注意しろ!]

あれが全部、ミサイル?!

それを聞いてまどかちゃんが弓を無人機の集団に向けますがほむらちゃんが止めに入ります。

「無理よ、ここから届きにくいし全部落とせなんてしない。

逃げたほうがいいわ」

「でも、放っておけないよ」

そう言うまどかちゃんに対して私は手を差し出しました。

「2人で力を合わせれば、できるかもしれない」

私と目を合わせて聞いていたまどかちゃんはうなづいて私の手を握ります。

コネクトが発動し、私のクロスボウとまどかちゃんの弓が合体したような武器は、ミサイル達を捕らえた上空に紋章を生み出し、その中央目掛けて私たちは矢を放ちました。

紋章にかろうじて矢は届き、紋章はその矢に反応して真下へ無数の矢が放たれました。

ミサイルは逃げようとする動きは見せたものの、逃げきれずに全てが撃ち落とされてしまいました。

私たちは達成感でその場で笑顔になりながら動けずにいました。

「これほどの力、攻め込んできた奴らを一掃できるんじゃない?」

ほむらちゃんの問いかけに対して私はこう答えます。

「魔法少女が敵に混ざっていなかったらやっていたかも。

でも、相手が魔法少女ならやりにくいよ」

その答えにほむらちゃんは表情を変えず何の反応も見せてくれませんでした。

そんななか、さなちゃんが話しはじめます。

「その、なぎさちゃんを探しませんか?

逃げ遅れているのかもしれないですし」

「そうね。

私たちも協力しましょう」

そう話していると、急に鶴乃が大きな声を出します。

「危ない!」

そう言って鶴乃ちゃんは私とまどかちゃんを突き飛ばしました。もともと私たちがいた場所へは二発の弾丸が飛んできました。

「良い感を持っている奴がいたか」

その声の方角には、マッケンジー率いるN班の姿があった。

「見つけたからには対処させてもらうぞ、魔法少女共」

 

 

高いビルの上から、小さな魔法少女が戦場となった神浜を眺めていました。

「この世界はここだけな出来事が多すぎるのです。

マミ達まで人間に好戦的になってしまって、これでもお前はこの世界も救いたいと言うのですか?」

話しかけられているピンク色のキュゥべえは何も答えません。

大昔にこの世界の何者かに声をかけられて、円環の理はこの世界にちょっかいを出したのです。

確かに円環の理に声をかけられる存在なんて前代未聞なのです。

そいつを見つけ出せれば満足ですか」

ピンク色のキュゥべえは何も答えません。

「まあいいのです。

なぎさはここから見守るだけなのです。

なぎさは人と殺し合いなんて、したくないのです」

手元にいるお菓子の魔女の手下をこちょこちょといじくり回しながら、彼女はただ神浜を見つめるだけでした。

 

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【マギレコ二次創作】魔叙事詩カグラ・マギカ 2-3-5 神浜鎮圧作戦・その1

夜に襲撃があった際、私たちには全く被害が出ませんでした。

しかし昨夜の戦いはどうやらテレビでリアルタイムに流れた様で、日本政府は神浜の奪還を支持しているようでした。

ドローンによる索敵が行われていたことも考慮し、中央区に設置されていたキャンプは放棄して栄区と大東区に生活場所を移動することになりました。

今朝はその移動作業で大忙しです。

「何で移動しないといけないのさ」

「ドローンでどこに生活拠点があるか見られてたんだとさ。

居続けてもいいけど攻撃の的になるのは確かだよって言われて動かないわけにはいかないでしょ」

「また戦いになるの?嫌だなぁ」

移動作業中にドローンに覗き見されていないか偵察を行う魔法少女はもちろんいて、今のところは発見されていないようです。

さつきさんたちが滞在している竜真館も魔法少女が集まる場所として別の場所へ移動するよう推奨される場所に指定されていました。
この推奨される場所の指定というのは三重崎の魔法少女や灯花ちゃんたちが勝手に言っているだけで話し合いで決めたというものではありません。
みんなは多少疑問に思いつつも、危ないというならばということで半信半疑で別の場所へ移動を行っているところです。

「せっかく畑の準備ができてきたっていうのに、ここが戦場になる可能性があるだなんて」

「安全に暮らせる場所、まあここは他の場所よりましなんだろうけど全然落ち着かないな」

さつきさんとキクさんがそう話していると魔法少女になっていない子たちが2人に話しかけてきました。

「ねえ、ここ壊されちゃうの?なんで?」

「私たちを弱いものとしていじめてくるからだよ」

「また私たちの居場所を奪おうとするの?
それなら・・・」

「変ことを考えようとするんじゃない。
いまはキュゥべえがどこかへ行ってしまったし、変なことなんてできやしないと思うけどね」

「でも、本当に襲ってくるのかしら」

いつ襲ってくるか気を抜けないままお昼過ぎ。

中央区から魔法少女達がほとんどいなくなった頃、南側を偵察していた都さんから連絡がありました。

[軍艦と思われる集団が迫ってる。目視できても2隻や3隻じゃないぞ]

「船だなんて、そんな」

都さんのテレパシーは灯花ちゃんにも届いて、南側で生きている監視カメラを使ってその様子を確認しました
同じ部屋にいた私たちも、たくさんの軍艦が迫ってきていることを確認できました。

「空母級に巡洋艦複数…

もう国を奪う程度の戦力じゃん」

「砲撃どころかミサイルの嵐、上陸されたら多くの兵士が傾れ込んでくるだろうね」

「これだと地上にいることが危険かもしれないわ」

「迫ってきているのは軍艦だけじゃないはずだよ。

陸に空、あらゆる侵攻ルート、方法で迫ってくるとみていいだろう」

「それやりようあんのか?」

やらないとこちらがやられる状況、でもみんなには死んでほしくない。

「昨夜同様に好戦的なメンバーにだけ前に出てもらいましょう。
他のみんなは自分を守ること優先で」

「それじゃダメだよ」

やちよさんの意見に灯花ちゃんが反対します。

「まずは艦隊をどうにかしないと何も解決しない。

一方的にミサイルと砲撃で蹂躙されるだけ。

自分の身を守るのはやるべきことをやってからだよ」

「海上戦なんてできる子いたかしら」

これからどうしようか考えている時に偵察を行っていた時女一族の子から連絡がありました。

[武装した集団がこっちに近づいてくるよ!]

今は私たちにできることをやるだけ。

「私たちは動けない子達の救助に専念したいんだけど、みんなはどうかな」

「それでいいと思います」

「私もそのほうが良いと思うわ」

「何だよ、倒しに行かないのかよ」

フェリシアちゃんは少し不満そうでした。そこへ鶴乃ちゃんがフェリシアちゃんに話しかけます。

「フェリシアは人を躊躇なく殺せる?」

「そりゃできるぜ」

「じゃあ、当たったら終わりな弾が当たって二度と動けなくなる覚悟もある?

「それは、二度と動けなくなるのは嫌だけど」

「それは覚悟が決まっていないって言うのよ。無理をする必要はないわ」

「フェリシアちゃんが私たちを守ってくれたら、ありがたいなって思うんだけど」

「2人がそこまで言うなら、仕方がねぇな」

「ちょっと、私もでしょ!」

私たちが部屋から出て行こうとすると私は灯花ちゃんに呼び止められました。

「お姉さま、海岸と北の境界には近づかないでね、絶対だからね」

「う、うん、わかったよ。みんなにも伝えておくね」

私は”なぜか”を聞かずに外へと向かいました。

私たちが部屋から出ていったタイミングで2人は話を始めました。

「そうやって詳しく伝えない」

「だって、教えたら絶対反対されるだろうし」

「人体に悪影響な波長を設置した拡声器から発して、気絶に追い込む。

敵を無力化できるかもしれないが魔法少女にも影響がある。

ある意味前線に出る子達を餌にすることになるだろうが、お姉さんには反対されていただろうね」

「さっきも話していたけど、覚悟ができた子達が前に出ているんだから、少しくらいいいじゃない?」

「まったく。うまく行かなかった時の次は準備できているかい?」

「もちろん。

火薬があまりなかったから、地味なことしかできないけどね」

「あったら何をする気だったのか」

「2人とも、会話が怖いよ・・・」

部屋に一緒に残っているういとワルプルガさんはただただ二人の会話を聞くことしかできませんでした。

 

 

武装した集団が迫っていることはテレパシーで伝えられ、魔法少女達は個々人で判断して行動し始めました。

十七夜さん達は

「我々がありのままでいられるのはここだけだ。

精一杯争わせてもらう。

君たちは戦えない魔法少女たちの避難を優先してくれ」

「何言ってるんですか十七夜さん」

「私たちも一緒に行きますよ」

「…無事に帰れると思うなよ」

「わかってますよ、1人で抱える必要はないですって。それだけですよ」

 

みふゆさんたちは

私たちは戦えない魔法少女たちの救助と避難を支援する動きをとりましょう。

ひとまずは北養区のフェントホープ跡地周辺に避難しましょう」

「わかりました!」

「やっちゃん、どうか無事で」

 

結奈達は

「ここで踏ん張らなければ二木市に戻ることさえ叶わないわ。

昔の因縁は一度胸にしまって目の前の脅威を排除するわよ」

「アオさん達を助けに行かないといけないっすからね」

「何だっていい、思いっきり暴れさせてもらうぜ」

 

ちはる達は

「静香ちゃんが出てくるかもしれないから、私は前に出て戦うよ。

でもみんな揃っている必要はないよ、ちゃんと逃げてよ」

「大将を呼び戻すチャンスだ。

他の血の気の多い奴らに倒されるなんて事態は避けたいだろ」

「私たちは精一杯生き残ります。だから、ちゃるも無理はしないで」

 

三重崎の子達は

「まさかサバゲーじゃなくて実戦をやることになるなんてね」

「実際に生身の人間を撃ち抜く、私たちにちょうどいいじゃないか」

「当たったら終わりはこちらも変わらない。

自衛隊だってアンチマギアを使ってくるだろうからな」

「まずは他の魔法少女への支援を優先しよう。あいつらに索敵の脳はないだろうからな」

「積極的に動いていた夏目の奴らがこんな時にいないなんて。

あいつら今は何をしているんだ」

 

魔法少女が動き出したことは自衛隊側は把握していました。

「魔法少女に動きあり。

我々の前進行為を察知して行動を開始したようです」

「我々はサピエンスの部隊とは完全に別行動だ。

行動不能になった敵味方の魔法少女達の救助、及び神浜外へ流れ弾が出ないかの監視、魔法少女達の行動監視が優先だ」

高田一佐は自衛隊への指示を終えた後にディアにつながる回線へ切り替えます。

「サピエンスの科学者、会議中にも言ったが作戦範囲外に被害が出ることは厳禁だ。

それは気をつけてくれ」

「わかっているさ。そっちこそ、SGボムの使用は渋るんじゃないよ。

場合によっては敗因に繋がるんだからね」

「…承知している」

「それじゃあよろしく」

ディアは回線を切り替え、試験艦のディラン大佐に繋ぎます。

「大佐、データは昨日送った通りよ。

昨晩魔法少女達が溜まっていたと思われる場所へ対地ミサイルの発射をお願い」

「信用して良いのだな」

「日本はデータ収集だけは優秀よ。

仮に魔法少女へ直撃したとしても、そいつらの運が悪いだけだから」

「いいだろう」

ディラン大佐は回線を切り替え、艦隊全体に指示を出した。この回線はマッケンジー達の部隊へも繋がっていました。

「これよりカミハマシティ鎮圧プログラムを実行する。

第一フェーズの実行を開始する。

各艦は事前通知していた地点へAM -2ミサイルを発射せよ」

試験艦及び巡洋艦の対地ミサイル用のハッチが開き、上空に向けてミサイルが発射されました。

魔法少女達にミサイルを迎撃する手段などなく、着弾すると思われる場所から離れることしかできませんでした。

ミサイルは大東区、中央区電波塔跡地、竜真館周辺へと着弾し、爆発と同時に周囲へアンチマギアが拡散されました。

またAM -2ミサイルには液状化されたアンチマギアが試験的に採用されており、爆発と同時に周囲へ散布されました。

しかしその散布範囲は狭く、着弾した地点から半径50m程度しか液状化したアンチマギアがばら撒かれず、粉末状のアンチマギアは予想値よりも周囲に離散してしまい、濃度が薄い状態になっていました。

「AM -2ミサイル、予定距離も250m狭い範囲にしか散布されていません!」

「サピエンスにクレームを入れとけ!

不良品を出すんじゃないとな」

ペンタゴンで観測を行っているイザベラの元へ直ぐにディラン大佐のクレームは届けられました。

「見てたから分かってるって。

カルラ、AM -2ミサイルを担当した技術者に繋げなさい」

「イザベラ、あれはヨーロッパでの最終テストを行う前の規格で作ったものだ。

搭載する前に伝えたはずだ」

「だからって散布範囲が半分以下ってどう言うことよ」

イザベラの隣で座っているカルラはだるそうに持っていたタブレットからAM -2ミサイルの設計図を見つけ出してイザベラに見せつけるように画面を押し付けました。

「液状、粉末ともにミサイル着弾後に上空へ飛び出し半径250m散布予定だったがそれぞれの射出容器の強度が足らず着弾と同時にミサイルの火薬と共にその場で爆発してしまう欠点はすでに洗い出されている。

データの再度洗い出しを行わせず容器強度をおおまかな数値でGOを出したのはお前だ。

クレームを入れられるのも当然だ」

「ヨーロッパの武器庫が破壊された影響がここまでとは」

イザベラはディラン大佐へ回線を繋ぎます。

「ディラン大佐、AM -2は試験艦へ搭載できる想定積載量よりも倍の数を搭載させています。

それで制圧を続けてください」

せっかく撒いた粉末状のアンチマギアが離散しすぎて使い物にならんぞ」

「ちっ、言わないとわからんか」

「レディ、立場をわきまえろ!」

怒るディラン大佐の言葉に耳を貸さず、AM -2ミサイルの設計図を少し見た後に軽くタブレットで計算した後にイザベラは試験艦へ向かってデータを送ります。

「設置起爆ではなく時限起爆に変更しなさい。

変更コードは送ったわ。

それを適用させたところで多少の誤差は出るからそこはそっちで調整しなさい」

「この数分でコードを書き換えたのか」

「文句を言う前にさっさと対処しなさい」

隣で一連のやりとりを見ていてキアラはディラン大佐を気の毒に思っていました。

天才だからかその場で修正を当たり前だと思っていたのか何なのか不良品を少しでも使えるよう数分でミサイル起爆のシステムにコードを埋め込もうだなんて、誰が思いつくか。

試験艦からはコードが書き換えられたAM -2ミサイルが3発神浜市へ飛んでいき、上空500mで爆散していきます。

液状化したアンチマギアは隙間が生まれたもののほぼ半径250mに撒き散らされ、粉末状アンチマギアは想定以上の範囲へ濃度を保ったまま散布されました。

これらのミサイルに直撃する魔法少女はいなかったものの、親しみのあった場所が爆撃されたことに悲しみを感じる魔法少女達は多い様子でした。

「目標値達成。次のフェーズに向けて索敵ドローン、散布ドローン発進」

「第ニフェーズに移行。

ドローンにて魔法少女がいると思われる場所へアンチマギアの散布を開始する。

地上部隊は鎮圧マニュアルの実行を行え」

マッケンジー達は待機状態から変わらず、動き出したのは人間側についた魔法少女達でした。

「ドタバタはあったがなんとかマニュアル通りの運びになったか」

ドローンは予定通り中央区中心に外側へ魔法少女が逃げるよう誘導開始。

魔法少女反応もカミハマシティの外側へ広がっていきます」

「北部の押さえ込みは囮に任せろ。

我々は海岸の安全確保を優先する。

S班は索敵に専念し、沿岸部分にいる魔法少女を洗い出せ。
E班、W班は囮と自衛隊が完全に機能しなくなってから動き出せ。

的になるのは自衛隊だけでいい」

マッケンジーが指示を出し終わったあと、近くにいた兵士がマッケンジーに話しかけます。

「我々の出る幕はあるでしょうか」

「常に最悪のケースを想定して動かなければ簡単に死ぬものだ。

それに相手は非常識な連中だ、今こうしている間にも地面が割れて奈落に落とされるかもしれない

「さ、流石にそれは」

「可能性はゼロではないと思う程度でいい。

我々が動くのは艦砲射撃が一通り完了してからだ。その時にどうなっているか」

 

一方、神浜市の様子を観察しているペンタゴンでは不審な影を捉えていました

「レディ、中華民国から軍艦が数隻発進しているようです」

そういえばあいつらこのタイミングで軍事演習とかほざいていたわね。

しっかり監視しておきなさい。

あとは予定通り中華民国以外に対魔法少女条例違反時の対応連絡を出しなさい」

「ロシアにも伝えるのですか?!」

「あそこはすでにサピエンスの犬よ。

構わず伝えなさい。こんなところで裏切るほど奴らに度胸はないわ」

「了解!」

キアラはイザベラに話しかけます。

「本当にこの機会に日本をものにしようとするだなんてあるのか」

「うちの国に工作員を散々潜り込ませていて、さらにはあの脳内のデータよ。確信よ」

「人間に対してもあれを使ったのか?!」

「誰が魔法少女用と言った?

やらかしそうな国なんて調べがついているのよ。

邪魔なんてさせないわ」

 

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【マギレコ二次創作】魔叙事詩カグラ・マギカ 2-3-4 神浜鎮圧作戦・下ごしらえ

キュウべえが姿を消したと知ってから数日が経過

日が沈み、夜と呼べる頃になった時間帯の出来事でした。

北の方角から以前に神浜を奇襲した武装集団とは別の集団が迫ってきていました。

灯花ちゃん達がいるコンピュータ室でその武装集団の姿を捉えた時、兵士と随伴する車両に記載されていた文字は。

「自衛隊?!」

神浜の境に入るあたりで自衛隊は歩みを止め、スピーカー越しにこちらへ語りかけてきました。

「神浜市に籠城する魔法少女達に伝える。

無駄な抵抗はせず、投降しなさい。

そうすれば、互いに辛く、痛い思いもせず穏便に事が済む。

君たちと殺し合いは行いたくない。

どうか、人と共に歩むという選択をしてくれないだろうか」

神浜にいる魔法少女達は自衛隊の呼びかけを聞いて直ぐには動き出せずにいました。

それは、私たちも同じです。

「投降って、でも、今捕らわれるなんてことになったら」

間違いなくアンチマギアプログラムに従って人としては扱われない

「投降したからって、過去と同じ生活には戻れないってのはみんなわかっているはず」

「とは言え判断するのは個々人の自由だと思います」

「いろは?」

私は知りたかった。

ただ周りに合わせているだけで、実は人間と一緒にいたいと思う子達がこの神浜にいるのではないか。

神浜中を歩いて分かったけど、決してここでの生活は快適なものではない。

ここでの生活を望まない子がいるなら、これはいい機会かもしれない。

そう思いを巡らせていると、灯花ちゃんが何かをしようとキーボードに手を伸ばそうとしていました。

「待って!」

「…お姉さま?」

「もうちょっとだけ、様子を見させて」

灯花ちゃんは呆れた顔でキーボードから手を離します。

「しょうがないにゃぁ」

他の魔法少女達がどう出るか伺っていると、誰も自衛隊の方へ行こうとする子は出てきませんでした。

15分近くは状況が変わらずにいました。

しかしついに自衛隊が動き出しました。

「回答がないならば、保護を目的に立ち入らせてもらう」

自衛隊が用意した照明が神浜を照らし、自衛隊はゆっくりと中央区に向けて進軍を開始しました。

「あいつら入ってくるよ!」

「抵抗していいのか、どうなんだ!」

神浜の魔法少女は誰かの指示がないと動き出せないのか次の行動に出れずにいました。

「自衛隊が動き出したのに、みんな動こうとしない?」

「人間社会のあり方が刻まれていれば、指導者の指示を待つのは当然だろう」

ねむちゃんがそう言い出すと、マイクがある方向に指を刺しました。

神浜マギアユニオンという組織を作ってしまったのはおねえさんだ
お姉さんの言葉ひとつでみんなは動き出してくれるだろう」

「でも、私はみんなに戦ってなんて言えない。戦いたくない子だって、いるだろうに」

みんなが何も言わない中、声をかけてきたのはワルプルガさんでした。

「ならば思いを伝えるだけでいいんじゃないかな」

「思いを?」

「スピーカーなんて使わなくても、あなた達にはもっと便利な情報伝達手段があるでしょう?」

テレパシー

確かに思いは届けやすいけど、そんなに遠くまで、しかも複数人に届ける方法なんて。

「でも、どうやって複数の子達に」

「くふふ、あの人たちはすごいにゃぁ、こうなることを予期していたんだから」

そう言って灯花ちゃんは引き出しから小さな機械がついたインカムを取り出しました。

「これをつけてテレパシーを使うと、余裕で神浜中の魔法少女に思いを届けられるよ」

「あなたそんなものまで作れたの?!」

やちよさんの驚きはもっともです。

いつの間にこんなものを。

「天才を侮らないでほしいな。

ほら、みんなを指示待ち人間から解放してあげて」

私はインカムを受け取り、装着してみんなにテレパシーで伝えました。

「それじゃあ、やってみるね」

私は神浜にいる魔法少女全員に伝えることを意識しながら想いを伝えます。

“みなさん、これからどう行動に出るかは個々人にお任せします。

戦おうと、逃げようと、投降しようと。

抗いたいという人は、私に力を貸してください!”

そう思いを伝えると、自衛隊の1人が何者かに頭を撃ち抜かれていました。

自衛隊は一斉に抗戦する体制に入り、戦車が前へと出ます。

銃弾を放ったのは、三重崎の魔法少女でした。

「勝手にしろっていうんだ、好きにやらせてもらう」

「久々に殺し合いができるんだ、楽しまないとなぁ!」

その後次々と射撃が得意な魔法少女が戦車に対して発砲を行い、前線を作っていきました。

「やれやれ、血気盛んな奴が随分といるじゃないか」

「勝手にしろというのだもの、私たちも勝手にさせてもらうわよぉ。

紫色の霧には警戒して戦車に近づくわよ。

目眩し用の照明弾は持ってきているわね?」

「もちろんっす!」

「じゃあ、敵の目を潰してとっとと片付けるわ」

「はい!!」

二木市の魔法少女達も動き出し、戦いが次々に始まっていきました。

「私達は戦わない子達の保護にまわりましょう」

「そうですね!」

私たちが部屋から出ようとする時、わたしはういのほうを見ましたが、特に動き出そうとはしていませんでした。

「私はここに残るよ、ワルプルガちゃんもいるし」

「うん、わかったよ、うい」

部屋にはうい、灯花ちゃん、ねむちゃん、ワルプルガさんが残って他のみんなは戦わない子達の保護に出ました。

自衛隊と交戦を始めた魔法少女たちは自衛隊をどんどん押し込みます。

しかしその戦いの様子を見て灯花ちゃんは疑問を抱いていました。

「なんでアンチマギアが使われていないのだろう」

「確かに、夜闇では視認が難しいのにわざわざアンチマギアを持ち出さないなんて」

「彼ら、本気で制圧する気ないんじゃないの」

「だったら何で」

ただ追い返すことだけを考えている前線の魔法少女たちは自衛隊への攻撃をやめません。

「神浜の範囲外へ追い出すだけでいいから。

無茶はしないでよ!」

「神浜から出ていって!」

魔力による遠距離攻撃に対応できるはずがなく、非常識に遮蔽物をえぐる攻撃に自衛隊は対応できていませんでした

非常識な結果に怯えて逃げる者、負傷した兵士を引き摺り、牽制しながら後退する者。

戦車も兵士たちの盾になるだけで主砲を撃ってこようとしません。

その様子に三重崎の魔法少女達は疑問に思っていました。

「主砲を使わないなんてナメてるとしか言えない」

「魔法少女を撃つことを躊躇しているというの?

国防の要のくせして!」

「…なんだあれ」

狙撃手であるツバキさんが真っ暗闇の空を見て何かに気づきます。

ツバキさんが狙撃銃のスコープで目にとらえた物体を観察すると、そこには滞空するドローンがありました。

「あんなの気付けるはずがない。

でも、これはまずい!」

何かに気づいたツバキさんはテレパシーで博さんへ報告します。

博さんは驚き、すぐにテレパシーで魔法少女達に伝えました。

[奴らの目標は偵察だ!

上空のドローンを落とさないと何もかも把握されるぞ!]

みんなが一斉に上空を見る様になり、射撃系の武器を持つ魔法少女達はドローンを見つけると次々と落としていきました。

しかしこの行動も自衛隊の思う壺だったのです。

 

 

自衛隊から出された前日奇襲の提案。

「魔法少女が危険な存在だと認識させるだって」

この国には魔法少女が危険な存在ではないはずと信じるものが多い
本土上空で航空機の使用許可が出されないのもそのためです」

「イザベラとの交渉でも航空機の使用は禁じていたわね」

「確実性を持たせたいというならば、今からいう作戦を本作戦前日の夜に実行させてください」

私はマッケンジーに目を向け、マッケンジーはこちらの目を見た後に首を縦に振った。

「で、その作戦というのは?」

「魔法少女達の攻撃を誘い、彼女達に撮影ドローンを撃ち落としてもらいます」

「ほう、それが恐怖心を煽ることになると?」

「国防の要である自衛隊が容赦なく追い込まれる、そんな様子を撮影ドローンで中継します。

魔法少女達がそのドローンをどう捉えるかまでは予想できませんが、戦況がのぞき見られていると勘付いて破壊してくるでしょう。

その破壊してくる様子も実況すれば、国のお偉いさん達も恐怖を感じて航空機の使用許可を出してくれるでしょう」

「なるほど、いいんじゃないかしら。

でも自衛隊には被害が出るわよ」

「…苦肉の判断ですよ」

そんなわけで前日の夜に実行された作戦は見事成功し、実況するキャスターは絶句している様子だった。

さすがと言わざるを得ないのは現地での自衛隊の対応だ。

死者は出ているが動きが早い日本の戦車らしく兵士への射線を車体で塞ぎ、後退の手助けをしている。

やられた車両は乗り捨て、そのまま盾にして撤退。

信号弾も出さずにドローンがやられたとわかれば素早く全員後退。元から撤退する前提だとしてもよく指示が行き届いている。

それに、撮影用に偵察用ドローンを紛れ込ませてこちらが試験艦で撃ち込むミサイルの標的はどこが最適かまで調べてくれた。

気が引けた状態とはいえここまでお膳立てしてくれたのは感謝しかない。

それに、現に航空機の使用許可が降りている。

条約違反だと罵られる覚悟で持ってきたヘリ達が気兼ねなく飛ぶことができるんだ。

本当に感謝しかない。

携帯端末で中継が行われている映像を流しながら、私はSGボムが装着された魔法少女達の様子を見てまわっていた。

A,B,C,Dの4班に分けていて、D班には最近神浜市から亡命してきた魔法少女が集まっている。

そこまで戦果は期待していないが、面白いデータがとれたらいいな程度には思っている。

こちらを睨む魔法少女達に対して、私は忠告の意味で話しかけた。

「変に戦場で逃げようとか、説得されて寝返ろうなんて思うんじゃないよ。

ソウルジェムにつけたやつが爆発しちゃうからさ、死ぬ気で同胞と殺し合えよ?」

その後誰も声を出そうとせず、面白くないと思ったところで1人の魔法少女が話しかけてきた。

「魔法少女が捕まったら、みんなこうなるんですか」

「動物園の猛獣の様に檻で管理するのも難しいからね。

思考力が高い相手には、命の危険で脅すしか方法がないのさ。

だって、人間って弱いし」

「だからって、爆弾をつけられるだなんて、酷すぎです」

「あんたの母親もそう言ってたねぇ。危うく叩き切られかけたけど」

私は話しかけてきた時女とかいう魔法少女のところまで近づいた。

「口で襲わないって言ったところでよ、守れないのが人間なんだ。
せいぜい口だけになるんじゃないよ。

しっかり神浜市にいる仲間とやらにもわからせてやれ。
そうすれば、少しは人間らしい生活に戻れるだろうさ。

私は保証しないがな!」

時女の殺意は感じられた。

背中を向けた瞬間切ってくると思い、去りながらSGボムのスイッチをちらつかせると、こちらには殺気を送る目線しか感じられなくなった。

ああいうのがある間は、SGボムの装着は必須だろうな。

さて、もう1人の私を起こしに行かないと。

そう思って控え室に行こうとするとマッケンジーが壁に寄りかかって考え事をしているのを目撃した。

そんなマッケンジーへ声をかけた。

「よう、あんた漫画やアニメは見るか?」

「…どうした急に。そんな暇はない」

「そうか。だが、今回はいつも以上に非常識なことが降り注ぐ戦場になる。
少しは見といたほうがいいぞ?

あれらにはたくさんの非常識がつまっていてためになる」

「もうすぐに配置につく時間だ。

そんなことできるか。

だが、常識を捨てる覚悟はできている」

「ほう?それはいい心がけだ。それではまた戦場で」

そう言ってその場を立ち去ろうとすると、マッケンジーは話しかけてきた。

「あんたは知ってるのか。

この戦いが本気じゃないってこと」

「そんなわけあるか。ここを手に入れないと後々困るってのはイザベラだって知ってることだ」

「ならばなぜ本人達が来ない。

イザベラとキアラが居るだけで俺たちの何十倍も戦力になる。

誰だってわかることだ」

私はマッケンジーへ振り返って指をさしながらこう言った。

「だったら死ぬんじゃねぇぞ〜。

ただ言えることは、この戦いはただのデコイだ。あたしらは捨て駒なのさ」

「お前、それって!」

「せいぜい背中には気をつけろよ。下手に言いふらしたら殺すから」

マッケンジーは何も言わなくなった。

そう、ここまで大規模に作戦をこしらえておきながらイザベラの本命は別にある。

ここにいる私も、あいつにとっちゃ捨て駒ってことだ。

全貌を知ったこっちにとっちゃ、イザベラはマジで頭がおかしい。

だってこのままじゃ・・・。

ほんとやべーよ、あいつ。
このままじゃ世界は魔法少女ではなくて、イザベラに滅ぼされるんじゃないかね。

 

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【マギレコ二次創作】魔叙事詩カグラ・マギカ 2-3-1 人になった者と人でなし

容器から出てきたキュウべぇをディアがクローン体の調整を実施する部屋へと連れて行った。

そこで私はキュウべぇへ薄着のシャツを着せ、髪を乾かし始めた。

キュウべぇの体の色に合わせて髪は白髪にしていて、ディアのDNAを流用しているせいか、長髪でありながら触り心地はディアそっくりだった。

髪を乾かしている間、キュウべぇは表情を変えようとしなかった。
感情がない生き物だったし、感情一つ見せないのは想定内のことだ。

乾かし終わった髪を、私はツインテールになるよう整えた。

「どうだ、元の姿に似せてみたが」

「ボクは見た目なんて気にしないよ」

「そうかい」

私はキュウべぇをそのままの姿で私の部屋へと連れて行った。
裸足のまま歩かせたがそれでも特に表情は変えず、私の部屋へたどり着くまでは私の靴音とキュウべぇの足音しか聞こえなかった。

扉の鍵をかけて私が椅子へと座ってもキュウべぇは何も話し出そうとせず、その場にじっと立ったままだった。

「座ればいいじゃないか。いつもの体でも話すときくらい座っていただろう」

キュウべぇはしばらく足元を見て考え込み、最終的に座りはしたのだがあぐらの姿勢だった。
ディアはあぐらで座る癖はあるが、あいつのデータは根こそぎ抜いておいたはずだ。
動物が人間になったらあぐらの姿勢をとりやすいとでもいうのだろうか。
無駄に観察項目が増えてしまった。

あぐらの件についてメモを取り終えると、私はキュウべぇへと質問をしていくことにした。

「気になっているんじゃないか、どうしてその体に入れることができたとか、何が目的なのかとか」

「ボクは現状確認に忙しいんだ。

元の体に戻れないし、個体数だってここにいるボク1体以外に確認できない」

私はしばらくキュウべぇを見つめていると、何かに気づくようにハッとしてこちらをみた。

「書き換えたというのか、ボク達が使う体の情報を」

「最初に見せる表情にしてはいい感じだな。

お前達の中枢へ直接アクセスはできていないが、お前達の個体をいくつか捕まえて体への情報の出入りを観測しているうちに体へ情報を入り込む仕組みは解析が完了した。

まあ、全ては魔法少女が使用する波形観測の副産物ではあるが」

「だからと言って入れ物を変えることができるなんて」

「それは私が驚くことだ。

一個体の意識だけ人の体へ入れられればいいと思っていたが、まさか制御権丸ごと移行されていたなんてね。

他者に観測されることは想定できなかったのか」

「人類が僕たちに干渉できるだなんて想像もしていなかった。

ボクにだってわからない、こんなことになるだなんて」

キュウべぇが困ったような動きをするのは新鮮であった

「どこかで自分たちは人類よりも上位の存在であるとおごっていたのだろうな」

「ボクたちにそんなものはない」

「だが人類はここまで到達することができた。
こんな可能性もろくに予見できないならば、お前たちは十二分に無意識な傲りを持っていたのだろうよ」

キュウべぇは無表情のまま真っ赤な目でこちらを見つめていた。
きっと今までの流れが煽りなのだろうとこいつは理解していないのだろう。これは理解できなきゃ人間も同じ反応をするか。

「それに、お前をその体に入れた目的はしっかりある」

「その目的というのは?」

「お前、利用する前に感情について調査を行ったんだろう?本当に人類に頼るしかなかったのか」

「ボクたちに感情というものが出るのは稀な精神疾患でしかない。
意図的に発生させられるものでもなかった。だが、宇宙を探し回り、生まれた生命誰もが感情を持つ君たちを見つけたんだ。
協力してもらう以外に方法がないだろう」

人の感情についての不思議はいまだに解決されていない。
感情を持つ人自身でさえ、感情というものを何故持つのかをはっきりと理解できていない。

「そんな不確かなものによく手を出したな」

「宇宙の寿命を延ばす必要があったんだ」

こいつらは本当に徹底的に探究を行ったのだろうか。ならば、なぜこれを試さなかったのかが気になる。

「それで目的なのだが、人の体へ入れば感情が生まれるのではないかと思ってね」

「人の体にだって?」

「感情というものを自由自在に操れるのは全ての生物の中で人間だけだ。
人間以外の動物も感情というものは存在するらしいが、人間ほど多彩には持ち合わせていない。

魂と体で分離して考え、魂が感情を生み出していると仮定すれば他の動物に感情があってもおかしくない。
だが、なぜ人の魂にだけ多彩な感情が与えられていると言えるのだろうか。魂は皆等しい存在ではないだろうか。
魂の時点で優劣が存在するならば、それはこの世界を作りだした存在の欠陥だといえよう。

魂は皆等しいと仮定し直そう。感情を生み出せるのはその魂が入る器に影響されてではないかと。

ならば、多彩な感情を生み出すであろう人の体に、感情を持たない魂を移せば多彩な感情を手に入れるのではないか。

これはその実験だ」

「なんてことを思いつくんだ。

そんなことだと証明されればボク達は」

私は腰につけていた拳銃を取り出して、躊躇なくキュウべぇの左腕を撃った。

腕を銃弾が貫通し、キュウべぇの左腕からは血が出てきた。

キュウべぇは苦しそうな表情を見せ、痛みに耐えようと体を震わせていた。

「なんだこれ、君たちが言う、痛覚ってやつなのか」

「今は私と対等だと思ってくれるな。」

私はもう一発キュウべぇの左腕へと撃ち込んだ。

今度はキュウべぇは悲鳴をあげて左腕を押さえていた。

キュウべぇの悲鳴、新鮮で少し嬉しくなってしまった。

私がキュウべぇの額に銃口を当てると、キュウべぇは恐怖を覚えたような表情をしていた。

「今お前は恐怖の感情を覚えた、違うか?」

「そんなの、知らない。

この逃げたいと思うこと、それが恐怖だというのか」

私は拳銃をしまい、救急箱を取り出した。

「もっといろんな感情を覚えるといい。

これを使え。止血と鎮痛を一度に行える救急キットだ」

その救急キットを使用したことで、キュウべぇの体の震えはやっと止まった

「人の体というのは欠陥だらけで不便すぎる」

「知恵を得た代償だ。100年生きられるだけまだ十分だろう」

私はここまでの表情変化についての経緯を記録した後、私的なことをキュウべぇへ聞いた。

「お前はヨーロッパで活躍した錬金術師のことを知っているか」

「錬金術師と呼ばれた魔法少女はたくさんいたが、それがどうしたんだい」

部屋の監視装置は停止してあり、盗み聞きされる隙はない。

今なら聞いても問題ないだろう。

「聖遺物争奪戦に参加していたという”キミア“という女に覚えがないか」

「キミアか。魔法少女になることを拒み続けた多くの錬金術の祖となった人物だね。

確か君も近くにいたね、カルラ」

「あいつは今どうしている」

「死んだよ。

世界を変えるために聖遺物を大量に行使して、呪いに耐えきれなくなって暴走してね」

「そうか。あいつはもうこの世にいないのか」

 

キミアとの付き合いは昔の出来事になる。

錬金術というものが周知されるよりも前の時代、元素という存在が一部の哲学者からもたらされ数百年したころ。
あの時代にはあり得ないと思えることを実現させようと試みる者が増えていた。
私もその1人だった。

すぐに火をつけられる道具があると便利だろうと考えた私は、火が付くものについて調べるようになった。
そんな中、酒を飲んでいる男がろうそく周辺に酒をばらまくと、その酒を伝ってその酒場が一気に燃え盛ってしまったという事件を聞きつけた。
そこからヒントを得て、私は火をつける液体を見つけ出し、その町では一目置かれる存在となった。

そんな私の話を聞きつけて、ある人物が私を訪ねてきた。
その人物の名は忘れてしまったが、彼は錬金術師だと名乗っていた。

私はその錬金術師に連れられて、学院と呼ばれている場所で知恵をつけていくこととなった。

あらたな実験を行うために、私は素材をとりにある錬金術師の元へと訪れていた。

そこにはその錬金術師へ何かを教えている少女がいた。

「あの、頼んでいたものを取りに来たのですが」

「なに、今が肝心なところなんだから静かにしていてちょうだい」

見知らぬ少女にそう言われて何をしているのか気になった私はそっと何をしているのか観察した。

どうやら毒性を取り除いて良質な回復薬品を作る術の最中だったようだ。

その少女が教えていたのは複雑ながらも最適な方法だった。

とはいえ、そんな方法であれば生成結果は想定よりも少なくなってしまうことが私には理解できた。

中継させているアレンビックの行き先をよく冷やした容器にして結露させる量を増やしたほうがいい。

気化して逃げていく分が勿体無い」

横槍を受けてかその少女はムッとしてしまった。

「なに、私のやり方にケチをつける気?」

「最適な方法を助言したまでだ」

「なんなの、ここの創設者にケチをつける気?」

「創設者?」

「まあまあやってみようじゃないか」

教えられていた錬金術師は私の助言を取り入れて時間をかけてのぞみの回復薬ができていた。

その結果を見て少女は不機嫌そうな顔をして私に迫ってきた。

「この屈辱忘れないから。

あんたの住んでいる場所教えなさい!」

「私はここに触媒をとりにきただけだ。

来たいならついてくるといいよ。

で、あんたの名前は?」

「ここに通っていて私の名前も知らないの?

キミアよ」

これがキミアとの出会いだった。

後で知った話だが、ここらあたりで錬金術師という存在を生み出したのはキミアらしく、その豊富な知恵を前にして多くの術師はキミアとの会話を怖がったらしい。

確かにキミアの知識はすさまじく、世界を変えられる規模のものだってあった。
だが、そんな天才にも知識の穴はある。
彼女の知らない小技を口出ししているうちに、彼女は私の負け顔を拝みたかったのか私に付きまとうようになった。

負けず嫌いのキミアは私にいつも付き纏ってきて、わたしはいよいよめんどくさくなってきた。

「今日は魔法石の研究を行うんじゃなかったのか。
あれを扱えるのは一部のものにしか扱えないってのが不思議だがな」

「そうよ・・・だから、あんたに会わせたいやつがいるのよ」

「キミア?」

そう言われてキミアに連れられた私は、白い生き物の目の前へと連れられた。

「こいつは、なんだ?」

「ボクはキューブと呼ばれているものだ。
君たちには魔法少女の素質がある。とはいえ、君たちは特殊な生い立ちをしているようだね」

魔法石を扱える存在、それは魔法を扱える魔法少女のみが扱えるものだった。
魔法少女ではない私たちが扱えたのには、私たちに魔法少女の魔力が受け継がれているからだという。

「魔法少女は短命な子が多いが、その中で子を残すものは少なくない。
君たちに魔力が備わっているのはそのせいだろう」

私の父と母は普通の人間だった。母親は魔法少女なんてたいそうな存在でもなかった。
私はいったい何者なんだ。

その時は後にキュウべぇと呼ばれる存在の誘いを私たちは断った。
もちろんそれは魔法少女になるとどうなってしまうのかを徹底的に聞いたというのもあるが、願いひとつで何もかも変わってしまうことが気にくわなかった。

あれからしばらく、私たちは魔法少女のことは考えないようにした。

のんきに研究の日々を過ごしている間に、キミアは錬金術師の祖としていつも以上に崇められるようになった。

キミアと記した錬金術の書物は多くの錬金術師が重宝するものとなり、錬金術師ならば持っているのが当たり前だと言えるくらいの書物も含まれていた。

私達はしばらく探究を共に歩んでいたが、ヨーロッパでの出来事をきっかけにキミアは変わって行った。

賢者の石の完成

万能の秘宝と呼ばれる賢者の石を最初に完成させたのはキミアだった。

しかしその作成方法は、人の命を使うものだった。

私も教えられた通り山間の集落へ魔法陣を施して実行すると人々の命が合わさって真っ赤な賢者の石が完成した。

キミアは得意げな顔をしていたが私は一発分殴った。

「人の命をなんだと思っている。

こんなやり方、禁術になるのは明らかだ!」

「ふん、人の扱いなんてこんなものでいいさ」

「何を、言っているんだ」

「人なんて魔法少女を前にして何もできない。そのくせこの世界を支配しようだなんてさ。

カルラ、私は人に可能性を見出せなくなった。私は魔法少女に可能性を見出してみるよ」

「お前、まだ魔法少女の存在を気にかけていたのか」

「お前も魔法石を扱えるならば、魔法少女の末裔だということだ。
ここまで他の人と比べて肉体の劣化がお互いに遅いのもおかしいと思わないか」

「それはいろんな延命のための薬品を自分たちの体で実験した代償であって、血に混じった魔力の影響だなんて」

「人が学ぶには寿命というものは邪魔過ぎる。
カルラもどうだ、寿命なんて存在しない魔法少女についてもっと調べてみないか」

「そうかい。私はまだ人間を見限る気はない」

 

そしてジャンヌという存在がヨーロッパを救ったという頃、私はキミアと別れる日がやってきた。

キミアが勝手に私の体へ賢者の石を埋め込み、不死の存在へとしてしまった。

お揃いだと言っていたからあいつも自身に施したのだろう。

私は怒りのあまりキミアの胸ぐらを掴んでしまった。

「お前は、そこまで外道に成り下がったか!

不死になることがどれほど恐ろしいことか、錬金術師ならば理解しているはずだ!」

「そうさ。悠久の時を生きて見定めようじゃないさ。

魔法少女と人、誰がこの星の主導権を握るに相応しいかさ」

「そうか。

私は人の可能性を諦めたわけではない。そう伝えたはずだ!」

私はその場を去る準備を始めたが、キミアは優しそうな表情を見せるだけだった。

「ここからは別々の探究を進めるとしよう。

さよならだ、キミア」

「ああ。道は違えど、親友であることは変わらないでくれるか」

「そうだな、お前と親友という関係は、変えないさ」

それから私は身を潜めながら人間が持つ障害の一つである言葉の壁を解決する方法を探し、脳波の研究を行うに至った。

世界の技術力が上がり、私は錬金術師ではなく研究者として身を潜めるようになった。

そんなある日、久しくキミアから手紙が届いた。

どうやって居場所を突き止めたのか。

”私は悲願を成し遂げる準備ができた。

これが成功したら、お前よりも先に、私の考えが正しかったという証明になるだろう。

聖遺物

これがあれば、世界中の人々を断罪できる。

全てが解決した世界でまた会おう“

聖遺物

そう、あの頃は魔法少女の間では聖遺物を争奪する動きが強くなっていた。

魔法少女の魔力が籠ったそれを使えば呪いが降りかかる。

そんな危険なものに可能性を見出したというのか。

あれからキミアとの接点はなかった。

だが死んだとわかった今、聖遺物の使用は失敗だったのだろうと悟った。

「まったく。ろくでなしの最後を遂げたか」

「でも彼女は魔法少女の弟子を取っていたね」

「あいつが弟子を取るとは、少しは心境の変化があったのか。

それで、その弟子というのは、生きているのか」

「今生きているのは日継カレン、紗良シオリ、ピリカだね」

その3人、今も生きているというならどこかで会ってみたいものだ。

まあ今はいい。キュウべぇの観察を優先しよう。

「さて、どこまで表情を変えられるか試しに行こうか」

私はキュウべぇを部屋から連れ出し、喜びの感情を教えようと思った。

どう覚えさせるかは、これから考えるさ。

 

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【マギレコ二次創作】魔叙事詩カグラ・マギカ 2-2-19 手を伸ばした先にある結果は

さつきさんが開いた扉の先には3本の糸しかつながっていない魔法少女姿のういと、たくさんの糸が絡まっている長身の魔女がいました。

魔女は細身で銀色の肌、頭部と思われる部分はピンク色のパールが一つ埋め込まれていました。

体は細く、爪部分は鎌のように鋭くなっていました。

「これじゃ魔女の結界と代わりないわね」

「あれの動きを止め続ければいいんだよね」

「そうよ。あれに奪われた主導権を妹さん自らが奪い返すまであいつの注意をこちらに向け続ける必要がある。変に邪魔が入ってしまうと、仮に妹さんへ主導権が戻ったところで魂とのつながりがほとんどないままとなってしまうかもしれない。

つまり、ほぼ植物人間状態になってしまうかもってことよ」

「じゃあぼくたちは待つしかないんだね。

ういが元に戻るまで」

「そうよ。いろはさん、頼んだわ」

「わかりました」

私はういに向かって走り出しました。

その後ろにワルプルガさんもついてきました。

「え、危ないですよ!」

「最初に声をかけるのは私のほうがいい。お母さんに声が届くのは、今は私の声だけだから」

そういえばういはずっとワルプルガさんに対してはずっと接する態度が変わっていなかった。

なんでだろう。

なぜかはわからないけど、話を少しでも聞いてもらうために最初からいてもらったほうがいいかも。

でも危ないし、私が抱えていけばいいか。

「それじゃあ」

私はワルプルガさんを抱えてういがとらわれている場所へと向かいました。

ういのもとへたどり着くと、急に周りが闇に包まれました。

外部から見ると私たちは暗闇に包まれてから消えていたようで、私とワルプルガさんが消えたことにやちよさんは驚いていました。

「2人が消えた?!」

「妹さんの魂への接触を開始したんですよ。
こちらではやるべきことをやりましょう」

さつきさんは無数の札を呼び出し、ういと魔女との間に札の壁を生成しました。

「今あなたを妹さんへ触らせるわけにはいかないのよ」

魔女は爪でその壁を破壊しようとします。

そんな腕に対してやちよさんたちは攻撃をしかけて魔女を壁から離そうとします。

「あなたに邪魔はさせないから!」

 

外でみんなが戦っている中、どうやら私たちは別の空間へと飛ばされてしまったようです。

その空間の中心と思われる場所にういはうずくまっていました。

私が声をかけようとすると、ワルプルガさんは私を止め、ゆっくりとういのところへと歩いて行きました。

「お母さん、こんなところにいたんだ。

探したんだよ?」

「ワルプルガ、ちゃん…」

ういの声は弱々しく、なかなかに聞き取りにくいものでした。

「まだこんなところに居続けるの?」

「外の世界は嫌だ。

変わるのは仕方がないけれど、今の変わり方は嫌だ。変わったいまを見たくないから私はここに居たい」

「私は困るよ」

「放っておいてよ」

ワルプルガさんは少し困った顔をしたあと、再び話しかけ始めました。

「お母さん、実は会わせたい人がいるんだ」

「会わせたい人?」

そう言われた時、私は我慢できずういの名前を声に出してしまいました。

うい

その声を聞いた瞬間にういの顔は怯えた顔となり、恐る恐る私の方を見て私の存在を認識すると悲鳴をあげて頭を抱えてしまいました。

「いやだいやだいやだ、あんなのお姉ちゃんじゃない、優しいあのお姉ちゃんじゃない」

想像もできない反応をされて私は深く傷つきました。それでも、私はういへ言葉を届けようとしました。

「う、うい、お姉ちゃんの話を」

「そうだよ、本当のお姉ちゃんは私の記憶の中にいるお姉ちゃんだ。

あれはお姉ちゃんじゃない。違う違う違う!」

壊れたように何かを唱え、涙を流しながら笑みを浮かべるういの姿がそこにはありました。

見たことがない酷い顔。

私は今すぐにでも抱きしめて幸せにしてあげないといけないという込み上げる思いを抑えながら、どうすれば声を聞いてくれるか考えました。

そうしているうちに何かを打つ音が聞こえました。

そこには、ういの頬を叩いたワルプルガさんの姿がありました。

「ワルプルガちゃん?」

「過去にばっかり逃げて今を見ないお母さんなんて嫌いだよ!」

「私が悪いの?
人を平気で殺す魔法少女だけになった今の世界で、どうやっていままで通り過ごせるっていうの?」

「いろはさんはその答えを見つけ出してきた。

だから聞いてあげて。お母さんの考えている“今のいろはさん”とは印象が違うはずだから」

ういの発作のような何かは収まり、やっと私はういに伝えたいことを伝えられるようになりました。

「うい、まずは世界がどうなっちゃったのかを教えるね」

私はアンチマギアプログラムの告知がされた時の映像をういの脳内へテレパシーで送りました。

「これは、想像のお話?」

「ううん、事実の話だよ。

世界中で魔法少女が囚われる世の中になっちゃって、私たちは人へどう立ち向かおうか考えている最中なの」

「そんな、人と魔法少女は一緒に生活することができなくなっちゃったの?」

「そんなことないよ」

私は今度は竜真館でのさつきさんとキクさん、連れてきた3人の人の子どもがひなのさん達と楽しく過ごしている様子をういに見せました。

「この子達は、魔法少女じゃ、ない?」

「そうだよ。

この子達は他の魔法少女達と一緒に暮らしている魔法少女ではない子達でね、あの放送を見た後でも魔法少女達と笑って過ごせているよ。
魔法少女のみんなも3人を受け入れていて、みんなが幸せになれていたよ。

世界中のみんなってことにはならないかもしれないけど、人間社会に染まりきっていない子達とは一緒に暮らしていくことができるかもしれない。

人と一緒に生活する将来は、ありえないことはないってことだよ」

「お姉ちゃんも、そんな将来を目指しているの?」

「そうだね。そうなったほうが最適だなって思って行動してるよ」

「そうか。まだ、頑張ろうって思える光景があったんだ」

ういの目は輝きを取り戻していきました。

わたしはそんなういに手を差し出しました。

「だからさ、うい。希望溢れる世界に戻ろう!」

ういがこちらに手を伸ばそうとすると目の前にいるういとは違うういの声が聞こえてきました。

「本当にいいの?そんな簡単に信じちゃっていいの?

みんながみんな人との共存なんて望んでいるはずないのに

お姉ちゃんの嘘や妄言かもしれないのに」

別の方向から聞こえてきたういの声の方向を向くと、ういの記憶を見たときに出てきたういになり替わろうとする魔女がいました。

「あなたは、私に変わった私」

「あなた、あの魔女の!」

その子が代わりになってっていうから変わってあげているだけだよ

人殺しの姉もどきさん」

私は魔女とういの間に入って魔女に向けて武器を構えました。

「どうやって入ってきたの。外ではやちよさんたちが対応しているはず」

「ここは私の空間だよ?

“環うい”のほとんどを手に入れた私がここにいるのは当たり前でしょ?」

「そんな」

まさか、ういの主導権を奪っているってことはわかっていたけど、魂の中に入り込んでいただなんて。

「外の光景を見て耐えられるかな?

どうせ神浜の魔法少女達は、人なんて簡単に殺せちゃうんだから!」

そう言って魔女は何処で手に入れたかわからない神浜を奇襲してきた特殊部隊の兵士たちを魔法少女達が殺していく様子をういに見せました。

ういの目からは再び光が消えていきました。

「あなたは!」

ういがするはずがないような悪い顔をしてあの魔女はういの心を潰そうとしてきます。

ういは心が揺らいでしまったようで、私に伸ばそうとした手を引っ込めてしまいました。

そんなういの手をワルプルガさんが握ります。

「ワルプルガちゃん…」

「誰かを信じてあげないと、お母さんのことを誰も信じてくれないよ。

それに、動き出さないと何も始まらないんだから」

「ワルプルガさん」

ほんと、初対面した子どもっぽい様子とは大違いの態度をワルプルガさんは見せてくれます。

「へんなことを吹き込むな!

動いたって変わらない、変えられない!誰も聞き入れてくれない!

何をしたって無駄なんだよ!」

魔女は怒鳴り始めてしまいました。

「だとしても」

うい?

そこには目に光が戻ったういがいました。いったい何があったの?
ワルプルガさんが何かやったの?

「聞き入れてくれる人が少ないとしても、

動かないよりは、動いたほうが成功する可能性は大きいはずだから。

だから!」

ういのソウルジェムは輝き出し、真っ暗だった空間は花畑が広がる光景へと変わっていきました。

そして気がつくと魔女がいる空間にいて、わたしとういはワルプルガさんと手を繋いだ状態で立っていました

「お姉さま、うい!」

「無事なようで何よりだ」

灯花ちゃんとねむちゃんの安堵する声を聞いて、戻ってきたことを実感した後に私はういに話しかけました。

「さあ、この一件に決着をつけないと」

「うん!」

私はういと手を繋ぎ、魔力を共有して白く輝くボウガンがわたしとういの間に現れました

そして魔女を取り囲むように出されたういの凧へボウガンが装着されていきました。

その凧達は次々と魔女につながる魂の糸を切っていき、切られた糸は次々とういに繋がっていきました。

「へぇ、そうやって戻っていくこともあるんだ」

さつきさんのそんな呟きが聞こえた頃には魂の糸はういに全て繋がっていました。
そのあと、ういが私に話しかけてきました。

「私は人と魔法少女が争う今の世の中を受け入れられない。
でも、そんな世の中を変えようと動いている魔法少女達がいる。
それなら、私も少しは頑張らないとって思ったの」

「じゃあ、ワルプルガさんが何かやったわけではなく」

「わたしが、自分の意志で現実を受け入れた。ただそれだけ」

ういは糸が一本も繋がっていない魔女にボウガンを向けます。

「私の代わりをしてくれて、ありがとう」

ういがそう言うとボウガンが放たれ、魔女に命中したところから花びらに変わっていき、魔女は消えてしまいました。

魔女の結界内は眩しい光に包まれていき、気がつくと元いた部屋に戻っていました。

「…戻ってきたのね」

「うい、元に戻れたんだよね?」

灯花ちゃんの問いに対してういは笑顔で答えました。

「うん、もう元通りだよ!」

「よかった〜」

嬉しさのあまりに灯花ちゃんはういへ抱きついていました。

わたしはさつきさんへ感謝を伝えないとと思ってさつきさんのところへと行きました。

「さつきさん、やっと目的を果たせました。

ありがとうございました」

「いいのよ。

こちらだって助けてもらっちゃったし、やっとお返しできてよかったって思っているくらいです。

妹さん、戻ってよかったですね」

「はい!」

「それじゃあ、やっと目的を果たせるんだよね?」

灯花ちゃんのそんな話を聞いて、私は無意識にワルプルガさんの方を向いてしまいました。

そう、ういを元へ戻したのもワルプルガさんに自動浄化システムを広げるよう願わせるため。

「うい、あのね、ワルプルガさんのことなんだけど」

「わかっているよ」

「ワルプルガさん?」

「私が願えば、世界中の魔法少女が魔女化の恐怖から解放されるんだよね?」

「理解はしているのね。

あなたは願ってしまってもいいの?魔法少女がどういう存在なのか、世界でどんな立場になろうとしているのかも理解しているはずよ」

やちよさんの問いかけに対してワルプルガさんは顔を縦に振りました。

「いろはさんがお母さんに見せてくれたあの明るい光景、そんな光景が当たり前になるように、私もお手伝いできないかなって。

だから、願ってもいいよ。

お母さん、いいよね」

ういはワルプルガさんへ笑顔で答えました。

「ワルプルガちゃんが覚悟できているなら、いいよ」

やっと、一番解決しないといけないことが解決する。

そんなワクワクで胸いっぱいにしながら私はキュウべぇを呼びました。

「キュウべぇ、いるんでしょ?」

でも、キュウべぇは姿を現してくれません。

「おかしいなぁ。いつもひょっこり出てくるのに」

「外へ出てみましょう」

やちよさんの提案に乗って外でキュウべぇを呼んでも姿を現してくれません。

「どうして、どうして姿を現してくれないの?」

「あら、どうしたのぉ?」

結菜さんが私たちに声をかけてきました。

「もしかして環ういを元に戻せた感じっすか?」

「うん、そうなんだけどキュウべぇが出てきてくれなくて」

「あの白いの、倒しても湧き出るくせに出てこないなんてどういうことかしら」

「エネルギー回収のノルマだって達成していないだろうし、一体どこに行ってしまったの?」

その日は神浜中でキュウべぇを探し回りましたが、ついにキュウべぇは姿を見せてくれませんでした。

「どこに行っちゃったの、キュウべぇ」

 

 

ペンタゴンの地下にあるサピエンスの研究施設。

その廊下をカルラは今まで通りタバコを咥えながら歩いていた。

その足を向ける先は、ディアが使用しているクローン体製造部屋。そこには成長したディアの体が並ぶ中、耳と大きな尻尾を身につけた周りとは異質な見た目をしているクローン体が眠っていた。

カルラはそのクローン体が入る容器に触れて笑みを浮かべた。

「ディアより上手くはできていないと思うが、なかなか思い通りに仕上がっているじゃないか」

そんな声が聞こえたのか、クローン体は容器の中で目を開け、カルラをしばらく見つめた後に何かに驚いたように容器のガラスへ両手をつけた。

「わかったわかった、いま開けるから待っていろ」

カルラが装置を操作して、容器内の液体が抜かれた後に容器が開き、クローン体がぺたりと床に座り込んだ。
ディアのクローン体は通常はディアの意思を流し込み、その体を直接操作するという流れだが、そのクローン体はひとりでにカルラに話しはじめる。

「なんだこの体は、君がやったというのか」

「人の体に入った気分はどうだ、

“キュウべぇ“ 」

 

 

第二章:神浜にて紡ぎ出され始める交響曲(シンフォニー) 完

 

 

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【マギレコ二次創作】魔叙事詩カグラ・マギカ 2-2-18 人と同じ道を歩まぬためには

翌日、さつきさんの札が整ったためみんなはういがいる部屋の前に集まりました。

さつきさんが持つ3つの札を見て灯花ちゃんがさつきさんへ質問をしました。

「その札だけで本当にういの魂に入り込めるの?」

「ええ、何も問題が発生しなければこれで済むはずよ。

では、妹さんの押さえつけはお願いしますよ」

「分かったわ」

私たちは部屋へと突入し、やちよさん、キクさん、ねむちゃんはすぐにういを動けないよう抑え込みました。

「痛い、やめて!私が何をしたっていうの!離して、離してよ!」

ういは苦しそうな声をあげます。

でも、今は耐える時。

「では、失礼します」

さつきさんが取り出した3つの札はさつきさんの手を離れ、ういを取り囲みました。

それぞれの札が青く光ったかと思うとういを中心に淡く青い円形の結界が発生し、抵抗していたういは動かなくなりました。

「うまくいったか。ならば次」

そう言ってさつきさんはもう1枚の札を取り出して結界に押しつけました。時間がかかったものの、札を押し付けた場所には大きな次元の裂け目のようなものが現れました。

札の効果が発動する様子にねむちゃんは興味を示したようでさつきさんへ質問をしました。

「これは、どういう仕組みなのかな」

「最初のうち1枚は妹さんのソウルジェムから体へ送られる魔力を遮断し、一定時間体の鮮度を保つ効果があります。これで魂へ侵入している間に変に暴れられる心配はなくなります。
そのあとに使用した札で妹さんの魂につながる道を開きました。

無事に開いたということは、やはりみなさんが見たという悪夢と人が大量に死んだ光景がトラウマとなっていたようですね」

「なぜそんなことがわかるの」

「対象の悩みを知るのが魂へ潜入するための必須条件なのです。わかっているのは当然でなければいけないのです。
とはいえ、魂へ侵入するための扉を開くのが最も難関なポイントだったので安心しました。

さて、これらの札は長くはもちません。いろはさん、この後の結果はあなた次第です」

「はい、分かっています」

私はワルプルガさんに手を差し伸べました。

「いまのういには、あなたの存在も必要なの。ついてきてくれる?

ワルプルガさんは迷わず私の手を取りました。

「元からそのつもりだよ」

いまのういが最も心を許しているのはワルプルガさんだけ。

私の声が届かなかった場合、ワルプルガさんに頼らないといけなくなる。そうならないのが一番だけど。

そうして私たちは、ういの魂へと潜入したのです。

 

魂の中は、どこか魔女の結界に似た様子でした。この光景にやちよさんは驚いていました。

「これって魔女の結界じゃ。まさか、魂に潜むという魔女の仕業じゃ」

「いや、魔女の結界のように仕立てたのは私です」

「仕立てた?」

私たちは結界を進みながらさつきさんの説明を聞くことにしました。

「魂へと潜入して悩みを解決する方法には様々な方法があります。その中でも私は感覚を掴みやすく魔女の結界を模倣してあえて結界を形成し、その結界に悩みを反映させて最深部で救うという方法をとっています。
結界化は普通であれば札1枚で行えることなのですが、まあ、今回は本当に魔女がいるので介入されないように防護の札も織り交ぜたので少々大掛かりとなりました」

「あなた、思ったよりもすごい人だったんだ」

灯花ちゃんの呟きにさつきさんは敏感に反応しました。

「確かあなたは科学の天才でしたっけ。

いくら科学が発展しようと、人の心に潜入して悩みを解決するなんてことは呪法には敵わないですよ」

「むっ!時間はかかってもできちゃうかもしれないよ!人は科学を進歩させて絵空事のようなことを現実にしてきている。

イメージの投影技術なんかはできてきているんだから」

「でも、確かな心に秘めた悩みを探り出すのは厳しいでしょう。

そんな絵空事を容易く実現できてしまうのが魔法少女。

科学の発展なしに高度なことは魔法少女だけでも可能だとは思いますが、果たして皆が幸せに暮らせる世界にはなれるのか」

私はそこに口を挟んでしまいました。

「できますよ。私たちがやってみせるんです」

「そうだね。マギウスの時も一応魔法少女だけでやっていけていたし、しかもお姉さまがトップになるなら間違いなくみんな幸せになるんじゃないかな」

「ふふ、信用が厚いんですね」

「私は何も。みんなが協力してくれるからこそですよ」

「それだけみんなを笑顔にできるというなら、妹さんも大丈夫でしょうかね」

話していると目の前に見慣れたツバメの使い魔が現れました。

「使い魔?!」

「魔女の結界を模倣するんです。使い魔のようなものも現れますよ」

「でもあれは、見慣れた使い魔のような」

私たちの反応にさつきさん達は少し違和感を覚える様子でした。

何を気にしているのかを聞かずに、私たちは奥へと進んでいきました。

奥へ進むと、壁にはさまざまなういの姿が映し出されていました。

「なんなの、ここ」

おそらく魂の持ち主である妹さんの記憶が映し出されている空間でしょう。

このエリアがあったのは好都合です」

「好都合って、何にですか」

ここで妹さんについて聞きたいことを思いながら壁に触れてみてください。

きっと、いろはさんが疑問に思っていることが解決すると思いますよ」

そんなことができるのかな。

私は疑問に思いつつ、一番ういに聞きたいことを思いながら壁に触れました。

ういは一体何に絶望したの?

すると周囲は一気に暗闇に包まれ、私の頭の中へいきなり多くの情報が流れ込むと同時に目の前は光に包まれていきました。

目を開けると高校生になったういが友達と思える人物と会話していました。
私はその様子をまるで同じ空間にいるかのような感覚で見届けていました。

「あの子は退学確定だろうってさ」

「でも勉強を頑張ってたのに、東側の出身だからって」

「仕方がないよ。

西側よりも東出身の人が優秀なんてなったら大人達が黙っていないだろうからね」

「でも、おかしいよ」

「ういはそういう考えと無縁だから良いよね。

でも気をつけたほうがいいよ。東側の子をかばった子がいじめられたってことが過去にあったみたいだし」

「う、うん・・・」

様子を見ているといきなりういの考えが頭の中へ流れ込んできました。

“なんで、東側の人は西側の人と一緒に扱われないのだろう。

でも私には、どうにも。”

そのあともういが見たであろう悪夢が次々と映し出されていきました。

「なんなの、これ」

「お母さんが絶望するに至ったビジョンだよ」

声がした方を見るとそこにはワルプルガさんがいました。

「ワルプルガさん、なんでここに」

「あなたが壁に触れてからピクリとも動かなくなったから、さつきという人物に助けに行くよう伝えられたから来たんだよ」

「そう、なんだ。

でも、なんでワルプルガさんにはここがどういう場所なのかわかるの?」

「お母さんが絶望に巻き込まれる瞬間に立ち会ったからだよ」

「それ、だけで?」

「テレパシーに乗せられて全てが筒抜けだった。

あの光景だけは、流石に私にもこたえた。

とはいえ、今のはあなた達が見たという悪夢の一部。

とどめになったのはもっと別の要因だよ」

「あなたって、いったい」

ワルプルガさんの話に夢中になっていると再び別の光景が映し出されました。

映し出された光景は、私たちが怒りに任せてカレンさんを撃った時でした。

その一撃はカレンさん達を巻き込み、そして里見メディカルセンターに直撃しました。

その途端に里見メディカルセンターにいた人々の断末魔が私たちの頭の中で鳴り響いたことで正気を取り戻したことは覚えています。

しかし、ういの感じたものは違いました。

 

お姉ちゃん、みんな、怖いよ。

どうしてそんなにカレンさんを殺そうとすることしか考えていないの!

そして里見メディカルセンターに直撃した瞬間は。

悲鳴が聞こえる。脳の容量を軽く越える量の人々の悲鳴が入り込んでくる。

いやだ、こんなの嘘だ。

よく部屋に訪れて話してくれた看護婦さん、灯花ちゃんのお父さん、そして商店街のよく知る人たち。

みんないい人なのに、どうして死なないといけないの!

お姉ちゃん達が、撃たなければ。

いやだ、いやだよ。

みんな、こんなの嫌だよ。

 

見ているだけで苦しかった。私たちが聞いた悲鳴以上にういにはたくさんの声を聞き入れていました。
見ているだけで私のソウルジェムは黒くなっていき、半分ほど穢れが溜まったかと思う頃に別の様子が映し出されました。

それは電波塔の上でカレンさんたちと戦っていた時の様子でした。
シオリさんが撃ちだした何かがういに命中したところが映し出されました。
その撃ち込まれたものからは魔女に似た魔力が感じられ、里見メディカルセンターに私たちの直撃した瞬間にその魔女の魔力を放つものはういの中で弾けたのでした。

ういがこんなことになってしまったのは、シオリさんが撃ちこんだものが原因だったというの?

そんな様子が映し出された後、声が聞こえてきました。

“だったら捨てちゃいなよ”

誰かわからない声がういに問いかけました。

「あなたは?」

“ういの代わりをしてあげるための存在。

あなたの代わりに、私がういになってあげる。

嫌なんでしょ。こんな世界も、あんなお姉ちゃんも”

「それも、いいかもしれない」

だめ、自分を捨てないで、うい!

私がういに向かって手を伸ばそうとすると、その腕を誰かが掴みました。

私が正気に戻って掴んだ手の方を見ると、無表情に私を見つめるワルプルガさんがいました。

「これで分かったでしょ。

お母さんをこんなことにしたのは、あなた達のせいなんだから」

「あ、あれはカレンは倒さないといけないと思ったから」

「なんで魔法少女同士が争わないといけないの」

「あの時は、そうするしか」

「お母さんはそんな答えじゃ納得しないよ。

そんな考えが当たり前になるなら、感情を持って生まれた存在自体がいちゃいけないんだ」

「私にだってわからない!
みんなを傷つけたカレンさん達を、許せるわけがないよ!
許せないのに、怒りの感情を抑えるなんて」

「魔法少女も、人間と同じ道を歩むの?
なぜ怒るの?なぜ妬むの?なぜそれらの感情から暴力へと繋がるの」

私はどこかで、ワルプルガさんは何も知らない子どもだとばかり思い込んでいました。

でも、今目の前にいるワルプルガさんはどこか大人びていて、カレンさん達を相手にしているような感じがします。
分かっているくせに、試してくるかのような感じ。

「なぜ怒るのかって言われても」

周囲ではういに見せられた悪夢が映し出される中、私は怒りについて考え始めました。

私は過去に怒りを感じた瞬間を思い起こそうとしました。
でもなぜか怒りをおぼえる場面を想像できません。生きている間に怒りを感じることは何度でもあっただろうに。

そんな中ういの悪夢の中に、ある一場面が映し出されていました。

ショッピングモールで、ねだったものが買ってもらえなかったのか駄々をこねる子ども。
お母さんをポコポコと弱弱しく叩いているあの行動も一種の怒りから来る行動の表れなのでしょう。

欲しかったものを買ってもらわなかっただけでなぜそんなに怒ってしまものでしょうか。

私の場合はどうしても欲しいものが買えなかった場合、がっかりする、つまりは悲しい気持ちになるだけで終わるでしょう。
望んだ結果に、ならなかったから。

望んだ結果に、ならなかったから?

負の感情をいだいてしまうのは、望んでしまうからなの?
何かを求めてしまうから、その結果によって感情が動いてしまうのかも。

では、なにも望まなければいいとなってしまう。

なにも望まない世の中というのは、楽しいのだろうか。

そう思っているときに、私はみかづき荘でみんなが笑顔で過ごしている様子が思い浮かびました。
みんなで過ごしているときは何を望んでいるわけでもない。ただそこにいるだけで温かい気持ちになれた。

ただただ散歩しているときだってそう、見知った人と会話をしているときだってそう、私は何の望みを思い浮かべなくても楽しいという気持ちを抱けていた。

きっと過去のように、
私の会話はみんなを楽しませているだろうかという、どこか私は他人と話すときはその会話で他人を楽しませないといけないという使命感のような望みを抱えていた。
だからか、会話を楽しめてはいなかった。

だとしたら、怒りをいだいてしまう答えは。

「怒りは、何かを望んでしまうから。
望んでしまうからその結果通りにならなければ悲しみや怒りといった感情に繋がってしまう。
望みを抱かなければ、怒りなんて感情は抱かなくても済むはずなんじゃないかな」

ずっと私の方を見ているワルプルガさんは、ちょっとだけ間を開けてから再び真顔で話しかけてきます。

「それが、私念を抑え込む答え?
それさえできれば、誰も争わなくて済むの?」

「わからない。
他人を困らせることで喜びを感じてしまう人もいる。そういった人たちを止めるために争いはなくならない。
でもそれは必要な争いだと思っているよ。ういだって、それはわかってくれるはず」

「そうか。じゃあその答えも含めて今後も大丈夫っていう安心感をお母さんへ与えてあげて。お母さんの中にある希望を大きくしないと」

「希望を、大きく。でも望んでしまったら負の感情をいだくきっかけになっちゃう」

無表情だったワルプルガさんが、笑顔を見せながら私の手を握りました。

「希望はそんな単純なものではないはずだよ。
だって希望は、生きるための源なんだから」

希望に感じること

ういはあんな悪夢を見せられても人への希望を失わなかった。

そんなういにとって希望となる光景は・・・

不思議と心当たりはあった。人と魔法少女が共に生きれるかもしれないという希望が。

そうか、あれがういとの向き合うための希望になるのか・・・

「答えを見つけ出せたみたいだね。じゃあ、みんなのところへ戻ろうか」

 

はっと気づくと壁にいろんな記憶が映し出されている部屋に戻っていました。

「いろは!」

声がした方向を向くと、真っ直ぐにやちよさんが抱きついてきました。

「気がついたのね。心配させないでよ」

「やちよさん?」

「お姉さまが壁に触れてから10分近くずっと動かないままになっていたんだよ」

この部屋に意識が持っていかれてしまったのではないかとヒヤヒヤしたよ。

でもよかった」

灯花ちゃんとねむちゃんの話を聞くに、どうやら私は壁に触れたままびくとも動かなくなっていたらしいです。

さつきさん達は落ち着いた様子だったので、こうなることはわかっていたかも?

「収穫はしっかりあったかい?」

キクさんがそう問いかけてきて、私は自信を持って答えました。

「はい、大丈夫です!」

「いいことだ。

じゃあ、妹さんに直接会いに行こうか」

さつきさんが向かった方向には扉があり、その扉の中からは魔女の気配が感じられました。

きっと大丈夫、あの時気付いた答えでういに再び希望が与えられるはず。

待っててね、うい!

 

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【マギレコ二次創作】魔叙事詩カグラ・マギカ 2-2-17 憂いの思いは過去の私念から

二木市から私たちを乗せていた貨物列車は無事に神浜の車両基地へと到着しました

そこにはミリタリーな格好をした1人の魔法少女がすでにいました。
その人は博さんというようで、いつもは列車を運転してくれた方、銃をもって応戦してくれた方と一緒の3人グループで行動しているようです。
2人プラスアルファのメンバーで協力してくれたのは、神浜に来てから仲間が増えたからだそうです。

私が列車から降りると博さんが話しかけてきました。

「環いろはさんだよね?
咲たちが迷惑かけなかったか」

「いえ迷惑だなんて。とても助かりましたよ」

「三崎~、私たちがへまするように見えたのかい?」

「火炎放射器のやつと戦うチャンスだって駆け込んだこと忘れていないぞ」

「なーに、これでいつでも戦えるチャンスができたんだから同じ結果だって」

博さんたちの会話を聞いている間に、車両基地に入る列車を見たのか十七夜さんを含めた東側に住む魔法少女達が集まってきました。

その人達が二木市の魔法少女を見て、神浜に迎え入れてもいいのかと少し口論にはなりました。

しかしその場で争いを起こした理由を結奈さんが説明し、皆が納得したわけではありませんがその場は一旦治りました。

この件は少しずつでいいからみんなで協力しあえる環境を作っていけばいい。

気がかりだった出来事が片付き、いよいよういを正気に戻す行動に移らなければいけません。

私はやちよさんにまかせてしまっていたさつきさん達のもとへと向かいました。

やちよさん達がいたのは竜真館で、そこでは3人の子ども達が魔法少女達と遊んでいて、その様子をやちよさん、さつきさん、キクさんの3人が見守っていました。

そんな中、やちよさんがこちらにきづきました。

「いろは、戻ってきたのね」

「はい、お待たせしました」

「おかえりなさい、いろはさん。

あの3人、みんなに受け入れてもらえたようで楽しく過ごしているわ」

「それは良かったです。

えっと、大事な本題の話になっても大丈夫そうですかね」

「ええ。早く妹さんを助けに行きましょう」

さつきさん達が滞在することになった部屋へといくと、そこには何か札が用意されていました。

「あの札って」

「妹さんの心の中へと複数人で侵入するのでしょう?
私一人はともかく、複数人の侵入となると札にも準備が必要なのよ」

「え、私複数人で侵入するって言いましたっけ?」

「あら、経路を作る私とあなたの時点で十分複数人扱いよ。

1人以上であれば複数人扱いで対処するのは当たり前でしょ」

「それは、そうでした」

「ともあれ、相手の魂を傷つけないためにも侵入先をよく分析する必要があるわ

妹さんのところへ連れて行ってもらえるかしら」

そういえばういは今どこにいるのだろう。

神浜で何があったのかをよくわかっているひなのさんにういがどこにいるのか聞いてみました。

「ういちゃんの居場所は、里見灯花と柊ねむがよく知っているはずだ。

あいつらが強引に連れて行ったからな。

どこで匿っているかまでは知らん」

「そうでしたか。ありがとうございます」

私が灯花ちゃんとねむちゃんに会うために行動していると、2人の方から私たちの前へと姿を表しました。

「もう、帰ってきているならすぐ知らせに来てよね!」

「待ちくたびれていたところだよ」

「ごめんね。

さっそくだけど、ういの居場所に案内してもらえるかな」

付けてきている者がいないかを確認しながら、私たちは巧妙に隠されたシェルターへと案内されました。

「壊れていないシェルターなんてまだあったのね」

「里見グループ限定の隠されたシェルターだからね。ここなら誰にも邪魔されずに過ごせるんだよ」

シェルターの奥へと進んでいくと、その中の一室にういとワルプルガさんがいました。

部屋の中は綺麗で、見慣れたういの部屋と似た状態でした。

そんな部屋の中で、ういは編み物をしていました。

「…何か用?」

「えっとね、今日はういに会わせたい子がいて」

「社交辞令はいいわ。ちょっと失礼するわよ、妹さん」

そう言ってさつきさんは右手を前に出してういの魔力を探り出しました。

その間、ういは警戒して怖い顔をこちらに向けてきました。

さつきさんは魔力を探っていると、いきなり何かに弾かれたかのようにその場へと倒れ込んでしまいました。

「さつき!」

キクさんが慌てて駆け寄り、さつきさんは大丈夫だと言うジェスチャーを向けました。

「これは思った以上に重労働ね」

そう言ってさつきさんは一枚の札を取り出しました。

「失礼するわよ」

そう言ってさつきさんは一瞬で札をういの指輪へと当て、反撃される間も無く札へとういの魔力を込めました。

「ちょっと、何をしたの!」

ういの問いかけに耳を傾けることもなく、さつきさんは失礼しますという一言を言い残して部屋を出てしまいました。

私たちもそのまま部屋を出てしまいました。

「さつきさん、下見はもう十分なのでしょうか」

「ええ。でも思った以上に大物を相手にしないといけないようね。

神社で戦ったあいつよりは弱いけど」

「それって、どういうことですか」

さつきさんは神妙な顔つきでこちらを見てきました。

「ういちゃんのソウルジェムの中には、魔女がいる状態よ」

さつきさんの発言に私は驚かずにはいられませんでした。

「ソウルジェムの中に魔女がいるだなんて。そんなことあるんですか?!」

「そんなことあり得るの?」

「魔女は結界さえあればどこにでも潜める、と言うことを前提とすればあり得ない話ではない。

なんでソウルジェムの中へ入り込んでしまったのかというのは私も知りたいくらいだわ」

「あなた、ソウルジェムの中にいる魔女を倒す方法を知ってるんでしょ?」

「ソウルジェムの中へ入り込んで討伐するのは造作もないこと。

でもあの妹さんの言動はいつもの言動ではないのだろう?

だとしたら魂の主導権はほぼ魔女になってしまっている可能性がある」

「そんな」

「だからただ倒すだけではいけない。

妹さんが魂の主導権を取り戻さなければいけない。

そのためには、いろはさん。

彼女をよく知る存在の協力と、説得までに魔女を倒さず押さえ込む人員が必須よ」

「魔女を倒すだけではダメなの?」

やちよさんの問いかけに対して、灯花ちゃんが答えます。

「体の主導権を魔女が持った状態で倒してしまうと、その大部分の主導権が魔女と一緒に失うかもしれないんだよ。
ういは助けられても二度と目を覚ましてくれないかもしれないよ。

あなたが言いたいのは、ういが魔女から主導権を奪わないと意味がないってことでしょ」

灯花ちゃんの問いかけにさつきさんは頷きませんでした。

「ことはそれ以上に深刻かもしれない。

説得が長時間に及べば、争う魔女を押さえ込むのに激しい戦いを強いられるだろう。それによって魂が傷つけられ、主導権を取り戻せたとして元の妹さんに戻れない可能性がある。

なぜ主導権が魔女に奪われつつあるか、それを知った上で説得をスムーズに進められるようにしたほうがいいだろう」

そう言った後、さつきさんは私の方へと向きました。

「いろはさん、あたなたは妹さんに、何をしたの?」

「え?」

「あの魂の状態は、よっぽど深いトラウマを受けなければならない状態だった。

考えたくはないのだが、虐待とかしたのではないか」

「お姉さまがそんなことするわけがないでしょ!」

「ならば教えて。

何があれば、妹さんはあんなに心を閉ざすの。

これは妹さんを元に戻すためにも重要な案件だ」

「それは、話が長くなるので落ち着いて話せる場所へと移動しましょうか」

私たちはシェルターの一室でお茶を飲みながらさつきさん達へこの町で起きたことを話しました。

「そうか。この街に来てからずっと違和感を持っていたが、そのようなことが」

「でもあの子達にみんな仲良くしてくれていた。根っからに人間嫌いになったわけではないのね」

「だとしたらおかしい。あの子達と同じぐらいの歳の子も人間嫌いになる悪夢を見ていたはずだ。

ならばなぜういちゃんだけが心を閉ざさなければいけない」

「私にも、そこがわからないのです」

みんながなぜなのか悩んでいるところ、ねむちゃんが提案をしてきました。

今のういが唯一心を許しているワルプルガに話を聞いたほうがいいだろう」

「ねむちゃん?」

「近くにいる存在にしか気づかないこともある。ういから何か聞かされている可能性もあるからね」

「なら、ういちゃんが寝ている間にワルプルガさんに話を聞いたほうがよさそうね。

ういちゃんが起きている間はまともに話してもらえなさそうだし」

「じゃあ、もう少しここで待ってみようか」

「ならば私は札の作成道具をここに持ってくるわ」

「私も行こう」

「ちょっと、では一利するなら他の子に気付かれないようにしてよね。
ここは大事な場所なんだから!」

そうして、私たちはういが眠りにつくのを待ちました。

ういが眠ったかどうかは灯花ちゃんが監視カメラで確認してくれて、私は静かに部屋の扉を開けました。

私はテレパシーでワルプルガさんにだけ呼びかけ、気がついたワルプルガさんは静かに部屋を出てきてくれました。

「あなたは、いろはさんですよね」

「そうです。ういから聞いていましたか」

「いや、私が目覚めたときにされた入れ知恵のせいだよ」

「入れ知恵って、まさか」

ワルプルガさんはリビングがある方向へと歩き始めます。

入れ知恵といえば、確かワルプルガさんを復活させる際にシオリさんがやっていたこと

もしかしたら、私たちのことについても既に学習させていたのかもしれない。

私たちが知らないことも、知っていたり。

リビングにはみんなが集まって、ういがどんな状況であるのかをワルプルガさんに聞いていきました

「さて、ワルプルガさん。ういちゃんから何か辛い記憶とか苦しい記憶のことについて聞いていないかしら」

「私に聞くってことは、お母さんが私以外に絶対話さないようなことですよね」

「察しが良いわね」

「話すわけないですよ。

今のお母さんは、別の何かに塗りつぶされようとしているんですから」

「そこまで知ってるの?!」

「全て入れ知恵がいずれそうなるとなっていたので」

「入れ知恵?」

「それに」

ワルプルガさんは私の方を向きました。

「お母さんが塗りつぶされ始めた原因は、お母さんが見ている前で人殺しをした、いろはさん達が原因というのも」

全員その言葉で驚きました。

ういの目の前で人を殺す?!

私がやった人殺しといえば、カレンさん達を吹き飛ばそうという思考に塗りつぶされた結果放った一撃が、避難所になっていた里見メディカルセンターを破壊した時くらい。

あの光景が、ういにも共有されてそれが原因ということなの?

「いろはさん。それはどういうことですか。

内容によっては協力できるかも怪しくなりますよ」

「さつき…」

「わかりました。

おそらくういがトラウマになったである出来事のことを説明します」

私は包み隠さずカレンさんたちを殺すに至った経緯をさつきさん達に説明しました。

2人は終始驚いた顔つきでした。

全てを説明し終わり、最初に話し出したのはキクさんでした。

「恨みや妬みは盲目にさせるとは言うが、その件は飲み込まれた側も悪いだろうな」

「それに、この町の魔法少女は平気で人を殺せるのか」

わたしはさつきさんが協力をしてくれなくなるのではないかと怖くなっていました。

「でもそこまでの覚悟がないと、わたくし達は既に捕まっていたんだよ?

「捕まったらどうなるのかいまだにわからないが、嫌な思いをするのは明白だ。

投降なんてことも得策ではない」

「そのカレンという方は、こうなることを見越してあなた達の常識を塗り替えたと、それが正しかったのだというのですか」

「この街のみんなは、そうは思っていないけどね」

「幸いしたのは確かだけどねー。

私達がここに魔法少女の安全地帯を作っていなければ、あなた達だってとっくに捕まっていたのかもしれないよ?

むしろ感謝してほしいくらいだよ」

「灯花、言葉が過ぎる」

さつきさんは少しだけ難しい顔をした後に話し始めます。

「受け入れ難い事実ではある。

しかし、今無事であるのもこの環境があるからこそ。

それに、魔女に塗り潰されようとしている被害者を見過ごす理由にはなりません」

「では」

「妹さんを助けることには協力しましょう。

その後は、好きにさせてもらいますよ」

「はい。協力してもらえるだけで嬉しいです」

「そういうことであれば、妹さんの心を開く鍵はおそらく人がたくさん死んだ光景を見たことに対してのケアでしょう」

「少し難しいことになったわね」

「純粋な子どもが人の死を、それも大量に目の当たりにしてしまった時は大抵トラウマとなるでしょう。

それを克服しようとしたところで膨大な時間をかけての自然治癒くらいで、すぐに解決するものかは」

「では、どうしたら」

みんなが少し黙ってしまった中、ねむちゃんが提案してきました。

「トラウマの克服は種類や状況で変わるが、やりやすい方法として認知処理療法というものがある」

「認知処理療法?」

「何がトラウマの原因となったのか、今は何で心を苦しくしてしまうのか。

つまりはトラウマを抱えた人の悩みを真摯に聞き、心の内を全て開示させてその内容に理解を示すんだ。

それだけで心が安らかになり、トラウマ克服の糸口になったりするらしい」

「それならいろはが適任ね」

いきなりやちよさんに名指しされました。

「私が?!」

「あなたは聞く能力と、相手を安心させる能力があるわ。

きっとういちゃんの悩みも、いろはにはなせば解消されるはずよ」

「ならば気をつけてください。

人殺しを躊躇しないあなた達とは違って、妹さんは人の一般的な常識を持ったままだと思います。

いろはさん、人殺しはもうしないでほしいと聞かれて、正直に答えられますか。

街のみんなも、もうそんなことしないでほしいと言われて、心から妹さんの考えを肯定できますか」

「それは。

嘘でもそうするしか」

「その場で嘘がバレたら手遅れなんです。

妹さんがどれほど心を読む術に長けているかは謎だが、嘘を使うなら失敗する覚悟で望んでください。

彼女の魂は塗りつぶされかけているのですから、嘘をつかれていると気づいた瞬間に」

「はい…分かってます」

いつものように正直に向き合うことは、本当にできないのだろうか。

嘘が下手なのは分かっている。

ういの悩みが、正直に答えられるものなら良いけど。

 

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【マギレコ二次創作】魔叙事詩カグラ・マギカ 2-2-16 のちに響く計略

アンチマギアプログラムが全世界へ認知されてから数日経過したころ。

米国の魔法少女狩りが行われている中、イザベラもお世話になっていたテロリストのメンバーの中にマーニャという魔法少女がいたのだが、その人も標的にされてしまった。

裏路地でマーニャさんが見つかったという話を聞き、私はその場所まで急いだ。

そこには特殊部隊に囲まれて動けないマーニャさんの姿があった。

テロリスト達と関わっている間何度か話したことがある人だが、魔法少女である以上逃すわけにはいかない。

私は特殊部隊のメンバーよりも前へ出てマーニャさんへ話しかけた。

「悪く思わないでください。
今の世界の常識では、あなたを見逃すわけにはいかない」

「キアラ、いまはイザベラはいない。考え直して!」

「私たちが使用していた魔法の鏡をことごとく割って回ったこと、米国の魔法少女の確保状況が良くないこと。

あなたが全て手回ししていたことは既に知っています」

「なんでそんなことを知っている。

まさかとらえた子の脳みそでもいじったか。
外道め!」

実際事実であるから言い返せない。

魔法少女の脳波をいじくり回し、ついには記憶さえも観測できてしまうというとんでもないものをディア達は作り上げている。

もちろんだがいじられた子達は負荷に耐えきれず魔女化してしまい、皆始末された。

あなたを捉えれば世界を脅かそうとする存在達の情報も聞き出せるでしょう。

それに、今あなたを逃せば私たちの負けは確定する。そんな気がする」

「…そうか~

なら、私たちのアジトの場所を教えると言ったら逃してくれるのかな」

兵士たちから銃を向けられていてもいつも通りの態度を崩さないマーニャさん。
こういった状況に慣れているからなのか、緊張感自体を感じないからなのか正直分からない。
マーニャさんとの付き合いはそれなりにはあるが、いつもいま目の前で見せているような余裕を持った態度しか見たことがない。

私は念のためマーニャさんへ確認をとった。

「嘘ではないんでしょうね」

「嘘はつかないよ。嘘だった時の報復が怖いからね。
イザベラならヨーロッパをまるごと吹き飛ばすとか言い出しそうだし」

「それは、あり得るから困る」

できればマーニャさんには苦しんでほしくない。

アジトがわかれば、イザベラは考えをあらためてくれるだろうか。

「キアラさん、もうよろしいのではないでしょうか」

特殊部隊の1人が私へ声をかけてきた。

「そうだな、もういい頃だろう」

私がそう言葉を発すると夜闇から音をたてず人々が現れて次々と特殊部隊たちを気絶させていった。
突然現れた人物たちの危険を察して逃れた兵士に対しては私がひそかに気絶させた。

マーニャさんが困惑する中、火が付いていないたばこを咥えた一人の男が言葉を発した。

「なんだよ、サピエンス直属の特殊部隊と聞いていたがこの程度か」

「ロバート、なんでここにいるんだ。

それに、みんなまで」

夜闇から出てきたのはロバートが率いるテロリストたち。彼らとは手を組んでいるため現れたことについて私は少しも驚きはしなかった。

「え、なんで?もしかして、キアラもグル?」

「じゃなきゃ俺たちもこんな堂々とやらねぇって。俺たちだってキアラにはかなわねぇってことぐらいわかってるさ」

「そ、そうだよね。よかった」

「よかったじゃねぇ!」

いきなりロバートさんが怒鳴りだしてこれにはさすがに私も驚いた。

「さっさと消えろ。じゃねぇと他のやつらに気付かれちまう」

「ロバート・・・」

ロバートは悲しそうなマーニャさんの顔を見ると、ぎこちない笑顔を見せた。

「達者でな」

そんなぎこちない笑顔を見てもマーニャさんは笑顔を見せた。

「うん。
みんな、キアラ、ありがとう!」

そう言ってマーニャさんはその場から姿を消しました。

私はマーニャさんが姿を消したことを確認した後、ポケットにしまっていた魔法少女の探査端末を取り出した。その端末にはマーニャさんであろう反応がしっかりと映っていた。
感知できていることを確認した後、私はカルラへと通信を繋げた。

「取り巻きは対処したよ。
あとはそっちで好きなようにして」

「感謝する。前にも言ったがこれはイザベラ達には内密に。あんたにも響くことだろうからね」

「わかってるよ。こちらで呼んでおいた応援もそちらに向かわせる。
助力なだけだからあまり信用はしないでくれ」

「わかった」

通信が切れた後、わたしは探査端末をロバートに渡した。

「どういうことだ」

「あなたたちに声をかけたのはマーニャさんを逃がすため意外にも目的があります。
それは、マーニャさんが逃げた後彼女たちが使用している転送の鏡を確保することです」

「てめぇ!マーニャをはめたのか!」

「マーニャさんが無事であればいいのです。
それに、ここであなたたちが魔法少女狩りに貢献しておけばあなたたちへ矛先が向くことも無くなるでしょう」

「おまえ、俺たちのことまで」

「今は人同士が争っている時ではないのです。
その不安分子を取り除いたくらいに過ぎません。さあ、その探知機が示す場所へ急いでください」

これで段取りはすべて踏んだ。あとはカルラが何かたくらんでいたようだが何をするのかまでは聞いていない。
いったい何をしたのかは、すべてが済んだ後に聞きに行ってみよう。

 

 

ヨーロッパを中心として活動している魔法少女達は、元ベルリンの壁跡地の地下深くの魔力で作られた空間をアジトとしている。
魔力を籠らせた魔法石がトリガーとなって入場審査を行っている

ただその魔法石があるだけでもダメ。ちゃんとその魔力を籠らせた本人じゃなきゃ入場が許可されない。

それに、敵に捕まったと判明すればすぐにその所持者の魔法石では入場不可にしてしまう。
とはいえ、ミラーズという場所で作られた鏡を通ってくるところまではカバーができていない。
なので別の空間と繋がっているその鏡についてはアジトへ侵入できる穴となっている。

そんな鏡の一つを使用してわたしはアジトへと逃げようとしていた。

しかし、なぜかその場所へサピエンスの特殊部隊が姿を現した。
まさかキアラが。いや、だとすると私を逃がした意味が分からない。

「マーニャさん、でしたっけ」

話しかけてきたのは白衣に身を包んだ女性だった。
私の名前を知っているのはキアラから聞いたからなのだろう。

「あなたには少し用があってね。変に攻撃をしてこなければ話だけで済まそうと思う」

他の魔法少女が白衣の女性に対して言葉を放った。

「その言葉を信じれと。サピエンスの言葉を魔法少女が信じるものか」

「まあそれはそうか。
では、サピエンスの本拠地があるペンタゴンの見取り図を渡すと言ったら大人しくしてくれるか」

そう言って白衣の女性は手に持っていた地図をこちらに見せてきた。
暗闇ではあるものの、五角形の図形の中へびっしりと複雑な線と文字が書き込まれていたのは確認できた。それが本物だとしても。

「正気なのかお前は。
それを伝えたところでお前たちに何の利益がある」

「これをどう利用するのかはお前たちに任せる。
だが、これを受け取れないというならばお前たちを”捕らえる”という形で保護しなければならない」

「どのみち抵抗しないと捕まるだけだ」

「言ったはずだ。話し合いだけで済ませたいと。
たまには信じるという選択肢を取ってみたらどうだ。争ったとしてもそうじゃないとしても、君たちは保護しないといけないからな」

「マーニャさん、どうします」

あの地図自体が罠だとしても、サピエンスの拠点がどうなっているのかを知ることができれば今後の作成に大いに役立つだろう。
でも、こいつが言っている保護とはどういうことだ。

「保護の意味を教えてくれたらお前の意見を飲もう」

「言葉の通りだ、実験にも拷問にもかけたりしない。他のサピエンスのメンバーに気付かれないよう守るだけだ」

これは、サピエンス内も一枚岩ではないということか。
表情一つ変えず淡々と話す白衣の女性を見ていると信じるのは怖くなってくる。

「・・・いいだろう」

私は見取り図を受け取ってメンバーに見送られながらその場を後にした。

鏡を通って私は拠点へ辿り着き、ミアラの場所へと急いだ。

ミアラのところへと到着するとすぐに手に入れた情報を渡した。

その情報を見て、その場の全員が驚いた。

「これ、ペンタゴンの見取り図じゃないか!

これ本物なのか?!」

「渡してくれた人は本物と言っていたよ。
でも引き換えに私たちが使用しようとしていた鏡一枚とその場にいたメンバーたちが保護された」

「バカかお前!早く鏡を割らないと奴ら直接入ってくるぞ」

「いや、まて」

ミアラさんは見取り図を見ながら何か考え込んでいた。

私たちはペンタゴンにサピエンスの人員や物品が頻繁に出入りしていることからサピエンスの拠点になっているのではないかということはわかっていた。
そのうえでペンタゴンの攻め方を模索していた。

ただでさえ難攻不落と呼ばれているペンタゴン。

この見取り図が信用できるならば、サピエンスの拠点はペンタゴンの地下に存在する。

「協力者がいたのか」

そうミアラさんから質問された。

「協力者、でいいのかな。あの人は確かにサピエンスの一員みたいでしたが、鏡を手渡すことを条件にこのデータをくれたんです」

「それで鏡とメンバーは保護されたと。何に使用するのかまでは聞かなかったのか」

「えっと、争わずに話し合いで済ませてくれれば捕まえるではなく保護するって言われたから」

「はぁ?!

やっぱ馬鹿だろお前!」

「私だってそうするしかなかったんだよ!

あいつら私らの脳みそを覗き見る装置を作ったみたいなんだ。

捕まったほうが何倍もマイナスだったよ!」

「まあみんなそんなに責めるな。

マーニャ、生きて帰ってきてくれただけ嬉しいよ」

「ミアラさん…」

「やつらが鏡を確保したのであれば、こちらに攻め込まれる可能性があり、逆にこちらから攻め込めることにもなる。
とはいえ、すべて負担がかかるのは神浜だ」

「神浜、カレン達がうまく追い払ってくれるといいですね」

「そうだな。こちらは鏡の間の警戒を怠らないようにしよう」

 

あの白衣の女性は何を考えて保護などという言葉を使ったのか。
私の選択は、正しかったのだろうか。

 

 

わたしはマーニャさんに関する一件が落ち着いた頃、なにが目的であのような段取りを用意したのかカルラへ聞きに向かっていた。

イザベラへは鏡を確保したことまでは報告されておらず、その場にいた魔法少女達をロバート達テロリストの協力のもと確保に成功したという報告がされていたようだ。
ロバート達の扱いはしばらく保留されることとなり、気絶させられた特殊部隊のメンバーについては申し訳ないが魔法少女達にやられたという扱いになってしまったようだ。

研究室にいたカルラへ話しかけると、カルラの個室へと案内された。

部屋のドアが閉じられてからようやくカルラは話しはじめた。

「わるいな、あの一件はほんの一部のものにしか聞かせていないことだったからな。盗み聞きされないここまで来てもらった」

「・・・あれはいったい何が目的だったんだ。マーニャさんは逃げたようだがまさかイザベラには秘密で鏡も調達するとは思わなかった。
カルラ、あなたは一体何をする気なんだ」

カルラはタバコへ火をつけてそれを口にくわえると話しはじめた。

「キアラ、あんた今のイザベラのやり方をどう思う」

「やり過ぎだとは思っているさ。
でも、神浜にやろうとしている作戦の準備中である今制止を促すのは中途半端な気がしている」

「まあ懐刀であるあんたの前で言うことではないと思うが、信用しているからこそ言わせてもらう。
あの鏡は魔法少女達を脱出させるために使う」

「そんなことをしたらカルラは殺されてしまう!」

「だろうな。だが時期を間違えなければあれは魔法少女側へ勝利をもたらすキーに変わる」

「カルラ、あなたは人類側を敗北させようとしているのか」

「別に人類を敗北へ導こうなんてわけじゃない。魔法少女と人類、どちらがこの星の主導権を握ればまともになるのかを見定めた後にあの鏡を使用するさ。
今あの鏡は保護した魔法少女達に守ってもらっている。
時が来るまで彼女たちも鏡もイザベラは気づかないだろうさ」

カルラは人類が負ける不安分子を用意していた。それがこれまでの段取りの意味だったのか。
私は人類が勝利で終わることを望んでいる。
とはいえ、魔法少女へ酷な未来が来てほしくないとも思っている。

なんとも中途半端な考えであると我ながら思ってしまった。

「まあ、キアラは今まで通り過ごせばいい。
私たちをどうにかするかは、まあ、この世の情勢を見て判断すればいいさ」

 

果たして私は、カルラは、この世界の主導権を握るのはどちらがふさわしいと判断することになるのだろうか。

いまはまだ、わからない。

 

 

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