マギアエクセドラ 日本語版 discord鯖用意しました

マギアエクセドラ 日本語版 discord鯖用意したので興味ある方はぜひ参加してみてください!

以下の要素は扱っている(つもりです

・まどマギ関連情報交流

・マギアエクセドラストーリー感想交換

・ちょっとした攻略情報

・イラスト

懐かしのマギアレコード時代から継続している鯖です。マギレコの懐かし話をしても大丈夫です。

ゆるい感じでやっていくのでお気軽にどうぞ!

 

アクセスは以下URLからどうぞ

https://discord.gg/Z5fj3vY4

良ければいろんな人に教えてあげてください!

次元縁書ソラノメモリー 1-18 次元改変の末路

「おーい、もしかして中にいるのはカミオカか?」

カミオカと呼ばれる男は回転椅子を声がした方向へ向けた。

「なんだ、とっくにみんなは帰ったぞ」

「また最後の1人になるまで研究所にいたのか。早く帰るようにしないと、カミさんと子ども達が泣くぞ」

「ふん、学院研究所からの依頼物について納期が近いから当然だろ。納期を守れないと家族の今後にも関わるんだ、こっちを優先するに決まってる。

で、お前はなんで戻ってきた」

「そうそう、その依頼物関連でさ。

熱心にやらなくてもいいのに、また1人で馬鹿正直に頑張ってるんだろうって思ってきただけさ」

「お前も他のやつらと同じく平和ボケしたのか?納期を守れないことがどれほど重罪かお前ならわかるだろ?」

「昔は経費削減と首に関わることだったからな、納期の遅延は。
厳格じゃなくなった今でも納期の遅延は研究者にとって恥であることはわかっているさ」

「だったら手伝え。

タービン機構からの脱却なんて無理難題に、ピストン機構の応用とかいう苦しい言い訳を書く知恵を貸せ」

「別に新しい発見じゃないことくらいみんな実感してやってるさ。

磁石とコイルの組み合わせで生まれる電子の動き以外で効率よく電子を制御する方法なんて西方国協会でも見つけられねぇよ」

「愚痴ではなく言い訳を考えてくれないか」

「愚痴じゃなくて助言をしたつもりだが」

その後時間が飛び、カミオカが自宅へ到着したシーンへ変わった。

戸建ての家はまだ内部が明るく、人が動く様子があった。

カミオカが玄関を通ってリビングへ行くと、妻と兄妹がみんな起きていた。

その様子にカミオカは驚いていた。
なぜならこの時間は次の日へ日付が変わってしまう時間帯であったからだ。

「おいおい、みんな揃って夜更かしなんてどうした」

「あなたにすぐに伝えたいニュースがあるからよ」

妻がそう言うと兄のコトアキがカミオカの前で大喜びしながら伝えた。

「父さん!学院研究所の試験に合格したんだ!」

「本当か!それは大ニュースだ!

コトアキが頑張った結果だ。父さんは嬉しいぞ」

学院研究所は通常の筆記試験、論文提出後の合格が必要となり、ここ東陸連合の中でも最難関の就職先とされている。

家族全員はその興奮で寝られなかったようだ。

みんなが笑顔の様子が映し出された後、再び日が飛んでカミオカは自宅でテレビを見ていた。

テレビには西方国協会が新原理でエネルギーを得られることを発表したと報道されていた。

西方国協会はアリザという新人研究員が発見したと報告した。

とあるサンプルの鉱石同士を液状にして混ぜ合わせると、原子同士が周囲の電子を吸収しながら近づき、衝突すると吸収した分の電子を放出しながら離れる。

そして再び原子同士が電子を吸収しながら引き合うという反応を繰り返す。

衝突するまでに必要な電子を初動で供給しなければいけないが、その後は電子の流れが途絶えないという。

サンプルになった鉱石をアリザという研究員がどこから持ち出したのかは極秘とされ、現在は類似する鉱石の採取場所を西方国協会では調査中という。

「とんでもない天才が現れたものだ」

カミオカがそう呑気に呟くと、隣で一緒にテレビを見ていたコトアキが休みだというのに電話で呼び出され、学院研究所へ急いで向かった。

きっと論文が共有されて、サンプルの調査依頼でも出されたのだろうと予想できた。

いつこっちにも依頼が来るのかと休みなのに心が休まらなかった。

再びシーンが飛び、カミオカは研究所の一室で所長と複数院研究員同士で会議をしているシーンになった。

それなりに時間が飛んだのか、最初のシーンに出てきた同僚は40代の見た目になっていた。

「西方国協会だが、学院研究所のリーク情報によると、どうやら技術の独占をするようになったと報告があった」

そう所長が伝えると1人の研究員が発言した。

「そりゃそうでしょうよ。

サンプル鉱石に合致するトロデウト鉱脈が見つかったらそれをどう扱うか情報公開せずにしばらく経たずにどんどん新技術の発表が出ていますから」

「火力発電所の取り壊しを進めてるっていうのも、そういうことでしょう」

最近は技術共有がされない限りトロデウトの持ち出しを西方国協会へ禁止するとか議論もされていたな」

会議室がガヤガヤしだすと所長は大声で話し出した。

「いいかお前たち!これは一大事だ!

西方国協会の新技術は軍事転用が可能なものも多い。

奴らは横暴になっているし戦争も想定しないといかん」

研究員たちは黙ってしまい、しばらく沈黙した後に所長が話し始めた。

「リーク情報と共に学院研究所からこのような依頼が届いた」

そう言って所長は机のど真ん中へ書類を出した。

書類の表紙には目を疑う文字があった。

『ニュートロンの兵器利用 水爆開発』

これを見てカミオカは言葉を発した。

「所長、水爆は我々が実用化目前で凍結されていたもののはずです。

それを再開しろということは、よっぽどなのですか」

「言いたいことはわかる。

東陸連合で扱う兵器は、今では西方国協会へ歯が立たないだろう。

東陸連合が唯一誇れるのはニュートロン技術だけだ。

抑止力で終わればいいが、最悪使うことも考えて実用化させなければいけない」

1人の研究員が頭を抱えながら所長の後に話した。

「俺たちが本領発揮できるのはいいですけどね。分厚い資料ってことはこれまで以上のものを求めてるってことですよね」

「中を見ればわかる。要求値が高いから骨が折れるぞ」

シーンが飛び、研究所の休憩室にあるテレビが映し出された。

そこには西方国協会で謎の失踪事件が増えているという内容が報道されていた。

カミオカの同僚がニュースを見てカミオカへ話しかけた。

「西方国協会、人攫ってやばい実験始めてんじゃないか。あいつら物質転移とかあり得ないことも実現させてたし」

再びシーンが飛び、カミオカは所長たちと共に核のマークをつけたミサイル基地の中にいた。

施設のテレビには「西方国協会が宣戦布告して10日。ニュートロン兵器の使用を意にも介さず進軍続く」というテロップが映っていた。

そしてテレビの目の前にいる軍服を着た人物の手元には、「承認」とハンコが押された資料があった。

「連合会長の許可が出た上でこの結果か。

仕掛けたのは奴らだ。均衡を崩したことを悔いるといい」

そう言って軍服を着た人物は端末の発射コードを打ち込んで赤いボタンを押した。

宇宙から地上を見下ろすシーンへ変わり、東陸連合からだけではなく、西方国協会からもミサイルが放たれていた。

ミサイル同士がぶつかることなく、双方の大陸へ次々とミサイルが直撃していく。

直撃した大地からはキノコ雲が上がり、10個程度のキノコ雲が形成された後に画面が暗くなった。

次に画面へ映ったのは、地上で生き残った人々が白い灰にあたったり吸い込んだりして倒れていく映像だった。

地上は人が住める環境ではなくなった。

地下で生き残ったカミオカは西方国協会の戦争反対派勢力と合流していた。

西方国協会の戦争反対派勢力が作り出したテレポート技術が連携されたことで、地上へ出ずに大陸間を行き来できるようになっていた。

地下はニュートロン兵器が発する放射能を遮断しきれず、地上に浅い層から次々と病気で倒れる人々が出てきた。

カミオカの家族は、皆癌になって死んでしまった。
最近まで生きていたカミオカの息子はカミオカの腕の中で息を引き取った。

「わかってはいた。こうなるだろうとはわかっていたのに・・・」

カミオカは息子を抱きしめて泣き出した。
そんなカミオカの横で西方国協会の研究員が話し出した。

「これでは人類は全滅してしまう。
互いに手を取り、生き延びる術を見出さないか。行方不明となったアリザの残した知識と、君たちのニュートロンの知識があれば救える命もあるだろうさ」

「わかったよ。事態が落ち着くまでは協力してやる」

カミオカ達は西方国協会に残されたアリザの人体実験結果を利用して、なんとか人類を生かす方法を模索するようになった。

死に物狂いになっていた彼らは、戦犯である西方国協会の戦争肯定派を実験台にして放射能に強く、食料をほぼ摂取せずに生きられる細胞を研究した。

人類の9割が死んだ頃、カミオカ達は不死に近い細胞を作り上げ、細胞を移植された人物は体が大きくなり、白い体毛に覆われたイエティと言える見た目になった。

生き残った研究員達は皆変わった体になって歓喜した。

その成果を生き残った人々へ伝えようとしたが。

「バケモノ!」

そうあしらわれてほとんどの人々は細胞の移植を拒んで餓死や癌による死を選んだ。

「なぜだ、なぜ人々は死を選ぶんだ。

こうして生きていられるようになったのに…」

この後カミオカ達はシェルターを出て、永遠とも言える地上の旅へ出て行った。

 

映し出された映像はここで全てが終了した。

「なるほど。

あの世界で回収した場違いな資料自体が次元改変を起こしたわけではなかったか」

ソラはそう言って持ち帰ってきた資料を眺めた。

「一緒にあった日記は、世界の終わりが確定した後に次元改変へ巻き込まれた人のものだったと。

ブリンクもあの世界へ飛ばされていたし、他にもあの世界へ飛ばされて果てた人がいそう」

つづりさんがそう言うと、ソラは脳みそを見ながら話した。

「そこまではこの脳みそでは把握できない。

ただ、あの世界で次元改変を発生させた主犯はアリザという人物だろう。

アリザという名前が出てから突然技術が異次元に進化した。アリザはあの世界の住人ではない可能性が高い」

アルはソラが持つ資料を見ながら話した。

「場違いな資料ってやつ、それがどうやってあの世界にやってきたかも気になるけど」

「その資料なんだけどさ、ソラさんには伝えたけど異世界の縁と繋がっているみたいなんだ。

2本の縁が見えるし、追っていけばその資料をばら撒いた犯人に辿り着けるかもしれない

そう話したつづりさんへカナデさんがこう言った。

「主犯捕まえたところで、起きた次元改変はどうしようもないでしょ」

「だからこそ止めないと。
次元改変の末路は、あの世界のような終わりを迎えることだろうからね」

ソラがそう言いながら映写機に触れると、光って映写機の上に本が誕生した。

その本を手に取ってソラはカナデさんへ答えた。

「広がりすぎてファミニアがいよいよ次元改変に巻き込まれるなんてことがないよう、主犯を見つけて広がる波紋を抑えることくらいはできるだろうね。

その道中で修復方法が判明するかもしれないし」

ソラが持っていた本はしばらくして青い光の粒になり、空がいつも持ち歩いている本へ吸収されて行った。

「こうして消える世界の情報も、少しは残せるといいけど」

「やれやれ。別世界を記録するだけになると思ったら、ファミニアを救うなんていうデカいことをはじめることになるとはね。

いつものように付きあうけどさ、この脳みそはどうするの。この世界のものじゃないから消えないでしょ」

「脳みそは肥料にできるか持ちかけて、干渉液は下水に流すでいいよ」

「え、その危なそうな液体を下水に流すの?!」

ブリンクはそう言いながら驚いた。

そんなブリンクへアルが答えた。

この世界の下水は存在自体を削除する。他の世界みたいに海へ垂れ流しなんてことはないよ」

「そ、そうなんだ」

脳みそを嫌な顔をしながら見ていたカナデさんはその顔のままソラへ話した。

「それで、その資料の縁を早速追うの?すでに手を出してる次元を増やしてんのにさ」

「一カ所はすぐに調べておきたいんだよね。あの一カ所だけで全てが繋がるかもだし」

すでに次元改変は連鎖的に発生し続けている。知らないだけですでに終わってしまった世界が他にもあるかもしれない。

ぼくたちに今からでもできることはあるのだろうか。

 

終わった世界 完

 

 

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次元縁書ソラノメモリー 1-17 錬金術との再会

「早急に対処しなければいけない緊急事態は回避された。

となれば、次にやることは干渉液を使って例の生物の脳からあの終わった世界の情報を覗くことだ」

ソラが食事中に今後のことを話し始めた。

色々あったのに、周りのみんなは何もなかったかのように食事をしていた。

その脳みそは昨晩中に干渉液へ浸していつでも覗ける状態にしてあるし、記録できるようにもしておいたよ」

「え、そうなの?!」

「流石だね、アルは仕事が早い。

んで、驚いたカナデは何かあったのかな?」

「えっと、音の出力ができるようになるまで、待って欲しいかなって」

「カナデしっかりしてよね、音声がなかったら大事な情報が手に入れられないかもしれないじゃない」

私は他の世界の音声データを抜き出すっていう別作業があったんだよ!つづりんもタスクが重なったこの苦労わかれ!」

「はいはいわかってるよ」

「ほんとにわっかってんのか」

こんなやり取りもいつものこと。つづりさんはしっかりカナデさんの苦労は知っている。
つまりただ冗談を言い合っているだけ。

「まあまあ。少し時間が必要なら、ブリンクは自分にできることを試しに外へ出ていればいいと思うよ

「ブリンクにしかできないこと?」

「もう、イメージは頭に浮かんでいるはずだよね?」

ブリンクはソラの言いたいことがわかっているかのようにうなづいた。ぼくにはさっぱりわからなかった。

カナデさんの準備が終わるまで、ぼくはブリンクと一緒にシチィケムの河原へと来ていた。

シチィケムまではハルーで移動したためブリンクにしか出来ないことについて聞く時間がなかった。

だから河原へ着いて一呼吸置いた後に僕はブリンクへ質問した。

「ブリンク、そろそろブリンクにしかできないことについて教えてくれない?」

「ちょっと待ってて」

そう言ってブリンクは細長い草を何本かむしり取り、それらを折り合わせてトンボのようなものを作り上げた。

それを地面に置き、ブリンクがチョンと人差し指でその作り上げたものを触ると、少しだけその置物は黄色に光った。

そのあと、草でできたトンボは生きているかのように飛び上がった。

「すごい、作ったものが動いた。

ブリンクが使える能力って、作ったものを動かせる力なの?」

「少し違うよ。

私がやったのは、あの作り物に命を分けてあげただけ。今回は作り物に命を分けたけど、無機物なものにも同じことができるんだ」

「命を分け与える?

あまり穏やかではないね」

「あら?どうしてそう思うの?」

「命を分け与えるなんて、自分の命を削って能力を使っているみたいじゃない」

「実は能力、とは少し違う。

これは私が元いた世界で生まれた時から使えた唯一の錬金術。お母さんには、生命錬金って言われてたっけ」

「命を分け与えるのが錬金術?」

「錬金術は、無から有を生み出すことができない等価交換の術。

その原則の通り、私は自らの命の一部を変換して、命なきものへ命を与えられる。

与えられた者は自由に行動できるけど、私がその生物に取り憑いて、その生物の目線から観察が行えたり、アクションを起こすことができる。

悪い言い方に変えると、傀儡化ね」

「そんなことしたら、いつかブリンクの生命力がゼロになっちゃうんじゃ」

「そこは気にする必要がない」

そういうと、話している間ずっと旋回運動をしていた草のトンボがブリンクの右手のひらに降り立った。

そのあと、草のトンボは淡い赤い光を放って力なくただの草の塊になった。

「与えたものを返してもらうこともできる。

やろうと思えば奪うことだって、できちゃう」

「使い方によっては物騒なこともできるのか。やろうと思えばこの世界の人の命も奪えるってこと?」

「それは相手次第かな。少なくとも、この世界ではやらないよ」

相手次第か。早速第一犠牲者になる候補が一人思い浮かぶけど。

そう思いながら疑問に思っていたことを口に出した。

「でも、何でいまになってその錬金術を使えるようになったの?

魂のありかが変わったせい?」

「そのおかげかも。

実は私の錬金術は使いたくても元々いた世界では使えなかったの」

「世界の、概念が邪魔していたとか?」

「そうなのかな。

元いた世界で生命錬金をしようとしても、何かに阻まれるかのように邪魔されてまったくうまくいかなかった。

私は唯一無二の錬金術が使えないうえに、一般的な錬金術はからっきしだった。

そんな私を見て、お母さんをよく知る人からは可哀想な子ってよく言われていた」

「ちょっと待って、それ話してて辛い話だよね。無理して話さなくても」

「聞いてほしいから話しているの。最後まで聞き届けてくれる?」

急に昔話をしはじめた意図はわからない。

でも、聞かないという選択肢もなかった。好奇心とかではなく、聞き届けることでブリンクの気持ちが楽になるのならと、そういう考えだった。

「いいよ。聞いた話を全部受け止めてあげる」

「ありがと」

ブリンクは手のひらに乗った草を川に流して話を続けた。

「元いた世界では錬金術の鬼才と呼ばれていたお母さんは、私の使えない錬金術の存在をすぐに理解し、とても興奮していた。

私を慰めようともせず、生命錬金の可能性を私へ伝えるのに夢中だった。

その時の私はただ、傷ついた心を癒して欲しかった。

私は望んだことをしてくれない”母親”に大っ嫌いと一言吐き捨てて家を出たの。

私は丸一日家にも、学校にも行かなかった。
橋の下で寝転がって、このままどうしようかなって不貞腐れていた。

家出した次の日の夕方、私の”母親”は涙目で私の前に現れたの。

そして私の前で膝をついて私を抱きしめたの。

抱きしめられた瞬間、お母さんの体は冷え切っていて温もりなんてなかった。

でも

ごめんね、心が理解できなくて。辛かったでしょう?わかってあげられなかった、バカなお母さんでごめんね。

そんな言葉を聞いた時、何故か私には温もりを感じ取れたの。

その日からお母さんは私を出来損ない扱いする人には厳しく当たるようになった。

そして私が不愉快な思いをしないようにと、錬金術とは無縁の学校へ変えてくれた。

錬金術とは無縁の学校へ転校したことを機会に、私は錬金術とは縁を切った。

後からお父さんから聞いたんだけど、お母さんが考えを改めたのはお父さんがお母さんをきつく叱ったかららしい。
怖いもの知らずのお母さんでも、お父さんには逆らえないっていうのは知ってた。でもなんでかは二人とも教えてくれなかった。

転校してしばらくした後、急にあの真っ白な世界に飛ばされて、そしてソラさんたちに助けられた。
まさかこの世界でこの錬金術と再会を果たすなんて思いもよらなかった。

できれば、錬金術を使える私をお母さんとお父さんに見せてあげたかったなぁ」

ブリンクはボクに顔を合わせないよう、ボクの前に立った。

「つまらない話でしょ?全部、私のわがままなんだから」

ボクは首を横に振った。

「つまらないわけがない。大事な話だよ。

使えるはずの力が使えないのに、ブリンクはよく頑張ったよ!」

「そう…そう思ってくれるの」

ブリンクはそう言って、ボクの胸に顔を埋めた。

「ちょ、ちょっと?!」

「少しの間だけこうさせて。この方が、落ち着くの」

ボクは察してそのままブリンクを抱きしめた。

ブリンクはそのまま静かに泣いていた。
泣き顔が見られたくない人なんて、沢山いる。それくらいわかる。

それからしばらくブリンクはボクの胸に顔を埋めたままだった。男でもこういう役割はありなのかなと、ふと思ってしまった。

周りはぼくたちに関係なく動き続けていて、そよ風が草を揺らしていた。

「ありがとう、もう大丈夫だから」

「ブリンク、きっと君の錬金術は多くの人の役に立つと思うよ」

「えへへ、そうだといいな」

「そろそろカナデさんの準備も終わってるだろうし、家に戻ろうか」

「うん」

そこから手を繋いで帰るなんてこともなく、2人は横に並んで帰路へとついた。

家へ到着してドアを開くとなぜか部屋の中が暗かった。

足元に気をつけながらリビングに入ると映写機を囲んでカナデさん、つづりさん、そしてソラがいた。

「おーおかえり。準備はもうできているよ」

「なんで家の中全体で真っ暗なの」

「ん?何か問題ある?」

いつもは水晶に映す程度なのに、今日は映画の気分だったのかな?

「いやさ…、まあいいや。映写機ってことはもう覗く準備ができたってことだよね」

「そうそう、今回は見る人が多めだし少し映画を見る時風な感じにしてみたよ」

やっぱり映画な気分だったか。

干渉液に浸かった脳みそから伸びるコードは小さな画面から映写機へ接続されていて、音声用のコードはオーディオコンポと接続されている。

「ほらほら、ブリンクはこっちの席に座って」

「えっと、はい」

ブリンクはつづりさんの誘いを受けて映像を見るために用意された長いソファーへと座った。

ぼくは映写機横の席へカナデさんと並ぶように座った。

映写機で見られる映像には一般的な日常のようななんの変哲もない情景が長時間続くことがよくある。

そんな中でも世界を知る際に必要な情報を見るために記憶の早送り、または巻き戻しを行うことがよくある。

その操作をぼくがいつも行っている。情報の取捨選択についてはソラが判断している。

「それじゃあ、再生するよ」

映写機が動き出して壁には脳みその記憶が映し出された。

 

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【リアルゲーム 日本国を復活させろ!】日本国の政治を日本人(帰化人・在日・日系除く)のための存在にするいうムリゲーを攻略する方法 その2 日本国に損得概念の外人を入れるな

この記事は政治知識皆無の状態から日本国の政治を日本人(帰化人・在日・日系除く)のための存在にするために何ができるのかを考えていくものです。

今の日本人で政治に興味を持つ人が少ない、または興味を持ちたいけど何からしたらよいかわからない、学ぶ時間も意欲もほぼないけど政治は変えたいという方向けに記載していくものになります。

私は政治や経済についてあまりにも無知です。
少しでも学んでいこうと思いますが、詳しい方は教えてもらえると色んな政治に無関心な方も学ぶきっかけになると思います。よろしくお願いします。

この記事は【リアルゲーム 日本国を復活させろ!】というシリーズで進めていきます。

ゲームだとなじめる人も多いと思うので、リアル戦略ゲームをやる気分でこの日本国を外国の魔の手から復活させるということをまずは目標としていきましょう。

 

今回の話は

1. 移民・留学生・実習生受け入れの目的とは

2. 日本は多様性やビジネスに向かない社会・文化である

3. もう日本という国は一度滅びましょう

の三つの話を進めます。

 

1. 移民・留学生・実習生受け入れの目的とは

国のための戦略として、「移民」というカードが各国できられています。

この「移民」というカードにはどのような効果があるのか。

移民とは、本来の居住地を離れ、国境を越えるまたは国内で移動する人々と定義されています。移民について理由や滞在期間に制約は特に無いようです。
移民が発生する理由は主に求職や貧困の回避とされています。

移民する際に国境を越える場合は、入国審査が行われます。入国審査が通らなければその国へ入ることは許されません。
日本はもちろん入国審査を行っており、ビザ所有が前提となっていたり、上陸拒否事由という入国させてはいけない人の基準も決まっています。

そんな移民を受け入れる目的として真っ先に浮かぶのが「労働力の確保」です。

他にも他国の考え方を知って多様性や新たな発想を手に入れるよいきっかけとなるという目的もありますが、この点については正直インターネットで常に他国の情報は手に入るような世の中なので移民受け入れの主な理由にはなりません。

留学生という点で言うと、旅行するよりも日本の文化や考え方に触れる期間が長いため日本をよく知ってもらうという目的はあるでしょう。

技能実習生という点については、日本の技術を学んでほしいという建前はありますが、「労働力の確保」という目的に変わりはないです。

このように、「移民」というカードには「労働力の確保」という効果があり、少子高齢化で発生する労働者不足を補う際に有効なカードです。そのため各国は経済を支えるために移民に対して特に規制は行ってきませんでした。

移民には主に2種類あるようで、「一時的な滞在」と「永住」があります。
「一時的な滞在」は決められた期間しかその国に滞在できず、「永住」はその国の住民となるものです。

「労働力の確保」という点で見ると、出稼ぎのような扱いである「一時的な滞在」よりも、「永住」で恒久的な労働力を確保したいでしょう。

日本の「永住」で移民を受け入れる目的は、「労働力の確保」という点が強いです。
参考:https://www.hitachi-zaidan.org/global-society-review/vol1/commentary/index.html

 

2. 日本は多様性やビジネスに向かない社会・文化である

日本が移民を受け入れる目的は「労働力の確保」であるとお伝えしましたが、この移民について日本文化や日本での考え方が考慮されていないのが事実です。

日本の文化や考え方はどの世界から見ても異質なものと言えます。

なぜなら、「おもいやり」が前提の社会になっているからです。
「おもいやり」が行き過ぎて「空気を読む」や「周りに合わせる」といった悪い習慣を生み出している面があるのですが、「おもいやり」があるおかげで成り立っている日本特有のものがあります。

1つ目に、「損得とは無縁の行動」です。
「損得とは無縁の行動」にはおもてなしの精神が該当すると思います。おもてなしは相手に見返りを求めて行う”サービス”ではなく、「損得関係なく、相手に満足してもらえるよう応対や接待」することです。
相手に満足してもらうために事前に何を用意しておくべきかというところからおもてなしは始まり、相手が期待している以上の奉仕を実行します。
また利用してくれたらうれしいですという程度の想いでとどまり、相手に何か求めるような下心はありません。
このおもてなしが日本で成り立っていたのは、おもてなしを受け手側が「相手も大変な中、おもてなししてくれている」という自覚があり、おもてなししてくれている側に感謝するという、受け手側の想いもあるためです。
これは「おもいやり」がおもてなしをする側、される側双方になければ成り立たないのです。

ではどちらかが一方通行の場合どうなるでしょうか。

おもてなしをする側がいつもの「おもいやり」で接待している中、受け手が”サービス”の考えしかない人の場合、自分が”得”をするための行動をするでしょう。そのために接待してくれている側へ無理な要求をする人もいるかもしれません。
和食店で”私たちを満足させるために洋食を用意してほしい”であったり、”私たちを満足させるために宿泊代を安くしてほしい”といったものが考えられます。

このような考え方をする受け手が増えれば、おもてなしをする側が一方的に苦しくなります。

次は逆のパターンです。受け手におもいやりがある中、”サービス”の考えしかない人が接客したとします。サービスを提供する側は利益を得るために行動しているため、報酬以上のことは実施しません。
そのため、報酬以上のことを要求してしまうと、追加料金を要求したり、無視するといったことが発生します。
迷惑客が店内に現れた場合も、迷惑客への対応が報酬以上の行動になる場合は迷惑客へ対応してくれません。迷惑客をどうにかするには、受け手側が行動しないといけません。その結果損害が発生した場合は、受け手側が勝手に動いた結果であるため負担は受け手側のみになります。

このように、「おもいやり」は損得概念が入ってくるとおもいやりのある人が一方的に損をします。
損得概念が強い外人が日本に多くなると、「おもてなし」の文化は消滅してしまうでしょう。そしておもいやりを持つのはばかばかしいとなり、損得概念が支配するようになるでしょう。

 

2つ目に「公共の場での振る舞い」です。

公共の場と言えば公園や病院、駅といった多くの人が使用する施設に加えて公共交通機関も含まれます。こういった場所で日本では当たり前に行われている配慮があります。

公園であれば、子どもたちが自由に遊ぶことができます。これは親が見守っているのもそうですが、その地域の人達が子どもの騒ぐ様子や遊ぶ様子を見てそれも大事な交流の始まりだと理解して見守っているという過去があります。
これは統計ではなかなか現れないですが、公園で子どもたちが楽しそうに騒いでいても普通であれば負の感情は湧きあがらないのではないでしょうか。そこには、子どもに対する「おもいやり」が働いているからではないでしょうか。

最近は公園が騒がしいという苦情を言う老人が増えています。これは悲しいですが事実です。
中学生以上の学生が騒いでいるならまだしも、小学生の頃はまだ他人に配慮するということ、なぜ配慮が必要なのかを学んでいる最中です。とにかく元気に遊ぶことが基礎体力を伸ばしたりコミュニケーション能力を身に着ける大事な機会を公園で得ているのです。
そういった背景を理解しなければ、今度は「おもいやり」が理解できない外国人からも苦情が出て、いずれは公園という子どもが自由に外で遊べる場所は失われてしまうでしょう。

病院や公共交通機関では、暗黙のルールとして「静かに待つ」ということが当たり前に行われています。
子どもも親からなぜか静かにしなさいと言われる機会があると思います。その理由を説明できる親はだんだん日本から少なくなっているでしょう。
その何故静かにしなくてはいけないかが大事で、結論から言うと、「配慮」です。

病院や公共交通機関は公園とは違って子どもから老人まですべての年代の人が使用されることが想定された場所です。そのような場所で全員が好き勝手に騒いだり大声を上げる状況を想像しましょう。

まずはアナウンスが聞こえないです。
病院やバスでは室内にアナウンスが流れ、次に診察室へ呼ばれる合図や次の停留所に停まる合図となります。室内が騒がしいと、これが遮られます。
これだと待っている人とアナウンスする側のコミュニケーションが阻害され、業務妨害になったり利用者が不機嫌な思いをすることになります。
他にも好きに騒がれると、その結果利用者の一部が不快な思いをして、最悪は乱闘に発展します。

このようなリスクを回避するための「配慮」として病院や公共交通機関では静かにするというマナーが生まれているのです。

マナーであり、ルールではないため拘束力はあまりありません。
そんな中で日本人が騒いではいけないという規則や法律が無くても静かにしてしまうのは、自然と「おもいやり」の心が働いているからではないでしょうか。

そんなマナーですが、日本人が一方的に守り、「おもいやり」や「配慮」を知らない外人が混ざったらどうでしょうか。
騒いだ時のリスクが発生しやすくなるだけでなく、子どもが「他の大人が騒いでいるのに何で自分たちだけ・・・」という次世代へ静かにすべき理由の継承がうまくいかなくなるリスクが生まれます。

日本へ外人が増え続け、「おもいやり」の精神が消滅してしまった先では、誰もが好き勝手に過ごして、気に入らなければ他人と争い合うカオスな国となるでしょう。

 

ここまでの話で分かった通り、日本にある「おもいやり」を前提としたマナーや考え方は、損得概念の栄養にしかされず、一方的に損をするしかないという弱い立場にある考え方です。

そんな日本へ多くの外人が訪れ、住むようになれば損得概念を持つ外人が一方的に得をするようになるのは当然の結果です。なので世界に追いつくために日本も損得概念を取り入れないといけなくなりました。

その影響として日本の「おもいやり」は継承されにくくなり、損得概念が重視されるようになります。
現代の考え方で言うと、「コスパ、タイパが悪いからやらない」というのが日本を損得概念が支配している証拠と言えるでしょう。
そんな損得概念の中では「おもいやり」で成り立っていた伝統芸能や技術が継承されるはずがありません。

お雛様を飾る?お金かかるからいやだ。
歌舞伎を見る?その結果何の利益になるの?
茶道?だるいだけでお金もらいにくいじゃん

・・・

その伝統のバックグラウンドを尊重せず、損得概念が先行すると日本の伝統文化なんて守れはしません。

今や政治もビジネスの一部です。
損得概念で見た日本文化は外国人を招いて安く「おもてなし」を提供する「商品」でしかありません。そのうち日本文化へ値段をつけて他国へ売られることにもなるでしょう。
「おもいやり」で成り立っていた文化に、価値を付けられる末路を見たいですか?

 

日本らしさを守るためには、日本という存在自体をビジネスという場から切り離していく必要があります。そのためにはまず政治という存在を「ビジネス」から切り離す必要があります。
海外とのやり取りは、ビジネスに詳しい企業が、国内の運営はビジネスと切り離した政治が運用するという、政教分離にならって「政得分離」の考え方が、日本らしさを守るためには大事ではないでしょうか。

 

3. もう日本という国は一度滅びましょう

前の章で話な内容とも重複しますが、「おもいやり」を理解して来ない外人の移住者から見ると、日本の考え方はカモでしかありません。

日本人が「おもいやり」で配慮した結果も、損得概念しか知らない外人にとっては「なんか私に甘いんだけど、ラッキー」という想いしかありません。

そんな人たちを安く雇えるから、起業させると他国からお金をくれるからという理由で日本に招こうとしているのが今の日本政治です。

現在進行形で日本の大事な「おもいやり」の精神は破壊され続けています。
それは日本人だけではなく動物にも及んでおり、奈良にいる鹿は、そのうち人間を見限って奈良らしさが消滅するかもしれません。

かつて戦国時代のキリシタンが実施した寺の破壊行為のように、日本の重要文化財の破壊が今後も発生するでしょう。

「おもいやり」の精神で成り立ってきた日本国内の調和は修復不可能な段階まで来ていて、日本はもうすぐ訪れる「カオス」に備えないといけません。

「おもいやり」が消えた損得概念の日本政治へ立ち向かうためには、挑む側も損得概念を知らなければなりません。
「おもいやり」のみでの対抗は不可能です。

一度日本国内は戦国時代のような「カオス」を再度再現し、「おもいやり」が重視される支配体系を取り戻すしかありません。

そんなこと、奇跡がないと起きません。

・通常選挙は組織票で支配され、比例代表選挙も組織票のせいで落とされた悪人が復活して悪人だらけの政党の転覆は叶いません。

・警察は政治家と繋がっているので日本人のみ取り締まり、外人は罰しません。そんな警察を咎められる政治は、損得概念しかないため警察の現状は変わりません。

・司法は損得概念に支配され、お金を払えば無実、政府からお金をもらえば政治が有利になるように一般日本人は処されます。

・ネットで呼びかけても、小規模デモを起こしても風に吹かれその声は消されます。政治家の耳には届きません。届いても無視します。

 

もう日本人ができるのは奇跡を祈る以外は滅びを待つのみです。

 

日本という国は残念ながら一度滅ぶでしょう。
「おもいやり」を重視した金持ちが日本を乗っ取るような奇跡がない限りは、滅ぶ以外の選択肢はありません。

その後何十年と「おもいやり」が消えなければ、外人含めて理解ある人と団結して日本とは違った「おもいやり」を重視した集団を作れるでしょう。
そのときが「おもいやり」を重視した国の誕生につながるはずです。

 

結論:日本国の滅びは一度受け入れるしかない。
でも「おもいやり」は忘れるな

このムリゲーは、一度損得概念に敗北し、その後「おもいやり」を闇から這い上がらせる方法で日本の復活を考えるしかなさそうです。

 

【リアルゲーム 日本国を復活させろ!】日本国の政治を日本人(帰化人・在日・日系除く)のための存在にするいうムリゲーを攻略する方法 その1 選挙に行く意欲を取り戻そう

この記事は政治知識皆無の状態から日本国の政治を日本人(帰化人・在日・日系除く)のための存在にするために何ができるのかを考えていくものです。

今の日本人で政治に興味を持つ人が少ない、または興味を持ちたいけど何からしたらよいかわからない、学ぶ時間も意欲もほぼないけど政治は変えたいという方向けに記載していくものになります。

私は政治や経済についてあまりにも無知です。
少しでも学んでいこうと思いますが、詳しい方は教えてもらえると色んな政治に無関心な方も学ぶきっかけになると思います。よろしくお願いします。

この記事は【リアルゲーム 日本国を復活させろ!】というシリーズで進めていきます。

ゲームだとなじめる人も多いと思うので、リアル戦略ゲームをやる気分でこの日本国を外国の魔の手から復活させるということをまずは目標としていきましょう。

 

今回の話は

1. 政治話はタブー、危機感を煽るだけという考えは時代遅れ

2. 今の選挙はクソゲー。でも一抹の希望は握りに行こう

の二つの話を進めます。

 

1.政治話はタブー、危機感を煽るだけという考えは時代遅れ

【リアルゲーム 日本国を復活させろ!】の初期ステータスを説明します。

主人公であるあなたは参政権を持った純日本人です。

純日本人というのは、帰化人・在日・日系でもない、日本人の家計から生まれた存在だということです。

主人公であるあなたは貧乏で、立候補するための人脈も、お金もありません。

そんな中でいいま日本国で起きようとしていることは、国民を苦しめる政策と、戸籍制度を廃止しようという政策が進もうとしています。

ここまでの話で、

「政治の話は暗くなるからやめよう、もっと楽しい話をしよう」

「そんな危機感煽ることやめて?不安になるじゃん」

そう思っている方は、日本国が外国に支配されて日本人が奴隷になることを遠回しに認める人です。
もう危機感を煽るという段階ではありません、実際に危機なのです。

現在このリアルゲームで最も討伐すべき目標は、「戸籍制度を廃止しようという政策」です。

日本の戸籍について難しい表現を除いて簡単に説明します。

日本の戸籍とは、「日本人であることの証明書」です。親は誰で、こどもは誰か、親戚は誰かまでが記されており、戸籍だけで家族構成を一元管理できます。
戸籍の走りだしは大変だったと思いますが、現在では現存の戸籍へ子どもが生まれたら追記していくだけの形となっているため、日本戸籍を持った親から生まれた子は日本人として証明できるのが、戸籍です。

戸籍があれば、遺産相続や土地の継承、日本パスポート発行が容易といった日本人であることの証明書としては素晴らしい存在です。

この日本戸籍を持っていない場合は、日本人として認められるのは難しいことを意味していて、日本人だと偽っても、戸籍を提出できなければすぐに嘘だと見破れます。

そんな日本人である証明を守り続けていた戸籍の制度が廃止されるとどうなるのかは戸籍の簡単な説明を見た後だとわかるでしょう。

日本人である証明がさらに難しくなり、管理がカオス化、日本人とは何かを失うことになります。

家族構成が追えなくなるということは、相続の際に他人が家族を装って主張してきた場合、その証明である戸籍が無ければ、家族を装った他人が相続をしてしまう確率も上がります。

さらには参政権が日本人を装う人にも付与され、日本人のための日本国ではなく、外国人のための日本国となってしまう未来に繋がります。

こういった点から、「戸籍制度を廃止しようという政策」を食い止めることがまずはこのゲームの目標となります。

この状況で、政治の話はしたくないと言ってられるでしょうか?
まだそう言える方は、ぜひ外国の奴隷となってください。

 

2. 今の選挙はクソゲー。でも一抹の希望は握りに行こう

人脈もない、お金もなくて政治立候補もできない主人公が「戸籍制度を廃止しようという政策」を止める方法として、「選挙に行く」という選択肢があります。

選挙というのは、自分が住んでいる選挙区にいる政治家で自分の考えに最も近い政治家を選び、投票する。そして当選した政治家が、投票してくれた人々の思いを国会の場で実現させるための存在です。

そんな唯一と言っていい選挙という方法が、このリアルゲームではほぼ意味を成していない状況にあります。

では、現在投票できる政治家の所属する政党が、「戸籍制度を廃止しようという政策」についてどのように向き合っているのかを見ていきましょう。

※政治に詳しくない一般人のイメージです

・自由民主党(自民党):高市早苗さんは戸籍制度を維持した選択的夫婦別姓に賛成している。しかし親中派が多いため戸籍制度廃止に賛成する人が多そう

・立憲民主党:戸籍制度廃止に積極的。議席を減らして意見を通りにくくしないといけない政党

・公明党:親中政党。選択的夫婦別姓に賛成している。戸籍制度廃止に賛成する可能性あり

・日本共産党:親中政党。選択的夫婦別姓に賛成している。戸籍制度廃止に賛成する可能性あり

・日本維新の会:選択的夫婦別姓に賛成している。しかし戸籍制度の維持は考えている。とはいえ前言を覆す癖があるようであまり信頼できない

・れいわ新撰組:選択的夫婦別姓に賛成している。戸籍制度の維持は特に主張されていない

・国民民主党:選択的夫婦別姓に賛成している。戸籍制度の維持は特に主張されていない

・参政党:選択的夫婦別姓に反対している。戸籍制度の維持にも賛成している。
参考:https://www.sanseito.jp/news/12552/

・社会民主党:選択的夫婦別姓に賛成している。戸籍制度の維持は特に主張されていない

・日本保守党:選択的夫婦別姓に反対している。党の方針と党員の考えが一致していないという情報アリ?

 

こう並べた状態で、戸籍制度の廃止を反対してくれそうな政党だけで言うと、参政党と日本保守党に絞られると思います。個人名で言うと自民党の高市早苗さんになりますが、他はすべて戸籍制度の維持を考えてくれているか不明な政党ばかりです。

この状況で、では投票してくださいと言われて自由に投票できるかというと、正直言ってムリゲーです。

参議院選挙時、北海道の立候補者の所属政党を見てみましょう。
参考:https://www.nhk.or.jp/senkyo/database/shugiin/01/

1区:自民党、立憲民主党、共産党、参政党、日本維新の会
2区:自民党、立憲民主党、共産党、日本維新の会
3区:自民党、立憲民主党、共産党、日本維新の会、無所属
4区:自民党、立憲民主党、共産党、無所属
5区:自民党、立憲民主党、共産党
6区:自民党、立憲民主党、共産党
7区:自民党、立憲民主党
8区:自民党、立憲民主党、共産党
9区:自民党、立憲民主党、共産党
10区:自民党、立憲民主党、共産党
11区:公明党、立憲民主党
12区:自民党、立憲民主党

ムリゲーでは?
どこにも投票したくないという意見が多数になってしまうのも仕方がないのでは?

こんな状況で選挙に行けよと言う人、自民党 or 立憲民主党の地獄でどうしろと?
無責任な意見すぎではないですか?

このように、地域によってはそもそも民意を伝えるための選挙が役に立っていません。

もうこれは別の地区の議員も応援できる選挙制度の改革でもない限り解決しない問題で、極端なことを言うと民意が伝わりやすい場所へ移り住むしか方法がないです。

現状、戸籍制度の廃止を止めるには戸籍制度の廃止に積極的な政党以外を選べる地区に移り住んで民意を伝えるしか方法がないのです。

“主人公であるあなたができるのはそれだけです”

この国の選挙がどれほどムリゲーか理解できたでしょうか。

しかし、一抹の希望を求めて民意が伝わりやすい地域へ移り住むというのが今できることではないでしょうか。

 

結論:民意が伝わりやすい地域へ引っ越して選挙に出よう

 

北海道なら現状1区しか選択肢がないような・・・

他に政治へ民意を伝えやすくする方法はないですかね。

その考えについてもこのシリーズで煮詰めていけたらと思います。

 

 

 

次元縁書ソラノメモリー 1-16 魂と世界とのつながり

干渉液を手に入れたぼくたちは家への帰路についてた。
夕日が川に反射して赤みを帯びている中、ぼくたちは川辺に沿って歩いていた。

ぼくはブリンクに対してキエノラの話題を出した。

「キエノラに失礼じゃないか、急に飛び出していくなんて」

「苦手なものは苦手、あんな女に対して礼儀なんて疲れる行為をする必要もない!」

「やれやれ」

ブリンクと並んで歩いている中、右隣の足音が聞こえなくなってぼくは後ろを振り向いた。

そこには手を後ろに組んで、夕日を眺めるブリンクの姿があった。

「アルも、この世界の人ではないんだよね」

「…そうだよ。ボクもブリンクと同じでここではない別の世界から来た、らしい」

「らしいって、自分でも分からないってこと?」

「そう、ぼくはどこの世界から来たのかが分からないんだ。ソラもぼくが本当はどこの世界の住人なのか知らないって言うし」

「それって、普通は不安にならない?」

「なんでかな、そう考えたことはなかった」

「違和感とか、なかった?」

「…違和感?」

「周りの人と違って、自分だけが能力を使えないことが。
ゲミニカへ行く途中で話してくれたよね、この世界は能力を持っていることが当たり前なんだって」

「ブリンク、急にどうしたの」

「私、元いた世界では出来損ないだったの。
どう頑張っても錬金術は失敗するし、両親みたいに凄い力なんてない」

「落ち着いて、能力がなくてもこの世界の人は酷いことなんてしないから!」

ブリンクは素早くぼくの左手を掴み、そのまま泣き始めてしまった。

「ごめん、夕日を見ていたら急に悲しい気持ちになっちゃった。

私、わたし、役立たずなんかじゃないよね!」

ブリンクの感情が不安定になっている。この原因をぼくはよく知っている。

この世界に代謝は存在しない。その代わりにペシャンを摂取するか幸せを感じることで体内に溜まる「負」を消し去っている。幸せやペシャンを長時間摂取していない場合は、「負」が感情に作用し、最終的には自分で感情を制御できずに暴走をはじめてしまう。

暴走の結果、死者が出たこともある。
その後、暴走した者はCPUに連れていかれて行方不明のままとなっている。

この世界の住人であればよっぽど不幸が続かない限りは暴走に至ることはないが、ブリンクはまだこの世界の住人ではない。そのため「負」を消し去ることができずに体内へ溜まり続けている。

ぼくはブリンクの限界が近いと悟り、落ち着かせることにした。

「大丈夫、大丈夫だから!ブリンクにしかできないこと、絶対あるから!」

ぼくは両手でブリンクの両肩を掴み、ブリンクと目を合わせた。

「自分が何者なのか、それを知っているのはブリンクだけだ。

自分という本質を失わない限り、必ず自分にしかできないことは存在するはずだから!」

ブリンクは何も言わずにぼくの目を見つめていた。

しばらくしてブリンクは目を擦って涙を払った。

「ありがとう、アル。もう大丈夫」

「ブリンク、いったい」

「ほら、ハルーを使ってすぐに家へ帰ろう!」

ぼくは家に着くまで不安で仕方がなかった。

 

無事に何も起こらず家へ帰ってきたぼくたちは、ソラへ干渉液を手に入れるまでに起きたことを話した

そしてソラから驚きの発言が飛び出した。

「そうか、やっぱり二人そろって昏睡したか」

ぼくたちがディモノスリンで昏睡すると知ってお使いに出したの!?」

干渉液の材料はディモノスリンでしか手に入らないってことは知っていたからね。でも、無事に帰ってくることは信じていたよ」

「こっちは焦ったんだからね!ブリンクが目覚めなかったらどうしようかって」

「ごめんごめん。ブリンクにとっては、悪くなかったんじゃないの?」

ブリンクはにこやかに首を縦に振った。

「なら、いいけど」

でもキエノラのお気に入りになって変わった石を持ち帰ってくるとは思わなかったなぁ」

ソラは石を灯に照らしながらそう話していた。

「お気に入りになったら危ないって聞いたから、私もうゲルニカに立ち寄れないよ」

「うーん、キエノラ発信機でもアルに作ってもらったら?」

「作ってもらえるなら是非とも欲しい品ね!」

「あはは…」

「さぁてご飯にしようか。今日はシャケのムニエルだよ!」

「聞いたことがない食べ物、でも美味しそう!」

「干渉液は明日使用するとして、今夜はゆっくりするとしようか」

みんなが椅子に座っていただきますとともにシャケを箸で突き始めるかと思ったら、ブリンクは箸を不思議そうに眺めていた。

そんな様子を見てカナデが話し始めた。

「あ、もしかしてブリンクちゃんの世界に箸を使う習慣なかった感じ?」

「箸…。ただの棒2本かと思ったら、これも食事をするための道具だったんだ」

「うーんそうなったら、今度は箸の練習をしないといけないね」

そう言いながらつづりはキッチンへ行ってナイフとフォークを持ってきた。

「箸をマスターするのは結構時間かかるから、今日はナイフとフォークで食べるといいよ」

「そうしてもらえると助かるよ」

「箸の練習は大変だよ?

こうやって身を切って口元へ運んでこれるようになるまで、小豆を皿から皿に20粒移動できるようになるくらいじゃないと、マスターしたとは言えないからね」

「この動作を、20回も?!」

「ソラ、それは他の人でもできるか難しいと思う」

「え、そうかな?」

ブリンクはナイフとフォークが渡されて問題なく食事を行うことができた。

「ところで、キエノラに気に入られたきっかけって思い当たる節がある?

この世界の住人じゃないってだけじゃあ、お気に入り認定されるとは思えないんだよね」

「ぼくたちよりソラの方が知ってるんじゃない?キエノラの店を教えてくれたのはソラじゃん」

私は彼女と物々交換をした仲なだけであってお気に入りになる基準なんて知らないよ。

教えてほしなぁ、きっかけ」

ぼくとブリンクは少し悩んだ。

気に入られるきっかけ、何かあっただろうかと。

「そう言えばあの芸術家から質問されたのを思い出した」

「…どんな?」

「魂はどこにあるのかって。

私は、魂のありかに決まった場所はないって答えたよ」

「そうか。

気に入られたんだとしたら、ブリンクの魂に関する理論に興味を持たれたってところかな」

「そんな変わったことを言った覚えはないんだけど」

「まあでも、私も少しは安心したかな」

「え?」

「ブリンクに良い友人ができたことがさ」

「あの芸術家と友人なんて、考えたくもない!芸術家は苦手よ!」

「あらあら」

食事が終わって後片付けをしているとぼくはふと疑問に思ったことがあってソラに質問をした。

「え、アル達が行方不明になっていたのはどれくらいかって?」

「うん、その期間の長さによってはブリンクが危険な状態になる日も近いだろうから」

ちょうど食器を洗い終えたソラは蛇口を閉めて手についた水分をタオルで拭き取りながら話し始めた。

「1週間くらいかな。私たち流での換算では」

「1週間も?」

「ディモノスリンは、実はファミニアの端とも呼べる領域が含まれていてね。

前にも話したことがあったよね、ファミニアには端が存在するって」

「ファミニアの法則が及ばない闇の空間。

そこに踏み入れてすぐに戻れば何もないけど、長期間滞在したら何が起こるか分からない場所だよね。

ディモノスリンがそこに含まれるってこと?」

「ディモノスリンの詳細な広さは分かっていない。でも、ファミニアの端から先にも広がっているってことはわかっているんだ。

なんで外に踏み入れないように見えない壁が用意されていないか分からないけど」

「…それと今回の件で何か関係があることがあるの?」

「ディモノスリンでの時間の進み方だよ。

ファミニアの法則に囚われないのであれば他の世界同様に時間の進む法則さえ違う可能性がある。

さっき回答した一週間という基準は、他世界を探索するために私たちが他世界の情報をもとに算出しているものだし。
残念ながらファミニアでは時計というものが役に立たないから確かめようがないけれど、ファミニアでどれほど時間が進んだか知っても、あまり意味がないんじゃないかな」

「どうして不安にさせるようなことを言うの」

「不安?」

ブリンクは前までいた世界の習慣に従って眠るという行為を行っているだけで何も問題はない。

でも、目覚めなかったらどうしようかって。

そう考えていると、いきなり額に冷たい感触がしたので驚いた。その正体は、ソラが持っていた水の入ったコップだった。

「少しアルも休んだほうがいいよ。誰かに過干渉な状態になるなんて、らしくないよ」

「そう、だね」

ぼくはコップに入った水を飲んだ後、コップを片付けて自分の部屋へと戻った。

 

日の出の時間、いつもなら朝食の調達をする時間だけど、今日は違った。

ブリンクが目を覚さない。

そして、呼吸がとても浅い。

「そんな、こんなにも早く限界が近づくなんて」

アルの呼びかけにも応じないあたり、少し時間が経てば死んだ状態と変わらないものになるだろう。

「大丈夫だよ、アル。

私達はちゃんとこの事態を解決するための手段を用意できている」

「それなら、早く助けてあげようよ!」

「そうだね。

つづりん、拘束具を持ってきて」

「え、拘束具?」

つづりんは拘束具で手足が床から離れないよう固定した。

あとは拳を握りすぎて切り傷ができないよう、ブリンクの手にタオルを握らせた。

その後、私はアルがキエノラからもらってきた石をブリンクの胸元に置いた

「これはどういうこと?」

「これからブリンクの魂をこの石へ移動します」

「魂の移動?それだけで解決できるの?

いやでもそれをどうやって」

「アルくん、私はソラさんと二人が不在の間に別世界の観測を行っていてね、その世界では世界の法則から逃れる方法が存在していたんだよ」

「ぼくたちがキエノラの店へ行く前に話していたことだよね、それ」

「そう。その世界から助っ人を呼んでいてね。ブリンクちゃんを助ける手段は手に入れていたわけ。

でも、成功するかはブリンクちゃん次第だよ」

つづりんの光のない目を見てアルは少し怯えていた。

話終わったらつづりんはポケットに忍ばせていた子を取り出した。

「さて、手筈通りにお願いね」

「それは、石?」

[石とは失礼ね!シ…

私はれっきとした生物よ!]

「余計な言動は控えて。これが無事に済んだらカレンの元へ返してあげるから」

[わかってるわよ。でも、あいつみたいに上手くできるとは限らないからね。

じゃあ、始めるよ]

しゃべる石は輝き始め、それとともにブリンクと胸元の石も輝き出した。

胸元の石は宙に浮き始め、眩しいほどの輝きを放ち始めた。

すると、眠っていたブリンクは目を開け、何かに刺されたかのような悲鳴を上げながら暴れ始めた。

「ブリンク!」

[魂を抜き取るんだからそりゃ痛いだろうさ。望みさえすれば痛みは和らぐさ]

予想通り拳は強く握られ、タオルがなければ出血していただろう。

それに、ブリンクは口から泡を吹き出し始めた。

[さあ、ブリンクという名の少女。

己の中にある奇跡を輝かせなさい。

生きたいと言うならば、その奇跡を信じ、願いなさい]

「わたし…は…」

ブリンクは目を見開くながら声を絞り出そうとしていた。

[さあ、あなたの願いは]

「私は…生きる!生き続けていつか、お母さんたちと再会したい!」

浮いた石は失明するのではないかというほど輝き、輝きが落ち着いた頃に拘束具には電撃が走って砕けた。

[なかなかの奇跡の輝きね。

受け取りなさい。それがあなたの全てよ]

動けるようになったブリンクは宙に浮いた石を手に取った。

石は形状を変えてブリンクのブレスレットへと形状を変えた。

「体の調子はどう?ブリンクちゃん?」

「すごい、さっきまで死にそうなくらい苦しかったのに今は全然平気。

それに、気持ちも軽い」

[ふふ、シ…私にかかればこんなもの当然にできちゃうのよ]

「したっけ私はこの子をあるべき場所に返してくるから、何が起こったかはソラさんお願いね」

「はいはい」

そう言ってつづりんは別世界へと飛んでいってしまった。

「ソラ、ここで何が起きたか説明してくれる?」

「あの石が口走ってたと思うけど、今ブリンクの魂はそのブレスレットに格納された。

つまり、手に取れる形になったってこと」

それと代謝の概念がブリンクから消えることとどんな関係があるの?」

「代謝の概念?」

「ブリンクには説明していなかったね。

ブリンクは代謝のある世界から来ているけど、このファミニアには代謝という考え方が存在しないんだ。

その証拠に、汗をかかないでしょう?」

「そういえば、私この世界に来て一度もトイレに行きたいと思ったことがなかったかも!」

「うん、代謝がないこの世界ではもちろん老廃物なんて物も存在しない。でもさっきまでのブリンクには行き場のない老廃物が体内に溜まり続けていたんだ」

「え…それ考えただけで恐ろしいんだけど」

「実際危なかったんだ。少し遅れていたら死んでしまっていたかもね」

「そう、なんだ」

私は話が長くなることを考慮して、2人に椅子へ座るようジェスチャーで促した。

カナデは知らないうちに食材集めに行ってしまったようだ。

「んで、魂が石に入っただけでブリンクがなぜ救われたかなんだけど、魂の在処が変わったことで世界の概念から抜けることに成功したからなんだ」

「そこがわからないんだけど」

「世界の概念って生物という存在の何に作用すると思う?」

「肉体も、魂も。じゃないの?」

「その通りだけど、概念の情報を保持するのは魂だけなんだ。

肉体はただの器で、魂に保存された概念に影響されるだけの存在さ」

それはあなたたちが他の世界へ行っても無事でいられることと関係するの?」

「ブリンクは目の付け所がいい。

私達はファミニアの概念が染み付いた魂だから多次元に存在する他の世界の概念には縛られない。

不都合が生じる世界もたまにはあるけど、大抵は問題なく生活することができる」

「…私の魂が入っているこのブレスレットは、この世界の石。

この世界の概念が上書きされたから前の世界にあった代謝の概念が破棄されたんだね」

ブリンクは頭の回転が早いようだ。

「さっきソラが言ったように、ブリンクには老廃物が蓄積されていたんだけど、この世界の法則が適用されたことでそのこと自体が無かったことになってる。

安心していいよ」

「そうなんだ。よかっt…

あれ?じゃあ老廃物の情報って何に置き換わったの?!
エネルギーの法則が成り立たないよ!」

「それは感情エネルギーに影響するよ。感情エネルギーが減ると怒りやすくなって、最終的には感情を抑えられなくなるんだけど、今は穏やかな気持ちなんだよね?」

「うん、昨日まであった自暴自棄な気持ちにはならないよ」

「実は私も詳しくはわかってない。

あの子がブリンクの魂を石へ宿らせただけで、どういう過程で宿らせることができたのかは理解の範囲を超えているんだ」

「あのしゃべる石、一体なんだったの?」

「魂を手に取れる形にできる世界にいた存在、そしてその方法を模倣できる存在。

ここまでしか教えられないかな」

「…まあいいよ。後で記録をのぞいておくから」

「まあ、ブリンクは体にどんな怪我を負っても無事でいられるようにはなったけど、そのブレスレットが壊れでもしたら即死する存在になったことは理解してね」

「え、それって右腕を切り落とされたら終わりってこと?」

「ブレスレットと体がある程度離れたら、もしかしたら体を動かせなくなっちゃうかもね。

切り落とされたらブレスレットの回収だけは忘れないようにね」

「魂、手に取れる形になっちゃったね」

「あの芸術家には二度と近づけないわ!」

「さて、ブリンクには私たちの活動を手伝ってもらう方法もそうだけど、箸の使い方も覚えてもらわないとね」

「あはは、そうでした」

「みんなー、用事終わった感じ?

料理、調達してきたから下に降りてきてね。

つづりんも戻ってきているから」

「ありがとう、カナデ」

「なんのなんのー」

「それじゃあ、これからのことは食事をしながらゆっくり話すとしようかな」

 

こうして私達はブリンクをメンバーとして無事に迎え入れることができた。

アルではこんなことをしなくてもよかったのにブリンクには必要だった。
アルが元々いた世界には代謝の概念がなかったのかな?

私にも知らないことっていうのは、まだまだ尽きることがない。

特に、身近な存在ほど未知なことは多い。

 

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次元縁書ソラノメモリー 1-15 魂の在処とは

わたしは意識がぼんやりとした状態である親子の前に立っていた。

親子の姿は水色の粒子が集まったかのような見た目だった。周囲の景色もどこか水色がかっている。

その親子の会話をわたしはただ見つめているだけだった。

「______、少しお父さんの話を聞いてくれないか」

「いいよ!______に教えて!」

「お父さんは人を不幸にする仕事をしているんだ。お母さんからはみんなを救う仕事と聞いているかもしれないが、実は違うんだ」

「なんで違うの?」

「お父さんは人の命を奪って、そのお金でお前たちを支えているんだ」

「えっと、イノチヲウバウって人を殺しちゃうって事?」

「おいおい、そんな解釈どこで覚えたんだ?」

「お母さんが教えてくれたよ!穢い事も覚えておいた方が後々役に立つよって言ってた」

「あいつは全く・・・」

「えへへぇ」

この会話、親子の輪郭はぼんやりしているはずなのにわたしの中には鮮明な部分がある。

まだ、親子の会話は続いていた。

「______、人の命ってどこにあると思う?」

「どこだろう、カラダの中かな?」

「なるほど。

実は正解はないんだよ」

「ええ!真面目に考えたのに!」

「ごめんごめん。でも、答えがないのは確かだよ」

「それって、お父さんが人を不幸にするっていう話?」

「そう、お父さんはたくさんの人の命を奪っているんだ」

「人の物をとっちゃうって事でしょ?それは悪い事だよ!」

「ああ、そうだよ。悪い人だ」

「でも、とっちゃったって事はいまでもその人の物を持ったままなんだよね?」

「え?」

「奪うって、とっちゃうって事でしょ?じゃあいつかそれを返せるって事だよね!」

しばらく静寂が続いた。大人と思われる人物が何か考え込んでいる様子だった。

「はは、参っちゃうな全く」

「?」

「そうさ、お父さんは持ち続けてるのさ、奪ってしまった物をね」

「それならちゃんと返しに行かなきゃダメだね!」

「そうだな、とっちゃったものは、返さないといけないよな」

「でもでも!______はお父さんを悪い人だなんて思っていないよ!」

「え」

「だって、お父さんはお母さんのヒーローなんだもの!お家にお父さんのおかげで助かった、救われたっていう人が来てるもん!悪い人はそう言われないこと知ってるもん!」

「ありがとう、______」

「だから!お父さんはとっちゃったものなくしちゃダメなんだよ!

「ああ、無くさないよ。絶対にね」

ふと気づくと親子の姿は見えなくなっていて、大人と思われる人物が立ってこちらを見つめていた。

男は少し前へ歩いて再び振り返ってこちらを見つめていた。

ついて来い、そう言いたい気がしていた。

わたしは男の後ろをついて行って、ひたすら前へ歩いていた。

あるところで男が立ち止まると前の方を指差した。その先には青白い光を放つ花がたくさん咲いていた。

わたしは驚き戸惑っていると、男は前へ歩み出して花を摘み始めた。

男はそのままわたしの方を向いて花の束を差し出してきた。

「わたしに?」

笑みを浮かべた男は静かに頷いた。

そして、懐かしい声で話しかけてきた。

「胸の想いを信じ続けなさい。そしてこれは、お前のために大事なものだ」

わたしは不審に思わず、すんなりと受け取ってしまった。

受け取ったわたしの目からは不思議と涙が溢れてきて、こぼれると同時にその場へ膝をついてしまった。

胸の奥が熱くなって、花束を胸元に寄せてただひたすら泣き続けた。

「お父さん」

 

ふと気づくと心配そうに見つめるアルの姿があった。

「良かった!気がついたんだね」

「わたし、確かアルと一緒に森の中へ入ったはず」

そう、身を起こして周りを見渡すと少し薄暗い森の入り口付近にいた。

「僕も少し前に気づいたんだけど、隣にいるブリンクがなかなか起きなくて心配だったんだよ」

「そう」

わたしは手元を見ると、青白く輝く花束を持っていた。

「あれ、これって」

「その花、僕も夢の中で誰かにもらったんだ。誰かは覚えていないけれど」

「わたしは大事な人からもらった。そしてこの花って、探していたドコサーっていう花かな?」

「多分そうだろうから、しっかりと袋に入れておこう」

「うん、わかった」

わたしは胸に押し当てていた花を、アルに渡した。

ドコサーという花に間違いがないかハッカの元へ尋ねたときに知ったのだが、どうやら私とアルはあの森に入ってから3度の夜を迎えていたらしい。

この世界で飲まず食わずのまま3度の夜を迎えるというのは感情エネルギーが枯渇するに等しい期間に近いとのこと。

ハッカからはとにかく何か食べてと食べられる花をもらった。

しかし私たちには1、2時間経過したという実感しかなく、感情エネルギーとやらが不足した際に発生する発作も起きていなかった。

ドコサーという花であることを確認した私たちはキエノラの元へ戻った。

キエノラにも酷く心配されたが、森で起きたことを話した後には酷く高笑いをした。なんだこの人。

「いや悪いね、予想外の出来事を聞いて笑ってしまったよ」

あの森に入ったら寝ちゃうかもしれないって教えてくれなかったのはあんたじゃない」

「いや、本来ならば教える必要がないんだ。普通は寝ないで見つけられるものだからね」

「どういうこと?」

キエノラによると、ディモノスリンにはこんな話があったという。

ある人物がは連れと一緒にディモノスリンにある光る苔について調べるために入ったという。その人物森の中心へ進めば進むほど意識が遠くなっていき、最終的には倒れてしまったという。

倒れている間にその人物は生き別れた母親と会ったという。母親との再会に喜んだが、母親は自分のことを認識しておらず、目の前では自分の過去が流れ続けたという。

しばらく過去の情景が流れた後、母親は自分を認識しているかのように手招きしてきたという。

その後を追っていると、光る苔が生えている箇所を忠実に移動していたという。

その先で光る花を見つけ、母親はその人物へ花束にして光る花を渡したという。

ふと気がつき、目覚めると森の入りに寝ていたらしく、手元には夢の中でもらった花束を握っていたらしい。

日光に当たると萎れてしまうと知って、その人物は日に当たらないようハッカの元へ持っていって花について聞いたという。

しかし花について詳しいハッカでもその花については初めて知ったという。

ハッカは知人に花の調査を依頼し、その知人が花をすりつぶして液体へと混ぜたがなにも起きなかった

なにを間違えてか、液体をこぼしてしまった知人は液体がかかった宝石へ触れると宝石の持つ力に干渉できたという。

花の名前はハッカが名付け、実際に取りに行ってみると光る苔に沿って歩けば確かにドコサーを見つけることができた。

これがドコサーを発見し、干渉液が生まれたことについての話らしい。

「えっと、キエノラの昔話にしか聞こえなかったんだけど」

「いいじゃない、前置きっていうのはこれくらいがちょうどいいのさ。まだ干渉液ができるまで時間がかかるから、種明かしといこうか」

ドコサーを初めて見つけた人物というのは、この世界にもともといた人物ではなかったという。本人曰く、ここではない世界にいたが、気がついたらファミニアにいたという。

異世界に詳しい人物がその人物を訪ねてみようと試みたようだが、その時にはその人物は物言わぬモノへと変わっていたという。

実はこの記録自体はこの世界自体からは消えている。キエノラがこの話を知っているのは、本に残されていたからだという。

「実は私自身もディモノスリンに入ってみたんだが、意識を失うことなくドコサーを回収できている。他の人たちもそうさ、“ファミニアの住人”は誰も意識を失うことがなかったんだ」

私とアルは話を聞いて唖然としていた。試験管が熱せられてポコポコと音を立てる以外の音はしばらく発せられなかった。

「もう言いたいことはわかるだろ。君たちは、ファミニアの住人ではない。異世界の存在だということになる」

「まさか、あなたが楽しそうにしているのは私たちが異世界の人だからなの」

「そうさ。ファミニアにはない概念を君たちは持っている。

そう、魂という考えをね」

アルの話からだいぶ察してはいたが、アルもまた、私と同じくこの世界に紛れ込んだ人。私のことを心配したりしているのは、同じ境遇から来る気遣いなのだろうか。

「さて、ここで君たちに聞きたいことがある」

「な、なんでしょう」

「魂の在処はどこなのだろうか」

アルはこの言葉を聞いて、少し驚いた後私の方を見た。

「私が干渉液に執着しているのは、魂というものに触れてみたかったからなのさ。異世界の人だけが持つという魂というものはどのようなモノなのか私たちが見ることはほとんどない夢という空間を魂に触れれば踏込むことができるのかってね」

ファミニアには私たちのような異世界から来てしまった人たちは多いという。

でも、異世界から来たからと言って魂があるかどうかなんて見ただけじゃわからない。

異世界から来たという人物を訪ねては干渉液を塗りたくって魂に触れようとしたんだけど、それっぽいものに触れることはなかった。そのあと何度も同じことを繰り返しているうちに、私は触れ物なんて呼び方をされるようになったのさ」

キエノラは、静かに私を指差した。

「君はどう思う?魂は何処にあるんだろうか」

一呼吸おいて、私は答える。

「魂っていうのは必ずここにある、てものではないと思う」

「ほう」

「私だって、魂が何処にあるかなんてわからないけどこれだけははっきり言える

魂っていうのは体に縛られるものじゃない。体がなくなっちゃったとしても誰かについていっていつもそばにいる。どれだけ離れてしまっても、いずれは一番思い入れのある人のそばにある、そんなものだと思ってる」

「ブリンク」

「ならブリンクちゃん、もしかしたら誰のとこにもいきたくないという魂がいたら、その魂は何処に行ってしまうのだろう」

「そんな深いことはわからない。ただ、魂はここにないといけないっていう決まりはないと思うよ。魂を奪ったら、ずっと一緒に付き纏われちゃうって昔から考えていたんだ。もう、返す先なんてないんだろうけど」

キエノラは少し残念そうな顔をして立ち上がった。

「そうか、魂という考え方を持つ君の考えならば認めざるを得ないね。

でも、私は考えを改める気はない。魂っていうのは必ず触れられるものだと思って今後も探究し続けるよ」

そう言いながらキエノラは保存してあった干渉液をたくさん持ってきた。

「話を聞かせてくれてありがとう。約束通り干渉液を渡そう」

「ありがとうございます」

アルは干渉液を受け取り、一礼した。

「そして、君たちへのちょっとしたお礼だ」

キエノラは暖炉の上にあった鉱石のうち一つを持ってきた。掌サイズの少し緑がかった宝石だった。

「え、貴重そうな鉱石だけど良いの?」

「ああいいさ。持っていきなさい」

私はキエノラから渡された鉱石を受けとった。

「あ、そういえば名前を聞いていなかったね」

「ぼくはアル、隣がブリンクです」

「そうか、アルとブリンクちゃん君たちは私のお気に入りになったからね、今度は遊びに来て欲しいな」

この瞬間、私の頭ではハッカから聞いた話がこだました。

“ただ、あんまりあいつのお気に入りになるんじゃないよ。何でもかんでも知られちゃうからね”

「し、失礼しましたあ!」

そう言って私はキエノラの店を飛び出してしまった。私はもうキエノラの店へ行くことはないだろう。

「やっぱり芸術家は苦手だ!」

 

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【マギレコ二次創作】魔叙事詩カグラ・マギカ 2- エピローグ

ペンタゴンの中庭で願いを唱えた後、どうなったのか。

記憶がぷつんと途切れていた。

閉じた覚えがない目を開けると、そこは豪勢な中庭で植物が生い茂っていて白い石畳の先には花が浮かんだ噴水があった。

周囲には蝶と見覚えがある希望の光が浮かぶ中、場違いな真っ黒なトカゲが赤い目を向けながらこっちにこいと言わんばかりにこちらを振り向いていた。

私がトカゲの後を追っていると、中庭の屋根がある場所で見覚えのある人物が椅子に座っていた。

「お前が円環の理か」

そう尋ねると見覚えがある存在は黄色い目を向けてきた。

「まさかここまできちゃうなんて。私と繋がりを持ちすぎちゃうから・・・」

その見た目は鹿目まどかで間違いなかった。

「私にはお前が知っている人物にしか見えない。概念っていうのは好きに姿を変えられるのか」

「いいえ、円環の理は鹿目まどかの一部よ」

そう言って黒いトカゲが円環の理の横まで移動すると今度は黒いこれまた見覚えのある存在へと姿を変えた。

「暁美ほむら、その魔力は私たちを殺そうと神浜の奴らを誘導した存在の一つだな?」

「あの世界の私がそう望んだから手助けしただけよ。

あの世界の私と私をつなげる要因を作ったのはあなたでしょ?」

「ただの結果だ。お前は円環の理のなんだ」

「かつて鹿目まどかという円環の理の核を奪い去ろうとした存在。今は円環の理の一部よ」

ゴスロリと言える格好をした暁美ほむらは赤い目で見つめながらそう答えた。

「まあいい。

私が概念と対峙できているのはつながりすぎたのが原因だろう?

元の世界には戻れないのか?」

「戻れるかどうかはここで決まっちゃうの。

あなたはこっち側に来るか、戻れるようになるかの境目にいるの」

「そうか。できれば戻りたいんだが何をすればいい?」

「「そのまま帰って問題ないよ」」

声が聞こえた後ろ方向を見ると、そこには肉体を持ったピリカとシオリがいた。

「お前ら、なんで」

「カレンが繋がっているならば」

「シオリ達が繋がっていると同じでしょ」

カレンは円環の理というものがなんなのか繋がったことで知識は持っていた。

別世界での因果律が途方もない量で願った鹿目まどかの結果、それが円環の理。
ほとんどの次元では円環の理によって魔法少女達は魔女化する前に魂が回収される。
そのため円環の理に集まる魔法少女の情報はさまざまな次元での情報が反映されている。

だからあえてカレンは2人へ尋ねた。

「お前達はどの世界の存在だ」

「私はカレンに助けてもらう前の世界の記憶を持っている。

絶望はしても両親やコタンの仲間の無事な姿を見せられてわずかな希望で円環の理の一部になった私。

でも今目の前にいるのはカレンと共に過ごした私」

シオリはほとんどの次元で飛行機の破片で貫かれながら本当の両親なのかわからない2人に呪う必要はないと宥められて妥協し、円環の理の一部となった。

シオリにとってはカレンに救われた世界が一番さ。

ということで目の前にいるのはカレンをよく知るシオリだよ」

「そうか。

下手に延命させてしまっただけで申し訳なさまであったが」

「何言ってるのさ。

シオリの魔女は円環の理に回収されるまではインターネットに張り付いているだけのつまんないやつだったし、魔女になるより全然マシさ」

私の場合は生きて両親がいるコタンへ帰れたのはカレンと出会った世界だけだった。

それだけでも嬉しいことだよ」

「そうか、余計なお世話ではなかった時点で良かった」

カレンは円環の理へ振り返った。

「3人で戻るということは叶わないのか」

あなたはあの世界で一つのソウルジェムの許容量を超える量の希望を受け取った。

普通とは違うソウルジェムみたいだけど、だとしてもソウルジェムを無事に保てるのは一つだけだった。

私もしっかりサポートしたんだけど、ごめんね」

「だからそのまま帰れと言ったのか」

「あの世界にカレンは必要だ。

次元改変とやらにカレンは関わっているのだろう?つづりから聞いたよ」

「あの世界ではカレンを求めている人がたくさんいる。

だったら尚更だよ」

そして私には死ねない理由がある。

妹といつか会えることを。

「悪いな。

したっけ失礼させてもらうよ」

「うん、いつでも待っているからね」

ピリカのその言葉が引っかかったが、中庭を出るようまっすぐ進むと目の前が真っ暗になった。

その後は別のページにある通り、元の世界へ戻ったのは私だけだった。

 

それからしばらくはサピエンスの後始末と人間移住のためにカルラと共に行動していた。

そして人間の追い出しが完了するまでの間に私はつづりと再会した。

「この世界最大の歪み『イザベラ・ジャクソン』の排除お疲れ様です」

「あれは一体なんだったんだ。この世界が生み出したものなのか」

イザベラはあなたの歪めた世界を帳尻合わせするためにこの世界が生み出したものの一部です。
本来であればイザベラの母 シャルロッテがその役割を担うはずでしたが、彼女はあなたを追うのではなく私情を優先してその役割が娘へ引き継がれた。

あなたがこの世界に来なければ、アンチマギアや彼女たち二人も生まれはしませんでした」

しっかり人生があったやつなのにこの世界に生み出された存在だなんて。

神様が用意したのか?」

「神様なんてどの世界にも存在しません。
この世界で生み出されているものは、防衛機構 『シナリオライター』と呼ばれるもので作りだされたものに過ぎません。
円環の理というものでさえ、シナリオライターに用意されただけのもの。この世界で生まれた存在は絶対にシナリオライターにかないません。この世界では「意思」ともよばれていたそうですね」

「そんなものに、私は抗えたのか」

「お手柄です。
あなたのおかげで、シナリオライターに抗える可能性が示されました。
次元改変の拡大防止と阻止を他の世界でも促してみるとします。

ありがとう」

「私は褒められたことなんてやっていない。
つづりが時々ちょっかいを出しに来ていたからこそできた結果だ。つづりがいないと抗えなかったさ」

「私はあなたの補助をしただけですよ。あなたがこの世界を救ったのが事実・・・。

そうだ」

つづりは一つだけというジェスチャーをとった。

カガリさんを連れてくる前にもう一度円環の理に会ってくれますか

あなたがこの世界で発生させた改変が別次元の鹿目まどかに関わる世界へ歪みを生み出し始めています。

この世界の導き手となるために円環の理から事情を聞いてください

カガリさんと会わせるのはそのあとです」

「その歪みとやらも、シナリオライターのせいなのか」

「そうです。シナリオライターの意地でも自分の筋書き通りに戻そうとする強硬手段が、次元改変に繋がります」

「厄介なものだな、防衛機構というくせにめちゃくちゃにするなんて。

まて、円環の理に簡単に行けるのか、私が?」

「繋がったあなたならよく知っているはずです」

繋がり方にはなぜか覚えがある。
円環の理との縁に意識を集中させるだけで、すぐに見覚えのある中庭に来てしまった。

「嘘だろ…」

「やっぱり、すぐに戻ってきた」

ピリカにそう言われても私は唖然とした顔を変えられなかった。

「もう、行き来自由になっちゃったのはほむらちゃんだけだと思ったのに」

円環の理は困った顔を見せていた。

「容易に繋がっちゃうからだよ、概念になっても甘いんだから」

そう言うのは円環の理の隣に立っていた美樹さやかだった。

「円環の理には随分と多彩な姿があるのだな」

そう言うあんたらも繋がったんだから円環の理の一部ってことになってるよ。

ほむらやなぎさみたいにあっちこっちに好きに行き来できるんだから困っちゃうよ」

「シオリとピリカも、自由に生き気ができるのか?」

「そう、その2人も自由に行き来できちゃう。

ソウルジェムと肉体がなくなっているから円環の理に用意してもらわないといけないけどね」

「そうかい。

円環の理っていうのはなんでもありだな」

「レコードを壊さない程度にしないといけないっていう制約はあるよ」

「そのレコードに関する話だが、レコードが破壊されるほどの歪みが発生していると聞いたのだが」

「聞いたって誰からさ」

「私のスポンサーからさ」

「さやかちゃん、協力してもらおうよ。私たちじゃ手に負えないものだったし」

円環の理の掌の上には6つのヒビが入り始めているレコードが出現した。

そこへピリカとシオリも寄ってきた。

「あまり近づかないでね、すぐにでも壊れちゃいそうだから」

「このレコードが一つの世界ってこと?」

「そう、そして少なくともこれらの世界には起こるはずがない変化が起こり始めているの。

変化の発生源は、カレンさんのいるマギアレコード。

それが分かっても対処の方法がわからないの」

「それは次元改変というやつだろう。

私たちの世界で無理やり次元改変を止めたから他のレコードに飛び火した。

で、対処できないとはどういうことだ」

この6つのレコードは円環の理が触れてしまうとすぐに壊れてしまいそうなマギアレコードの複製された存在。

その世界に干渉した痕跡を残しちゃうと、レコードの歪みをかえって大きくしてしまうから手の出しようがないの」

「歪みの原因までは調べがついているの?」

シオリがそう聞くと円環の理は首を横に振った。

「円環の理って無能か?」

「ふざけた事言うんじゃないよ」

「事実を言っただけでしょ?」

シオリとさやかが睨み合っている中、私が歪み始めているレコードの一つへ触れると動画のシークバーをいじるかの如く好きな時間を覗くことができた。

覗き見たレコードでは神浜でワルプルギスの夜の討伐に失敗していた。
失敗原因を辿ると由比鶴乃を救えなかったことが大きな原因となったようだった。
救えない理由もさらに遡ることができた。

私は円環の理を見て思わず言ってしまった。

「なぜこの程度もできない?」

「できるあんたがおかしいんだよ!」

さやかが怒りっぱなしだが、私にやりようがあるということは判明した。

「元は私が世界を乱したのが原因だ。

しっかり修正はさせてもらうよ」

「原因がわかったところで痕跡はどうするのさ。

あんた達も円環の理の一部って言ったでしょ?」

「スポンサーの技に痕跡を消せるものがある。

当てはあるってことさ」

円環の理とさやかが驚いて黙ってしまったあと、円環の理が話し始めた。

「わかった。カレンさんに一度任せてみるよ」

「したっけ行動に移らせてもらうよ」

 

私は元の世界へ戻ってからつづりへ縁切りを教えるよう伝えたが答えは想定とは違った。

「無理。」

「そんな言い捨てるように言わないでくれるか」

「縁切りは私たちの世界で扱える能力で、それを別の世界の住人へ伝授するにはその世界に則って取得できる素質がなければいけません。

夏目かこは再現の力のおかげで取得でき、柊ねむは具現の力で縁切りの力をこの世界で具現化できたのです。

あなたは繋げるだけ。だから素質がないということです」

「柊ねむか。そういえばあいつも使えたか。

夏目かこを別世界へ連れ回すわけにもいかないし、ウワサとやらで複製できるか試してもらうのもありかもしれない」

「むしろウワサを活用する方法しか許しませんよ。夏目さんを連れて歩こうとするところで止めます」

「わかっているさ」

 

私は神浜で柊ねむがいるシェルターを訪れた。
シェルターには都合よく柊ねむしかいなかった。

「珍しい客人だね。何か用かい?」

「1人だけなのか」

「ここ最近は特にね。

それで、世間話を持ち込んできたわけではないのだろう?

どんな厄介ごとを聞きにきたんだい?」

「お前は縁切りという力を使えるらしいな。つづりから聞いた。

その縁切りをウワサで私にも扱えるようにしてほしい」

「驚いたね、まさかつづりとの関係者だったとは。

ならば尚更知っているはずだ。ボクがつづりから縁切りの力を受け取ったのは日継カレン、君たちの神浜での暴走を断ち切るためのものだ。

君たちを律するために与えられた力を求めるというのであれば、ボクは必要となる事情を把握する義務がある。

そうは思わないかい?」

「素直に進む話ではないか」

「当然だ」

私は少し悩んだが、柊ねむへ円環の理のこととなんのために縁切りが必要であるのかを全て伝えた。

そして知ったからには全てに協力してもらうことも伝えた。

話を聞く間、柊ねむは終始表情を変えなかった。

「円環の理か。

ボク達を見守り続ける概念があるということは興味深い上に、パラレル世界がレコードとして存在しているという世界構想であることも理解した。

灯花が一緒にいなくてよかったよ」

「ことの重大さは理解してもらえたか」

「君が今どのような状況に置かれているのかはね。

だが君が今までにボク達へどのような振る舞いをしてきたのかを踏まえると、はいそうですかと一言では了承しかねる」

「…何を求めている」

今魔法少女達の間で流行りの『依頼』を完遂できればボクは対応する、というのはどうだろうか」

魔法少女達の間では通貨というものを使用しない代わりに、依頼に答えて報酬として見合った物々交換を行うという行為が流行っている。

ケーキの素材は揃えるからケーキを作って欲しい。

農作業の手伝いを頼まれ、農作業は手伝うけど収穫分を一部分けてほしいと答える。

こんな感じのやり取りだ。

一方的に物をよこすような要求はあるにはあるが、好戦的な魔法少女によって決闘という形でしばかれるという共通認識も浸透している。決闘したがりでなければ滅多に起きない。

ただし理不尽な要求が行われる場合もあるため、互いが合意できるやり取りは必須だ。

「内容次第だが言ってみろ」

「最近はお姉さんやうい、更に灯花と4人が揃う機会というものがめっきり減ってしまってね

君には1日中4人が揃ってゆっくり過ごせる機会を作ってもらいたい。

この依頼をこなせたら、君でも縁切りが使えるようウワサを生み出してあげよう」

「その3人へここで話したことを漏らさないだろうな?」

「ここでのやり取りの秘匿は保証しよう。

そうだね、この発言を信じてくれることも追加の依頼としよう」

「言ってくれるじゃないか」

「それで、君はどう対応してくれるんだい?」

「依頼は受け入れよう。

4人集まれる機会というのは、場所と時間に指定はあるか」

「そうだね…」

柊ねむは最近のやりとりを記録していたのか、付箋や文字がたくさん残されたノートをしばらくペラペラとめくりながら考えていた。

そうしている間に覚えのある魔力反応が迫ってきた。

「ねむちゃん、今いいかな」

部屋に入ってきた環ういは私の姿を見て固まってしまった。

「おやおや、タイミングがよろしくなかったね」

「えっと、なんでカレンさんがここに」

「柊ねむへ頼み事に来ていたんだ。

用があるなら先にどうぞ」

「いえ、ただお話ししに来ただけだから頼み事の話を進めてもらっていいですよ」

環ういがそう話す後ろにはワルプルガが隠れていた。

そんなワルプルガへ私は話しかけた。

「時が経っても環ういについてまわっているのか」

「お母さんの手伝いをするのがちょうどいいからね。

1人だけでいるのは不安だし」

「そうかい、それでワルプルガが幸せなら私は何も言わないよ」

「まあ今回の依頼はういにも関わることだ。2人も混ざるといいよ」

「え、いったい何をやるの?」

柊ねむはういとワルプルガへ私の頼み事と円環の理についての話は伏せて、4人が集まれる機会を作りたいという話だけを伝えた。

環ういは快く話を受け入れ、柊ねむと共にどこで1日過ごしたいのかについて話をはじめた。

私は話を聞くだけであったが、とりあえず集まる場所と日は決まった。

「そういうわけだ。カレン、お姉さんと灯花が安心して集まれるようよろしくね」

「わかったよ」

環いろはが忙しい理由は、神浜で他の魔法少女がやりたがらない掃除や問題解決に対応しているから。

里見灯花が忙しいのは人間移住に参加して人類を月に送るためのロケット開発や実験に夢中だから。

里見灯花に関しては説得一つで解決したが、環いろはは簡単にはいかなかった。

人間でも大勢を動員して行っていた掃除や水道管理、治安維持活動について他のみかづき荘メンバーと共に実施していた

悩み事相談は都ひなのたちが受け持つようになったようだが、ルールを設けることは支配者を産むという考えから、明確に誰に任せるといったものは決まっていない。

その為、環いろは側から首を突っ込むことが多い。
予定を空けることを相談しても。

「どうしよう、指示とかそういうのやっちゃいけないんですよね?

と言って誰かに任せようとしない。

普段ならば勝手にしろと言いたいが、依頼達成のためにそうはいかないのが辛い。

七海やちよへ依頼形式を使わないのか伝えたが。

依頼に対してのリターンを私たちから提示できるものがないのよ。
掃除をやってくれたら何を与えられるか。
何かやったら必ずリターンがあるという仕組みは良くないわ」

単純な協力の呼びかけに答えてくれないくらい、ここの住民は非情なのか?」

「呼びかける方法がないのよ。マギアネットワークも整備中でしょ?」

「遠慮が過ぎるのか頭が硬いのか…」

私はこれから何をするのか環いろはと七海やちよへテレパシーを送った後に、神浜全域へテレパシーで伝えた。

[神浜にいる全員へ。

環いろはにフリーな日を作りたい。

環いろはが無計画に受け持ったあれやこれやの解決に協力できる奴は明日の9時に電波塔跡地へ集まれ!]

次の日、電波塔跡地には見慣れた顔がたくさん集まって環いろはが抱えていた物事はあっという間に割り振られて環いろははフリーとなった。

「いろはさん、協力して欲しい時はいつでも言ってくださいよ!みんな結構暇なんですから」

「れいら、他の人に失礼でしょ」

伊吹れいらの言葉で環いろはは少し救われたのか笑顔を見せた。

これで依頼が完遂できるようになり、柊ねむ達5人は南凪の噴水公園へ集合した。

環いろは以外の4人は年月が経ったことで18歳くらいの見た目まで成長していて、衣服もおしゃれな物を着ていた。

「いやぁ、白衣以外を着るのは久々だよ」

「私も混ざってよかったの?」

「ワルプルガちゃんも歓迎だよ!」

「なんか私だけ地味で恥ずかしい…」

「お姉さん、今日はボク達で楽しむ日だ。お姉さんはお姉さんらしい格好で良いと思うよ」

「そう、かな?」

「ほらほら、今日はたくさん楽しもう!」

環いろは達が動き始めた後、私は邪魔が入らないよう遠くから監視を行っていた。

環いろは達が見滝原の魔法少女達が営む喫茶店で楽しくおしゃべりを楽しんでいる頃、私の近くには七海やちよ、夏目かこ、佐鳥かごめが集まっていた。

ここに来るまでに次々とついてきた結果だ。

「なんで着いてくるんだよ…」

七海やちよは

「いろはが楽しめているか見守るためよ」

夏目かこは

「あなた(カレン)が余計なことをしないか見張っているのですよ」

佐鳥かごめは

「この素晴らしい時間を記録に残すためです」

私は呆れてしまった。

「お願いだから全員どっか行ってくれ」

環いろは達は喫茶店を出た後、神浜周辺を巡った。

その間について回っていた3人は各々の都合で私から離れていった

日も落ちる頃、万年桜のウワサというものの入り口があった森林の先に5人が集まり、いきなり環ういがテレパシーで私を探し始めた。

[カレンさん、聞こえていたら私たちのところに来てくれますか?]

私は嫌な予感がしていた。

柊ねむの依頼を利用してあの5人は私に何かを仕掛けようとしている。

私はテレパシーを返した。

[どういう事だ。柊ねむの依頼は既に達成されたはずだ]

[君にその報酬を渡すために必要な事だ]

[・・・柊ねむ、貴様は口が固かったのではないのか]

そう言うと、柊ねむからテレパシーでつづりとのやり取りが脳内に流れてきた。

柊ねむと接触したつづりは柊ねむだけが秘密を所持していた世界は失敗したことを告げていた。

環姉妹、里見灯花、柊ねむの4人が秘密を持つことなく過ごす世界であることが世界を壊す要因を防ぐと言っていた。

私は事情を理解して5人の前に姿を現した。

そして環ういへ尋ねた。

「これから知らされること、ワルプルガも巻き込む気か?」

環ういではなくワルプルガが答えた。

「私のことは気にしなくていいよ。

巻き込まれたことについてはしっかり言うことを聞くよ」

話していると私たちを取り囲むように黄緑色の円が光り出した。

その後すぐに目の前は真っ白になり、視界が晴れた頃には見覚えのある空から地上を見下ろせる空間にいた。

そして前方にはつづりが待っていた。

周囲にはさっきのメンバーからワルプルガだけが消えていた。

「ワルプルガちゃん?!」

「ご心配なく、ここは元の世界とは繋がっていません。

ワルプルガさんを待たせることがない時間へお返しできるので、ひとりぼっちになるのは一瞬ですよ」

「そ、そうなんだ」

つづりを初めて見る環いろはは何が起きているのかがわからず口を開けたまま動けずにいた。

私は状況を整理するためにつづりへ尋ねた。

「さて、柊ねむ以外も巻き込んだ理由をしっかり教えてくれ」

「いいですよ。

あなた達5人はマギアレコードの世界を存続させるために欠かせない存在となっています。

誰かが欠けただけで、または誰かが秘密を持って1人で抱え込んだ時点で、マギアレコードや付随する別世界も破滅へ向かうようになってしまっています。

柊ねむだけではなく他3人を呼んだ理由はそういうことです」

「まあ私は事前に話を聞いていたからいいけどさ、聞きたいことは山ほどあるんだから」

里見灯花がそう言っている後ろで環いろはは蚊帳の外だった。

「環いろはさん、今目の前で起きていることは受け流してもらっていい。
4人でここで起きたことを知ってもらうことが大事なので」

「えっと、はい…」

「柊ねむ、依頼の報酬を頼む」

「…つづり、ここは自動浄化システムの影響を受けるでいいのかい?」

「大丈夫ですよ」

「その言葉を信じるよ」

柊ねむは魔法少女姿となって、武器として使用している本を開いた。

本が1人でに開くと中から光る紙が飛び出してきて、ハサミを持った妖精が体現されていった。

縁切りの物語から飛び出した君は数多の時空を跨ぐことになるであろう。

君はそんな時空達との縁を断ち切る」

縁断ちバサミのウワサ

柊ねむによって生み出されたそのウワサの魔力は私へまとわりつき目の前に浮かび上がって一つお辞儀をすると星を出して消えてしまった。

柊ねむはウワサを作ると必ずドッペルを出すほどの魔力を消費していたようだが、その大量の穢れは私が受け止めた。

柊ねむがドッペルを出さないことに他の3人は驚いていた。

「あれ、ドッペルが出ない」

「私が全て受け止めたからな。フィラデルフィアのコイルを使うよりは少ないのだな」

「カレンはそんな気遣いできたんだ」

「さて、依頼も完了して報酬も受け取った。
だが4人には言っておくが、円環の理について触れさせたり私がやろうとしていることにはかかわらせる気はない。
特に里見灯花、お前には円環の理に触れようとした前科があるらしいな。
絶対に触れようとするなよ」

「そんなこと言われても困るんだにゃー」

「土産話だけは聞かせてやる。
だからこの件を外部に漏らさないことも関わらないことも約束してくれ。
そういうことが起きている、あるという事実だけを知るで留めて欲しい」

「いいよ、わたくしも大人になったししっかり報告してくれるなら手を出さないよ」

「大人ねぇ・・・」

「何よねむ」

「要件は終わりですかね、では元の世界に戻しますね」

そういった後つづりは持っていた槍の石突で床をたたいた。
その後、私たちは元々いた場所へ戻っていた。

 

あれから私は一つのレコードを修正した。
その結果を見て私は今後も円環の理を通して別世界の歪を修正して回ることになった。
その報告をつづりへ行うと、ついにカガリと会えるようになった。

どの世界とも切り離された空間で、私は下に見える世界を座って見ていた。
そうしていると、背中の方で黄緑色の光が見え、その瞬間に懐かしい声が聞こえた。

「お姉ちゃん!」

声がしたほうを向くと、つづりの隣に記憶の中にあったよりも大きくなった妹の姿があった。
私より低かった身長は私を超し、髪は束ねているものの全体的な見た目はピリカに似ていた。

やっとだといううれし涙がをこらえて、私は妹へ声をかけた。

「久しぶりだね、カガリ」

カガリはそのまま走ってきて私へ抱き着いた。
それはカガリが実体ある存在だと気づかせてくれていて、昔のようにカガリの頭を撫でた。

「すっかり私よりも大きくなって。顔の面影以外別人みたいじゃないか」

「お姉ちゃんの見た目が変わらなさすぎるんだよ。
記憶の中にある姿とほぼ一緒だからびっくりしたよ。でも、その右手は別の意味でびっくりしたよ」

私の右手はアンチマギア製の刀で切られてからまだ再生できるほどアンチマギアが抜け切れていなかった。
そのせいがあって糸でつなぎ合わせながら糸で腕と指を動かしている状態だった。

「この世界で苦労した結果だよ。

ここには邪魔をするものもないし、山ほど積もったお互いの話をしようじゃないか」

「うん!」

切り離された空間にはつづりによって椅子が2つ用意され、そこで私はカガリが得意げに語り掛けてくる話を聞いた。

カガリは別世界に飛ばされた後、魔物を主導する邪神へ対抗するためにその世界の人間と一緒に戦っていたという。
その世界にはなぜか私たちが元々いた世界の神様までついてきていたらしく、神楽舞で魔物に対抗していたという。

「神も巻き込まれたって次元改変はとんでもないな」

「ほんとだよ。最初は神様も力を失っちゃってて、神楽舞を試すまでは人間と同じように一緒に過ごしたり、その世界の神様ともめ事になったりで大変だったんだから」

「それでも生きられているってことは邪神は倒したのか」

「一応ね。でも、お姉ちゃんには見せてもいいかな」

そう言ってカガリが立ち上がり、開示の舞と似た舞を踊ると、カガリの姿は青白いサキュバスのような見た目になった。
私はその場で驚いて立ち上がった。

「ごめんね、冒険している中でただの人間ではなくなっちゃったんだ。
体は魔物にされちゃったけど、心はいつもの私だよ。

こんな私でも、お姉ちゃんは妹だと思ってくれる?」

「大丈夫だ。今までの会話の中で見た目は変わってもカガリは私の妹に変わりない。
別世界でつらい思いをしてきたんだな」

「ありがと」

カガリは持っていた扇を閉じると見た目は人間に戻った。

「は~、一番心配していたことが問題なくてよかったよ。
ごめんね、私ばっかりおしゃべりしちゃって」

「全然かまわないさ。しっかりその世界の味方として動いていたようで何よりだ」

「お姉ちゃんはどう?見た目が昔と同じなのがとても気になってたの」

私はなまら話しにくかった。
まさかその世界にとって悪役となって地球から人間を追い出そうとする主犯になっているだなんて。
カガリに嫌われてもいいと思い、私は今までやってきたことを伝えた。

話を聞いていたカガリは、悲しげな顔をしたままだった。

話を終えるとカガリが一言口にした。

「お姉ちゃんが、人類の敵に・・・」

「嫌ってくれて構わない。人間や魔法少女を平気で殺してきたんだ。カガリの世界では悪魔と言われても当然のことをしてきた」

「受け入れがたいけど、お姉ちゃんを嫌いにはならないよ!
酷いことをしてきちゃったんだなっていうのはわかるけど、いま目の前にいるお姉ちゃんは、ちゃんと優しいお姉ちゃんだもん。
絶対嫌いになんてならない!」

私はほっとしたのかその場でうつむいた。

「そうか、そう言ってもらえると助かるよ」

そんな私にカガリは手を差し伸べてきた。

「気分転換に踊ろうよ!
ここだと躍るなって怒る大人もいないし」

私たちの世界では、私たちの踊りは神に刺激を与えるものとなってしまうため祭事以外に躍ることを禁じられていた。
踊りが好きなカガリにとってはとても苦痛な日々であった。

私はつづりの方を一度見た。

「ここでは気にしなくていいですよ。どこの世界ともつながっていないので、踊りによる効果はどの世界にも及びませんのでご自由にしてください」

「やったぁ!」

カガリが喜んでいる中、私はカガリの手を取った。

その後は二人で気が済むまで自由に踊り続けた。
周囲には黄色の光の粒が現れ、次々と天まで登って行った。

お互いに手をつなぎながら笑顔で、満足するまで踊り続けた。

 

お互いに元の世界に戻った後も、私にはカガリとの縁が見え続けていた。
そのおかげでなにがあっても心が潰れずに生きていくことができている。

頻繁にカガリと会えるわけではないが、縁のつながりがカガリの無事を伝え続けてくれる。

自暴自棄から始まったこの世界の活動が、いつの間にか別の次元含めた世界を守る側の活動になるなんて、昔の私には予想もできなかったことだ。
まさか今では生きたいと思う気持ちが強いだなんて。

生きようと思えるのは、心から大事にしたいと思える存在がいるが故なのかもしれない。

私はこの世界は好きではない。むしろ嫌いだ。

姉妹のつながりがあり続けている。
ただそれだけの理由で、私は生き続けている。

 

 

魔叙事詩カグラ・マギカ 続く・・・

【マギレコ二次創作】魔叙事詩カグラ・マギカ 2-4-13 奇跡が創る世界

日継カレンはアメリカ大統領であるケーネスがいるシェルターの場所をカルラから聞き出した。

その後、カレンはイザベラの遺体を持ってケーネスがいるシェルターの場所へと向かった。
シェルターの扉は開いていて、外にはケーネス本人も出ていた。

カレンはそんなケーネスの前までたどり着き、イザベラの遺体を見せた。

「魔法少女か。そしてイザベラ・・・腕が!」

「あなたがアメリカ大統領、そしてイザベラの叔父であるケーネスさんですね」

カレンがそう言うと、ケーネスの護衛をしていたボディガードが銃をカレンへ向けた。その瞬間にボディガードの1人はカレンが出した魔法の糸によって簡単に切り刻まれてしまった。

周囲からは一般人の悲鳴が聞こえた。

「銃を下ろせ。攻撃の意思がある者は気にせず殺す」

「何を偉そうに!」

歯向かおうとするボディガードへケーネスは制止を促した。

そしてケーネスはカレンへ話しかけた。

「私は魔法少女のことをよく知っている。そしてイザベラが生きて帰ってこなかった、核がこの世界から消えたということがどういうことを意味しているのか、私はよく理解している」

「話の理解が早くて助かります。

では、人類の敗北宣言を実施いただけますよね」

「人類の敗北だと?!」

状況を理解できない一般人はざわついていたが、ケーネスは静かに首を縦に振った。

「だが人類の代表が私でよいのか?」

「アメリカという国以外が人間を主導したことがありますか?
人類への影響力でいえば、あなた以外適任がいません」

「わかった。君たち魔法少女は人類へ何を望むのだ?」

カレンはケーネスへ事前にヨーロッパの魔法少女達で用意していた原稿を渡した。ケーネスはその内容を見て少し渋い顔をしたが、敗北宣言を行うことを受け入れた。

「いいだろう。イザベラの後始末、私が担わせてもらう」

その後はケーネスからマギアネットワークを通じて世界へ人類の敗北宣言が行われた。

世界の人間はこの宣言の意味をほとんど理解できていなかった。

ケーネスは人類敗北宣言を行った後に、この後人間がどうなってしまうのかを原稿の中身を理解した上で読み上げた。

地球上から人間を追い出す。

そのために人類には月へ移り住むことを今後の目標としてもらう。
世界中の残った人間は人種関係なく北アメリカ大陸のNASA宇宙局周辺へ全員詰め込ませてもらう。

魔法少女へ反抗する、危害を加えようとするものは容赦なく殺す。
人間の法律や権威はすべて意味を成さない。
魔法少女への抵抗は死を意味すると思ってほしい。

人類の敗北宣言が行われた後、カレンはペンタゴン跡地へと向かった。

 

ペンタゴンの地下ではディアがいるはずの場所へカルラが向かった

しかしそこに残っていたのは、耳や口から血を出して心肺停止したディアだったものが横たわっているだけだった。

ディアのクローンによる延命技術は、本体が壊れる前に乗り換えを行う仕組みであるため本体が壊れてしまうと意味を成さない。
クローン培養装置内には眠ったままの個体一体が眠ったままだった。

クローンが培養器から出てくる前に本体との脳内データリンクが途切れてしまうと、クローンは本体とは違う人格が入ってしまうと過去の実験で実証済であった。そのためディアの脳内データが正常に引き継がれている確率は絶望的だった

ディアは脳内データの引き継ぎがうまくいかず、死んでしまった。

本体が壊れてしまった理由としてはデータが残っていて、高熱の魔法に晒された状況で大量のドッペルによる攻撃や魔法による攻撃を受け、一度に複数体のクローンが絶命した。このことによる脳内にもたらされたデータストームに耐えられなかったことが原因であった。

カルラは残ったクローン培養装置を開いてクローンを起こしたが、残念ながらクローン体は周囲を見渡した後に赤子のように泣き出してしまった。

「また私は錬金術師を潰しただけか」

カルラは悔しい感情を抱きながら槍を出現させ、その場でクローンを殺した。

「ディア、すまない。
私はお前を引き留めるべきではなかったのか。

私はあと何人の死を見届けなければいけないんだ」

カルラはその場で自分を刺そうとした。
そこへカレンが居合わせた。

「おかしいですね。
師匠からあなたは強い人だと聞いていましたが」

「・・・キミアは私への過大評価が過ぎる」

カルラは出現させた槍を地面へ力強く突き刺した。

「私は結局なにも生み出せなかった。今回で思い知らされたよ。
キミアへ大口叩いておきながら、魔法少女を高みへ導けたキミアに比べ、私は人を新たなステージへ導くために犠牲しか出してこなかった。

そしてこの結果だ。

感情を殺していたはずなのに、どうしてこんなに悔しさがこみあげてくるんだ」

そう語ったカルラは無意識に涙を流していた。

そんなカルラへカレンは近づき、カルラの横にあぐらをかいて話しはじめた。

「師匠もあんたと同じことに悩んでいたよ。

愚痴を聞いてくれと切り出された後、師匠はこの世界の人について絶望しているといっていた。


人は私が錬金術を教えた時から技術は進んでも、人の本質は全く変化しようとしていなかった。

死なない程度の食糧を蓄えて同じ土地の人々と助け合い、侵略者から土地を守るために「集団とリーダー」という概念ができた。

そこまでならよかったものの、技術が進んでやれること、やるべきことが増えるとリーダーはその土地を便利にするために、別の地域とのやり取りが欠かせなくなっていった。

初めての他国とのやり取りはそんなための事だったはず。

いつしか人は「自分のために」と考える輩が増えて、そこで人の本質の進化は止まった。

「自分のために」を重視する輩が集まった結果、「人間社会」が作られてそれが人のスタンダードになってしまった。

進化を促す芽を持った者もいたが、そのほとんどは「自分のために」を重視する「人間社会」の標的となって消されていった。「自分のために」には「現状維持」が必須だからだ。

魔女裁判や人種差別、常識という固定概念はいい例だ。

それが変わらず今まで続いている。

変えようとしたら何十億人という人々が「人間社会」と「金」を駆使して潰しにかかってくるこの世界で、人間の本質が進化すると思ったか?

魔法少女に賭けたが、結局は「人間社会」に消されるだけの運命だと悟っていた。

そんな絶望の中で、カレン、お前のようなこの世界の概念に抗う大きな力を持つ者がいたからこうして希望を抱けているのだよ。

どうがんばっても詰みな世界なことは師匠も承知していた。
アンタが何も生み出せなくても、攻める必要はない」

「そうか、カレン、お前がいたからこそだったか。

お前はいったい何者なんだ?」

「それはもっと親しくなってから話すことだ。

そのためにもまずは手伝ってくれないか。地下にあるアンチマギア施設の今後について協力してほしい」

「そうか。ならばもう少し長生きしてもよいかもしれない」

そう言ってカルラは槍を消し、目の前のディアの入れ物になるはずだった死体へ手をかざすと死体は青い炎に包まれた。

「火は気にするな。焼き尽くした後自然と消える。
アンチマギアを理解できる魔法少女はいるか?」

カレンは立ち上がってから答えた。

「わかっていると自称しているやつは既に地下にいるよ」

「そうか、まったくわからないよりはいい」

ペンタゴン地下に存在するアンチマギア製造装置は、最終的には聖遺物として扱うこととなって解体し、ヨーロッパへ輸送することとなった。

 

世界中では人類の敗北宣言の通り、人間の大移動が開始された。

魔法少女とのみ生活を共にしていた人間は対象から外されたが、人間社会の中で一定期間生活した人間はすべて移動対象となった。

これは人間社会という概念を破壊するためである。

主に陸路と海路が使用された。人間輸送を担当したのはヨーロッパの魔法少女と、戦いを好む魔法少女達によって実施された。

指示に従う人間は大人しく車両や船へ乗り込んでいったが、納得できないもの達は魔法少女達へ自分たちの立場と人間の常識を持ち出して反抗した。

しかし魔法少女に人間内の常識や階級は関係ない。

大手会社の社長であっても一国の議員であっても問答無用で船へ押し込んだ。

言うことを聞かない人類は多く、この時点で多くの人間が魔法少女に殺された。

魔法少女への対抗手段がない人間は次第に抵抗する者が減っていった。

人間を船に詰め込んだ後もトラブルは発生した。

移動中は人間用に用意された水と非常食しか載せられておらず、摂取量を守れないものがいた船は目的地に着く前に餓死者が出始め、内部で暴動が起きた。

魔法少女に危機が及んだ時は、エンジン室を破壊した後に魔法少女は船へ持ち込んでいたミラーズの鏡で避難した。

船に乗っていた人間は船の爆発に巻き込まれてそのまま海底へ沈んでいった。

地上では魔法少女から隠れてゲリラ化する人間が現れ、輸送が落ち着いた後はしばらくゲリラ化した人間の掃討が行われた

北アメリカ大陸へ固められた人類は外部へ逃げ出さないよう南北アメリカの魔法少女達に監視されることとなり、脱走者はすぐに殺された。

今の状況に納得しない人間がいる中、NASAを中心に月へ移住する計画が進められた。

その計画には錬金術師と魔法少女も協力し、科学や化学では解決できない問題を魔法で補い、期間短縮を図っていた。

北アメリカ大陸へ密集した人間は人間社会という仕組みを捨て切れず、人種ごとにコロニーを形成していた。

外部から食料や水が提供されないため北アメリカ大陸内での自給自足を余儀なくされた。

植物や家畜を育てやすい場所とそうではない場所があることで、コロニーの領地争いが当たり前のように起きた。

平和解決しようと話し合いで収まったコロニーはあったが、なぜか資源の優先権についての話が持ち出されて結局は揉めてしまった。

金についても種類がバラバラで金の価値を決める市場が無くなってしまったため、何で価値を測ればいいのか混乱が起きた。

アメリカ合衆国のコロニーがドルを基準にしようと言い出すと、ユーロ使用国が対抗してユーロを基準と言い出してどんどんと本来の金のあり方から遠ざかる議論が展開されてもいた。

そういった今までの生活様式から脱却できない人間はリーダーは、ルールは、誰がどこに住むのかという最低限の衣食住を全員が確保できるようにするという話に行き着くまでは時間がかかる状態であった。

 

魔法少女達はどう生きていくべきか試行錯誤を開始していた。

ヨーロッパや神浜での過ごし方を基準として考えられ、

・リーダーはつくらない

・金のような価値を代理するものは作りださない

まずはこれが最重要事項として、まずは最低限の暮らしができるよう衣食住を中心に皆が動いていった。

国という煩わしいものがなくなった今、国境というものを気にせず農業から始まり、畜産や漁業とできることから始めていった。

怠惰な魔法少女達も衣食住を整える重要性をテレパシーで共有され、いやいや協力してくれていた。

もちろんトラブルがないわけではない。

「おいおい、チョコを残すべきだからここはカカオ農園にしたほうがいいだろ」

「いやいやチョコなんて加工が難しいし、挽けばいいだけのコーヒー豆がいいだろ」

テレパシーでも譲れない状態になることは多々あった。
そんな状態になったときに、血気盛んなヨーロッパの魔法少女達が意見を出した。

「そういうことなら喧嘩で決着をつけようじゃないか。
場所は用意してやるから準備しておけよ」

ということが引き金となり、戦う力を鍛える場にちょうど良いとしてコロッセオを再利用した闘技場が用意された。

闘技場はかつての見世物や賭けの場となってはいけないということから、管理者を置くべきではないといわれていた。
だが結局は仲裁や死者を出さないようにということから、争いごとに慣れた二木市の魔法少女やヨーロッパや中東の血の気が濃い連中が闘技場を見守るようになっていった。

二木市の魔法少女と言えば、結奈は存命だ。

戦いが終わってソウルジェムにヒビが入ったまま神浜に戻ったのだが、その様子を見たいろはが結奈のソウルジェム修復を実行したらしい。

そのおかげで結奈のソウルジェムは元に戻り、変身後の姿は角が生える前の本来の姿に戻ったらしい。
結奈は心からいろはに感謝したという。

「ありがとう。神浜にいるあなた達との向き合い方、しっかり見直さないといけないわね」

これをきっかけに神浜の魔法少女と二木市の魔法少女との間で和解が完全に成立したらしい。今は仲良くやっているという。

丁度良いので現在の神浜についても話ておこう。

神浜は魔法少女だけでどう生きていけばよいのか迷う魔法少女達がまず行く場所となっていた。

テレポートの実験が成功していたこともあり、ヨーロッパだけではなくオーストラリアや南北アメリカ大陸、ロシアやアフリカにもテレポートが設置された。

神浜で衣食住の確立方法を学んだあと、学んだ魔法少女達は地元へ散っていくらしい。

その学びの中で、物々交換では限界があったようだ。
ゲームの中にあるようなクエスト形式で物のやり取りがされるようになった。
依頼を受け、報酬としてモノを受け取る。
主に食料や材料は依頼の品として納める必要があり、その見返りとして料理やモノを提供するといった感じだ。
中には材料を報酬として、材料を手に入れるための手伝いを依頼ということもある。
労力が物の価値と割に合うかなどは今も試行錯誤中らしい。

いろはを含めたみかづき荘のメンバーは衣食住を学びたい魔法少女達のサポートを行っている。
主に思いやりといった心について教えて回っていて、他の魔法少女がやりたがらない作業も進んで実施している。
いろはは相も変わらず自分のことが後回しになっているようで、疲れている様子に声をかけても「大丈夫」と言うだけで不安になっている者は多い。

神浜では歴史収集にも積極的だという。
魔法少女の歴史を残すうえでは旧時代の人類がやってきたことも後世に残すべきだとし、本好きの魔法少女達が世界に残っている書物を神浜に持ち込んでいる。
マギアネットワークに取り込まれたネット情報だけではなく、現物として残っている書物は大変貴重らしい。
そんな集まった書物たちを管理するために、かこもこの取り組みに参加しているらしい。
時には古本を当時の新品に能力で変えてしまう魔法少女もいるようで、読み解くには助かるが少し残念がる魔法少女も出たという。

歴史でいうならば、各土地に残る文化を残そうと活動する魔法少女達もいる。
時女一族は自分たちの持つ文化と共に日本の文化を守る活動を開始していた。
そこに賛同する日本の魔法少女達が集まり、日本の文化にあこがれていた魔法少女達はその活動に注目した。
部族出身の魔法少女達も文化を守りたいと時女一族を参考に、文化を守る動きをはじめていた。
主に無形文化財と人間が指定していたものは、このように魔法少女達が守っていくようになった。

見滝原の魔法少女達は相談した結果、マミを中心にして茶菓子の店を始めたらしい。
茶菓子店を魔法少女だけで確立させたのは初めてらしく、多くの魔法少女が詰め寄って初日は大変だったという。
今では世界中に菓子店などが増えたが、今でも味の評判は変わらず見滝原の魔法少女達が営む店には来客が絶えないという。

 

魔法少女だけで生きる道を開拓し始めたはじまりの地と言えるヨーロッパの隠れ家は、その役割を神浜に移して今はテレポートやマギアネットワーク、人類の排除状況、クエスト管理といった管理面の拠点となっている。
クエスト管理はマギアネットワークを利用して発行と完了状況が管理できるようになっている。
この拠点にはミアラの姿がなくなっている。
それはなぜか・・・。

この世界を救い、変えるきっかけとなったカレンは過去に多くの悪業もしているため、多くの魔法少女達の目の敵となっていた。
そんなカレンは魔法少女達の嫌われ者を続けており、各地の困りごとを解決しながら魔法少女達のガス抜きを行っている。
追いかけられては打ちのめして追い返す。そんなことを繰り返しているが、カレンは今でも元気にしている。

カレンがいつまでも元気そうな姿のため、協力者がいるのではと魔法少女達は考えを巡らせている。
協力者がいるのは事実で、ミアラがヨーロッパから姿を消したのはそのためだった。
新たな隠れ場をオーストラリアに用意し、カレンをサポートし続けている。
そこにはジーナやヨーロッパの魔法少女達も関わっており、かこも監視役として参加している。
カレンをサポートしている彼女たちだが、時にカレンが本当にどこに行ったのかわからなくなる時があるらしい。
この世界から消えてしまったのかというくらい姿を見せない期間が少しあり、しばらくすると何もなかったかのように姿を見せるらしい。
カレンとよく会っているカルラは「別世界も救いに行っているのではないか」と冗談交じりに言う。近くにいるキュゥべえも「カルラの言う通りかもよ?」と最近は冗談も覚えて笑って言って来るだけであった。

カレンは本当に別世界も救いに行っているのではないか、そんな噂が飛び交っている。

 

人間が月へ居住区を作り出すまでにも様々な出来事があった。

ロケットの打ち上げはもはや人体実験と言って良いレベルで繰り返され、多くの人間が犠牲になった。

重力脱出速度を実現させる方法として、ロケットの切り離しによるその場しのぎな方法は資源の無駄とされ波動砲の原理を使用したソニックロケッターという方法が考案された。

これは波動砲に使用された魔法石が生み出す衝撃波を初速を生み出すエネルギーとして利用し、減速することなく重力圏を脱出させるというものだった。

宇宙に出てからは水素燃料を消費するロケットへ切り替えられる。

発射台は垂直ではなく、地上から66.6度傾けた大型衝撃砲を使用する。

つまり衝撃波を生み出すのは発射台であって操縦席やコンテナは弾丸という扱いになる。

この初速に必要な魔法石の実験や、初速に人間が耐える方法のために多くの犠牲が出た。

そして大きな問題は打ち上げられる機体に地球へ戻ってくる方法が考慮されていないことだった。

人間側の研究者はもちろんそこを指摘したが、主任の魔法少女である灯花はこう答えた。

「追い出すことが前提なのに、戻ってくることなんて普通考えないでしょ?」

その回答を聞いて、カルラをよく知る研究者はカルラに助けを求めた。

「カルラさん、あの子をどうにかしてくださいよ」

「人間が絶滅する前に月へ定住できる方法を見つける方が早いだろうさ。
かかるGの抑制も、着陸後の生命維持施設の確立まで行けているのだからもう一押しさ」

「そんな・・・キュゥべえさんも何とか言ってくださいよ」

白衣を着てカルラの助手となったキュゥべえは表情を変えず答えた。

「ぼくとしても人類・・・いや今は人間と呼称するのが正しいかな。人間が絶滅するのは困るからね。
灯花には遊びもほどほどにとは言っておくよ」

「今まで遊びも含まれていたんですか?!」

キュゥべえは最近覚えた苦笑いを研究員へ見せた。

そんな中、人間は月へ到達することへ成功し、酸素が切れて窒息死する前にコンテナへ積んだ生命維持施設の設置に必死となった。

五月雨式に人間は月へ強制的に打ち上げられ、体の弱い老人などは初速のGで死んでしまったものも出た。

それでも人間の追い出しは強行され、アメリカ大陸から最後の人間が打ち上げられた頃には計画着手から50年が経過していた。

50年が経過すると魔法少女達は生活を安定させて活動しており、ほとんどは寿命を捨てて魔法少女になった頃の姿をとどめていた。

魔法少女でも子どもを求める者たちが現れ始め、ディアのクローン技術を応用した赤子の生成技術について進展も開始していた。

 

そこからさらに20年経過し、ある2人の魔法少女に育てられた子どもは、この魔叙事詩を見ていた。

「お母さん、私は今は人間なの?魔法少女なの?」

「鈴花ちゃんは人間だよ」

「私も魔法少女にならないといけないの?」

「無理になる必要はないよ。

魔法少女になった後に困ることをしっかり理解してから、どうしようか考えようね」

「そっか」

「梨花ちゃん、鈴花!

ちょっと手伝って!」

「わかったよ!

鈴花ちゃん、れんちゃんのとこ行こうか」

「うん!」

魔法少女の間に生まれた子どもは全員女性となるようになっており魔法少女の適齢期に入るまでに魔叙事詩で魔法少女について学ばせる場合が多い。

魔叙事詩にはこの世界でしか起こらなかった出来事が多数記載されている。

佐鳥かごめによってまとめられたマギアレコードと呼ばれる魔法少女の記録とは別に、ヨーロッパの魔法少女たちも関わった裏文書として魔叙事詩が執筆されている。

その魔叙事詩は今の魔法少女中心の世界に導いた存在 日継カレンにちなんで

『魔叙事詩 カグラマギカ』

と名付けられた。

この世界ではマギアレコードよりも魔叙事詩の執筆が進んでいる。

マギアレコードの執筆が途絶えてしまっても、この世界では魔叙事詩のページは増え続けるだろう。

この世界が続く限り、ずっと。

 

月に放り出された人間は、地球を取り戻そうと躍起になっていたが魔法少女達はそれを阻止することはなく放置していた。

そんな月にキュゥべえが訪れ、ひとりの少女と話をしていた。
その少女は、先祖代々受け継がれてきた魔法を打ち消すペンダントを持っていた。

「キュゥべえ、あなたは何でも願いをかなえてくれるんだよね?」

未だにディアとおなじ見た目をしているキュゥべえは少し困った顔をしながら答えた。

「君の因果量は確かにすごいが、願いたい内容によっては少し考えちゃうかな。
それに、ここで願ったらどのような扱いを受けるか、君ならわかるよね?」

「わかっているよ。
だから覚悟のうえで願わせて」

「そうか、君はその命を対価にして何を願うんだい」

「私の願いは・・・・!」

 

 

そう、どうなろうと、この魔叙事詩に次々物語は綴られていく・・・。

いつまでも、恒久に。

 

新時代へ導く神楽舞(カグラマギカ)  完

 

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【マギレコ二次創作】魔叙事詩カグラ・マギカ 2-4-12 カグラマギカ

カレン達は通路を急いで進み、地下7階部分の穴から外へと出ていた。

カレンはデコーダを浮かせて糸をペンタゴンの壁へ貼り付けてワイヤーアクションのように移動して屋上へと向かった。

その後を追うようにジーナとかこも壁を登って行ったがカレンには追いつけなかった。

ペンタゴンの屋上には自動砲塔が用意されていたものの、電気が通っていないのか銃口を下げた状態で動こうともしなかった

そんな屋上をただ通り過ぎたカレンはペンタゴンの中庭まで走り抜け、中央に立つ電波塔へデコーダをかざした。

「入場可能コードを確認」

電波塔の扉からアナウンスが聞こえた後、扉はロックが外れる音を出して自動で開いた。

電波塔の中は薄暗く、大きな画面とキーボードが一つ、そしてデコーダを差し込むことができる端末ひとつしかなかった。

カレンがデコーダを端末へ差し込むと画面が起動して接続先を聞いてきた。

その選択肢にはマギアネットワークの選択肢もあった。

[ここからはシオリの出番だね。

ピリカは希望を集める準備をして]

[わかったよ]

[後はこいつで集めた希望を願いへ具現化できるかだけど]

シオリはカレンの体を借りてキーボードを打ってネットワークを繋げていった。

大きな画面には次々とネットワークが繋がってゆく様子が映し出されていた。

[アドレス知らなくても繋げてくれるから楽勝だわ]

画面に映し出された接続先に全て接続されたことを確認したシオリは、ピリカへ体の操作権を譲った。

「イペタム、デコーダを通して希望を集めて!」

目の前にイペタムが現れ、デコーダから希望を吸い上げ始めた。

さらにデコーダにはカレンの糸が接続され、世界中へ語りかけた。

カレンの語り掛けはデコーダによって統合されたインターネット、マギアネットワークを通して世界中の魔法少女達へ伝わった。

[魔法少女達、今この世界ではもうすぐ核ミサイルが発射されてしまう。

だが、何もすることもできないとあきらめないでほしい。

核ミサイルなんてものともしない明るい未来があると、希望を捨てず願ってほしい

その皆が輝かせた希望を、私たちが願いへと変換してみせる。

だから、あきらめず輝かせてほしい、皆の希望を!]

その声を聞いて気絶していたミアラが目を覚ました。

ミアラが目を開けたことで周囲の魔法少女達が歓喜した。

「ミアラ!よかった目を覚ましてくれて!」

「頭痛はひどいが、なんとか生きているようだ。

今の状況は最悪で、頼みの綱はカレンといったところか」

「ミアラにも声が聞こえていたの?」

マギアネットワークがろくに機能しない状況でよく声をここまで届けられたものだ

まあ今は願って協力するしかない。皆の未来のためだ」

戦闘が行われていない地域では魔法少女達が核のない未来を思い描き始めており、魔法少女達の周囲には黄色く輝く光が空へ飛んでいきはじめた。

戦闘が行われている地域では、手を止める魔法少女が出始めるものの、警戒のために祈りまでに至るものは少なかった。

「人間にさっきの声は聞こえていないのかよ!」

「手を止めないってことはそういうことだろ。

つくづく残念な奴らだと思ってしまうよ」

「仕方ない、他の奴らに願ってもらってことが済むのを待つしかない」

戦闘中の魔法少女はこんな考えに至るものが多かった。

魔法少女達が抱く希望はインターネットを介してデコーダを中継して電波塔へ集められていた。

「足りない。この程度の希望だと核ミサイルの脅威を覆せない」

[人の罪を覆すほどの希望が足りないって言うのか。

まあ殺された数と戦闘中の魔法少女もいるとしたらそうなってしまうか]

[ダメだよ、敵わないで終わるだなんて]

カレンは電波塔を出て中庭へ出て両手に糸で形成された扇を持った

[カレンやめろ!今やってもソウルジェムが耐えられない!]

シオリがそう言ってもカレンは止まろうとしなかった。

「気にするな。ただ神頼みするだけだ。

神呼びの神楽くらいなら死にはしないよ」

カレンはその場で神呼びの神楽と呼ばれる舞をはじめた。

神呼びの神楽はカレンが異世界から来た人物であることの証である。

カレンがもといた世界では世界の安寧を保つために定期的に行われていた演舞があった。それは神呼びの神楽と呼ばれていた。

例えその世界へ意地でも干渉しようとしない神であったとしても、神呼びの神楽だけは快く受け入れ、世界に降りて人々へ信託と力をもたらしていた。

神呼びの神楽には舞子となる人物の素質が反映されていて、基本となる踊りの型は体が覚えるまで練習が必要だが、ほとんどは心のままに踊ることが主流であった。

そのため舞には舞子の価値観がそのまま反映されて、その内容によっては神が降りてきたあとに人々へいきなり説教を始めたこともあったという。

カレンの場合は両手の扇を開いたまま周囲から何かを引き寄せる動き、その後は周囲へ何かを撒く動きをした後に両手の扇を閉じて3度ぶつけ合う。

再度扇を開いて両手で波を描くように上下へ振り、身体は円を描くように歩いていた。

これを神から応答があるまで続ける。

両手の扇を閉じて3度ぶつけ合うことは、カレンがいた世界では神に対する不敬となる行為であった。

神のこれまでの行為を嘲笑う。そんな意味が込められてしまっていると言う。

カレンが踊る神呼びの神楽は不敬上等な内容であり、「世界を見守る立場でこんな結果になるまで放っておく奴なのか」そういう想いが反映された結果であった。

しかしこれはカレンがいた世界での解釈。

この世界ではこの舞で、一度神に似た何かがカレンへ応答したことがあった。

カレンはそれを頼りに舞を舞っている。

[さあ答えてみろ。

一度繋がったんだ、この事態でこの世界を見捨てるような奴なのか?]

カレンはそう思いながら舞い続けた。

そして、聞き覚えがある声が聞こえてきた。

[やっと見つけた。あなたの声は聞こえているよ]

カレンの舞に反応したのは鹿目まどかに似た声の「何か」だった。

その声が聞こえた後に、「何か」は世界中の魔法少女達へ語り掛けた。

[大丈夫、みんなの頑張りを絶望で終わらせたりはしない]

その声が聞こえた後、世界中の空からピンク色に光る羽根が落ち始めた。

ピンク色に光る羽根が地面へ落ちると、地上から次々と黄色い光が天へ登り始めた。

これは魔法少女だけではなくただの人間にも目視できるようで、戦いの中にいる魔法少女と人間双方が手を止めた。

「何が起きているんだ」

世界中の戦いが止み、魔法少女達には再びカレンからのメッセージが聞こえてきた。

[お願いだ、みんなの希望を輝かせてくれ。

願ってくれ、核ミサイルが地上に落ちない未来を!]

戦っていた魔法少女達は無理を承知でその場で祈り始めた。

「いいよ願ってやるよ、叶えてくれよカレン!」

この不思議な現象は神浜でも発生していて、全ての魔法少女が希望を抱きながら祈っていた。

灯花とねむは空から降ってくるピンク色の羽根を見てどこか懐かしんでいた。

ワルプルギスの夜を討伐した時もこんな現象が発生していたよね」

「灯花が無理して観測しようとして、結局断念した挙句にあらぬ疑いも生んだことを覚えているよ」

「もう、変な話を掘り返さなくていいから」

「仮説でしかないが、魔法少女を後押ししようとする何かの力であるのは確かだね」

「これだけじゃ終わらないはずだよ」

そんな中、なぎさは動かなくなったピンク色のキュゥべえを掴み、空を見上げるだけだった。

「もう、なぎさが探すまでもなかったのです。

あのカレンって奴が円環の理との接触を図った奴だったのですね。

もうここまで繋がったら円環の理とピッタリ繋がったも同然なのです。

円環の理はそれで良いのですか。ほむらの時のようなことが起きても知らないのですよ」

カレンは動きを一度止めて別の舞に切り替えた。

[自称神、希望収集を手伝ってくれ。

願いは私が叶える]

[カレン?]

シオリやピリカも不思議に思う中、カレンは両手の扇を広げた後、左右から顔の前で奥義が重なるようにゆっくり動かした。

カレンはゆっくりと目を閉じた後に目を開いて両手を天へ向けた。

「希望を、願いへ!」

カレンがそう唱えると電波塔に集まっていた希望は糸をつたって一気にカレンへ流れ込み、扇を通して天へ希望が流れていった。

[カレンやめろ!こんな量を仲介したらソウルジェムが壊れる!]

[知ったことか。1人の犠牲で一つの世界が救われるんだ。安いものじゃないか]

カレンは扇を地面に向けたまましゃがみ込み、地面を掘り返すような動きで立ち上がって扇を天へ向けた。

しばらくはその動作を周囲に行った。

この間に地面からは希望と同じ光が天へ向かっていった。

そして同時に不可思議なことが起こっていた。

カレンへ向けて祈っている魔法少女達の周囲には、死んだり魔女化したはずの魔法少女達が幽霊のような姿で現れるようになっていた。

ミアラの近くにはアンカーを操っていた魔法少女が笑顔で現れていて、近くにいたレベッカには肩をポンポンと叩いて励ましているようだった。

「なんだよこれ、ずるいじゃないか」

泣いてしまったレベッカの涙を拭ったアンカーを操っていた魔法少女は何も喋らず、レベッカの頭を撫でるだけだった。

「これは。バチカンの時とは違う。
何が起きてるんだ」

いろは達の近くにはかなえやメルの他に十七夜やみたま、ももこ、レナ、かえでとたくさんの魔法少女達が現れていた。

「みんな、力を貸してくれるの?」

いろはがそう尋ねると皆恥ずかしそうな笑顔を見せた後にうなづいた。

「ありがとう、みんなお願いね」

半透明になっているメンツに十七夜が混ざっていたことにやちよは悲しんでいた。

ひなのや令達のところへも十七夜は現れ、皆が十七夜の行方を察してその場で悲しんだ。

欄のところへは燦が現れていた。

「今更目の前に現れてなんの用だ。

化けて出るならみふゆさんのところにでも行け」

燦はどこか自信ありげな顔をした後に欄へ指を差した。

「消えてからもイラつかせる奴だな。これから私は好きに生きさせてもらう。

もう構わず成仏しろ」

そう言う欄を燦は困った顔で見つめるだけだった。

ペンタゴン周辺でもこの世を去ったはずの魔法少女達が出現していた。

結奈と樹里の近くにはアオとひかる、そして結奈の先輩が出現した。

その姿を見て、弱々しく樹里の膝の上に頭を乗せていた結奈がつぶやいた。

「あら、もう迎えがくる頃だったかしら」

「縁起でもねぇこと言うんじゃねぇ」

そんな2人を見守っていた博のところへ咲とツバキが戻ってきた。

「博!なんともなかったか」

ツバキがそう博へ話しかけると、博の後ろから1人の魔法少女が笑顔で顔をのぞこせていた。

「トドロキ!」

トドロキと呼ばれる魔法少女は三重崎の魔法少女のメンバーであったが、カレンとの揉め事で殺された魔法少女だった。

「ふむ、カレンは粋なことをしてくれたようだな」

博が1人で納得しているとツバキがトドロキへ抱きついて泣いてしまっていた。

質量はあるようで、トドロキはツバキを受け入れることができていた。

「今はあの世と近いってことか?」

「いや、魔法少女はあの世とか言う概念なく漂っているだけじゃないのか。

幽霊みたいにさ」

「幽霊ねぇ。一体何千年分の魂が溜まっているんだか」

ペンタゴンの屋上では空を見上げていたかこの近くにななか、あきら、美雨が現れていた。

自分が作り出した再現ではないとわかった瞬間に、かこはななかの手を握り、膝をついて泣きながら懺悔した。

「ごめんなさい。私が弱かったばかりに皆さんを・・・
ごめんなさい・・・」

3人は優しい顔でかこの頭を撫でるだけだった。

そんなかこの様子を眺めていたジーナの近くには、同じく魔法少女になって魔女化してしまったジーナの妹が現れていた。

「なんだよ、あの時と同じ大きさじゃないか。

お前を魔法少女にするべきじゃなかったのに、悪かったな」

ジーナの妹は不安そうな顔をしていたが、首を横に振った後に満面の笑みを浮かべた。

「励ました気か?ありがとよ」

 

ペンタゴンの外まで来ていたカルラとイザベラは大きなペンタゴンの残骸付近にいた。

カルラはイザベラを残骸に寄りかかるよう座らせて、イザベラがつけているインカムを外して近くに投げ捨てた。

その瞬間にイザベラの頭には希望を願う魔法少女達の声が聞こえてきた。

「何が、起こっているんだ」

意識が朦朧としているイザベラの近くには半透明な魔法少女が立っていた。

その姿は黒髪で白人にしては鼻が少し低め、イザベラと同じく目はこげ茶色だった。

そして声が聞こえてきた。

「もう、ここまでめちゃくちゃにしちゃって悪い子ね。

でも私はイザベラを否定しないよ。よくここまで頑張ったね、えらいえらい」

「誰の声だ?」

イザベラは声がした方向にいる半透明な魔法少女の顔を見ても誰なのかはわからなかった。
しかしその声と漂う魔力からは懐かしさを感じていた。

そんな2人を横目に見ていたカルラは半透明の魔法少女へ話しかけた。

「言葉を伝えられるのはお前だけか」

カルラの問いに反応して半透明な魔法少女が反応した。

あなたは声を伝えるべきっていう円環の理とカレンからの粋な計らいだよ。

イザベラがお世話になっております」

「円環の理か…
それにしてもこんな結末で褒めるとは、母親としてどうなんだ」

「あら、長く生きているのに何も変えられなかったあなたが言うこと?
人を変えようと一生懸命足掻いたイザベラの方がましじゃないかしら」

「知ったような口を利くじゃないか」

そう話している間にキュゥべえがカルラ達に追いついた。

「やっと追いついた。

イザベラがまだ生きているようで助かったよ」

「何をする気だ」

カルラがそう聞くと、ディアがいつも見せていたような悪い笑顔でキュゥべえが答えた。

「それはもちろん」

キュゥべえがイザベラの顔を見ながら問いかけた。

「イザベラ、僕と契約して魔法少女にならないかい?

君ほどの因果量であればこの状況を覆すことが可能だろう」

「この期に及んで貴様は」

カルラはそう言って呆れている中、半透明な魔法少女は不安そうな顔をしていた。

イザベラはアンチマギアと失血によって意識が朦朧としている中、右手で拳を作り、鬼のような形相で答えた。

「ふざけるんじゃない。

人類史は人類自らが作り替えたり覆すからこそ意味があるんだ。

魔法少女なんて力、死んでも借りる気はない!」

「やれやれ。

シャルロットからも娘であるイザベラを説得してくれないか」

「私がそんなことをするわけないじゃないの。諦めなさい」

「人間の親子というものには絆というものがあるんじゃないかい?

それならなおさら」

カルラは空を見上げながらキュゥべえへ話しかけた。

「そこまでだインキュベーター。今後もお前を見張らないといけないことはよくわかったよ。

お前達的には今の状況をどうも思ってはいないのか」

キュゥべえはカルラの隣まで移動してから話しかけた。

「やりようがなければ必死にイザベラを止めていただろうね。

でも今は日継カレン達がどうにかできるという期待があるから焦るべきことではない。

彼女達には実績があるからね。君の友人であるキミアを葬ったのはこの力だよ」

「そうか、キミアに対してこんなことがされていたのか」

「希望を集めて願いを実現させる力、そりゃ興味が湧くよ。

個体数がいれば念密に観察を行いたかったよ」

「だが、今回はどうだろうね」

カレンはペンタゴンの中庭で踊り続けていて、扇で波を描くようにその場をくるくる回っていた。

カレンの体は青白く輝くようになっていて、カレンを通して地上の輝きが空へと流れていた。

そしてついに核ミサイルのカウントがゼロとなり、全世界の核を搭載したICBMやミサイルが空に向かって打ち上げられた。

カレンは天高く扇を掲げて願った。

「核兵器や放射能による被害を、この世界から打ち消して!」

その願いは世界中の魔法少女達にも伝わり、天を漂っていた希望の光は地球全体を包み込んだ。

地球を包み込む光は全てカレンを通して形成されていった。

カレンの体からは青白い粒子が空へ飛んでいくようになり、カレンの両方手の甲にある宝石は静かに砕けていってその破片はカレンを包み始めた。

無情にもICBMは空高くへ飛んでいき、外気圏へ突入した。すると軌道が修正される前に次々と外気圏でミサイルが爆発していった。

爆発した後は爆風や放射能が周囲に広がる前に黄色い光が包んでいった。

次々と核の爆発を包んだ光球が形成されていき、それらを魔法少女達は固唾を飲んで見守ることしかできなかった。

地上には上空からピンク色に輝く羽根と共に黄色い光が落ちていき、地上にたどり着くと波紋を生んで消えていった。

これによって核汚染された地域の放射能が次々と安全値まで減少していった。

原子炉や原子力発電所では反応が止まっていき、反応寸前までは推移するものの核分裂した瞬間に光に包まれて放射能も熱も生まれなかった。

空はすべての核を搭載したミサイルが外気圏で炸裂するまで、太陽が近くにいるかのような眩しさに包まれていた。

半透明な魔法少女は反比例するように次々と地上から姿を消していった。

その様子を見ていたカルラは1人でつぶやいた。

「地上付近で起爆するものはなさそうだ。

放射能については調べてみないと確証は得られないが」

その呟きにキュゥべえが反応した。

「彼女達の願いは実現されているだろうさ。

そうじゃなければこんな奇跡自体が発生しない」

「お前達がやっている願いを叶える方法と近いということか」

「希望を消費しているから僕たちとはプロセスは違う。だが願いが叶うまでの流れは同じと言っていいだろう。

彼女達の願いは地球付近だけだが概念を書き換えた。

人間がここまで僕たちに近づいてしまうとは、驚いてしまうよ」

「そうか」

「こんなことはこの世界の概念にとらわれないカレンの能力だからこそ成し得た結果だろう。こんな逸材を残し続けたキミアには感謝しないとね。
カレンは自分の能力を神楽と呼んでいたし、まさに今回の奇跡は
カグラマギカ
と呼ぶべきかな」

「概念にとらわれない能力か」

カルラは心の中でつぶやいた。

キミア、お前はいつも回りくどいが最良の結果を導き出してきた。

魔法少女にこの星を任せるべきというお前の仮説は、今目の前で立証されたよ。
この世界は魔法少女を中心に変わっていくことだろう。
まったく、お前が弟子を取るのは意外だったが、この結果を見て納得だ。

だがお前が死ぬ必要はあったのか?おまえ自身が立証のための生贄とならなくてもよかっただろうに。

いつも結果が出た後の後始末を私に押し付けてきたが、今回お前が死んだのはそのつもりだったからなのか?

まあいい、仕方がないからこの星の行く末は見守ってやるよ。

なんだか隣でキミアが私に向かって得意げな笑顔を見せた気がした。

気のせいだろう。あいつは魔法少女じゃない。今は煉獄で彷徨っている頃だろう。
私はいつお前の所へ行けるんだ?

 

空の光球が全て消えてしばらくすると、空を覆っていた輝きは薄れていって天の川のような一筋の光が土星にある輪のようになって、上空をゆらゆらと揺れるだけになった。

動けるようになったかことジーナがペンタゴンの中庭へ行くと、そこには仰向けに倒れて動かない変身が解けたカレンがいた。

近くには2色の砕けたソウルジェムが落ちていた。

「カレンさん!」

かこがカレンに近寄って体を持ち上げると、死体を持ち上げた時のように硬直していた。

「そんな!カレンさんのソウルジェムは」

「こいつのソウルジェムがどこかなんて誰も知らないよ。指輪さえ見たことないし」

ジーナが冷静に答える中、かこはカレンの名前を呼び続けた。

「カレンさん!勝手に死ぬなんて許さないですからね!

目を開けてください、カレンさん!」

 

目を開けているのか閉じているのかもわからない真っ暗な空間にいた。

自分の体が見えるまで首を下に向けても真っ暗で何も見えない。

一体ここはどこなんだ。

そんな空間で小さな光が現れた。

ひかり…

進んでいるのかわからない中、カレンは小さな光を目指した。

今は死にたくない理由を見つけたんだ、その光が変化をもたらしてくれるのか。

小さな光からは小さく声が聞こえてきた。

「…さん、カレンさん!」

私を呼ぶ声が聞こえる。

助かるのか?

ピリカ、シオリ、お前達は。

そう思った時、カレンの背中を2人が押した。

押された勢いでカレンは小さな光に接触した。

 

カレンは長い夢から覚めたかのような感覚でその場で目を覚ました

目の前にはカレンを抱えているかこと心配そうに見つめているジーナがいた。

「カレンさん!」

「大丈夫大丈夫だ聞こえてるよ。世界の方は無事か」

「お陰様でな。それで、残りの2人は」

カレンはソウルジェムの中を探ったが自分の魂しかなかった。

「あいつら、私のために」

「まさか、消えたのか」

ジーナにそう聞かれた後、カレンは近くに砕けていた2色の宝石の破片をいじった後に答えた

「…綺麗さっぱり消えたみたいだ。

これはしっかり生き残らないとあいつらに申し訳ないな」

「そりゃな。

お前が生きていないと生き様を失うのがたくさんいるからね。

しっかり生き残ってくれよ」

「ふん、どんとこいさ」

カレンは夕日で照らされた空をしばらく見上げた。

「この世界を救えたで、いいんだよな」

いつの間にか天から降っていたピンク色に輝く羽根は消えていて、天からは黄色い光が少し降ってくるだけになっていた。

カレンは魔法少女姿に戻り、かこ、ジーナと共に魔力を頼りにイザベラを探した。

3人はイザベラ、カルラ、キュゥべえがいるところまでたどり着いた。

「外まで出てきていたのか」

「ことの顛末を見守る必要があったからね」

カルラがそう答える中、イザベラは動かなかった。

「こいつ死んだのか」

ジーナがそう言うとイザベラが弱々しく口だけ動かした。

「残念ながら生きているさ。

でももう目が使い物にならない上に体まで動かないときた。

私達は、負けたのか」

カレンはイザベラの前に立って答えた。

「そうだ。お前達人類は核なんてものを持ち出しても魔法少女の奇跡にねじ伏せられたんだ。

負けを認めろ、サピエンスのイザベラ」

「そうか…。

ならば潔く殺したほうがいいんじゃないかな」

「いいや、お前には生き続けてもらう。

何もできず生き続けることは、死よりも辛いものだ。

と言うことで、自分のやってきたことを精算するまで魔法少女に尽くしてもらうよ

「それは…嫌だね!」

イザベラは動けないと言っていたはずの左腕を瞬時に動かしながら指先をカレンがいる方向へ向け、袖から手のひらサイズの拳銃が飛び出してきた。

イザベラが引き金に指をかけようとしている中、周囲のメンバーは驚いて動き出そうとしていた。

しかしイザベラが拳銃の引き金を引く前にイザベラの左手付け根がカレンの糸で切り落とされた。

「こうもあっさりとは」

イザベラの左手からは数滴の血しか流れ出ず、イザベラの体は糸が切れた人形のように重力に任せて倒れた。
イザベラからは既に魔力を感じられなくなっていた。

「死んでしまいましたか」

かこの言葉にカルラが反応した。

「一矢報いるためにずっと魔力を使って意識を保っていたのだろう。

魔法少女を殺そうという執念だけは最後まですごいと言えただろう

「で、お前はどうだ?

サピエンスの責任者はお前だけだろ?」

ジーナの問いにカルラは両手を挙げて答えた。

「降参だ。この星の管理権は魔法少女に委ねるよ。

それで人類をどうするつもりだ?」

「人類にはこの星を出ていってもらう。

そのためにも、師匠の友人であるあなたには手伝ってもらう」

「やれやれ、弟子にもこき使われるとはね」

カレンはジーナとかこを見た後に言った。

「さて、これからも忙しくなるぞ」

 

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