魔法少女まどか☆マギカ外伝マギアレコード 2年間の総評とその後についての考察

みなさんマギアレコードは楽しくプレイできていますでしょうか。

第二部がスタートしてストーリーが不定期公開されるようになりましたが、評価はよいものといえず、Twitter上ではマギアレコードへの不満を吐き出すプレイヤーが増えてきています。

第二部へ入らずともそのようなプレイヤーがいましたが、第二部に入ってからは目立つようになってきたと感じています。

 

 

各プレイヤーの意見の統計を取り、そこから総評を練り上げるのが正しい方法ではありますが、生憎、多くのプレイヤーが使用しているコミュニケーションサイト、公式の運営が用意した意見交換所のような掲示板が存在しないことから、すべてのプレイヤーの意見を汲み取るのは不可能に近いでしょう。

今回はマギアレコード2年間の総評と今後について考察していきたいと思います。
考察とは言え、何かを数値的に導き出したり統計を取るというわけではなく、あくまでネット上に出てくる情報を収集してそれらについて分析を行った結果について述べるだけです。

このページの内容を通して、見ていただいた方のマギアレコードの見方を見返す機会になれたら幸いです。

 

※ここから記載していくのは管理人の私見が含まれていきます。あくまで一個人の意見として見ていってください。

 

0.あらすじ

魔法少女まどか☆マギカ外伝 マギアレコードは2017年8月22日に正式リリースされたスマホRPGで、原作となる魔法少女まどか☆マギカとは違った時間軸の物語としてストーリーが展開されていきました。
物語りは無事に第一部が完結し、第二部が進んでいる最中です。
ちなみにシナリオはf4シナリオチームが担当しているようで、外注を行っているという様子は見られません。
(外伝シリーズイベントの際は各外伝の作者が監修として携わっています)

魔法少女まどか☆マギカを題材としたうえでスマホRPGとして長期運営するうえでネックとなるのが魔女化の問題。
グリーフシードが入手できなければ魔女化確定というハードコアな設定の中、魔女化によるキャラの退場を回避するために「ドッペル」というオリジナルの仕組みが導入されています。

ドッペルは神浜市にいる限り、魔女とはならずドッペルを発動することでソウルジェムが浄化されるというものですが、ドッペルを使用した際のリスクがあるとされているため物語内ではグリーフシードは引き続き使用されています。

これによってキャラは戦闘でソウルジェムが砕かれない限りは生き続けられるという設定を獲得し、クリスマスや夏祭りといった季節イベントを気軽に展開できる理由づけもされています。

自由度の高い物語を展開できるようになったマギアレコードでは軽く2周年を迎え、かつて存在したまどか☆マギカオンラインの運営期間を超え、3周年を迎えようとしています。

 

1.マギアレコードに対する不満

リリースしてからの運営を行う期間が長くなるほどゲームへの不満が募るのは必然です。その不満への対処として正しい方法というのは、統計をとってゲームバランスを考慮したうえで修正し、アップデートを行うというのが最低限失敗しない対応方法だと思われます。

ここからはマギアレコードの各システムに対する不満とこれまでに運営が行ってきた対応内容について振り返っていきます。

1.1 ガチャシステムに対する不満

スマホRPGにとって必ず発生するのがガチャシステムに対する不満です。
物語中に発生するバトルでは初期配布の環いろは以外の魔法少女は限定配布以外はガチャをまわさない限りバトルで使用することができません。また、ガチャでは魔法少女を強化できる「メモリア」というものも入手できます。

もちろんガチャをまわすための通貨が必要であり、マギアレコードでは「マギアストーン」がガチャをまわすための通貨として存在しています。
マギアストーンはストーリーを進めることと、ストーリークリアの報酬としてもらえるチケットで引くことが可能ですが、リアルマネーをつぎ込むことでマギアストーンを増やしてガチャを引くことも可能です。

マギアストーンの価格については1個につき11~13円で大量購入するほどお得となっています。
・1085個 ¥11,500 1個につき約10.60円
・37個  ¥490          1個につき約13.24円
まとめ買いしたほうがお得!

ガチャをまわす際には25個のマギアストーンが必要となるため、
ガチャ一回は約300円使用することとなります。

このガチャシステム、実装当初はいくら回してもめったにお目にかかれない☆4魔法少女が手に入らないという天井なしの沼ガチャ状態でした。

これによってピックアップされている☆4魔法少女を手に入れたくても200回、300回とガチャをまわしても手に入る様子が見られないという不安が募り、マギアストーンをお金で購入するいわゆる「課金」を躊躇する、または後悔するプレイヤーが多く誕生することとなりました。

この状況に対して運営が行った対応というのは天井の実装です。
他のガチャシステムにはあまり見られないという天井は当時多くのプレイヤーが喜びの声を上げました。
マギアレコードの場合の天井というのは、どのガチャ(恒常、限定ピックアップ)でも100回引いたら確定で☆4魔法少女が手に入るというものです。
さらには各魔法少女の排出率の数字が公開され、驚きの排出率の低さに驚きを隠せませんが、引く側の負担を減らそうという試みは見え隠れしています。

とはいえ☆4魔法少女の排出率はガチャを引く際の演出によって誤差があるようですが、実はこれ無いに等しいようなもの。
演出を引くのも実際に☆4魔法少女を引く際と同じくらいお目にかかれず、通常演出では驚異の0.00975%、たとえ☆4確定演出が出た場合でも0.9756%という100回引いて1体出ればいい方という値です。

さらには☆4魔法少女の母数も大きくなっているため、狙った魔法少女はピックアップが行われない限り30000円払って天井まで回すというのはかなりハードルが高いものとなります。

この渋いガチャシステムに対してさらに運営が行った施しというのが、デスティニークリスタルの実装です。
これは、☆4魔法少女と4回出会う(完凸した)あとにまた同じ魔法少女と出会った場合に交換できるものなのですが、デスティニークリスタルが5個たまると好きな魔法少女と1回出会う権利がもらえます。

☆4魔法少女の排出率が低い割に魔法少女がかぶることが多いマギアレコードではデスティニークリスタルの存在は地味にうれしいものです。
仮に500回やってすべてすり抜けて完凸魔法少女のかぶりが発生したとしても確定で狙った魔法少女と出会えると言葉で言われればお得ですが、500回までに支払う金額は150000円。
あなたは手取り給料をすべてつぎ込む覚悟があるか?

第二部がスタートしたころにはピックアップガチャを引くと調整やコインというものが1回につき1枚もらえ、300枚たまると好きな魔法少女と交換できるようになっているのですが、これでも90000円コースとなるためよっぽどねらい目な魔法少女でなければ身を滅ぼすことになりかねないです。

ちなみに限定☆4メモリアは☆4魔法少女のような救済処置がないので頑張って当てましょうという状況です。

 

ここまでマギアレコードのガチャシステムとこれまでに行われてきた改善事項を上げてきました。
ほかのガチャ要素があるゲームはあまり知りませんが、いずれは臨んだ☆4魔法少女が手に入るというのは少しは希望が持てる仕様ではないでしょうか。

さて、このガチャシステムですがちゃんとバックストーリーが存在します。
ガチャシステムによって排出される魔法少女は調整屋で紹介された、または出会った魔法少女という設定があります。
そんなの誰が言っていた、というのはメインストーリー第一部 第一章でみたまがさらっと言っています。魔法少女が排出される確率は、リアルに見知らぬ人と出会う確率に等しいというわけです。

そんな設定いらない、さっさとほしい魔法少女を完凸させろというプレイヤーの声は少々傲慢が過ぎます。

ガチャシステムが課金前提の渋さとなっている原因は、基本プレイ無料としているため運営へ入るお金を集めるタイミングがガチャシステムにしかないことが原因です。
これはどのガチャシステムを採用しているゲームにも言えますが、ガチャでしかお金を集められない場合はプレイヤーがガチャをまわさないような魔法少女を実装しようとはしません。
キャラクター性能のぶっ壊れが蔓延るようになるのはこのような原因が起因していると思われます。

プレイヤーがガチャをまわしてくれないと運営を行うことができない、ガチャを回るためにはプレイヤーの求めるようなキャラクターを用意して実装するしかない。

単純な運営であればこの思考へと陥って、最終的にはゲームのコンセプトを見失ってそのままサービス終了に陥るだけです。

ぶっ壊れ性能のキャラがどんどん出てくる、物語を無視するような、まどか☆マギカというコンセプトを見失うようなミラーズで使えることだけ重視された魔法少女だけになっていくようになれば、
私は正直、プレイヤーの思考がゲーム性を悪くしたといってもよいと考えています。

 

プレイヤーがガチャをまわす動機としては昨今では”ミラーズで優位に立てるから回す”が目立ちます。

キャラクターがかわいいから、物語で気に入ったからという動機でガチャに手を出す人、3割もいないのではないでしょうか?

それに加えてガチャに多い不満では”キャラクターが出ないからクソゲーム”という傲慢しかない不満です。

お金がかかわるガチャをまわすのはプレイヤーの責任です。
今ではピックアップされている☆4魔法少女は前にも触れている通り、天井が実装された上にデスティニークリスタルで交換するチャンスがあり、さらには調整やコインで入手するチャンスがあるという大盤振る舞いにもかかわらず、それでも不満を漏らします。

確かに有り金をつぎ込んでどうしても欲しい魔法少女が出なければ誰でもへこみます。しかしこれは確率が絡むものなので、縁がなかったとしか言えません。

プレイヤーへのおもてなし精神で排出率を増やしてくれ、マギアストーンの価格を安くしろというのであれば、そうまでしてくれるほどマギアレコードを支援する必要があるのです。

ゲームの運営はプレイヤーがお金を落としてくれなければ行えません。

もしこのゲームが好きだというならば、少しでもプレイヤーが運営へ支援する姿勢を見せていく必要があるのです。
自己責任でガチャをまわした結果に対してそれだけでクソゲー呼ばわりするのは”お客様精神”が過ぎる傲慢な態度であることを認識してください。

 

1.2 バトルシステムに対する不満

バトルシステムに対する不満はストーリー等で行われるバトルと、ミラーズバトルの2種類があります。

 

1.2.1 ストーリー中に行われるバトルシステムについて

マギアレコードのバトルシステムを簡単に説明します。

マギアレコードのバトルは自分と相手のターンが切り替わりながら進んでいくターン性バトルとなっていて、次の一手をどうするか考える時間を設けることができます。
戦闘に参加している魔法少女それぞれに5枚の攻撃ディスクが割り振られていて、自分のターンでは参加している魔法少女のディスクの中から5枚ランダムで選択できるディスクが確立で選出されます。そのディスクをさらに3枚選択し、相手へ攻撃を行います。

他にも魔法少女の潜在スキル、メモリアというものをつけることで使用できるスキルを使用できるほか、MPを使用して発動できる必殺技枠に該当する「マギア」、そして超必殺技の位置にある「ドッペル」が使用できます。マギアとドッペルはディスク1枚分として使用することとなり、スキルはターン酔いがない限り自分のターン内で使用することができます。

 

各魔法少女が使用できるディスクには以下の3種類があります。

・アクセル:攻撃時にMPの獲得量が他のディスクに比べて多く、1枚目に選択すると2枚目、3枚目のディスクはMPを獲得できるようになる、または獲得量が増えます。敵1マス分にしか攻撃できません。
アクセルディスクを3枚使用した場合:アクセルコンボとなってすべての魔法少女へMPが20与えられます。

・ブラスト:縦、横どちらかへ3マス分すべてに攻撃できる唯一の手段です。しかしMPを獲得することはできません。
ブラストディスクを3枚使用した場合:ブラストコンボとなって攻撃時のダメージが増加します。

・チャージ:チャージディスクの攻撃を行うためにチャージが溜まり、たまったチャージ数に応じてアクセル、ブラストを使用した際のダメージ値が増加し、アクセルに関しては獲得MP量も増加します。敵1マス分にしか攻撃できません。
チャージディスクを3枚使用した場合:チャージコンボとなってチャージ数が+2されます。

また、同じ魔法少女のディスクを3枚選択した場合はピュエラコンボとなって全ディスクの与えるダメージ量が増加します。

コネクトという仕組みもあり、コネクトはある魔法少女のディスクが合計3回使用されたことをトリガーとして他の魔法少女へ固有の能力を分け与えることができる戦術の一つです。

ここまで戦闘要素の基礎部分を簡単に記載しましたが、これらの情報以外にも敵と味方の属性有利、スキル効果、アビリティ効果の把握、ターン数管理と考えるほどきりがない戦術がたくさん存在します。

このバトル要素は慣れるまで時間がかかり、ストーリー中のボスでもしっかり魔法少女を育てなければ勝ってないような難易度の場所も存在します。
ストーリーを進める上では魔法少女の育成も大事になっていくということです。

このバトルシステムについての最初の不満が、周回効率の悪さです。
プレイヤーはずっとスマホに張り付いてできる人がいればちょっとした時間内でササっと終わらせたい人と考え方はそれぞれです。

そんなプレイヤーの声に対して運営が対応したのは「オート機能」と「倍速設定」の実装です。

オート機能はそのままの意味であり、プレイヤーが操作しなくてもAIが自動で戦闘を行ってくれます。
最初の頃はマギア、スキル、コネクトの使用タイミングを指定することはできませんでしたが、最近になって詳細に設定できるようになってさらにスピーディに周回を行うことが可能となっています。
さらには初回オートとされる機会も増えていて、基本的にバトルは勝手に行ってくれる流れが出てきています。ちなみにオート機能は任意にON、OFFができます。

倍速設定は2倍まで設定することができ、最近は3倍速の試験的運用が行われました。実は戦闘中モーションは通常スピードではかなりゆっくり進むため、正直等倍速でバトルを行うとバトル終了までかなり時間がかかります。
等倍速は凝ったモーションを見るため、マギアやドッペル演出をじっくり見たい人向けとなっています。

さて、周回効率をよくするために様々な改善が行われていますが、周回の効率化はストーリー進行をスピーディにするため、魔法少女強化のための素材集めを効率的に行いやすくするためというプレイヤーにとってストレスフリーになる改善ばかりです。

ここまでやるならいっそのこと、バトルの途中経過自体バッサリとカットして結果だけ表示という形にすればよいのではないかと考えるプレイヤーもいるようですが、それはもうバトルシステムがいらないという暴言に等しいです。

気持ちはわかりますが、オート機能でも負けるバトルは負けてしまうので、負ける原因を分析するためにも時々オートバトルの様子は見守るようにしましょう。

 

次に出ている不満が、特定ディスクコンボだけでごり押しできるゲームシステムはよくないという不満です。

ごり押しできるディスクというのはアクセルとブラストです。

アクセルの場合はアクセルディスクコンボばかり狙ってMPを溜め、全体マギアで敵を蹂躙するという流れで高難易度クエストが終わるという問題です。

ブラストの場合はブラストディスクコンボでダメージ量がアップするだけでなく、ピュエラコンボによるダメージ量アップも上乗せされた状態でほぼすべてのマスを蹂躙して高難易度クエストを終わらせるという問題です。

これらに共通するのは「最短クリア」であり、敵の攻撃が痛いならば攻撃させる前に終わらせればいいというプレイができてしまうことによって起こる問題が出てきています。

それは、チャージディスクがいらない子となる状態となっていたことです。
チャージディスクは1、2回使用した後に別ディスクで攻撃してもそれほどダメージ量、MP獲得量が上乗せされません。
また、チャージという名前がついている通り、真価を発揮するにはターン数がかかります。
「最短クリア」を重視するプレイヤーが多い中でチャージディスクが不憫な扱いをされれば、チャージ特化した魔法少女も不憫な扱いをされることとなり、バトルへの使用率に格差が生まれる結果となり、それは今後実装される魔法少女にも響きます。

このバトルシステムの状況に対して対策が行われた結果、チャージ後ダメージアップというスキルが実装されただけです。

これはどのプレイヤーもすぐに実感できる改善ではなく、どのみち真価を発揮するためにはターン数を要するディスクに変わりはありません。

しかし、チャージ後ダメージアップというスキルが登場したことにより、チャージコンボ後のブラストコンボで恐ろしいほどのダメージを相手に与えるという戦術が行えるようになってチャージディスクの存在意義は一応あります。

実はチャージディスクは精神強化でチャージディスクのダメージアップに使用されている名前の通り、テクニカル要素が絡むディスクです。

使うプレイヤーによって有用になったり、腐ったりするディスクということです。
バトルの回数を重ねればだいぶ把握できるようになっていきますが、相手が防御を高めてきてダメージが通りにくいターン中はチャージを溜めて、相手の防御上昇効果が切れた際に大ダメージを与えるという使い方ができるとわかってきます。

攻撃を与えても無駄なターンを有効活用できるのがチャージディスクの良い点なのです。

チャージディスクをうまく活用できないプレイヤーが多いのか、いまだに不憫さはぬぐえきれず、よっぽどとがった特徴がない限りチャージタイプの魔法少女は不憫な扱いをされています。
運営側でできることは、もう十分にできているのではないでしょうか。

 

 

次にバトル要素に不満があるのは、バトルモーション、演出に対する不満です。
可愛さ重視のためか、戦闘中は2.5頭身のキャラが動きます。戦闘モーションも単純ではなく、凝った演出がかなり多いです。これはたくさんの魔法少女をバトルに参加させれば実感できます。

しかしそんな中でもバトルモーション、演出へ不満が出ています。
中にはみんな似たようなモーションだと不満を出すプレイヤーがいますが、それはおそらく特定の魔法少女しか使用していないからそう思うだけの的外れな不満です。

中には攻撃モーションが遅い魔法少女もいますが、最近になって高速化されたり、☆5覚醒によってモーションが改善されるという修正が行われています。
☆5覚醒することでモーションが速くなるという変化は、経験を積んで戦いの立ち回りがうまくなったという経緯も感じられて魔法少女の成長を実感できます。

正直言ってマギアレコードのバトルモーション、演出は文句の出しようがないです。
これでも不満があるという人は、格闘ゲームだけやってればいいんじゃないでしょうか。

 

 

1.2.2 ミラーズバトルシステムについて

ミラーズのバトルシステムは特にプレイヤーの不満が集中します。

ミラーズバトルは他プレイヤーが用意した魔法少女チームと戦うモードです。
リアルタイムに戦い合うわけではなく、あくまで相手はAIです。

ミラーズのバトルはストーリー中のバトルとは違って「最速クリア」に重点が置かれた特殊な仕組みに入れ替わっています。

まず違うのが、スキルは初手から使用できずターン酔いが発生している状態からスタートします。4-6ターンのクールタイムがあるスキルは3ターン目から、7-8ターンのクールタイムがあるスキルは4ターン目から使用できるなど、スキルの使用できるタイミングが特殊です。

そんな中で2-4ターンで勝負が決まるミラーズバトルにとって4ターン以降にしか使用できないスキルは「役立たず」とプレイヤーに認識されています。

また、ブラストコンボが猛威を振るいやすいバトルシステム上、縦横マスに全員並ぶようなT字や十字の陣形も「役立たず」とプレイヤーに認識されています。

さらには精神強化による潜在能力、アタック値やマギアの扱いやすさがキルタイムの速さに直結しない魔法少女は「役立たず」とプレイヤーに認識されています。

このように、魔法少女やメモリア、陣形はミラーズバトルを中心とした考え方で「役立たず」とプレイヤーに認識されているのが現状です。
このようなプレイヤーの認識はガチャシステムにも影響していて、「ミラーズで使えそうにないからパスで、ミラーズでぶっ壊れだから完凸させる」という思考が今後実装される魔法少女に追い風となってしまうのです。

ミラーズで使われなければガチャをまわしてくれないという思考を運営へ刷り込んでしまった場合、せっかく個々人に設定があるにもかかわらず設定を無視したぶっ壊れキャラだけになるという結果を招きます。

ガチャを回す、回さないの判断は個々人の自由ですが、「ミラーズで使えなければガチャは回さない」という考えが如実に出てしまうとこのゲームを滅ぼす結果を招いてしまうことは心のどこかに留めておく必要があります。

ミラーズバトルがクソといわれる大きな原因は、ミラーズランキングというものがあることです。
ミラーズランキングでもらえるものは称号だけですが、何よりもまず勝てないというのがクソクソ言われる原因です。

ミラーズバトルの性質上、純☆4魔法少女、限定魔法少女、限定メモリアが完凸前提という廃課金と豪運のプレイヤーが勝ちやすい傾向にあります。また、ランキング上位に行くためには「最速勝利かつ、最多コネクト数」が必要となってくるのもまたミラーズバトルに嫌悪感を抱く要因となっています。

2~3人の魔法少女で「最速勝利かつ、最多コネクト数」で勝利するという理論値まで導き出されてしまい、タスクキルに近い状況でした。
しかもそれができるのは、限定ガチャの魔法少女やメモリア、純☆4魔法少女が完凸していることが前提です。
そのため使用される魔法少女も特定の魔法少女だけになるという現象が発生し、自由度がなくなっていました。

運営へたくさんお布施をしたプレイヤーが報われるという思考は間違っていません。大金をつぎ込んだ見返りとなっているわけですから。
しかし、微課金や無課金プレイヤーへ逆転のチャンスがない点がないため格差が生じてしまっているのが事実です。

純☆4魔法少女、限定魔法少女やメモリアなしでミラーズに挑んでもAランク帯が限界です。Sランク帯は現状不可能に近いでしょう。

 

そんな格差が大きすぎるミラーズランキングへは大幅に評価ポイントの見直しが行われ、「最速勝利かつ、最多コネクト数」だけでは上位に食い込めないよう修正が行われました。

この修正が行われると、次はアクセルコンボが火を噴き、「最多コネクトかつ、最多マギア・ドッペル数」が上位になるというどのみち格差が縮まる結果とはなりませんでした。

この格差が埋まらない理由は、「ターン数ボーナス」が存在しているためです。
純☆4魔法少女と☆5昇格魔法少女とではステータスに差があり、バトル勝利までのターン数”キルタイム”にどうしても差が出てしまいます。

ターン数ボーナスがなければ永遠とダラダラバトルを続けて最多コネクト数、最多マギア数に到達した途端にHP回復できる全体マギアで〆ればだれでも理論値というものへは到達するでしょう。

しかしこれでは競技性が失われるのでターン数ボーナスが設けられているのでしょう。

こうして格差が埋まらずに今日までのミラーズランキングが開催されてきました。
使用魔法少女のレアリティが低いごとに勝利ボーナスが上乗せされるという仕組みを設けない限り、廃課金者へ微課金、無課金者との格差は埋まらないでしょう。

 

ごもっともなことを言うとミラーズバトルを熱心にやる理由はガチャチケット入手意外にほとんどないため微課金者や無課金者はこだわらない限りミラーズバトルに関わらないのが無難でしょう。

ミラーズバトルに勝てないからクソゲーという人は、ミラーズバトルに関わらず他の要素で楽しむことをオススメします。
それが嫌ならば廃課金者になるか、バトルロワイヤルゲームだけやってればいいのではないでしょうか。

 

1.3 シナリオに対する不満

マギアレコードのシナリオ全般はf4samuraiのシナリオチームが担当しています。
外伝物のコラボの際には外伝作者の監修を受けますが、外注でシナリオライターを雇っているわけではないようです。

物語には魔法少女まどか☆マギカの本編の時間軸から外れた世界で展開されていく円環の理の影響を受けていません。

実はこの時点でシナリオに対する不満が発生しています。

それは、魔法少女まどか☆マギカの続編物として期待していたがそのようなわけでもないというところです。
眼鏡をかけた状態の暁美ほむらが出てきて何週目の時間軸なのか、円環の理が作用していないのはおかしい、叛逆の物語の後はどうなったなど続編に思いを寄せるプレイヤーが望んだものではないということで不満が出ているのです。

そこから発展して悪魔ほむらが出ることのみ期待してストーリーに興味を示さないプレイヤーも多いです。

実は円環の理とのつながりはアルティメットまどかの魔法少女ストーリーを見るか、アルティメットまどかが実装された当時に流れたスペシャルのイベントを読まない限り誤解したままマギアレコードの物語を読み進めていくこととなります。読んでも理解できない、受け入れられないのであれば今後も誤解をしながら不満を募らせるだけです。

少し物語を理解する姿勢がなければ、少し物語を飛ばしただけでなにをやっている物語かわからなくなります。
また、イベントストーリーをメインストーリーとつなげて考えようとすると絶対繋がらない箇所が出てきます。これも各ストーリーを熟読して人間関係を理解しなければ誤解したまま進みます。
中には”あったかもしれない”の考えであるイベントストーリーが存在します。
神浜市年表のように、”あったかもしれない”のイベントストーリーを切り捨てない限り間違いなく矛盾だらけでまとまることがないでしょう。

この、ただ見るだけではストーリーを把握しにくいのが単純な理由でストーリーに不満を持つプレイヤーが多い理由なのでしょう。

残念ながら魔法少女まどか☆マギカ同様、少し考えながら見ないと何をやっているのかわからない物語構成です。物語を見て苦にしか感じなかったプレイヤーは、おそらく今後のストーリーも肌に合わないと思うので文句を言わずに退くことをオススメします。

 

 

さて、そんなストーリーですが第二部に入ってからの不満が特に強くなっています。それは、原作組が出なくなったことと、理由の分からない妬みで神浜マギアユニオンへつっかかってくるプロミスドブラッドの存在が影響しています。

まず原作組がメインストーリーへ参加してきたのは第3章あたりからです。
それまではアナザーストーリーで顔出しさせていたので最初からメインストーリーに登場しているかのような錯覚を起こしていましたが、実際は物語が三分の一進んでから登場しているので、今後出てくる見込みはあります。

この原作組が何をしているのかわからないという不安は、いろはがメインストーリーの中でまどかへ連絡を行う描写を少し入れるだけで今後メインストーリーに関わってきそうという期待をもたせることができます。
第3章が終わるまでは辛抱強く見守りましょう。

 

さて、第二部の物語ですが、キモチのブレスレットを集めるという、第一部のウワサ調査のように淡々と何かを探すことが初期の目的となっています。
第二部から違うのは外部の勢力が”理解しがたい理由”で邪魔をしてくることが問題なのです。
プロミスドブラッドはマギウスが行った周囲の町にいる魔女を集める行為の影響を受けたメンバーであり、そのせいで自分たちのテリトリー二木市で魔法少女同士の殺し合いを行っています。

仲間同士で殺し合わせた苦しみを神浜へも思い知らせるというのがプロミスドブラッドの大きな目的であり、神浜にある魔女にならないシステムを手に入れるのは二の次となっています。
さらには知略のある振る舞いをするにもかかわらず、魔女にならないシステムを奪った後にも争いが生まれ、仲間が死ぬリスクを高めているという予想をしようとしないこともプレイヤーの理解を苦しめる要因を作っています。

 

理由も話さず、一方的に恨んで殺しにかかるだけでなく相手を理解しようとしないというのは人間らしい思考ではありますが少なくとも感情移入はできません。どんな凶悪な敵を作り上げても、アリナのような”すがすがしいほどの邪悪”か”信念を理解できる悪役”でない限りストーリーの害としかなりません。

 

本来であればバックストーリーとなるもので”信念を理解できる悪役”へ持っていけるはずが、二木市の内部紛争が治まった理由は神浜へヘイトを変えただけのその場しのぎにしか見えないことも悪影響となっています。

この第二部の展開に対するプレイヤー不満はごもっともであり、この路線があるからこそ結末で劇的に良作といえるような展開が行われなければ駄作と判断されてプレイヤーが離れていくことでしょう。
しかしまだ第二部は始まったばかりなので今後の展開を温かい目で見守りましょう。

プレイヤーの不満を少しでも和らげるため、メインストーリーの進行は定期更新にしたほうがプレイヤーも期待できるので良いと思います。

 

1.4 他機能に対する不満

他の機能面について不満が多いのはアプリの容量です。
2020年の6月時点でマギアレコードのアプリ容量は8GBほどあります。もはやこれは並のスマホではまともに扱える容量ではなくなっていて、この容量が大きすぎることを理由にマギアレコードをやめてしまうプレイヤーが多いです。
しかし、幸いマギアレコードはPCでも操作できるようになっているためスマホでできないならばPCでプレイするという道があります。
PCがなければ、やめざるを得ないでしょう。
ここまでアプリの容量が大きくなっている理由として、約3年間のデータが蓄積されているだけでなく、LIVE2Dのデータ、ボイスデータといったクオリティを上げるためのデータが多いのも理由です。
ボイスデータの読み込みを拒否すれば5GB程度まで抑えられるかと思いますがそれでも多いというのが正直な感想です。

この容量が大きい問題はマギアレコードではなくFGOも同等程度の容量を食うのでマギアレコードに限った問題ではありません。

今後も容量が増え続けるのは必至なので、スマホにこだわらない限りはPCでのプレイを視野に入れたほうが良いと思います。

 

育成関係の不満としては、原点の器が課金者限定の品となっていることが不満として挙がっています。
原点の器は、精神強化をリセットできるというものであり、これが気軽に使えるようになれば戦術に応じて精神強化のラインを工夫するという戦術も生まれてきます。スキルポイントを使用するゲームの中にはこのリセットを気軽に行えるようにして、バトルの環境変化へ対応しやすいよう配慮されることがあります。

マギアレコードのこのリセットできる品が課金前提というのは悪手であり、プレイヤーへの不満が募るのもごもっともです。
今後は精神強化のできる数が拡張されるという話もあるので、精神強化項目をリセットしやすい環境づくりは大事だと思います。
課金しなくても入手できる方法として、ミラーズコインの報酬にしておけばバトル重視のプレイヤーは喜んでミラーズに挑むことでしょう。

 

2.総評

マギアレコードに対する約2年間の総評としては、第一部完結までは良作といって間違いないでしょう。

魔法少女まどか☆マギカというバケモノタイトルへの期待をあまり裏切ることなくプレイヤーを満足させて完結させたことはとても良い成果です。
また、少しでもプレイヤーの不満、負担を軽減させるような取り組みが熱心に行われていたことも高評価できるポイントです。

プレイヤー側の質としてはあまり良いものではないと感じました。
「お知らせを読まないモキュ」と言われるまでは優しいものですが、何かと因縁づけてクソゲー呼ばわりするプレイヤーが一定数いるのは残念だと思いました。

大抵それらの発言は少し考えれば、工夫すれば終わるだけの話が多いためプレイヤー側の努力が足りないのは残念なことです。

細かいところを見れば運営の努力不足な点もありますが、アニメ化もされて第二期の予定があるあたり、マギアレコードは今後も安泰でしょう。

 

3.今後のマギアレコードについての見解

第二部に入ったマギアレコードですが、公開できるストックがなくなったかのように評価が下がるような行いが目立ってきています。

ストーリーの内容、新要素の内容や新鮮なものが展開される間隔など荒い部分が出てきています。4月頃から始まった新型コロナウィルスによる影響も考えられますが、復刻が目立ったりと新鮮さに欠ける期間が長いと感じることが多いです。
新OPが公開されたことで多くのプレイヤーのモチベーションが高まった点は大成功ですがそのモチベーションが維持されることはありませんでした。

外伝コラボのストックも無くなってきている中、かずみマギカは作者との折り合いができずにコラボイベントを開けない(実際、かずみマギカの絵師が担当したオリジナル魔法少女だけが存在しない)、おりこマギカのイベント自体がないなど、外伝に頼ったイベント展開が難しくなってくる頃です。

まどか☆マギカらしくない要素を毛嫌いするプレイヤーが多い中(アザレアイベントの際に如実にその傾向がみられた)、今後どのように外伝コラボに変わるイベントを展開するのか、制作側に期待です。

少なくとも、メインストーリーにこびりついた不満は早めに拭えるような展開を用意すべきです。そうでなければ、メインストーリーのせいでやめるプレイヤーが増えます。

 

今後の課題としては、メインストーリーの展開、外伝コラボがなくなったときの新しい立ち回りが重要となってくるでしょう。

 

運営もそうですが、プレイヤー側からもマギアレコードが好きならばフォローする立ち回りを行うことも重要です。
プレイヤーが良い内容で盛り上がれば運営もやる気が出ます。

お互いに気持ちを高めあい、マギアレコードが長く続いていくことを祈ります。

 

 

 

あなたはマギアレコードが好きですか?

【マギアレコード】 神浜市年表(ストーリーまとめ) 下巻

時間遡行のその先 誰もが予想しなかった繰り返しの連鎖から外れた特異なレコード それが”マギアレコード” レールを外れたその内容は日に日に不安定さを増し、いつ壊れてもおかしくないほど不安定な溝が刻まれてゆく

マギアレコードには

・主人公「環(たまき)いろは」を中心にしたストーリー「メインストーリー」
・アニメ「魔法少女まどか☆マギカ」5人に焦点を当てた「アナザーストーリー」
・各魔法少女に焦点を当てた短編ストーリー
・鏡の魔女の用意した結界で起きるストーリー
など数多くのストーリーが交差しています。そのため、どの話がどうつながっているのか、また、まったくつながりがないのかわかりにくくなっています。

ここでは、このわかりにくくなっているストーリーを年表としてまとめていきます。

☆4キャラのストーリーは、入手後に魔法少女ストーリーで確認を行うという調査方法のため、かなり後になってから明らかになるかと思いますが、ご了承ください。

※ネタバレについては気にしないという方のみ閲覧してください。

 

*caution*

この年表作成にあたり、マギレコ内で開催された季節イベント、コラボイベントはメインストーリーで触れられたもの以外記載しないことにします。

理由としては、メインストーリーの季節が不明であること(特にホーリーマミの「突然失礼」冬イベント)。季節イベントのストーリーは、IFの扱いとします。 下巻ではメインストーリースタート時点からの内容を扱っていきます。

 

  上巻(メインストーリーがはじまる前の過去)   “【マギアレコード】 神浜市年表(ストーリーまとめ) 下巻” の続きを読む

【マギレコ二次創作小説】魔叙事詩カグラ・マギカ 2-7 黒いオーラの魔法少女

見滝原で出会った元黒羽根の子 黒さんに連れられて私と巴さん、なぎさちゃんは神浜への電車に乗っていました。

「なぎさちゃん、魔法少女だったんですね」

「この指輪に気づかないなんて、黒は魔法少女なりたてなのですか?」

「うぐっ」

「黒さん、緊急事態の詳細を教えてくれるかしら」

黒さんから伝えられたのは、シェアハウスしている友達が、黒い何者かに襲われてしまったとのことです。その友達を今はこれまた一緒にシェアハウスしている元白羽根の人が守りながら逃げている状況で、電話をかけてきた時も逃げている最中だったとのことです。

とっさに電話できたのが黒さんだけだったらしく、応援を呼んでほしいと伝えられ、今に至ります。

「電話が通じてるってことは、少なくとも使い魔や魔女ではないようね」

「なんでですか?」

「魔女の結界の中では電波が通じないのよ。結界を持たない魔女なんてワルプルギスの夜以外あり得ないでしょうし」

「じゃあ、襲ってくる黒い存在って」

「神浜の外から来た魔法少女、かもしれないわね」

「あのSNSで話題に上がった、外から来た魔法少女、なのかな」

鹿目さんがいろはさんへ連絡したときには特にそんな話題はなかったはずだけど。

やっぱり、今のままじゃ神浜の最新状況を知ることが出来ない。

急ぎたい気持ちとは違い、決まったレールを決まった時間で走り続ける電車に揺られ、神浜の西側にある駅で私たちは降りました。

駅のホームを出て10分ほど北側に進んだ裏路地に黒さんのお友達と思われる魔法少女が2人いました。

「欄さん!大丈夫ですか!」

「黒、来てくれたんだね。それに、巴マミと暁美ほむら!?」

「事情は後で話すわ。状況を教えてもらえるかしら」

欄と呼ばれている魔法少女の腕の中には、傷だらけになった1人の魔法少女がいました。呼吸はしていましたが、苦しそうに不規則なリズムで空気を吸ったり吐いたりしています。

もっと奥の路地裏でカオリが真っ黒な存在にサンドバックにされているのを目撃したのよ。ソウルジェムが壊されていないのが奇跡だった」

「その黒い存在って、何」

話していると急激に魔力の反応が二つ迫ってきました。二つの反応は私たちの前を横切り、私たちが入ってきた路地裏の入り口側に立ちはだかりました。

その魔力の反応は、まさしく

「出た。右側のやつが襲ってきたやつだよ。まさかもう一体連れてくるなんて」

「でもこの反応って」

「魔法少女」

見た目は黒いオーラを纏った感じで、オーラの端に行くほど赤色が目立っていました。

顔はとても苦しそうで、ソウルジェムと思われる宝石部分は真っ黒でした。

左側の1人が左手を高々と上げると腕はみるみるうちに大きくなり、泥のような見た目となった後、掌には一つの目玉が見開きました。

目を開くと同時に周囲には大きな衝撃が走りました。

「何よあれ」

「この魔力の迫力、まさかドッペル」

腕が伸びてきて、その腕は変身した黒さんを叩き潰してしまいます。

「黒さん!」

黒さんは苦しそうにしていましたが、再び立ち上がりました。

「この、返してよ!」

そういきなり黒さんが言うと、見覚えのある黒羽根が使用していた鎖を手のドッペルへと放ちました。

その先にあったのは黒さんがアラカル亭で買ったお菓子の袋でした

「黒さん迂闊よ!」

手のドッペルはそのまま鎖を掴んで黒さんを放り投げようとしました。

「黒!鎖を切れ!」

黒さんは欄さんの指示通りに鎖を手放したことで地面に叩きつけられることはありませんでした。

隣のもう1人の黒い魔法少女はと言うと頭を抱えながら苦しみ、その後はライオンのような外見になって襲いかかってきました。

私はとっさに時間停止を行いましたが、二体ともにドッペルを出しているだけでただの魔法少女。

足止めを考慮して足を不自由にさせるよう拳銃を撃ち込み、時間が動き出しました。

狙い通りに2発の弾丸は2人それぞれの太ももを貫通しました。2人はその場でもがき続けていました。

その瞬間に巴さんがリボンで拘束しようとしますが、手のドッペルを出している魔法少女が腕だけで前進してきてリボンの拘束を避け、欄さん目掛けて腕を伸ばしていきました。

「欄さん!」

「見つけたぞ食い物泥棒!」

見慣れた赤い鎖連なる矢先が手のドッペルを貫きました。

声のする方向を見ると、そこには佐倉さんがいてその後ろから美樹さんと、鹿目さんが追いかけてきました。

「マミさんにほむら?!こんなとこで何を。それにこの状況は一体」

「私だって聞きたいわよ。こっちは拘束するのに手一杯だけど、そっちの子はドッペルが治まったかしら」

「気をつけて!こいつらは何度もドッペルを出すよ!」

そう欄さんが言っていると、苦しそうに傷ついた左手を掴んでいた黒い魔法少女が再びドッペルを出しました。

「そういうことか。どうりで攻撃加えてもきりがねぇわけだ」

「鹿目さん、いったい何があったの」

「私たちは、神浜で買い物をしていただけなんだけど、いきなりあの黒い魔法少女が杏子ちゃんが買ったお菓子を奪っちゃってね。その後追いかけてきたの」

人様の食いもん奪っといてドッペルのせいだろうが容赦しねぇぞ」

「人のこと言えないと思うんですけど」

「うるさい!とにかく大人しくしやがれ!」

杏子さんは激しく槍で突き刺したり、多節棍の仕組みを駆使して打撃を与えていきますが、その攻撃のどれもがドッペルにしか当たらないようにしていました

激しく攻撃はしているものの、魔法少女自体への攻撃は避けているようでした。

相手が再びドッペルを引っ込める頃には二つの足で立ち上がっていました。

両腿にはしっかりと銃弾の跡が残っているのに、立ち上がっていたのです。

そして再び、ドッペルを出します。

「きりがない。もう、ソウルジェム自体を壊すしか」

「だめよ!殺してしまうのは一番だめよ!」

「んじゃどうすればいいんですか!こいつ、道中で一般人にも被害出してるんですよ。私やまどかで足や腕を不自由にするくらい攻撃してきましたけど、こうやって痛みを感じないみたいに何度も立ち上がってくるんですよ!」

ドッペルを出し続ける上に傷による痛みを顧みずに襲いかかってくる黒い魔法少女。

そんな正常じゃない状態を目前にして、私たちはどうしようもありませんでした。

「ならば私が動きを止めます」

そう言って黒さんは白羽根が使用していた光る長剣を手のドッペルを出している魔法少女の足へ突き刺し、その勢いで本体を鎖でグルグル巻きにして身動きを取れないようにしました。

「よし!」

しかし左手がフリーになっていた黒い魔法少女はドッペルを出して黒さんの目の前で目を血走らせながら大きく手を開いていました。

「黒!」

「黒さん!」

黒さんはとっさの出来事で身動きができていませんでした。

「ばっっかやっっろう!!!!」

赤い槍は伸びてドッペルを貫くと同時に胸元で黒く輝いていたソウルジェムも砕いてしまいました。

そのまま黒い魔法少女の変身は解け、口や目やらいたるところから血を流した少女だったものへと変わりました。

「なによ、これ」

巴さんが怯むとリボンの拘束が緩んで拘束していた獣の姿をした魔法少女が巴さんを引き裂こうとしました。

「マミさん!」

すると、遠くから緑色の光線が飛んできて黒い魔法少女は壁へ打ち付けられました。

「巴さん!すぐ拘束を行ってください!」

声の通りに巴さんは再び黒い魔法少女を拘束しました。

声の主人はかつて巴さんを調整屋へ運ぶ際に一緒だった魔法少女と、1人、2人、そして会ったことがある美雨さんがいました。

「まどかさん?!こんなとこで会うなんて」

「かこちゃん!?どうしてここに」

「私、チームで行動していただけですよ」

「ほむら、久しいナ。元気にしてたカ?」

「はい、美雨さんも元気そうで何よりです」

「あら、面識のある方が多いようですね。それよりも」

拘束された黒い魔法少女はなおも暴れていて、リボンがちぎれないのが不思議なくらいでした。

「常盤さん、これはどういうことですか。魔法少女がドッペルを出し続けるなんて。明らかにおかしいですよ」

「ええ、おかしいことです。私たちもついさっき目撃しましたから」

常盤さんが振り向いた先には魔法少女だったものがいました。

「あなたが、彼女を?」

「だったらなんだ、ああしなきゃこのちっこい黒いのが握りつぶされてた」

黒さんは腰を抜かして座り込んでいました。

「いいえ、正しい判断だったと思います。むしろ決断できたことに驚いています」

「ふんっ」

「ななか、この暴れてる子はどうする」

「気絶も苦痛も、説得も聞かないのであればソウルジェムを引き離すしか」

そう言って常盤さんが黒い魔法少女のソウルジェムへ手を伸ばしますが、触れた瞬間にソウルジェムが強い光を発しました。

常盤さんは慌てて手を引っ込めてしまいました。

「ななかさん!」

「大丈夫です。少し激痛が走っただけです」

常盤さんは一息つくと刀を抜きました。

「ななかさん?!」

「お覚悟を」

そう言うと、常盤さんは黒い魔法少女のソウルジェムを砕いてしまいました。

魔法少女姿が解けた後の少女の姿に、私たちはさらなる衝撃を受けます。

「このローブって、マギウスの翼」

「どういうこと、まさかまたマギウスが何かやり始めたんじゃ」

「あのガキどもが何かやり出したってか」

「杏子ちゃん、マミさん、決めつけは良くないよ」

「その通りです。現在マギウスの翼も、その残党も解散状態となっています。それに灯花さんとねむさんは定期的に環さん達と会っているので何かを企てるといったことはできないでしょう」

「それじゃあ、この黒い魔法少女はいったい」

「なにも分からずです。皆さんは黒い魔法少女を見かけたら関わらずに逃げてください」

「こいつらみたいのが、人を襲っていたらどうするのさ」

「その時は、人気のない場所へ誘導して逃げるのが無難です」

「それが無理なら」

「無理でもやってください。それとも、魔法少女を殺す覚悟でもお有りですか?」

美樹さんは黙ってしまいました。

黒い魔法少女を止めることは、ソウルジェムを壊すことだけ。

原因も、誰の仕業なのかもはっきりしません。

「私はこの件を神浜マギアユニオンへ持ち帰ります。私たちだけでは手に負えません。
私が魔法少女を殺したことについてはどうとも伝えていいですが、杏子さんについてはこの場だけの秘密としておきます」

「別に気にしちゃいねぇよ」

「では私たちは行きます。死体はそのままで構いません」

「まどかさん、また」

「うん…」

常盤さんたちはこの場を去っていきました。

私たちは場所を移動して、黒さんたちは家へと戻るとのことです。

私は黒さんへ自分の分のチョコレートを手渡しました。

「ほむら、これはあなたのでしょ」

「黒さんのお菓子取られちゃったし、友達に食べさせたかったんでしょ。受け取って欲しいな」

恐る恐る、黒さんは私の手からチョコレートを受け取りました。

「ありがとう、ほむら。またどこかで会おうね!」

そう挨拶を交わすと黒さんは欄さんと一緒に傷ついた仲間を抱えて家へと戻っていきました。

「さて、私は気分を晴らすために食い物屋にでも行こうかな」

「ならなぎさも一緒するのです」

「なんだ、お前もついてきてたのか」

「最初からいたのです」

「それじゃあ、佐倉さんおすすめの美味しいラーメン屋さんにみんなで行かない?

「「サンセー!」」

「うぉい勝手に決めるなよ」

「いいじゃんいいじゃん!杏子の分は私が出してあげるからさ」

「ち、なら仕方ねぇ」

「ちょろいのです」

「んあ??」

そう佐倉さんとなぎさちゃんが口喧嘩をしながら私たちは風見野へと向かいました。

今回体験した黒い魔法少女との遭遇今まで巡ってきたどの時間軸でも体験したことがない対処が難しい自体です。

殺すのは簡単。

でも、本当にそんな方法でいいのかが、私の倫理観が邪魔をしてしまい、どうすればよかったのかと悩み続けることとなります。

しかし、一つだけ確かなことは言えます。

鹿目さんを襲うというのであれば、

容赦はしない。

 

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【マギレコ二次創作小説】魔叙事詩カグラ・マギカ 2-3 素直に、そして真っ直ぐに

「八雲!無事か」

「無事では、ないわね」

「ちょっと、これはどういうことよ」

調整屋さんは壁に二箇所大きな穴が開いて中は荒れた状況でした。

私はももこさん達に状況を聞きました。

「糸を使う魔法少女がみたまさんを襲った?!」

「ああ、最初は神浜を乗っ取ることを考えて襲いかかってきたかと警戒していたんだけど、話を聞いていると何も言い返せなかった」

「その魔法少女がね。みたまさんが調整する事は魔法少女を魔女化しやすくしているだけだって言っていたよ」

「ったく。神浜にいれば関係ないって言っているのに、その魔法少女全然聞かなかったのよ」

糸の魔法少女というのはおそらくカレンさんのことでしょう。

初対面した際も正論を聞かされましたが、今回襲った理由も実はまともな理由だったのです。

「確かに普段は使えない魔力を使用するのだから、魔力の消費は激しくなるわね」

「それは魔力の使い方の問題だ。消費を控えればいいだけのことだろう」

「えと、私魔力を控えるとか全然できなくて。むしろ控えちゃうと全然戦えなくて」

「かえでが魔法使うの下手なだけでしょ」

「レナちゃんだってアクセル全開でいつも武器を投げて回ってるでしょ」

「そのほうが早く終わるからに決まってるでしょ!」

「でもいつもグリーフシードの消費が多いの知ってるもん」

「それは、そうだけど」

「いろはちゃん、やちよさん。相手の言葉が正論に聞こえて何も言い返せなかった。守ろうとしてる側なのに何やってるんだか。ごめん」

ももこさん、レナちゃん、かえでちゃんはカレンさんの言葉に対して反論できなかったようです。

みたまさんはソファーの上に寝ていて、十七夜さんと話していましたが、とても暗い顔をしていました。

「十七夜、私はやっぱり、だれかを呪うことを願ってしまったからこうなってしまったのかしら」

「考え込むな八雲。神浜の魔法少女は救いになっている。それだけで十分だ」

「でも、でも!」

泣きそうなみたまさんへももこさんが後ろから抱きつきました。

「ちょっとももこ!」

「大丈夫だ調整屋。私たちだって、いろはちゃんだって、やちよさんだって、十七夜さんだって、レナやかえで、みんなみんなお前がいなければこの街の魔女と十分に戦えるようにはなっていなかったかもしれないんだ。
調整屋がいたから今の私たちがいるんだ。それが呪いだろうがなんだろうが、良かれと思ってやっていたんだろ。

だから胸張れよ。泣きたいなら、その間ずっとここにいてやるよ」

「ももこ…」

そのままみたまさんは、ももこさんの腕の中で小さな子どものように泣いていました。

そんなみたまさんを、ももこさんは真剣に受け止めていました。

「環くん、七海、少しいいか」

そう言うと、十七夜さんは外へと私たちを連れ出しました。

「今回の件、いくら手を出すなと言われても擁護しきれん。私は糸の魔法少女を探し、本心を聞き出す」

「それは危険すぎるわ。ななかさん達でも歯が立たなかった相手よ。それにその強さは十七夜も目の前で目撃しているはず」

「だから黙って行いを見過ごせと言うのか。神浜へ害を加えるようなら、私はただみるのではなく行動へ移すぞ」

「行動すると言うのであれば約束してください。まずは話し合おうとしてみてください。そのあと襲われたら、身を守るために戦ってください。相手に襲いかかると言う考えだけはしないようにお願いします」

「…心得た。無理はしない」

そう言って十七夜さんは調整屋の中へと戻って行きました。

「十七夜、ちゃんと理解してくれたかしら」

「大丈夫だと思いますよ。十七夜さんは無鉄砲な人ではないと知っていますから」

「いろはがそう言うなら、信じてみるわ」

やちよさんと話していると電話が震え、手に取ると画面には「ちゃるちゃん」と言う文字がありました。

ちはるちゃんからかかってきた電話は、今神浜に居るから確認したいことがあると言う内容でした。

ちはるちゃん達は以前スーパーで会った後に移動した広場にいました。会った時と同じように3人揃っていました。

「おまたせしました」

「お久しぶりです。えと、隣にいるのは誰でしょう」

「私の仲間の七海やちよさんです」

「よろしくね。静香さん、でよかったかしら」

「はい、よろしくお願いします。それで話なのですが調整屋についてです」

静香さん達は調整屋さんがカレンさんに襲われた際、ちょうどその場に居合わせていたそうです。その時にカレンさんから調整を受けすぎないようにと忠告を受けたそうです。

「カレンさんがそんなことを」

「そうなんです。だから真意を聞かせてください。調整屋を勧めたのは私たちの穢れを早くするためだったのですか」

「ちょっと静香。いきなりすぎます」

「答え方と内容によっては、関係を改めないといけません」

どうやら静香さん達は調整屋さんへ誘う行いが悪意のあることかどうか気になってしまったようです。ここで変に調整屋のことを擁護する言い方をすると、真実を伝えることができないかもしれない。

ならば。

「調整を受ければこの街で魔女と戦いやすくなるというのは事実です。でも、調整を受けることで穢れが溜まりやすくなるというのは私たちも知りませんでした。真実も知らずに安易に勧めてしまってごめんなさい。

だから、改めて伝えさせてください。調整を受けるのは自己責任でお願いします。穢れは早くなっちゃうかもしれませんが、神浜の魔女を倒すのが厳しいと思ったら調整を受けることを考えてみてください。

あと、調整を受けると静香さん達の記憶を覗かれてしまうのでそれも嫌なら調整は受けないことをお勧めします」

「嘘偽りは無いのですね」

「はい」

静香さんの目は力強く、会った時は平気だったのに今は怯んでしまいそうでした。しかしここで目を逸らしてしまうと嘘だと思われしまうかもしれないと思い、目を見続けていました。

静香さんはちはるちゃんを一度見て、そのあとちはるちゃんは笑顔で頷きました。

「ありがとういろはさん。ちゃんと真実を伝えてくれて。ちゃるが悪意を感じることもなかったし、今後も仲良くしていけます」

「良かったです。心臓がはち切れちゃうかと思いました」

「ごめんなさいいろはさん。静香がどうしてもっていうので」

「いえ、誤解が続くよりは全然いいです」

誤解が解けた中、やちよさんがちはるちゃんへ質問をしました。

「ちはるさん、もしかしてあなた相手に悪意があるかどうか見破ることができるの」

「見破るというか、嗅ぎ取るというか」

「ちゃるは魔法少女になってから人の悪意を嗅ぎとれるようになって、悪さを考えているとすぐに気づいてしまうんです」

「静香ちゃんが私が大事にとっていたプリンを隠れて食べようとした時も、ちゃんと嗅ぎ取ったくらいだからね」

「あれはちゃんと謝ったでしょ〜」

「ああ、思い出したらイライラしてきた!」

「もう、ちゃるも静香もやめなさい」

「完全に私は巻き添いよ」

話はそれてしまっている気がしましたが、3人の仲が良い事はよく伝わりました。

「話に戻っていいかしら。悪意を嗅ぎとれるって事は、カレンさんと会った時も嗅ぎとれたはずよね。どうだったか教えてもらえないかしら」

「その事なんですけど、実はそこから静香ちゃんの疑いが膨らんじゃったの」

「それってもしかして」

「そのカレンさんから悪意は全く感じなかったんだ。襲うようなことをしたのに悪意がないって、それはもう正義がある行いってことだよね。だから」

カレンさんがやったことに悪意はなかった。ちはるちゃんの能力が確かであれば、カレンさんの行いはどう見届ければいいのだろうか。

十七夜さんもなぜか雑念が多くて真実を読み取れなかったと言っていたし、話してみないとわからないことには変わりないようです。

「時間をとってしまってごめんなさい。そうだ、魔法少女の集会というのは近々行われるでしょうか」

「実は今日あったんですけど、次回がいつになるかはちょっとわからないですね」

「では今度空いてる日を教えますので、タイミングがあえば参加させてください」

「わかりました」

静香さん達と別れた後、わたしたちもみかづき荘へ向かって歩き出しました。

「あの子達が前言っていた協力してくれるって言っていた子達かしら」

「そうです。今回も話してわかってくれてよかったです」

「せっかくの外部からの協力者、ちゃんとみんなに紹介しないといけないわね」

「はい」

みかづき荘へ戻ると、なんだか雰囲気が重くなっていました。

「鶴乃、それにみんなどうしたの」

「ししょー、いろはちゃん、魔法少女のSNSを見ていなかったの?!ひなのさんが大変なんだよ!」

一難去ってまた一難。

私たちのわからないところで事件が起きてしまったようです。

 

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【マギレコ二次創作小説】魔叙事詩カグラ・マギカ 2-2 度を越すということは

神浜市西側の廃墟へ店を構える調整屋には1人の魔法少女がいる。

その魔法少女は八雲みたまといい、魔法少女のソウルジェムをいじって普段は使えない魔力の領域を広げ、能力を強化するという調整の力を使用できるという。

神浜の魔法少女、および周囲の街の魔法少女は調整を受けているらしく、遠くから来た魔法少女へは強気に立ち振る舞える状況だという。

うまい話には裏がある。

調整のデメリットを聞くと神浜の魔法少女は恥ずかしい記憶を調整屋に見られてしまうと声を揃えて言っていた。

しかし私は調整を受けた魔法少女達に会って確信したデメリットがある。

果たしてこのデメリットは、ここまで放置され続けて来たことに疑問を隠しきれない。

確かめに行くしかないだろう。

調整屋のある廃墟を見ると、周囲の新しい建築物とは違ってレトロな雰囲気を醸し出していた。

建築途中の場所が多く放置されている現状を見ると、これも成長による代償の一部なのだろうと考えてしまう。

「すみません、誰かいますか」

薄暗い広い空間の壁一面に貼られたガラス細工の円形模様を背に、1人がこちらを向いていた。

「あら、見たことない子ね。もしかして神浜の外から来たのかしら」

「はい、神浜の魔法少女に来るといいって勧められて来ました」

「あら、遠いところ来てくれてありがとうね」

白髪の女性の髪飾りには見慣れた魔力を込めた宝石が見えていた。まさか、ここにいる間はずっと変身し続けているというのか。なかなかに不思議な考え方をしている。

「調整屋さんに来たって事は、ここで何ができるかはすでに知っている感じかしら」

「はい。魔力を強化してくれるけど、グリーフシードはちゃんと持っていくようにと伝えられました。代金として請求されるからって」

「丁寧に教えてもらったようね。調整屋さんの説明が省けて助かるわ。さ、調整を始めるからそこの寝台に寝転がって」

どうやら調整のデメリットは自分から話さないらしい。誰だって不利な事は口に出したくないだろう。

「すみません、調整って痛みを伴うのでしょうか。魔力を強化ってなにかしら副作用がありそうなのですが」

「あら、ごめんなさい。調整する時はね、あなたのソウルジェムに触れさせてもらうわ。
初めての子は最初に痛みが伴うかもしれないけれど、一瞬だから気にしなくてもいいくらいよ。あと、調整を受けた後は魔力が馴染むまで体が熱くなっちゃって具合が悪くなる子もいたわね。でもそれで今後の活動に支障は出ないから安心してね」

「そうですか、それくらいですか」

「ええ、それくらいよ」

調整の結果どうなるのか、理解しているかが疑わしい。しかしそんなことは関係ない。
調整屋は、いちゃいけないんだから。

「いけませんよ八雲みたまさん、デメリットを隠し続けるというのは」

「え」

私は糸で調整屋のソウルジェムを狙ったが、思った以上に素早い動きで避けられてしまった。

放たれた糸は周囲に散らばるガラクタの一つに当たってガラガラと音を立てて土煙が上がった。

「あなた、なんのつもり!」

「調整されて相手がどうなるか一部話した事は評価しよう。だが、記憶を覗くとなぜ説明しないか!」

次は調整屋の足元へ放射状に糸を放ったため調整屋の片足に当たってその場から動けない状態となっていた。

「そこまで知っていて、なんで襲うの。なにが目的なの、私を殺したってみんなに不利益を与えるだけよ」

「利益しか与えていないとそういいたいのか!」

「そうよ調整はみんなの利益にしかならないわ」

「そうか、そこまで自信があるならいいだろう。善人だと認識したまま逝くといい」

ドゴォン!

とどめを刺そうとすると近づいてきた魔力反応が私と調整屋の間に割って入った。

ガラクタが宙を舞う中にいたのは黄色の服装をした魔法少女だった

「ももこ!」

「悪い調整屋、緊急だから壁を壊させてもらったよ」

「別にいいわよ、それよりも」

ももこという魔法少女は武器を構えたまま私に問いかけてきた。

「調整屋を襲うってどういう事だ。事と次第によっては容赦しないぞ」

お前は神浜の外の魔法少女へ調整屋に行ったほうがいいと勧める口か」

「そうだが、それがどうした」

「ちょっとももこ!壁ぶち抜いていきなりどうしたって、これどういう状況よ」

「調整屋さん、もしかして襲われたの」

本来の出入り口に仲間と思われる魔法少女2人が到着し、状況は挟み込まれている。退路は作る以外方法はない。

「お前達は魔力強化を受けた結果どうなるか考えたことがあるか」

「魔力が強化されたら、そりゃ魔女を倒しやすくなるでしょ」

「普段使えなかった魔力を使うんだ。魔力消費が増えるとなぜ考えないんだ」

「この街には魔女がたくさんいるし、この街にいれば魔女にはならないから気にする事はないじゃないか

やはりその回答か。この街の魔法少女は「この街」を中心にして物事を考えているようだ。予想通りで残念だ。

「そうやって神浜の外から来た魔法少女へ説明する気か。調整を受けたら神浜に居続けろとそういいたいのか」

「そこまでは言っていないだろ。戻りたいなら自分の街に戻るのは自由だろ」

「魔力消費を激しくしておいて、お前達は神浜の外の魔法少女を魔女化させたいのか!」

「そうとも言っていないだろう!」

「なんで考えないんだ、この調整屋は、魔力をいじって魔女化しやすくしているだけだということを」

「な!」

三人は何を言っているのか分からない顔をしていたが、調整屋だけは何か気づいたかのような顔をしていた。

「言いがかりも大概にしろ!調整屋はみんなを魔女にしたくてやっている事じゃない!」

「本心はそうかもしれない。だが、調整は使えないはずの力を無理やり行使できるようにしてしまい、穢れを加速させる結果となる。無闇に神浜の魔法少女へ勧めるんじゃない。この街ではドッペルがでても、外では魔女になるだけだ。その罪の重さを自覚したほうがいい」

ついに黄色の魔法少女は何も言わなくなった。

「今回は捨て置く。生きて行いを見直し続け、呪い続けるといい」

私は壁を打ち抜き、調整屋の外へとでた。

「ちょっと何!ここって中立地帯って聞いたけど」

外に出た先には三人の魔法少女がいた。

「お前達は神浜の魔法少女か」

「いいえ、私は霧峰村ってところから来た魔法少女よ」

「そうか。調整を安易に受け続けるな。調整されると魔力消費が増えて穢れやすくなるだけだ。よく考えてから調整を受けるといい」

「えと、はい」

調整屋の排除には失敗したが、あの調整屋の反応は期待できる結果だ。

ただでさえ自動浄化システムを広げることができない段階だ。

今調整を受けて外へ戻ってしまったら、外の魔法少女が消えていくだけだ。

 

とりあえず調整屋は無力化させた。これでしばらくは「記憶をたどった捜索」は滞ることだろう。

 

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【マギレコ二次創作小説】魔叙事詩カグラ・マギカ 2-1 開幕を示す悲劇の狼煙

掴みどころがないというのは、複雑な気分となってしまいます。

あるのはわかる。
でも、それをどうすればいいのかがわからない。

この街の魔法少女にはともかく、静香さんやカレンさんのような遠い場所から来た魔法少女へ何もわかりませんというのは、とても申し訳ない気持ちになります。

一番関係がありそうなういも、クレメルも自動浄化システムがどこにあるのかが分からない状態です。

今日は神浜マギアユニオンとしての集まりがあり、みんなの事情を考慮して午後に集まることとなりました。

明日香さんにお願いして、午後に道場を開けてもらうことができたので明日香さんの実家が運営している道場で会議を行う予定となっています。

今回の会議にはななかさんも参加するとのことなので、情報交換が捗りそうです。

前もってSNSでみんなから神浜にしかないものについて情報交換がされていたのでその整理からですね。

あとは、数日前に久々にまどかちゃんとメールをやり取りして、見滝原のみんなは神浜マギアユニオンには参加せず、神浜の外だからこそわかる情報を伝えるという方針になったと伝えられました。

私も神浜で起こった事はまどかちゃんに伝えるようにすると返信しました。

SNSに参加できるかはサーバー管理している灯花ちゃんの返事待ちとなっています。

ようやく前に進め出せそうな気がしていました。

会議にはやちよさんとさなちゃんとういが参加して、鶴乃ちゃんとフェリシアちゃんは万々歳のお手伝いに行っています

東側からは十七夜さんが、南と中央区の代表としてひなのさんが参加してくれます。

道場へ着くと明日香さんがお出迎えしてくれて、中にはすでにひなのさんとエミリーさん、れんさんに梨花さんもいました。

「人数が多くてすまないな。道中でバッタリと会ってしまってな」

「まあまあ、そもそもうちらを呼んだのあすきゅんだし。折角だからってみゃこ先輩についてきた感じよ」

「そうなんですか、明日香さん」

「はい、エミリーさんの何気ない発想で今までに何度も窮地を脱した事がありますからね。行き詰まりが生じた場合は、是非エミリーさんから何かご教授いただけたらと思ったのです」

エミリーさんはお悩み相談所でいろんな人と話してはアドバイスを与えてくれると神浜の魔法少女の間では人気となっています。

「それじゃあ、何か悩んだらお願いしちゃおうかな」

「おう!ろっはー任せなさいって」

「あたしらも、それなりに情報持ってるからちゃんと共有するね」

「ありがとうございます」

「ふむ、今日は随分と賑やかだな」

十七夜さんと一緒にななかさんも道場へ到着しました。

「あらためまして、組織に組していないのに参加させていただき、ありがとうございます」

「いえ、わたしもななかさんたちから見た考えを知りたいなと思っていたので」

「そこでだ環くん、今日の話す内容についてなのだが、まずは神浜の外から来た魔法少女について情報交換したいと思う」

「神浜の外から来た魔法少女、ですか」

「はい、わたしがこの会議へ参加したいと考えたのもお伝えしなければいけない事があるからです。できるのならば、早急に」

当初の予定とは変わりましたが、神浜マギアユニオンとしての会議は神浜の外から来た魔法少女についての話し合いから始まりました。

「私達はすでに神浜の外から来た魔法少女に会っていますね。会った人たちは、みんなはそろってキュゥべぇからこの街に自動浄化システムがある事を聞いて訪れたと言っていました」

「やはりそうですか」

「東側で会った魔法少女も同じことを言っていた。その内容については少々複雑なこととなっているがな」

「わたしも、会いました。自動浄化システムが、手に入るって、聞きました。はい」

神浜の東西南北、どの場所でも神浜の外から来た魔法少女は自動浄化システムが手に取れるものだと伝えられて来ていると再確認できました。

「この事態、わたしは非常によろしくない事態だと考えています。外から来た魔法少女と争いごとのきっかけになってしまうのではないかと考えています」

「しかし事実だ。手に取れるようなものではないと伝えるしかあるまい」

「その伝え方について、考えの共有が必要だと思います。それぞれの見解で伝えてしまうと、誤解を招く結果となります」

「実はすでに外から来た子に説明をしたのですが、わたしは説明するときにちょっと回答を濁らせてしまいました」

「それで相手は納得してくれたのか」

「はい、調査中なら協力もするって言ってくれました」

今回のわたしのように曖昧な回答だったら納得してくれない子が出てくるかもしれない。でも、どう伝えればいいんだろう。

「そんな難しく考えないでさ、ガツンと事実伝えてあとは相手に任せればいいっしょ」

「私も、嘘を伝えられるのは嫌かな。わからないならわからないって言って欲しいな」

「そうですね、素直に事実を伝えることにしましょう」

「伝えたうえで襲われたりした場合は1人で相手しないようにする、という決まりも必要そうね。みたまの調整を受けているからそう簡単にやられる子はいないと思うけど」

「うむ、わかった」

「これで一つの議題は解決ですね。引き続き私から一つよろしいでしょうか」

ななかさんが主催のようになっていますが、特に気にしていませんでした。ななかさんが来てくれる機会は多くはないので、聞けるうちに聞いておこうと思っていたのです。

やちよさんから、ななかさんは頼れる人だ、というのは十分に聞いて言いたので。

「みなさんは電気を操る、または糸を操る外から来た魔法少女をご存知でしょうか」

私たちが会っているのは静香さん達とカレンさんだけです。戦っている姿はカレンさんしか見ていませんが、どういう力を使うかまでは知りませんでした。

「すみません、私達は話をしただけだったのでどういう力を使うかまではわからないです」

「私は外から来た魔法少女の集団に会ってはいるが、ツノがあったり暑苦しかったりと特徴に合う魔法少女はいなかったな」

「わたしは糸を使う魔法少女については知っている。しつこく勧誘してくるマギウスの残党へきつくお灸を添えたらしくてな、ちょうどその現場に居合わせていた」

「その話、詳しく聞かせてもらえますか」

十七夜さんによると、東側ではマギウスの残党が集まって何かを企てている動きがあったようです。そこへ糸を使う魔法少女が勧誘されたらしいのですが、怒った勢いでそのまま解散させてしまうくらいの迫力で襲いかかっていたとのことです。

ケガ人はたくさん出ましたが、みんなソウルジェムは無事だったとのことです。

ちなみにそのマギウスの残党の数というのが。

「30人いたのに1人で倒しちゃったの!?」

「この目で見ていたから間違いない。それに彼女は傷一つつかずにその場を収めていたからな。外から来た魔法少女にしてはあまりにも強すぎると思っていた」

「巴さんでもかなり強かったのに、巴さん以上の魔法少女がいるなんて」

しかし過去を遡ればななかくんたちを振り回したという魔法少女もいたからな。この国だけでも強い魔法少女はまだまだいるだろう」

「ちなみに名前は聞いたんですか」

「うむ。彼女は日継カレンという名前だったな」

「「カレンさん」ですか」

あ・・・。

ななかさんと被ってしまいましたが、カレンさんの名前を聞いて思わず声に出てしまいました。

「ソウルジェムの反応を検知できないと思ったら、そんな実力者だったようね」

どうやらわたしが訪ねた人物とひなのさんたち以外は面識があるようですね」

「中央と南で見かけなかったという事は、わざわざ外側を見て回っているのかそいつは」

ななかさんはしばらく考えたあと、十七夜さんへ訪ねました。

「十七夜さん、確認ですがカレンさんの心は読みましたか」

「その事なのだが、彼女の心をのぞかせてもらったがなぜか数十人の思考が右往左往している奇妙な状況だった。あれは魔女の心を読むとは別の意味で気分が悪くなってしまった」

「数十人の思考が1人の中でなんてそんな事があるのか」

「いや、あり得ん事だな。人1人に一つの心と考えたらなおさらだ

私たちが出会ったカレンさんは色々悩みを聞いてくれた上に助言をしてくれたいい人だと思っていましたが、実態は奇妙なとても強い人だったようです。

「では、その魔法少女について知っていることをお話しします。
わたしはつい数日前、カレンさんに宣戦布告を受けました」

「え!」

「不穏な流れだな。何かしたのか」

「私達は直接何かをしたわけではありません。しかし彼女たちには危険な存在だと認識されてしまったようで、今後は神浜に対しても敵対する意思でいるようです」

「カレンさん、なんでそんなことを考えているんでしょう」

「実はカレンさんは知っているらしいのです。自動浄化システムを世界に広げる方法を」

「そんな、灯花ちゃん達でも苦労して探っている最中なのに」

「事実かはわかりません。しかしあの揺るぎない自信と実力を考えると本当なのかもしれないですね」

手詰まりかと思われた状況の中、まさかの解決方法を知っているという魔法少女がいるという衝撃の事実にどう対応していいかわからなくなっていました。

ななかさんによれば、変に探ろうとしてしまうと敵対していると判断されてしまうらしく、話し合いは慎重に行わなければいけない事がわかりました。

それにしても、カレンさんと会ったのは数日前でその時は神浜に来たばかりと言っていました。

まさかあの時から全てわかっていたのかもしれない。

そう考えると、カレンさんがだんだんと怖い人に思えてきました。

自動浄化システムの広げ方を知っているというのであれば近いうちに何か動きはあるだろう。今は様子を見て、神浜へ被害が出るようであれば対抗するしかあるまい」

「でも、30人の魔法少女と平気に渡り合う相手にどう対抗するんだ。下手したら最盛期のマギウスよりも厄介だぞ。ちなみにだが、電気を使う魔法少女というのはどうだったんだ」

「少なくとも、私たちのチームでは歯が立ちませんでした。あの方は電気とはいえ知識を利用して応用力で勝負を仕掛けて来ました。
戦闘能力はカレンさんと同じ程度と思った方が良いでしょう」

「それ、どうしようもないんじゃ」

「おガキ様のように過激な方向へ進まないことを祈るばかりだな。
む、十咎くんから電話か。少し失礼する」

「なんかあたし達、今結構やばい状況にいるんじゃないの」

「今はこれ以上敵対的な魔法少女が増えないよう、事実を伝えていくしかないようね」

「なに!八雲が襲われただと!」

ももこさんから来た電話は、みたまさんが見知らぬ魔法少女に襲われたという電話でした。

十七夜さんは急いでみたまさんの元へ向かい、私たちも状況把握のために調整屋さんへ向かうことにしました。

そのまま会議は中断となり、残った議題は引き続きSNSの方で会話していくことにしました。

「おねえちゃん、私も行くよ」

「ういはみかづき荘に戻ってて。もしかしたら襲った人がまだ居るかもしれないし」

「私だって、力になりたいんだもの。お願い、連れて行って!」

「今回はダメ。さなちゃんと一緒に先に戻って待ってて。お願い」

「…うん」

返事をしたういは、どこか悲しげな表情をして、そのままみかづき荘へと戻って行きました。

「えっと、ごめんねさなちゃん。ういをお願い」

「はい、わかりました。ういちゃんと一緒にみかづき荘で待ってますね」

私はさなちゃんへ頷いた後、やちよさんと一緒に調整屋へと向かいました。

 

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