【マギレコ二次創作小説】魔叙事詩カグラ・マギカ 2-3 素直に、そして真っ直ぐに

「八雲!無事か」

「無事では、ないわね」

「ちょっと、これはどういうことよ」

調整屋さんは壁に二箇所大きな穴が開いて中は荒れた状況でした。

私はももこさん達に状況を聞きました。

「糸を使う魔法少女がみたまさんを襲った?!」

「ああ、最初は神浜を乗っ取ることを考えて襲いかかってきたかと警戒していたんだけど、話を聞いていると何も言い返せなかった」

「その魔法少女がね。みたまさんが調整する事は魔法少女を魔女化しやすくしているだけだって言っていたよ」

「ったく。神浜にいれば関係ないって言っているのに、その魔法少女全然聞かなかったのよ」

糸の魔法少女というのはおそらくカレンさんのことでしょう。

初対面した際も正論を聞かされましたが、今回襲った理由も実はまともな理由だったのです。

「確かに普段は使えない魔力を使用するのだから、魔力の消費は激しくなるわね」

「それは魔力の使い方の問題だ。消費を控えればいいだけのことだろう」

「えと、私魔力を控えるとか全然できなくて。むしろ控えちゃうと全然戦えなくて」

「かえでが魔法使うの下手なだけでしょ」

「レナちゃんだってアクセル全開でいつも武器を投げて回ってるでしょ」

「そのほうが早く終わるからに決まってるでしょ!」

「でもいつもグリーフシードの消費が多いの知ってるもん」

「それは、そうだけど」

「いろはちゃん、やちよさん。相手の言葉が正論に聞こえて何も言い返せなかった。守ろうとしてる側なのに何やってるんだか。ごめん」

ももこさん、レナちゃん、かえでちゃんはカレンさんの言葉に対して反論できなかったようです。

みたまさんはソファーの上に寝ていて、十七夜さんと話していましたが、とても暗い顔をしていました。

「十七夜、私はやっぱり、だれかを呪うことを願ってしまったからこうなってしまったのかしら」

「考え込むな八雲。神浜の魔法少女は救いになっている。それだけで十分だ」

「でも、でも!」

泣きそうなみたまさんへももこさんが後ろから抱きつきました。

「ちょっとももこ!」

「大丈夫だ調整屋。私たちだって、いろはちゃんだって、やちよさんだって、十七夜さんだって、レナやかえで、みんなみんなお前がいなければこの街の魔女と十分に戦えるようにはなっていなかったかもしれないんだ。
調整屋がいたから今の私たちがいるんだ。それが呪いだろうがなんだろうが、良かれと思ってやっていたんだろ。

だから胸張れよ。泣きたいなら、その間ずっとここにいてやるよ」

「ももこ…」

そのままみたまさんは、ももこさんの腕の中で小さな子どものように泣いていました。

そんなみたまさんを、ももこさんは真剣に受け止めていました。

「環くん、七海、少しいいか」

そう言うと、十七夜さんは外へと私たちを連れ出しました。

「今回の件、いくら手を出すなと言われても擁護しきれん。私は糸の魔法少女を探し、本心を聞き出す」

「それは危険すぎるわ。ななかさん達でも歯が立たなかった相手よ。それにその強さは十七夜も目の前で目撃しているはず」

「だから黙って行いを見過ごせと言うのか。神浜へ害を加えるようなら、私はただみるのではなく行動へ移すぞ」

「行動すると言うのであれば約束してください。まずは話し合おうとしてみてください。そのあと襲われたら、身を守るために戦ってください。相手に襲いかかると言う考えだけはしないようにお願いします」

「…心得た。無理はしない」

そう言って十七夜さんは調整屋の中へと戻って行きました。

「十七夜、ちゃんと理解してくれたかしら」

「大丈夫だと思いますよ。十七夜さんは無鉄砲な人ではないと知っていますから」

「いろはがそう言うなら、信じてみるわ」

やちよさんと話していると電話が震え、手に取ると画面には「ちゃるちゃん」と言う文字がありました。

ちはるちゃんからかかってきた電話は、今神浜に居るから確認したいことがあると言う内容でした。

ちはるちゃん達は以前スーパーで会った後に移動した広場にいました。会った時と同じように3人揃っていました。

「おまたせしました」

「お久しぶりです。えと、隣にいるのは誰でしょう」

「私の仲間の七海やちよさんです」

「よろしくね。静香さん、でよかったかしら」

「はい、よろしくお願いします。それで話なのですが調整屋についてです」

静香さん達は調整屋さんがカレンさんに襲われた際、ちょうどその場に居合わせていたそうです。その時にカレンさんから調整を受けすぎないようにと忠告を受けたそうです。

「カレンさんがそんなことを」

「そうなんです。だから真意を聞かせてください。調整屋を勧めたのは私たちの穢れを早くするためだったのですか」

「ちょっと静香。いきなりすぎます」

「答え方と内容によっては、関係を改めないといけません」

どうやら静香さん達は調整屋さんへ誘う行いが悪意のあることかどうか気になってしまったようです。ここで変に調整屋のことを擁護する言い方をすると、真実を伝えることができないかもしれない。

ならば。

「調整を受ければこの街で魔女と戦いやすくなるというのは事実です。でも、調整を受けることで穢れが溜まりやすくなるというのは私たちも知りませんでした。真実も知らずに安易に勧めてしまってごめんなさい。

だから、改めて伝えさせてください。調整を受けるのは自己責任でお願いします。穢れは早くなっちゃうかもしれませんが、神浜の魔女を倒すのが厳しいと思ったら調整を受けることを考えてみてください。

あと、調整を受けると静香さん達の記憶を覗かれてしまうのでそれも嫌なら調整は受けないことをお勧めします」

「嘘偽りは無いのですね」

「はい」

静香さんの目は力強く、会った時は平気だったのに今は怯んでしまいそうでした。しかしここで目を逸らしてしまうと嘘だと思われしまうかもしれないと思い、目を見続けていました。

静香さんはちはるちゃんを一度見て、そのあとちはるちゃんは笑顔で頷きました。

「ありがとういろはさん。ちゃんと真実を伝えてくれて。ちゃるが悪意を感じることもなかったし、今後も仲良くしていけます」

「良かったです。心臓がはち切れちゃうかと思いました」

「ごめんなさいいろはさん。静香がどうしてもっていうので」

「いえ、誤解が続くよりは全然いいです」

誤解が解けた中、やちよさんがちはるちゃんへ質問をしました。

「ちはるさん、もしかしてあなた相手に悪意があるかどうか見破ることができるの」

「見破るというか、嗅ぎ取るというか」

「ちゃるは魔法少女になってから人の悪意を嗅ぎとれるようになって、悪さを考えているとすぐに気づいてしまうんです」

「静香ちゃんが私が大事にとっていたプリンを隠れて食べようとした時も、ちゃんと嗅ぎ取ったくらいだからね」

「あれはちゃんと謝ったでしょ〜」

「ああ、思い出したらイライラしてきた!」

「もう、ちゃるも静香もやめなさい」

「完全に私は巻き添いよ」

話はそれてしまっている気がしましたが、3人の仲が良い事はよく伝わりました。

「話に戻っていいかしら。悪意を嗅ぎとれるって事は、カレンさんと会った時も嗅ぎとれたはずよね。どうだったか教えてもらえないかしら」

「その事なんですけど、実はそこから静香ちゃんの疑いが膨らんじゃったの」

「それってもしかして」

「そのカレンさんから悪意は全く感じなかったんだ。襲うようなことをしたのに悪意がないって、それはもう正義がある行いってことだよね。だから」

カレンさんがやったことに悪意はなかった。ちはるちゃんの能力が確かであれば、カレンさんの行いはどう見届ければいいのだろうか。

十七夜さんもなぜか雑念が多くて真実を読み取れなかったと言っていたし、話してみないとわからないことには変わりないようです。

「時間をとってしまってごめんなさい。そうだ、魔法少女の集会というのは近々行われるでしょうか」

「実は今日あったんですけど、次回がいつになるかはちょっとわからないですね」

「では今度空いてる日を教えますので、タイミングがあえば参加させてください」

「わかりました」

静香さん達と別れた後、わたしたちもみかづき荘へ向かって歩き出しました。

「あの子達が前言っていた協力してくれるって言っていた子達かしら」

「そうです。今回も話してわかってくれてよかったです」

「せっかくの外部からの協力者、ちゃんとみんなに紹介しないといけないわね」

「はい」

みかづき荘へ戻ると、なんだか雰囲気が重くなっていました。

「鶴乃、それにみんなどうしたの」

「ししょー、いろはちゃん、魔法少女のSNSを見ていなかったの?!ひなのさんが大変なんだよ!」

一難去ってまた一難。

私たちのわからないところで事件が起きてしまったようです。

 

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【マギレコ二次創作小説】魔叙事詩カグラ・マギカ 2-2 度を越すということは

神浜市西側の廃墟へ店を構える調整屋には1人の魔法少女がいる。

その魔法少女は八雲みたまといい、魔法少女のソウルジェムをいじって普段は使えない魔力の領域を広げ、能力を強化するという調整の力を使用できるという。

神浜の魔法少女、および周囲の街の魔法少女は調整を受けているらしく、遠くから来た魔法少女へは強気に立ち振る舞える状況だという。

うまい話には裏がある。

調整のデメリットを聞くと神浜の魔法少女は恥ずかしい記憶を調整屋に見られてしまうと声を揃えて言っていた。

しかし私は調整を受けた魔法少女達に会って確信したデメリットがある。

果たしてこのデメリットは、ここまで放置され続けて来たことに疑問を隠しきれない。

確かめに行くしかないだろう。

調整屋のある廃墟を見ると、周囲の新しい建築物とは違ってレトロな雰囲気を醸し出していた。

建築途中の場所が多く放置されている現状を見ると、これも成長による代償の一部なのだろうと考えてしまう。

「すみません、誰かいますか」

薄暗い広い空間の壁一面に貼られたガラス細工の円形模様を背に、1人がこちらを向いていた。

「あら、見たことない子ね。もしかして神浜の外から来たのかしら」

「はい、神浜の魔法少女に来るといいって勧められて来ました」

「あら、遠いところ来てくれてありがとうね」

白髪の女性の髪飾りには見慣れた魔力を込めた宝石が見えていた。まさか、ここにいる間はずっと変身し続けているというのか。なかなかに不思議な考え方をしている。

「調整屋さんに来たって事は、ここで何ができるかはすでに知っている感じかしら」

「はい。魔力を強化してくれるけど、グリーフシードはちゃんと持っていくようにと伝えられました。代金として請求されるからって」

「丁寧に教えてもらったようね。調整屋さんの説明が省けて助かるわ。さ、調整を始めるからそこの寝台に寝転がって」

どうやら調整のデメリットは自分から話さないらしい。誰だって不利な事は口に出したくないだろう。

「すみません、調整って痛みを伴うのでしょうか。魔力を強化ってなにかしら副作用がありそうなのですが」

「あら、ごめんなさい。調整する時はね、あなたのソウルジェムに触れさせてもらうわ。
初めての子は最初に痛みが伴うかもしれないけれど、一瞬だから気にしなくてもいいくらいよ。あと、調整を受けた後は魔力が馴染むまで体が熱くなっちゃって具合が悪くなる子もいたわね。でもそれで今後の活動に支障は出ないから安心してね」

「そうですか、それくらいですか」

「ええ、それくらいよ」

調整の結果どうなるのか、理解しているかが疑わしい。しかしそんなことは関係ない。
調整屋は、いちゃいけないんだから。

「いけませんよ八雲みたまさん、デメリットを隠し続けるというのは」

「え」

私は糸で調整屋のソウルジェムを狙ったが、思った以上に素早い動きで避けられてしまった。

放たれた糸は周囲に散らばるガラクタの一つに当たってガラガラと音を立てて土煙が上がった。

「あなた、なんのつもり!」

「調整されて相手がどうなるか一部話した事は評価しよう。だが、記憶を覗くとなぜ説明しないか!」

次は調整屋の足元へ放射状に糸を放ったため調整屋の片足に当たってその場から動けない状態となっていた。

「そこまで知っていて、なんで襲うの。なにが目的なの、私を殺したってみんなに不利益を与えるだけよ」

「利益しか与えていないとそういいたいのか!」

「そうよ調整はみんなの利益にしかならないわ」

「そうか、そこまで自信があるならいいだろう。善人だと認識したまま逝くといい」

ドゴォン!

とどめを刺そうとすると近づいてきた魔力反応が私と調整屋の間に割って入った。

ガラクタが宙を舞う中にいたのは黄色の服装をした魔法少女だった

「ももこ!」

「悪い調整屋、緊急だから壁を壊させてもらったよ」

「別にいいわよ、それよりも」

ももこという魔法少女は武器を構えたまま私に問いかけてきた。

「調整屋を襲うってどういう事だ。事と次第によっては容赦しないぞ」

お前は神浜の外の魔法少女へ調整屋に行ったほうがいいと勧める口か」

「そうだが、それがどうした」

「ちょっとももこ!壁ぶち抜いていきなりどうしたって、これどういう状況よ」

「調整屋さん、もしかして襲われたの」

本来の出入り口に仲間と思われる魔法少女2人が到着し、状況は挟み込まれている。退路は作る以外方法はない。

「お前達は魔力強化を受けた結果どうなるか考えたことがあるか」

「魔力が強化されたら、そりゃ魔女を倒しやすくなるでしょ」

「普段使えなかった魔力を使うんだ。魔力消費が増えるとなぜ考えないんだ」

「この街には魔女がたくさんいるし、この街にいれば魔女にはならないから気にする事はないじゃないか

やはりその回答か。この街の魔法少女は「この街」を中心にして物事を考えているようだ。予想通りで残念だ。

「そうやって神浜の外から来た魔法少女へ説明する気か。調整を受けたら神浜に居続けろとそういいたいのか」

「そこまでは言っていないだろ。戻りたいなら自分の街に戻るのは自由だろ」

「魔力消費を激しくしておいて、お前達は神浜の外の魔法少女を魔女化させたいのか!」

「そうとも言っていないだろう!」

「なんで考えないんだ、この調整屋は、魔力をいじって魔女化しやすくしているだけだということを」

「な!」

三人は何を言っているのか分からない顔をしていたが、調整屋だけは何か気づいたかのような顔をしていた。

「言いがかりも大概にしろ!調整屋はみんなを魔女にしたくてやっている事じゃない!」

「本心はそうかもしれない。だが、調整は使えないはずの力を無理やり行使できるようにしてしまい、穢れを加速させる結果となる。無闇に神浜の魔法少女へ勧めるんじゃない。この街ではドッペルがでても、外では魔女になるだけだ。その罪の重さを自覚したほうがいい」

ついに黄色の魔法少女は何も言わなくなった。

「今回は捨て置く。生きて行いを見直し続け、呪い続けるといい」

私は壁を打ち抜き、調整屋の外へとでた。

「ちょっと何!ここって中立地帯って聞いたけど」

外に出た先には三人の魔法少女がいた。

「お前達は神浜の魔法少女か」

「いいえ、私は霧峰村ってところから来た魔法少女よ」

「そうか。調整を安易に受け続けるな。調整されると魔力消費が増えて穢れやすくなるだけだ。よく考えてから調整を受けるといい」

「えと、はい」

調整屋の排除には失敗したが、あの調整屋の反応は期待できる結果だ。

ただでさえ自動浄化システムを広げることができない段階だ。

今調整を受けて外へ戻ってしまったら、外の魔法少女が消えていくだけだ。

 

とりあえず調整屋は無力化させた。これでしばらくは「記憶をたどった捜索」は滞ることだろう。

 

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【マギレコ二次創作小説】魔叙事詩カグラ・マギカ 2-1 開幕を示す悲劇の狼煙

掴みどころがないというのは、複雑な気分となってしまいます。

あるのはわかる。
でも、それをどうすればいいのかがわからない。

この街の魔法少女にはともかく、静香さんやカレンさんのような遠い場所から来た魔法少女へ何もわかりませんというのは、とても申し訳ない気持ちになります。

一番関係がありそうなういも、クレメルも自動浄化システムがどこにあるのかが分からない状態です。

今日は神浜マギアユニオンとしての集まりがあり、みんなの事情を考慮して午後に集まることとなりました。

明日香さんにお願いして、午後に道場を開けてもらうことができたので明日香さんの実家が運営している道場で会議を行う予定となっています。

今回の会議にはななかさんも参加するとのことなので、情報交換が捗りそうです。

前もってSNSでみんなから神浜にしかないものについて情報交換がされていたのでその整理からですね。

あとは、数日前に久々にまどかちゃんとメールをやり取りして、見滝原のみんなは神浜マギアユニオンには参加せず、神浜の外だからこそわかる情報を伝えるという方針になったと伝えられました。

私も神浜で起こった事はまどかちゃんに伝えるようにすると返信しました。

SNSに参加できるかはサーバー管理している灯花ちゃんの返事待ちとなっています。

ようやく前に進め出せそうな気がしていました。

会議にはやちよさんとさなちゃんとういが参加して、鶴乃ちゃんとフェリシアちゃんは万々歳のお手伝いに行っています

東側からは十七夜さんが、南と中央区の代表としてひなのさんが参加してくれます。

道場へ着くと明日香さんがお出迎えしてくれて、中にはすでにひなのさんとエミリーさん、れんさんに梨花さんもいました。

「人数が多くてすまないな。道中でバッタリと会ってしまってな」

「まあまあ、そもそもうちらを呼んだのあすきゅんだし。折角だからってみゃこ先輩についてきた感じよ」

「そうなんですか、明日香さん」

「はい、エミリーさんの何気ない発想で今までに何度も窮地を脱した事がありますからね。行き詰まりが生じた場合は、是非エミリーさんから何かご教授いただけたらと思ったのです」

エミリーさんはお悩み相談所でいろんな人と話してはアドバイスを与えてくれると神浜の魔法少女の間では人気となっています。

「それじゃあ、何か悩んだらお願いしちゃおうかな」

「おう!ろっはー任せなさいって」

「あたしらも、それなりに情報持ってるからちゃんと共有するね」

「ありがとうございます」

「ふむ、今日は随分と賑やかだな」

十七夜さんと一緒にななかさんも道場へ到着しました。

「あらためまして、組織に組していないのに参加させていただき、ありがとうございます」

「いえ、わたしもななかさんたちから見た考えを知りたいなと思っていたので」

「そこでだ環くん、今日の話す内容についてなのだが、まずは神浜の外から来た魔法少女について情報交換したいと思う」

「神浜の外から来た魔法少女、ですか」

「はい、わたしがこの会議へ参加したいと考えたのもお伝えしなければいけない事があるからです。できるのならば、早急に」

当初の予定とは変わりましたが、神浜マギアユニオンとしての会議は神浜の外から来た魔法少女についての話し合いから始まりました。

「私達はすでに神浜の外から来た魔法少女に会っていますね。会った人たちは、みんなはそろってキュゥべぇからこの街に自動浄化システムがある事を聞いて訪れたと言っていました」

「やはりそうですか」

「東側で会った魔法少女も同じことを言っていた。その内容については少々複雑なこととなっているがな」

「わたしも、会いました。自動浄化システムが、手に入るって、聞きました。はい」

神浜の東西南北、どの場所でも神浜の外から来た魔法少女は自動浄化システムが手に取れるものだと伝えられて来ていると再確認できました。

「この事態、わたしは非常によろしくない事態だと考えています。外から来た魔法少女と争いごとのきっかけになってしまうのではないかと考えています」

「しかし事実だ。手に取れるようなものではないと伝えるしかあるまい」

「その伝え方について、考えの共有が必要だと思います。それぞれの見解で伝えてしまうと、誤解を招く結果となります」

「実はすでに外から来た子に説明をしたのですが、わたしは説明するときにちょっと回答を濁らせてしまいました」

「それで相手は納得してくれたのか」

「はい、調査中なら協力もするって言ってくれました」

今回のわたしのように曖昧な回答だったら納得してくれない子が出てくるかもしれない。でも、どう伝えればいいんだろう。

「そんな難しく考えないでさ、ガツンと事実伝えてあとは相手に任せればいいっしょ」

「私も、嘘を伝えられるのは嫌かな。わからないならわからないって言って欲しいな」

「そうですね、素直に事実を伝えることにしましょう」

「伝えたうえで襲われたりした場合は1人で相手しないようにする、という決まりも必要そうね。みたまの調整を受けているからそう簡単にやられる子はいないと思うけど」

「うむ、わかった」

「これで一つの議題は解決ですね。引き続き私から一つよろしいでしょうか」

ななかさんが主催のようになっていますが、特に気にしていませんでした。ななかさんが来てくれる機会は多くはないので、聞けるうちに聞いておこうと思っていたのです。

やちよさんから、ななかさんは頼れる人だ、というのは十分に聞いて言いたので。

「みなさんは電気を操る、または糸を操る外から来た魔法少女をご存知でしょうか」

私たちが会っているのは静香さん達とカレンさんだけです。戦っている姿はカレンさんしか見ていませんが、どういう力を使うかまでは知りませんでした。

「すみません、私達は話をしただけだったのでどういう力を使うかまではわからないです」

「私は外から来た魔法少女の集団に会ってはいるが、ツノがあったり暑苦しかったりと特徴に合う魔法少女はいなかったな」

「わたしは糸を使う魔法少女については知っている。しつこく勧誘してくるマギウスの残党へきつくお灸を添えたらしくてな、ちょうどその現場に居合わせていた」

「その話、詳しく聞かせてもらえますか」

十七夜さんによると、東側ではマギウスの残党が集まって何かを企てている動きがあったようです。そこへ糸を使う魔法少女が勧誘されたらしいのですが、怒った勢いでそのまま解散させてしまうくらいの迫力で襲いかかっていたとのことです。

ケガ人はたくさん出ましたが、みんなソウルジェムは無事だったとのことです。

ちなみにそのマギウスの残党の数というのが。

「30人いたのに1人で倒しちゃったの!?」

「この目で見ていたから間違いない。それに彼女は傷一つつかずにその場を収めていたからな。外から来た魔法少女にしてはあまりにも強すぎると思っていた」

「巴さんでもかなり強かったのに、巴さん以上の魔法少女がいるなんて」

しかし過去を遡ればななかくんたちを振り回したという魔法少女もいたからな。この国だけでも強い魔法少女はまだまだいるだろう」

「ちなみに名前は聞いたんですか」

「うむ。彼女は日継カレンという名前だったな」

「「カレンさん」ですか」

あ・・・。

ななかさんと被ってしまいましたが、カレンさんの名前を聞いて思わず声に出てしまいました。

「ソウルジェムの反応を検知できないと思ったら、そんな実力者だったようね」

どうやらわたしが訪ねた人物とひなのさんたち以外は面識があるようですね」

「中央と南で見かけなかったという事は、わざわざ外側を見て回っているのかそいつは」

ななかさんはしばらく考えたあと、十七夜さんへ訪ねました。

「十七夜さん、確認ですがカレンさんの心は読みましたか」

「その事なのだが、彼女の心をのぞかせてもらったがなぜか数十人の思考が右往左往している奇妙な状況だった。あれは魔女の心を読むとは別の意味で気分が悪くなってしまった」

「数十人の思考が1人の中でなんてそんな事があるのか」

「いや、あり得ん事だな。人1人に一つの心と考えたらなおさらだ

私たちが出会ったカレンさんは色々悩みを聞いてくれた上に助言をしてくれたいい人だと思っていましたが、実態は奇妙なとても強い人だったようです。

「では、その魔法少女について知っていることをお話しします。
わたしはつい数日前、カレンさんに宣戦布告を受けました」

「え!」

「不穏な流れだな。何かしたのか」

「私達は直接何かをしたわけではありません。しかし彼女たちには危険な存在だと認識されてしまったようで、今後は神浜に対しても敵対する意思でいるようです」

「カレンさん、なんでそんなことを考えているんでしょう」

「実はカレンさんは知っているらしいのです。自動浄化システムを世界に広げる方法を」

「そんな、灯花ちゃん達でも苦労して探っている最中なのに」

「事実かはわかりません。しかしあの揺るぎない自信と実力を考えると本当なのかもしれないですね」

手詰まりかと思われた状況の中、まさかの解決方法を知っているという魔法少女がいるという衝撃の事実にどう対応していいかわからなくなっていました。

ななかさんによれば、変に探ろうとしてしまうと敵対していると判断されてしまうらしく、話し合いは慎重に行わなければいけない事がわかりました。

それにしても、カレンさんと会ったのは数日前でその時は神浜に来たばかりと言っていました。

まさかあの時から全てわかっていたのかもしれない。

そう考えると、カレンさんがだんだんと怖い人に思えてきました。

自動浄化システムの広げ方を知っているというのであれば近いうちに何か動きはあるだろう。今は様子を見て、神浜へ被害が出るようであれば対抗するしかあるまい」

「でも、30人の魔法少女と平気に渡り合う相手にどう対抗するんだ。下手したら最盛期のマギウスよりも厄介だぞ。ちなみにだが、電気を使う魔法少女というのはどうだったんだ」

「少なくとも、私たちのチームでは歯が立ちませんでした。あの方は電気とはいえ知識を利用して応用力で勝負を仕掛けて来ました。
戦闘能力はカレンさんと同じ程度と思った方が良いでしょう」

「それ、どうしようもないんじゃ」

「おガキ様のように過激な方向へ進まないことを祈るばかりだな。
む、十咎くんから電話か。少し失礼する」

「なんかあたし達、今結構やばい状況にいるんじゃないの」

「今はこれ以上敵対的な魔法少女が増えないよう、事実を伝えていくしかないようね」

「なに!八雲が襲われただと!」

ももこさんから来た電話は、みたまさんが見知らぬ魔法少女に襲われたという電話でした。

十七夜さんは急いでみたまさんの元へ向かい、私たちも状況把握のために調整屋さんへ向かうことにしました。

そのまま会議は中断となり、残った議題は引き続きSNSの方で会話していくことにしました。

「おねえちゃん、私も行くよ」

「ういはみかづき荘に戻ってて。もしかしたら襲った人がまだ居るかもしれないし」

「私だって、力になりたいんだもの。お願い、連れて行って!」

「今回はダメ。さなちゃんと一緒に先に戻って待ってて。お願い」

「…うん」

返事をしたういは、どこか悲しげな表情をして、そのままみかづき荘へと戻って行きました。

「えっと、ごめんねさなちゃん。ういをお願い」

「はい、わかりました。ういちゃんと一緒にみかづき荘で待ってますね」

私はさなちゃんへ頷いた後、やちよさんと一緒に調整屋へと向かいました。

 

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【マギレコ二次創作小説】魔叙事詩カグラ・マギカ 1-12 突然の別れはいきなり

神浜の街を巡り、私の意思は固まった。

あとはシオリとピリカが戻ってくるのを待つだけだが、それぞれ違った日に違ったタイミングで探索に向かったためみんなが集まるというのは夜のほんの一瞬だけ。

シオリには宣戦布告役として駆り出されたりと面倒なことをやらされはしたが、この緑髪の魔法少女の事について情報を得られたのはありがたい。

マギウスについて聞いていたシオリは、マギウスの一人であるアリナ・グレイが今だに行方不明であるという情報を手に入れていた。

アリナという魔法少女はこの街を破壊しようとした前科持ちらしく、探し回っている魔法少女もいるという。

そのアリナという魔法少女の特徴と、いま目の前で眠り続けている魔法少女の特徴が合致しているため、こいつがアリナ・グレイで間違いないだろう。

彼女を話題に出さなかったのは正解だったようだ。

と、シオリからの情報はここで時々聞かされていたから分かるのだが、ピリカは見滝原とその周辺を見に行っているためしばらくは戻ってきていない。

出発して1週間は経つ。

グリーフシードを持っているとはいえ、寝る事にこだわる彼女はどう夜を過ごしたのやら。

「戻ったよー」

そう考えていたらピリカが戻ってきたようだ。

「おかえり。随分な長旅だったじゃないか」

「本当はもう少し早く戻ってくるはずだったんだけどね。道に迷ってしまったので」

「そういえばなぜか都会の方が迷うよなピリカは」

「目印にしていた建物が何軒もあるとか、通れると思った道が通れなかったりとか、自動歩道に巻き込まれたりとか」

「何やってるんだか」

でもキュゥべぇとも会ってきて貴重な情報は手に入れてきたんだから」

見滝原の魔法少女については、ワルプルギスの夜と戦う運命にあったということもあってその強さと能力については入念に調べる必要があった。

ピリカはカムイにお願いし、力の強い魔法少女に当たりをつけてもらっていたらしいのだが、二人の魔法少女に注目したという。

「鹿目まどかと暁美ほむら。その二人が特に力が強かったってことか」

「キュゥべぇに確認をとると、ほむらさんは魔法少女なんだけど、契約した記憶がないんだって。理由はわからないけど、時間を止めることができるらしいよ」

時間を止めるだけなら過去に戦ったことがある魔法少女にいた。

しかし、契約した覚えがないというのは妙だ。記憶操作という事もあるが、大それた理由として思いつくことはあるが私と同じ境遇が他にいるとは思えない。

「あと、アペにまどかさんを見てもらったんだけどワルプルギスの夜を倒す可能性を秘めているみたいだよ」

「ほう、それは随分と因果量が高そうと考えられる情報だね」

「候補の一人には十分なるんじゃないかな」

また、ピリカから神浜には私たちが出会った以外の調整屋がいるという情報を手に入れていた。

神浜とその周辺の地域にはすでに知れ渡っているらしく、多くの魔法少女が調整を施されているのだろう。

調整屋については私が尋ねてみる事にした。

ピリカからは安易に殺さないよう釘を打たれたが、調整屋という存在自体は今はいてはいけない存在だ。少なくとも、神浜にしか自動浄化システムがある間は。

「あら、二人とも戻ってきていたんだ」

シオリも戻ってきたようで、私たちは各々が集めた情報の整理を始めた。

全員一致で自動浄化システムが何物なのかを神浜の魔法少女から聞き出すことはできなかった。それは同時にこのままでは自動浄化システムが世界に広がることなど叶うはずがないことを意味していた。

神浜の魔法少女は外へ目を向けようという考えがほとんどないらしく、一部の者しか気にしていない有様なので外から来た魔法少女はそれはそれは居心地が悪い思いをするだろうという印象も受けていた

神浜の外にいる魔法少女は用がなければ神浜へはいかないらしく、それを彼女たちは何も気にしていない様子だったという。

不安を抱えつつも神浜には留まらない、というよりは留まれないのだろう。

人間関係や学校やバイトなど、理由は様々だがその理由のほとんどは魔法少女の世界から見ればこの先役立つとは思えないことばかり。
人間社会というものはそんなものだ。

神浜の魔法少女へ宣戦布告した話をピリカにするとそれはもう怒りどころか呆れられてしまった。

「何で敵増やすようなことするのよ。折角初対面で何の思い込みもなく情報交換できるチャンスをなくすようなものでしょ」

「あてになる情報なんてなさそうだって判断したからさ。人間社会に精一杯な奴らと話したところでいい情報なんて手に入らないだろうからさ。
あぁあ、この町のすごいがわからなくなっちゃったよ」

ピリカはムッとした顔でシオリを見続けていた。

「ま、それでもカレンへ宣戦布告してもらったグループのメンバーは洞察力と分析に長けていたよ」

「それって、過去に計画を妨害されたグループと同じ特徴」

私たちのやろうとしている事は受け入れてもらえるような方法ではない。協力関係になれたところで、あの時みたいに邪魔をされて無駄になるか遠回りする結果となる。
だから関係を険悪にしておいたのさ」

「変に注目されちゃうかもしれないよ」

「それはその時だ。忠告はもう伝えてあるからね」

「忠告を律儀に守ってくれればいいんだけど」

「なに、関わりすぎるなら潰されるくらいあの魔法少女たちなら理解できてるだろうさ」

「やめてよね」

一通り話を終えたあと、今後の行動についての話を始めた。

「さて、しばらくは神浜の状況観察を行いたいと思う。魔女化しない代わりに出るドッペルという存在をよく知る必要があるからね」

「ドッペルは出した後に疲労感しか感じないらしいけど、中には体の一部が動かなくなったりと体に不都合が出る子もいたらしいの」

「ドッペルってやつの代償をよく知らないといけないよね。でも、この街でそう頻繁にドッペルって出るものなの?見滝原や宝崎ではみんな神浜でもドッペルは出さないようにしてるって聞いたよ」

ドッペルを出す機会に出会える確率も、ドッペルを何十回と出し続ける現場も何十年とかけて観察したところでわかるはずがないだろう。

それでも、ドッペルの代償については知っておかないといけない。

そのためならば。

「ピリカ、突然なんだが、伝えたい事があるんだ」

「なに?」

「お前との関係はここまでだ」

「…え?」

 

第一章:スゴィガ ワカ ラナイ 完

 

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【マギレコ二次創作小説】魔叙事詩カグラ・マギカ 1-11 睡蓮はまた悩む

またこの展開となりました。協力関係となりたい相手に対して、ななかさん達は必ずというほど相手と一度は一戦を交えてしまうのです。

私はななかさんと戦ってチームに入ったわけではありませんが、あきらさんも、美雨さんも一度戦ってななかさんについてきた人たちです。

そういえば私、ななかさんと面と向かって戦ったことがないことに気がつきました。

魔法少女になる前も、後も守られてばかりな場面が多いような。

私たちはお店へ支払いを行った後、人気のない路地裏まで来ました。

「さて、手合わせ願おうじゃない。まとめてかかってきても構わないよ」

「随分な自信ネ」

「いいでしょう、皆さん始めてください」

「先手はぼくが!」

「続けるヨ」

いつもの通り、先にあきらさんと美雨さんが前へと出ます。

二人は格闘を得意としているため前へ出るのは必然ですが、スピードがあるため撃って下がるという切り替えも早いです。

二人は力強い拳を繰り出しますが、シオリさんが操る帯には傷一つついていませんでした。

その帯は巧みに角度を変えていて、四方八方から来る攻撃に対応していました。

二人が一歩下がった後、私は武器を構えて矛先に貯めた力を地面へと叩きつけました。この時、大まかな相手の弱点を掴んでいたからか、シオリさんはワンテンポ対応に遅れたかのようですが、しっかりと回避されてしまいました。

そこへななかさんが間髪入れず切り込みましたが、今度は腕にある宝石から光る盾のようなものを形成してシオリさんは身を守りました。

「こっちを使わないといけなくなるとは思わなかったよ」

ななかさんも下がり、私たちは防衛体制へと入っていました。

シオリさんはあきらさんの方へ向かい、帯を素早く、しなやかに叩きつけて行きました。

あきらさんは防御姿勢で耐えていましたが、どんどん動きが鈍くなっていきました。

「まずいですね。あきらさんそこまでです。戦線離脱してください」

「わ、わかったよ」

あきらさんは後ろに下がってはこれましたが、座り込んだ後に動けなくなってしまいました。

「いい判断だね。あのまま戦っていたら何もできずに終わっていただろうね」

[あきらさん、体の様子は]

[完全に痺れたみたい。ごめん、動きそうにない]

[なら、私が]

私があきらさんを回復させようとすると何か素早い気配を感じました。

「かこさん!そこから離れてください!」

気づいた時には手遅れでした。足元には鉄釘が刺さっていてそこから電気が流れて私はダメージを受けたと同時に体が動かなくなってしまいました。

「遠距離できるヒーラーとは優秀だね。ただ、反射神経はまだまだだね」

「あんたも遅いヨ」

気づいた頃にはシオリさんの真後ろに美雨さんがいて、勝負ありかと思われました。

「したっけ勝てるかい!」

美雨さんは寸止めで終わる気だったのでしょう。しかし自らシオリさんは両手を美雨さんの爪へ突き刺し、帯でそのままみぞおちを突きました。

「両者そこまで!」

ななかさんは戦いをやめさせました。

さらなる追撃を用意していたのか構えていたシオリさんは魔法少女姿を解きました。

腕の傷を治すために痺れた体を何とか動かしてシオリさんの傷を癒しました。

「ありがと、かこさん」

シオリさんはすぐ元どおりに自由に動かせる腕へと戻っていました。

「お強いですね。私たちの完敗です」

「シオリに傷をつけておいて完敗だって言われると私の方が情けなくなるんだけど」

「いいえ、あそこで止めていなければ美雨さんは危ない状況になっていたでしょう。私も手のだしようがありませんでした」

「何言ってるのさ。十分強いよ、あなた達」

そう言った後、シオリさんはななかさんへグリーフシードを渡しました。

「これはガサツな誘いに乗ってくれたお礼だよ。協力するかどうかは仲間と話し合ってから報告するね。今日の夜、私とあなた達があった場所に来れるかしら」

「わかりました。前向きな返事をお待ちしています」

シオリさんはそのままどこかへと行ってしまいました。

「ななかさん、シオリさんは」

「あの強さは間違いありません。この神浜では、誰も対抗できないでしょう」

話は戻ってみんなで集まっているななかさんの家。ここまでの話でこのはさん達はいろいろ時になることがあったようです。

「そのシオリって子、危なっかしくて怖いんだけど」

「そうね、ななかさんからも怖い発言がよく出るけど、シオリさんもなかなかね」

「あら、私は普通に話をしただけですよ」

「ななかのいう普通は普通じゃないと思うヨ」

「そうでしょうか」

「んでんで、そのあとの返事ってどうだったのさ!」

実はその結果を私とあきらさんは知らされていませんでした。

結果を聞きに行ったのはななかさんと美雨さんだけでした。私とあきらさんはこ来ないよう釘を刺されていたもので。

「ではお話ししましょう。結末と、今後の活動について」

夜に会うという時間が曖昧な中、ななかさんは18時の暗くなり掛けの頃に指定の場所へ行き、少し待った頃に声をかけてきた少女がきたとのことです。

「あなたが、常盤ななかさんですね」

「どこかでお会いしたでしょうか」

「私はシオリの仲間、日継カレンだ。あなた達からの協力関係についての話は聞かせてもらったよ」

「そうでしたか。シオリさんはご一緒ではないようですね」

「シオリにも都合があるからね。仕方がないさ。それで、協力関係について何だが」

そう話したあと、カレンさんは魔法少女姿になったあと話を続けました。

「協力関係は断らせてもらう。実力が釣り合わないとか、目的が違うというわけではない。あなた達は少々相手を探りすぎる癖があるとシオリから聞いてね」

「探られるとまずいことをしている、そういう意味ですか」

「ななかさんには伝えておくが、私たちは既に魔女化しないシステムを世界に広げる方法を知っている。そして実現も可能だ。
だがこの方法は、絶対あなた達神浜の魔法少女と争ってしまうような方法だ。だから協力できないというわけだ」

「話してみないとわからないこともあるかと思いますが」

「忠告しよう。これ以上私たちを探るんじゃない。私たちに触れすぎるとあなたも、仲間も傷がつくところじゃ済まないよ。
なに、話す機会はいずれ来るだろうさ」

ななかさんは隙を見て変身しようとしましたが、周囲に鋭利な糸のようなものが張られて変身することを躊躇していました。

「いい判断だ」

カレンさんはななかさんへ背中を向けて、ななかさんへこう伝えたとのことです。

「神浜マギアユニオンへ伝えておいてくれ。外から来た魔法少女を失望させ続けることしかできないのなら、私たちは動くと」

美雨さんへアジトを探らせる予定だったようですが、ななかさんは追跡をやめさせます。

結果は残念なところか、神浜に危険が訪れてしまう予告まで受け取ってしまったのです。

「シオリさんとカレンさん。彼女たちは神浜の魔法少女では魔女化しないシステムを世界に広げるのは不可能だと踏んでいるようです」

「相手はハッタリで知っていると言ってきた可能性はあるけれど」

「彼女たちの実力は計り知れません。探ってみるしか方法はありませんが」

「ななかさ、一人で探ろうなんて思うんじゃないよ」

ななかさんは少しの間黙ってしまいました。

「私は今度の神浜マギアユニオンの集会へ参加し、今回のことを皆さんへ周知しようと思います。彼女たちへ出会ってしまっても、目撃したとしても関わることはないように」

事態は絶望的でした。

シオリさんとカレンさん。

彼女たちとまともに話し合いをできる日はくるのか。そして、魔女化しないシステムを世界に広げる方法とはどんな方法なのか。

この状況の中、私はあまりにも無力で情けない気持ちでいたのでした。

 

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【マギレコ二次創作小説】魔叙事詩カグラ・マギカ 1-10 ユリとアザミが咲く中で

ななかさんと出会って魔法少女となり、いまではたくさんの経験をしてきたなと感じてしまいます。

私たちはいろはさん達が提示した自動浄化システムの広げ方を探すこと、そしてキュゥべぇと共存するという考えに対し、協力だけはするという立場にいます。

そのため、神浜の魔法少女が集まった神浜マギアユニオンという組織にも参加していません。

これはチームとしての方針であり、この考えにはこのはさん、葉月さん、あやめちゃんも乗っかり、私たちと共に行動しています。

そんな私たちはある日、ななかさんの家に集まっていました。

「みなさん集まりましたね。では、話を始めさせていただきます。
今日皆さんに集まってもらったのは、先日私たちが遭遇した魔法少女について伝えなければいけないからです」

「その魔法少女っていうのは、神浜の子ではないの」

「違います。彼女は神浜の外から来たとのことです。そんな彼女について、私たちが体感したことを共有するのが今回の目的です」

そうして私たちが体験した、神浜の外から来た魔法少女、紗良シオリさんについての話が始まりました。

私とあきらさん、美雨さん、そしてななかさんと一緒に魔女討伐のために結界へ入ったのですが、その結界の中には使い魔の姿がなく、一戦も交えずに最深部へと向かうことができました。

道中はすでに誰かが戦った後があり、最深部では魔法少女の反応がありました。

魔法少女の反応へ違和感を感じている中、ななかさんからはその場で待機し、様子見をする指示が出ました。

魔女と戦っていた魔法少女は、小さな魔法少女でした。

服から伸びた帯で魔女へ攻撃している様子でしたが、攻撃はすべて回避されていました。

「もう!スズランテープみたいにピロピロ動いて。足元狙ってもな」

そう言って小さな魔法少女はバルーンを周囲に浮かべた魔女の足元の釘を壊しました。

しかし、どこからともなく現れた使い魔によって魔女は再び地面へ固定されてしまいます。

寄ってきた使い魔を帯で軽く遠くへはたき飛ばしてしまった小さな魔法少女は別のアクションを起こします。

小さな魔法少女は魔女の結界内に散乱していたビニール袋を集め、そこに何かを詰めてはそのひとつひとつを魔女へ向かって投げて行きました。

すると、投げたビニール袋が次々と魔女へとまとわりついて行きました。

「静電気で逃げちゃうなら、その静電気でお返しよ」

そう言って小さな魔法少女が周囲に電気を発生させるとその電気はビニール袋を通して魔女へとダメージを与えていました。

ビニール袋の中には小さな金属体のような黒いものが入っていました。

見たことない戦い方を目にして私はすごく感激していました。

魔女は電気を浴び続け、身体中が焦げてしまったあとはバルーンごと粉々に砕け散っていきました。

「全く、シオリを少し考えさせた点は褒めてあげるんだから」

シオリと呼ぶ魔法少女がススの中からグリーフシードを拾い上げると、なぜか私たちの方向を向きました。

「さっきから隠れて見て、出てきなさい。少なくとも4人はいるはずよ」

なんと私たちがいることは完全にバレていました。

ななかさんからの姿を見せる指示もあり、魔女の結界が消えると同時に私は姿を表しました。

「すみません、変わった戦い方をしていたもので思わず見物させてもらいました」

シオリさんは魔法少女姿を解かないまま私たちの方を向いたままでした。

「あら、失礼しました。私たちはあなたと話をしたいと考えているのですが警戒させてしまったようですね」

そう言うとななかさんは変身を解き、私たちも変身を解きました。

シオリさんも変身を解きました。

シオリさんはひざ下あたりまでの長さがあるスカートに薄い上着を羽織った私服の姿でした。そして変身を解くと眼鏡をかけていたのです。

そういえばななかさんも変身を解くと視力が戻ってしまうと話を聞きました。

シオリさんもそうなのでしょうか。

「ごめんなさいね、警戒しちゃって。で、話って何さ」

「率直に言いますと、神浜の外から見た神浜とはどんなものか教えて欲しいのです。生憎、私たちは神浜の外の情報に疎いもので」

「できれば、協力していけたらって思うんだよね」

(うん、うん!)

「なるほどね、ちょうどシオリもこの町のことは知りたか、ちょっと待って、いつシオリが神浜の外から来たって知ったの」

「神浜の中で知らない魔力パターンでしたので、憶測で話していましたが、違いましたか」

シオリさんは少し驚いた後、面白そうに笑顔で話しました。

「面白いねあなた。間違いはないわ、シオリは神浜の外から来た魔法少女よ。是非とも情報交換させてもらいたいわ」

「よろしくお願いします、シオリさん」

「よろしくねって、なんでシオリの名前知ってるのさ」

「すでに口に出してるネ」

「…あら」

なんだか面白い人だなというのが第一印象でした。

私たちは近くのファミリーレストランへ入り、みんなはそれぞれ好きな飲み物を頼んでいきます。ななかさん達はシオリさんのとなりには座らないだろうと思い、私がとなりへ座りました。みんなが席へ着席したことを合図に情報交換が始まりました。

「今回は協力していただき、ありがとうございます。私は常盤ななかといいます」

「ぼくは志伸あきら。よろしくね」

「純美雨ネ」

「夏目かこです。よろしくお願いします」

「シオリの名前は紗良シオリ。突然聞くけれど、この街「神浜」では一般人を気にしたりしないの?」

「まあ、あまり気にすることはありませんね。もちろん、何も考えていないわけではありません」

私たちが今座っている席はななかさんが決めた場所です。

窓がなく、お店の端っこであるこの場所は一番人気がない場所です。

隣の席にいる人にしか話が聞こえないので魔法少女の話が普通の人たちに聞こえないよう気をつけた結果です。

ななかさんは、さらっとこんなことを考えてしまう人なのです。

「なるほどね。気を遣ってはいるようだけど、警戒は緩めってことはわかったよ」

「さて、早速ですが神浜に魔女化しない仕組みがあるという話は、誰に聞いたのでしょうか」

「キュゥべぇよ。あいつから魔女化しない街があるって話を聞いて食いついたわけ。自分で魔女化する仕組みを放置してるくせに、魔女にならない仕組みが手に入るぞ、なんて伝えて回ってたよ」

「それは、本当ですか」

「情報交換なのに嘘を伝える必要がある?」

ななかさんは冷静に話していましたが、私は驚いていました。そもそもキュゥべぇが魔女化しないシステムの事を知っていることそして魔女化しないシステムが手に取れるものであるかのような話で伝えて回っていることが。

「そうですか、キュゥべぇさんがそう伝えて回っているのですね」

「あら、キュゥべぇへ神浜の魔法少女がそう伝えたんじゃないの」

「少なくとも私たちは伝えていません。もし誰かが伝えていたところで魔女化しない仕組みは決して手に取れるようなものではないと伝えているはずです」

神浜にある魔女化しないシステムというのは、マギウスという3人の魔法少女が暗躍し始めた頃から存在するシステムです。つい最近はいろはさんの妹であるういさんが戻ってきたあの日を境に元マギウスである灯花さん、ねむさんでも魔女化しないシステムについて全くわからない状態となってしまっています。

いろはさん達はもっと詳細なことを知っているようですが、なかなか情報をみんなに共有してくれません。

きっと何か理由はあると思うのですが。

「きっとそうだとして、この神浜はもう手遅れな状態なのかもね」

「手遅れっていうと」

「手に取れるものだとしたら奪おうとする奴らがいる。もし手に取れないのならこの場所ごと自らのテリトリーとしようとする奴もいるだろうさ。
ま、私はどっちでもないけどね」

「持ち出せないなら自分のシマにする。考えつくことではあるネ」

「でも、外から来た子達にちゃんと説明すれば分かってくれるはずだよ」

「なんて説明するつもりなのさ。個々人の判断で見解を伝えていくつもり?そんな危険なことはしないでしょうね」

まるで神浜の魔法少女同士で情報共有ができていないような言い方ですね」

「事実、だと思うんだけど」

神浜の魔法少女は情報交換できるよう、専用のSNSグループが作られています。

そこで情報交換はされているのですが、今回の件は一度も話題に上がったことがありませんでした。

つまり、誰も今まで外から来た魔法少女へ現状をしっかりと説明しようという考えすらなかったのです。

「情報共有をする方法はあります。しかし今回の話題は挙がったことがありませんね」

イチゴミルクを少し飲んだ後、シオリさんが話し始めました。

「状況は把握したわ。その情報共有ってどうやっているの」

「主に専用のSNSで行っています。しかし、メンバーへ加わるには神浜マギアユニオンのまとめ役である方々に一度会う必要がありますね」

「神浜マギアユニオン?何なのこの街って組織化されているわけ」

「たいていの方達は参加されていますね。ただ、私たちは参加せずに協力の立場でいます」

「どういうこと?」

「私たちは組織に留まらず、独自の行動を行っていきたいためです。神浜の魔法少女同士で仲が悪いわけではありませんよ」

その後も会話が進んでいきましたが、情報を伝える量は私たちが7割という状況でした。1対4という状況なので当然かなという感じはしていました。

ななかさんが席を外した後、私たちはどんどんシオリさんへ質問をしていきました。

「あの、魔女と戦っているときのあのビニール袋を使った方法、あれってどこで知ったんですか」

「知ったも何も、持ってる知識を使っただけだよ。あの戦い方なら物理の中盤あたりまで学んでいれば思いつくんじゃないかしら」

「わ、私はまだ序盤しか触れていないからわからないかもです」

そう私がいうと、シオリさんはストローのビニール袋を手に取りました。

「冬場にドアへ手をかけるとバチってくるじゃない?あれって何でだと思う?」

「それは静電気が体に溜まって。あ!」

「気がつくのが早いね。そう、こんな感じに磁石でも何でもないのに皮膚へビニール袋がくっついてくる。この仕組みを使っただけよ」

考えなくても、日々日常で感じる現象でした。それでも、そんな些細なことを戦いの中で思いつくのはかなり冷静かそれ以上の何かがなければ使おうとも考えつきません。

この瞬間でシオリさんは強い方だと察することができました。

「魔法少女って、それぞれ得意不得意があるじゃない?それって最初からもらった力だけではどうにもならないから、こうやって身の回りを見て戦い方に取り込んでいっているのよ」

「なるほど、勉強になります」

「シオリさんって誰かとチームを組んでいたりするの」

「チームっていうのかね。2人でやってるからコンビって言ったほうがいいかもね」

「出来れば、そのもう一人ともあってみたいな」

「変わり者だからお勧めはしないよ。ま、協力することになったら会うことになるかもね」

「それはどういう事か」

「すぐに分かるさ」

そう、シオリさんが話すとななかさんが戻ってきました。

「みなさんで盛り上がっていたようですね」

私たちと協力関係になりたいっていう思いが十分に伝わるほどにね

「では、ご協力いただけますでしょうか」

「この場ですぐに応えることはできないね。あんた達が、他人に頼りっきりな存在にならないか確かめるまではね」

一気に空気が重くなりました。ななかさんは椅子へと座らず、そのまま出入り口の方を向いていました。

「では、参りましょうか。手合わせするために」

「分かるじゃないの、ななかさん」

 

 

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【マギレコ二次創作小説】魔叙事詩カグラ・マギカ 1-9 神様?を連れた女の子

今回私たちが集まったきっかけは、神浜で聞いた話について整理をしようとほむらちゃんが呼び掛けた事です。

これまでに神浜のことについて整理できなかったことには理由がありました。

私たちが神浜で災害が発生していたにもかかわらず神浜に向かっていたこと、無事を確認したかと思ったらまた神浜へ向かってしまったことでパパとママはすごく心配していました。

ついにわたしとさやかちゃんの親同士で話し合いが行われ、1週間ほど厳しい門限を設けてそれまでには絶対帰ってくるようにと伝えられてしまったのです。

両親を心配させてしまった私にも非はあります。

なので、この期間はマミさんやほむらちゃんからグリーフシードを少し渡してもらい、この1週間はマミさんとほむらちゃんに魔女退治を任せるしかありませんでした。

親を心配させないように早く帰宅しなければと思うと同時に、魔女を倒して人を守ることができないというなんともいえない複雑な気持ちが続いた1週間でした。

学校ではもちろんさやかちゃんやほむらちゃんと会話することはありましたがちゃんと整理ができたというほどの話し合いにはなっていませんでした。

そんな中、やっと昨日の時点で厳しい門限から解放されました。

パパには先輩の家に行くから少し帰りが遅れるかもって伝えてきているので、少し暗くなってから帰っても心配はされないと思います。

そんなことがあり、私たち5人が集まって話し合うのは今が初めてとなります。

マミさんの部屋にお邪魔したことは何度もありますが、部屋の中には見覚えのない光景が広がっていました。

「マミ、やっと帰ってきたのですね。なぎさに留守番を頼んだということは、何かご褒美があると思っていいんですよね?」

「・・・なんだ、こいつ」

「ええっと、まずは上がって。話は、チーズケーキを食べながらしましょう」

マミさんは一人暮らしのはずでしたが、部屋の中には白髪気味の小さな女の子と、少しピンクがかったキュゥべぇがいたのです。

その光景に驚いたのは私とさやかちゃん、杏子ちゃんだけでした。

ほむらちゃんはどうやら小さな女の子のことを知っていたようです。

みんなに切り分けられたチーズケーキ、ダージリンの紅茶が渡った後、マミさんが話し始めました。

「さて、神浜のことについて話し合おうって集まったんだけど、まずはこの子達を紹介させて。
この子は百江なぎさちゃん。暁美さんと一緒に魔女の結界内で見つけたのよ。
で、そこに寝てるピンク色のキュゥべぇはなぎさちゃんと一緒について回っている特別な子で、いつも見かけるキュゥべぇとは別個体らしいの」

「こいつはなぎさに付きまとってるだけなのです」

「えと、魔女の結界で保護されたはいいけど、なんでマミさんの家にいるの。両親とか心配してない?」

「なぎさは1人なのです。両親はもういないのです」

少し悲しそうな顔をしたなぎさちゃんを見て、思わず私も悲しい気分になってしまいました。

「なんかデリケートなこと言ってごめんね」

「別に気にしてないですよ」

なぎさちゃんに対していろんな質問が出されてそれになぎさちゃんが答えるというやりとりを行った後、マミさんから今後はなぎさちゃんも一緒に魔女退治に参加させたいという提案がありました。

もちろん私たちはその意見を歓迎し、魔法少女の仲間としてなぎさちゃんが新たに参加したのです。

人数が多くなってさらに賑やかになる予感がしました。

そんな中、ピンク色のキュゥべぇはずっと寝たままで何を話すわけでもありませんでした。

神浜にいた小さなキュゥべぇとも違った雰囲気です。しかしどこか、ピンク色のキュゥべぇからは温かな力のようなものを感じました。この感じ、どこかで。

「それにしてもやけにマミは元気だな。神浜の件でなんか吹っ切れたか?」

「マミは初めて会った時、ずっと悩みっぱなしだったのです。そんなマミになぎさが喝を入れてやったのです」

「もう、なぎさちゃんったら。
でも事実よ。なぎさちゃんに言われた言葉で、私は本当の意味であの呪縛から解放されたんだから」

「マミさん…」

マミさんはウワサに取り込まれてから多くの人へ迷惑をかけてしまった。私たちには思いを打ち明けてくれても、神浜へいろはちゃん達の話を聞きに行ったときも、そんな表情を見せていました。

でも、今日の言動ではっきりとわかります。本当に、いつものマミさんが戻ってきたんだって。

「ふーん、小さいくせにやるな」

「ちっちゃくないよ!なのです!」

みんなの笑い声が広がった後、マミさんが話を切り出しました。

「はい、ひとつ目の話題はおしまい。ここからは、神浜でいろはさんから伝えられた今後の活動内容について整理しましょ」

ワルプルギスの夜を倒した後、いろはちゃんたちから伝えられたのは今後の神浜の行動方針です。

ひとつ目は、神浜にある魔女化しない仕組みを世界に広げること。

そしてふたつ目は、キュゥべぇと共存できるようにすることです。

ひとつ目の目的については進んで協力して行きたいとは思ったものの、ふたつ目の事で少し考えてしまったのです。

「そういや、神浜の子からなにも連絡はないんだっけ。神浜でなにが起きてるかわからないんだけど」

「そう、それなんだけどね。神浜の魔法少女と連絡を始める前に私たちの意見はちゃんと持っておきたいと思ったのよ」

「というと?」

いろはちゃんに連絡をすれば、私たちはどうして行くのかは必ず聞かれます。

その時に、いろはちゃんが作る予定だと言っていた魔法少女の集まりに加わって全面的に協力していくのか、そうではないのかを伝える必要があります。

もう私たちはチームのようなものです。誰かが参加して、誰かは参加しないだとチームとして行動しづらくなると、さやかちゃんやほむらちゃんと話しているときからそんな意見が出ていました。

「私はいつも通り自由に振る舞うつもりだったけど、まさかチームの一員とか考えてるんじゃないだろうな」

「あら、佐倉さんも私たちのチームの一員よ」

「ったく、勝手に決めやがって」

「なに、嫌なの?」

「嫌じゃねぇよ。まあいいや、そういうことにしといてくれていいよ」

「全く、素直じゃないんだから」

「2人で夫婦漫才やらないで早く進めるのです」

さやかちゃんと杏子ちゃんで話を広げてしまった後、本題に戻りました。

実はみんなでキュゥべぇとの共存という点で全面協力しづらいという意見になっていました。それならば、と切り出せないのが今の状況です。

「何も考える必要はないんじゃないか。知らねぇもんは知らないんだから、何か頼まれてから動くでいいだろ」

「でも言われるまで動かないというのは良くないわ。何か私たちでも動いてみないと」

「動き方がわからない以上、神浜の皆さんに任せるしかないと思いますよ」

そう、私たちのチームで自発的に動きたいと考えているのはマミさんだけだったのです。他のみんなは、神浜の子から協力して欲しいとお願いされたことを手伝う程度でいいという考えです。

マミさんがもし1人でまた神浜に出向いてしまったら、あの時と同じことになってしまうかもしれない。

それが怖かったのです。

「マミさんは、どうして自ら動きたいっていう考えなんですか」

マミさんは紅茶を飲もうとしていましたが、そのままティーカップをソーサーの上に置きました。

「そうね、私が不安になっちゃうからかな」

一呼吸おいて、マミさんは話し始めました。

「私、なにもしていない状況だと嫌なことばかり考えちゃってね。このまま魔女化しない仕組みが神浜だけのものだったらどうしようかとか。
そうなったら、今ここにいる誰かが神浜へ行くのに間に合わず、魔女化してしまうのではないかとか」

「マミさん…」

「だからね、何か動いたり考え続けたいのよ。そんな不安な考えを思い起こさないように」

みんなはどう声をかけて良いかわからないのか、言葉が出てきませんでした。

そんな沈黙を、なぎさちゃんが破ります。

「またマミは1人で抱え込もうという思考になっているのです。マミへガツンとなぎさが話した時に伝えたはずなのです。
元々マミは弱虫だから、みんなに不安を吐き出せばいいのです。あの時はほむらがちゃんと受け止めていたのです」

「そうですよマミさん。私たち、相談に乗りますよってしか伝えていませんが、不安に感じていることとか全部話してくれていいんですよ」

「鹿目さん…」

「そうですよマミさん。私たち仲間なんだから、なんでも話してください!」

マミさんは少しうれしそうでしたが、目には涙がたまっている様子でした。

「あの、もし何か行動するなら私たちにしかできないことを神浜の子達に伝えませんか」

「というと?」

「多分、神浜の子達は神浜の中のことだけで精一杯だと思うんです。なので、神浜の外の情報を伝えてあげたらいいんじゃないかなって思うんです。恐らくキュゥべぇと接触するのも私たちが確実に多いでしょうし」

「外のことってなにを伝えるんだよ。ここ最近ではなんも変わらんじゃんか」

「変わらなければ変わってないことを伝えればいいんです。もしかしたら、外からしか見えない変化もあるかもしれない」

「うん、私はいいと思う」

「ほむらの意見、私もいいと思うよ」

「私はどうでもいいけど、マミ、あんたはどうなんだ」

「その考えでいいと思うわ。でもみんな無理しないようにね」

「それはこっちのセリフですよ、マミさん」

「全くなのです」

こうして、私たちは神浜の外のことについて調べてその情報を神浜の子へ伝えるという活動目標ができました。

ちょうど、私がいろはちゃんへの連絡先を知っていたので活動方針について伝えた後、神浜の状況も教えてもらおうと思っています。

家へ帰った後、早速私はいろはちゃんへメールしました。

いつになるかはわからないけど、魔女化しない仕組みが世界中に広がって、みんな幸せになれたらなって考えていました。

 

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【マギレコ二次創作小説】魔叙事詩カグラ・マギカ 1-8 神様を連れている女の子

魔法少女になってから1ヶ月もたっていないはずなのに、数ヶ月分の出来事が起きたんじゃないかっていうくらい忙しい日々でした。

マミさんと会って、戦い方を覚えている中でほむらちゃんが転校してきて、幼なじみのさやかちゃんまで魔法少女になって。

そして神浜っていう町について触れていく中で杏子ちゃんと会った後にいろはちゃんや神浜の魔法少女達とたくさんお友達になりました。

そういえばお忍びで神浜の夜空を見たり、不思議なチョコレート屋さんへ一緒に行ったかこちゃんとはしばらく会っていません。また声をかけてどっかにお出かけしたいなぁ。

そう考えていられたらいいんだけど、マミさんがウワサっていうものに操られたり、神浜の魔法少女と一緒にワルプルギスの夜と戦ったり、そして魔法少女の真実が立ちはだかったり。

辛いこともたくさんありましたが、今はいつもよりは平和な日々を送っています。

私とほむらちゃんは、マミさんとさやかちゃんが杏子ちゃんを連れてくるまでのんびりと散歩をしていました。

散歩中は何の取り止めもない会話をしていました。

「早乙女先生、昨日の授業はご機嫌でしたね」

「うん、実はママが早乙女先生と会って何か伝えたみたいなんだけど、それがうまくいったみたい」

「鹿目さんのお母さんと早乙女先生って知り合いなんですか」

「うん、昔から友達みたい。ママもこれであいつもゴールインできるだろうって嬉しそうに話していたよ」

何気ない会話をしながら通学路に沿って流れる小川に沿って歩いていると、木の上に登っている女の子を目撃しました。

「あれ、木の上に誰かいるような」

どうやらほむらちゃんも気づいたようです。

今じゃ滅多に木に登る人を見なくなってしまったので余計に気になってしまったのでしょう。

「人もそうだけど、なんか動物もいるような」

女の子が何か話しながら手を伸ばす先には怯えて震えている黒い子猫がいました。

「あの人、子猫を助けようとしてるんだよ」

「でもあのままだと、枝ごと折れてしまいそうです」

ほむらちゃんと様子を伺っていると、女の子が思いっきり子猫へ手を伸ばして捕まえました。しかし、その瞬間に枝が折れてしまい、女の子は子猫を抱えたまま落ちてしまいました。

「大変!」

わたしとほむらちゃんが急いで落ちた女の子の様子を見にいくと、女の子は目を回した状況でしたが、子猫は胸元で女の子にしがみついた状態で無事でした。

「あの、大丈夫ですか?」

わたしが問いかけてから数秒して女の子がハッと気がつくと、顔を赤くしながら素早く一回バックステップをしました。

思わず、わたしとほむらちゃんもびっくりしてしまいました。

「あの、もしかして一部始終を見られていた感じですか」

「そ、そんな感じです」

「んんん、お恥ずかしいとこをお見せしました」

「あの、よかったらベンチで落ち着きませんか」

ベージュ色が主体のワンピースを着て、ベレー帽をかぶっていても靴はスニーカーというちょっと変わった女の子と一緒にベンチへ座り、そのまま話を進めていきました。

親猫っぽい猫が木の上に向かって鳴き続けていて何だろうなって見上げたら、この子が降りられない状況に出くわしまして」

「それで、木に登ってたんですね」

「親猫は逃げちゃいましたが、この子が助けられてよかったです」

そう女の子が話している間、子猫は女の子の膝の上で丸くなって寝ていました。

「それにしても凄いですね、野生の子猫がすぐ懐いちゃうなんて」

「わたしもびっくりしましたよ。もともと人懐っこい子なのかもしれないです」

「・・・鹿目さん、どうかしました?」

わたしははっと気づきました。

「えと、何だか黒猫を見ていると変に親近感が出てきてね。どこかで会ったかなって考えちゃった」

「そう、ですか」

もう一度女の子に撫でられている子猫の方を見ていたら、女の子の手に、見覚えのある指輪が見えたのです。

「あの、もしかしてあなたは魔法少女、ですか?」

「へ?!」

女の子は急いで指輪をつけている左手を隠しました。

「では、あなたも、そうなのですか」

「わたしもそうですよ。ほむらちゃんも」

思わぬところで魔法少女の子と出会ってしまいました。

お互いに軽く自己紹介をしました。女の子の名前は保別ピリカさん。最近神浜に来たらしく、キュゥべぇから魔女化しないシステムについて聞いて仲間の子と一緒に移動してきたとのことです。

「キュゥべぇ、神浜のことを遠くの人まで伝えているんだ」

「はい、おかげで私たちは魔女になるという運命を変えられるって希望を持つことができました。まどかさん達は神浜へ行ったことがあるんですか」

「ありますよ。いろいろあったけど、神浜で友達もできたし、ワルプルギスの夜っていう強い魔法少女もみんなで倒したし」

「ワルプルギスの夜を!その話、聞かせてもらっていいですか」

いまだに子猫がピリカさんの膝から動かない中、私たちは神浜であったことを軽くピリカさんへ伝えました。

「ウワサ、というのも気になりますが、背中を押してくれた暖かい力というのも気になりますね」

「うん、空が明るくなってピンク色の羽が落ちてきたかと思うと何だか背中を押してもらえてるように勇気が湧いてきたの。みんなにも力が沸いてきて、とにかく不思議だったとしかいえないです」

「なんか当たり障りのない感じ、神浜の自動浄化システムみたいですね」

「え」

ほむらちゃんだけ何か驚いたような表情をしていました。

ピリカさんもその後何かに気づいたかのようにおどおどと話し始めました。

「そ、そんな気がしただけですよ」

何だかよくわからないことで2人がソワソワしている中、ピリカさんの膝の上にいた子猫がむくりと起き上がり、何かに気づいたかのように走り出しました。

その先にいたのは、子猫の親猫と思われる子がいました。

子猫は親猫へすりついた後、蝶を追いかけて走っていってしまいました。

親猫はしばらく私たちの方を向いていて、しばらくしたら子猫の方へ歩いていきました。

「ありがとう、って言っていたのかな」

「多分、そうですね」

「子猫ちゃんもいなくなったことだし、この子を紹介しようかな」

[ちょっとピリカ、何するのさ]

ピリカさんが宙に指を振った先には、赤い色の二枚羽で飛んでいる妖精のようなものがいました。

「え、妖精さん?!」

[あらあら、妖精と同じだと思われるのは心外ですね。これでも歴としたカムイなんだから]

「カムイ?」

「この子はアペ。神様の化身で、魔法少女になったわたしをサポートしてくれるんです」

[ピリカが他人にわたしを紹介するなんて意外だよ]

どうやらピリカさんは魔法少女になってからカムイという神様が見えるようになったとのことです。いつもは他に3人いるようなのですが、今は何かの調べ物に出向いているそうです。

なんか妖精と一緒に過ごせるなんて、お伽話みたい。

キュゥべぇは、妖精とはちょっと違うのが残念だけど。

「あの、なんで私たちにピリカさんの秘密としていることを教えてくれたのですか」

「本来ならば、この街がワルプルギスの夜に襲われる予定でした。それは少し経験のある魔法少女の中では噂されていたことです」

わたしは思わずびっくりしてしまいました。ワルプルギスの夜が見滝原を襲ってしまうなんて未来は想像もできませんでした。

「この街にいたあなた達は、きっと神浜の子にはない大きな力があるのかもしれない、そう思ってしまったからです」

「そういえば、神浜の子達に神浜の外から来たのにここの魔女とまともに戦えるのは凄いって聞いたことが何度もあります」

「そうですか、やっぱり神浜の魔女は特別強いというのは本当のようですね」

「でもね、神浜の子達に調整屋さんを教えてもらったことで私達も神浜の魔女と戦いやすくなったんだよ」

「調整屋、ですか」

「神浜に滞在するなら一度訪ねてみることをお勧めします。場所を送ろうと思うんですけど、スマホとかありますか」

「ごめんなさい、わたし携帯とか持っていないんです。地図見せてもらえますか」

ほむらちゃんがピリカさんへ調整屋さんの場所を教えている間、私はアペさんに話しかけられました。

[なんかあなた、変わった力の強さを感じるね]

「え?」

[もしかしたらあなた、ここにワルプルギスの夜が来ていたら倒す役割を持っていたのかもね]

「どうして、そう言えるんですか」

[因果っていうのは、運命を変える存在ほどたくさん持っているらしいからね。もっとみんなを守っちゃいなよ]

「えと、はい」

神様に私はもっとみんなを守れる存在だって言ってもらえたのかな

でも、もし見滝原へあのワルプルギスの夜が来ていたらと考えてしまうと、私では止められなかっただろうなと考えてしまいました。

ほむらちゃんがピリカさんへ調整屋さんの場所を伝え終わった後、ピリカさんは立ち上がりました。

「それでは私はここで失礼します。まどかさん、ほむらさん、今回はありがとうございました」

「私も、ピリカさんと会えてよかったです」

「したっけ、まどかさん、ほむらさん、また会いましょう」

ピリカさんに手を振っている間、少しの間だけしたっけってなんだろうって思っていました。

「あ、まどかとほむらここにいたんだ」

元気な声で話しかけてきたのはさやかちゃんで一緒にマミさんとさやかちゃんに腕を掴まれて嫌そうな顔をしている杏子ちゃんがいました。

「いやーちょっと待たせちゃったね。ところでさっき向こうに向かって行った子は?」

「神浜に来たっていう魔法少女だよ。妖精さんを4人も連れてるんだって」

「なにそれ、私たちよりマジカルなんだけど」

「おいさやか!いつまで手を引っ張る気だよ。私はもう観念したって伝えたはずだぞ」

あんた手を離すとすぐどっか行くから離そうにも離しにくいんだよ

「少しは信用しろよ!」

「ならまずあんたが信用されるような行動とりなさいよね!」

「もう、やめなさい2人とも」

マミさんが仲裁に入ってムッとした顔をしながらさやかちゃんは杏子ちゃんの手を離しました。

その場が少し落ち着いた後、私はマミさんに一つ質問をしました。

「マミさん、この後はどこに集まるんですか」

「私の部屋に集まるって事でどうかしら、ちょうど紹介したい子もいるのよ」

「紹介したい子?」

私たちはそのままマミさんの住んでいるマンションへ向けて歩き出しました。

 

 

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【マギレコ二次創作小説】魔叙事詩カグラ・マギカ 1-7 有為な夜道今日越えて

「あ、おねえちゃん、やちよさんお帰りなさい」

「お帰りなさい」

みかづき荘にはういとさなちゃんが戻ってきていました。

まなかさんのところへ行っていたさなちゃんはウォールナッツのお店の中で水名女学園の魔法少女達と交流していたとの事です。

雰囲気はいつも通りで、楽しい時間を過ごせたと嬉しそうに話してくれました。

ういは灯花ちゃんとねむちゃんのところに行ってお話をしていたみたいなんだけど、自動浄化システムについて少し話が進んだという話をしていたのです。

「この世に観測できない物があるなんてあり得ない!って灯花ちゃんが悩んでいたんだけど、そこからねむちゃんや桜子さんと一緒に観測できないものって何だろうなって考えてたの。みんなは何だと思う?」

「そうね、概念とかかしら。人は呼吸しないといけないとか、寝なきゃいけないとか」

「すごいやちよさん!すぐに思いついちゃうんだ!」

「それ以外って言われると難しいわね」

「概念なら仕方がないよねーって話になった後、じゃあ概念はどう観測できるかとか難しい話になっちゃって、聞いてる私は疲れちゃった」

「結局わからなかったって事ですね」

「概念だって片付けられちゃうと、どうしようもないわね」

灯花ちゃんはまだ諦めていないみたいだけど、私たちにはこれ以上自動浄化システムについて調べることは無理だという結論になってしまいました。

「神浜にしかないっていうのが何かヒントにならないかな」

「神浜のみんなに聞いてみてはどうでしょうか。何かいい答えが出るかも」

「そうだね、みんなに意見を求めてみるね」

神浜の魔法少女の間ではワルプルギスの夜を倒した後に専用のSNSを用意して情報交換を行うようになりました。

そこへ私はういから聞いた話を書き込み、さなちゃんからの提案通り、神浜にしかないものを募集しました。

その結果、今度の集まりで意見をまとめることになりました。

ちょっとは活動方針を示せたのはいいことかな。

太陽が夕日に変わる頃、ふとやちよさんが話し始めます。

「そういえば夕ご飯の買い出しがまだだったわね」

「あ、それなら私が行ってきますよ。ここからそんなに遠くないですし」

「おねえちゃん、私も行く」

「私もご一緒しますよ」

「それなら私は留守番しておくわ。フェリシアが帰ってきた時に誰もいなかったら何があるかわからないし」

「あはは」

私とうい、さなちゃんで夕ご飯の買い出しへ行くことになりました。今日は新西区の西側にあるスーパーで安売りが行われているとやちよさんが言っていたのでそこへ向かうことにしました。

「えっと、今日の料理担当は」

「私とういちゃんです」

「ああ、だから」

「もうおねえちゃんったら、昨日の夜に話したのに」

「へ!そうだったけ、ごめんね」

昨日の夜のこと、普通ならば覚えているはずなのに、今日は衝撃な出来事が多くて頭から抜けてしまっていたようです。

魔法少女のこと、考えすぎたらいけないなと実感した瞬間でした。

「おねえちゃん、何か食べたいものある?」

「そうだなぁ、今日は揚げ物が食べた気分だなぁ」

「あ、それならお野菜とかの天ぷらにするね!私天ぷら作ってみたかったんだ」

「でも、作るときは跳ねる油に気をつけなきゃダメだよ」

「大丈夫ですよいろはさん、私も手伝いますから」

「うん、お願いね、さなちゃん」

ういと、さなちゃんと話していると自然にいつもの日々に戻ってきた気がしました。

何気ない会話を交わして、みんなで楽しい時間を過ごせる。

やっぱりみかづき荘のメンバーが集まるほどに、楽しい気分になっていく気がする。

楽しい気分だと、自然と行き先が近く感じてしまいます。

スーパーに着いた後は、出かける前に書いて持ってきたメモに沿って買うものをカゴに入れていく、といういつもの流れです。

そういえば、最近のスーパーではお客さん自らがバーコードをかざして袋に入れ、そのまま支払いをするというセルフレジが増えています。

私も使用したことはありましたが、バーコードをなぜか読み込んでくれなかったり、バーコードがない商品はどうすればいいのかなど、わからないことだらけだったことを覚えています。

やちよさんから使用方法を教えてもらったことで人が少ない状態であれば時々使うくらいまで使いこなせるようにはなりました。

今回もセルフレジの方で会計を行おうと向かったところ、1人の女の子がセルフレジを見つめながら何か悩んでいました。

「ねえ、おねえちゃん」

「なに、うい」

「あの女の人、初めてセルフレジに触れたおねえちゃんみたいになってない?」

「えっと、ちょっとお手伝いしてくる」

何気ない話し方で図星しちゃうことを言っちゃうういの言葉を聞いて、灯花ちゃんに似た考えにならないかなと不安になってしまいました。

「あの、よかったら」

「うわわごめんなさい店員さん!バーコードが無いからどうするかわからなかっただけなんです!」

「わ、私店員さんじゃないですよ」

「え、じゃああなたは?」

「困ってそうなので声をかけてしまいました。よかったら使い方を教えましょうか」

「えと、すみません、お願いします」

セルフレジの使い方について教えている間、さなちゃんとういは無難に店員さんのいるレジに並んで会計を行ったようです。

セルフレジに悩んでいた女の子が買い物袋を持っていなかったのでどうしようか悩んでいたところ、女の子の友達が駆けつけてきました。

「静香、普通のレジにいないと思ったら難易度の高いセルフレジにチャレンジしていたんですか」

「そうだよ静香ちゃん、普通にレジに並ぼうよ」

「いや、今後はセルフレジが主流になっていくらしいじゃない?なら、少しは使えるようになっておこうと思って」

「最近ICカードへチャージできることを覚えたばかりなのに、急ぎすぎですよ。人様にも迷惑をかけてしまっていますよ」

「えっと、今回はありがとうございます。助かりました」

「いえ、突然声をかけてご迷惑になっていなければよかったです」

「はあ、村から出た時にレジを触ったことがあるから大丈夫だと思ったんだけどなぁ」

「え、今、村からって」

「えと、私たちは最近神浜に来たばかりで、あまり都会に慣れていないんです」

神浜に来たばかりの女の子達は、時女静香さん、広江ちはるさん、土岐すなおさんと言い、今は急いで都会の生活に慣れようと頑張っているところでした。

「なんでそんなに慣れようと急いでいるんでしょう」

「理由は話せないんですけど、どうしても慣れる必要があるんです」

あれ、今さなちゃんの問いかけに答えたのかな。

「もしかして、3人は魔法少女ですか」

「「え!」」

「それなら、私が見えてるってことですか」

「もちろん見えているよ」

「魔法少女のことを知っているってことはあなた達も?!ちょっとお店を出てから話しましょう」

まさかのさなちゃんを認識できるというそれだけで3人が魔法少女であるということがわかってしまいました。

やちよさんは魔力反応を検知できるとのことですが、私たちはさなちゃんがいなければ静香さん達が魔法少女だなんて知ることもできませんでした。

「静香さん達が神浜に来た理由って、もしかして自動浄化システムについて話を聞いたからですか」

「自動浄化システムって、魔法少女が魔女にならない力のことですか」

「そうですよ」

「それならば、答えはその通りです。私たちは九兵衛様から神浜のことを聞いて、その力を手に入れるために神浜へ来ました」

「手に入れるって言っても、別に奪っちゃうとかそういうわけじゃないよ。分けてもらおうと思っているだけ」

やはり静香さん達にも自動浄化システムは手に取れるものだと伝えられて、ここまで来ていたのです。

午前中にカレンさんに言われた通りに伝わってしまっている。ならば、わかってもらうために話し合わないと。

「実は私たち、神浜の魔法少女達で自動浄化システムを広げることを目標として組織みたいなものを作ったんです。今は広げ方を話し合っている最中で、よかったら話し合いに参加してもらえないでしょうか」

唐突なお願いで、静香さん達はお互いに顔を合わせて何かを話し合っていました。これが誤解を解いていくための初めての試みとなってしまって不安でいっぱいでした。

「いろはさん、その話、喜んで参加させてもらいます。いや、むしろ参加させてください」

「本当ですか」

「ただ、私たちも他の魔法少女を束ねる立場にいます。なので神浜の組織には参加しないで、協力の立場とさせてください」

「大丈夫ですよ、宜しくお願いします」

「神浜に滞在するなら調整屋さんを教えたほうがいいね」

「調整屋さん?」

私たちは情報交換を行うためにお互いの連絡先を交換しました。

魔法少女のSNSについては3人とも使い方がわからないということもあり、情報交換はメールや電話でのやりとりで行うことになりました。

調整屋さんの場所については後日訪れたいとのことだったので場所だけは地図も合わせて教えておきました。

「今回は本当にありがとうございました。今度行われる話し合い、楽しみにしています」

「はい、こちらこそお待ちしています」

「ういちゃん、さなちゃん、またね!」

「またねー」

私が静香さん、すなおさんと話をしている中、ちはるさんとうい、さなちゃんはお互いの夕ご飯についての話で盛り上がっていたようで、すっかり仲良くなってしまったようです。

「遅くなっちゃいましたね。真っ暗になる前に帰りましょう」

「そうだね、さなちゃん」

詳細なことは話せていないけれど、話し合いの場に参加してくれるということになりホッとしました。

話せばわかってくれる。

もっと外から来た魔法少女と話し合って、そして。

そういえばまどかちゃん達との情報交換をしばらく行っていないことを思い出しました。

帰ったら一言メッセージを送っておかないと。

「「ただいまー」」

悩むことはたくさんあるけれど、みかづき荘のみんなといると、とてもリラックスした気分になります。

今晩は、妹が作った料理を食べられて、とても幸せな気分になっちゃいました。

 

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【マギレコ二次創作小説】魔叙事詩カグラ・マギカ 1-6 憂い心から来る焦り

私が神浜に来てからたくさんの出来事がありました。

最初は小さなキュゥべぇを探すことから始まり、ういを探す為に神浜に滞在するようになって、最終的にはワルプルギスの夜を倒してしまいました。

ういは戻ってきたけれど、マギウスが成し遂げようとしていた自動浄化システムを世界に広げて魔法少女の解放を目指すという新たな目的ができました。

自動浄化システムを広げること、そしてキュゥべぇとの共存を目指すという目的を掲げて、神浜マギアユニオンという組織まで誕生してしまいました。

神浜マギアユニオン結成後はマギウスの翼残党と戦ったり、灯花ちゃんの考えた果てなしのミラーズを通して不思議な力と接触しようとしてトラブルが起きちゃったりといろいろありました。

いろいろあっただけに、私の頭の中は物事の整理ができていない状態です。

そんな休日なのに頭を抱えている私を見たからなのか、やちよさんから一緒に外を見て回ろうって提案されたので、今は被害が大きかった中央区へと歩いています。

他のみかづき荘のメンバーはというと、

鶴乃ちゃんはお店を再開できるようにするための手伝い、

フェリシアちゃんは友達のところへ、

さなちゃんはまなかさんのところへ、

そしてういは灯花ちゃんとねむちゃんのところにいます。

やちよさんと2人きりというのは久々のことでした。

中央区へ着くと、電波塔の周囲は瓦礫撤去で忙しそうな雰囲気でした。

しかし、そこから少し離れるとほとんどのお店が営業を再開していて多くの人で賑わっていました。

「すごいですね、大災害があったあと少ししか時間が経っていないのに、もういつも通りな感じになってます」

「そうね。お店自体にも打撃はあったでしょうけど、活気があるのはいいことよ」

「そうですね。わたしも前に進めるよう早く考えないとなぁ」

「いろは、せっかく気分をリフレッシュしにきたのに考え込みすぎわいけないわ。ちょっと近くのカフェによって気持ちを楽にしましょ」

「すみませんやちよさん、そうさせてもらいます」

神浜マギアユニオンを結成すると宣言した私たちは、今後の神浜の魔法少女達のことを考える立場になりました。

何かトラブルがあったり悩み事があれば解決するために動く。

そしていまだに謎な自動浄化システムについても進展がなく、わたしは少し焦っていたのかもしれません。

魔法少女のことについて考えるのもそうですが、学校生活についても考えていかないといけないことが多くなります

今までも学校生活と魔法少女活動の両立をやってきましたが、最近は魔法少女活動に偏っていて学校生活が疎かになっている気がしてなりません。

これもきっと、焦ってしまう理由なのかもしれません。

どこか休める場所を探していると、妙に人気が少ない広場に出ました。

「あれ、周りはお店の準備がされている状態なのに人がいない」

「鍵も開いた状態ね。カバンが置きっぱなしのお店もあるし、もしかしたら」

その時、わたしのソウルジェムに反応がありました。

魔法少女になってから戦い続けないといけない存在の反応です。

「こんなところに魔女がいるなんて」

私たちは魔女の結界に飲み込まれ、周囲の風景は見慣れた異様な空間へと変わっていきました。

私とやちよさんは魔法少女へと変身し、結界の奥へと進んで行きました。

入り口付近は使い魔の数が少なく、2、3階層ほど進んだ頃に魔法少女の反応を検知しました。

「他の魔法少女がいる?」

「苦戦しているのかもしれないわ、いくわよ、いろは」

「はい!」

最深部へ行く道のりから少し離れたところに魔法少女はいました。
見た様子は苦戦している様子ではないようでしたが。

「あら、この街の魔法少女ですか?」

「そうだけど、なんですか、この状態は」

結界の中で出会った魔法少女の後ろには保護された人たちが眠っていました。

しかし周囲には鋭利なもので何度も刺された状態の死体が沢山あったのです。

「使い魔の仕業ですよ。私が来た頃には見ての通り数人は手遅れだった。だがここで保護している人たちで全員のはずです」

「神浜でここまでする使い魔は久々かも」

魔女のほとんどは人々を捕らえ、魔女の口づけを付けてどんどん被害を広げていく場合がほとんどです。

今回のように、結界の中で直接手を下す魔女というのは滅多に見たことがありません。

「私はこの人たちを守っています。あなた達でここの魔女を倒してもらえますか」

「ありがとう、助かるわ」

「お願いします」

私たちは再び最深層へ進みますが、使い魔の数はこれまた少なめでした。

最深層へ行くと、柵のような壁の中で震える羊のような魔女を発見しました。

「厄介な相手ね。相手が反撃態勢に入ったらあまり攻撃を加えないようにね」

「はい」

神浜にいる魔女は、マギウスによって増やされた魔女の残りがたくさんいる状態であり、目の前にいる羊の魔女も何度も見かけた魔女のうちの一体です。

強さは時によっては違いますが、羊の魔女は高確率で攻撃を加えた相手へカウンターを行ってきます

倒せると確信できる時以外は、無理に攻撃しないほうが良いです。

羊の魔女は紫色の球体をいくつも私たちの方へ飛ばしてきました。

私はかわすことしかできませんが、やちよさんはいくつかを払い落としながら進んでいました。

そのおかげか、魔女はやちよさんの方へ夢中になり、私はその間に柵へとダメージを与えます。

5、6撃ほど弓矢を当てると魔女の周囲に貼ってあった柵は崩れていきました。

突然柵が壊れたことで魔女は動揺していました。

「やちよさん、おまたせしました!お願いします!」

私は魔力を込めた弓をやちよさんの頭上へ放ち、上空ではじけた矢はやちよさんを癒し、槍へ魔力をまとわせました。

「ありがとう、このまま終わらせる」

やちよさんは周囲へ槍を複製し、魔女へ向けて放ちました。

動かないタイプの魔女だと知っているため、放たれた槍はすべて魔女へと刺さりました。

「出し惜しみしないわ」

魔女の側へと近づいたやちよさんは上空に再び槍をいくつも複製し、魔女へ向けて降り注がせます。

槍だらけとなった魔女は最後の反撃と言わんばかりに紫色の球体をやちよさんへ向けて放ってきました。

「当たって!」

私が放った矢で怯んだ魔女へやちよさんがとどめをさします。

「終わりよ」

やちよさんの攻撃で魔女は貫かれ、糸がほつれるように形が崩れていくと同時に結界も崩れていきました。

「やちよさん、やりましたね」

「ちょっと手強かったけど、ありがとう、助かったわ」

いつも通りに魔女を倒した私たちは、巻き込まれた人たちを保護してくれた子のもとへと行きました。

「お疲れ様です。魔女は倒せたようですね」

「あなたがこの人たちを保護してくれていたおかげよ」

結界の中で会った魔法少女は変身を解いた状態でした。パーカーに短パンというどこか杏子さんに似た服装をしていましたが、帽子をかぶっていたのでまた別の雰囲気に感じました。

「そうだ、これも何かの縁だから神浜のことについて教えて欲しいな。どこか落ち着いた場所で話したいし、カフェに行きませんか?お金は私が出しますよ」

「いろは、どうする?」

「ちょうど私たちもリラックスしたかったところなんです。なので、お言葉に甘えてもいいですか?」

「ありがとう、助かるよ」

近くのお店へ入り、改めてお名前を聞いた彼女は日継カレンさんといい、自動浄化システムに興味を持って仲間と一緒に神浜へきたとのことです。

私たちも自己紹介をして、神浜で最近まであったことを簡単に話しました。

「それにしても、魔法少女の話を一般人が多い中するっていうのも不思議な感じです

「そうですか、私たちはあまり気にしないで話していることが多いですけど」

「いやほら、キュゥべぇと話する時とか不思議ちゃんに見られそうで気にしないですか」

「キュゥべぇは神浜には現れないわ」

「うん?キュゥべぇならそこに小さいのがいるじゃない」

小さなキュゥべぇについては話せば長くなってしまうので軽く説明して終わりました。流石にういの記憶を持っていたとか、この子のおかげで自動浄化システムが維持されたとかは話していませんが。

「なるほど、ワルプルギスの夜を倒した後は神浜マギアユニオンという組織を作ってこの街の魔法少女達で自動浄化システムを広げようとしてるのですね」

「そうなんです。まだまだ発足したばかりですけど、よかったら参加しませんか。自動浄化システムを広げようとしているなら、協力しあったほうがいいと思うんです」

「協力ね。でも、あまり進展がないんでしょう?」

「そう言われると、何も言えないです」

「おっと!気を落とさないで、まさか悩んでいるっていうのはその件で?」

「そうなんです。考えることも多い上に何も進んでいないのが何だかリーダーとして情けないなって」

「いろは」

思わず本音を出してしまいました。初対面の、しかも神浜の外から来た魔法少女へと。

カレンさんはその後相談に乗ってくれました。

思い起こせば、ただ一方的に私とやちよさんで今後のことについて話していましたが、カレンさんは真剣に話を聞いて、助言等をくれました。

その助言の中でも、特別驚いたのが。

「キュゥべぇへ自動浄化システムについての情報を共有?」

「でもリスクが高いわ。万が一、彼らに何か手を加えられるようなことがあれば」

「ちょっと待って、キュゥべぇとの共存も掲げているんでしょ?いずれ共有するだろうに」

「実は、何度か会話しているんですけど、考え方が一致しない状態で。だから、今のところは自動浄化システムのことに集中しようってことにしてるんです」

「そういう方針ならいいけど。それじゃあ、そのキュゥべぇから神浜についてなんて伝えられたか教えてあげる

カレンさんによると、神浜の外の魔法少女へは自動浄化システムは手に入れられるものであり、中には奪おうとしてる人たちもいるということも知りました。

「現状と違った情報が広がっている。私たちが、しっかりとキュゥべぇへ伝えなかったから」

「魔法少女にとって、キュゥべぇっていうのは貴重な情報源。キュゥべぇは嘘をつかないけど、意識の違いがあれば彼らなりの推測で話が進んでしまう。それをみんなは真実だと思って行動しちゃうんです」

「迂闊だったわ。キュゥべぇが外部へどう伝えて回るのかまで考えていなかった。これは外から来た子たちに会ってしっかり説明しないと」

ガムシャラに解決方法を探して回っていた日々から、今回の話し合いで何処をどう探せばいいのか、どう対処すればいいのかが整理されていきました。おかげで、みんなにお願いしたいことも明確になっていきました。

しかし肝心の自動浄化システムの正体が掴めていないのは今後に響く気がします。その件については、私から仲間へも伝えておきます。組織に加わっても、そうじゃなかったとしても協力はしますよ」

私の心の中は少しだけスッキリしていました。きっと本音を気にせず話してしまったからかもしれません。

お金を出そうとしましたがカレンさんに止められてしまい、私たちはお店の外へと出ました。

「ちょっとは悩み事が解消されましたか?」

「はい、おかげさまで少し楽になりました」

カレンさんはその場を去り、私とやちよさんだけになりました。

「そう言えばやちよさん、さっきから静かでしたけど何かありました?」

「いえ、カレンさんなんだけど実はお店の中にいる間、一度も彼女から魔力反応を感じられなかったのよ」

「え、それってどういうことですか。さなちゃんみたいに気配を消せるってことですか」

「その可能性はあるかもしれないわ。でも一番の問題は、彼女の魔力パターンが分からなかったことよ。初対面で警戒していたかもしれないけれど、終始魔力を隠し続けたということは何か裏を感じるわ」

「考えすぎだとは、思いますけど」

みかづき荘へ帰る道中、私は自動浄化システムのことについて考えていました。

自動浄化システムはイヴへういの記憶を持っていた小さなキュゥべぇ”クレメル”が合わさったことで完成したことまでは知っています。

でもういはあの後自動浄化システムについては何も感じ取れなくなったといっていました。その代わり、神浜の雰囲気が温かい感じになったというようになったのです。

例えると、コタツの中にずっといるような、との事です。

つまり、今のところは自動浄化システムについてのつかみどころが全くない状態なのです。

いつかは実現できるからと言い続けるしかできないのがとても辛いのです。

もし神浜の外から来た魔法少女が納得してくれなかったら。

悩み事解決のために出かけたはずが、もっと考え込む結果となってしまいました。

 

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