【マギレコ二次創作】魔叙事詩カグラ・マギカ 2-3-9 神浜鎮圧作戦・その5

ポンベツカムイが姿を現した時、その姿を見ていろは達は驚きました。

「あれって、ピリカさんが呼び出せる首長竜じゃ」

「そうであればおかしいですよ。

だってあの人たちは」

そう話している間にひなのと衣美里が梨花とれんを背負ったまま急いでもどってきました。

「お前ら高台へ急げ!」

急にそう言われてなんのことかすぐには判断できなかったいろは達ですが、海でポンベツカムイが大波を発生させているのを見て何が起きるのかを察しました。

いろは達は近くにあった倉庫の屋根へと登って波をやり過ごすことにしました。

ひなの達も無事に屋根へと移動し終わった頃に波は海岸を飲み込んで行きました。

いろは達がいる倉庫付近には地上にいたとしてもくるぶしくらいの高さ程度しか波がやってきませんでした。

波がやってきた頃、海では試験艦が爆散し、陸地には数発の対地ミサイルが飛んできていました。

「一体何が起きているの?」

 

アリナ達の奇襲を受けて状況確認を行っていた自衛隊は、さらに謎の船が現れたことでさらに混乱していました。

そんな中でも魔法少女の居場所を監視するドローンは機能していて燦の裏切り行動や二木市の魔法少女が自由に行動できていることは筒抜けでした。

「高田1佐、この状況って」

「そうだな、本来ならばここで警告して聞かないようであれば、これを使わなければならない」

高田一佐が手に持った起動装置を見ていると、司令部にはそんな魔法少女達の動向で新たな報告が入ってきていました。

「空から複数の魔法少女が現れたと言う報告があります。
ミサイルから飛び出してきた存在と同一と思われます」

「被害状況は」

「ミサイルによるものと飛び出した魔法少女によるものと2種類ありますがどちらでしょうか」

「ミサイルによる被害は把握できている。後者だ」

「では…。

主に被害を受けているのはサピエンス直属の部隊のようです。
対魔法少女に慣れていない我々では参戦は困難だと部隊長達から声が上がっています。

いかが致しますか」

「要である船隊は壊滅して地上は混乱。

残存兵の救助を優先して神浜からは撤退するように各隊へ伝えろ」

「よろしいのですか?!」

「これ以上命のやり取りは無駄だ。早く伝えろ!」

「りょ、了解」

「それよりも日本海側の様子は」

「はい、間違いなく日本海域ギリギリで中華民国の艦隊が待機していることを確認しました」

「防衛大臣からは何もないのか」

「それが、防衛大臣からは何もないのですがこちらへ向かっているという話を聞いています」

「大臣自らだと、一体どういうことだ」

 

戦場ではミサイルから飛び出してきた魔法少女達が活動を開始していました。

「いやぁ、案外なんとかなるものだね」

そう言った魔法少女は工匠区付近で青白く輝くナイフを取り出して特殊部隊が隠れている瓦礫へ投げ込みます。

そのナイフは瓦礫へ突き刺さった途端に爆発し、爆散した瓦礫の一部が特殊部隊達を襲います。

「なぜここがバレている!」

「内部情報が筒抜けだって噂、本当かもしれないな」

「いいからあの化け物を止めるぞ!」

特殊部隊はナイフを持った魔法少女以外に1人他の魔法少女が迫ってきていることを察知し、アンチマギアを周囲に散布しながら魔法少女がいると思われる場所へ迎撃を行います。

しかし手応えはなく、魔法製だと思われたナイフはアンチマギアを貫通して地面に刺さったナイフは接続されていた起爆装置が作動してどのみち爆散してしまいました。

その爆風でアンチマギアが離散し、その隙間を縫うようにもう1人の魔法少女がマグナムを数発撃ち込み、これにより兵士が1人即死、複数人が怪我を負ってしまいました。

そんな様子を見てマグナムを撃ったカウボーイ風の魔法少女は嘆きました。

「どうした?ヨーロッパから出張してきたにしては情けないじゃねぇか。
これじゃあ一方的にこっちがぶっ殺すだけになるじゃねぇか。

ほら、どうした!」

カウボーイ風の魔法少女は現物のマグナムを交えることでアンチマギアをモノとはしない戦いを繰り広げます。

そんなカウボーイ風の魔法少女は目の前の兵士を殺すことに夢中になっていたのか、回り込んだ特殊部隊員には気付いていませんでした。

その兵士に対してはナイフを持った魔法少女が気付き、ナイフを投げるとそれは首を貫いて兵士は首と口から血を出しながら倒れました。

「回り込まれるとは油断してるんじゃないか?」

「なに、やり用はあったさ」

工匠区 栄区寄りの地域ではサピエンス側の魔法少女達をどこに待機させようかと話し合っているところにミサイルから飛び出した魔法少女の1人が飛来してきました。

その魔法少女は修道女のような服装で、廃墟に対して魔法で生成した岩を投げつけると、そこからサピエンスの特殊部隊が飛び出してきました。

特殊部隊員達は岩を生成する魔法少女に対してアンチマギアとアサルトライフルで応戦しますが、それらをすり抜けた岩石が反応しきれなかった1人の隊員の顔面に直撃して即死してしまいました。

岩を生成する魔法少女は岩の壁を生成させながら十七夜達がいる場所まで後退してきて話しかけました。

「what are you doing here!」

「ここで何をやっているだと、まずお前は誰だ」

十七夜は岩を生成する魔法少女に対してそう聞き返すと、相手が困った顔を少しした後に何か閃いたように十七夜を見ます。

[ごめんごめん、これの方が通じるか。

少なくとも私たちは味方だよ]

[そうか、考えたな。

だがお前達が何者かはっきりしない以上、信用するわけにはいかない]

[信用なんて今はいい。あの兵士たちは私たちが相手する。

神浜のあんた達は避難にでも専念しな。信用するかどうかは任せるけど、ここに棒立ちしてると間違いなく死ぬよ]

岩を生成する魔法少女は十七夜へそう言って岩の壁の向こう側へ行ってしまいました。

壁の向こう側では既存の岩を操って特殊部隊を蹂躙し始めています。

壁の向こう側で特殊部隊員の悲鳴しか聞こえない中、十七夜へ令が話しかけます。

「あいつのテレパシーは観鳥さん達にも聞こえました。

ここはあいつを放っておいて避難を優先させませんか。

別地域の魔法少女と戦ってみんなクタクタですよ」

十七夜が一度保護した魔法少女、一緒に戦った魔法少女達を見ると疲れた顔をしているものが大半でした。

「そうだな。

我々はいまできることに専念しよう」

「工匠区に該当する他の場所でも特殊部隊が紛れていたなら、中央寄りに避難した方がいいと思うけど」

「栄区のキャンプは健在らしいですよ。そっちに行きましょうよ!」

「そうか、では移動だ。

動ける者は動けない者の手助けをしろ」

東側の魔法少女達はこうして栄区への移動を開始しました。

 

南側には2人の魔法少女が飛来し、その2人は真っ直ぐマッケンジーたちの部隊へ向かって行きました。

[おいおい、予定より数が多いよ]

[数が多かろうがぶっ飛ばせばいいだけだ]

マッケンジー達は迫ってきていた大波を携帯式緊急救命ボートでやり過ごしていて、倉庫の陰で情報集めをしていました。

上空から魔法少女がやってくると知るとマッケンジー含んだ3人の特殊部隊員がグラップリングフックで倉庫の屋根へ登ってやってくる魔法少女を迎え入れる態勢をとります。

1人の魔法少女は銀製の翼を広げて鋭い銀の羽を地面へ向かって五月雨に放ちはじめました。

マッケンジー達は移動しながら銀の羽へアサルトライフルで弾幕を張って屋根へほとんど羽を寄せ付けません。

流れ弾は降下中の魔法少女が拡げる傘にも当たりはしたものの、予定通り傘が空中分解すると、もう1人の魔法少女は魔法性の青白く輝く鞭を4本倉庫の屋根に放ち、その鞭より前方へ飛び込むことで屋根から抜けようとする鞭でブレーキがかけられて荒々しく着地しました。

そこへマッケンジー達がアサルトライフルを撃とうとしましたが、空を漂う銀の羽を放つ魔法少女によって妨害されてしまいます。

マッケンジーは鞭の方、残り2人は銀翼の魔法少女を相手にすることにしました。

その判断は一瞬のアイサインで済んだようです。

2人が銀翼の魔法少女を牽制している中、マッケンジーは鞭の魔法少女へ突っ込みながら背中に背負っていた直剣を引き抜き、柄頭を引っ張ると直剣の先が割れてさらに長い大剣サイズと変化します

飛び出た刃は紫色に輝いていてそれはアンチマギアが練り込まれていることがすぐにわかりました。

鞭の魔法少女はマッケンジーへ鞭を放ったものの大剣によってあっさりと切り落とされてしまいました。

鞭はそのまま消滅していき、マッケンジーが大剣を振り下ろし、それを避けるように鞭の魔法少女は後ろに下がります。

マッケンジーは振り下ろした勢いで前転し、1回転する頃には腰のサブマシンガンを鞭の魔法少女へ向けていました。

焦った顔をしながら鞭の魔法少女は袖から実体のある鞭を伸ばして、器用にしならせてサブマシンガンを防ぎます。

そのままサブマシンガンが放たれることはなく、その場からマッケンジーが移動したと同時にマッケンジーがいた場所には銀の羽が突き刺さっていました。

「この強さ、こいつらサピエンスの本命か」

マッケンジーのインカムへ通信が一つ入りました。

「魔法少女の反応がない場所まで撤退完了。

よってSとN班についてはクリアです。

EとWは応答なし」

「OK。我々の役目は終わりだ」

マッケンジー達はその場で数個のアンチマギアグレネードを放って煙幕のようにアンチマギアが散布されました。

その隙に3人はグラップリングフックを活用してあっという間に戦線を離脱してしまいました。

「ちくしょう、なんだあいつら」

ここまでの一部始終をいろは達はただ見ることしかできませんでした。

「なんだあれ、あいつらの動き目で追えなかったぞ。

魔法少女と戦ってたの、人間だよな?」

「違いないわ。人間にも魔法少女を簡単にあしらえる存在がいるってことよ。
他では好き放題できてるって話もあるし、質はバラバラなのかしら」

みんなが唖然としている中、マッケンジー達と戦っていた2人がいろは達のところへ近づいていきます。

[あんた達は何が目的でここにいる?]

この問いに回答したのはやちよさんです。

[私達は救助が必要な魔法少女がいないか探しているところよ。

あなた達はなんなの?]

[大事な安全地帯を守りにきた。

占領しようだなんてわけではないからそこは勘違いするな]

テレパシーのやり取りに銀翼の魔法少女が飛んだまま割り込んできます。

[私たちが知りたいのは、お前達は生きることに専念しているのか、兵士達を殺すことに専念しているのか。

どっちなのかだ]

その問いかけにはいろはが答えました。

[生きるため、です。

この後私達は、救助活動に戻ります]

「ダメよ、まずはいろはを安全な場所に連れて行かないと」

銀翼の魔法少女と鞭の魔法少女は少し顔を合わせた後、銀翼の魔法少女がテレパシーで話しかけてきます。

[とりあえずあいつらを殺すのは我々だけでいいということはわかった。

後で詳しいことはミアラから聞くことになるだろう。しっかり生きろよ]

そう言って銀翼の魔法少女は鞭を持つ魔法少女に向けて手を伸ばし、鞭の魔法少女はその手をつかんだ後、銀翼の魔法少女に抱えられる状態で特殊部隊が逃げた方向へ飛び去ってしまいました。

いろは達が少し思考を止めてしまっていると、さやかと杏子がやってきました。

「ここにきてって言うから来たんだけど、

もしかして終わっちゃった後?」

「えっと、そうなっちゃうわね」

「なんだよ、やっぱ急ぐ必要なかったじゃねぇか」

「いや助け求められたら急ぐでしょ」

見滝原組が話している間、ひなのはやちよへ話しかけました。

「あたしらは怪我人を抱えているから栄区へ行く。

お前達はどうする」

やちよはいろはの動かなくなった左手を見た後。

「私たちも栄区へ一度行きましょう。

これ以上いろはを連れ歩くわけにはいかないわ」

「じゃあ、目的地は栄区だね!」

この後いろは達は栄区へ、見滝原組は引き続きなぎさの捜索を行うことにしました。

 

北養区では一度落ち着いたので別の地域へ応援に向かおうとしていました。

そのためにみふゆ達が森を抜けた瞬間、正面から銃弾の雨が襲い掛かります。

その銃弾を避けられたのはみふゆと燦だけでついてきていた天音姉妹とミユリは銃弾の雨にさらされてその場に倒れてしまいました。

「そんな!教官これはどういうことですか」

「私も紛れていたなんて知らない」

銃を向けている特殊部隊員はみふゆ達へ忠告を行いました。

「そのまま身動きをとるな。

今は大人しくしていろ」

みふゆは幻覚の魔法を使うタイミングを見計いますが、森の方から悲鳴と銃声が聞こえてきます。

W班が囮魔法少女、自衛隊が共に機能しなくなったと判断したためです。

撃たれた魔法少女の中にはSGボムを仕掛けられた魔法少女も含まれていました。

森の中の悲鳴が聞こえてみふゆはその場から動こうとしますが燦に止められてしまいます。

そしてテレパシーで話しかけます。

[みふゆさん、動いちゃダメだ]

[でもこのままでは]

[大丈夫だ、宮尾と安積を信じるんだ]

全くみふゆが安心できていない状況の中、銃声がした森の方から爆発音が聞こえてきました。

また特殊部隊が何か仕掛けたのかと思ったら特殊部隊員も何か驚いている様子で、彼らが想定していない爆発であることがわかります。

そんな状況の中、林の中から見慣れない魔法少女が走り込んできて、特殊部隊員が魔法少女の反応に気づいた頃には1人の隊員が湾曲したナイフを銃で防いでいました。

その魔法少女を遠ざけようと必死になっている隙に、みふゆと燦は特殊部隊員へ攻撃を行って特殊部隊員たちと距離を開けることができました。

隊員の中の1人がマッケンジーへ通信を行うと爆発音があった森の中からパチンコによって放たれた魔法の球が隊員の頭を捉えて、隊員の頭には穴が空いた状態で倒れてしまいました。

さらにもう1人には太い針のもののようなものが飛んできましたが間一髪で避けました。
しかし背後からナイフを持った魔法少女に刺されて殺されてしまいます。

「皆、離脱してマッケンジーと」

そう指示をしていた隊員に対してナイフを持った魔法少女が瞬時に迫り、その隊員はその場でアンチマギアを撒いたものの意識外から飛んできたニードルガンに貫かれて殺されてしまいます。

「フーン、良い反応だったじゃん」

みふゆ達が森の中を見ると時雨にはぐむ、そして灯花に見慣れない魔法少女が1人いました。

そして灯花がこう話し始めます。

「まったく、敵が尾行してくるような状況で私達を呼びに行かせるってどう言うこと?

頭ワルワルじゃないの?」

「灯花、それってどういう・・・

それよりもたくさんの魔法少女が撃たれてしまって」

[ソウルジェムが割れた者もいるが、徹底的に銃弾を撃ち込まれているだけの者もいる。

治療施設があれば良いのだがここにはあるのか]

そうテレパシーで話しかけてきたのは自然と灯花の横にいるニードルガンという太い針を銃のような者で打ち出す武器を持った魔法少女でした。

みふゆはどう返事をしようか少し迷ている中、みふゆ達に銃を向けていた隊員たちはナイフを持った魔法少女と戦う二人の隊員しか生きていない状況でした。

[な、なんなんですかあなた達。あの兵士たちを簡単にあしらうなんて]

ナイフを持った魔法少女が苦戦している様子を見ていたニードルガンを持つ魔法少女は、一発兵士に向けて撃ち込むとそれは隊員の脇腹に命中し、怯んだ隙にナイフで首を貫かれてしまいます。

残り1人が銃をこちらに向けますが灯花が傘を兵士に向けると炎の火の玉が弾丸のように上空から降り注ぎ、兵士はアンチマギアを展開させるものの爆風でまき散らされて無惨に燃やされて死んでしまいました。

「爆風だけでどうにかできちゃうんだから楽なものだね」

「え、ええと」

[そろそろ質問に答えてくれないか]

みふゆは頭の整理ができない中一呼吸して答えられることだけ答えました。

[以前はあったのですが、攻撃を受けてからはここらあたりでキャンプを構えようとしていました]

[それでこのザマか。

森林に潜む敵は殲滅したはずだから急いで撃たれた奴らの体から銃弾を取り出したほうがいい。

弾丸に含まれたアンチマギアが体に浸透して魔力で回復できず体が腐敗するだけになってしまう]

「そんな、銃弾を体から取り出すなんて」

「流石に私でもそんなことできないよ」

「ぼ、僕たちもそういうの専門外だし」

その場でやろうとする魔法少女は誰1人いませんでした。

「けっ、めんどくさいな。

アバ、弾丸取り出して行くから手伝え」

「わかったよー」

そう言ってアバと呼ばれる湾曲したナイフを持った魔法少女がニードルガンを持つ魔法少女へついていきました。

こうしてしばらくの間、北養区ではミサイルから飛び出してきた魔法少女を中心に銃弾で倒れた魔法少女の治療が行われました。

 

 

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