【マギレコ二次創作】魔叙事詩カグラ・マギカ 2-3-5 神浜鎮圧作戦・その1

夜に襲撃があった際、私たちには全く被害が出ませんでした。

しかし昨夜の戦いはどうやらテレビでリアルタイムに流れた様で、日本政府は神浜の奪還を支持しているようでした。

ドローンによる索敵が行われていたことも考慮し、中央区に設置されていたキャンプは放棄して栄区と大東区に生活場所を移動することになりました。

今朝はその移動作業で大忙しです。

「何で移動しないといけないのさ」

「ドローンでどこに生活拠点があるか見られてたんだとさ。

居続けてもいいけど攻撃の的になるのは確かだよって言われて動かないわけにはいかないでしょ」

「また戦いになるの?嫌だなぁ」

移動作業中にドローンに覗き見されていないか偵察を行う魔法少女はもちろんいて、今のところは発見されていないようです。

さつきさんたちが滞在している竜真館も魔法少女が集まる場所として別の場所へ移動するよう推奨される場所に指定されていました。
この推奨される場所の指定というのは三重崎の魔法少女や灯花ちゃんたちが勝手に言っているだけで話し合いで決めたというものではありません。
みんなは多少疑問に思いつつも、危ないというならばということで半信半疑で別の場所へ移動を行っているところです。

「せっかく畑の準備ができてきたっていうのに、ここが戦場になる可能性があるだなんて」

「安全に暮らせる場所、まあここは他の場所よりましなんだろうけど全然落ち着かないな」

さつきさんとキクさんがそう話していると魔法少女になっていない子たちが2人に話しかけてきました。

「ねえ、ここ壊されちゃうの?なんで?」

「私たちを弱いものとしていじめてくるからだよ」

「また私たちの居場所を奪おうとするの?
それなら・・・」

「変ことを考えようとするんじゃない。
いまはキュゥべえがどこかへ行ってしまったし、変なことなんてできやしないと思うけどね」

「でも、本当に襲ってくるのかしら」

いつ襲ってくるか気を抜けないままお昼過ぎ。

中央区から魔法少女達がほとんどいなくなった頃、南側を偵察していた都さんから連絡がありました。

[軍艦と思われる集団が迫ってる。目視できても2隻や3隻じゃないぞ]

「船だなんて、そんな」

都さんのテレパシーは灯花ちゃんにも届いて、南側で生きている監視カメラを使ってその様子を確認しました
同じ部屋にいた私たちも、たくさんの軍艦が迫ってきていることを確認できました。

「空母級に巡洋艦複数…

もう国を奪う程度の戦力じゃん」

「砲撃どころかミサイルの嵐、上陸されたら多くの兵士が傾れ込んでくるだろうね」

「これだと地上にいることが危険かもしれないわ」

「迫ってきているのは軍艦だけじゃないはずだよ。

陸に空、あらゆる侵攻ルート、方法で迫ってくるとみていいだろう」

「それやりようあんのか?」

やらないとこちらがやられる状況、でもみんなには死んでほしくない。

「昨夜同様に好戦的なメンバーにだけ前に出てもらいましょう。
他のみんなは自分を守ること優先で」

「それじゃダメだよ」

やちよさんの意見に灯花ちゃんが反対します。

「まずは艦隊をどうにかしないと何も解決しない。

一方的にミサイルと砲撃で蹂躙されるだけ。

自分の身を守るのはやるべきことをやってからだよ」

「海上戦なんてできる子いたかしら」

これからどうしようか考えている時に偵察を行っていた時女一族の子から連絡がありました。

[武装した集団がこっちに近づいてくるよ!]

今は私たちにできることをやるだけ。

「私たちは動けない子達の救助に専念したいんだけど、みんなはどうかな」

「それでいいと思います」

「私もそのほうが良いと思うわ」

「何だよ、倒しに行かないのかよ」

フェリシアちゃんは少し不満そうでした。そこへ鶴乃ちゃんがフェリシアちゃんに話しかけます。

「フェリシアは人を躊躇なく殺せる?」

「そりゃできるぜ」

「じゃあ、当たったら終わりな弾が当たって二度と動けなくなる覚悟もある?

「それは、二度と動けなくなるのは嫌だけど」

「それは覚悟が決まっていないって言うのよ。無理をする必要はないわ」

「フェリシアちゃんが私たちを守ってくれたら、ありがたいなって思うんだけど」

「2人がそこまで言うなら、仕方がねぇな」

「ちょっと、私もでしょ!」

私たちが部屋から出て行こうとすると私は灯花ちゃんに呼び止められました。

「お姉さま、海岸と北の境界には近づかないでね、絶対だからね」

「う、うん、わかったよ。みんなにも伝えておくね」

私は”なぜか”を聞かずに外へと向かいました。

私たちが部屋から出ていったタイミングで2人は話を始めました。

「そうやって詳しく伝えない」

「だって、教えたら絶対反対されるだろうし」

「人体に悪影響な波長を設置した拡声器から発して、気絶に追い込む。

敵を無力化できるかもしれないが魔法少女にも影響がある。

ある意味前線に出る子達を餌にすることになるだろうが、お姉さんには反対されていただろうね」

「さっきも話していたけど、覚悟ができた子達が前に出ているんだから、少しくらいいいじゃない?」

「まったく。うまく行かなかった時の次は準備できているかい?」

「もちろん。

火薬があまりなかったから、地味なことしかできないけどね」

「あったら何をする気だったのか」

「2人とも、会話が怖いよ・・・」

部屋に一緒に残っているういとワルプルガさんはただただ二人の会話を聞くことしかできませんでした。

 

 

武装した集団が迫っていることはテレパシーで伝えられ、魔法少女達は個々人で判断して行動し始めました。

十七夜さん達は

「我々がありのままでいられるのはここだけだ。

精一杯争わせてもらう。

君たちは戦えない魔法少女たちの避難を優先してくれ」

「何言ってるんですか十七夜さん」

「私たちも一緒に行きますよ」

「…無事に帰れると思うなよ」

「わかってますよ、1人で抱える必要はないですって。それだけですよ」

 

みふゆさんたちは

私たちは戦えない魔法少女たちの救助と避難を支援する動きをとりましょう。

ひとまずは北養区のフェントホープ跡地周辺に避難しましょう」

「わかりました!」

「やっちゃん、どうか無事で」

 

結奈達は

「ここで踏ん張らなければ二木市に戻ることさえ叶わないわ。

昔の因縁は一度胸にしまって目の前の脅威を排除するわよ」

「アオさん達を助けに行かないといけないっすからね」

「何だっていい、思いっきり暴れさせてもらうぜ」

 

ちはる達は

「静香ちゃんが出てくるかもしれないから、私は前に出て戦うよ。

でもみんな揃っている必要はないよ、ちゃんと逃げてよ」

「大将を呼び戻すチャンスだ。

他の血の気の多い奴らに倒されるなんて事態は避けたいだろ」

「私たちは精一杯生き残ります。だから、ちゃるも無理はしないで」

 

三重崎の子達は

「まさかサバゲーじゃなくて実戦をやることになるなんてね」

「実際に生身の人間を撃ち抜く、私たちにちょうどいいじゃないか」

「当たったら終わりはこちらも変わらない。

自衛隊だってアンチマギアを使ってくるだろうからな」

「まずは他の魔法少女への支援を優先しよう。あいつらに索敵の脳はないだろうからな」

「積極的に動いていた夏目の奴らがこんな時にいないなんて。

あいつら今は何をしているんだ」

 

魔法少女が動き出したことは自衛隊側は把握していました。

「魔法少女に動きあり。

我々の前進行為を察知して行動を開始したようです」

「我々はサピエンスの部隊とは完全に別行動だ。

行動不能になった敵味方の魔法少女達の救助、及び神浜外へ流れ弾が出ないかの監視、魔法少女達の行動監視が優先だ」

高田一佐は自衛隊への指示を終えた後にディアにつながる回線へ切り替えます。

「サピエンスの科学者、会議中にも言ったが作戦範囲外に被害が出ることは厳禁だ。

それは気をつけてくれ」

「わかっているさ。そっちこそ、SGボムの使用は渋るんじゃないよ。

場合によっては敗因に繋がるんだからね」

「…承知している」

「それじゃあよろしく」

ディアは回線を切り替え、試験艦のディラン大佐に繋ぎます。

「大佐、データは昨日送った通りよ。

昨晩魔法少女達が溜まっていたと思われる場所へ対地ミサイルの発射をお願い」

「信用して良いのだな」

「日本はデータ収集だけは優秀よ。

仮に魔法少女へ直撃したとしても、そいつらの運が悪いだけだから」

「いいだろう」

ディラン大佐は回線を切り替え、艦隊全体に指示を出した。この回線はマッケンジー達の部隊へも繋がっていました。

「これよりカミハマシティ鎮圧プログラムを実行する。

第一フェーズの実行を開始する。

各艦は事前通知していた地点へAM -2ミサイルを発射せよ」

試験艦及び巡洋艦の対地ミサイル用のハッチが開き、上空に向けてミサイルが発射されました。

魔法少女達にミサイルを迎撃する手段などなく、着弾すると思われる場所から離れることしかできませんでした。

ミサイルは大東区、中央区電波塔跡地、竜真館周辺へと着弾し、爆発と同時に周囲へアンチマギアが拡散されました。

またAM -2ミサイルには液状化されたアンチマギアが試験的に採用されており、爆発と同時に周囲へ散布されました。

しかしその散布範囲は狭く、着弾した地点から半径50m程度しか液状化したアンチマギアがばら撒かれず、粉末状のアンチマギアは予想値よりも周囲に離散してしまい、濃度が薄い状態になっていました。

「AM -2ミサイル、予定距離も250m狭い範囲にしか散布されていません!」

「サピエンスにクレームを入れとけ!

不良品を出すんじゃないとな」

ペンタゴンで観測を行っているイザベラの元へ直ぐにディラン大佐のクレームは届けられました。

「見てたから分かってるって。

カルラ、AM -2ミサイルを担当した技術者に繋げなさい」

「イザベラ、あれはヨーロッパでの最終テストを行う前の規格で作ったものだ。

搭載する前に伝えたはずだ」

「だからって散布範囲が半分以下ってどう言うことよ」

イザベラの隣で座っているカルラはだるそうに持っていたタブレットからAM -2ミサイルの設計図を見つけ出してイザベラに見せつけるように画面を押し付けました。

「液状、粉末ともにミサイル着弾後に上空へ飛び出し半径250m散布予定だったがそれぞれの射出容器の強度が足らず着弾と同時にミサイルの火薬と共にその場で爆発してしまう欠点はすでに洗い出されている。

データの再度洗い出しを行わせず容器強度をおおまかな数値でGOを出したのはお前だ。

クレームを入れられるのも当然だ」

「ヨーロッパの武器庫が破壊された影響がここまでとは」

イザベラはディラン大佐へ回線を繋ぎます。

「ディラン大佐、AM -2は試験艦へ搭載できる想定積載量よりも倍の数を搭載させています。

それで制圧を続けてください」

せっかく撒いた粉末状のアンチマギアが離散しすぎて使い物にならんぞ」

「ちっ、言わないとわからんか」

「レディ、立場をわきまえろ!」

怒るディラン大佐の言葉に耳を貸さず、AM -2ミサイルの設計図を少し見た後に軽くタブレットで計算した後にイザベラは試験艦へ向かってデータを送ります。

「設置起爆ではなく時限起爆に変更しなさい。

変更コードは送ったわ。

それを適用させたところで多少の誤差は出るからそこはそっちで調整しなさい」

「この数分でコードを書き換えたのか」

「文句を言う前にさっさと対処しなさい」

隣で一連のやりとりを見ていてキアラはディラン大佐を気の毒に思っていました。

天才だからかその場で修正を当たり前だと思っていたのか何なのか不良品を少しでも使えるよう数分でミサイル起爆のシステムにコードを埋め込もうだなんて、誰が思いつくか。

試験艦からはコードが書き換えられたAM -2ミサイルが3発神浜市へ飛んでいき、上空500mで爆散していきます。

液状化したアンチマギアは隙間が生まれたもののほぼ半径250mに撒き散らされ、粉末状アンチマギアは想定以上の範囲へ濃度を保ったまま散布されました。

これらのミサイルに直撃する魔法少女はいなかったものの、親しみのあった場所が爆撃されたことに悲しみを感じる魔法少女達は多い様子でした。

「目標値達成。次のフェーズに向けて索敵ドローン、散布ドローン発進」

「第ニフェーズに移行。

ドローンにて魔法少女がいると思われる場所へアンチマギアの散布を開始する。

地上部隊は鎮圧マニュアルの実行を行え」

マッケンジー達は待機状態から変わらず、動き出したのは人間側についた魔法少女達でした。

「ドタバタはあったがなんとかマニュアル通りの運びになったか」

ドローンは予定通り中央区中心に外側へ魔法少女が逃げるよう誘導開始。

魔法少女反応もカミハマシティの外側へ広がっていきます」

「北部の押さえ込みは囮に任せろ。

我々は海岸の安全確保を優先する。

S班は索敵に専念し、沿岸部分にいる魔法少女を洗い出せ。
E班、W班は囮と自衛隊が完全に機能しなくなってから動き出せ。

的になるのは自衛隊だけでいい」

マッケンジーが指示を出し終わったあと、近くにいた兵士がマッケンジーに話しかけます。

「我々の出る幕はあるでしょうか」

「常に最悪のケースを想定して動かなければ簡単に死ぬものだ。

それに相手は非常識な連中だ、今こうしている間にも地面が割れて奈落に落とされるかもしれない

「さ、流石にそれは」

「可能性はゼロではないと思う程度でいい。

我々が動くのは艦砲射撃が一通り完了してからだ。その時にどうなっているか」

 

一方、神浜市の様子を観察しているペンタゴンでは不審な影を捉えていました

「レディ、中華民国から軍艦が数隻発進しているようです」

そういえばあいつらこのタイミングで軍事演習とかほざいていたわね。

しっかり監視しておきなさい。

あとは予定通り中華民国以外に対魔法少女条例違反時の対応連絡を出しなさい」

「ロシアにも伝えるのですか?!」

「あそこはすでにサピエンスの犬よ。

構わず伝えなさい。こんなところで裏切るほど奴らに度胸はないわ」

「了解!」

キアラはイザベラに話しかけます。

「本当にこの機会に日本をものにしようとするだなんてあるのか」

「うちの国に工作員を散々潜り込ませていて、さらにはあの脳内のデータよ。確信よ」

「人間に対してもあれを使ったのか?!」

「誰が魔法少女用と言った?

やらかしそうな国なんて調べがついているのよ。

邪魔なんてさせないわ」

 

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