灯花ちゃんを安静にして治療を行うため、
調整屋さんはカレンさんが襲撃してきた後そのままで、
でも、
中に入ると、そこには十七夜さんがいました。
「七海か、ういくんの所に行ったはずでは」
私が背負っている灯花ちゃんを見て十七夜さんは何かを察したよう
いつも誘導されるはずのソファーでは、
みたまさんが目に入った後、
「これはいったい」
「
「あなたは」
「あなたに名乗るほどではないわ。
十七夜さん、これで全員のはずよ」
「ああ、助かった」
名前を教えてくれなかった魔法少女は、そのまま調整屋を出ていってしまいました。
私達は灯花ちゃんを治療しながら、
「そうか、ではせいか君達に傷をつけて回った連中も、
「話が通じなさそうな感じがしました。あの人たち、また襲ってきそうで怖いです」
「警戒するようには伝えて回った方がいいだろう。そこのおガキ様のように、
私は治療がひと段落した後、
ソファーに寝ていた謎の人物ですが、
他二つのソファーにはレナちゃんとかえでちゃんもいました。
私は何があったのか聞くために駆け寄ろうとしましたが、
「今はそっとしておいてやってくれ。事情は話そう」
十七夜さんから聞いた話はこうでした。
みんなが正気に戻った後、
状況を理解できずに混乱しているみたまさんの代わりに、
魔法少女の力で治療を試みて、
みたまさんは調整の要領で3人の状況を確認しようとしたそうです
その時から、みたまさんは誰が話しかけても反応を示さず、
「十七夜にも反応してくれないの?」
「いや、
ももこさん達のソウルジェムですが、見た目は輝きがほぼなく、
「一体電波塔の上で何があったかは知らんが、
私が知っているのは、致命傷のダメージと引き換えに3人はやっと
でも、それが直接的な原因ではないかもしれない。
「ももこさん達、
その過程でなにがあったかまでは」
「追いまわしていたという話は知っている。
あの時の顔は、らしくはなかった」
「最期は、
ドッペルを何回も連続で使って」
「そうか。日継カレンを倒そうと魂に負担をかける行為を積み重ねた結果、ああなってしまったということか」
みんなで悩んでいるとねむちゃんが話に入ってきました。
「きっと魂が傷つきすぎたか、
「柊、歩けたのか」
「灯花に魔力で動かしてるんだからと言われてね。
車椅子よりは動きやすいから魔力に頼って歩いているよ」
「いや、私が気にしているのはそういうことではないが」
ねむちゃんはももこさん達のソウルジェムを確認してまわりましたが、
私たちは奥の部屋へ戻り、立ったまま
「話は山積みかもしれませんが、
「promisdbloodという
「ふむ、あまり穏やかではない考えだな。だが今の神浜の現状、皆を率いる長となる存在が必要なのは確かだ」
「私は、リーダーとかみんなの代わりに決定する立場の人っていうのは無くしていきたいんです」
「環くん、その根拠は?」
「リーダーが決まれば、その人にみんな従うことになるでしょう。その人はみんなのためにいろんなことを決める人かもしれません。
でも、リーダーとは違った考えを持つ人達がいたら、その人達は少なからず不満を抱えます。
そして自分の考えを貫くために、リーダーになろうと行動し、いずれリーダーという立場の取り合いで争いが生まれます。
それが嫌なんです」
十七夜さんは少し考えた後、意見を伝えてきました。
「確かにリーダーという席をめぐって争いは起こるだろう。争いの種になるとはいえ、意見をまとめる者がいなければ決断しなければいけないことが起こっても皆がバラバラのままで何も決まらん」
「だから、人間臭いやり方を魔法少女も続けるっていうんですか」
「いろは、それは言い過ぎよ」
「私たち魔法少女ならば、誰かがリーダーにならなくても最善の結果を導き出せるはずです。十七夜さんだって、みんなが平等な立場で意見を出し合える世界がいいと思わないんですか」
十七夜さんは何かを言いたげに口を開こうとしましたが、うつむいて拳を強く握ってしまいました。
「いろはちゃん、おちついて」
「環くんは、魔法少女は、人間と同じような社会体制ではなく皆が平等に意見を出し合っても皆が納得できる新しい体制でやっていける。そういいたいのだな」
「・・・はい」
十七夜さんは握った左拳をこちらに振り上げ、掌を広げた後に私の右肩をつかみました。
周りのみんなは、十七夜さんが私に殴りかかろうとしたかと思って少し身構えていました。
「君がそんな世の中を実現しようと動きたいのならば、私は指示しよう」
「十七夜さん・・・」
「だが、常識から外れた考えを皆に納得させることは尋常ではないほど苦労する。東側の認識を、西側に改めさせる以上にな」
「わかっています。私ならばみんななら、魔法少女ならできると信じてますから」
「そうか。いいだろう」
十七夜さんは満足げな顔をして近くにある椅子へと腰掛けました。
「今後の神浜の方針はそれでいいとして、ういちゃんの件はどうしましょうか」
「なら、すこし僕の考えを聞いてほしい」
ねむちゃんが言うには、ういの現状に疑問があるというのです。
「
あの反応はうい本人の問題以外も絡んでいるかもね」
「本人の意思ではなく、
「でもどうやるんだよ、ういをぶん殴るわけにもいかないだろ」
「それだと結菜さんと同じ方法ですよ」
魔女がういを操っているならば、直接倒せばいいのだけど、
遠くから操っているのか、それとも。
「ねえ、ねむちゃん。どこから操っているのかがすぐにわかる方法はあるかな」
「その問いに答えるのは灯花が適任だと思うけど、
ねむちゃんの考えを簡潔にまとめるとこうなる。
他人が誰かを真似る時、
魔女が、ういはワルプルガ以外を嫌う人物だと仕立て上げようとして
みんなが嫌いならば、守ろうという動きは咄嗟に出るはずがないから。
もっとういにわたしたちにしか知らないことをぶつけ、
それにうってつけなのが。
「クレメルの言葉がういには少しわかるから、
「そうね。クレメルがすぐ近くにいてくれてよかったわ」
モッキュ!
気が付いたら調整屋の前に小さなキュウべえこと、クレメルがちょこんと座っていたのです。いったい今までどこにいたんだろう、姿も見せずに。
でも、これで確かめられる。
私達はういのもとに向かい、
「今度は何をしにきたの」
モキュ、モキュモキュモッキュ!キュウ!
「…」
ういはしばらく黙ってしまいました。
そんな中、ワルプルガさんがういの近くへ来ました。
「この生き物、キュウべえって生き物に似てる。けど小さいね」
「あまり近づいちゃダメだよ、何されるか分からないから」
モキュゥ…
「うい、
しばらく沈黙が続き、
そして、ういはクレメルに攻撃を仕掛けたのです。
「うい?!」
「帰って、もうみんなどっかいって!」
ういが無差別に周囲へ攻撃をはじめてしまったため、私達は急いでその場を離れました。
調整屋にいた鶴乃ちゃん、フェリシアちゃん、
「んでどうだったんだ」
「収穫はあったよ。
「クレメルは、
モッキュ!
「この反応を見るに、どこにいるのかはわかったみたいだけど」
ねむちゃんは急に地面に落ちている瓦礫を円状に並べました。
「君はぼく達の言葉を理解できる。
魔女がういの外なら円の外、ういの中なら、円の中へ」
そうねむちゃんが言うと、
モッキュ!
「これで結論が出た。
ういを操る魔女は、ういの内側、ソウルジェムにいる」
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