【マギレコ二次創作小説】魔叙事詩カグラ・マギカ 2-15 小さな三人の証言者

時女一族の方達の元を去った今、神浜市に現れるようになった黒いオーラの魔法少女を探して回っているのですが案外出会わないものです。

この街の魔女のように頻繁に現れるのも困りものですが、出会う機会が少ないならば少ないで本当にいるのか疑いたくなってしまいます。

出会ったところでなにができるわけではないのです。興味本位で会いたいというだけです。

しかし手掛かりがないというのは行動に無駄が生じているようでなりません。

なにを得るでもなく歩いていると、気になる話が聞こえてきました。

黒いオーラに包まれているときの記憶がないってどういうことだよ

「あちしだって襲いたくて襲ったわけじゃないし!」

気になる話が聞こえた方向からは魔法少女の反応がありました。なんの対策もしていない魔法少女からは無意識に魔力の反応が出ているのです。なのですぐわかります。

話が聞こえるくらいの離れた場所から様子を伺ってみました。

「あやめちゃん、気を失う前に何をされたかは覚えてないの?」

このはと葉月とあちしでシオリって魔法少女を追っていたんだけど、シオリと一緒に糸を使う魔法少女と会っちゃってね、全然勝てなかったんだ」

「やべーって言われてるのが2人もいるのに勝てるわけないじゃん

「逃げようとはしたんだよ!でも逃げられなかったんだ」

「その後は、さっき話した通りのことがあって、気がついたら布団の上にいたってこと?」

「そうなんだよ」

ちょっと情報を整理するために茂みに隠れました。

黒いオーラの魔法少女もカレンとシオリが発端だったなんて。一体彼女たちは何をやろうとしているのか。

まさか調整の真似事の延長線上でやっているっていうの?

「あそこで覗いていたぞ」

でも調整って魔力をいじるだけのことだよね。なのに黒いオーラを纏うってどういうことだろう。

「盗み聞きってそれだけで怪しいし」

最近起きている騒動の発端がみんな2人になっているのは西側の国のくせが抜けていないからなのかな。実験するのはいいけど度がすぎている気がする。

でもどういう仕組みで。

「おいお前、俺たちの話を盗み聞きしてたろ」

「え?」

気づくと目の前には金髪の小さな女の子がむすっとした顔で立っていました。

「お、いたいた。あんたが盗み聞きの犯人だね!」

「まって!盗み聞きしたのはごめん!でも聞かれちゃいけないことだったの?」

「そうだぞ、これは極秘事項だからな」

公園で聴いていたら誰でも聞こえちゃうけど。

「もう、2人とも困らせちゃだめだよ」

「だって怪しいじゃん」

「えっと、まずはベンチで落ち着いて話しませんか?」

「そう、ですね。なんか誤解を招いてしまっているようなので」

わたしが神浜マギアユニオンの魔法少女であることを小さな三人の魔法少女へ伝えると疑っていた2人は興味をなくしたかのように遠くで力比べを始めました。

今一緒にベンチに座っているのは夏目かこさんです。

「ピリカさんのことはななかさんから聞いています。調整屋に運ばれた後は知らないんですけど、無事でよかったです」

時女一族の方達にお世話になったのでなんとか無事でいられました
ところで、黒いオーラの魔法少女について話していたようですが、黒いオーラを纏っていた時って話は一体」

かこさんは何か言い出そうとしますが、思いとどまるかのように口を閉じてしまいます。

「変に隠し事をすると誤解を生んじゃいますよ。わたしも結構やっちゃいますが」

「…あのですね」

[ピリカ!人間を襲っている魔法少女がいたぞ]

アペの問いかけに反応して立ち上がってしまいましたが、少し早くかこさんも立ち上がっていました。

この人、何か知ってるの?

「おいかこ、黒いやつが出てきたってか」

「あきらさんが見つけてくれたようですが今は1人のようです」

「じゃああちし達も行くよ!足止めが必要なんだよね」

かこさんは少し悩んだ顔をした後わたしの方を向きました。

「ピリカさん、協力してもらえないでしょうか」

わたしはもちろん協力することにし、ほかの2人の名前を教えてもらいました。

独特な第一人称の子はあやめさん、金髪の子はフェリシアさんです。

現場へ到着すると、そこにはボーイッシュな見た目の魔法少女がいました。

その魔法少女はあきらさんといい、黒いオーラの魔法少女が人を襲っている最中だという話を聞きました。

「駆けつけた頃にはもうすでに何人か襲われていたんだ。表通りでは子どもをさらわれた母親が大騒ぎしていたよ」

「んで、今はなんで様子を伺ってるんだよ」

「みんなが来るのを待っていたんだよ。1人じゃどうにもならないからね。
それで、黒いオーラの魔法少女はあそこにいるよ」

路地裏部分で私たちが見たのは何人もの首元を食いちぎられた人だったものに囲まれている黒いオーラの魔法少女でした。

今は小さな子どもの喉元に食らいついているところでした。

「あれじゃ、魔女と変わらないよ」

「でもまだ魔法少女なんだよね。かこが助けられるんだよね」

かこさんが助けられる?

「はい、だからみんなで動きを止めて欲しいんです。ピリカさんも、動きを止めるだけで良いのでお願いします」

「わかりました」

なんだかわやな状況ですが、とりあえず動きを止めれば打開策があるようです。それだけでも見ることができれば良い収穫でしょう。

「よし、行くぞ!」

 

2-14:BACK
レコードを巻き戻す:top page
NEXT: 2-16