【マギレコ二次創作】魔叙事詩カグラ・マギカ 2-3-6 神浜鎮圧作戦・その2

水名区北部で偵察を行っていた時女一族のメンバーの前には、時女静香の部隊が遭遇していました。

「静香ちゃん…」

「ちゃる、迎えにきたわよ」

双方見つめ合って動かない中、その場に武装したディアが通りかかります。

「何やってるんだ、早く殺し合いなさいよ」

そんなディアを見て涼子がディアへ話しかけます。

「何だあんたは」

「あんたらを保護する存在だ。

投降してくれてもいいが、私としては殺し合いをしてもらったほうがありがたいんだけどね」

パンッ

ディアに向けて1発のライフル弾が放たれます。

その弾は少し遠い距離から撃たれたにも関わらずディアの頭部を撃ち抜く軌道でした。

しかし、その軌道の間に人が1人割り込みます。
その見た目はディアと同じ見た目で体と同じ大きさほどある盾を持っていました。

その盾をライフル弾が貫くことはできず、少しの凹み傷を付けただけでした。

「何?!」

「うーん、反応はいい感じかな」

「同じ人が、2人?」

「時女の、分かってるでしょう?」

そう言いながらディアはボタンのようなものをちらつかせます。

「はい、もちろんです」

静香はいつもとは違った刀を抜き、刃をちはるたちへと向けます。

「かかれ!」

そう静香が号令をかけると静香側についた時女一族がちはるたちへと襲い掛かります。
思いもよらない襲撃に神浜側の時女一族は皆戸惑いながらも襲い掛かってきた魔法少女達へ対応していきます。

ちはるへは静香が斬りかかってきたため、ちはるは咄嗟に武器を構えて静香の攻撃を受け止めます。

「静香ちゃん、どうして!」

神浜に残った時女一族は応戦しはじめ、だんだんと誰がどっち側の時女一族なのかが分からないほど混ざっていきました。

「何で私たちが戦わないといけないの!」

「そうしないと、あたし達は殺されるからよ!」

「どういうこと」

 

他の場所でも魔法少女同士の戦いは始まっていました。

二木市の魔法少女達は蛇の宮の魔法少女達と対峙して既に刃を交えていました。

「まさか臆病なテメェらがこの樹里様に噛み付くとはな」

「私たちだって、でも、死にたくないから!」

樹里とアオの間にひかるの呼び出した軍団が割り込んで2人を引き離します。

「邪魔するな馬!」

その場へ結奈が到着し、持っている金槌を地面へ振りかざした後にアオ達へ問いかけました
アオ達は金槌が地面にたたきつけられた衝撃に一瞬動きを止めて結奈を見てしまいました。

「いいからなぜ殺されるか話しなさい。

周りにいる自衛隊を始末したら殺されないの?

それとも別の何かに狙われているの?」

「違うよ、命令を無視したら、ソウルジェムが爆破されるんだよ」

「はぁ?なに言ってるんだ」

樹里の反応の後に蛇の宮の魔法少女が1人話に割り込みます。

「わたしら、あいつらにソウルジェムへ細工されたんだ。

それが、命令に反したら爆発させるものだって」

「どこにそれがついてる、直ぐに外してやる」

「無理だよ、ソウルジェムに溶け込む装置だから。

どうしようもないんだよ」

アオは泣き顔になりながらそう答えた。

神浜市側の二木市の魔法少女達が絶句する中、アオ達のインカムにディアが語りかけます。

「真剣に殺し合えよ、じゃないと直ぐに起爆させちゃうよ〜?」

蛇の宮の魔法少女達は一斉に結奈達へ切り掛かります。

「貴様ら!」

「お願いだから私たちに負けてよ!そうしたらみんな一緒だから」

「うるせぇ!

焼き尽くして大人しくしてやる!」

「みんな!全員の動きを止めなさい!

最悪四肢を粉砕しても構わないわ。ソウルジェムだけは外しなさい!」

「そんなのじゃダメだよ、どうせやるなら一思いにやってよ!」

泣きながらも笑みを浮かべて攻撃してきたアオへ攻撃を受け止めながら結奈は悲しげな顔をするしかありませんでした。

 

北養区でも再会の挨拶から始まっていました。

「お久しぶりです、みふゆさん」

「教官、あなた程の方がどうして」

「他の子達を守るために、そして地元の人たちを守るためにです」

「あなたは、こんな世界でも諦めきれずにいるのですか。あなたの守りたいものを」

「私だって諦めたくないと思っています。でも、いまとなってはそれも」

そう話しているとインラインスケートを装備した魔法少女がみふゆへ攻撃を仕掛けてきます。

「ミユリさん?!」

「さあ、大人しく私たちにつき合ってください。しっかり説明はしますよ」

そう言って教官こと燦が武器を構え、後続の魔法少女たちがみふゆが連れていた魔法少女たちへ襲いかかります。

 

囚われた魔法少女の4グループと名付けられた寄せ集めの魔法少女集団は大東区へ攻撃を仕掛けており、十七夜を中心とした東側の魔法少女達が対応していた。

「まさか戦う相手が魔法少女になるなんて」

十七夜は躊躇なく襲ってくる魔法少女達を気絶させていき、4グループ目の魔法少女達は順調に戦える数が減っていった。

「この程度何の障害にもならんな。

観鳥、他に怪しい集団はいないか」

そう言いながらテレパシーで聞くと、偵察を行っていた観鳥は報告を行った。

[建物に隠れるように自衛隊が待機しています。

魔法少女と戦わせて疲弊した私たちに仕掛ける気でしょうね]

「ふむ、あまり良くないな。

私が魔法少女達の相手をするから皆は隠れている自衛隊へ対処しろ

「1人でやる気ですか?!」

「これくらいの相手、造作もない」

「あら、もしかしてまた1人で抱え込もうとしていませんか?」

十七夜の顔を覗き込むように郁美が話しかけた。

「なに?」

[そうだね。

十七夜さんはもっとみんなに頼ったほうがいい。

あなたが思っている以上に、覚悟が決まっているメンバーは多いんだよ]

テレパシーで観鳥がそう十七夜に話しかけると、十七夜の周りにいる魔法少女達が笑顔でうなづいた。

「お前達、本当に覚悟はできているのだな」

「くどいですよ、ちゃんと信じてください!」

周囲の魔法少女達は十七夜へ笑顔を見せた後に人間側の魔法少女達を止めようと戦いへ向かっていきました。

「ふむ、そうだったな。
だが、死なせはしないからな」

 

南側はひなのを中心に迫り来る艦隊に対応しようとしていたが特殊部隊の存在を知ってしまって身動きが取れない状態になっていた。

奴らに気づかれないように一撃で艦隊に打撃を与えられないものか

「みゃーこ先輩、そんな簡単にできたら苦労しないよ」

「だが奴らに睨みをきかされているようじゃ、どこも安全だなんていえない。

梨花、一発でいい。

中央にある空母に一発撃ち込めないか」

「と、届くかな。

やってはみるけど、絶対位置はバレるっからね」

「分かってるさ、命中を確認できたらさっさと北養区へ逃げるぞ」

「それじゃあやるかんね!」

梨花は武器であるコンパクトをコンテナの裏で巨大化させ、試験艦へ向けて渾身の一撃を放った。

その一撃は試験艦を捉えていて確かに命中するコースであった。

しかしその一撃は試験艦手前でバリアのようなものに防がれ、弾かれた魔法の破片が海水を蒸発させて試験艦周囲は蒸気で包まれた。

バリアを展開したときの試験艦では

「バリア、正常に稼働しました!

動力炉不安定化、しばらくこの場から動けません」

「護衛艦に被害は」

「ありません。全て防げたようです」

「いいだろう。

動力炉安定化後、前進を開始する」

 

試験艦を破壊できなかったことに梨花は驚いていた。

「そんな、直撃したはず」

「いいから逃げるぞ!」

攻撃が効かないということか。
だとすると、あたしらにうつ手はないぞ。

[海岸にいる魔法少女達聞こえるかにゃ?]

[灯花、何のようだ]

[しっかり耳を塞いでよね。
じゃないと、そこから動けなくなっちゃうから]

[おい、何なんだいきなり]

[3、2]

こちらの問いかけを聞き入れず淡々とカウントを始めた。

[全員耳を塞げ!]

カウントがゼロになると近くにある非常放送用のスピーカーから音が発せられ、私らを発見した特殊部隊達は頭を抱えて倒れていった。

「なんだ、これは」

ひなのと衣美里が耳を塞いでいる中、梨花とれんは耳を塞ぎ損ねたのかその場に気絶して倒れてしまった。

「おい、二人とも!」

二人からはテレパシーでも返事はなかった。

 

南側で発生したことについてはマッケンジーにも報告が入っていた

「音だと?」

「はい。S班の最終報告によると頭が割れるような音が発生したとのことです」

「他の場所では」

「そのような報告はありません」

「魔法の影響を受けない装備を身につけているのだから、その音とやらは科学的に解決すべきものだろうな。

魔法少女達が扱ったのか」

「どうします?発生源を吹き飛ばせば済む話ですが」

「俺たちにできるのはそれだけか」

マッケンジーはディラン大佐へ回線を繋げた。

「ディラン大佐、港付近で発生した音の出所を自衛隊へ共有できるか」

「何を考えているマッケンジー」

「港を使えないと上陸作戦自体が敵わないだろう。

何のために港を標的に入れなかったと思っている」

「爆撃無人機の発進準備はできている。日本に頼らずとも」

「港で動けないS班ごと吹き飛ばす気か!」

「目標の近くで倒れる奴が悪いのではないか」

マッケンジーはディラン大佐との回線を強制的に切断した。

「ふざけたことをしてくれる」

マッケンジーは待機命令を出していたN班と共に南へと向かった。
そんなマッケンジーに対して隊員は困惑していた。

「大尉、何をする気ですか?!」

「爆撃機が任務を無事に完遂できるとは限らん。

ロケットランチャーを持って音の出所を破壊しに行くぞ」

「大尉が言うなら従いますが、知りませんよ」

想定外の事態へ対応するためのマッケンジー率いるN班が動き始めたことを知り、ディアはマッケンジーへ回線を繋いで問いかけた。

「何やってんだ、まだ何も起きていないだろ」

「港の出来事を共有されていないのか」

「もちろん知ってるさ。

何も急ぐ必要はないだろうさ。今行ったってどのみち間に合わない」

「仲間が吹き飛ばされると知って動かない奴があるか!」

「マッケンジー、少し感情的すぎるぞ。

軍隊にそんなものは不要じゃないか?」

「サピエンスの特殊部隊は軍隊ではない。そんなルールに則る必要はない。

お前も、ディラン大佐達も固く考えすぎだ。埋め合わせはするさ」

咄嗟にマッケンジーはディアとのプライベート回線に切り替えた。

「この本気じゃない戦いで命を落とすほど無駄なことはない。そうではないか?」

そう言ってマッケンジーは一方的に回線を切った。

ディアは目の前で戦う魔法少女達を眺めながら呟いた。

「ものは言いようだねぇ。

まあ、港がどうなろうがどうでもいいが。

それにしても行動不能にさせる音か。

動けなくなる原因の症状を聴かないと明言できないが、体に異常をきたすならば音圧の仕組みを利用したものだろう。

だとしたらそれは音として認知できるのか?

ヘクトパスカル台のものでなければそんな症状は起きないはずだ。

どうであれ、下手に近づかないのが賢明だろうね」

試験艦から発進した無人機は魔法少女達の目にも留まることになった。

南凪区近くで逃げ遅れた魔法少女達の救助を行っていたいろは達には、灯花から港には近づかないよう伝えられていた。

[そんなことを言われても、港の方には都さん達がいたはずだよ]

[彼女達にも伝えたよー?ちゃんとそこから離れられたかは別だけどね]

[灯花ちゃん、一体何をしたの]

[教えないよー]

「ちょ、ちょっと!」

灯花へさらに話を聞こうとしていると、遠くからまどか達がいろはたちに声をかけていました。

「まどかちゃん、避難していないの?!」

「えっと、私たち人探しをしていて」

まどかちゃんと一緒にいたのはほむらちゃんと巴さんでした。

巴さんが探している人について話し始めます。

「実は小さい子を探していて。

なぎさちゃんって言うんだけど、どこかに行ってしまってここまで探しに来たのよ」

「なぎさちゃん。

すみません、どういう見た目の子かわからないと」

「ケータイに画像があるはずなんだけど、今は手元になくて」

でも小さいこと言っても見覚えのある子達にしか会っていないわ。

多分見かけてはいないわね」

「そう、ですか」

やちよさんの回答に、少し巴さんは悲しそうな表情を見せます。

そんな中、まどかちゃんは南の方角に指を指します。

「あれ、何だろう」

船が見える方角からは鳥の群れとも言える黒い塊が向かってきていました。

「絶対良くないものだよあれ」

そう考えを巡らせていると三重崎の魔法少女から報告がされます。

[船団から来る物体、形状が無人機で、下にミサイルみたいなものがついている。

もしかしたら特攻型の無人機ミサイルの可能性があるから南側の奴らは特に注意しろ!]

あれが全部、ミサイル?!

それを聞いてまどかちゃんが弓を無人機の集団に向けますがほむらちゃんが止めに入ります。

「無理よ、ここから届きにくいし全部落とせなんてしない。

逃げたほうがいいわ」

「でも、放っておけないよ」

そう言うまどかちゃんに対して私は手を差し出しました。

「2人で力を合わせれば、できるかもしれない」

私と目を合わせて聞いていたまどかちゃんはうなづいて私の手を握ります。

コネクトが発動し、私のクロスボウとまどかちゃんの弓が合体したような武器は、ミサイル達を捕らえた上空に紋章を生み出し、その中央目掛けて私たちは矢を放ちました。

紋章にかろうじて矢は届き、紋章はその矢に反応して真下へ無数の矢が放たれました。

ミサイルは逃げようとする動きは見せたものの、逃げきれずに全てが撃ち落とされてしまいました。

私たちは達成感でその場で笑顔になりながら動けずにいました。

「これほどの力、攻め込んできた奴らを一掃できるんじゃない?」

ほむらちゃんの問いかけに対して私はこう答えます。

「魔法少女が敵に混ざっていなかったらやっていたかも。

でも、相手が魔法少女ならやりにくいよ」

その答えにほむらちゃんは表情を変えず何の反応も見せてくれませんでした。

そんななか、さなちゃんが話しはじめます。

「その、なぎさちゃんを探しませんか?

逃げ遅れているのかもしれないですし」

「そうね。

私たちも協力しましょう」

そう話していると、急に鶴乃が大きな声を出します。

「危ない!」

そう言って鶴乃ちゃんは私とまどかちゃんを突き飛ばしました。もともと私たちがいた場所へは二発の弾丸が飛んできました。

「良い感を持っている奴がいたか」

その声の方角には、マッケンジー率いるN班の姿があった。

「見つけたからには対処させてもらうぞ、魔法少女共」

 

 

高いビルの上から、小さな魔法少女が戦場となった神浜を眺めていました。

「この世界はここだけな出来事が多すぎるのです。

マミ達まで人間に好戦的になってしまって、これでもお前はこの世界も救いたいと言うのですか?」

話しかけられているピンク色のキュゥべえは何も答えません。

大昔にこの世界の何者かに声をかけられて、円環の理はこの世界にちょっかいを出したのです。

確かに円環の理に声をかけられる存在なんて前代未聞なのです。

そいつを見つけ出せれば満足ですか」

ピンク色のキュゥべえは何も答えません。

「まあいいのです。

なぎさはここから見守るだけなのです。

なぎさは人と殺し合いなんて、したくないのです」

手元にいるお菓子の魔女の手下をこちょこちょといじくり回しながら、彼女はただ神浜を見つめるだけでした。

 

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