【マギアレコード】第二部は結局何を描きたかったのか この結末はほんとうのさいわい?

 

ついに結末を迎えたマギアレコード第二部 集結の百禍篇はとりあえず結末を迎えられたことに対して安堵するプレイヤーが多かったことでしょう。

その内容を振り返ると魔法少女まどか☆マギカの内容、登場人物たちからはほとんどかけ離れた独自の外伝としての物語展開で進行していきました。

そんな第二部の内容を見て、この物語はどのように評価できるものなのかを分析、考察していこうと思います。

 

・1. 第二部で描きたかった物語とは

第二部で描きたかった物語が何かを考えると、結論から言うと

「いろはにとってのさいわいが叶うまでの物語」

だったと言えるでしょう。
ではその結論に至るまでの流れを分析していきます。

第一部時点では魔法少女まどか☆マギカの永遠の課題となっていた暁美ほむらが時間をやり直さなくていいという結論に至れることが最終的な目標となっていました。
見事にそれは成功して外伝であるマギアレコードの世界は、円環の理に導かれることがない魔法少女まどか☆マギカの世界から離れた別の存在するかもしれない世界になる権利を手に入れました。

その後は自動浄化システムという魔女化しない法則が存在する結界が明らかとなり、第二部は大まかにそれを広げることが主人公であるいろはの目的となりました。
それとともにキュウべえとの共存も目的にしていたようですが、これは自動浄化システムに対して行われた仕打ちを目の前にすると諦めてしまうのもわかります。

この考えはメインストーリーでほとんど強調されることなく、最後まで果たされずに終わりました。

様々な事情を抱えたグループが登場するという物語の構成は、いろはに神浜の外にいる魔法少女が抱える事情を知る機会を与えたと言っていいでしょう。
これによって第二部の物語はより多くの魔法少女が神浜内外で暴れることとなり、人間に認知されないのはおかしくないかという疑念を膨らませることになります。

そんな、多くの魔法少女が行動しても人間に中々認知されないという仕組みは「宇宙の意思」で解決されました。

宇宙の意思は魔法少女が現状を変えようと抗えば抗うほど悪い現象を発生させる謎の力です。

この力の存在は第二部の後半で存在が語られはじめたもので、第一部が終わるまでは存在すら語られなかったものです。
第一部時点で凶暴化した魔法少女が街中を暴れまわる、エンブリオ・イヴ、ワルプルギスの夜によって神浜の中央地区が壊滅的な打撃を受けるといった魔法少女の存在が認知されてもいいだろうという現象が起きつつもなぜか魔法少女の存在は世間に知られないままとなっていました。

この原理は魔法少女まどか☆マギカの時からあった魔女と接触した人間はその時の記憶が夢であるか、またはなかったことになってしまう、自然現象という理解に収まってしまうという考えを踏襲したものと言えます。

しかしその考えはあくまで魔女と接触したことに対してであり、魔法少女と接触したときに起こるものという説明はなかったはずです。
ましてや魔法少女達が世間に自分たちの存在を広めようとしたときに、それを防ぐかのような力が働くという原理はもはや何者かが願いでそうなる宇宙の原理にしたという下積みが存在しなければ説明がつかない力です。
キュウべぇがそうなるような仕組みを宇宙へ施したという説明もないので、宇宙の意思という設定は、第二部の物語を盛り上げるために生まれたぱっと出の後付け設定としか考えられません。

第二部の第10章ではネオマギウスによって魔法少女の存在を世間へ知らしめるという機会が訪れます。
宇宙の意思が確かに存在するならば、これが実現しようとしたときに何らかの不幸が訪れて結局は魔法少女の存在が世間に知れ渡ることはなくなるはずです。
結局はいろは達によってそんな騒動もなかったことにされましたが、宇宙の意思はしっかり働く予定だったのでしょうか。

さらに言うと、湯国市では魔法少女の存在が認識されつつ、悪者として扱われていました。
この結果になったことについては宇宙の意思が働いていながらも魔法少女は悪い存在という記録だけが残ってしまいました。
この結果を見ると、宇宙の意思は魔法少女が抗おうとするほどその力が働き、魔法少女が不幸になることについては魔法少女の存在が知れ渡っても黙認するという性質があることになります。

そんな性質があるとすれば、宇宙の意思は

「魔法少女が不幸になって絶望し、魔女化するために働く宇宙の力」

だともいえます。

なんて畜生な力なのでしょうか。

今後そうなるように仕向けた魔法少女の存在でも示唆されて、世界観的にも納得のいく説明がされればいいのですが。

さて、そんな物語の構成が少し怪しく見えてきた集結の百禍篇はどういう結末にしようかは最初から考えられていたようです。

第二部OPのこの場面ですが、第12章の鏡を通して生きていた時のうい達を連れてくるために急いでいる場面に見えないでしょうか。

そしてその次の魔法少女のマークや色が消えたソウルジェムが映し出される場面ですが、これは魔法少女達が魔法少女ではない存在、ウワサ化するということを示唆しているのではないでしょうか。

このOPの構成を見るだけで、宇宙の意思という存在を設定し、その考えから回避するために魔法少女を魔法少女ではない存在にして活動させるという大まかなプロットはあったのではないかと伺えます。

もしそうだとするならば、もう少し宇宙の意思が何故あるのかといったところから丁寧な掘り下げがあった方がよかったとは思います。
説明がないぱっと出の設定は、ご都合主義で解釈されてしまいますから。

 

様々な地域に住む魔法少女と接触する機会を得たことで、いろはは神浜内では感じられなかった魔法少女の在り方、考え方、立場を知ることになります。

そんな魔法少女達と接触する機会を得るために用意されたのが、自動浄化システムの存在の周知、キモチという存在です。

自動浄化システムの存在の周知についてはキュウべぇが自動浄化システムは存在していて良いものなのか、悪いものなのかを判断するために行ったことです。
しかしその周知が部分的なものであったこと、なぜ日本の一部の魔法少女しか訪れなかったのか、魔法少女まどか☆マギカに登場したメンバーには協力するよう促さなかったのかなど、参加したグループが部分的になってしまったことに疑問を持ってしまいます。

「描写する魔法少女の数を限定的にしたかった」

という元も子もない理由であれば仕方がないですが、世界観を考えるとよろしくない考え方です。
もう少し周知の方法を具体的にしておけば、少しは神浜へと訪れたグループが限定的であったことの説明もついたと思います。

次にキモチという存在は、この物語の結末へ向かうための最も障害となった存在であり、変に物語が長引く原因を作った要素でした。

「キモチという存在が落とす宝石を集めた者が、自動浄化システムを手に入れられる」

そう言って回ったキュウべぇの思惑は、ドッペルを発動させる機会を増やしてエネルギー回収効率がいいかどうかを判断するためのものでした。
この争いが生まれるための原因はしっかりと設定がされていて問題はないでしょう。

ただし、キモチという存在自体に問題があります。
神浜中を覆っていた被膜が消え、行き場を失ったエネルギーが意志を持つ存在になったのがキモチでした。
この存在は明らかにキュウべぇの思惑といろはが色んな魔法少女と接触する機会を用意するために作られた存在だとわかってしまいます。

第一部時点から自動浄化システムを維持する存在として、エンブリオ・イヴが身につけている8つの宝石が埋められたネックレスにも秘密があるといった設定を用意しておけば、第二部でいきなり現れたぱっと出の後付け設定と思われることはなかったでしょう。

このキモチという存在が無ければ、もう少し第二部はコンパクトな内容となっていたことでしょう。

ちなみにキモチという存在は、いろはが鏡の魔女という強大な敵に対等に立ち向かうためのエネルギーとして重要な役割を持っていたりします。

そんなラスボス的立ち位置にある鏡の魔女が、ラスボスとして現れる伏線は第二部からいきなり現れたものです。

第一部時点では昔神浜で争いの原因を産んだ存在であり、最深部がどこなのかが分からず討伐が叶わない魔女という謎多き存在にとどまっていました。

その後、第二部で鏡の魔女がラスボスとなるための流れとして、瀬奈みことという鏡の魔女の大元となる魔法少女の詳細な設定が用意され、その魔法少女が他人に意思を移すことができるというとんでもない設定が用意されました。
そんな瀬奈みことという存在は、更紗帆奈が吹っ切れる原因となったことが説明される際に既に存在は示唆されていました。瀬奈みことが実は鏡の魔女なのではないか、と考えられるような設定もされてはいました。

大前提として、魔法少女の能力、固有魔法は叶えた願いが影響します。

瀬奈みことは願いを叶えたことによって他人に移植を行う力を手に入れたとされています。
しかし、瀬奈みことの願いは「父親がここからいなくなってほしい」であり、その願いの中には偽ってきた自分の立場が本物だったらいいのにという思惑がありもしました。
そこからどう考えれば「移植」という力が手に入るのか。
暗示だと言われたころであれば、「他人にこう思われたい」という想いが反映された結果だという説明もできました。
しかし移植が本当の力だと断言されてしまいました。

魔法少女の能力、固有魔法は叶えた願いが影響するという考えは何処に行ってしまったのか。

移植が固有魔法であるという設定が、瀬奈みことという人格が維持されつつラスボスとなるための下積みを用意するための後付け設定ならば、それは世界観の設定が甘いことになり許されざることです。

そして鏡の魔女には鏡を通して別の場所へワープできる、別の時間や並行世界にも移動できるというとんでもない設定まで用意されました。
別の場所へワープするという設定は、結界内で鏡を通して実現されていたことではあるため実行可能であることは理解できます。

しかし別の時間や並行世界にも移動できるというのは魔法少女だったころの「移植」の魔法からも、結界内で起きていた第一部時点でも匂わせる現象がなかったため説明ができないものです。
別の時間に移動できるという設定は「殲滅戦」という鏡の魔女を倒す際に用意されたギミックを試験的に行うために用意されたようなイベントで初めて明らかとなりました。
そのあとにメインストーリーでターミナルと呼ばれる場所が明らかとなり、そこで別の時間にいる魔女が移動してきていたことも明らかとなりました。

第二部に入ってから、別の時間に移動できる能力もあるという説明自体は丁寧な段取りで進められてきました。

とはいえ、鏡だけで時間移動や並行世界の移動までできてしまうのはどうでしょう。
あまりにも元の能力とのつながりが考えられず、やけくそな何でもありな状態になっていないでしょうか。
もう少し能力と関連付けて設定は考えてもらいたいものです。

 

ここまでのなかなか無茶のある段取りが行われた上で、いろははラスボスとの対話も試みて別世界のまどかとは違った方法で過去やあったかもしれない世界の魔法少女も幸せにしようと試みる結末に至ります。

第二部全体の流れは

「いろはが鏡の魔女と対話して魔法少女皆が幸せになる世界を体現する」

ということを実現させるために用意されたものに過ぎません。
第二部の結末によって皆が幸せになったか、救われたかは別となっており、あくまでいろはが幸せだと思う世界にしたという結果だけが残りました。

第二部でなにを描きたかったのかを分析しようとしても、特に何かを訴えたいメッセージ性は特になく、あるとすれば

「奇跡を信じ続けて立ち止まることが無ければ、救われる」

でしょうか。
しかしあまりにもごり押しでご都合主義な設定や展開が目立つため、そんなメッセージがこもった物語であっても「でも現実はそんなわけないだろ」と一蹴される内容だと思いました。
よく練られた物語といえば、そうでもないと言えてしまいます。

なので、第二部で描きたかった物語が何かを考えると、

「いろはにとってのさいわいが叶うまでの物語」

というしかないでしょう。

それ以上のものはありません。それだけです。

 

2. 巻戻しの魔法は最初からある設定か、それとも後付けか

瀬奈みことの固有魔法でも触れましたが、大前提として、魔法少女の能力、固有魔法は叶えた願いが影響します。

この大前提がある中で、瀬奈みこと以外に第二部で固有魔法が後付けされたのではないかという人物がもう一人います。

それは、メインストーリーの主人公である環いろはです。

環いろはの能力が治療であることは公式から出されている『MAGIA|ARCHIVE vol.1』でも明らかとなっています。

この目録でも長い間、魔法少女の願いとその結果やえられた能力との関連性を調査してきました。

【マギアレコード】魔法少女の願いと結果、能力まとめ

一部設定に怪しい魔法少女はいるものの、ほとんどの魔法少女は願った内容とその境遇が反映された能力を得ていました。
なのでマギアレコードとしても、魔法少女の能力、固有魔法は叶えた願いが影響するという前提は守っていたことが分かります。

しかしそんな中明かされた、環いろはの固有魔法は、実は巻戻しだったという事実です。

物語中では、いろはが行っていた治療だと思われていた行為は

・治療の行為は、けがを負う前の状態に戻しているだけ

・ソウルジェムにひびが入る前の状態に戻した。その時に魔力の衰え自体も戻った

という現象は全て巻戻しの能力によるものだったという説明自体はありました。

また、バトル中に蘇生させる能力が発動したら、なぜかMPの量が倒れる前のままなのは倒れる前の状況に戻しただけだからと言われれば説明が付きます。

 

しかし、それはしっかりと願った内容とその結果に起因しているでしょうか。

いろはの願いは「ういの病気を治してほしい」であり、その結果ういの病気は治りました。
でもこの結果によって得た能力が巻戻しであるならば、ういは病気になる「前」に戻っただけであって将来は病気になる未来が待っているだけだったという残酷な結果となります。
ういも魔法少女になったのでその未来はありませんでしたが、果たしてういは病気になる「前」に戻っただけだったのか。それを確認する術はありません。

蘇生させるほどの治癒能力で、なんで梓みふゆのソウルジェムが元通りになるんだという疑いは当時からありましたが、この本当の能力は巻戻しだという結論は、その第一部からの疑問に答えを出せたのかもしれません。

いろはの固有魔法は巻戻しだったという事実は、

ソウルジェムを元通りにしてしまったという事実に辻褄を合わせるための後付け設定だ

と言えなくもありません。

もう少し小出しに時間を撒き戻すような描写があれば、最初からある設定だったのかと気持ちよく納得できたのかもしれません。

 

3. 考慮されていない世界中の事情

さて、第二部の結末は皆が幸せになったか、救われたかは別となっており、あくまでいろはが幸せだと思う世界にしたという結果だけが残りました。

自動浄化システムが世界中に広がったため、世界規模で展開された物語と錯覚してしまいますが、この物語の規模は「神浜市周辺」だけです。

宝塚市、二木市、霧峰村、湯国市が、第二部で神浜市以外によく出るようになった地名です。
この程度の範囲、電車で日帰りできる距離であるためあまり広くはないです。
なので日本中を巻き込む出来事でもなく、世界中を巻き込む出来事でもないです。

ですがこの物語で考慮されていたのは神浜市周辺の出来事だけであり、EDで描かれた魔法少女達のその後も神浜市周辺に留まるような内容でした。

魔女化しなくなったという現象が世界中へと広がったのであれば少なからずその原因に興味を持つ存在が現れるはずです。
世界中にいる魔法少女が、自分のことで精いっぱいで「魔女化しなくなったの?!やったね!」という感想しかいだかなかったというのであれば、何も言うことはないです。

とはいえ、魔女化しなくなった魔法少女達ですが彼女達は依然として人とは違う存在であることは確かです。普通であれば致命傷となるようなけがを負っても、ソウルジェムが無事であれば生きているという事態は長い間魔法少女が生き続ければいずれ明らかとなることです。
心臓が潰れても、首が切り裂かれても生きているという事態が発生すればきっと世間も話題にせざるを得ないでしょう。その探求の先で、魔法少女は普通の人間に紛れて生活を続けることができるでしょうか。

次に、ソウルジェムが砕かれない限り死なない魔法少女達にとって老衰は存在するのか。
魔力が衰えるという現象はあるようですが、ソウルジェムが無事であればいつまでも生き続けられてしまうのではないでしょうか。
肉体が年をとっても魔力でいくらでも動かせるので寝たきりになるといったこともほとんどないでしょう。そんな異常な寿命を目の当たりにした時、魔法少女自身やその知人、家族は正気でいられるでしょうか。
自分の周りの人間が次々と年を取って死んでいく中自分だけは元気という事実、普通の生活を送りたいと思っていた魔法少女達は正気を保てないと思います。

そんな、将来の事情がこの物語の結末には考慮が足りていません。

あとは結局、魔法少女の存在が世界に知れ渡ったらどうなるのかも結局は描かれずに終わっています。

果たして人は魔法少女の存在を知ったら皆が皆、人間と同じ対応をしてくれるでしょうか。

そんな疑念が解決できない物語の内容でした。

 

 

4. これはほんとうのさいわいか

では最後に、この物語は本当にハッピーエンドで終われたかを見ていきます。

結論から言うと

「いろはにとっては幸せな結末」

であったと言えます。

まずはこの「いろはにとってのさいわいが叶うまでの物語」では、魔女にならない世界を実現できて、いろはは大変満足しています。そのうえ、そのあとに楽しそうに過ごす神浜の魔法少女達を見てうれしそうにしています。
この結果だけ見ればハッピーエンドでしょう。

しかし、ネオマギウスにとっては魔法少女を世間に知らしめるという活動は達成できず、みかづき荘のメンバーについてはいろはと共に過ごすことが叶わなくなっています。
このことから、物語に登場した全員が幸せになれたというわけではないことが分かります。

そして考慮されていない世界中の事情のこともあり、将来もずっと魔法少女が幸せな世界になったのかというとそうではないという結果になります。
将来待っているであろう「人間としての結末」を迎えられない魔法少女達は幸せになれるのかというと、難しいでしょう。

なのでこの結末は「いろはにとってのさいわい」でしかなく、万人が納得するほんとうのさいわいであるかといわれるとそうではありません。

 

まとめ

この物語は「いろはにとってのさいわいが叶うまでの物語」であり、その結果はいろはにとってのさいわいであるだけ

 

あなたはこの物語の結末、どう受け止めましたか?

【原神(genshinimpact)】実はヤバイ原神の世界 神なき繁栄は許されないディストピアだった【考察】

原神はversion1.5の時点で7国あるうちの2国しか解放されておらず、ストーリー的に半分も進んでいない状態です。
しかし、3国目となる稲妻はこのゲームが1周年を迎えるころにならないと実装されないのではという雰囲気が漂い始めたため、version1.5時点で原神の世界はどんな世界なのかを振り返り、今後のストーリー展開がどうなっていくのかを考察していきます。

情報整理、考察を行うにあたって使用する情報はゲーム内に出てきた内容のみとします。公式サイトにある漫画や公式PV、MIHOYOの他作品にのみ公開されている情報は使用しませんのでご了承ください。

 

-原神の世界「テイワット」を支配する要素-

テイワットは主に元素力に支配されていて、他には陰ながら世界に影響を及ぼしている地底の力、星空の力という要素があります。

元素力は7種類存在します。
炎、水、氷、草、雷、岩、風と分類されて常人には行使できない力です。とはいえ、この元素力にテイワットは支配されていて無意識にではありますが常人も元素力を使用しています。

炎:料理に使う火、光源、熱源、鉱石加工のための火

水:料理、飲料水、洗濯、掃除、農業、漁業

氷:食料保存、料理や飲み物を冷やす氷

草:火の燃料、料理の食材、薬

雷:なし

岩:鉱石加工

風:なし

上記のように、常人でも無意識に元素力を扱っています。
ではだれでも将来は元素力を行使できるようになるのかというとそうではありません。元素力を操れるのは神の目、邪眼を持つ者、元素生物、アビス関係者、魔神であり、それぞれ使用できる元素力の種類は限られています。

神の目は神から認められなければ手にすることができないものです。神の目を持っていれば神の目で指定された元素に限って自由に行使でき、元素視覚で元素の痕跡を探知することができるようになります。
この元素視覚を使えるかどうかで研究者の実績には雲泥の差が出てしまうようです。また、軍隊に所属している場合は元素力を行使できるかできないかで戦力差が出てしまったりと神の目を持っているかどうかで人間社会での立場にも差が出ています。

邪眼は主にスネージヤナにて開発された人工の神の目です。神の目同様に元素を自由に行使できるようにはなりますが、元素視覚を使用できるかは明らかとなっていません。ファデュイが主に所持しています。
ファデュイは邪眼以外にも元素生物等を利用して元素兵器を開発しています。

元素生物にはスライムや精霊、ドラゴンといった生物が該当します。生まれながらに一種類の元素を使うことができて、社会を形成することなく自由に生活を送っています。
そんな元素生物ですが、数が増えすぎたり、成長しすぎたり、元素反応を起こしてしまった場合は災害の発生源となってしまう場合があります。とはいえ、災害扱いするのは人間だけでしょう。
精霊については人間社会でも存在していておかしくないという認識で、パイモンやオズ、グゥオパァーを見ても「謎の生物」と認識して誰も驚き戸惑うことはありません。
テイワットで元素生物は存在して当たり前という認識となっているのです。

魔神も元素生物同様に生まれながらに一種類の元素を行使する力を持って生まれています。とはいえ扱える力の規模はその辺の元素生物とは比べ物にならないほど大きく、国を一つ簡単に滅ぼせるほどの力を持っています。
2000年前に神に認められた俗世の七執政と呼ばれる七神はほとんどが魔神です。ウェンティに限っては精霊から神に昇格した異例の存在です。

アビス関係者とは、カーンルイアで謎の力によって容姿が変貌してしまった者たちのことです。もとはどういった存在であったかは不明ですが、地底の力を借りて元素を行使できるのは確かです。いまだに元素を行使する存在として謎が多い状態です。

 

元素の話はこれくらいにしておいて次は地底の力についてです。
地底の力とは、主に地脈、石化古樹を通して使用できる力のことです。地脈では元素力が世界を循環していてこのおかげで世界は元素力で支配されています。
この地脈に流れる元素力は時々元素生物へ影響を及ぼし、凶暴化させてしまう事例が存在します。

地脈へ意図的に接触できる方法はほとんど存在しません。数少ない接触方法として地脈の花に触れること、石化古樹に接触することです。
地脈の花は地脈での元素の循環が生き詰まって穢れが積もって地表に現れたものです。接触のためには天然樹脂と呼ばれるものが必要で、接触すると成長に必要なものを得ることができます。

石化古樹は大昔からテイワットに存在していた地底まで伸びる巨大な木が石化したものです。石化してもその木には生命力が満ち溢れていて枝を伸ばしています。
テイワットにはそんな石化古樹を通して地底の力へと接触できる人たちが存在しました。地底の力へ接触できると知恵を授かることができ、地底の力へ接触できる者がいる国は大きく発展したとされています。

また、アビスが元素力を行使できるのは石化古樹などの地脈へ接触できる方法を知っているがためでしょう。接触する仕組みはいまだに謎のままです。

 

最後に星空の力についてです。
星空の力とは、主に命の星座のことを指します。命の星座は神の目を持つ人それぞれに定められた運命そのものとされています。
神の目を持つ者には命の星座が必ずと言っていいほど存在し、その命の星座には過去から未来にわたるすべての運命が内包されています。

とはいえ、占星術というものが存在し、天体観測によって人々の運命を占うことは元々可能ではあります。そんな占星術を行う上でも強力な力を持っている星の並びが、命の星座なのです。
どうやら神の目を授けられた者であれば死後も星空に残り続けるようで、かつてファデュイが星空の力を利用した実験の際には2000年前の人物の命の星座が現代の人々へ悪影響を及ぼしたという事例が存在します。

そのため、星空には神の目を与えられた人物たちの運命が残り続け、それはやがて歴史へと変わります。その歴史の中身は、神が認めた者の旅路であり、そのすべては神が存在を保証した歴史だけが残されるという意味でもあります。
そんな命の星座には、俗世の七執政も含まれているようです。

 

以上の3点がテイワットを支配している要素です。

では、3点の要素を把握したうえでテイワットの歴史と今後の展開について考察していきます。

 

-テイワットでは地底の力 vs 星空の力が続いている-

テイワットには大昔から人間は空からの啓示を聞くことはでき、さらなる知恵を求めて地底の力へ手を出すと、地底の力を借りた文明ごと抹殺されるというサイクルが続いていました。
そのサイクルは祭りの冠シリーズからも読み取ることができます。


凍り付いた大地に住む人々は、神の使者が未開の地へ炎をもたらしてくれたことですべての繁栄を天空にいる神の啓示に任せるようになります。
人々は安定した生活を送っていましたが、この生活にもいずれ終わりが来るんだろうという未来に不安を持ち、未来への不安を天空へ問いましたが答えてはくれません。
未来への不安を持った人々は、知恵が眠るという地底へと答えを求めるようになります。

神の使者は炎の次に水をもたらします。水は大地を育て、神の啓示通りに豊作が訪れて人々は引き続き神の啓示に運命を任せていました。世界の人々は神の啓示に任せていたため、世界中の元素力は秩序をもって安定していました。
しかし未来への不安を抱く人々は絶えず、知恵だけではなく運命までも地底へ答えを求める人々が出始めました。

地上の人々は地底から持ち帰られた運命、知恵を知って神には頼らない発展をはじめます。神から与えられた以上の知恵を身につけた地上の人々は神の啓示を軽視するようになり、ついには天上の神へ抗う度胸を手に入れます。
地上の様子を知った天上の神は地上へ雷を落とし、地上へ神の怒りをあらわにします。

地上の人々は神の怒りを鎮めるために地底へ問いかけます。
その答えは、築いた文明ごと地底深くへ沈んでしまうこと。
こうして地底の力で発展した人々の文明は知恵をすべて地底へ戻し、地上は神の雷によって万物の気配が弱まる結果となりました。

そして、地上の世界は凍り付いた大地に包まれたのです。

これは存在したのかも定かではない人類が築いた文明の末路です。
この内容からだけでも、テイワットの神は地底の力へ頼って自分の言うことを聞かなくなった人々は抹殺するという傾向が見受けられます。

ただのおとぎ話ではないかと言いたくなりますが、上記のような流れで滅んだ文明が二つ存在します。

=シャール・フィンドニール=

シャール・フィンドニールはモンドが氷に包まれていた時代に、ある一族が安置を見つけて発展した都です。その都には天上の使者がかつて訪れたことがあり、シャール・フィンドニールの人々を助けた過去があるようです。

記載内容
“FIDELES ANGELI IUVANT(忠実な天使たちが助けた)”

そんなシャール・フィンドニールは神の啓示以外に、地底の声を聞ける者が存在し、シャール・フィンドニールは神だけではなく地底の力も借りて発展をつづけました。

記載内容意訳
“つべこべ言わず探求を続けろ”

そんなシャール・フィンドニールに天井から寒天の釘と呼ばれるものが飛来し、シャール・フィンドニールは吹雪に包まれてしまいます。
シャール・フィンドニールはなすすべもなく文明ごと滅んでしまいます。

 

=カーンルイア=

未だに謎の多いカーンルイアも神に頼らず発展した文明の一つです。
歴史上、シャール・フィンドニールに次ぐ神に頼らない国ということで神を信じない多くの人々がカーンルイアへ集まります。
カーンルイアは元素力以外に科学という力を使って今は遺跡守衛と呼ばれている”耕運機”などの機械人形を生み出します。
そんなカーンルイアは天上の神打倒を掲げていたようで、シャール・フィンドニールへ偵察に行った機械守衛たちは揃えて

“国家のために、我々はこの天空の力を諦められない”
※外国の方が解読した遺跡守衛が放つ謎のコード解読結果より

と語っています。
そんなカーンルイアは錬金術という力も活用するようになります。
元素力に頼らずとも生きていけるような知恵を得た人々を神が許すはずもなく、500年前についに神はカーンルイアを滅ぼしてしまいます。

神は文明を滅ぼすだけにとどまらず、文明を発展させたカーンルイア人を怪物へと姿を変えて知恵を失わせようと試みます。
一部の人々からは知恵を失わせることに成功しましたが、中には”アビスの怪物”へと姿が変わっただけで知恵が残る者もいました。
ちなみに知恵を失わせる施策は、シャール・フィンドニールへ神が裁きを与えた際にも行われた可能性があります。それは、生物誌のヒルチャールについての説明文に1000年前から存在が確認されているという内容から見て取れます。
知恵が残る者がいたのは500年前が初めてです。
ここから、少なからず地底の力も天空の神へ抗う姿勢があると見受けられます。

 

このように、おとぎ話だけではなく有史の中でも地底の力に頼った文明を、神は容赦なく抹殺するという傾向があるとわかります。

こういった神の行いによって地上から神に頼った文明の記録はすべて奪われ、地上に残る歴史は神が存在を許した国のもの、そして星空に残る神が認めた人物の命の星座だけとなります。
つまり、今のテイワットは”神が存在を認めた存在”しか残らないディストピアだったのです。
神に許された範囲の知恵しか扱うことができず、滅びを迎えるようなことがあればそれは運命だと受け入れて滅ぶしかない。

地上の人が滅ぶ機会を、そして地底の力へ耳を傾けないようにする対策として大きな元素力を持った存在を俗世の七執政として任命し、多くの国を神の統率下へと置く対策も行っています。

なぜそこまでして神が地底の力による文明の発展を嫌うのかというと、地脈の元素力が乱れることを恐れているからです。

神が地上の人々へ啓示をもたらしていた際に重視されていた点は、知恵の発展ではなく、元素力の秩序を保つことでした。地上の人々は元素力の秩序を保つための道具にすぎず、元素力によってもたらされる災害は運命として受け入れるよう、人々へ対策法を享受することもありませんでした。
元素力によって起こる災害はテイワットの元素力の秩序を保つため。

大きすぎる火の元素は必要以上の草木を死滅させ、多くの生命が死滅してしまう。炎の元素を弱めるために大きな水元素をぶつける洪水や嵐といった災害がもたらされる。

大きすぎる水元素は生命をすべて溺れさせて死滅させてしまう。
水の元素を弱めるために大寒波を引き起こし、必要以上の水が大地を侵食しないよう封じ込める。

大きすぎる氷の元素は、多くの生命から体温と命を奪って死滅させてしまう。
氷の元素を弱めるために四季がある。

残念ながらテイワットに流れる元素力は秩序を保とうという法則が存在せず、秩序を保つために対策を実行できるのは神だけなのです。
もし元素力の秩序が乱れ、特定の元素力だけが強くなりすぎた場合は最終的にテイワットの生命が死滅する結果となります。

テイワットから生命が失われないために、神は元素力の秩序を乱す存在を抹殺してきたのです。

 

では地脈の秩序を乱してしまうほどの地底の力とは何なのか。
実は地脈には元素以外にも記憶が循環しているとされています。この記憶が、地底の力に影響しているのでしょう。
地脈に流れる記憶は”知恵”として地上の人々へ影響を与えます。
この記憶について天上の神のように制御する者が存在するのかというと、実は明らかにされていません。
500年前に神が知恵を失わせる施策から逃れた存在は、アビスと呼ばれています。
アビス自体も謎に包まれていますが、活動目的は「神の打倒」です。
この神を打倒しようとする意志は知恵を制御する者が存在する故に起きた結果なのか。

残念ながら、今はアビスという存在を生み出した神に匹敵する黒幕が存在するのかは定かではありません。
しかし、少なくとも地底の力とはテイワットという大地で積み上げられてきた記憶そのものであることは確かです。

 

-今後の展開 七神とアビスが神へ反逆する-

今後に展開されるストーリー予想をします。

最初に結果だけを伝えると、

アビスが七国に脅威をもたらしながらも氷神は神の心の徴収を完了させ、天上の神へ反逆しようとしてもアビスに行く手を阻まれる。
アビス教団と反逆しようとしている氷神が統治するスネージヤナをまとめて抹殺しようと天上の神が現れた時、双子が天上の神と戦ってテイワットの神が統治する歴史は終わる

今のストーリーでは氷神が他の俗世の七執政から神の心を徴収して回っています。また、同時進行でアビスが神に抗う力を手に入れようとしている最中です。

氷神が神の心を徴収して回ることをたくらみだしたのはおそらくカーンルイア滅亡がきっかけです。
ウェンティによると500年前の氷神から、今の氷神は思考が変わっているらしくウェンティ自身も神の心を徴収して回っていることを知りませんでした。
しかし鍾離は氷神と直接交渉を行い、七神の座を降りる終わりの契約を結んでいます。鍾離は神の心を渡すほどの代償が何なのかを知ってはいますが、誰にも明かしてくれません。
そんな氷神が統治するスネージヤナには神の目を持たなくても元素を扱うための技術、遺跡守衛を調査できるほどの技術力があります。

おそらく氷神は、神へ反逆しようと計画しています。
神へ反逆しようと思ったきっかけは、カーンルイア滅亡です。氷神は人類が自ら発展を遂げたという偉業を神が己の勝手によって滅ぼしたという結果を目の当たりにして神の存在に疑問を抱いたのでしょう。
氷神が神へ反逆する理由は、人類の自由な文明の発展だと考えることができます。
実はこの理由が、鍾離が氷神へ神の心を渡した理由にもなります。
鍾離は3700年近く人々に寄り添って璃月を統治してきました。そんな中、璃月の民が神に頼らず人の力で発展しようとしている光景を目の当たりにします。
鍾離はこれをよい傾向だと判断し、璃月の発展を神の統治という力が妨げてしまうだろうと考え、鍾離は神の座を降りる契約を交わしたのです。
もちろんその代わりに氷神が受ける代償は、スネージヤナの滅亡です。
しかしスネージヤナは滅亡させないと、氷神は抗っている最中です。

今後は各国の俗世の七執政から氷神の考える思想に対する感想を聞くことができるでしょう。しかしどの神も氷神へ抵抗して天上の神の方へ着くことはないでしょう。

なぜなら俗世の七執政は、人々を愛しているから

 

アビスの方はというと、双子の片割れが実行部隊であるアビス教団の長として動いている最中です。その計画は、俗世の七執政を滅ぼして天理に挑むという流れです。
スネージヤナの計画を知っていれば共闘できそうではありますが、「神」という存在自体を許さないアビスにとって七神との共闘という道はないのでしょう。
アビスの目的は神ではなく人が統治する世界にすることです。

人によっては神に監視されたディストピアが理想郷でもよいと思う人もいるでしょう。
しかし文明の発展を拒まれるというのは発展した世の中を知る者にとってとても不幸なことだということがわかるはずです。

不要な物質を変換させて有用な物質を形成する。
瞬時に移動できるワープゲートを人工的に作れるようにする。
記録を残すために写真撮影をする。

これらが度を越えると、存在ごと抹殺されてしまうのです。
そんな神に見守られるのは幸せでしょうか?

今後の原神のストーリーは神を信じるものと、そうではないもので見方が変わってくるでしょう。

 

-まとめ-
“原神の世界「テイワット」は天上の神が元素力の秩序を守りたいがために、
人類の力で発展した文明は抹殺されるディストピアだった”

 

あなたは七神とアビス、どちらにつきますか?

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