【マギレコ二次創作】魔叙事詩カグラ・マギカ 2-2-15 決意の朝

村の空気は村を出る前の頃と変わらず、都会よりも居心地が良いものに変わりはありませんでした。

村の人達は私たちを笑顔で迎えてくれて、そんなにぎやかな雰囲気を聞きつけたのかお母さんと、静香ちゃんのお母さんが出迎えに来ました。

「みんなお帰りなさい」

私達はお母さん達と顔を合わせ、いつも通り平静を装おうとしましたが、その態度はすぐにお母さん達にバレてしまいました。

「みんな、ちょっと様子がおかしい気がするんだが。
神浜市に行って何があったか聞かせてくれないか」

静香ちゃんのお母さんがそう切り出してしまったため、私達は正直に神浜で起こった出来事を話さないといけなくなりました。

「わかりました。落ち着ける場所で話します」

私たちは神浜へと行って何が起こったのかを話しました。

神浜にいる巫達はとても優しくしてくれた。

でも、日継カレン達の行動によって私たちは平気で人を殺してしまえるほど、人を信じれなくなってしまったことも。

そして何よりも、しずかちゃんの大事な剣が奪われてしまったこと。

お母さん達はその話を聞いてとても悩ましい顔をしていました。

「人間を殺めてしまう経験もそうだけど、人間を信じれなくなったってのも問題だね」

一体どんなイメージを見せられてそう言った考えに至ったのかはわからないけど、この村の人たちのことは信じて欲しいわ。
ここのみんなが優しいのは、3人も知ってることでしょ?」

「でも、でも。

この村にいる人たちが実は悪いことを考える人たちで、魔法少女を対等な関係で見てくれていなかったり、悪いことに利用しようとしているんじゃないかって思って」

私は涙を滲ませながら回答をしました。

そんな私にすぐに返事を返したのは静香ちゃんのお母さんでした。

「そりゃ人なんだから悪いことの一つや二つは考えてしまうさ。
何でもかんでも善行でできている人間なんていないと言ってもいい

「お母様達も、悪いことを考えてしまうの?」

「そうだね。

娘達を親の同伴なしで都会に送り出すことだって、人によっては私達は悪いことをしてると捉えるだろうさ。

でも、私は娘との合意の上で送り出しているつもりだ。

何が言いたいかというと、悪ってのは見る角度によってそうかそうでないか変わるってことだ

「お母様、もっとわかりやすく教えてもらえますか」

「こういうのは人生経験で学ぶ物だと思うけどね。口だけの説明では理解しきれないだろうさ」

「…私たちが悩んでいるのは、守ろうとしていたこの国が悪いことを考える大人の考えでできているってことを知ってしまったから。

国民にはまともな人がいるかもしれない。

だとしても、人はお金や権力が絡むと非道なことができる。

それは、子ども思いの親も同じ」

「ちはる…」

その後の夕食はできるだけ今まで通りの楽しい雰囲気で過ごそうとしました。

私はどこか演じきったという感覚が拭えず、お母さん達に申し訳なさしかありませんでした。

夕食後、私はひとり夜風にあたりながら考えていました。

私たちに見せられたあの光景の数々が事実だとしたら、人間は許せるような存在ではない。

でも、お母さん達のような、お金や権力に引っ張られずに優しさを忘れない人がたくさんいるならば、まだこの国は守っていきたいと思える。

「わからない、わからないよ」

「ちはる」

声がした方を向くと、悲しげな顔をしたお母さんが立っていました。

「お母さん…」

お母さんは私の横に立ち、優しく私の手を握りました。

「ちはる、お母さんはあなたに無理して人を信じて欲しいとは思っていないわ

できれば信じていてほしいけど、きっと人に対する不信感は都会に長く滞在したからこそ感じたこと

その疑う気持ちは大事なことよ」

お母さんは真っ直ぐに私の目を見ました。

「周りの大人達は受け入れてくれないかもしれない。

それでも、あなたの信じる道に進んでちょうだい。

だとしても、人の道を外れるようなことをしてはいけなわよ。
ちはるがそんなことに慣れてしまったら、お母さん悲しんじゃうから」

やはり、会うべきではなかったかもしれない。

こうして面と向かって自分の心に従えなんて言われたら、もうお母さんに会うことは無くなっちゃうだろうから。

でも、それはもう今更なこと。

「うん、ありがとう」

これがきっと、お母さんにいう最後のありがとうになるだろう。

 

翌日、私達は神浜市へと戻りました。

お母さん達には笑顔で行って来ますとは言ったけど、もう帰ってくることはない。

すなおちゃんはというと、両親に結局顔を一度も合わせることなく静香ちゃんのお母さんに相談を行っただけでした。

静香ちゃんは改めて人を信じてみたいという決意を固めたようです

結局今回の帰省は、時女一族をさらに二つの勢力に分けてしまうような要因を作ってしまっただけかもしれません。

そんな結果を聞いて分家の子達は複雑な気持ちになっていました。

どうにかして静香ちゃんが人との共存を目指そうと説得を行うものの、みんなが賛同することはありませんでした。

なかなか一族が今まで通りに戻らない中、神浜でテレビが復旧したという話を受けて、珍しいものを見ようと静香ちゃん、すなおちゃんと一緒にテレビが設置されたという竜真館へ行きました。

そこには魔法少女がたくさんいて、一部の魔法少女は私たちに声をかけてきました。

「おや、あなた達は確か時女一族の方達ですよね」

しかし私たちには覚えがありませんでした。

覚えている方達といえば、いろはさんとあとはピリカさんに怪我を負わせた魔法少女くらい。

「ほら、あの顔合わせの会議の時ですよ。

まああの時はピリカさんが突然倒れてそれどころではなかったですが。

でも今まで外に姿を見せなかったのに、テレビの噂でも聞いて飛び出してきましたか」

「まあ、そんなところですね」

すなおちゃんがそう答え、私と静香ちゃんは苦笑いするしかできませんでした。

いたか覚えがないなんて、言えない。

テレビでは他愛もない番組が流れている中、画面が急に荒くなっていきました。

「なに、故障?」

みんなが故障を疑っている中、画面が復活したかと思うと世界を大きく変えることになる演説が映し出されました。

アンチマギアプログラム

その内容は人間が魔法少女の発生を抑制し、現存の魔法少女達を支配するような内容でした。

周囲の魔法少女達は怯えた顔をするばかりで、その中にはひっそりとついてきていた分家の子達もいました。

「ちかちゃんに、旭ちゃん?!」

「涼子殿もいるでありますよ」

「わざわざ報告しなくてもいいだろ」

「…みんな戻るわよ。

これは、いい加減決断しないといけないことよ」

真面目な顔をした静香ちゃんがそう言うと、みんなはうなづいて時女一族のみんなはお寺に戻りました。

そして、みんなを集めた静香ちゃんは、私たちに相談もせずこんなことを言い出しました。

「私たちは巫、魔法少女であると、日の本に明かしましょう」

みんなはざわつき始めます。そんな中、涼子ちゃんが切り出します。

「大将、自分が何を言っているのかわかってるのか」

彼らは私たちを確保するとは言ったけど始末するなんて言っていません。

日の本のために戦う存在が巫であると言えば、きっとわかってくれます。だから!」

「それで人の前に姿をあらわにすると。
静香さんも知っているはずです。この世の中には悪い人間がたくさんいると」

ちかちゃんがそう言っても、静香ちゃんは引き下がろうとしません。

「明日、政府へと申告しに向かいます。
一族のみんな、ついてきてもらえるかな」

みんな静まり返り、最初に発言したのは、私でした。

「嫌だ」

「ちゃる…冗談はやめて」

「冗談ではないよ。

あの放送の内容しっかり見たでしょ?

魔女になった魔法少女が人を襲った映像、そしてドッペルを出した神浜にいた魔法少女が人間を虐殺する様子

あれを見て魔法少女が危険な存在だって思わない人なんていないよ

私たちがいくら危害を加えないからって、普通の人間としては扱ってくれない。

きっと、危険な存在として監禁されるだけだよ」

「そんなこと!」

「そんなことあります」

次に声をあげたのはちかちゃんでした。

「私の魔法少女になった経緯は知っていますよね。

危険な存在だと認識された上で、まともな扱いがされないことは目に見えています。

きっと利用されるだけです。

考え直してください!」

「…私は、一族の長について行きます」

「お前、本気か!」

分家の一人が静香ちゃんに賛同したのです。

その声を筆頭にポツポツと静香ちゃんについて行きたいと言う声が出てきました。

「本気なのか、お前たち!」

「人にも優しい人は、お父さんとお母さんのように優しい人はきっといるはず。

そう信じたいのです!」

「私もです!」

「わ、わたしも」

「みんな…」

結局人を信じたいと思っていたみんなが静香ちゃんについて行くと言いました。

「すなお、あなたの意見も聞かせて」

すなおちゃんはとても悩んだ顔でなかなか話そうとしませんでした。

「すなおちゃん、はっきり言ったほうがいい時もあるよ」

私がそう言うとすなおちゃんは深呼吸をして、静香ちゃんの顔を見ながら言いました。

「私は、行くべきではないと思います。

きっと、酷い目に遭うだけです」

静香ちゃんは少し泣きそうな顔になってしまいました。

「どうして…わかってくれないの」

その後は静香ちゃんが個室にこもってしまったため、私は個別に今後どうするのか聞いて回りました。

最初は一緒に外で月を見ていたちかちゃんと旭ちゃんに意見を聞いてみることにしました。

「静香殿の気持ちはわからなくもないでありますが、アンチマギアプログラムなんてものが実施された世の中で魔法少女が生きていけるとは思えないでありますよ」

「人はいくらでも騙そうとしてきます。静香さんが信頼している人もきっと偉い人の命令となればいくらでも裏切ってくるでしょうに」

二人は静香ちゃんの意見に否定的なようです。それぞれがいう理由は、自分の経験から言っていることなのかなと少し気にはなりました。

あまり二人のことは深くは知らないけど。

「どうしたら静香ちゃんは考え直してくれると思う?」

「結構意志が硬めの表情でしたからね。諦めさせる方法がないくらい、説得は難しいと思います」

説得が無理なことはわかってる。

でも、行かせちゃいけないと思うんだ。

いろんな子に意見を聞いても意見がまとまらず、布団で寝転がりながら考えていると知らないうちに眠ってしまいました。

そして目覚めたのは、外が騒がしい中すなおちゃんに声をかけられた時でした。

「外が騒がしいけどどうしたの?」

「静香がここを発つっていうんです。

日本政府に姿を見せるんだって」

私は急いで騒がしい玄関へと急ぎました。

外では引き止めている涼子ちゃんと毅然と立っている静香ちゃんがいました。

「大将、あんな放送があった後だ。

人間が普通に接してくれるわけがない。

考え直してくれ」

「私たちの考えは変わらないわ。

涼子ちゃん、道をあけて」

両者が睨み合っているところに私は飛び込みました。

「ちょっと何やってるの静香ちゃん!

馬鹿な真似はやめて!」

「私は冷静よ、ちゃる。

おかしいのはあなたたちよ。

少しは人を信じようとしてみてよ」

「私たちはもう信じれないよ!

受け入れられたって、人間社会自体が」

「悪いものは私たちが正せばいい。

それで人間社会だって健全になるわ」

「いつの間にそんな傲慢な考え方を…」

「話しても無駄でしょ」

そう言うと静香ちゃんは見慣れない刀を取り出しました。

「その武器、一体どこから」

「魔法で生成するって方法を教えてもらったの。

我が一族の刀はどこかいっちゃったし」

静香ちゃんは鋭い目つきでこちらをみながら刀の先をこちらに向けてきました。

「構えなさい、ちゃる。

私を行かせたくないと言うなら」

私は仕方なく十手を構えましたが、そこにすなおちゃんが割って入りました。

「やめてください!

時女一族同士が争うなんておかしいです!」

「すなお、あなたはどっちなの!」

すなおちゃんは悩んだ顔をしながら静香ちゃんから目をそらし、少ししてから涼子ちゃんの方を見てこう言いました。

「涼子さん、静香を行かせてあげてください。

その後の結果は全て私の責任にして構いません!」

「だが」

「行かせてあげてください!」

涼子ちゃんはどこか不満げな顔をしながら道をあけました。

静香ちゃんは武器を下ろし、すなおちゃんに話しかけます。

「すなお、あなたは来てくれるの?」

すなおちゃんはうなだれたまま、ただ首を横に振るだけでした。

「…必ず、あなたたちを迎えにくるから」

そう言って静香と人間を信じたいと思う子たちは水徳寺を後にしました。

私たちはしばらく気持ちを切り替えずに過ごしていましたが、切り替えざるを得ない出来事が起きます。

静香ちゃん達が出て行ってから次の日の夜があけた頃、紫色の霧が水徳寺を覆いました。

私たちは急いで外に出ましたが、中で逃げ遅れた子達はだんだん動かなくなり、テレパシーを送ることも受け取ることもできなくなりました。

そして、私たちが飛び出した先にいたのは、テレビで見たことがある特殊部隊と言える服装をした兵士たちが銃をこちらに向けて包囲していました。

「おとなしく言うことを聞けば痛い思いをしなくて済む。

素直についてきてもらおう」

抵抗しようという子が感じ取れたので、全員に対して抵抗しないようテレパシーで伝えました。

私たちにはこの場をどうしようもできない。

そんな中、知らない魔力反応を示す魔法少女の集団が近づいてきました。

その場に突風が発生して、紫色の霧が周囲から消えたかと思ったら、見慣れない魔法少女達は鎖やら鎌で兵士たちが銃声を鳴らす間も無く首や引き金を弾く方の腕を切り落としていきました。

あっという間の出来事でした。

生きている兵士がいなくなった頃、鎌を持った魔法少女が話しかけてきました。

「随分と大所帯だが、どこに避難するかは決めているか?」

「いや、今は何が起きているんだかさっぱりで」

「特に決めていないならば中央区の電波塔跡を目指せ。

あそこに怪我人や避難したものが集まっている。

あそこにいれば少なくとも安全だろう」

そう言って鎌を持った集団は去っていきました。

「さてどうするでありますかね」

「旭ちゃん?」

なぜか旭ちゃんとちかちゃんは武器を手に持っていました。

「神浜中にあの妙な兵士さん達が現れているんですよね。

道中出会うかもしれませんし」

「それに、お世話になった皆さんを助けた方がいいとも思いましてね」

「二人とも」

「でもどうするよ、ちはる」

声をかけてきた涼子ちゃんも武器を構えた状態でした。

「涼子ちゃんまで」

私はみんなの向けてくる目を見ずに思いを伝えました。

「私の意見を待たなくてもいいよ。それに、もう一族が集まって動く必要も」

「そうは言ってもね。

私らは他に行き場所はないし、こうやって分家同士が集まってる方が心地良くなってるんだよ。

だからそんなこと言うなよ。

今まで通りやっていこうや」

周りの様子を伺ってみると、みんな涼子ちゃんの意見に賛成しているようでした。

みんなを率いていくなんて気は全然ないけど、意見を求められたら答えるくらいの心持ちでいようかな。

「じゃあ、私は神浜から変な兵士さん達を撃退しようと思うけど、ついてくるかどうかはみんなに任せるよ」

「ま、そんなノリでいいさ」

こうしてあの日、私たちは神浜の魔法少女達と協力して謎の兵士たちを追い出しました。

あんなことがあった後、静香ちゃん達が無事なのかは不安ですが、きっと無事だと信じています。

 

 

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【マギレコ二次創作】魔叙事詩カグラ・マギカ 2-2-14 国を守る 国の何を守る?

私達はあの日、神浜市から人が誰もいなくなった日に気がつくと皆散り散りとなっていました。

だれもがどうしてここにいるのか分からず、特に何かがあったら集まるようルールも決めていないのに、みんなは水徳寺に行けば誰かいるのではと自然と集まっていきました。

静香ちゃんは大怪我を負ったまま旭ちゃんに保護されて、今は寝室で寝たままとなっています。

私は静香ちゃんが目を覚ますまでの間、他の時女一族の子達の様子を見て聞いて回りました。

やはりみんな変わってしまっていました。

でもその変化を受け入れる者、抗いたい者がいて、時々喧嘩が起きては私たちが仲裁するの日々でした。

今日も静香ちゃんが眠る寝室へと来ていました。

寝室ではすなおちゃんが静香ちゃんの看病をおこなっていました。

「ソウルジェムは無事でよかったけど、傷が塞がらない前にきっとドッペルを出し続けたんだよね」

「そうだと思います。

ここへ運び込まれた時は本当に血の気がない真っ白な状態でしたが、今ではこうして元の顔色に戻っています。

輸血もしないのにここまで回復できたのは、魔法少女だからとしか言いようがないですね」

「そうだよね。なかなか目覚めないのも、体の回復がまだだからなんだよね。

いつか目が覚めるよね」

「もちろんですよ。そう思いながら、今は待つしかないです」

私は静かに寝室を後にしました。

寝室を出ると、廊下で涼子ちゃんが声をかけてきました。

「大将、まだ目を覚ます様子はないか」

「私には分からないかな。

今は静香ちゃんが目覚めても安心できるように時女一族のみんなを見守ることしかできないし」

「・・・旭から聞いたんだが、どうやら神浜にいる他の魔法少女は二木市ってところから来た魔法少女達と争いをはじめているらしい」

「今はそんなことをしているときじゃないと思うけど」

私達は話しながらお寺の縁側へと向かっていました。
縁側から見える月は変わらず綺麗でしたが、私の心には雲がかかりっきりです。

「今日ケンカしてた子達はどう?」

「ちはるのおかげで3人は落ち着いてはいたよ。
だがお互いに顔を合わせられるような状況ではないな」

「仕方がないよ、考え方の違いをわかりあうのは時間がかかるし」

立ったままだった涼子ちゃんは私の隣へと座りました。

「ちはる、あんたはもう時女一族の考え方にはついていけないのか」

「この国を守っていくって考え方は変わらない。守る対象は国であって、人間ではないだけ」

だが国ってもんは人間のお偉いさん達と国民から成り立ってるもんだ。
仮に人間を悪として成敗していったら、国がなくなると思わないか」

「国の考え方が違うよ。私が国として守りたいのは文化。

ここのお寺みたいなこの国ならでわの建築方法とか、昔話とか遊びとか。

季節ごとのイベントとかそういったものは人間が作り上げてきたと同時に、魔法少女も守ってきたものだから。

この国ならでわのものを守っていくって考えに、私は変わったの」

「国の考え方ねぇ」

今日ケンカしたという3人の子も、時女一族の理念について議論した結果生まれた衝突でした。

人間あっての国

文化があっての国

前者の考えであれば、人間を否定するとこの国を守ることを否定することになる。

後者の考えであれば、人間はいくら否定しちゃってもいいけど文化で国というものは成り立つのか。

国の捉え方で今は二つに分かれていて、今は若干文化があっての国という子達が多い状態です。

「人間あっての国というのは否定しないよ。

そう考えちゃうと、悪いことしか考えない国の偉い人たちをどうするのかって話になっちゃうのが怖いだけ」

「みんな同じ経験をしたんだ。
奴らの行いを暴いたらみんな構わずこの国のお偉いさんの命を奪うだろうだろうな。
それがこの国を守ろうとする行為なのか、それをしっかり考えなくちゃいけねぇ。

ちはる、あんたらの考えはこの悩みから逃げてるだけにしか聞こえないんだ

「やめてよ涼子ちゃん、わかってるよ。
でもこうして考えた方が、今後理念を守っていくにはちょうどいいと思う」

どの意見が正しいかなんて分からない。

本当は、どっちが正しいと決めつけるのが悪いことだと思うけど。

 

次の日の夜、すなおちゃんが私の元へと走ってきました。

「ど、どうしたの?!」

「静香が目を覚ましました!」

私はすなおちゃんと一緒に静香ちゃんがいる寝室へと急ぎました。

襖を開くと、そこには体を起こした静香ちゃんがいました。

「ちゃる…」

私は思わず静香ちゃんに抱きつきました。

「よかった、目を覚ましてくれて!
今は、それだけでもとっても嬉しいよ」

「うん…心配かけちゃってごめんね」

みんなが静香ちゃんが目覚めたと聞いて寝室まで集まってきて、この時ばかりは時女一族のみんなが明るい顔をしていました。

昨日まで喧嘩をしていた子同士が顔を合わせて笑顔を見せるほどでした。

状況が落ち着いてからわたしとすなおちゃん、静香ちゃんだけが寝室に残ってこれまでに何が起きたのかを話しました。

「そう、私達は人を殺めてしまっていたのね。

そして、人は守るほどの存在と認識するようになってしまったと」

私は思わず聞いてしまいました。

「静香ちゃんは、まだ人間のために巫を続けようと思う?」

「わからないわ。

人なんか守るほどのものではないっていうのはみんなと同じものを見たからわからなくはない。

でも、信じたくないのよ。
お母様までもが、あの人たちと同じであってほしくないって。
だから、わからないわ。すなおとちゃるは?」

すなおちゃんが申し訳なさそうに話を始めました。

「ごめんなさい。
私はもう、人のために悪鬼とは戦えません。
でも、この国は守りたいと思っています」

「でも、この国の人を守りたくないのなら」

「確かに国は人が作り上げた結果できたものです。そんな人が作り上げたものは嫌ってしまう。でも、その国で生まれた文化はなぜか嫌うことができませんでした。

なのでかろうじて、私はこの国を守ろうという意思自体はあります」

それを聞いた静香ちゃんは難しい顔をしてしまいました。

「文化と人って、切り離せるものかしら」

「人間ではなく、私たちが引き継いでも残ります。

文化のために人にこだわる必要はないと思います」

「そう…私にはよくわからないわ。

ごめんなさい」

「大丈夫ですよ。すぐにわかってもらう必要はないですから」

「ちゃるは、どうなの?」

私は答えにくかった。

回答したのはすなおちゃんと同じ意見。

少し違うことを言ったと言えば。

「私、お母さんに会うのが怖いんだ」

「どうして?

何か助言してくれるかもしれないじゃない?」

「お母さんに相談したら、それが最後の会話になりそうで、怖いんだよ。

静香ちゃんと同じく、お母さん達は違うって信じたい。

それで、あの見てきた光景と同じ考えを持つ人だと断定されてしまったらって思って。

嫌なんだ、嫌なんだよ、決まっちゃうのが」

私は思わず泣いてしまいました。

信じていたい。
でも出会ったらそうではないと確定してしまうという予感が優ってしまう。

きっともう私達は人を信じれない。

だから、そうであってほしいでとどめていたいのです。

私達はみんな暗い顔をしたままそれぞれの寝床へ戻りました。

静香ちゃんはきっとお母さん達に会いに行こうというでしょう。

でもそれは、とても危険な気がします。

この時女一族という集まりが、離散してしまう決定打になりそうと私の勘が告げてくるのです。

一緒に行こうと言われたら・・・。

次の日、静香ちゃんは今の時女一族がどんな状況なのかを見て回りました。

静香ちゃんの意見に賛同する者、そうではない者
それぞれの意見を聞いて回ったようですが、静香ちゃんへの賛成派は3分の1程度でした。

静香ちゃんは内部のこともそうですが外部のことも気になっていました。

外部のことについては自ら偵察に出ていた旭ちゃんがよく知っていました。

「環さん、今はいないのね」

「はいであります。

一応皆は人間をこの神浜に寄せ付けず、環ういを正気に戻す方法をいろは殿が持ち帰るのを待っているという状況のようであります」

「それがもう、3日前…」

「いろは殿が神浜を出た後、うい殿とワルプルガを奪おうと動く勢力が現れて神浜はまだ安心できる状況ではないであります」

他の魔法少女は動き始めている。

でもそれは、人間を否定する考えの上で。

それに、魔法少女同士で争い始めてしまっている。

今の神浜の事実を知って、静香ちゃんはいつまでも納得できない顔でいました。

次の日、静香ちゃんは分家もいる前で宣言しました。

「私達本家は、一度霧峰村へと戻ります」

「静香?!」

「静香ちゃん?!」

「人を守る気を本当に無くしてしまっていいのか。
それが私達時女一族として正しい選択なのかを、原点に帰って考え直す必要があると思うのよ。

分家の方達には、神浜で待っていてもらいます」

そう説明している中、分家の1人が静香たんに尋ねました。

「しかしよろしいのですか、もし親と対面してしまったら」

「だからこそ。

親子の関係はそうそう切れない物。

そして時女一族の人間が皆良心が確かにあるとわかれば、私達は人などどうでもいいと言えなくなります。

それを確かめに行きます」

みんなへの宣言が終わった後、私は特に反論することなく静香ちゃん、すなおちゃんと一緒に霧峰村へと戻りました。

 

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Next:2-2-15

【マギレコ二次創作】魔叙事詩カグラ・マギカ 2-2-13 過去と未来、大事なものは?

神浜の自動浄化システムは、ワルプルガという少女が願えば世界に広げることができるらしい。
ワルプルガの所持権を奪って神浜の魔法少女へ復讐しようなんて言う意見が内部で出たものの、私はワルプルガに願いを叶えさせる策があるという環いろはに任せてみることにした。

私は日継カレンとの出会いをきっかけに修羅の道を突き進もうという気はとっくに失せていた。

とはいえ虎屋町はともかく竜ヶ崎のメンバーを納得させるには強硬手段を演じるしかなかった。

だからああやって神浜の魔法少女へ、環いろはへの挑発行為をおこなった。

あれらの行為が今後のためになるなんて思っていない。

でも私は、演じ続けなければいけなかった。
再び二木市の魔法少女同士が争わないためにも。

私たちが一度二木市へ戻った後、アンチマギアプログラムという魔法少女を排除する動きが世界中で活発になり始めた。

この影響は二木市でも起きていた。

父親には魔法少女であることがばれて、魔法少女を取り締まるところにすぐにでも届けだそうとしてきた。

私は酷く失望した。この人は、私を守ってはくれないのだと。

私は家を飛び出す前にみんなへ注意を促したものの取り締まる者たちの質は予想以上で、次々と魔法少女達が謎の兵士たちに捕らえられていった。

その兵士たちは、魔法が効かない物質を使用していて下手にその物質に触れると体が動かなくなって簡単にとらえられてしまう。

兵士たちから逃れたものを集めて、私たちは捕らわれた仲間の奪還作戦を実施した。

しかしその作戦では、公共で使用されている建物を容赦なく破壊し、動けなくなった敵を殺していくという人間を殺すことに慣れなくては実施できないような作戦を実施した。神浜へ行ったメンバーがみんな人間を躊躇なく殺す様子を見て、二木市に残っていたメンバーは絶句していた。

「ゆ、結菜さん、何も殺してしまわなくても」

「彼らは本気よ。

やれる時にやっておかないと、明日は我が身よ」

救出作戦自体は成功して捕らえられた仲間は救えた。

でも、救えたのはまだ二木市にいた子達だけ。最初に狙われた蛇の宮にいた子達を中心に既に外部へ運び出されてしまった子達は助けることができなかった。

その中にはアオもいる。

助け出した子達はソウルジェムが紫色の液体につけられた状態になっていて、そのソウルジェムを体の上においても目覚める様子がなかった。

彼女達の目覚めを待つために私達は身を隠せる場所を探した。

その末辿り着いたのは仲間達が眠る、この場所だった。

「結菜さんこれからどうするんですか。いつかここも敵に見つかってしまいますよ」

「すでに見つかっているわ。
敵は隠密作戦に慣れているのか、上手く隠れているわ」

「そんな、いつの間に。
なら早くここから離れないと」

「離れて、どこに行くというの?
元からここを離れる気はないわ」

「え、それってどういう…」

アンチマギアプログラムと呼ばれる取り組みはあらゆる魔法少女を取り締まるもの。

魔法少女自身もそうだけど、魔法少女に関わるものや場所も念入りに調べられる場合がある。

それはもちろん、ここに眠る魔法少女だった子達も例外ではないはず。

ここが部外者に荒らされるなんてことは避けたい。

だからここから逃げ出すなんて選択肢はない。

ここは私たちにとって最後の砦でもあり、なんとしても死守しなければいけない場所よ。

逃げ出すなんて考えはないわ。

それに、まだ動けない子達だっている」

そう言った私に対して睨みつけている樹里が話しかけてきた。

「だが姉さん、食料にも限度がある。

ここを取り囲む奴らをどのみち蹴散らさなきゃならねえ時が来る。

なら、さっさとぶっ倒しちまった方が早いだろ」

「救出作戦の時に確かに敵の数は減らしている。

でも、想像よりも手加減をされている感じがするのよ。

変に奢って飛び出せば思いがけないしっぺ返しを受ける可能性があるわ」

「でもよ」

みんなはともかく、私はここを捨ててはいけない。
ここを捨てるなんて、命を散らした皆に申し訳が立たない。

どうすれば、ここを捨てずに皆を守れるのか。

悩んでいると外が突然慌ただしくなった。

「何事?!」

外に出てみると兵士を刺し殺す魔法少女達がいた。その中には神浜へ待機させていた子達もいた。

「あなた達、どうして」

「ひかる軍団!風を巻き起こすっす!」

迫ってきていた紫色の霧はどこから取り出したか分からない団扇を持ったひかるの軍団によって吹き飛ばされていた。

「ひかる!なんで戻ってきたの!」

「私も一緒さ」

ひかるの側にはさくやもいた。

「さくやまで」

「結菜達を助けにきたのさ。もちろん、私たちだけじゃない」

さくやが目を向けている方向を見ると、そこには環いろはの姿があった。

「なんで彼女と一緒なの」

「話は後だ。早く二木市から逃げ出そう!」

「それはできないわ」

「なんでよ!ここにとどまるよりは神浜で体制を整えた方が安全でしょ」

「さくや、私に二木市を捨てろというの!」

「奴らの目的は侵略じゃない!魔法少女を捕らえることよ。

町が奪われるわけじゃないでしょ」

私は再びカタコンベの中へと戻った。

「奴らが調査としてここを漁るかもしれない。そんなことは許されない。

許されることじゃないわ!」

そんな私たちの会話へ環いろはが割り込んできた。

「皆さん!早くこちらにきてください!

逃げる準備はできていますから」

「何も知らないで、お前は!」

私は武器を環いろはに向けて振り下ろした。

当然ではあるけど、その攻撃は彼女に当たることはなかった。

「どうして攻撃するんですか!私は助けに来ただけで。

今は魔法少女同士で戦っている場合ではないはずです!」

近づいてくる兵士たちに対し、穴の中にいた樹里達が外へ出て応戦を開始した。

「まったく、でも、姉さんがここを譲れねぇってんなら樹里様も引くわけにはいかねぇな」

皆この場所から逃げようとしない。

しかし兵士の銃に当たって動けなくなる子が出てきた。

「結菜!」

さくやの声で驚き、さくやの方を向いた。

「もういいだろ。

ここにいるみんなだって、いま生きている二木市のみんなに生きてもらいたいと思っているはずだ。」

「でも、私は、ここを譲れない!

私だけ置いてみんなは早く逃げなさい」

「結菜さん!」

また環いろはが会話に割り込んできた。

「さくやさんからここがどんなに大事な場所か聞きました。

この町で死んでしまった子達が眠る場所なんですよね。

人間に譲れない気持ちは十分にわかります」

さくや、余計なことを。

「だからあえて言わせてもらいます。

過去に生きていた仲間と今生きている仲間、どっちが大事なんですか!」

「何ですって…?」

環いろはは目を逸らすことなくこちらを見続けている。

この子は私を怒らせに来たの?

「何やってるんだ!増援が来ちまうぞ!」

外からそんな声が聞こえても環いろはは顔を逸らそうとしない。

私の意見を聞きたいというの?

「・・・どちらも大事なものよ。だから」

「だからこそ、今生きてる人が大事じゃないのですか?」

環いろはは握手を求めるかのように右手を出してきた。

いなくなってしまった人たちは今生きている人が覚えていてくれるからこそ残り続けられる。

眠っているみんなのためにも、結菜は生き続けないといけないんじゃない?」

環いろはの隣にいるさくやはそう言った。

そんなことはわかっている。

でもここにいる子達が、そんなことを許してくれるだろうか。

「私が生き続けていいのかしら。

この街で散っていった子達は、先輩は、わたしがここから離れることを許してくれるの?!」

「結菜さん…」

環いろはは右手を下ろし、内部へと入ってきた。

「ちょっとあなた」

空間の中央にいくと、環いろはは深く礼をした。

そして顔を上げてこう宣言した。

「ここに眠るみなさん。この町にとって結菜さんは大事な存在だというのは知っています。

だからこそ、彼女を私が連れ出します。

そのせいでみなさんの静かな眠りが脅かされたり、結菜さんに何かがあれば、私を呪っても構いません。

どうか、よろしくお願いします」

そう言って彼女は再び頭を深く下げた。

そして彼女は顔を上げてこちらへ向き直った。

「言質は取りました。

ここに眠る方たちも、きっとわかってくれると思います。

みんなで神浜に行きましょう!」

私は環いろはの横に先輩が立っている気がした。

その顔は穏やかで環いろはの提案に乗ることを促すかのような感じだった。

「あなたって、案外強引なのね」

「結菜さん?」

私はテレパシーで全員に伝えた。

[さくや達が手配した脱出ポイントへの移動を開始してちょうだい]

[結菜さん、それでは]

「これは敗走ではないわ。

この町を安全に住めるようにするための準備をしにいくだけよ。

さあ、急いで」

皆が一斉に神浜の方向へと流れていくことが外の様子からわかった

「結菜さん、ありがとうございます」

「しっかり最後まで責任を取ってもらうわよ、環さん」

「はい、もちろんです」

「結菜さーん!急ぐっす!」

動けない子を連れ出している中、環さんが運び出そうとしている子たちのもとへと向かった。

「手伝いますよ」

「でも」

[手伝わせていいんですか]

外に連れ出そうとする子が私にテレパシーで確認を求めてきた。

[構わないわ。手伝わせなさい]

[わかりました]

「わかった、助かる」

動けない子たちが外へ連れ出されたことを確認すると、私はカタコンベへの入り口を入り口を破壊した。気休めではあるものの、これでカタコンベが調査される時期を遅らせることに繋がればいいと思った。

外に出るとほとんどの子達は神浜から来た他の魔法少女に誘導されて移動していた。

彼女達の移動が完了するまで、樹里をはじめた竜ヶ崎の子たちが兵士たちを足止めしていた。

「もう十分よ。あなた達も急いで」

「わかったよ。

お前ら行くぞ!」

「はい!」

一人が煙幕を巻いて兵士達からの視界を遮ったあと、樹里達は撤退を開始した。

そんな中、煙幕の向こうから銃が乱射されてきた。

それらの銃弾のうち一発が樹里の左足を貫いた。

「樹里!」

「構うな!行け!」

そう言われて竜ヶ崎の子達は動こうとはしなかった。

「行けってんだよ!」

そんな様子を見かねた樹里は竜ヶ崎の子達へ火炎放射を放ち、竜ヶ崎の子達はやむを得ず脱出先へと急いだ。

兵士の足音が近づいてきて、樹里が諦めたかのような顔をしていると、らんかが樹里を抱え上げた。

「お前?!」

「勝手に死んでもらっちゃ困るんだよね」

らんかは樹里を抱えながら脱出場所へと急いだ。

それでも兵士たちの足は速く、捕縛用のアームが飛び出してきた。
間違いなく捕まるというところを見慣れない魔法少女達が銃でそのアームを撃ち落とした。その後は兵士たちの足を止めるようにどこから持ち出したかわからないRPGを撃ち込んだ。

神浜から来た他の魔法少女達が兵士たちを牽制している中、私たちがたどり着いたのは貨物列車だった。

「あんなものを持ち出すなんて」

ほとんどの子達は貨物列車のコンテナに乗り込んでいて、樹里とらんかを待つだけだった。

私は貨物車へ乗り込み、らんかから樹里を受け取った。

最後にらんかが乗り込み、そのタイミングで神浜の魔法少女達も貨物車へ乗り込んだ。

そのうち一人が貨物車の上に乗り、操作席がある最前列の車両を連結から切った。その最前列の車両の周りにはなぜかドラム缶がたくさん置かれていた。

その後に貨物車は神浜へ向けて動き出し、しばらく動くと切り離された最前列の車両が爆発した。

「これで、奴らはすぐに列車で追いかけてなんて来ないだろう。

RPG抱えてる奴はいないだろうな!」

そう一人が聞くともう一人からの返事が聞こえてきた。

「視認はできない!

道中いるかもしれないから索敵はしておくよ!」

貨物列車に何か起こることもなく、私達は神浜の魔法少女と神浜に待機していた仲間達の手当てを受けていた。

「樹里さん、これはしばらく左足は使えないかも」

「マジかよ。あいつらの銃弾そんなにやばかったのかよ」

「魔力供給を断ち切る効果があるらしい。あの紫色の霧と同じ成分だろう」

そう樹里へ話しかけたのは銃を携えた見慣れない魔法少女だった。

「やけに詳しいな。あんた」

「神浜でも同じものを見かけたからね。

でも強いあんたと手合わせするのが先延ばしになったのは、残念なことだ」

「…へぇ。あんたもそういうやつか」

「強い奴を求めるのは、悪いことか?」

「いいや、悪くねえ」

何だか二人は気が合うようだ。

そんな二人の様子を眺めていると、環さんが私と視線が同じになるよう座って話しかけてきた。

「ごめんなさい。無理やり連れ出すようなことをして。

でも、放っておけなくて」

「いいえ。意固地になっていた私が悪かったのよ。

あなたに言った話、覚えているかしら」

「それなら既に準備が整っていますよ。

その方達に、少し神浜へ慣れてもらう時間が必要ですが」

「そう。なら、あなたに突っかかる必要もないわね」

「今は魔法少女同士で争っている時ではありません。

一緒に戦ってください。そして、いずれは二木市も魔法少女が普通に住める場所へ戻すために」

「ええ。その時まで協力してあげるわ」

環さんと話しているとさくやとひかるが近づいてきた。

「やっと強がりを止めるのか」

「みんなもわかってくれると思ったからよ」

「何はともあれ、結菜さんが無事でよかったっす!」

かつてバラバラだった二木市の魔法少女達は神浜という共通の敵があることでかろうじて協力できる状態になった。

その標的が、人間に置き換わっただけ。

自動浄化システムが世界に広がり、わたしたちを襲う脅威さえなくなれば、私達は無駄に争わずに済む。

これまでの戦いで死んでしまったみんなも、きっとわかってくれるだろう。

 

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【マギレコ二次創作】魔叙事詩カグラ・マギカ 2-2-12 慈悲が過ぎる行為

私達は神浜への移動中にアンチマギアプログラムのことを街頭のテレビで知りました。

「やちよさん、この内容って」

「世界が魔法少女を見る目を変えてしまう。しかも最悪な方向へ」

神浜へ向かう足取りは早くなり、翌日からは街の近くへ行くと武装した兵士を目撃するようになり、時には攻撃を受けることもありました。

魔法少女ではない子達を庇いながら戦うのは困難であり、逃げるという選択肢しかなくまともに戦いはしませんでした。

とはいえ、逃げようと放った攻撃が彼らに効かないことだけはわかっていました。

魔法が効かない相手が神浜にもきているのだということを思うと、みんなが無事か気になって仕方がありませんでした。

神浜へ到着すると神浜は兵士に囲まれてはおらず、魔法少女達がいつも通り歩き回っていました。

私達が最初に顔を合わせた魔法少女は眞尾ひみかさんでした。

「いろはさんにやちよさん!いやぁ無事でよかった!

ん?後ろにいるのは?」

「あの、神浜ではなにかなかった?」

「ええ、いろはさんがいなくなってから色々ありましたよ。

でも大丈夫です!少なくとも今は安全です!」

ひみかさんの話を聞いている最中、遠くから目線を感じたのでその方向を見ると、神浜の魔法少女ではないですが見慣れた顔がありました。

しかしその見慣れた顔が少ないような。

「ひみかさん、あの魔法少女達って」

「ああ、いろはさんも知ってると思いますがプロミスドブラッドって名乗ってるグループですよ。

いろはさんがいなくなった後にういちゃんをさらおうとしてきたんですよ」

「ういを?!」

「でも安心してください。

ういちゃん達は里見さん達が匿ってるようなので無事です」

「よかった」

私は少しプロミスドブラッドに状況を聞きたいと思いました。

でも今はさつきさん達を案内しないといけないし。

私はやちよさんの方へ向き直りました。

「やちよさん、みんなを休める場所まで連れていってもらえますか?

私はプロミスドブラッドの子達に聞きたいことがあるんです」

「出発する前にあれだけ煽ってきたグループよ。

いろは一人を行かせるわけには」

「大丈夫ですよ。

あれ以来この街の見張り能力は向上していますから。

安心してください」

目から光がなくなったひみかさんからそうつたえられました。確かに周りにたくさんの魔法少女の気配が多いような。

「わかったわ。
いろは、無理をしちゃダメよ」

「はい」

さつきさん達のことはやちよさんにまかせ、私はプロミスドブラッドのメンバーに接触しました。

「ちょっといいでしょうか」

「環いろは!戻ってきていたのか」

「ついさっきですけどね。

結菜さん達の姿がないようですが」

「お前に教える必要はn」

「結菜達なら二木市に戻ったよ。仲間がまだ二木市にいるからね」

「それって、あの全国放送が行われる前に、ですか」

「ええ、そうよ」

「ちょっとさくや、何普通に教えちゃってるの」

「私たちじゃ今以上にどうしようもできないでしょ」

きっとあの兵士達が神浜へ来たと同様に二木市にも現れていたのだろう。

あの兵士達が現れてからしばらく経つのに神浜に避難してきていないとなると、苦戦している可能性がある。

それとも。

「プロミスドブラッドのみなさんは二木市に思い入れはありますか。
なければすぐに神浜へ避難してもいいと思いますが」

「地元に思い入れがないわけがないだろ!

あそこには楽しい記憶も、辛い記憶もあるんだ。そう簡単に手放せるわけがない」

「それで、今の生存よりも地元愛を優先して捕まるのを待つのが、結奈さん達の考えなのですか」

「あんた、言わせておけば、
ふざけんじゃないわよ!」

「私は多くの魔法少女を助けたい。

でも、死にたいと思ってる子を無理やり生かそうとは思いません。

教えてください。今結菜さん達は生きようとしてるのですか!」

そういうと一人の魔法少女が近づいてきました。

「確かに結菜さんなら二木市で命を落とそうとか考えかねないっす」

その魔法少女は二木市があるであろう方向へ向いて話を続けました

「でも、少なくともひかるは結菜さん達を死なせたくないっす。
こんな時に、死ぬ必要なんてないっすからね」

「助けに行きませんか。私達で」

私がそういうとプロミスドブラッドの魔法少女達は驚いてこっちを見ました。

「いいの?私達はあなたへ恐喝したり妹さんを攫おうとしたし殺そうともした

そんな私たちを助けようっていうの?」

「もちろんですよ。あれも本意ではなく理由があってのことだと信じていますから」

「お人好しすぎるんじゃないか、環いろはさん。

でも気持ちはありがたいよ」

「では早く向かいましょう!早いだけいいですから」

「ちょっと待て、今の流れで行くことになったのか、しかもこの人数で?!

さくや、私達が命じられたのは神浜の偵察だ。戻ったら何言われるか分からないよ」

「だから危険だとわかっている結奈達を助けに行かないって?

それは違うでしょ」

「それは、そうだけど」

プロミスドブラッドのメンバーが話し合っている間、私は近くにいる魔法少女へ伝言しました。

[聞こえますか]

[いろはさん?!プロミスドブラッドと接触して平気ですか!]

[うん、大丈夫。

やちよさん達に伝えてください。

私はプロミスドブラッドと共に二木市へ行って魔法少女を助けに行きます]

[ええ…ええ?!]

[お願いしますね]

[ちょ、いろはさん!]

私は一方的にテレパシーを切りました。

「ついてきてくれるのはあなただけ?

まあ、あれだけのことをやったら当然か」

「必ず力になります。
案内してください、結奈さん達のいる場所へ!」

「なんか楽しそうなことを企んでるじゃないか。あたし達も混ぜてくれよ」

そう言い寄ってきたのは私たちをずっと見ていた魔法少女達の一部魔法少女姿から武装をしていてとても目立っていたので覚えています。

「三重崎の方達、ですよね」

「そうそう!覚えててくれて嬉しいよ。

二木市の奴らを助けに行くんだろ?

だったら手伝わせてくれ」

「三重崎のあなた達とは交流はなかったはずだけど?」

「そんな冷たいことを言うな。魔法少女同士助け合わないといけなくなったご時世だ。

それに、あの火炎放射器使うやつと戦いたいと思っていたんだ。

一戦も交えずにいなくなられるのはちと寂しいと思ってね」

「あんた達なりの思惑はあるってことだね」

「手数は多い方がいい。それに、環さんよりはあたしたちがあの兵士たちへの対処をよく知っているはずだ。

どうだ、連れていってくれないか」

「ありがとうございます。

あの、お名前を伺っても」

「私の名前だけ覚えてくれればいいよ。

咲(さえき)って名前だ。よろしく。

早速だが妙案があるんだ。ついてきてくれるか?」

私達は咲さん達についていき、辿り着いたのは神浜の車両基地でした。

そして咲さん達は一両の貨物車をいじり始めました。

その様子を見ていたプロミスドブラッドの一人が咲さんへ話しかけました。

「あんた達まさか電車使用して助けに行こうとか考えているわけ?

「そうだがどうした。

ただでさえ包囲されているかもしれない二木市だ。

大人数をスピーディに運搬できるのは車両ぐらいだ。

ちょうど線路がつながってるわけだし、使わない手はないだろう」

「いやいやいや、封鎖されてるかもしれないしそもそも誰が運転するのさ」

「イノッチが運転できる。まあ魔力使えば誰だって運転できるんだけどね
ああ、イノッチはあいつのことだよ」

「よろしく~」

機関部をいじっている子が陽気にこちらへ手を振ってきました。彼女がイノッチさんなのでしょう。

「とんでもない奴らだ」

「ほら、出発するまで何やるか思い浮かばないのならその空のコンテナにドラム缶を積み込んでくれないか」

「何に使うんですか」

「魔法が効かない相手への対抗策さ」

電車の準備が進んでいき、コンテナが3両つながった5両編成の貨物車が用意されました。

私達はコンテナ部分へ乗り込み、日が沈もうかという時に貨物車は車両基地を出発しました。

レールの切り替えはイノッチさんが銃で行い、今まで二木市とつながっていた線路へと合流しました。

思わぬ寄り道をすることとなりましたが、魔法少女を助けるのが第一です。

ういには、それまで待ってもらうことにします。

 

 

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【マギレコ二次創作】魔叙事詩カグラ・マギカ 2-2-11 再起の巫女

「キク、本気で言ってるの?」

「ああ。私は環達と一緒に神浜へ行く」

「私を置いて行くの?」

「お前がついてこないっていうなら、置いて行くしかないな」

神社の裏側の本殿と呼ばれる場所にいたさつきさんへ、キクさんには神浜に行くという演技をしてもらうことになりました

心が不安定になったら、さつきさんをおかしくした何かが本性を表すかもしれない。そういうやちよさんからの案です。

さつきさんの顔は曇り、小声で何かを呟き続けました。

そして、わたしたちの方を睨みつけました。

「あなた達ね、環さんと七海さんがたぶらかしたのね!」

「私達は神浜がどんな場所か教えただけです。
その後に自分で決めたのはキクさん自身です」

「さつき、そろそろお前も自分で決めて行動したらどうだ」

「私はいつだって自分で決めているわよ!」

「じゃあここから離れられない理由はなんだ」

「それはお父さんとお母さんに頼ま…」

さつきさんは何かに気付いたかのように言いとどまってしまいました。

「あれ、私は自分の意志でここに残らないとと思った。そうよ、残らないとって思う理由が確かにあった。

でもこれ、自分の意志じゃなく、い、言われたからみたいじゃないの」

綻びが見え始めました。

どうやら本当の目的があったからここから離れられなかったようです。

でもそれがいつの間にか、父親と母親に言われた言葉がきっかけで残っているに変わってしまった。

「行かないで・・・キク・・・行かないで」

さつきさんは肩を震わせながら泣き始めてしまいました。

「だったらなんで動かない事に固執するんだ。ここにはもう何も」

「いえ、ここ封印した」

“カワイソウニ,カワイソウニ“

さつきさんが何か思い出そうとした時、声が聞こえてきました。

”オトウサントオカアサンノイッタコトヲマモッテルダケナノニ“

本殿内は魔女の気配で包まれました。

「この反応、あいつと同じ」

”キクハイイコ、イイコ、ダイジナモノヲウバウワルイヤツハ、ハイジョシナイト“

「排除、しないと」

さつきさんの目から光が消え、何かに操られるかのようにさつきさんは私たちへ襲い掛かってきました。

無数の光る札が私たちへ放たれ、それは避けられるような密度ではありませんでした。
受け止める術がない私のためかやちよさんは前に立って無数の槍を生成して光る札を相殺していきました。
しかしいくつかはすり抜けてきてそれらはやちよさんが槍で弾いたものの、2,3発はじいたところで槍が砕けてしまい、私とやちよさんは2,3カ所に切り傷を負ってしまいました。
その頃には召喚された光る札は消えていました。

「やちよさん!」

「この町で一番強いとは聞いていたけど、想像以上の強さね」

「さつき!しっかりしろ!」

周囲はいつの間にか魔女の空間へと変わっていました。

「いろは、少しだけ彼女の注意を引いてもらえる?」

「わかりました」

わたしはさつきさんへ矢を放ち、私へ注意を引き付けます。やちよさんはその間にキクさんへ何か聞いていました。

「キクさん、あなたの家族はあの魔女にどうやって殺されたの」

キクさんは歯を食いしばって答えていました。

「忘れるものか。あんな感じに家族を洗脳して私と対峙させ、最終的に自殺させたんだ」

「そう、洗脳が得意な魔女なのね」

「ふざけやがって!」

キクさんは普段武器として使用している斧を構えてさつきさんに突っ込みました。

さつきさんは避けようともせず、キクさんの斧を受け止め、柄の部分を容易く折ってしまいました。斧を受け止めた際、さつきさんが足をつけていた地面はえぐれましたが、さつきさんはびくともしません。

キクさんは構わず武器を捨て、何度もさつきさんの顔へ拳を打ち続けました。

「おまえは、そうやって!誰にでも優しく、しようとするから!つけ込まれるんだ!

不器用なくせに!勉強もできないくせに!他人にばっか優しくしようとして!少しは自分も大事にしろ!

バカヤロウが!」

さつきさんは繰り出される拳を何度も受け止めていましたが、最後の一撃だけはなぜか防ごうともせず、キクさんの拳はさつきさんの顔を殴りました。すると間もなくさつきさんの背後から複数の札が出現し、キクさんの動きを止めました。そして逆にさつきさんがキクさんを押し倒したのです。

「キクさん!」

しかしさつきさんは手を出そうとしません。

「さつき?」

「そんなにひどく言わなくていいでしょ!

全く、今のは結構効いたわよ」

さつきさんの目には光が戻っていました。

「正気に戻ったか!」

「ええ、こいつを封印した後、こいつを倒せる魔法少女が現れるまでここから離れられないって思ってたところまで思い出したわよ」

さつきさんは禍々しく光る札の方へ向き直りました。

「ふざけた真似してくれたわね!」

そう言ってさつきさんは禍々しく光る札へ勢いよく別の札を飛ばし、禍々しく光る札は真っ二つに裂かれました。

その中から出てきた魔女は、シルクハットを被り、白い手袋を履いた足のないお化けのような見た目をしていました。

「バカ!なんで解き放った」

魔女は見た目を変えていき、男女の人間へと姿を変えました。

”サツキ、ワタシタチノカワリニ“

さつきさんは膝をつき、頭痛を抑えようとしているかのように頭に手を当てていました。

「さつき!」

「なんでよ、なんで抗えないのよ!
あのふたつは、偽物なのに!」

”ナニモカンガエナクテイイ,イワレタトオリニシテ”

私達は魔女を弱らせるために攻撃しようとしますが、さつきさんから札が飛んできて身動きが取れなくなりました。

札の縛り付ける力は強く、いくら力を入れてもほどける気がしません。

「さつき、やめろ!」

「わたしは、ワタシは」

再びさつきさんの目から光が消えつつありました。

男女の人間はさつきさんに近づきながら包丁を手に構えました。

“ダイジョウブ、ラクニシテアゲルカラ”

そう言って男女の人間が包丁を振り下ろすと、その間へキクさんが割って入りました。

キクさんは背中で包丁を受け、深く体に刺さり込んでいました。

その状況を見てさつきさんの目には再び光が戻ります。それと同時に私たちを縛っていた札が消えました。

それと同時にわたしたちを拘束していた札が消えていきました。

「キク!」

「大丈夫さ。魔法少女の体は頑丈だからな。ソウルジェムが壊されない限り耐えられる」

苦しそうにそう言うキクさんへ、男女の人間は再び包丁を振り下ろします。

キクさんは苦しそうにそれを受け止めます。

「キク!」

「さつき、こんな状態でも、魔女は倒せない存在なのか」

さつきさんは怯えた顔になって、男女の人間を見ました。

「ごめん、私だけじゃ・・・」

震えた声で怯えるさつきさんへ私は手を伸ばしました。

「さつきさん、ひとりでがんばらなくてもいいんです。

私が手伝います」

私の方を見たさつきさんは小さくうなづき、私の手を取りました。

その時にコネクトが発動し、私とさつきさんの手の中には和弓がボウガンのようになった武器が握られていました。

それでも怯えているさつきさんへ私は声をかけました。

「さつきさんはきっと、魔女という存在を誤解しています。

あれは、魔法少女だった子が残した後悔なんです。

あれを倒さないと、魔法少女だった子は快く成仏できないんです。ずっと苦しんだままになっちゃうんです。

魔女退治っていうのは、苦しんでいる子達を、楽にしてあげる役目もあるんです」

「本当?倒しちゃったら、魔法少女だった子を殺すことにならない?!」

「殺したことにはならないですよ。

魔女を倒した方が、魔女になってしまった子も喜んでくれます」

私がさつきさんを説得している間、やちよさんが魔女を抑えてくれていました。
キクさんは血を流しながら魔女から離れていきました。

そんな空間へ、3人の子達が入ってきてしまいました。

「ここ、どうなってるの」

そんな子達へ魔女が手を鋭くして子どもたちへ伸ばしていきました

“カワイソウニ”

「お前ら逃げろ!」

すばやく動けないキクさんを尻目に魔女の手は勢いよく子どもたちの方へ向かっていきました。

誰も止められないと思った時、さつきさんの右手から放たれた札が魔女の手を止めました。

「そうよね。躊躇してちゃ、ダメよね」

札は増殖して魔女の手を締め付けていき、引きちぎってしまいました。

“ドウ、シテ”

さつきさんは大きな魔力の篭った破魔矢を生み出し、ボウガンにセットしました。

「一緒に放ってくれるかしら、環さん」

「はい、あの魔女を倒して楽にしてあげましょう!」

さつきさんは札を呼び出して魔女を縛り上げ、やちよさんの助けがなくても魔女は動けない状態になりました。

魔女は縛られながらも再び男女の人間に変わりました。

“ヤメテ、サツキ”

「私の記憶を好き勝手使って…

もう、迷わないんだから!

消えなさい!マガイモノ!」

破魔矢は放たれ、男女の人間を貫きました。

魔女は元の姿へと戻って破魔矢が貫いた場所から溢れる光に包まれ、魔女は消え去りました。

周囲には温かい光が残り、それはキクさんの傷を癒しました。包丁に刺された傷が元に戻るくらいの治癒力でした。

そして魔女の空間は消え去り、屋根が吹っ飛んだ本殿に戻ってきました。
魔女がいた場所には一つのグリーフシードだけが残っていました。

「何今の、すごい!」

子どもたちは勝手に盛り上がっていて、さつきさんはキクさんへ手を伸ばしました。

「よくもまあ私をぶん殴るなんて乱暴なことしたわね」

「思いっきりぶん殴られたら誰だって少しは正気に戻るだろうと思ってさ。魔法少女だからって思いっきりやらせてもらったよ」

「絶対正気に戻そうって以外の雑念あったでしょ」

「さあ、どうかな」

さつきさんとキクさんは笑い合っていました。

私達は二人の談笑が終わるまで待ち、話が終わったところでさつきさんはこちらに話しかけてきました。

「ありがとう、環さん、七海さん。

私あなたたちに大きな迷惑をかけてしまったわね。ごめんなさい」

「私からは礼を言わせてくれ。やってわかったと思うが、私だけじゃどうすることもできなかった。だから二人がいてくれてよかった。ありがとう」

「気にしないでください。さつきさんが元に戻ったようでよかったです。

えっと、それで神浜に行く話ですが」

「ええ、私も神浜へ行くわ。

もちろん、この子たちを連れて。いいでしょ?」

「まあ、来てくれるのでしたら。

いいですよ。みんなで行きましょう!」

「何何?どこへ行くの?」

「神浜って場所へ旅行よ。さあ、出かける準備して」

「はーい!」

こうしてさつきさんは神浜へ来てくれることになりました。

思った以上に神浜を離れちゃったけど今はどうなっているのだろう

そして、世界中にアンチマギアプログラムという存在が知れ渡ったのは、私達が神浜へ出発したすぐ後でした。

 

 

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【マギレコ二次創作】魔叙事詩カグラ・マギカ 2-2-10 偽りの神様

ある日、やちよさんはさつきさんへ3人の子達が学校へ行っていない理由を聞きました。

「事情があるのよ。

もしよければあなたがあの子たちに教えてあげてもいいわよ。

かつては家庭教師が来ていたのだけど、わたしたちだけになってからは誰も教える人がいなかったから」

そう、この神社にはお参りしに来る人と謎のスーツの集団以外全く来ないのです。

3人の子へ勉強を教える人もおらず、さつきさんやキクさんの両親もいません。

きっと踏み込んではいけない事情があるのでしょう。

やちよさんが暇をしている3人へ勉強をしたいか聞くと、ちかちゃんが真っ先に答えました。

「私は嫌かな。あまり勉強得意じゃないし」

他の二人はダンマリでした。

私は二人が言い出せない事情があるのかと思い、ちかちゃんを外へ連れ出すことにしました。

「じゃ、じゃあちかちゃん、ちょっと私に教えて欲しいことがあるんだけど」

「なになに?」

ちかちゃんを私が外へ連れ出した後、その後に残った二人は。

「私は勉強教えて欲しいかな」

「私も・・・」

「最初聞いた時は黙っていたわね。あの子の前では言い出しにくいことなのかしら」

「そうだね。

ちかの前では、“勉強”ってこと自体を話題にするのはよくない」

私はちかちゃんに畑の野菜について聞いていました。

そして聞いてみたのです。

「ねぇ、勉強は嫌いなの?」

そう聞かれると手を動かしながらいつもの元気そうな顔で話はじめました。

「私は勉強ができないからって家を追い出されたの。何が起きたかわからず彷徨っていたところをさつきさんに助けてもらったんだ!

拾ってもらった後も勉強を何度か誘われたんだけど、何をやっても覚えるところか嫌な気持ちになるだけだった。

だからこうやって体動かす方が好き!」

「・・・ごめんね、話しづらいことだったのに」

「いいよ、お姉ちゃんに知って欲しいと思ったから」

この子は拾われた子だった。

このような子へは勉強を強制できない、ではどうやって知識を広げてもらった方がいいのか。

これは魔法少女だけで生きていく上でも大事なことだと思う。

「私、勉強しないから悪い子だと思う?」

「そんなことないよ。こうやって野菜に詳しいでしょ?
それで十分に偉いよ」

「えへへ」

子どもは憎めない。

こんな無邪気な子達が大人になるとああなってしまうのは、そしてこの子のような子どもが増えてしまうのはなぜなのか。

カレンさんが主張していた人間社会の破壊。

それが為されれば、変わるのだろうか。

やちよさんから勉強の話題が終わったという合図が来るまでちかちゃんと外で過ごしました。

その日の夜、やちよさんから勉強を教えた二人について教えてもらいました。

「あの子達、どうやら親に暴力を受けていたみたいで、隙を見て家出したところをさつきさんに拾われたらしいの。

そのせいで人間不信になっているみたいで。

今はさつきさんしか信用していないらしいの」

「そんな辛い事情を話してくれたんですね」

「ええ。少しは心を開いてくれたってことなのかしらね」

あの3人と仲良くなるのはさつきさんを神浜へ連れて行くための過程でしかありません。

3人みんなが魔法少女になってくれればういを助けた後も仲良くできるかもしれない。

私達は後どれほどここに居続けないといけないのだろう。

 

3人が部屋に戻り、環さんと七海さんも部屋へ戻ったことを確認した後、本殿にいるさつきのもとを訪れた。

さつきは札を作る手を止めて窓から外を見ていた。

「また物思いに更けていたのか」

さつきは私の目を見て話しはじめました。

「キク…。

あなたは環さん達をどう思う?」

「あの3人が心を開くくらいいい奴らだし、魔女との戦いも問題ない。

私が言える立場じゃないが、いい加減ここのしがらみから解放される時なんじゃないか」

私と目を合わせながら話していたさつきは、再び窓の外へ向き直ってしまった。

「確かにキクが言えたことじゃないわね。

知ってるでしょ、私は父と母が亡くなった時に約束したのよ。私がここを守っていくって」

「・・・あの二人をここに縛っておく気か」

「仕方がないでしょう?

私はここから離れるわけにはいかないんだから」

何が仕方がないんだか。

さつきのこだわりはわかるが、今私の中では二人への申し訳なさが優っている。

段取りを組んで外に連れ出すしかないか。

「じゃあ、私は勝手にさせてもらうよ」

本殿を出ようとするとさつきは私の左手を掴んできた。

そんなさつきの目には涙が溜まっていた。

「勝手にどっかに行かないでよね・・・。

あなたなしだと、私・・・」

「今後のさつきの態度次第かな」

私はさつきの手を優しく放して本殿を出て行った。

 

「私、どうしたらいいのよ。

教えてよ、お父さん、お母さん…」

 

いつも通りの朝を迎えたかと思いましたが、朝食の席にさつきさんの姿がありませんでした。

「さつき、寝坊かな」

「私起こしてくるね!」

「ああ。いつもの裏口から行くんだぞ」

一人がさつきさんを呼びに行っている間、私達は先に朝食を済ませてしまうことになりました。

「珍しいですね、さつきさんが朝遅いのって」

「誰だってミスはあるさ。疲れてたんだろう」

結局さつきさんとは顔を合わせることなく、私とやちよさん、キクさんで魔女退治に行くことになりました。

ここの魔女は弱く、苦戦することは滅多にありません。

簡単に遭遇した魔女を倒した後、キクさんは真剣な顔で話しかけてきました。

「環、七海少しいいか」

キクさんに呼ばれて私とやちよさんは、キクさんと一緒に人が登れないような建物の屋上へ行きました。

「信頼にあたると思い、あなた達に私とさつきのことを教えてあげる」

===

わたしとさつきはもともと幼馴染の縁で一緒に魔法少女として活動していた。

さつきの魔法少女としての才能はとてつもないものだった。
この町に現れる魔女は相手になんてならず、彼女に刃を向けてきた魔法少女は皆彼女の力でねじ伏せられた。私だって到底かなわない。
だから、この町の魔法少女達はさつきへ大きな信頼を寄せていた。

さつきはあの神社で巫女として育てられてきた。巫女である特権として義務教育を受けることを免除されていて、普通に学校へ行っていた私は少しうらやましく思う時もあった。

だからさつきは同年代のやつと会う機会が少なかったんだが、頻繁に神社へ訪れる男子生徒がいてな。男子生徒が神社へ訪れていた理由は神社に祀られている神様に興味を持ったかららしい。

最初はその男子生徒をさつきは邪険にあしらっていたんだが、なんだかんだ仲良くなってしまってな。
隙があればあの男子生徒のことをわたしへ楽しそうに教えてきた。

「あいつ学校で流行ってるからと言って訳の分からない本を持ってきてね。
絵ばっかりで情報量が全然ない中身でびっくりしたよ」

「それはマンガってやつじゃないのか。
文字で伝えていた情報を絵にかき起こすことでキャラクターの心情を察しさせたりと新しい表現ができるんだ」

「そうなんだ。あいつ、あの本について私と語り合いでもしたかったのかな」

「あいつに興味があるなら、あいつの好きなものから好きになってやったらどうだ」

「ちょっとキク!私はあいつのことどうも思っちゃいないんだから!

でも、ちょっとは興味持ってやるんだから」

「はいはい」

男子生徒は私と同じ学校へ通っていて、周りに誤解されないようさつきをどう思っているか聞いたこともあった。

「さつきのことはどうも思っていないさ。
ただ、一緒にいる時間がもう少しあったらなって思う時がある」

「さつきが学校に来て欲しいってことか?」

「巫女の仕事があるから仕方がないっていうのは知ってる。
ただ、俺が大人になったらあの子をあの神社から連れ出したいとは思ってる。あの神社に祭られている神様ってのは少しうさんくさい気がするんだ。

それに、何かに縛られながら生きるってのはさつきだって望んじゃいないだろ」

「アンタが何か企てるんだっていうなら、私が手伝ってもいいよ」

「その時はお願い、キク」

ただ、あの楽しい日々にも終わりを迎える時が来た。

ある日、学校が丸ごと魔女の結界に飲み込まれるとんでもない事件が起きた。それが起こる前触れはいくらでもあった。

学校周辺で謎の殺人失踪事件が続いていて、その集大成だったのだろう。

たくさんの人々が使い魔の餌食になって次第に狂った人同士で殺し合いが始まった。

その殺し合いに、あの男子生徒も巻き込まれていた。

彼は最後まで冷静だったが、狂った生徒達を止めようとして、その後生徒達に八つ裂きにされた。

その状況を目にしてしまったさつきは、初めて魔法少女として人を殺した。

あの状況ならば、狂った人々を殺すしか手段はなかった。でも、初めて人を殺すという感触に私たちはショックを覚えるほかなかった。

そしてあの男子生徒を助けられなかったさつきに、とどめを刺すような出来事が起きたんだ。

一緒に魔女討伐をしていた魔法少女のうち一人が、目の前で魔女化したんだ。今まで自分が討伐してきた魔女が、元は魔法少女だったことを知ったさつきの精神は限界だった。

さつきはこの町で一番強い。でもメンタルはそうじゃなかった。

彼女は発狂してしまい、相手が元魔法少女だってことから魔女へ手を出せなくなった。

学校を結界に閉じ込めた魔女は強かったが、他の魔法少女達の活躍もあって私がとどめを刺して倒すことができた。

そしてさつきが魔女化しそうな時に私はグリーフシードを押し付けた。

「負けるんじゃない!戻ってこい、さつき!」

さつきは魔女にならずに済んだ。
だがこの件でこの町の魔法少女はさつきに対する信用を失った。

あの時魔法少女が魔女化した個体はあの戦いの中どこかに消えてしまって始末できずにいた。

そいつが数日後、皮肉にも私の家族を皆殺しにした。

私も多少は心にダメージを負っていたのだろう。私は怒り狂った。

そして自我が消えそうな時に、目の前にはグリーフシードを私のソウルジェムに押し付けるさつきの姿があった。

「負けるなって言ったのはあんたじゃん!

私を、ひとりにしないで。あの時助けた責任とってよ!」

行き場を失った私はさつきの神社へと引き取られ、その後間もなくさつきの両親は病でいなくなってしまった。

で、今日の今までここにいる。

===

過酷な経験をしたことを明かされて私はすぐに何と切り出せばいいかわかりませんでした。

「さつきはいなくなった両親の遺言を今も大事にしていて、神社を離れる気はないんだ。

だから、本当は神浜へ行く気なんてなかったんだ」

「そんな。じゃあ、私たちがいくら頑張っても神浜に来てくれない」

私が悩んでいるとやちよさんがキクさんへ尋ねました。

「キクさんの家族を襲ったという魔女、退治はされたのかしら」

「いや、その場を収めるためにさつきが札へ魔女を封印して、今もどこかにいるはずだ」

「その場所って、神社の裏にある」

「環、あの神社に魔女がいると知っているのか」

私はキクさんが魔女を倒さずに放置していることに驚きました。

「え、知ってるならなぜ倒さないんですか」

「あの神社に引き取られてからすぐわかったさ。あそこにいる魔女こそ、さつきが封印した、そして私の家族を奪った魔女だ。

でも何度始末しようとしてもさつきに止められたんだ。
”神様に手を上げるんじゃない”だってさ」

「さつきさん、おかしくないですか」

「ああ、あいつは両親を失ってから明らかにおかしくなってる。でも私はどうしてやればいいかわからないんだ。あのさつきに牙を向けられたら、勝ち目はない」

キクさん達が倒せなかった魔女が、あの神社にいる。

その魔女を、今もさつきさんは封印し続けている。

さつきさんが魔女を倒せないのはわかったけど、さつきさんには何があったのだろう。

私が悩んでいると、やちよさんが話を切り出しました。

「キクさん、少し協力してもらえますか」

 

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【マギレコ二次創作】魔叙事詩カグラ・マギカ 2-2-9 巫女と4人の少女達

神浜市を出てからはキュゥべえに導かれるがままに目的の魔法少女のもとへと進んでいました。

ういをもとにもどすための能力を持った魔法少女に協力を申し出て、神浜市へ連れていく。

それが今の旅の目的です。

お金をあまり使用しないよう移動には公共交通機関を使用せず、山道を中心に移動を行いました。魔法少女ではあっても睡魔には襲われてしまうので、寝る時は荷物として持ってきていた寝袋を森の中に広げて過ごしていました。

道中、魔女を倒してグリーフシードの補充を行ったりお店で食料の調達をしたりといった日々を送っているうちに想像よりも早く目的地へと辿り着いていました。

その目的地は町はずれの山にあり、長い階段が目の前にありました。

「やっと着いたわね」

「素直に公共交通機関使った方が楽だったかもしれませんね」

「チケットを買うときに年齢確認される可能性があったし、仕方がないわよ」

「キュゥべえ、この階段の上に目的の魔法少女がいるの?」

「そうだ。名前は真境名(まきな)さつき。
彼女は相手の心へ潜入できる能力で巫女としてこの先にある神社で生活しているよ」

「改めて聞くと、とんでもない能力ね」

私達は階段を登っていき、鳥居を3つほどくぐった途端に魔力反応を感じました。

神社の前には巫女服を着てホウキで掃除をしている方がいました。

その方は私たちの方をずっと見ていました。

「魔法少女の方達ですか。

ここらあたりでは見ない顔ですが、ここへ何の御用でしょうか」

早速私は目的を伝えることにしました。

「私は環いろはと言います。
真境名さつきさん、心に潜れるあなたにお願いがあってきました」

「…確かに私は真境名さつきですが、まあいいでしょう」

険しい顔でこちらを見るようになったさつきさんは、キュゥべえが目に入った途端にため息をつきました。

「あなたはまた魔法少女をここへ導いたのですか、キュゥべえ」

「魔法少女をどんどん招き入れているのはキミの方じゃないか。
行き場を失った魔法少女達を保護したいと言い出したのは君の方じゃないか。
嫌なら断ればいい」

なにやら事情があるようです。

「えっと、妹の心に魔女がいるみたいで、さつきさんの能力で心へ潜入してその魔女を倒したいんです」

「その妹さんは?
一緒じゃないの?」

「今は神浜市にいて」

さつきさんはホウキをくるっと回してホウキの柄の部分を地面に力強くつけました。

「私の能力目的だってことは把握したわ。
でも軽く引き受けられるほど簡単な話じゃないわ」

「お願いします!妹を助けたいんです!」

「だったら本気度を示してちょうだい。この神社にはすでに4人の少女をかくまってるの。

彼女達のためにしばらくここに滞在してもらえるかしら。

その日々を観察したのちに協力するか判断させてもらうわ」

私は深呼吸して気持ちを冷静にさせ、やちよさんを見ました。

「ここに少しの間滞在して、いいですかね」

「私は構わないわ」

私はさつきさんの方へ一歩踏み出して伝えました。

「では、しばらくここへ滞在させてもらいます」

「そう。いいわ、じゃあここでしばらくの間生活を共にしてもらうわ。今後何をして欲しいかは、あっちの宿舎に行ってから伝えるわ」

私達は神社の裏側にある二階建ての大きな建物へ案内されました。

そこは民宿と言ってもおかしくないような内装をしていて1階の広間へ移動しました。

そこには3人の少女がいて部屋の掃除をしている最中でした。

「あれ、さつきさん。お客さんですか?」

「そうよ、しばらくの間みんなと暮らすことになる人たちよ」

3人のうち一人が私たちの方に近づいてきました。

「はじめまして。ちかです!よろしくお願いします!」

「うん、よろしくね」

見た目はういくらいで、同い年か下の年齢かもしれません。

他の二人は警戒するような眼差しでこちらを見つめていました。

「え、えーっと」

「なんだ、また新しいやつらを拾ったのか」

振り向くとそこには私たちと同い年くらいの少女が立っていました。そして魔力も感じられました。

「魔法、少女なのね」

「拾ったんじゃないわ。彼女達からここに滞在したいと言い出したのよ」

そうじゃないんだけどなぁ。

魔法少女は私とやちよさんの顔をそれぞれ見た後。

「まあいいや」

「キク、彼女達に個々のルールを教えてあげて。後はソウルジェムの集め方とか」

「なんで、それはさつきの役目だろ」

「わたしはー、まだ外の掃除が終わってないし、お守り作成だってあるしー。
もう少ししたら面会の予約があるし」

「最後のは私も必要だろ・・・。

いいよ、やっておく」

「ありがとー。さすがキク」

私たちに見せてきた怖い顔は何処に行ったのか、キクと呼ばれる魔法少女に向ける顔は自然と出る笑顔で溢れていました。かなり信用し合った仲なのだということが分かりました。

キクさんは私たちの方へ向かい直しました。

「じゃあ、ここの決まりを案内してあげる」

キクさんから受けた説明はこうでした。

料理は当番制。さつきさん以外の人が変わりばんこで担当するものの買い出しは3人の子達が手分けして実施する。

掃除も3人の子達が担当するが、しばらくは私とやちよさんも参加する。

小規模な畑があって季節に合わせて様々な植物を育てている。
時々でいいから世話をして欲しい。

グリーフシード集めは周囲の魔法少女と取り合いになる可能性が高いため、この神社を取り囲むようにある森の内側だけで実施すること。

助けを求められた時に限って外側の魔女退治はしてもいい。

そして私たちには2階の部屋を与えられて予想もしていなかった生活が始まったのです。

早速晩御飯を一緒にすることにしました。

料理は3人で行ったようですが、下処理が少し雑なのか火が通っていない部分があったり魚に内臓が少し残ってて汁が苦くなっていました。

ここで生活するなら、彼女達に料理の仕方を教えたほうがいいかもしれない。
3人は人間とはいえまだ子ども。忌み嫌う必要性はありません。

その日の夜は何も起こることもなく、次の日になりました。

私は顔を洗うために一階へ降りるとキッチンにはキクさんがいて朝食の準備をしていました。

「おはようございます」

「おはよう。あんたも連れと同様起きるのが早いんだな」

「それってやちよさんのことですか」

「そうさ。あいつ料理の仕方であれこれ突っ込んできたんだ。あんなにうるさいなら、料理当番について少し見直したくなるよ」

きっと料理の仕方で指摘したくなっちゃったのでしょう。やちよさんらしいです。

少しリビングを探索しているとやちよさんが玄関からリビングへ入ってきました。

「おはようございます、やちよさん」

「おはよう、いろは」

「あの、何をしていたんですか?」

「外を散策していたのよ。まだこの建物の勝手を知らないし」

「確かに。まだ知らない建物も多いですし」

「いろは、ちょっと」

やちよさんに連れられてついた場所は、表の神社の後側にある建物でした。そこに着くと、私はやちよさんが伝えたいことがすぐにわかりました。

「魔女の気配が微かにしますね」

「そう。きっとこの中にいるんでしょうけど、私たちが立ち入ると何を言われるかわからないわ」

「さりげなく聞くとか」

「向こうから手を出してこない限りは様子を見ましょう。まずはさつきさん達から信用を得ないといけないんだから」

「そうですね」

私達はその場を後にし、住居へと戻りました。

朝食の時には全員が揃ってリビングに揃っていました。そこでさつきさんが食事中に私たちへ話しかけてきました

「今日は二人にも働いてもらうよ」

「働くって、何をすれば良いのでしょう」

「実はこの家と神社の裏には大きい畑があるのだけど」

「朝見てきました。水田もあるのは驚きです」

「そうでしょう?
大昔にここら辺で災害があった時にこの神社へ避難した人たちが生き残るために整備した名残らしいよ。
で、やってもらいたいのはその畑での仕事」

「私たちがやり方を教えるよ!」

小さい子の一人が、確か最初に自分の名前がちかだと自己紹介してきた子です。元気そうに会話へ入り込んできました。

「じゃあ、この朝食に使用されているお野菜は」

「ほとんどがここで取れたものだ。
だが肉や魚、果物、日常品といったものは買わないとどうしようもない。
そのうち買い出しもお願いするかもしれない」

「はい」

買い物か。魔法少女だけになっても、お金は必要になっちゃうのかな。それとも。

食事が終わり、洗い物は私が担当しました。

洗い物をしている最中、一人がずっと私の方を見つめていました。

最後の皿を洗い終わり、手をタオルで拭き終わった後にやっとずっと見ていた少女へ話しかけました。

「何か、気になることでもあった?」

「畑の説明してって、頼まれたから」

そう言って少女は玄関まで小走りで移動して、扉前まで行くと私の方を向いて待っていました。

私はそのまま少女について行って畑へ辿り着きました。

その畑は私が知らない場所にあり、真っ赤になったミニトマトとまだ小さいきゅうり、そして芋の芽と思われるものなどたくさん植えられていました。

「こんなにたくさん」

私は少女からどこに何が植えられているのかを聞き、田んぼの場所まで行くとやちよさんとちかちゃんが既にいました。

「やちよさんも説明を受けていたんですね」

「ええ。でもすごいわね、田植えまで本格的に行っているなんて」

「さあ!まずは雑草取りからやろう!」

畑仕事というのは思った以上に大変でした。

説明を受けながら作業をしているうちにもう日が落ちるような時間になっていたのです。

「もうこんな時間」

「よし、帰ろうか!」

3人目の子は買い物に行っていたらしく、冷蔵庫にはすでに食材が入れられていました。

今晩のご飯を作るのは私が担当でした。

私が料理をするついでに3人へ野菜の切り方など料理の基本となる部分を教えました。

そうやってキッチンが賑わっているとさつきさんとキクさんもキッチンへきました。

「何か賑わってるな。何やってるんだ」

「料理について教えていたんです」

「あらぁ、キクも説明受けたらいいんじゃない?」

「馬鹿にしてるのか!」

「いろはお姉ちゃんいろんなこと知ってるよ!知らないこといっぱい!」

料理中も好評だったようですが、出来上がった料理でもみんなが驚いていました。

「すごく美味しい!」

「料理上手なのね。もう毎日お願いしちゃおうかしら」

「私は構わないですが」

さつきさんも私をほめてくれました。しかし、これは認めてくれたとは違うと思っています。

それから数日間さつきさん達との共同生活が続きます。

畑仕事が中心ではありますが時々は買い物に、時々は魔女退治に行くこともありました。

魔女退治の時は私達は強い方だとキクさんが感心していました。

ここの人たちとの距離は縮まっている感じはします。

しかし今だに神浜へ来てくれる様子はありません。どうすれば来てくれるのだろうか。

 

 

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【マギレコ二次創作】魔叙事詩カグラ・マギカ 2-2-8 奇跡を拒絶する紫色の霧

米国大統領によって「アンチマギアプログラム」と呼ばれるものが発表された。その様子を見ていた魔法少女達は自分達が危険な立場にいることを理解したのか、神浜の周囲警戒が強化された。

もとから欄さん含めた一部の魔法少女が行っていた周囲警戒だが、最近はあまり戦闘を好まない魔法少女達も参加するようになっている。

また、怪我人が出た時はどこに運べばいいのかを検討し出したり戦いの訓練を行う魔法少女がいたりと戦いに備えた動きも活発になってきた

そんな状況で戦いはいきなり発生した。

周囲警戒中の魔法少女にどこから飛んできたのかわからない銃弾が命中した。

「このみさん?!」

迂闊に近付いてしまった一緒にいた二人の魔法少女も銃弾に当たってしまい、動かなくなってしまった。

異常が発生したと他の魔法少女が気付いたのは少し時間が経過してこのみたちから定期連絡がないと思った頃だった。

「十七夜さん、このみさん達と連絡が取れません!」

「そうか。他のメンツに何か起きていないか確認をとってくれ」

[都、そっちは無事か]

[十七夜か、こっちでは謎の武装集団と会って交戦中だという知らせがいくつも届いている。

そっちもか]

[こちらは連絡がこない魔法少女が出ている。

ここからは連絡を密に取り合うぞ]

[ああ、危ない状況になっt]

突然、都からのテレパシーが聞こえなくなってしまった。

無事だといいが。

「十七夜さん!

みふゆさん達が攻撃を受けているようです!」

「わかった。今から現場に向かう」

 

鏡屋敷付近に拠点を構える傭兵グループ達にも異変は起きていた。

メンバーの一人がいきなりが意識を失ったかのように動かなくなった。

「おいどうした?!」

「迂闊だ!」

もう一人が様子を確認しようとしたため私はそいつの襟を引っ張って物陰に隠れさせた。

物陰へ引き込んだ瞬間に音速ほどのスピードで弾丸のようなものが飛んでいったように見えた。

「銃弾?!でもあの方向って」

銃弾らしきものが飛んできたのは鏡屋敷と呼ばれる人気のないはずの場所だ。

仲間のうち一人のセルディが持つ透視能力で様子を伺ってもらうと、なんと次々に武装集団が鏡から出てきているという。

「うそだろ、あそこから人間が出てくるなんてあるのかよ」

私は戦場で戦った経験をもとにテレパシーでセルディへ伝えた。

[お前なら透視で敵のいる場所を避けながら移動できるはずだ。

前に私たちと対話してくれた夏目という魔法少女へ状況を伝えて増援を呼んでくれ!]

[でも、レイラ達は]

[誰かが抑えないといけないだろう]

そう会話していると私たちがいる場所へ紫色の煙が溢れるグレネードが投げ込まれた。

地面へ設置した瞬間にグレネードから周囲に紫色の粉末が散布された。

[急げ!]

セルディはどこか納得いかない顔をしながらその場を離れた。

謎の紫色の粉末から逃れるために私たちも急いでその場から離れた

移動した際に起きた風で粉末が不自然な動きをしたのを敵は見逃さず、わたしたちの移動先にも紫色の煙が溢れるグレネードを投げ込んできた。

私たちはその粉末を吸い込んでしまい、どんどん動きが鈍くなっていく感じがした。

「実弾なら死んでいたかも、なのに、奴らは一体…」

 

神浜各地で銃声が聞こえ始めた頃、私のもとに1人の魔法少女が血相を変えて走ってきました。

[あ、あんた夏目ってやつだろ]

[あなたは]

[レイラと一緒にいるやつだと言ってくれればわかるか]

この言葉でレイラさんの仲間の一人だとわかりました。

[急いでついてきてくれ!レイラ達が危ないんだ!]

[武装集団にでも襲われましたか]

[そ、そうだ!しかも鏡から出てきたんだ]

まさか、ミラーズを通って敵が出てきたというの?

外側からだけではなく内側からも来るなんて。

[立ち向かえる人数を揃えます。助けに行くのは少し後になります]

[なるべく急いでくれ!]

私は欄さん、あやめちゃん達へ情報を共有し、神浜市外周で戦っている魔法少女達をサポートしながらも鏡屋敷からも武装した兵士たちが出てきていることを伝えてまわりました。

武装した集団は謎の紫色の物質を放つ道具を使用してわたしたちの動きを鈍らせてくるとのこと。

移動中に私とレイラさんの仲間の1人は武装した兵士に遭遇し、兵士たちが売ってきた銃弾を避けて近接攻撃をしかけました。
その攻撃を防ごうと大楯を持った兵士が前へ出て私の攻撃を受け止めました。
すると武器は盾にあたった部分からどんどん分解されていき、危ないと思って手放した武器は粉々になって消滅してしまいました。

何が起きたのかわからなかった私はその場から逃げるために近くにあった鉄塊を盾に投げつけました。盾に当たった鉄塊は分解されず、盾へ傷をつけていました。

[まさか、魔法にだけ反応するの?!]

[はやく!ここから逃げますよ]

戦ってみてわかりました。きっと神浜へ入り込んだ敵は魔法へ対抗するために特化しているのだろうと。わたしはあやめちゃんたちに合流し、魔法が通じない武器を使用してきたことを伝えました。

「そんなヤバいものを持ち込んでいるのか」

「早くみんなに伝えて回らないとやられちゃうわよ」

レイラさんの仲間の1人は、今すぐにでも鏡屋敷へ向かってほしそうでした。

「私はとにかく鏡屋敷へ向かいます」

そう言って私がその場を離れると、私の後を追ってあやめちゃんが、そしてあやめちゃんを追うようにこのはさんと葉月さんがついてきました。

私たちが移動する道中で出会った魔法少女には魔法が通じない敵がいることを伝えて回り、その情報は次々とテレパシーによって他の魔法少女へと伝わっていきました。

そして、鏡屋敷へ到着してみると、鏡屋敷は紫色の物質で覆われていました。

[レイラ!みんな!]

彼女の問いに応えるものはありませんでした。

[そ、そんな]

[今まで殺された魔法少女はいなかったわ。

囚われていると思って、今は敵を追い払うことに専念しましょう]

「でもあれに魔法通じないんでしょ」

あやめちゃんがそういうと葉月さんが近くにある鋭利な鉄屑を持ち出しました。

「葉月?」

「魔法で生成したものじゃなければいいなら!」

そう言って葉月さんは大楯を持った兵士めがけて鉄屑を投げつけました。

投げつけられた鉄屑は盾ではじかれ、鏡屋敷の床へ突き刺さったようです。

「らちがあかないわね。敵が出現してくるようになってしまったのならば、あの鏡を壊すしかない」

「ちょっと、あれ壊していいものなの?!」

「仕方ないでしょ。
あそこから敵が湧いてくるなら、壊してしまわないと」

建物の中で何かが蠢いたかと思うと遠くから銃弾のようなものが飛んできて一つの蠢くものが動きを止めました。

「あれ、なにが」

[援護するよ、夏目の一派達!]

テレパシーが聞こえた先には三重崎から来たという魔法少女達がいました。

「武装した集団とはあなた達の方が扱いがなれていましたね」

「そこのはぐれものも傭兵なんだろ。わたしたちに協力するよう伝えてくれ。

それと、あんた達は他の魔法少女と協力して壁を大きくひらかせろ!射線が奥まで通らないんだ」

「あら、でもそうしたら敵からもまる見えになるんじゃ」

三重崎の魔法少女は何を言っているんだという目を向けてきながらも遠方から飛んでくる銃弾は止むことがなく一定のリズムで撃ち込まれていた。

私はレイラさんの仲間に問いかけました。

[あなた、名前と何ができるか教えてください]

[…セルディよ。透視ができる]

あの人達にテレパシーで敵兵士の居場所を教えてあげてくれませんか。

彼女たちは銃撃戦に慣れています]

そうテレパシーで会話している間にも建物から数人の敵が出てきました。

[お願いします]

[わかったよ、レイラたちがいると思われるのはあそこだ、あそこだけは狙うなよ]

[わかりました]

私たちは次々と周囲の瓦礫を手に取っては勢いよく鏡屋敷の壁へと投げつけました。

やがて壁には大きな穴が開き、そこから敵が銃を撃ってくることになりましたがこちらも遠距離を行えるようになりました。

「近距離しかできない私たちじゃ手も足も出ないね」

「あの紫色の霧を払わないことには始まらないわ」

外周の戦いにひと段落したみふゆさんたちも合流しましたが皆魔法を使用する武器であるが故に手出しができませんでした。

みふゆさんは手に持った武器で風を起こして紫の霧を払おうとしますが、すぐに紫色の物質が展開され、徐々にその範囲は広げられています。

「この程度の風ではだめですか」

月夜さんと月咲さんが鏡屋敷の中にいる兵士たちを気絶させようと笛を吹き始めますが、その音は魔力がこもっているためか紫色の霧の部分で無効化されてしまいました。

「わたくしたちの力も、及ばずでありますか」

「こんなの、大爆発でも起こさない限り」

そう葉月さんがつぶやくと、鏡屋敷周辺に突然多くの赤い傘が登場し、たくさんの魔法弾が撃ち込まれていきました。

ほとんどの魔法弾は紫色の霧で打ち消されましたが地面に当たった爆風で巻き上げられてはまた新たな爆風で巻き上げられるが続いているうちに鏡屋敷は外観が見えないほど爆風に包まれていきました

こちらには暴風と言えるくらいの風が襲いかかってきて物に捕まっていないと吹き飛ばされてしまいそうでした。

爆風でできた穴に魔法の紙が滑り込み、風を発生させてさらに紫色の霧は離散していって遂には紫色の霧は目に見えないくらい周囲に散ってしまいました。

「全く、ちょっと考えればこうしちゃえばいいってわかるはずなのににゃぁ

「とても非効率であり戦いが長引くのは敵の思う壺である。早期解決が一番だ」

そう言いながら現れたのは里見灯花と柊ねむでした。

「灯花!」

「みふゆはもう少しお勉強が必要かもね~」

セルディさんは灯花ちゃん達へ何か怒鳴るように声をかけていました。

そう、下手したらレイラさん達も吹き飛ばされかねない。

鏡屋敷及び周辺は木材が燃え上がって瓦礫はさらに粉々となって建物内では魔法弾が命中した兵士がいたのか数人の体が吹き飛んで血だらけになっていました。

ミラーズへの出入り口になっていた鏡はというと、割れずに鏡を床にむけて倒れていました。

「でも今です。畳みかけます!」

私達は破壊された鏡屋敷へ走り込み、武装集団を無力化するために動き出しました。

兵士たちは混乱状態なのか照準をうまく合わせられないようで次々と魔法少女に殺されていきました。
大楯を持った兵士も後ろの守りがなくなり、あっけなく背後から刺されてやられていきました。

「割り込ませてもらう!」

「欄さん?!」

外周の敵へ対処していたはずの欄さんが鏡屋敷にいて驚きました。
外周の敵は既に対処がされたのでしょうか。

「作戦中止!外部への避難を最優先で」

司令官と思われる女性を見つけた欄さんは鎖で司令官を拘束し、紫色の物質がこもったグレネードを持ち出そうとする腕を鎌で切り飛ばしてしまいました。

そして鎌を司令官の首元に当てて問いかけました。

「誰の命令だ。米国大統領か、それとも別の何かか」

「誰が、答えるか」

欄さんは司令官の左手に熱の籠った刃を突き刺して今度は司令官が欄さんへ問いかけた。

「お前達こそ、なぜ抗う。

世界にとってどっちの行いが誤っているのか少し考えればわかるはずだ!」

「その『世界』とは、誰目線で言っている?」

しばらく二人が睨み合った後、欄さんは司令官の首をはねてしまいました。

「そもそもの話す土俵が違うってか。話し合う余地なんてありゃしないな」

「欄さん、外周はもういいのですか」

「少なくとも私が担当しているとこはそうだね。時女の一族が引き継いでくれたよ」

今までほとんど動きがなかった時女一族の方々、彼女たちとは交流ができる状況になったのでしょうか。

周囲から人の気配がなくなったころ、みふゆさんが私に尋ねました。

「かこさん、十七夜さんがどこにいるかわかりますか?」

 

私は、生きていく自信が持てる状況ではなかった。

「ももこ、どうしてそうなるまで…」

一度は調整の要領でソウルジェムに干渉できないか考えた。でも一瞬触れてわかった。少しでも変化があると、その魂が壊れてしまいそうなことに。

「ねぇ、もう一度私の名前を呼んでよ。

もう一度、私を抱きしめてよ」

建物の外から人が入ってきた気配がした。

顔を上げると4人の兵士が銃口を向けてきていました。

「大人しく投降すれば痛い思いをせずに済む」

痛い思い?

あなた達に何がわかるの?

私は、もう。

私は知らぬ間にドッペルを出していてそれに驚いた兵士が紫の霧を発生させたり銃弾を撃ち込んできましたが全てドッペルが払い退けてしまいました。

「もう、うんざりなのよ!こんな世界!」

私は世界を壊したいという欲求のままに怒りを周囲にぶつけ、それに呼応するようにドッペルは建物を破壊していきました。

その破壊がガスボンベに直撃したのか、建物は大きな爆発に包まれたのでした。

 

調整屋の方角から爆発する光景が見えたため持ち場を離れて東側から西側まで駆け抜けた。

到着したころには数人の魔法少女が調整屋だった建物を囲んでいた。

皆が調整屋を捜索していると、瓦礫の下からはソウルジェムが割れた八雲と十咎、水波、秋野の遺体が発見された。

一緒に武装した兵士たちの遺体もあったので、争った結果なのだろう。

わたしは他の皆を守るという考えでいっぱいで、八雲の保護まで手が回らなかった。東西の問題を産んでいた人間たちがいなくなって、これからだという時だったのに。

「済まなかったな、八雲。ゆっくり休んでくれ」

神浜は魔法少女達によって人間の進行を退けたが、失ったものも大きかった。

 

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【マギレコ二次創作】魔叙事詩カグラ・マギカ 2-2-7 事前準備、全ては後のために

神浜市内は環ういとワルプルガを求めて無用な争いが続いていた。

その様子にうんざりした里見灯花がシェルター内に用意した部屋へ環うい、ワルプルガを密かに隠した。

隠された直後は既に誰かが連れ去ったと騒動になったが、里見灯花が放った言葉で争いは急激に減った。

「あなた達が争いばかりしかしないから、うい達はうんざりしてどっかに行っちゃったよ?

さっさとやめなよ、そんな非生産的な行為」

そんな発言があったすぐの頃は激昂して里見灯花を殺そうと動いた魔法少女もいたが、時間が経つにつれてそんな考えを持つ魔法少女の数は減ってようやくまともに生活できる環境作りの動きが増えてきた。

神浜市内の動きが変わっていく中、私はかこさんから鏡屋敷に突然現れた人物達の話を聞かされた。

日継カレンが生きていたこと

人類に反抗しようとする魔法少女の集団

いずれ魔法少女にとって不利益な出来事が起こること

驚くことばかりで私には情報を整理する必要があった。この話を他の人に話してはいけないと釘は刺されたが、とても1人で抱えきれる話じゃない。こんな話を聞かされて、私には何も。

そう悩んでいる時、ふと黒がある話題を出した。

「魔法少女だけで生活していくっていっても、外の様子知りたいよね」

「そうだよね、外から来た人はみんな殺しては死体を埋めるの繰り返しだし、外が今どう神浜市を見ているかは気になるかも」

外の様子を知ること。

そういえばかこさんからはいずれ神浜の外へ出てやるべきことができるかもしれないと言っていた。

今後のことを考えると、みんなに手伝ってもらった方がいい。

そう思い立ってルームシェアしているみんなにかこさんから聞いた話を聞かせた。

みんなキョトンとした顔をしていた中でカオリが意見を出してきた

「あの、外の様子を知る必要があるならまず電波を拾えるようにしませんか

SNSを使えた方がいいですし、テレビとか見れたらいいなって」

「電力関係は今でも問題だな。生きているアンテナ局や電力に強い魔法少女といえば、思い当たるのが1人しかいないな」

「いろはさんは今不在ですし、誰に頼んだらいいんでしょう」

「・・・悩んで動かないよりは思いつく限り行動した方がいい。まずはみふゆさんにアタックしてみよう」

行動方針が決まったところでカオリには3人連れて神浜市周辺のパトロールを任せ、私含めた4人でみふゆさんに会いにいくことになった。

みふゆさんの行方を聞いて回っているとみふゆさんは竜真館でひなのさんと話をしていた。

竜真館は修復作業がされていると聞いてはいたが、見事に修復がされていた。

私は2人に会いにくるとは意外だと驚かれながらも気にせず里見灯花へ電力や電波について相談したいと話した。

灯花であれば里見グループが使用していた予備電力用の発電機がある場所を知っているはずですが、電波については難しいと思いますよ」

「ああいうのは大きな会社が管理している物で、大規模にSNSを使用するレベルだとサーバーの問題でも難しいんじゃないか?」

「あの子ならすぐ解決できるでしょうが、素直に話を聞いてくれるかどうか」

「みふゆさんの話でも聞いてくれないのですか」

「聞いてくれていたら、ワルプルギスの夜を呼び寄せようとしていたあの事件は起きていませんでしたよ。

まあ、話はしてみましょうか。なぜ必要なのかは、欄さんからお話をお願いできますか」

「わかりました」

みふゆさんとの話がひと段落するとひなのさんが話しかけてきました。

「おまえ最近は夏目かこと一緒に行動しているみたいだが、他人についていくなんて珍しいじゃないか」

「どうでしょうかね。
一緒にいれば有益な存在だとわかったからついていっているだけですよ」

「おまえは忙しいことを嫌うやつじゃなかったか?」

「今だってそうですよ。今後忙しくならないために、今忙しくしているだけです」

私達はみふゆさんと里見灯花がいるという電波望遠鏡跡地に来ました。

電波望遠鏡跡地には里見灯花に柊ねむ、そして意外にも宮尾とはぐむが一緒にいた。

「灯花、少しお話があるのですがいいですか?」

「なに?今忙しいんだからくだらない話だったら許さないんだから」

私は里見灯花へ要件を説明した。

「実は神浜市内でかつてのようにSNSで情報のやり取りをできるようにしたいと言うのと、いろんな場所でテレビを見ることができるように電力の安定化をしたいのです。

なのでまずは発電機がある場所を教えてもらえないでしょうか」

「発電機?それは各地にあるシェルターに生きている発電機をそっちでかき集めれば解決するでしょ?

それに外部の電波を拾って情報を入手するのは今私達が現在進行形で進めている最中だよ」

「それ、みんなが扱えるようにってことですか?」

「そんなわけないじゃん。私達のためだよ」

まあ知っていた。環姉妹以外にはなんの配慮も考えていないのは。

「宮尾達はなぜここにいる?」

「ぼくは罪滅ぼしのため。ぼくのせいでここを壊しちゃったみたいだし。
それに、簡単な機械の修理ならできるから灯花様の手伝いをしている」

「わ、わたしはただの付き添いで」

なるほどな。修理だけならば宮尾に任せる方法もあるか。

さて、里見灯花の方だが。

情報収集できる環境を作っている最中だと言うのはわかりましたが、私たちに共有はしてくれませんか?

2人で考えるよりはみんなで考える方がいいと思いますよ」

「・・・何か情報共有しないといけない理由があるの?
専用のSNS作ったところでメンテナンスするのは私でしょ?いやだよ」

あの話をすれば考え直してくれるだろうか。

今は即答できないな。

わたしはみふゆさんにテレパシーで伝えた。

[出直させてください。ちょっと情報を集める必要が出ました]

[わかりました]

「邪魔してすみません。出直させてもらいます」

「じゃあ暇ならそっちで発電機の問題を解決しておいて?
解決したら教えてよ」

「暇があったらですけどね」

「みふゆはいつだって暇でしょ」

「あのですね・・・」

私は別れ際にみふゆさんに質問をされました。

「最近、鏡屋敷の近くで見知らぬ人物を目撃するようになった話をご存知ですか」

「話には聞いています」

あなた達は独自の動きをしていることを私はすでに知っています。何か判明した話があったら教えてください」

「はい」

知っている事実は確かにある。だがそれは話しちゃいけないことだ。

私はかこさんを見つけ出して仲間に事実を伝えたことを除いて今日起きたことを説明した。

「彼女達に協力してもらえるよう、事実を伝えないか?
彼女達の協力を受けるのとそうではないのとでは状況が大きく変わる」

確かに外部の電波を拾うというのは彼女達に頼んだ方が話は早そうですが。

・・・カレンさんに聞いてみます。少し時間をください」

そういわれてから2日後、魔法少女の溜まり場になりつつある竜真館に突然小型テレビが用意されてそのテレビでは普通に画面へいろんな番組が映るようになったと報告を受けた。

突然テレビが使えるようになったことに多くの魔法少女は驚いていましたが、私はすぐにかこさんへ何があったのかを聞きに行った。

かこさんにそう聞くと

「ちょっと失礼します」

そう言われると突然映像が目の前で映ったかのような感覚に襲われた。そして映し出された映像は日継カレンと対面しているかのような映像だった。

[あの3人組のうちの1人か。それは私自ら会いに行った方が早いかもな]

[カレンさん自らがですか。
ややこしい事態にならなければいいのですが。でも一体どうやって]

[おや、珍しい顔と喋っているじゃないか]

[ミアラが来るとは珍しいじゃないか。今日はどうした]

ここで場面が変わり、ミアラという人物はいなくなっていた。

[したっけいくとするか]

そういうと日継カレンはかこさんの腕を掴んだかと思うとあっという間に中央区の電波塔跡地にいた。

[い、いったいどうやって]

[種明かしは別の機会だ。まずは天才のいる場所へ案内してくれないか]

場面が変わり、里見灯花と日継カレンとで口論が起きていた。

[あなたのせいでういが変わっちゃったんでしょ?!ちゃんと責任取ってよ!]

あれはおまえ達が私たちを消したいという私念を消しきれなかった結果だ。
まさかおまえ達には解決できないとでも言いたいのか]

[あなたね!]

[やめましょう!今日はケンカするためにあったのではないんですから]

再び場面が変わり、かこさん達がいる部屋のモニターには少し前の場面にいたミアラという人物が映っていた。

[大体事情は把握したよ。

電波を拾ってテレビを見られる環境を作るのはいいけど、SNSの作成は嫌だからね。

お姉様に頼まれない限りあんな面倒なものの管理はごめんだよ]

[やれやれ。今回通信用に渡したその魔法道具は好きに解析してもらって構わない。
その方が新しい発見がありそうだからね]

[くふふ。思いっきり驚かせてあげるんだから]

[これでいいだろう、夏目かこ]

そこで映像は終わった。

どうやら何分もみていたような映像は現実では数秒の出来事になるくらいの体験だったらしい。

「いまのはいったい」

「頭痛とかしないですか?

実はイメージの共有というものを教わっていて、言葉よりも今のようにイメージを伝えた方が早い場合に便利だと聞いて試したのですが」

なんてとんでもないことを。

便利なのはわかるが、いや、私も覚えた方が今後楽なのか?

「かこさん、この技って」

そう話している時、黒からテレパシーが飛んできた。

[欄さん!急いで竜真館へ来てください!

テレビで魔法少女の話が!]

そう聞いて私はかこさんと一緒に竜真館へと急いだ。

たくさんの魔法少女が取り囲む中、テレビでは神浜の皆がドッペルを出して暴れている様子や、今後魔法少女を拘束する、生み出させないとする政策が世界中で実施される話がされていた。

「なるほど、これが人へ抵抗する理由ですか」

世界が魔法少女にとって生きづらい世界となってしまうことを日継カレン達は知っていた。

そんな話を聞かされて事前に行動したからこそ、この情報は多くの魔法少女の目に止めることができた。

きっといつも以上に神浜周辺を警戒する必要は出てくるだろうが、神浜マギアユニオンのメンバーも、神浜市にいる魔法少女達も疑問なく参加してくれるようになるだろう。

そう考えると、今後起こるであろう忙しさは軽減できた結果じゃないだろうか。

「もっと大変なことになるんだろうな、やれやれ」

 

 

これはついでだが、いずれやろうとしていたことだ。

米軍基地への攻撃合図

これを伝える適役は、神浜にいる魔法少女でなければ誰でもいいのだが、ちょうどよく気になっていた人物がいる。

宝崎市と呼ばれる神浜市の隣町。

ここには魔法少女を世間に広めようとした人間が住んでいた家がある。そこには今、2人の魔法少女しか住んでいないという。

どこに住んでいるのか探していると夜になってしまったが、かつて出会った時の魔力を頼りについに辿り着くことができた。

「里見・・・か。なんでまた天才と同じ苗字の家に」

そう呟いていると、家の中から慌ただしく出てきた魔法少女と、その行動を必死に止めようとする魔法少女が出てきた。

「那由多様、あなたの性格は十分に知っていますが今神浜へ行ったところで」

「ええ、神浜市が大災害に見舞われた後に神浜市へ行きましたが、パパはまだ生きているかもしれません!

だから…ってどうしましたのラビさん」

「あなた、なぜここに」

ラビと呼ばれる魔法少女と那由多という魔法少女はそれぞれ違った表情で私の方を見た。

那由多はキョトンとした顔を向けていて、ラビの方は敵を見つけたかのような顔をしていた。

「取り込み中だったかな?ちょっと用があるんだが」

「・・・那由多様、家の中で待っていてもらえますか」

「えっ!あ・・・はい」

那由多に聞き耳を立てられていると知っている状況で、私とラビは家から少し離れた人気のない場所で話し始めた。

「あの時以来でしょうか。ピュエラケアのメンバーと、私の仲間を殺した、あの時」

「黙ってみていればいいだけだった話だ。変に庇うから2人も仲間を失った」

「いずれ死ぬ運命とはいえ、あの別れ方は望んだ物ではない。
なぜ今になって現れたの」

「確認のためさ。

まだお前は、魔法少女は救われないと諦め続けているのか」

「・・・魔法少女がいくら争ったところで、見えない力でどうせ失敗する。

そう宇宙の法則が決まっているのだから」

氷室ラビ

一度は魔法少女と人が共存することを目指したものの、謎の力でどんな行動も裏目に出て魔法少女を排除する動きを活発化させる結果を作った。

その過程や結果を経て氷室ラビとその仲間は魔法少女の未来に諦めを覚えた。

でもどこかで「もしかしたら」という諦めきれない気持ちもある。

失礼だが、中途半端という言葉が当てはまるか。

「その謎の力へ抗えるよう、動く気はないか?」

「今更何をするというの。

神浜市から人が消えたところで、世界的に注目されればすぐに潰されてしまうでしょう」

「人類に魔法少女が争い、人類中心の世界を破壊する。

その前段階としてお前には情報伝達役を担って欲しい」

「断るわ。私は傍観することしか」

私はラビがつけている指輪に向けて刃を向けた。

「そんなに希望を抱けないというならば、今ここでお前の希望を終わらせてやる!」

「そこまでですわ!」

ずっと立ち聞きしていた那由多が魔法少女姿で私に武器を向けて現れた。

「こいつはあらゆることを諦めかけている。そしていずれ魔法少女が存在すること自体も。

それを知って出てきたのか」

「私は何も知りませんわ。

ただ知っているのは、ラビさんが大事な家族だということだけ。

家族を傷つけられようとする現場を黙ってみているわけにはいきませんわ!」

「では、私がこいつに頼もうとしたことを里見那由多、お前が引き受けるというならば私は危害を加えない。

引き受けないならば、大事な家族とはさよならだ」

「いいでしょう!私が引き受けます」

「ちょっと那由多様!」

私は刃をしまって那由多の方へ向き直った。

「ではまずは住処を神浜市へ移動してくれないか。そして夏目かこ、欄という人物のことを知るんだ」

「もともと神浜市へは行こうとしてはいましたが、そのお二人のことを知ることだけですか?」

「いや、時期が来たらこの魔法石から出る指示に従って夏目かこ、欄へ情報を伝えるんだ」

そう言って私は通信用の魔法石を那由多へと渡した。

「そいつはこちらから一方的にしか通信できないものだ。こちらを呼び出したり魔力の逆探知はできないから気をつけろよ」

「他に気をつけるべきことはありますか」

「そうだな。死ぬんじゃないってことかな。
時期が来るまでに死んでもらうと頼んだ意味がないからね」

「それだけ、ですか」

「したっけ、頼んだよ」

私は立ち去る前に氷室ラビの方を見た。彼女はうつむいたままで顔を上げる様子がなかった。

「一人で勝手に諦めるのはいいが、お前を大事に思ってくれる希望を持った奴がいる。
そいつを置いていくような行為が正しいのかは、認識を改めた方がいい」

さて、せっかく日本の土地まで来ているんだ。

戻るのはオーストラリアの隠れ家でいいか。

私はフィラデルフィアのコイルを使用してその場を後にした。

 

 

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【マギレコ二次創作】魔叙事詩カグラ・マギカ 2-2-6 かつて助けようとした人を倒すように

イメージとして流れた光景の場所に行くと、確かに魔法少女が囚われていました。

囚われた魔法少女たちの体は傷がついていたもののピクリとも動きはせず、近くには謎のアタッシュケースが置いてありました。

そんな囚われた魔法少女を守るように二人の兵士が2人姿勢を低くして、銃を構えながら待機していました。少し離れた場所に1人いることも確認できました。

「どういうことなの」

「助けるんだろ、何があってああなったか知らないけどさ。
あいつらはヤバい奴らだってことは見りゃわかる」

「さてどうやって助けようかしら」

「相手が魔女の時のように、やればいいと思いますよ。
私たちには幸、躊躇する気持ちがないですから」

ほむらちゃんが大きめの銃を構えると、遠くにいる兵士たちになぜか私たちは発見されてしまいました。

兵士たちは落ち着いた様子で、紫色の煙を放つ筒を銃器でこちらに撃ち込んできました。

「私が突破口を開きます!その間に救出を!」

そういうと少し時が止まった感覚の後に、こちらに撃ち込まれた紫色の煙を放つ筒は進行経路からかけ離れた方向へ銃弾によって弾き飛ばされ、囚われた魔法少女の近くにいた兵士は銃弾で死んでしまっていました。

「みんな、今よ!」

マミさんの声を合図に私達は急いで囚われた魔法少女たちの元へと向かいました。

「近づかせるかよ!」

そう言って物陰にいた兵士がこちらへ発砲してきました。

マミさんは銃で、さやかちゃんは剣で銃弾を跳ね返そうとしますが、そのどちらも兵士が撃った銃弾に打ち負けて危うく2人に銃弾が当たってしまうところでした。

「な、なんで?!」

「っ?!相手にせず救助優先にしましょう!」

「っていっても」

どこからともなく増援に来た兵士たちはこちらを蜂の巣にしようとする勢いで銃弾をばら撒いてきました。

ほむらちゃんは兵士たちを倒そうとしてくれてはいますが、兵士たちはほむらちゃんの射線に入らない位置でこちらに銃口を向けてきます。

私達は一旦、瓦礫に身を潜めるしかありませんでした。

「こんなの魔女より厳しいよ」

兵士たちは隙が無いよう順番にリロードを行い、私たちには手出しするタイミングが見つかりませんでした。

「ならこれで!」

マミさんはリボンで相手を拘束しようとしますが、銃弾で撃ち抜かれたリボンは力無く崩れていきました。

「まさか、魔法が効かない?!」

「打つ手なしかよ!」

ほむらちゃんが撃てる場所へ移動を開始した頃、私は瓦礫から飛び出しました。

「鹿目さん?!」

私は弓矢を空に放ち、兵士が数人集まっている場所に魔法の矢が降り注ぎました。

兵士たちが戸惑い始めたらすぐにほむらちゃんが銃で他のところにいた兵士たちを倒して行きました。

「無茶するじゃないの」

「まったく、でも助かったわ。早く救出を」

私は殺気を感じました。

その方向を振り向くと生きていた兵士が銃口を向けて引き金を弾こうとしているところでした。

まどか!

ほむらちゃんの私の名前を叫ぶ声が聞こえたかと思ったら、その兵士の腕が何かによって切り裂かれ、その後は鎖で頭が貫かれて絶命しました。

「詰めが甘い。魔女相手でもそうなのか?」

声がした方向へ向くと、そこには初めて黒いオーラを纏った魔法少女と遭遇した時に一緒だった魔法少女と他魔法少女数人がいました。

「確か欄さんと、黒さん?」

「久しいね、見滝原の魔法少女。

話している暇が惜しい。そこの動かない魔法少女たちの体とソウルジェムを持って中央区に行ってくれ。

そこが一応の避難所になっているようだ」

「わ、わかったわ。ありがとう」

「暁美さん、またあとでね」

「え、ええ・・」

ほむらちゃんに挨拶を済ませた黒さんは、嵐のように去っていった欄さんたちの方へ去って行ってしまいました。

「・・・さあみんな、急ぎましょう」

魔法少女の近くにあったアタッシュケースを開くと、そこには謎の紫色の液体に漬けられたソウルジェムが入っていました。その数は、近くにいた魔法少女たちの体の数と一緒でした。

「このアタッシュケース、どうやらこの人達のソウルジェムを入れていたようです。でもこの液体って」

「考えるのは後よ。みんなを連れて中央区へ行きましょ」

私達はソウルジェムが収められたアタッシュケースと魔法少女たちの体を背負って中央区へと向かいました。

私達が元電波塔があった付近に到着するとそこにはたくさんの魔法少女たちがいました。

負傷した魔法少女からまったく意識がない魔法少女、手当てをする魔法少女に忙しなく外に気を向ける魔法少女。

そんな中に私達は侵入したのです。

「あなた達、その意識がない3人を助け出してくれたの?」

「え、ええ」

「このみにつむぎ!よかった、無事だったんだ。助けてくれてありがとう!」

周囲には寝たままの魔法少女と怪我を負って治療を受けている魔法少女がたくさんいました。

「あなた達、まだ動けそうよね。
周囲に潜伏している敵がいないか調べて回ってくれないかしら」

急に話が進み、私達は状況を理解できていませんでした。

「あの、まずは神浜市に何が起こったか説明してもらえるかしら」

「私たちにとっても急な出来事なんだ。

神浜市の周辺地域と果てなしのミラーズから、少人数だけど武装した人たちが侵入してきたのよ。

その人達は魔法少女の動きを止める紫色の物質を使って私たちを殺すのではなく捕獲を開始した。

あなた達が助けてくれた子達は、奇襲を受けて囚われた子達だったのよ」

「あの米国大統領の演説がきっかけかしら」

「きっかけなんてどうでもいいよ。
今わかっているのは抵抗しないとみんな捕まっちゃうってこと。

周囲警戒、お願いできないかしら」

「あっそうだ。これ、その魔法少女達のソウルジェムが入っているアタッシュケースです」

「なにそれ、そんなことされちゃってたのこの子達」

アタッシュケースの中身を見て、助けた魔法少女の仲間と思える子たちは困惑した様子でした。

「この紫色の液体、もしかすると、だよね」

「そうだね、取り出すときは触れないよう気を付けないと。このみ達、目を覚ましてくれるかな」

「あの紫色の液体や粉末って一体何なんでしょう」

「近づかない、触れないほうがいいのは確かよ。あれに触れるとほとんどの魔法少女は動けなくなるか意識を失っちゃうみたいだし」

 

私達は武装した兵士が攻撃を仕掛けてこないか監視を行うことになりました。

マミさんは周囲の監視を行うとともに避難所になっている場所を観察していました。

粗末な布ではありますが、人が4人ほど寝られるスペースのあるテントを4カ所も設置していて、瓦礫等で外部から直接監視が行えないようバリケードが張られています。

「すごいわね、こちらが襲われるなんて想像もできなかったはずなのにここまで準備が行えているなんて」

「そうですよね。
まさか、こうなることを知っていた魔法少女がいたりして」

「さやか、んなわけないだろ」

雑談ができるほど周囲は静かで、時々果てなしのミラーズがある東側で爆発音が鳴り響くだけでした。

しばらくすると西側で大きな爆発音が鳴り、一部の魔法少女達が慌ただしく西側に移動していきました。

「何かあったのかな」

「あそこって、調整屋さんがあった場所じゃ」

「・・・気にはなるけどあとで知ってる人に話を聞きましょ」

それから何が起こることもなく日が沈む頃、神浜内の戦いは落ち着いていました。

「兵士の人達、みんな帰っちゃったのかな」

「どうでしょうね」

後で聞いた話ですが、西側で大きな爆発音があった場所へ向かった魔法少女によると調整屋さんの建物は破壊され、そこから調整屋さんの遺体が発見されたそうです。

神浜にいた魔法少女で連れ去られる魔法少女はいなかったものの、死亡者は出てしまいました。

謎の武装した兵士たちが突然襲撃してきたこの出来事を経験し、私達は今後人と争わないといけないのだということ、今後死んでしまう魔法少女が出てしまうことを考えると、悲しい気持ちになってしまうのでした。

 

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