「うそ、あの灰の中を歩けるだなんて」
「ブリンク、見たことなかったんだ」
「うん、灰に触れて死んだ人しか見たことなかったし」
「死んだっていうのは、呼吸できなくなったとかじゃなくて?」
「もっと酷いよ。肌が溶けて、骨と服しか残らなかったもの」
話を聞くあたり、有機物を溶かしてしまう灰だと考えられます。
灰を吸い込んだときに何かが起こるのではなく、
私は2人に1階へ戻ろうと声をかけ、下まで降りました。
「何をしようとしてるの?」
「まあ、ちょっと勿体無いけど」
ブリンクの問いかけに曖昧に答えたあと、
「ミヤビさん、粗末にしてごめん」
そう私は呟くと、
すると、
「うわぁ、これは灰に触れたら終わりだね」
つづりんの少々面白げな言葉に対し、
「食料も溶けちゃうんだ。有機物全般が溶けちゃうのかな」
ブリンクも独自に分析を行っているようです。
「溶けるとはいっても、爛れる過程はないから、
「爛れるって、どういうこと?」
溶解させる物質が肌にかかると、
被害を受けた生物は溶ける際に熱さと痛さを伴うため非常に苦痛に
「皮膚だけ溶けて、火傷したみたいな状態になることだよ」
ざっくりいうとこんな感じ。
「でもさっきのおにぎりを見る限り、溶けるのが一瞬だったよね?
「その爛れるだかいう状態を私は見たことがないね」
通常では考えられないスピードで溶かすこの灰は、
どうやって発生したかはさておき、
「それで、灰を調査したところでどうするの?」
「私たちは訪れた世界について記録する活動をしてるからね。
「このなくなってしまいそうな世界も記録するの?」
「なくなってしまうからこそ、記録してあげる必要があるんだよ。
「ふーん」
聞いてその反応なのか。
人によって考え方は様々だけど、
語り継ぐのも1つの方法だけど、
記録はそれに対して時が経過して伝える人間がいなくなっても、
存在がなかったことにされるのは、とても辛いことだから。
しばらく3人で灰が降る白い世界を眺めていました。
風もなく、音が聞こえることもない灰だけが動いている世界。
動くものがあるのに、
どの次元でもいえることですが、必ず概念が存在します。
その次元で生まれた存在であれば何かしらその次元の概念に囚われることになります。
水も、風も、空気も、そして生物も。
次元から概念がなくなるということは、その概念に囚われている現用や物体自体が存在できなくなってしまうことになります。
現状とブリンクから聞いた中也が切り替わる様子がないという話を合わせるとを、この世界はすでにいろんな概念がなくなってしまっているかもしれ
ふと気づくと灰が少しずつ左側へ傾いていました。
「どうしたの?」
ブリンクの問いかけから少し経って小声でつづりんが話し始めます
「5、6人くらいの気配が近づいてる」
「でも、こっちの方向って…」
ブリンクとつづりんが見る壁の奥は辺り一面灰が積もるだけの世界
人は一瞬で液体となってしまう死の灰が降る世界。
でも確かに、灰の世界から歩いてくる生命集団がいたのでした。
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