【マギレコ二次創作】魔叙事詩カグラ・マギカ 2-4-5 籠の鳥プログラム

衝撃砲が配布された米軍でも船団を抑えられない中、ついに魔法少女達の船団がレミングの射程内に入った。

「レミング、射程に入りました!」

「チャージ始め。

周囲の僚軍にはレミングを死守するよう伝えろ」

SGボムをつけた魔法少女は各国で魔法少女達に溶け込めたようです。

ヨーロッパではすでに処理され始めているのか数が減っています」

「奴らに情報が筒抜けなのは承知の上だ。レミングを放てるかどうかが勝敗を分ける。死んでも守れ!」

ダリウス将軍が指示を出している中、イザベラはカルラへ回線を繋いだ。

「カルラ、ぶっつけ本番になるけど用意はできている?」

「大丈夫だよ。あとは合図待ちだ」

「OK。

さて、お前達はどこまで勘付けるかな?
魔法少女諸君」

大通りにキャタピラで移動してきたレミングは前後左右の四方に設置された足を地面に突き刺して車体を固定した。

そして砲身となる筒部分の周りを螺旋状の部品が包んでいき、先端にはパラボラ状のものが展開され、エネルギーチャージが開始された。

砲身の形状を見て何かを察したのか地上の魔法少女達、および船団がレミングに向けて攻撃を開始した。

レミング周辺には試作品の実弾を防げるバリアが用意されており、爆風のない武器は防げていた。

しかしイージス艦から放たれる主砲や魚雷を受けると地面ごと抉られてしまうため次々とシールドが脱落していった。

「守るだけではだめだな。ドローンを惜しみなく投入しろ!

戦闘車両は孤立せずライン陣形を維持。脱出する際は自爆処置を怠るな」

なんとかイージス艦の関心を逸らそうと、米軍は空中へたくさんのドローンを放った。蝗害で作物に群がる虫の如く各船をドローンが取り囲んだ。

「まだこんなにドローンを持っているのか!」

甲板にいる魔法少女達はドローンの排除で一生懸命な様子。

地上では砲身がついた戦車が並べられていて、魔法少女がいると思われる場所へ容赦なく徹甲弾が撃ち込まれはじめた。周囲のビルはレミングの方向へ倒れないよう破壊され、その瓦礫が魔法少女達の行手を阻む。

「チャージは!」

「60%到達!」

「100にならないとダメだ!踏ん張り続けろ!」

瓦礫を乗り越えてきた魔法少女達によって戦車が破壊され始めた。中には動けなくなった戦車を持ち上げ、レミングへ叩きつけてくる魔法少女もいた。

レミングの砲身に当たることはなかったものの、左前側の足が破壊されたことでレミングの照準が左前側へ傾くことになった。

レミング操舵手が残った3本の足を打ち込む深さについて調整を開始し、照準のブレが発生しないようにしていく。

破壊された戦車では自爆装置が発動してそれに巻き込まれる魔法少女が現れ始めた。自爆装置が不発し、使用不可能のまま残ってしまった車両は米軍がロケットランチャーで利用される前に破壊するようにもしていた。

レミングを守るシールドが剥がれ始めた頃、充填率は90%に達していた。

レミングは照準の調整を続けていたが、なかなか船団の母艦をロックできずにいた。

「照準がブレてとらえられない!」

「自動照準に頼るな。

マニュアルで合わせるんだ、訓練で使っていたエイブラムスと同じだ」

「長さも何もかも違うのに何を言ってるんだ。

うわ!」

魔法少女達がレミングのある地面を削り始め、バランスを崩すのは時間の問題であった。

「レディ!レミングの防衛、100%まで耐えられません!」

「情けないな。まあ米軍にしては耐えた方と思っておくか。

マッケンジー!予定より早いが地上を手伝ってやれ。その後は予定通り進んだあとだ」

イザベラがマッケンジーに対して指示を出すと、ちょうどレミングを囲もうとしている魔法少女達の後ろ側にある地下鉄出入口から、液状のアンチマギアが地上へ放水され始めた。

「なんだ?!」

魔法少女達が驚いている中、地下からは液状アンチマギアを振り撒くドローンが展開され、レミングを取り囲むように液状アンチマギアが散布された。

「アンチマギア?!サピエンスか」

今度は道路の真ん中にあるマンホールが吹き飛び、地面を抉るように円柱が地下から飛び出した。その円柱に埋め込まれたアンチマギアを含んだ弾丸が周囲へばら撒かれ始めた。

魔法少女達は弾丸に当たらないよう瓦礫に隠れるように逃げた。

その隠れた先に試作品の光学迷彩でサピエンスの兵士たちが潜伏していた。兵士たちは迷彩を解いて逃げ込んできたソウルジェムめがけてハンマーを振り下ろした。

「遠慮はいらない。砕け」

魔法少女のソウルジェムが割れる音が響く中、ようやくレミングの充填率が100%に達した。

そして照準も定まった。

「いけます!」

「全員耳を塞いで口を開けろ!」

レミング周囲の兵士には自己防衛指示が出された。

「放て!」

ダリウス将軍の指示を合図にレミングは発射された。

サピエンスの兵士たちはマッケンジーの指示で衝撃に備える動きが優先された。

レミングの発射に備えられなかった周囲の魔法少女達は発生した衝撃によって生まれた音で耳が破壊されてしまった。

目に見えない衝撃が魔法少女の船へ到達する前に船から魔法少女達は飛び降りていき、ほぼ無人となった船団の中央にある船には見えない衝撃が命中した。

船は正面から押し潰されたかのように圧縮され、破片を撒き散らしながら海めがけて飛んでいった。

「やったぞ!」

レミング周辺の米兵は目標の撃破に喜んでいた。

しかし周囲にある10隻のイージス艦はまだ浮いた状態だった。

10隻のイージス艦にはスクリュー部分に何かが点火し、加速をかけ始め、全てがミサイルほどのスピードとなってある一箇所に向かって進み出した。

「残りの船が特攻を仕掛けてきます!」

「目的地はどこだ!」

「ペンタゴンのシールド展開!安全が確保されるまで電源は全てシールドに回せ!

全員!衝撃に備えろ!」

10秒もしない間にイザベラがそう指示を出すとペンタゴンにはレミングに使用されていたものよりも強度が高いシールドが地上および地下にある施設を囲うように展開された。

勢いよく特攻してくるイージス艦を止められるものはなく、すべてが五月雨にペンタゴンへ突撃した。

その一つ一つが爆薬を積んでいたのか大きな爆発を起こし、ペンタゴン内は地下の施設にいても立っていられないほどの衝撃が襲った。

立ったままであったイザベラは揺れに耐えられず倒れそうになったが、キアラがイザベラを抱きかかえてイザベラが直接床に倒れないよう守った。

座っているサピエンスの司令部にいるメンバーには強い揺れで椅子から転げ落ちてしまう者もいた。

同時に街中では衝撃砲の反動に耐えられなかったレミングが爆発し、魔法少女の船から脱出した魔法少女達が着陸していた。

皆が大きな爆発が発生したペンタゴンの方を見ていた。

サピエンス本部は揺れが収まって数秒は真っ暗だったものの、予備電源が起動して薄暗く赤いランプが室内を照らし出した。

ほとんどのメンバーが床に倒れている中、いち早く態勢を整えたのはダリウス将軍だった。

「ダメージレポート、急げ!」

急いでオペレーターたちが席につくと、画面が荒い中でペンタゴン周辺の損傷状況を調べ出した。

イザベラは近くにいたキアラに起こされる形で立ち上がった。

次々とメンバーが起き上がっていく中、オペレーターが報告を始めた。

「報告します。

ペンタゴンの施設自体はシールドにより無傷。

全ての電力がシールドに消費され、一瞬の許容量を超えたため主電源はオーバーヒートを起こして停止。そのため現在はシールドが消滅しています。

施設内は全て予備電源で動いています。

ペンタゴン周辺は大きく吹き飛び、ひどいところは地下3階まで地面がえぐれているようです。

他は監視カメラが死んでいて状況つかめません」

「施設を無傷で守れたならば上出来じゃないか」

司令室内が安堵の空気になる中、アラームが鳴り響く。

「魔力反応だと、どこだ!」

「大西洋側で、レミングで吹き飛ばしたものと同型である船の反応です!」

大西洋側のペンタゴン近くに姿を消していた船は透明化を解き、同時に消えていた影も出現した。

「やはりきていたか」

「シールドは現在使えません!」

「この段取り、全てこのためか」

空飛ぶ魔法少女の船は主砲をペンタゴンへ向けていた。

「カルラ、アンテナが破壊される前に籠の鳥プログラムを進めなさい!

「了解」

カルラは通信を切った後に同じ部屋にいる研究員へ指示を出した。

「籠の鳥の指示が出た。籠の中にいる鳥の感覚を消しにかかる。デコーダ起動!」

「了解。デコーダのネットワークへの接続開始。

全ての掌握まで30秒」

その間に主砲が発射され、それは地下三階付近の地面へ直撃した。

カルラ達がいる場所は地下10階のため衝撃が伝わってくる程度だった。

「デコーダOKです」

「悪く思うなよ、これも試練だと思え。

デコーダ発動!情報の覗き魔へお仕置きをしてやれ」

デコーダと呼ばれるヒューズのような見た目をした手のひらほどのサイズがある装置は内部の芯が発光し、一時的に世界中のネットワークがダウンした。

この事態に驚いたのはヨーロッパにいるミアラ達であった。

「ミアラ!世界中のネットワークが」

「悪影響は相手側にもあるはず。どういうつもりだ」

ミアラが不思議に思っていると、一瞬の間にミアラには世界中のデータ量が5倍に増幅された情報量が流れ込んできた。

固有魔法としてあらゆる情報を収集する能力を持つミアラは立ち話だけではなく、ネットワーク上の情報も隅々まで収集してしまう。

普段は魔法少女達の隠れ家にある情報処理装置の補助があって問題は出ていなかったが、大量のデータが流れ込んだことで補助装置も破壊されてしまった。

装置をいじっていた魔法少女は突然端末から火花が飛んでその場に倒れてしまった。

「一体何?」

装置から火が出てしばらくするとミアラは耳から血を出して倒れてしまった。

「ミアラ?!」

「ミアラしっかりしてよ!」

「どうしよう、マギアネットワークも機能しなくなっちゃったよ」

「ミアラ起きて!私をひとりにしないでよ、ミアラ!」

魔法少女達はミアラの能力を経由したテレパシーを世界中で共有できるマギアネットワークという通信機構を用意していた。

これによって世界中の統制をとっていたが、ミアラが倒れたことでマギアネットワークが機能しなくなってしまった。

それは戦場ですぐに影響が出た。

「なんだ、情報が流れてこなくなったぞ」

「カレン達はうまくいったのか!」

デコーダがうまく稼働したことを魔法少女達の反応で察したカルラは研究員たちへ次の指示を出した。

「デコーダとのつながりを持たせたままネットワークの再起動を開始しなさい」

「でもよいのですか、テレパシー遮断を止める予定で通常ネットワークとつなげたままって」

「かまわないさ、最悪の状態になったときのための保険だ。
気にするな。すべての責任は私が負うさ」

「わかりました。予定通り進めます」

通常のネットワークが再稼働した後、カルラはイザベラへ通信を行った。

「籠の鳥プログラム、鳥たちから感覚を奪い去る事に成功。
通常のネットワークは正常に再稼働された状態になったことも確認。
次の段階へ移ることができる」

「了解。

籠の鳥プログラムはへんげの段階へ移行しなさい!

全員、戦場に出てすべてを魔女化させなさい」

それを合図にアンチマギア製造施設がある各国では魔法少女達の背後をとる形でサピエンス所属の兵士たちが魔法少女を奇襲した。

「なに!一体どうなってるの?!」

「こんなの聞いていないわ。アメリカではどうなっているの!」

ロシアに現れたサピエンス部隊は魔法少女達へ液状のアンチマギアを放水し、銃ではなく液状のアンチマギアを浴びせて動きを止める作戦を実行していた。

退路を塞がれる形でサピエンス部隊が出現したため、魔法少女は逃げ場がなくわずかな安全地帯を探すために走り回った。

施設の外に出れば合図と共に地上へ出現したサピエンス部隊の銃弾が待っており、アンチマギアの銃によって魔法少女達は倒れていった。

生き残っていた一般兵にはサピエンスの兵士たちからアンチマギアが練り込まれた武器が手渡された。

「待たせたな。反撃といこうじゃないか」

「ほんとに遅いぜ。でもありがたい!」

世界中でサピエンス部隊が動き出した頃、大西洋側に現れた船はペンタゴンの地下を掘るように主砲を放ち続けていた。

魔法少女の船はペンタゴンの壁ではなくただひたすらに地面へ主砲を撃ち込み、空いた穴へ追い打ちで魚雷を8発撃ち込んだ。

さらには船首部分へ魔法で生成されたドリルが出現し、地下7階まで穴を開けた。魔法少女の船が地面へ突き刺さる状態のまま、船はなぜか突然に機能を停止した。船の中にいた魔法少女は全員外へ出て、地下7階に当たる場所へ爆弾のようなもので穴をあけてペンタゴン内部へなだれ込んだ。

サピエンス本部では地下7階で魔法少女の反応があったことを確認していた。

「随分とショートカットしてくれたじゃないか」

「イザベラ、そろそろ」

「そうだね」

イザベラはディアに対して回線を繋いだ。

「準備しなさい。ほぼ無傷でくるわよ」

「了解」

無機質な返事を聞いた後に通信を切り、イザベラはダリウス将軍へ指示を出した。

「将軍、ここから各部隊への指示はあなたに一任します。私がいなくなった後にみんなで逃げ出してしまってもいいですよ」

「ふん、そこまで無駄口を叩けるならかえって安心する。

安心しろ、最後までこの国のために尽くすさ」

「臆病な方が長生きしやすいですよ」

「十分憶病に生きてきた人生だ。私だけでも最後まで抗うさ。
過去のように魔法少女の前から逃げ出すようなことはもうしない」

「ではフィラデルフィアのコイルを盗まれたときの教訓、今一度しっかり見せてくださいね。

キアラ、行くよ!」

「了解」

イザベラはキアラと共に侵入してきた魔法少女を迎え撃つために司令室を出た。

 

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