私たちが応接室に入ると、そこには1人の女性と不貞腐れている少
「どうぞ、お座りください」
「えっと、不機嫌そうですね」
「気にしないでもらいたい」
「では、今回訪れた理由となる資料をお渡しします。
不貞腐れている少女に渡したのは魔法と魔法少女についての調査内
その資料を不貞腐れた少女を中心として教授と付き添いの女性も読
その資料を読んだ後の最初に話し始めたのは教授だった。
「イザベラさん、
「そのファンタジー、
「ですから、ファンタジーな時点で」
「面白い内容じゃない?」
「ディア?」
不貞腐れた少女はディアという名前らしく、
「この魂を石に変換するってところ面白いわ。
「ディア、お前の提唱するクローン技術は過激だと言っている。
「
イザベラだっけ?魔法についての調査、請け負ってもいいわよ」
「あら本当?」
「こら、私の許可なく話を進めるな。
「あんな課題もう提出する準備ができていますよ。
「ディア、おまえは!」
「では雇うという形でディアさんをお借りします。
「そ、そうか。ならば好きにしろ」
俗物め。
「じゃあカルラも一緒でお願い。私、
「私からもお願いしたい。
「あなたは、カルラさんというのですね」
「脳波の研究を専攻している。きっと役に立つだろう」
こうしてイザベラは変わり者な2人の研究者を雇った。
2人にはイタリアにあるシェルターを貸し与え、
部屋の準備が整うと、ディアはさっそくイザベラへ頼みごとをしてきた。
「さて、早速だけどあなたの血を採取させてもらえないかしら」
「私の血を?」
「ええ。
だから資料として頂戴」
「いいわよ。でも、常識の範囲内の量でお願いね」
「吸血鬼じゃないんだし、心配しないで」
そうは言っていたがイザベラの血液は献血並みに抜き取られた。
その後の血液の使われ方を聞いたら絶句した。
火で炙ってなかなか固まらなかったり蒸発しないことに興奮して、溶
致死量の毒を血に混ぜると驚きのスピードで解毒したという。
冷凍庫に保存しても暖かさを保って腐りもしなかったという。
調べる角度はなかなかクレイジーだが、
「すごいよ!
できれば銃で撃たれた後の傷口が塞がるスピードも調べさせてもら
「調子に乗るな」
「それで、魔力の霧を突破する方法は分かりそうなの?」
「それについては魔力についてのサンプルがもう少し欲しい。
見せてくれた資料によると聖遺物と呼ばれるものには魔力がこもっ
いくつか持ってきてくれない?」
なにが聖遺物に該当するのかというのははっきりしていない。
それに、
イザベラは一度ヨーロッパ地方にいる魔法少女へ聖遺物について聞
「あんた、まさかこの辺りの事情に疎い?」
「えっと、そう」
「あまり聖遺物の話題を出さない方がいいよ。
「そうなんだ」
「変な争いは避けたいでしょ、グリーフシードは有限なんだから」
「そうね。教えてくれてありがとう、気をつけるわ」
ヨーロッパ地方での聖遺物事情を知り、
しかし、
研究材料となる聖遺物が確保できず、
そんな中ディアは。
「じゃあ魔法少女を直接生捕にしてきてよ。
「あんた、生き物の命を何だと思ってるんだ!」
「キアラさん、ディアはこういうやつだ。慣れては欲しくないが、いちいち気にしてると精神がもたないよ」
「・・・カルラさん、よく一緒の研究室でやっていけましたね」
カルラさんは私に後ろから覆いかぶさるように右手を私の右肩にかけ、私の左耳にささやいてきた。
「普段他人には見せない一面が好きだからさ。
「想像もできない」
もちろん魔法少女の生捕なんてやらずに最適な素材がないか考えた
そしてイザベラは大きな決断をした。
「両親の形見であるそのペンダントを材料にしてしまうのか!」
「これしかもう方法がない。
たくさんの魔法少女に目をつけられて行動しづらくなるよりは、
「でも、
「どういうこと?」
「経験したことがあるかわからないが、
中には全く別人に変わってしまう人もいる。
「キアラ、私の精神力を甘く見過ぎじゃない?
大丈夫よ、私は私のままでいられるわ」
そうしてイザベラは首からかけていたペンダントをディアに渡し、
ディアが研究室に閉じこもっている間、
ヨーロッパ地方の魔法少女に目をつけられてしまったのだ。
ドイツで魔女狩りをしていた際にイザベラは魔法少女からこう質問
「ねぇ、今ここで魔法少女姿を解いてみてちょうだい?」
「必要性を感じないのだけど、どうして?
私を襲う気?」
「まあ当然の反応よね。
「意味がわからない。おちょくってるだけなら帰らせてもらうわ」
「あなたが魔法少女に化けた何者かじゃないかって、
イザベラは瞳孔が開くぐらいの衝撃を受けてゆっくりと魔法少女の
魔法少女は意地悪そうな笑みを浮かべていた。
「今ここで変身を解いたり、
でもここでそんなこともできず怒って逃げ出しちゃったら、
イザベラは癖である何かやばいことを考えている時の顔になってい
私は遠くから静観してるよう言われてきたが、
「あなたを今消せば、誰にも伝わらないわよね?」
イザベラがそう言った瞬間、
鞭は常識で言う通りの鞭の動きをせず、
イザベラが銃と剣で対抗しても追い払うことができず、
「何してるんだイザベラ!」
私は刀で鞭を打ち払い、魔法少女は攻撃の手を止めた。
「いい従者を連れているのね」
「何故出てきたキアラ!」
「私がいないと死んでただろ!しかも、
「そうよ。
何を企んでいるか知らないけど、
貴方がいると、また大きな争いが起きそうで怖いのよ」
「知ったことか」
「逃げるための時間もあるだろうし、今日は生きて返してあげる。
次に会ったら消すから」
イザベラは何も言わずその場から去ったため、
そんなことがあり、
そんな出来事があった後、ディアが研究室から飛び出してきた。
「イザベラ、いいものが出来たぞ!早速試してくれ!」
そう言ってディアは怪しげな紫色の液体が入った小さな試験管をイザベラに渡してきた。
イザベラはこれをどうしろと、という顔をしたがディアは飲み物を飲むようなジェスチャーを返してきた。
「この紫色に光るやばい液体を飲めと?」
「そうよ!
あ、
「イザベラ、やめといた方が」
「いいえ、この体から魔力が消えるのであれば好都合よ」
そう言ってイザベラは試験管に入った紫色の液体を一気に飲み干し
イザベラは試験管を手から離し、床に落ちた試験管は割れてしまった。
そのガラスの破片が散らばる場所にイザベラは膝をつき、
「イザベラ!」
その後イザベラの体は痙攣を始め、
もうこれは毒を盛られたとしか思えなかった。
私は殺意を込めてディアへ刀を突き立てた。
「キアラ、やめろ!」
「すごいね…貴方そんな強い殺意を持っていたんだ」
「このままイザベラが死んでみろ!お前も後を追わせてやる!」
「できるかな?」
「2人ともそこまでにしろ!
まずはイザベラの看病が先だ。
カルラの冷静な判断を見て私も冷静さを取り戻した。
私達はイザベラをベッドに連れて行って容態が落ちつくまで見守っ
夜になってようやくイザベラが目を覚ました。
「私はいったい。すごく頭が痛い」
私は歓喜した。イザベラが正気に戻ってくれただけで安心した。
「起きた?じゃあ早速血液取らせて?」
「いい加減にしろディア!」
イザベラの体力が戻った後にイザベラは血液検査を受けた。
しかし紫色の液体に魔力を消す力があるのは本当らしく、
「
「
それで判断したのよ」
「それだけでか」
「結局、この紫色の液体は何なのかしら」
「イザベラからもらったペンダントを液状化させて、
面白いのよこの液体、乾かせば粉末にできるし、
量産だって可能よ!」
「なんか本当に魔法みたいな方法だ」
「魔法と似ているかもしれないが、
「錬金術?」
「現代では化学と呼ばれるようになったものの原点だ。私たちの生物学は、錬金術を織り交ぜている」
「貴方達、もしかして錬金術師と呼ばれる存在なの?」
「ディアと縁があるのはそういうことだ。
私たちの先祖は錬金術師として縁があった。
少々化学では説明しきれないことも出来てしまうのは許してほしい
「そうだったのか」
「さあイザベラ、これは貴方が求めていたものに値するかい?」
ディアがそうイザベラに問いかけるとイザベラは笑顔で答えた。
「ええそうよ、
魔法を打ち消せるこの物質、名前はアンチマギアと名付けるわ!」
「よし、じゃあこれからこの新物質はアンチマギアだ!」
こういう経緯でこの世界にアンチマギアは誕生した。
そして私達は無断でアンチマギアを織り交ぜた防護服で魔力の霧に
防護服は魔力を完全に遮断し、
しかし空気の浄化までは出来ないので、
霧の中を歩いていると、
「何だこれ。銅像でもないけど、もし500年以上ここにある物だとしても原型を保っているなんてことがあるのか」
そして私はある看板を発見した。
そこに記されていたのは見たことがない地名だった。
「バチカン?ここの地名?」
「聞いたことがない。でも、
「キアラ、
「そうだとしか思えないけど、
「この霧が答えじゃないの。魔法の霧で隠すような場所、
「アンチマギアがあるからこそ、証明できるってことか」
「それにこの旅で確信したわ。
魔法少女は、人類にとって悪となる存在だということを」
何を根拠に言い出すのかと尋ねる者は多いだろうが、これまでの事例を振り返るとどうだろう。
魔法少女になる時の願い、そして願った後の能力によってこの世界の人間の軌跡はいとも簡単に破壊されてしまうということを目の当たりにしてきた。
“人間の軌跡が存在ごと消される”
インターネットや機械技術、金を使用した物々交換や一般常識がすべてなかったことにされてファンタジーだと思っていたことが当たり前の世界になるかもしれない。
人間の軌跡が消されて悪いことがあるのか?
一部の人物しか幸せになれないこの世の中なんて、消えてしまったほうが好都合だ。そう考える人も少なくはないだろう。
でも何億人もいる人間が浮かべる幸せな世界の事例なんてみんなが納得できる内容になるわけがない。一部の人にとっては他人を傷つけ、もだえ苦しむ無様な姿を見て愉悦に浸ることが幸せ、愉悦感に浸れない世の中は消えてしまった方が都合がいいと考える人がいないとは言えない。
みんなの幸せとは、誰基準で考えた幸せだ?
過去の人間の軌跡を振り返って及第点の幸せを指導者が実現し、なるべく多くの労働者に還元する。それが私の信じる人間社会原理だ。
その「幸せの基準」の決定権を魔法少女という人間社会をまともに知らないであろう存在たちが握っている現状が恐ろしくないのかと。
だから制御してやらないといけないんだ。
魔法少女が幸せになって、人間が不幸になる軌跡が当たり前とならないために。
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