【マギレコ二次創作】魔叙事詩カグラ・マギカ 2-4-12 カグラマギカ

カレン達は通路を急いで進み、地下7階部分の穴から外へと出ていた。

カレンはデコーダを浮かせて糸をペンタゴンの壁へ貼り付けてワイヤーアクションのように移動して屋上へと向かった。

その後を追うようにジーナとかこも壁を登って行ったがカレンには追いつけなかった。

ペンタゴンの屋上には自動砲塔が用意されていたものの、電気が通っていないのか銃口を下げた状態で動こうともしなかった

そんな屋上をただ通り過ぎたカレンはペンタゴンの中庭まで走り抜け、中央に立つ電波塔へデコーダをかざした。

「入場可能コードを確認」

電波塔の扉からアナウンスが聞こえた後、扉はロックが外れる音を出して自動で開いた。

電波塔の中は薄暗く、大きな画面とキーボードが一つ、そしてデコーダを差し込むことができる端末ひとつしかなかった。

カレンがデコーダを端末へ差し込むと画面が起動して接続先を聞いてきた。

その選択肢にはマギアネットワークの選択肢もあった。

[ここからはシオリの出番だね。

ピリカは希望を集める準備をして]

[わかったよ]

[後はこいつで集めた希望を願いへ具現化できるかだけど]

シオリはカレンの体を借りてキーボードを打ってネットワークを繋げていった。

大きな画面には次々とネットワークが繋がってゆく様子が映し出されていた。

[アドレス知らなくても繋げてくれるから楽勝だわ]

画面に映し出された接続先に全て接続されたことを確認したシオリは、ピリカへ体の操作権を譲った。

「イペタム、デコーダを通して希望を集めて!」

目の前にイペタムが現れ、デコーダから希望を吸い上げ始めた。

さらにデコーダにはカレンの糸が接続され、世界中へ語りかけた。

カレンの語り掛けはデコーダによって統合されたインターネット、マギアネットワークを通して世界中の魔法少女達へ伝わった。

[魔法少女達、今この世界ではもうすぐ核ミサイルが発射されてしまう。

だが、何もすることもできないとあきらめないでほしい。

核ミサイルなんてものともしない明るい未来があると、希望を捨てず願ってほしい

その皆が輝かせた希望を、私たちが願いへと変換してみせる。

だから、あきらめず輝かせてほしい、皆の希望を!]

その声を聞いて気絶していたミアラが目を覚ました。

ミアラが目を開けたことで周囲の魔法少女達が歓喜した。

「ミアラ!よかった目を覚ましてくれて!」

「頭痛はひどいが、なんとか生きているようだ。

今の状況は最悪で、頼みの綱はカレンといったところか」

「ミアラにも声が聞こえていたの?」

マギアネットワークがろくに機能しない状況でよく声をここまで届けられたものだ

まあ今は願って協力するしかない。皆の未来のためだ」

戦闘が行われていない地域では魔法少女達が核のない未来を思い描き始めており、魔法少女達の周囲には黄色く輝く光が空へ飛んでいきはじめた。

戦闘が行われている地域では、手を止める魔法少女が出始めるものの、警戒のために祈りまでに至るものは少なかった。

「人間にさっきの声は聞こえていないのかよ!」

「手を止めないってことはそういうことだろ。

つくづく残念な奴らだと思ってしまうよ」

「仕方ない、他の奴らに願ってもらってことが済むのを待つしかない」

戦闘中の魔法少女はこんな考えに至るものが多かった。

魔法少女達が抱く希望はインターネットを介してデコーダを中継して電波塔へ集められていた。

「足りない。この程度の希望だと核ミサイルの脅威を覆せない」

[人の罪を覆すほどの希望が足りないって言うのか。

まあ殺された数と戦闘中の魔法少女もいるとしたらそうなってしまうか]

[ダメだよ、敵わないで終わるだなんて]

カレンは電波塔を出て中庭へ出て両手に糸で形成された扇を持った

[カレンやめろ!今やってもソウルジェムが耐えられない!]

シオリがそう言ってもカレンは止まろうとしなかった。

「気にするな。ただ神頼みするだけだ。

神呼びの神楽くらいなら死にはしないよ」

カレンはその場で神呼びの神楽と呼ばれる舞をはじめた。

神呼びの神楽はカレンが異世界から来た人物であることの証である。

カレンがもといた世界では世界の安寧を保つために定期的に行われていた演舞があった。それは神呼びの神楽と呼ばれていた。

例えその世界へ意地でも干渉しようとしない神であったとしても、神呼びの神楽だけは快く受け入れ、世界に降りて人々へ信託と力をもたらしていた。

神呼びの神楽には舞子となる人物の素質が反映されていて、基本となる踊りの型は体が覚えるまで練習が必要だが、ほとんどは心のままに踊ることが主流であった。

そのため舞には舞子の価値観がそのまま反映されて、その内容によっては神が降りてきたあとに人々へいきなり説教を始めたこともあったという。

カレンの場合は両手の扇を開いたまま周囲から何かを引き寄せる動き、その後は周囲へ何かを撒く動きをした後に両手の扇を閉じて3度ぶつけ合う。

再度扇を開いて両手で波を描くように上下へ振り、身体は円を描くように歩いていた。

これを神から応答があるまで続ける。

両手の扇を閉じて3度ぶつけ合うことは、カレンがいた世界では神に対する不敬となる行為であった。

神のこれまでの行為を嘲笑う。そんな意味が込められてしまっていると言う。

カレンが踊る神呼びの神楽は不敬上等な内容であり、「世界を見守る立場でこんな結果になるまで放っておく奴なのか」そういう想いが反映された結果であった。

しかしこれはカレンがいた世界での解釈。

この世界ではこの舞で、一度神に似た何かがカレンへ応答したことがあった。

カレンはそれを頼りに舞を舞っている。

[さあ答えてみろ。

一度繋がったんだ、この事態でこの世界を見捨てるような奴なのか?]

カレンはそう思いながら舞い続けた。

そして、聞き覚えがある声が聞こえてきた。

[やっと見つけた。あなたの声は聞こえているよ]

カレンの舞に反応したのは鹿目まどかに似た声の「何か」だった。

その声が聞こえた後に、「何か」は世界中の魔法少女達へ語り掛けた。

[大丈夫、みんなの頑張りを絶望で終わらせたりはしない]

その声が聞こえた後、世界中の空からピンク色に光る羽根が落ち始めた。

ピンク色に光る羽根が地面へ落ちると、地上から次々と黄色い光が天へ登り始めた。

これは魔法少女だけではなくただの人間にも目視できるようで、戦いの中にいる魔法少女と人間双方が手を止めた。

「何が起きているんだ」

世界中の戦いが止み、魔法少女達には再びカレンからのメッセージが聞こえてきた。

[お願いだ、みんなの希望を輝かせてくれ。

願ってくれ、核ミサイルが地上に落ちない未来を!]

戦っていた魔法少女達は無理を承知でその場で祈り始めた。

「いいよ願ってやるよ、叶えてくれよカレン!」

この不思議な現象は神浜でも発生していて、全ての魔法少女が希望を抱きながら祈っていた。

灯花とねむは空から降ってくるピンク色の羽根を見てどこか懐かしんでいた。

ワルプルギスの夜を討伐した時もこんな現象が発生していたよね」

「灯花が無理して観測しようとして、結局断念した挙句にあらぬ疑いも生んだことを覚えているよ」

「もう、変な話を掘り返さなくていいから」

「仮説でしかないが、魔法少女を後押ししようとする何かの力であるのは確かだね」

「これだけじゃ終わらないはずだよ」

そんな中、なぎさは動かなくなったピンク色のキュゥべえを掴み、空を見上げるだけだった。

「もう、なぎさが探すまでもなかったのです。

あのカレンって奴が円環の理との接触を図った奴だったのですね。

もうここまで繋がったら円環の理とピッタリ繋がったも同然なのです。

円環の理はそれで良いのですか。ほむらの時のようなことが起きても知らないのですよ」

カレンは動きを一度止めて別の舞に切り替えた。

[自称神、希望収集を手伝ってくれ。

願いは私が叶える]

[カレン?]

シオリやピリカも不思議に思う中、カレンは両手の扇を広げた後、左右から顔の前で奥義が重なるようにゆっくり動かした。

カレンはゆっくりと目を閉じた後に目を開いて両手を天へ向けた。

「希望を、願いへ!」

カレンがそう唱えると電波塔に集まっていた希望は糸をつたって一気にカレンへ流れ込み、扇を通して天へ希望が流れていった。

[カレンやめろ!こんな量を仲介したらソウルジェムが壊れる!]

[知ったことか。1人の犠牲で一つの世界が救われるんだ。安いものじゃないか]

カレンは扇を地面に向けたまましゃがみ込み、地面を掘り返すような動きで立ち上がって扇を天へ向けた。

しばらくはその動作を周囲に行った。

この間に地面からは希望と同じ光が天へ向かっていった。

そして同時に不可思議なことが起こっていた。

カレンへ向けて祈っている魔法少女達の周囲には、死んだり魔女化したはずの魔法少女達が幽霊のような姿で現れるようになっていた。

ミアラの近くにはアンカーを操っていた魔法少女が笑顔で現れていて、近くにいたレベッカには肩をポンポンと叩いて励ましているようだった。

「なんだよこれ、ずるいじゃないか」

泣いてしまったレベッカの涙を拭ったアンカーを操っていた魔法少女は何も喋らず、レベッカの頭を撫でるだけだった。

「これは。バチカンの時とは違う。
何が起きてるんだ」

いろは達の近くにはかなえやメルの他に十七夜やみたま、ももこ、レナ、かえでとたくさんの魔法少女達が現れていた。

「みんな、力を貸してくれるの?」

いろはがそう尋ねると皆恥ずかしそうな笑顔を見せた後にうなづいた。

「ありがとう、みんなお願いね」

半透明になっているメンツに十七夜が混ざっていたことにやちよは悲しんでいた。

ひなのや令達のところへも十七夜は現れ、皆が十七夜の行方を察してその場で悲しんだ。

欄のところへは燦が現れていた。

「今更目の前に現れてなんの用だ。

化けて出るならみふゆさんのところにでも行け」

燦はどこか自信ありげな顔をした後に欄へ指を差した。

「消えてからもイラつかせる奴だな。これから私は好きに生きさせてもらう。

もう構わず成仏しろ」

そう言う欄を燦は困った顔で見つめるだけだった。

ペンタゴン周辺でもこの世を去ったはずの魔法少女達が出現していた。

結奈と樹里の近くにはアオとひかる、そして結奈の先輩が出現した。

その姿を見て、弱々しく樹里の膝の上に頭を乗せていた結奈がつぶやいた。

「あら、もう迎えがくる頃だったかしら」

「縁起でもねぇこと言うんじゃねぇ」

そんな2人を見守っていた博のところへ咲とツバキが戻ってきた。

「博!なんともなかったか」

ツバキがそう博へ話しかけると、博の後ろから1人の魔法少女が笑顔で顔をのぞこせていた。

「トドロキ!」

トドロキと呼ばれる魔法少女は三重崎の魔法少女のメンバーであったが、カレンとの揉め事で殺された魔法少女だった。

「ふむ、カレンは粋なことをしてくれたようだな」

博が1人で納得しているとツバキがトドロキへ抱きついて泣いてしまっていた。

質量はあるようで、トドロキはツバキを受け入れることができていた。

「今はあの世と近いってことか?」

「いや、魔法少女はあの世とか言う概念なく漂っているだけじゃないのか。

幽霊みたいにさ」

「幽霊ねぇ。一体何千年分の魂が溜まっているんだか」

ペンタゴンの屋上では空を見上げていたかこの近くにななか、あきら、美雨が現れていた。

自分が作り出した再現ではないとわかった瞬間に、かこはななかの手を握り、膝をついて泣きながら懺悔した。

「ごめんなさい。私が弱かったばかりに皆さんを・・・
ごめんなさい・・・」

3人は優しい顔でかこの頭を撫でるだけだった。

そんなかこの様子を眺めていたジーナの近くには、同じく魔法少女になって魔女化してしまったジーナの妹が現れていた。

「なんだよ、あの時と同じ大きさじゃないか。

お前を魔法少女にするべきじゃなかったのに、悪かったな」

ジーナの妹は不安そうな顔をしていたが、首を横に振った後に満面の笑みを浮かべた。

「励ました気か?ありがとよ」

 

ペンタゴンの外まで来ていたカルラとイザベラは大きなペンタゴンの残骸付近にいた。

カルラはイザベラを残骸に寄りかかるよう座らせて、イザベラがつけているインカムを外して近くに投げ捨てた。

その瞬間にイザベラの頭には希望を願う魔法少女達の声が聞こえてきた。

「何が、起こっているんだ」

意識が朦朧としているイザベラの近くには半透明な魔法少女が立っていた。

その姿は黒髪で白人にしては鼻が少し低め、イザベラと同じく目はこげ茶色だった。

そして声が聞こえてきた。

「もう、ここまでめちゃくちゃにしちゃって悪い子ね。

でも私はイザベラを否定しないよ。よくここまで頑張ったね、えらいえらい」

「誰の声だ?」

イザベラは声がした方向にいる半透明な魔法少女の顔を見ても誰なのかはわからなかった。
しかしその声と漂う魔力からは懐かしさを感じていた。

そんな2人を横目に見ていたカルラは半透明の魔法少女へ話しかけた。

「言葉を伝えられるのはお前だけか」

カルラの問いに反応して半透明な魔法少女が反応した。

あなたは声を伝えるべきっていう円環の理とカレンからの粋な計らいだよ。

イザベラがお世話になっております」

「円環の理か…
それにしてもこんな結末で褒めるとは、母親としてどうなんだ」

「あら、長く生きているのに何も変えられなかったあなたが言うこと?
人を変えようと一生懸命足掻いたイザベラの方がましじゃないかしら」

「知ったような口を利くじゃないか」

そう話している間にキュゥべえがカルラ達に追いついた。

「やっと追いついた。

イザベラがまだ生きているようで助かったよ」

「何をする気だ」

カルラがそう聞くと、ディアがいつも見せていたような悪い笑顔でキュゥべえが答えた。

「それはもちろん」

キュゥべえがイザベラの顔を見ながら問いかけた。

「イザベラ、僕と契約して魔法少女にならないかい?

君ほどの因果量であればこの状況を覆すことが可能だろう」

「この期に及んで貴様は」

カルラはそう言って呆れている中、半透明な魔法少女は不安そうな顔をしていた。

イザベラはアンチマギアと失血によって意識が朦朧としている中、右手で拳を作り、鬼のような形相で答えた。

「ふざけるんじゃない。

人類史は人類自らが作り替えたり覆すからこそ意味があるんだ。

魔法少女なんて力、死んでも借りる気はない!」

「やれやれ。

シャルロットからも娘であるイザベラを説得してくれないか」

「私がそんなことをするわけないじゃないの。諦めなさい」

「人間の親子というものには絆というものがあるんじゃないかい?

それならなおさら」

カルラは空を見上げながらキュゥべえへ話しかけた。

「そこまでだインキュベーター。今後もお前を見張らないといけないことはよくわかったよ。

お前達的には今の状況をどうも思ってはいないのか」

キュゥべえはカルラの隣まで移動してから話しかけた。

「やりようがなければ必死にイザベラを止めていただろうね。

でも今は日継カレン達がどうにかできるという期待があるから焦るべきことではない。

彼女達には実績があるからね。君の友人であるキミアを葬ったのはこの力だよ」

「そうか、キミアに対してこんなことがされていたのか」

「希望を集めて願いを実現させる力、そりゃ興味が湧くよ。

個体数がいれば念密に観察を行いたかったよ」

「だが、今回はどうだろうね」

カレンはペンタゴンの中庭で踊り続けていて、扇で波を描くようにその場をくるくる回っていた。

カレンの体は青白く輝くようになっていて、カレンを通して地上の輝きが空へと流れていた。

そしてついに核ミサイルのカウントがゼロとなり、全世界の核を搭載したICBMやミサイルが空に向かって打ち上げられた。

カレンは天高く扇を掲げて願った。

「核兵器や放射能による被害を、この世界から打ち消して!」

その願いは世界中の魔法少女達にも伝わり、天を漂っていた希望の光は地球全体を包み込んだ。

地球を包み込む光は全てカレンを通して形成されていった。

カレンの体からは青白い粒子が空へ飛んでいくようになり、カレンの両方手の甲にある宝石は静かに砕けていってその破片はカレンを包み始めた。

無情にもICBMは空高くへ飛んでいき、外気圏へ突入した。すると軌道が修正される前に次々と外気圏でミサイルが爆発していった。

爆発した後は爆風や放射能が周囲に広がる前に黄色い光が包んでいった。

次々と核の爆発を包んだ光球が形成されていき、それらを魔法少女達は固唾を飲んで見守ることしかできなかった。

地上には上空からピンク色に輝く羽根と共に黄色い光が落ちていき、地上にたどり着くと波紋を生んで消えていった。

これによって核汚染された地域の放射能が次々と安全値まで減少していった。

原子炉や原子力発電所では反応が止まっていき、反応寸前までは推移するものの核分裂した瞬間に光に包まれて放射能も熱も生まれなかった。

空はすべての核を搭載したミサイルが外気圏で炸裂するまで、太陽が近くにいるかのような眩しさに包まれていた。

半透明な魔法少女は反比例するように次々と地上から姿を消していった。

その様子を見ていたカルラは1人でつぶやいた。

「地上付近で起爆するものはなさそうだ。

放射能については調べてみないと確証は得られないが」

その呟きにキュゥべえが反応した。

「彼女達の願いは実現されているだろうさ。

そうじゃなければこんな奇跡自体が発生しない」

「お前達がやっている願いを叶える方法と近いということか」

「希望を消費しているから僕たちとはプロセスは違う。だが願いが叶うまでの流れは同じと言っていいだろう。

彼女達の願いは地球付近だけだが概念を書き換えた。

人間がここまで僕たちに近づいてしまうとは、驚いてしまうよ」

「そうか」

「こんなことはこの世界の概念にとらわれないカレンの能力だからこそ成し得た結果だろう。こんな逸材を残し続けたキミアには感謝しないとね。
カレンは自分の能力を神楽と呼んでいたし、まさに今回の奇跡は
カグラマギカ
と呼ぶべきかな」

「概念にとらわれない能力か」

カルラは心の中でつぶやいた。

キミア、お前はいつも回りくどいが最良の結果を導き出してきた。

魔法少女にこの星を任せるべきというお前の仮説は、今目の前で立証されたよ。
この世界は魔法少女を中心に変わっていくことだろう。
まったく、お前が弟子を取るのは意外だったが、この結果を見て納得だ。

だがお前が死ぬ必要はあったのか?おまえ自身が立証のための生贄とならなくてもよかっただろうに。

いつも結果が出た後の後始末を私に押し付けてきたが、今回お前が死んだのはそのつもりだったからなのか?

まあいい、仕方がないからこの星の行く末は見守ってやるよ。

なんだか隣でキミアが私に向かって得意げな笑顔を見せた気がした。

気のせいだろう。あいつは魔法少女じゃない。今は煉獄で彷徨っている頃だろう。
私はいつお前の所へ行けるんだ?

 

空の光球が全て消えてしばらくすると、空を覆っていた輝きは薄れていって天の川のような一筋の光が土星にある輪のようになって、上空をゆらゆらと揺れるだけになった。

動けるようになったかことジーナがペンタゴンの中庭へ行くと、そこには仰向けに倒れて動かない変身が解けたカレンがいた。

近くには2色の砕けたソウルジェムが落ちていた。

「カレンさん!」

かこがカレンに近寄って体を持ち上げると、死体を持ち上げた時のように硬直していた。

「そんな!カレンさんのソウルジェムは」

「こいつのソウルジェムがどこかなんて誰も知らないよ。指輪さえ見たことないし」

ジーナが冷静に答える中、かこはカレンの名前を呼び続けた。

「カレンさん!勝手に死ぬなんて許さないですからね!

目を開けてください、カレンさん!」

 

目を開けているのか閉じているのかもわからない真っ暗な空間にいた。

自分の体が見えるまで首を下に向けても真っ暗で何も見えない。

一体ここはどこなんだ。

そんな空間で小さな光が現れた。

ひかり…

進んでいるのかわからない中、カレンは小さな光を目指した。

今は死にたくない理由を見つけたんだ、その光が変化をもたらしてくれるのか。

小さな光からは小さく声が聞こえてきた。

「…さん、カレンさん!」

私を呼ぶ声が聞こえる。

助かるのか?

ピリカ、シオリ、お前達は。

そう思った時、カレンの背中を2人が押した。

押された勢いでカレンは小さな光に接触した。

 

カレンは長い夢から覚めたかのような感覚でその場で目を覚ました

目の前にはカレンを抱えているかこと心配そうに見つめているジーナがいた。

「カレンさん!」

「大丈夫大丈夫だ聞こえてるよ。世界の方は無事か」

「お陰様でな。それで、残りの2人は」

カレンはソウルジェムの中を探ったが自分の魂しかなかった。

「あいつら、私のために」

「まさか、消えたのか」

ジーナにそう聞かれた後、カレンは近くに砕けていた2色の宝石の破片をいじった後に答えた

「…綺麗さっぱり消えたみたいだ。

これはしっかり生き残らないとあいつらに申し訳ないな」

「そりゃな。

お前が生きていないと生き様を失うのがたくさんいるからね。

しっかり生き残ってくれよ」

「ふん、どんとこいさ」

カレンは夕日で照らされた空をしばらく見上げた。

「この世界を救えたで、いいんだよな」

いつの間にか天から降っていたピンク色に輝く羽根は消えていて、天からは黄色い光が少し降ってくるだけになっていた。

カレンは魔法少女姿に戻り、かこ、ジーナと共に魔力を頼りにイザベラを探した。

3人はイザベラ、カルラ、キュゥべえがいるところまでたどり着いた。

「外まで出てきていたのか」

「ことの顛末を見守る必要があったからね」

カルラがそう答える中、イザベラは動かなかった。

「こいつ死んだのか」

ジーナがそう言うとイザベラが弱々しく口だけ動かした。

「残念ながら生きているさ。

でももう目が使い物にならない上に体まで動かないときた。

私達は、負けたのか」

カレンはイザベラの前に立って答えた。

「そうだ。お前達人類は核なんてものを持ち出しても魔法少女の奇跡にねじ伏せられたんだ。

負けを認めろ、サピエンスのイザベラ」

「そうか…。

ならば潔く殺したほうがいいんじゃないかな」

「いいや、お前には生き続けてもらう。

何もできず生き続けることは、死よりも辛いものだ。

と言うことで、自分のやってきたことを精算するまで魔法少女に尽くしてもらうよ

「それは…嫌だね!」

イザベラは動けないと言っていたはずの左腕を瞬時に動かしながら指先をカレンがいる方向へ向け、袖から手のひらサイズの拳銃が飛び出してきた。

イザベラが引き金に指をかけようとしている中、周囲のメンバーは驚いて動き出そうとしていた。

しかしイザベラが拳銃の引き金を引く前にイザベラの左手付け根がカレンの糸で切り落とされた。

「こうもあっさりとは」

イザベラの左手からは数滴の血しか流れ出ず、イザベラの体は糸が切れた人形のように重力に任せて倒れた。
イザベラからは既に魔力を感じられなくなっていた。

「死んでしまいましたか」

かこの言葉にカルラが反応した。

「一矢報いるためにずっと魔力を使って意識を保っていたのだろう。

魔法少女を殺そうという執念だけは最後まですごいと言えただろう

「で、お前はどうだ?

サピエンスの責任者はお前だけだろ?」

ジーナの問いにカルラは両手を挙げて答えた。

「降参だ。この星の管理権は魔法少女に委ねるよ。

それで人類をどうするつもりだ?」

「人類にはこの星を出ていってもらう。

そのためにも、師匠の友人であるあなたには手伝ってもらう」

「やれやれ、弟子にもこき使われるとはね」

カレンはジーナとかこを見た後に言った。

「さて、これからも忙しくなるぞ」

 

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【マギレコ二次創作】魔叙事詩カグラ・マギカ 2-4-11 軌跡と奇跡の破壊方法

キアラは背筋を伸ばし、カレンを見ながら大声で伝えた。

「ここの扉は私の生体反応が消えると同時に開く。

ここから先に行きたければ私を殺して行け!」

カレンはキアラへ問いかけた。

「真っ当な人間であるお前に聞く。

魔法少女なしの人類に、全ての人々が笑い合える未来はあると思えるか」

そんなカレンにジーナがテレパシーで伝えた。

[何やってるんだ。さっさと殺してイザベラへ止めを]

ジーナにはシオリが答えた。

[イザベラが何しようとしてるか聞き出すんだよ。

イザベラが素直に殺されるわけがないからね]

[手短にしろよ]

キアラはカレンへと答えた。

「人類すべてが幸せになるなんて無理だ。

誰かが笑っている中、その代わりに泣く者が現れる。

幸せを感じる者と同じ量で不幸を感じる者がいる。

逆に聞かせてもらいたい。

魔法少女は全員が幸せな世界を実現させることができるのか」

「魔法少女のみであれば可能だ。

相互理解はテレパシーで叶えられ、指導者やリーダーを作らず個の協力ができる。

残念だが、それができない人類は仲間はずれにさせてもらう」

「イザベラも賛同しそうな選民思想だ」

「イザベラが目指す未来と魔法少女が目指す未来、どちらに希望を見出せる。

教えろ人間」

キアラは少しだけ黙った後に答えた。

「人類の過ち 核をどうにかできる奇跡を、魔法少女が見せてくれるならば」

「ふんっ、人類が行き着くのはいつもそれだな」

ジーナがそう言った後にカレンは答えた。

「安心しろ人間。

魔法少女達が奇跡を輝かせて人類の過ちを祓ってみせよう」

「そうか。それなら安心して死ねる」

そうはいってもキアラはその場から動こうとはしなかった。

「どうあってもあなたを殺さないといけないのですか」

かこがそう尋ねるとキアラはかこを見ながら回答した。

「言っただろう、この扉は私が死ぬと共に開かれる。だからと言って自殺もできない。

私は従者だからね、義は通させてもらう」

「日本人特有の矛盾とした考えだね」

ジーナがそう言って鞭を出現させるとカレンはイペタムを構え、周囲には鉄パイプと鉄塊が浮かび上がってキアラへカレンは伝えた。

「日本人はそういうものさ」

キアラはカレンへと素早く走り込んだ。

体をくねらせて動かない左手を慣性に任せてアンチマギア製の刀を振るった。

アンチマギアの刀はカレンの足を狙い、右手の対ドッペル用の刀はカレンの左手を狙った。

真後ろに下がっても刀に触れてしまう状況でアンチマギア製の刀にはイペタムが、対ドッペル用の刀には鉄パイプが反応してそれらを受け止めた。

受け止められた後にキアラは素早く後ろへ下がってカレンへ向けて一回転した。

その勢いで両手の刀はカレンへ振りかぶられた。

それはカレンが後ろに下がることで回避し、カレンはイペタムをキアラへ振り下ろしたがキアラは刀を振り上げて鍔ぜり合わせることでやり過ごした。

その状況へジーナが乱入しようとしたが、それをかこが止めた。

「なんだよお前!」

「あれはカレンさん達に任せましょう。

私達は扉が開いた後のために待機しておきましょう。

苦戦するなら、その時に」

ジーナはカレン達の戦いを見た後にかこを見て答えた。

「わかったよ、手は出さないでやるよ。

勝手にカレンを分かった気でいるんじゃないぞ」

「今だけは仲良くやりましょうね」

キアラはカレンの攻撃を受け流すのではなく受け止めるようになっていて、最初と比べて右腕も自ら動かせなくなっており、左腕については付け根が骨まで見えはじめていつちぎれてもおかしくなかった。

キアラの呼吸は荒くなっていた。

「まだやるのか、腕が千切れて落ちるよ」

「まだ刀は握れている。心臓も動いている。

それだけで十分だ!」

今度はカレンからキアラへ迫って左腕を切り落とそうとした。

キアラは左腕をイペタムに貫かれることを躊躇せず左腕を前に出した。

左腕にイペタムが刺さるとキアラは勢いをつけて右腕の刀を振り下ろそうとした。

しかしその腕はカレンに掴まれてしまい、キアラは腕を動かせなくなってしまった。

「わかりやすく動くとこうなるだろうに」

そう言った後、カレンはキアラの腕を勢いよく上に投げた。イペタムも一緒に上へ振り上げられた。

宙に浮いた状態のキアラの前には今まで斬られて床に落ちていた鉄パイプや鉄塊がキアラの方を向いて浮いていた。

「スクワレた気分はどうだい?」

その言葉を合図にキアラの心臓や脳、足や胃へ鉄パイプなどが突き刺さり、その勢いでキアラの体は扉の横の壁へ打ち付けられた。

鉄パイプなどはそのまま壁へ突き刺さったためキアラの体は壁に固定されてしまった。

キアラは動くことなく血を滴らせる中、扉からロックが外れる音がして扉が開いた。

カレンの服は元の色へ戻り、キアラの前へ立ち止まろうとしたが、ジーナが右側から声をかけてきた。

「右腕大丈夫なのか。

さっさと奥へ引いて行こうとしたのにちぎれそうで怖ーぞ」

カレンの右腕は魔法の糸で雑に縫い合わされたようになっていて、止血が甘いのか血も少量垂れていた。

「イペタムを握って振り回せたから大丈夫だろうさ。

言われなくても奥に急ぐよ」

カレン側は最初は15人いたメンバーも後から2人増えたにも関わらず本部へ通じる通路を通ったのは4人だけだった。

4人が通路を急いで進んだ先には別の通路を通ってきた爆弾を扱う魔法少女達へ銃を向けるイザベラが見えた。

本部に人気はほとんどなく、ダリウス将軍含めた数体の死体が床に転がっているだけだった。

「キアラじゃなくてお前達か」

そう言ってイザベラは右手に持っている端末をタップした。

その後すぐに本部正面の画面へ大きく文字が表示された。

『人類の尊厳を守りきれない事態が発生しました。

地上はもはや人類が生きれない状態となりました。

侵略者達と終末に備えましょう。

人類存続を最優先とし、核シェルターへと避難してください。

世界中の核ミサイルがすべて発射されます。

人類の尊厳維持のため、地上は人類の正義の炎によって焼き尽くされます。

選択肢は存在しません。

人類存続を最優先とし、核シェルターへと避難してください。

45:00:00.00』

この後すぐに世界地図が表示されて世界各地に照準が当てられていった。

神浜市

ベルリンの壁跡地

消失コード:バチカン

消失コード:チェルノブエリ

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ハワイ

南極基地

他にも世界各地満遍なく一瞬で照準が当てられた。

そして世界中へアナウンスが開始された。

「人類の尊厳を守りきれない事態が発生しました。

地上はもはや人類が生きれない状態となりました。

侵略者達と終末に備えましょう。

人類存続を最優先とし、核シェルターへと避難してください。

世界中の核ミサイルがすべて発射されます。

人類の尊厳維持のため、地上は人類の正義の炎によって焼き尽くされます。

選択肢は存在しません。

人類存続を最優先とし、核シェルターへと避難してください。

人類の尊厳を守りきれない事態が発生しました。

地上はもはや人類が生きれない状態となりました。

侵略者達と終末に備えましょう。

世界中の核ミサイルがすべて発射されます。

人類存続を最優先とし、核シェルターへと避難してください。

人類の尊厳維持のため、地上は人類の正義の炎によって焼き…」

瀕死寸前のマッケンジーへ止めを刺そうとしていた翼が生えた魔法少女は、アナウンスが聞こえて手を止めてしまった。

「核だと?!

お前達サピエンスは負けそうなら無理心中を選ぶのか!」

「俺が知るか」

「核シェルターの場所を教えろ」

「誰が教えるか。

見つけたとしてもお前たちは入れやしないさ」

翼が生えた魔法少女はマッケンジーの喉を羽で貫いて止めを刺した

「つまらない男だ」

「どうすんだよこれから!」

魔法少女達はどうすればいいか分からずあたふたしていた。

そんな中、翼が生えた魔法少女は冷静に他の魔法少女達へ声をかけた。

「できることなんてないさ。

錬金術師の弟子をやってたカレン達なら、あの軌跡で何かできるかもな」

「でもあいつらはペンタゴンに」

「こんな事態にさせた当事者があそこにいるだろうからとっくにあいつらだって動いているだろうさ。
私たちは無事に明日を迎えることを願うしかない。

希望を失わなければなんとかなる」

 

サピエンス本部の画面では45分からカウントダウンがはじまった

「イザベラ貴様やりやがったな!」

そう言ってジーナはイザベラの右腕の付け根を魔法製の鞭で貫いた

イザベラは避けようともせず鞭に貫かれ、持っていた端末を落とした。

さらに何かしようとするジーナをカレンが止めた。

「やめろ、殺したって何にもならない」

「こいつの心臓を止めたらカウントも止まるかもしれないだろ」

死なば諸共のタイミングでそんなギミックを仕組むバカがいるかよ

そう言ってカレンは落ちた端末を操作しようとしても端末は操作を受け入れなかった。

カレンは端末を投げてイザベラの胸ぐらを掴んだ。

「どういうつもりだ。人類を守ろうと動いていたんじゃないのか」

瀕死のイザベラは抵抗するそぶりなくカレンの問いに答えた。

「頑張ったさ。だがどうさ。

アンチマギアなんていう対抗手段まで用意したのにこの結果さ。

神浜を潰していればこうはならなかっただろうに、あの時に各国はどうだったよ。

隙をついて侵略しようとしていたっていうね。

今の人類は自分の目先の利益にしか興味がない畜生だらけだ。

負けて当然だったかもな」

「絶望しても人類側に居続けたのか。なぜだ」

「両親が守ろうとしたものだったからさ。

そんな両親を奪ったのは魔法少女。

貴様らを助ける気になんて誰がなるか」

「だからと言って核を持ち出す奴があるか」

核を武器として使用できるようにしたことは人類史最大の汚点だ。

人類史を破壊したいならばその最大の汚点もどうにかしてみろよ。

無理だろうがな」

カレンはイザベラから手を離し、カウントが進む画面を見ながら最後の手段を使うか考えていた。

何をやろうとしているのか察知したジーナはカレンに話しかけた。

「やめろよカレン。

一発はともかく世界中なら3桁近い数になるはずだ。

ソウルジェムが砕けても止められない」

「やってみなきゃわからないだろ。

何もできないで終わるよりは」

「やれやれ、結局この結論とは心底ガッカリだよ」

そう言いながらカルラは地下に通じる入り口から本部へ入り、画面を見ていた。

カルラを見て銃を持つ魔法少女達が一斉に照準をカルラに向けた。

「裏切り者め、今更何をしにきた」

イザベラの問いに答えることなくカルラは魔法少女のような衣装へ変更した。

その様子に本部にいた全員が驚いた。

「お前、魔法少女なのか」

咲の問いに対してはカルラは反応した。

「これは魔法少女を真似た戦闘衣装だ。

それに、この方がこの後の話を円滑に進められる」

カルラは階段を登り始める。

「魔法少女達、私がイザベラのもとへ辿り着く前に答えろ。

人類と魔法少女の存亡に関わるから余計な会話は無用だ。

まず一つ、キミアの弟子はどこにいる」

カルラからの問いにカレンが答えた。

「師匠の真名は確かにキミアだ。

だが名前が一致しているだけでは信用に至らない。師匠との繋がりを示せ」

「この法衣が証拠だ。

あいつは魔力外装と言ってはいたが、これの生成方法はキミアと私しか知らない。

奴は白を基調とした青色のチョッキを上着としていたか。

武器はインチキに伸びるシャムシールだったはずだ。

あいつからは何か聞いていないのか?」

そう言いながらカルラは刃が青白く輝く槍を出現させた。

「十分だ。

したっけ弟子である証拠をお見せします。

イペタム、私達に希望を!」

そう言ってピリカは手を上に伸ばしてイペタムを出現させた。

カレンからはフィロソファストーンの輝きが放たれた。

その光を見てカルラは少しだけ足を止めた後に再び歩き出した。

「高純度なラピスの輝き、お前は、いや、お前達もあいつの被害者だったか。可哀想に」

そう言ってカルラは手のひらへ筒のようなものを出現させた。

「いいだろう。お前達にデコーダを託す。

こいつはあらゆるネットワークを掌握できるもので、お前達が使っていたマギアネットワークを使い物にできないようにしたのもこれだ」

「な、お前のせいだったのか」

「やめろジーナ!」

カレンが声をかけた頃にはジーナの顔の右側を見えないスピードで槍が通り抜け、壁に深く刺さっていた。

風圧でジーナの右耳は吹き飛んでいた。

「余計な口を挟むな。消すぞ」

そう言ったカルラの周りにはいつの間にか4本の槍が浮いていた。

ジーナは怯えた顔のままその場に立つしかできなかった。

カルラは呆れて変身を解き、その後にピリカはイペタムを戻した。

「話を戻すがデコーダは壊すこともできればその逆もできる。

マギアネットワークはおそらく機器が使い物になっていないだろうから、人間が使うインターネットを経由して世界中の魔法少女と繋がるといい。

これを持ってペンタゴン中央にある電波塔の扉にかざせ。そうするだけで中に入れる。

その後はデコーダのガイドに従え」

そう説明終わる頃にはカルラはカレンの目の前にいた。

カルラはカレンへデコーダを差し出してきた。

カレンがデコーダを受け取ると脳内にはアナウンスが流れてきた。

「デコーダの使い方を教えるよ。

こいつ単体では何もできないがこれを設置できる場所がペンタゴンの地下研究所と地上に新設された電波塔にある。

地下研究施設のものはプロトタイプだから品質が悪い。

どうしても性能を引き出したいならば地上に新設された電波塔で使うといいよ」

その後は現在位置から地上の電波塔への最短ルートが地図が目の前にあるかのようにイメージで出現した。

「扉にかざせば持ち主が誰であろうと扉は開くよ。

その中にデコーダの差し込み口がある。その後は接続先の設定画面が開くから好きなように選ぶといいよ。

カルラはインターネットをお勧めしていたからそっちに繋げるといいかもね。

君たちの拠点もまだインターネットが繋がっているみたいだし、中核になっていた魔法少女は生きているみたいだね。よかったね。

そいつに頼んで魔法少女達との繋がりを急速に増やすといいよ。

そして私たちの過ちを止めてくれ」

その後はインターネットの接続ルートについての情報が流れ込み、シオリだけが理解していたようだった。

気がつくとデコーダを受け取った瞬間に戻っていたようで、どうやら数秒の間にさっきまでの説明が脳内にされていたようだった。

本部の画面には残り30分のカウントになっていた。

「お前、私が何をしようとしているのか既に知っているのか」

「早く行け。無事に終わればいくらでも話す時間はある」

カルラはカレンを指差して言った。

「魔法少女達、お前達の希望を輝かせてみせろ」

カレンは何も言わず、表情も変えることなく地上へ走り出した。

「おい、何があったんだよ!」

カレンにはジーナとかこが後をついて行って他のメンバーはその場に立っていることしかできなかった。

「さて」

そう言ってカルラはイザベラのところまで行った。

イザベラは怒り混じりの声でカルラへ話しかけた。

お前がデコーダを止めたり、キュゥべぇを解き放ちさえしなければこんな結果にはならなかったと言うのに」

「私をがっかりさせることばかりを実行に移したイザベラのミスだよ。

人間の在り方を変えず、錬金術に頼って復讐をするだけに力を注ぐとはね、期待外れだよ」

「お前は人間がどうなってもよかったのか」

「むしろどうにかなってほしいと思っていた。

だが、人間はもう新たな軌跡を作りだせないのだと、イザベラの側にいて実感したよ。
結局は破壊と再生の繰り返し。
そこから人間の本質は進展せず、技術だけが先を行くという悲しい事実が証明されてしまったのさ。

イザベラ、君のおかげでね」

そう言い返した後にカルラはイザベラを抱え上げた。

「どこへ連れて行く気だ」

「地上だよ。

しっかり結末まで見届けてもらわないとな。

それに、勝った気で死なれるのはとても気分が悪いからね」

「とことんふざけた奴だ」

カルラがそのまま本部から出てしまい、その場に残った魔法少女達は高速が解かれたかのように動き出した

「展開が濃すぎるよ」

「んでどうするよ。核なんてどうしようもないだろ」

「無事生き残れた後のことを考えよう。

地下のアンチマギア製造装置は破壊する必要がある。

サバゲー達と黒いのはどうする」

「私は博を見てくるよ」

「同じくね」

そう言って三重崎の魔法少女達は通路を戻って行った。

「黒いのって言うな、セルディって名前があるんだよ。

アンチマギア製造装置のところへ行くよ。

その前に、通路から魔法少女が来るんだけど」

「なんでだ、こっちは地下としか繋がっていないはず」

その地下へと繋がる通路から複数の魔法少女の反応が迫ってきて、本部入り付近で互いに驚いた。

「なんだ?!

まだ本部に残ってたのか」

「お前達こそなんだ、なんで地下から出てこれるんだよ。

アンチマギア製造装置を破壊に行くからそこをどいてって、そっちからくるなら壊しに行ってくれたのか」

「カルラとの約束で地下には手を出せないんだ。その代わりに匿ってもらっていて、今はキュゥべえの護衛だよ」

地下から来た魔法少女達の話を聞いて爆弾を扱う魔法少女は状況を掴めずにいた。

そんな中、地下から来た魔法少女達の列に割って入って本部内部まで入ってきた白髪の少女がいた。

その少女は爆弾を持つ魔法少女へ問いかけた。

「イザベラはどこへ行ったんだい。

魔力を遮断しているのか居場所がわからないんだ」

「…お前誰だよ」

「まあカルラを追えばいいか」

そう言って白髪の少女は上側の通路へぴょんぴょんと飛びながら向かった。

「おい待て!」

爆弾を持つ魔法少女が追いかけようとすると地下から来た魔法少女が話し始めた。

「あいつはキュゥべえだよ」

「なんだって?!だったら尚更止めないといけないじゃないか。

イザベラが願いを叶えたら何が起こるか分かったものではない」

「イザベラが?まさか」

「セルディだっけか。

アンチマギア製造装置の破壊は任せたからな!」

そう言って爆弾を持つ魔法少女はキュゥべえの後を追って行った。

しばらく沈黙した後、セルディが地下から来た魔法少女達へ話しかけた。

「どうしようか」

「地下はシェルターが開かないし行ったって無駄だよ。

まあヨーロッパの拠点に戻ろうか。あそこなら助かりそうだし」

「キュゥべえはいいの?」

「カルラのところへ行ったんでしょ?なら大丈夫でしょ」

 

カルラに抱えられたイザベラは何も話さなかった。

戦いを繰り広げた広間まで来ると、壁側に広がる血溜まりの上にキアラが突き刺されているところを目撃してしまった。

「キアラ…」

そう呟くとイザベラはキアラに向けて右手を伸ばそうとするものの、カルラの腰より高く上げられなかった。

「いずれこうなるとはわかっていた。でもごめん、私からはもう涙さえ出ないんだ・・・送れる物は何もない」

カルラはその場に立ち止まったままイザベラへ話しかけた。

「お前が一番に心を許していた相手だったんじゃないか?

最後までお前に尽くしたんだ。無駄な死だなんて思ってやるなよ」

「勝手に心がない存在にしないでちょうだい。

流石に私でもそんなことを言われると心が潰れてしまう」

「キアラは最後まで人類と魔法少女の共存を夢見ていた。

どうすれば実現できるかの具体案はなくても、とにかくそんな未来に行きたいというサピエンスのメンバーの中でも最も純粋な人間らしいと思ったよ」

「純粋すぎたのよ、彼女は。

共存なんて無理だって言ってるのに最後まで考えが折れないのに、私の活動には協力するし。

どうしようもない奴だったよ。ほんと」

その後2人は言葉を交わすことなく、カルラは地上へ向かった。

 

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【Blue protocol、ブループロトコル】レグナスの歴史【ストーリーまとめ】

目覚める前、何か声が聞こえた

何者かに未来を託された

その声が誰なのか、自分が何者なのかもわからない

そんな中、私はレグナスで目を覚ました

 

このページではブループロトコルの世界「レグナス」の歴史をメインストーリー含めてまとめていきます。

このページの内容は、本編の進行に従い、随時更新を行っていきます。更新の際にはTwitter上でアナウンスを行います。

※このページでは平気にネタバレが行われます。気にする方はご注意ください

 

・プレイヤーが操作する主人公は「天に見守られし者」という表記で記録していきます。

・○○年後という表記は主人公が目覚めたメインストーリーの舞台となる時代を基準に表記します。

・出来事につながりがあり、時間が飛ぶ場合は~1~へ飛ぶというアナウンスを入れるので参考にしてください。

 

 

 

===神話時代===

バファリア神族は竜族と戦うために自分たちに似せた存在である人間と亜人を生み出します。人間が戦ったことで竜族を抑えることは出来ましたが、人間たちはバファリア神族に歯向かうようになっていきました。

バファリア神族は地面ではなく天空に住むことを余儀なくされ、人間たちへはバファリア教団というものを生み出して信託という形で助言を与えていくことになります。
その助言によってアバリティアは捕らわれ、そこから得たエングラムはバファリア神族にも提供されることになります。今後バファリア神族はアバリティアから得られるエングラムに依存するようになり、そのエングラムがないとバファリア神族は生きていけないようになります。

こうしてバファリア神族は神話上の存在となって、地上は人間たちが支配する世界となっていき、竜族は秘かに息をひそめるだけとなってしまいます。

※情報元:シアター メインクエスト3章 別れを惜しんで

 

===およそ400年前===

アステルリーズが交易都市として独立を果たします。

===およそ30年前===

バーンハルト公国の公子は双子であり、見た目が同じとされていました。
双子のうち、兄にあたる公子は冒険者にあこがれ、バーンハルト公国から無理矢理旅立ってしまいます。
国のことは弟に任され、弟は幽閉されて国のための勉学に励むようになります。
この弟 ノルベルトが後にバーンハルト公国の王位を継承します。

兄の方はというと、アステルリーズまで渡り、そこで冒険者として過ごした後に双面コイン亭という酒場を営むようになります。

 

===半年前===

=歴史改変!=

聖バファリア島にアバリティアシェルが現れ、バファリア教団は迅速に動いてアバリティアシェルに対して結界を張ろうとしますが、遺跡の防衛機構が作動して中へと入ることは叶いませんでした。

===およそ二カ月前===


バーンハルト公国の教団は、疑似アバリティアの実験を行おうとしていました。その実験が行き詰っていた中、アバリティアシェルの存在を知り、体組織を手に入れてさらなる実験を進めました。
ユーゴはこれを利用してバファリア教団と神族の排除を目論みます。
ユーゴはヨルクが被検体となるよう仕向け、ヨルクはアバリティアへと変貌して化物の姿となって研究所で暴れまわってしまいます。
アバリティアが出たと聞きつけたダンケルクは目の前にいるアバリティアを討伐しますが、アバリティアから落ちたイマジンシードを手にして自分が討伐したのは自分の息子であることを初めて知ります。

ダンケルクは悲しみに包まれてしまいます。
そんなダンケルクへ竜族のリーンブルムが接触し、全てはバファリア教団の裏にいるバファリア神族が悪いと入れ知恵をします。その中でカーヴェインの形見である短剣がバファリア神族のものであり、カーヴェインはバファリア神族の血を引いた存在だということもダンケルクには伝えられます。

ダンケルクは悲しみから怒りへと変わり、リーンブルムと結託してバファリア神族の抹殺に動き出します。
ダンケルクはカーヴェインへ狙いをつけ、バーンハルト公国が竜族の襲撃を受けているそのさなか、兵を指揮してバーンハルトの大公 ノルベルトを暗殺し、その犯人がカーヴェインということにしてしまいます。
カーヴェインは追われる身となりますが、アインレインカーヴェインが無実であると知っています。しかしカーヴェインはバーンハルト公国から指名手配されてしまい、公に無実だとは言えない状況となります。

結果的にバーンハルト公国の実権はダンケルクが持つこととなります。

弟のノルベルトが殺されてしまったことでアステルリーズにあるコイン亭の店主となっている兄は、バーンハルト公国へ戻らざるを得なくなります。
しかしすぐに戻ることはなく、バーンハルト公国が混乱しないようしばらくは情報収集に努めることになります。

 

  ===メインストーリー開始===

天に見守られし者が目を覚ますとそこは知らない洞窟の中でした。

自分が何者であるかも思い出せない中、ゴブリンに追われているフェステに出会います。天に見守られし者フェステを助けるためにゴブリンと戦って倒しますが、その後気を失ってしまいます。

アステルリーズという街にある双面コイン亭までフェステとコイン亭の店主が天に見守られし者を運び、しばらくすると天に見守られし者は目を覚まします。
そのあとはフェステに促されるままノートへ自分の名前を書くと、なんとそれは下僕契約書というものでした。
その日から天に見守られし者はフェステの下僕として行動していくこととなります。

行動を共にしているとフェステには借金があることを知り、その返済も兼ねてアステルリーズ周辺の遺跡探索を行うことになります。

その様子をジェイクという冒険者が見守っていて、天に見守られし者の強さを確認して開拓局に推薦してもらいました。開拓局に冒険者として認められることで、アステルリーズがあるマグナ大陸では冒険に融通が利くようになります。
依頼もうけられて金が溜まるということで冒険者登録の試験を受けて、天に見守られし者は冒険者として登録してもらえました。

冒険者として認められた天に見守られし者ジェイクフェステと共に巨竜の爪痕という遺跡へ向かうことになります。
そこの最奥で天に見守られし者達はアバリティアと呼ばれる次元を歪ませる存在となったボア系モンスターと出会います。
そのアバリティアを倒すことは成功します。倒してジェイクがその場から離れた後、メルロウフという人物が現れます。
メルロウフは自分は放浪者だとしか教えてくれず、天に見守られし者は来者かもしれないと言い残してその場から立ち去ってしまいます。

開拓局へ戻り、ジェイクから報酬をもらうと同時にアバリティアの目撃情報が他にもあること、同時期に竜族の動きが活発になっていることを知らされます。

その後、コイン亭の店主に来者について聞いてみるとバファリア教団なら知っているかもしれないと聞かされ、アステルリーズにあるバファリア教の神殿へ向かいます。
その神殿で初めてアインレインと出会い、来者についてはミンスターホルンに行けばわかると伝えられます。

ミンスターホルンへ行ってみると来者について知っている人物は確かにいますが付近へ調査に行ったきり戻ってきていました。

その人物はワールキンという名前で、遺跡近くでゴブリンに襲われているところを天に見守られし者達が助けます。 ワールキンから来者について聞くと、特殊な能力を持つ異邦者であり災いをもたらす存在という認識であることを知ります。
さらに来者について知りたいならば「神懸の御柱」という場所に入る必要があると伝えられます。

その話を頼りに神懸の御柱へ向かいますが、番兵にあっさり突き返されてしまいます。神官長クラスの人物に許可をもらえれば入れてもらえるとのことでした。

そんな人物と運よく出会えるわけがないと、神懸の御柱周辺の出来事を追っていると魔物に襲われた村にアインレインがいました。
アインレインへ今の状況を説明すると神懸の御柱への入場許可証をもらうことができました。

その許可証を番兵へ見せると驚きながらも神懸の御柱へ入れてくれました。
神懸の御柱の頂上へたどり着くとそこにはアバリティアと思われる存在が封印されていました。
その場がいきなり光りだし、その光の中から2人の人物が現れました。天に見守られし者は、なぜかその二人のうち一人に見覚えがありました。この時の光に反応してか、封印されていたアバリティアが目覚めて天に見守られし者達に襲い掛かってきました。

アバリティアを倒したかと思うと今度は周囲がいきなり暗くなり、謎の男が現れて、倒されたアバリティアを吸収してしまいます。
突然現れた二人によると、謎の男は竜王ヴォルディゲンというようです。

そんな状況の中、衛兵が紛れてしまいますがヴォルディゲンへ攻撃をしかけようとした後にあっさりと殺されてしまいます。
天に見守られし者は戦おうとしますが、突然現れた二人の意見でその場から立ち去ることになりました。

ヴォルディゲンからは逃れることができましたが、どうやらクロノリープという時間を飛ぶ能力でアバリティアが倒される前の時間に戻ったようです。
二人から名前を教えてもらい、クロノリープを発動させたのはエーリンゼ、その従者がティリスといいます。

少し時間が戻ったと聞いて天に見守られし者フェステは半信半疑でしたが、少し前の自分たちを目撃したことで時間が戻っていることを実感します。そこで来者はクロノリープを使った存在を指す言葉であると聞かされます。
エーリンゼは体力を大きく消耗していたようで、神懸の御柱近くのラルバルで休むことになります。 休んでいる間、二人の目的を聞くことになります。

どうやら二人は1000年後の未来からアバリティアの解放のために時間を越えてきたようです。
1000年後はアバリティアが手を付けられないほど強大な存在となっているようで、歪みを生み始めたアバリティアが多数いる1000年前である今の時代のうちにアバリティアを解放すれば、未来のレグナスは救われるとのことです。
話を聞いて、多くのことを知ってしまった天に見守られし者フェステは協力するかこの場で殺されるか選択を迫られますが、協力することを伝えます。
その後はフェステが巧みに誘導してティリスも下僕契約書にサインをしてしまいます。

しばらくしてティリスからの頼みごとで発光コアというものを探すことになり、機跡の谷でそれを手に入れます。発光コアはオムニストロンという装置を修理するために使われ、修理されたオムニストロンからはリッツェ村周辺でアバリティアと思われる反応が検知されます。

リッツェ村へ向かうとそこでもアインレインを目撃します。そこで初めてアインレインが神託の巫女であることを知ります。

リッツェ村周辺を捜索しているとアバリティアに遭遇し、これを倒すことに成功します。 その後、エーリンゼはアバリティア解放の儀式を実行して倒したアバリティアはその場から消え去ってしまいます。
どうやらアバリティア解放の儀式は1000年後の未来ではエーリンゼしか実行できないようです。

次のアバリティアの反応は音無き都という場所でした。ここはアバリティアが出現してから一般人は立ち入り禁止となっている場所です。

音無き都の最奥へ行くとすでに男がアバリティアと戦っていました。
男の消耗は激しく、アバリティアは天に見守られし者が倒すことになります。
アバリティアは討伐され、エーリンゼティリスはアバリティア解放のためにその場へ残り、天に見守られし者達は男を近くの駐屯所へ運ぶことになります。

駐屯所で男は目を覚まし、名前はカーヴェインであることを教えてもらいます。助けてくれたお礼として起動しないイマジンシードをもらいます。それはどうやらカーヴェインにとって大切な宝のようです。
そのイマジンシードからはなぜかカーヴェインの記憶を少しだけ見ることができました。
カーヴェイン天に見守られし者が記憶を見ている間にどこかへ行ってしまいます。

しばらくするとエーリンゼたちが戻ってきて、次は砂漠にいるアバリティアを解放しに行くこととなります。

砂漠へ行くには関所を通らなければいけないため、コイン亭の亭主に保証人となってもらって関所をくぐることができました。

砂漠を進んでいるとモンスターに襲われたという集団に出くわします。
まだモンスターに追いかけられている人物がいると聞いて向かおうとすると、銃を装備した言葉の荒い女と出会い、天に見守られし者達はモンスターに襲われている人物の救助を優先することになります。
モンスターに追いかけられていたのは旅芸人の一座で歌姫と呼ばれている存在でした。

丁度一座のメンバーが迎えに来て、女は一座のメンバーとともにサラムザードへと向かいました。
一座はサラムザードで講演を行うようで、それに興味を持ったエーリンゼのワガママでサラムザードへ向かうこととなります。

サラムザードに到着すると光彩風というものが発生していました。どうやらこれが発生しているとオムニストロンがうまく起動しないようで、しばらくの間アバリティアの居場所を検知できなくなってしまいます。

サラムザードを歩いているとバファリア教団の施設周辺で銃を持った女と再会します。名前はエレクトラというようで、アインレインを探している様子でしたのでアインレインを探すことになります。
アインレインは地元の子どもたちと交流していました。子どもたちは何か面白いことを欲しているようで、フェステはその様子を見て歌を披露しました。
歌を披露したことでフェステは子どもだけではなくアインレインにも気に入られてしまいます。

そんなアインレインへアバリティアについて聞くと暁の虫砦にいるかもしれないと教えてもらいます。 暁の虫砦へ向かうと確かにアバリティアがいました。

アバリティアと戦っているとダンケルクというバーンハルト公国騎士団を率いる騎士団長が乱入してきました。アバリティアはダンケルクの一撃で倒されました。 そのあとを追って騎士団員達も現れました。

ダンケルク達が去った後にアバリティアは解放され、天に見守られし者達はサラムザードへと戻りました。

サラムザードに戻ると助けた女がいる旅芸人の一座「ジルウェット旅一座」の公演が始まろうとしていました。公演が開始して、旅芸人の一座の歌姫 シャルロットが歌を披露しようとした時、武装集団たちが現れてシャルロットをさらおうとします。
シャルロットは周りの者を巻き込まないようその場から逃げてしまいます。一緒にいたアインレインはなぜか必死にシャルロットを助けるよう頼んできました。

天に見守られし者達はそのあとを追うと、カーヴェインが武装集団たちと交戦していました。
カーヴェインと共に武装集団たちを倒した後、ティリスが追いかけてきました。
その場でティリスがカーヴェインの落とし物を拾うのですが、その落し物はカーヴェインの母親をさらった集団が落としたもののようです。しかしそれは1000年後の世界に存在するものだったようでティリスは不思議に思いました。

皆そろってサラムザードに戻り、シャルロットは一座に戻り、カーヴェインは友人のもとへ、天に見守られし者達はカーヴェインと別れて休憩所へと向かいました。

休憩所で休んでいると天に見守られし者はカーヴェインが話していた母親がさらわれたという瞬間の夢をなぜか見ます。
気が付くとシャルロットが静かに天に見守られし者の傍へ助けてもらったお礼を置いてどこかへ行こうとします。それにはフェステも気づいていたようで共にシャルロットを追いかけます。

シャルロットに追いついて事情を説明してもらうと、狙われた理由が謎のまま一座にいるわけにはいかないという考えで、秘かに身を隠そうとしていたようです。
その話を聞いていたカーヴェインアインレインとともに現れます。そこでアインレインカーヴェインは知り合いで、カーヴェインは公国の騎士であることを知ることになります。カーヴェインシャルロットと共に身を隠すことを提案し、その隠れ家はアインレインが提供してくれるようです。
シャルロットも承諾し、カーヴェインシャルロットは隠れ家へと向かいました。

天に見守られし者はアインレインの頼みでカーヴェインアインレインの友人 ヨルクと会うために護衛することになります。
ヨルクはダンケルクの息子のようで、カーヴェインが行っていたという調査はヨルクの指示によるものだったようです。
少々トラブルはあったもののヨルクと会うことができ、アインレインカーヴェインからの預かり物をヨルクへ渡しました。

アインレインをサラムザードまで送り届けた後、天に見守られし者達は休憩所にいるエーリンゼたちの様子を見に行くことにしました。

エーリンゼたちと再会した後、サラムザードにクロノリープをしてきた疑いのある老人がいることを知ります。
その老人のことを追っていると、「アリシアのご加護を」と唱えるとクロノリープができてしまうことを知ります。そしてその老人は大昔に神官をやっていた人のようで、偶然クロノリープできてしまい今の時代に来てしまったようです。
その老人はしばらくして死んでしまい、天に見守られし者達はアバリティア解放を再開することになります。

エレクトラからアバリティアが現れたという情報をもらって、現場へ向かおうという時にエレクトラはバファリア教団がアバリティアを飼っていることを漏らしてしまいます。
どうやら1000年後の世界でもアバリティアの生み出すエングラムが人類のために利用されていたようで、現在の時代からその仕組みは出来上がっていたようです。

エレクトラから情報があった場所には確かにアバリティアがいて、それを倒して解放まで完了させますがその場にヴォルディゲンが現れます。そしてなんとエレクトラが竜族であることも判明し、アバリティア討伐の依頼自体が罠であったことを知ります。
エレクトラの本名はフレルベというようで、その正体を知るとエーリンゼたちはなぜかかわった驚き方をしていました。

天に見守られし者ヴォルディゲンと戦いますが力が及ぶことはありませんでした。
ティリスたちも倒されてエーリンゼが危険な状態となる中、天に見守られし者が持っていたカーヴェインからもらったイマジンシードが起動して歌が流れ始めます。それを聞いたヴォルディゲンはなぜか苦しみだしてその場を去ってしまいます。

フレルベは天に見守られし者を葬ろうと考えて竜の姿に変身して襲い掛かります。 しかし天に見守られし者に倒されてしまい、そのまま崖下へと姿を消しました。

~3~

クロノゲートを破壊するためにクロノリープしてきた天に見守られし者達でしたが、そこにはペストマスクのような仮面をつけた男とシャルロットを追い続けている武装集団たちが待ち受けていました。

仮面の男は「アリシアのご加護を」と唱えて天に見守られし者達をどこかへ転送させようとするクロノゲートへ放り込みます。
仮面の男は未来を変えようとするほど首を絞める、未来は変えられないと言い放ちます。

そして天に見守られし者達は別の時代へと飛ばされてしまいます。

 

~4~へ飛ぶ

無事に全員そろってサラムザードに戻ると、1000年後の世界から通信が入ってエーリンゼたちに帰還命令が出されます。

命令には従わないといけないようで、神懸の御柱へと向かうことになります。

その道中でエーリンゼはバファリア神族であることを伝えられます。

神懸の御柱の頂上へ行くと1000年後の世界から通信してきたバシュラールという人物が現れました。なんとバシュラールエーリンゼを連れ去るという形でティリスを置いて未来へ飛んでしまいます。その時、天に見守られし者にはカーヴェインから預かったイマジンシードからアデライードを連れ去ったのはバシュラールであるイメージが流れ込んできます。

突然カーヴェインから預かったイマジンシードから声が聞こえて、エーリンゼがとある計画に利用されてしまうと伝えられます。そしてそのためにもシャルロットに会うよう伝えられます。

シャルロットがいるというカルトゥームへ向かうとシャルロットだけではなくカーヴェイン、アインレイン、ヨルクがいました。
どうやらシャルロットが持っていたペンダントにはクロノリープができるほどのクロノグラムというエネルギーが含まれていたようで、それを受け取るために会う必要があったようです。

このシャルロットと会うための情報も段取りもすべて神託によるもののようですが、いったい誰によるものなのかはこの時誰もわかりませんでした。

天に見守られし者達は神懸の御柱の頂上でアリシアのご加護をと唱えて1000年後の世界へと向かいます。

~1~へ飛ぶ

~2~

戻ってきた天に見守られし者達はアステルリーズにいるメルロウフと会ってアバリティアシェルがどこにいるのかを教えてもらいます。

どうやら聖バファリア島と呼ばれる場所に出現したようで、アステルリーズにある聖堂から向かうことができるようです。

そして歴史が変わってしまっているようで、カーヴェインはバーンハルト公国の王を殺したという罪で指名手配されているようでした。
そしてコイン亭の亭主はどこかに出かけてしまい、コイン亭はしばらくの間ジェイクがきりもりすることになっていました。

聖バファリア島に辿り着くと、その入り口でアインレインたちは結界を張っていました。どうやら結界の先にアバリティアシェルがいるようで、バシュラールは信託という形で天に見守られし者達が中に入れるよう誘導していました。

天に見守られし者達は天恵の聖堂と呼ばれる場所を進むと、怪物と呼ばれている存在が立ちはだかります。それらはかつて竜族と戦うために用意された兵器達でした。防衛機構が作動して侵入者に襲い掛かっているだけのようでした。

奥へと進むとアバリティアシェルに取り込まれた状態のティリスがいました。
現在は眠っている状態で、常に結界を張っていないといけない状態でした。 入り口ではり続けるよりは効果が出るようになったようですが、長くはもたないようです。

アインレインは天恵の聖堂の奥に残って結界を維持し続けなければいけなくなってしまいます。

  

バシュラールから突然通信が入り、アバリティアの解放を進めるようエーリンゼに指示が出されます。
ヴォルディゲンに力を与えるわけにはいかない為、渋々バシュラールの言う通り天に見守られし者達はアバリティアの解放を行うことにします。

亜竜の水場にいるアバリティアの解放完了後、バシュラールへ報告を行います。
報告を行うと、1000年後の世界で未来が観測できなくなったとバシュラールから伝えられます。
解決方法はよくわからず、アバリティアシェルからティリスを分離するしかないと考えて、一度天恵の聖堂へ戻ることにしました。

天恵の聖堂へ戻ると、アインレインからカーヴェイン達の様子を見てきてほしいと言われます。

カルトゥームではカーヴェインがバーンハルト公国の教団襲撃計画を知り、シャルロットへは教団に匿ってもらうよう伝え、ひとりで公国に向かってしまいます。
シャルロットは無茶なことであると知っていたため、助けを求めるためにアステルリーズへと向かいます。

天に見守られし者達はカーヴェイン達が身を潜めているというカルトゥームの砂岩回廊へ向かいますが、その奥にはバーンハルト軍の兵士しかいませんでした。

バーンハルト軍を退けますが、カーヴェイン達を見つけることはできませんでした。
対峙した兵士たちは教団と手を組んで何かをたくらんでいるようなことを口にしていました。

アステルリーズへ戻ると、なんとアステルリーズの聖堂へバーンハルト公国が宣戦布告を行い、聖堂からアインレインがバーンハルト公国へ連れていかれたと知ります。

アインレインを連れ戻すためにはバーンハルト領へ向かう船が必要と考え、天に見守られし者達ジェイクを頼ることにします。
ジェイクがいるコイン亭へ向かうと、何とそこにはシャルロットがいました。
シャルロットもどうやらカーヴェインが無実であると知っているようで、ジェイクに救出の協力をお願いしていたようです。

ジェイクは事情を知ったうえで協力してくれることになり、その後は船と船員を調達することができました。
シャルロット、ジェイクも含めて天に見守られし者達はバーンハルト領へと向かいます。
バーンハルト領への潜入は危険であるため、エーリンゼはアステルリーズの教団に匿ってもらうことになります。

一方、バーンハルト公国ではアインレインと共にカーヴェインも囚われて牢屋に入れられていました。
二人へは処刑されることを伝えられ、二人は牢屋内で待つことしかできませんでした。

天に見守られし者達は西バーンハルト半島にあるカナロアという漁村に辿り着いていました。
カナロアの掲示板でアインレインカーヴェインが処刑されてしまうことを知り、天に見守られし者達はバーンハルト城へ直接潜入を急ぐことになります。

潜入する有力な情報がない中、天に見守られし者は謎の女性に出会い、謎の女性からアインレインカーヴェインを救えなかった未来を見せられます。

謎の女性は「あなたなら、未来を変えられる」と告げてその場から消えてしまいます。

フェステからコイン亭の店主とつながりのある人物によってバーンハルト城への潜入口のメモが渡されたと伝えられます。

潜入方法が明らかとなった中、ジェイクたちと共に潜入に必要な鍵があるというアルストン廃坑に向かいます。
その道中、兵士に見つかってしまいますがなんとその場に竜族が現れてその竜族とバーンハルト兵士が仲間であるかのように話す状況に出くわします。
その竜族はリーンブルムというようで、ダンケルクとも知り合いのようです。
兵士がなかなか言うことを聞かないため、リーンブルムは兵士もろともその場を焼き払ってしまいます。

リーンブルムはその場を去りますが、天に見守られし者達は無事でした。

天に見守られし者達は鍵の回収を完了し、ジェイクシャルロットが陽動、天に見守られし者フェステアインレインカーヴェインの救出と二手に分かれることになります。

廃棄されたマキナ達が闊歩する旧地下水路を進むと、ちょうどバーンハルト城の牢屋へと繋がりました。
牢屋の鍵を持つバーンハルト兵士を気絶させ、天に見守られし者フェステアインレインカーヴェインの救出に成功します。
ヨルクがどこにいるのかを聞きますが、アインレインカーヴェインからヨルクは既に死んでいると告げられます。
過去の記憶がある天に見守られし者フェステは、歴史改変の影響を知ることとなります。

そのまま脱出しようとしますが、カーヴェインの提案で無理を承知でダンケルクとの話し合いを行いに行くことになります。

バーンハルト城の庭園に出ると、副団長のヴェロニカに出会います。
ダンケルクの居場所を聞きますが、素直に話してくれるはずもなく戦うことになります。
ヴェロニカを行動不能にさせると、ダンケルクはドラーヴァ王立研究所という場所に居ると伝えられます。そこにはカーヴェインの秘密も隠されているようです。

天に見守られし者達がその場を去った後、動けないヴェロニカはリーンブルムに食われてしまいます。

ドラーヴァ王立研究所の奥地へ行くとそこにはダンケルクがいました。
ダンケルクは持っていたイマジンシードを起動し、そこからはアバリティアが出現しました。
出現したアバリティアが何であるかダンケルクはカーヴェインへ問いかけます。
そんな中、アバリティアはアインレインの名前を発しました。
その声を聞いて、アインレインカーヴェインはアバリティアの正体がヨルクであると察します。
二人が動揺する中、アバリティアが暴れ出して天に見守られし者達は戦うしかありませんでした。


アバリティアの後にいたダンケルクとも戦うことになりますが、なんとかその場は天に見守られし者達の勝ちで終わります。

アバリティアは消え、膝をついたダンケルクへカーヴェインは自分は何者であるのかを問いかけます。
突然、ダンケルクはカーヴェインが持っている母親の形見を話題に出します。
カーヴェインは母親の形見である短剣を取り出すとダンケルクはそれを強奪します。
そしてなんとダンケルクはその場で自害してしまいます。

何も知らされない中、カーヴェインはその場で泣くことしかできませんでした。

ドラーヴァ王立研究所を出ると、ヴェロニカに会いますが様子がおかしいことに気付きます。
天に見守られし者が何者であるかを尋ねると、ヴェロニカに成りすましていたリーンブルムがあっさりと元の姿に戻ります。

すべての種明かしをしたリーンブルムは、ヴォルディゲンの名を口にした後に満足してその場を去りました。

庭園にはヴェロニカの遺品を回収する兵士が現れ、その兵士が向かう先にはノルベルトがいました。
ノルベルトの顔を見て、フェステは直ぐにコイン亭の店主であることに気付きます。
ノルベルトはコイン亭の店主であったことも認め、天に見守られし者達へ今回の事件は「ダンケルクが錯乱し、謀反を企てていたところをカーヴェインが阻止した」として幕を閉じることを伝えます。
バーンハルト教区の教団がやろうとしていたことは秘密にされることとなり、アステルリーズの教団とは良好な関係へと戻ったことも伝えられました。

アインレインはバーンハルトに来ていたリュゲリオと共にアステルリーズへ戻りました。

カナロアでジェイクシャルロットに合流し、天に見守られし者シャルロットへ借りていたペンダントを返します。
全員でアステルリーズへ戻り、シャルロットはしばらくコイン亭が居場所となることになります。

神殿へ戻るとエーリンゼは何が起きたのか既に知っていて、アインレインが戻った天恵の聖堂へと向かいます。

天恵の聖堂では引き続き結界が張られている中、ティリスが意識を取り戻しつつありました。

バーンハルト城では式典が行われ、カーヴェインはノルベルトから褒美としてペンダントが渡されます。しかしそのペンダントの見た目はシャルロットが持っていたものとおなじ見た目でした。

式典を終えてしばらくし、天に見守られし者フェステはノルベルトから、元は弟が国をきりもりしており、実際に暗殺されたのは弟で今は兄である自分がノルベルトの代わりにノルベルトとして王をやっていることを知ります。
もちろんそんなことを国民へ伝えることは出来ず、弟の妻子へも秘密で弟のノルベルトとして過ごしているようです。

もちろんコイン亭へ戻れる状態でもなく、コイン亭のことはジェイクへ、フェステのことは天に見守られし者へ後のことを任せることを改めて伝えられました。

 

シャルロットはいまだに追われている身であることから、ジルウェット旅一座には戻らずアステルリーズに滞在していました。
滞在している間にシャルロットは、旅芸人ばかりを襲う武装集団の情報を集めて回っていました。

シャルロットを狙っている武装集団と関係があるのではと考え、天に見守られし者フェステも調査に協力することにします。
調査を進めると
「武装集団は若い女性の旅芸人のみ命を奪う」
「目が血走っていて精神状態も異常」
「現在はミンスター丘陵とアンゴラ盆地の間あたりにいる可能性あり」

ということが分かり、シャルロットの提案であえて見つかりに行くことになります。

予定通りおびき出した武装集団を戦闘不能にさせ、目的を聞き出そうとしますが急に大声を出して泡を吹きだしたかと思ったら死んでしまいました。
武装集団は何者かに操られていただけという可能性が浮上しただけで、シャルロットが狙われ続けている理由は謎のままです。

 

ティリスを助け出す方法が見つからない中、エーリンゼは大元の原因である「バシュラールがエーリンゼを連れ去る」という事実が発生する前にクロノゲートを破壊しようと考えます。
エーリンゼは自分だけが過去へ飛ぶ気でいましたが、天に見守られし者フェステも一緒に過去へ行くことを提案します。
エーリンゼは一度断りましたが、過去へ飛ぶためのクロノグラムはシャルロットが持っているペンダントを使わなければいけないことを理由に、3人で過去へ行くことになります。

シャルロットはコイン亭でなぜかカーヴェインと一緒にいました。
カーヴェインはノルベルトから受け取ったペンダントが、シャルロットが持っているものと瓜二つであることが気になってコイン亭へ来ていたようです。
ふたつのペンダントを見てエーリンゼは全く同じものであるとはわかっているようですが、それ以上の詮索はしませんでした。
そんな中シャルロットへペンダントを貸してほしいと申し出ると、あっさり貸し出してくれました。

神懸の御柱へ行き、3人は目的の時間へとクロノリープします。

 

~3~へ飛ぶ

~5~

元の時代へ戻ってきた3人は滅びの未来を見たことで諦めそうになってしまいます。
しかし天に見守られし者が2人を勇気づけ、再度過去へ飛ぼうとした時でした。
ペンダントに入っていたクロノグラムに限界が来たのか、その場で砕け散ってしまいます。

何もできなくなってしまったため、3人はアステルリーズへ戻りました。

天に見守られし者はシャルロットへペンダントを返し、過去へ飛べるほどのクロノグラム調達方法を考えることにします。

ジェイクがちょうどそろそろ星霊祭の時期だと話しているのを耳にし、エーリンゼは星霊祭はバファリア神族がクロノグラムを生成するために用意していた儀式であることを打ち明けます。
天に見守られし者達が星霊祭についてアインレインへ訪ねに行こうとすると、カーヴェインシャルロットもついてきてしまいます。

天恵の聖堂の奥へ行くと、ティリスの状況が悪化していました。
状況が把握できないシャルロットを見て、エーリンゼはこれまでの出来事をアインレイン、カーヴェイン、シャルロットへ伝えました。
3人はすべての内容を受け止めたとは言いずらいものの、ティリスを助けることに協力をしてくれるようになります。

クロノグラムの生成方法についてアインレインへ尋ねると、リュゲリオなら知っているはずということでリュゲリオへ詳細を聞くことになります。

リュゲリオはちょうど星霊祭について悩んでいる様子でした。
星霊祭に必須な星霊の歌姫がそろわない状況のようで、中止が決定してしまいそうな状況でした。
候補者である3名のうち、2名はバーンハルト公国の混乱に巻き込まれて死亡し、ひとりは故郷で療養中のようです。
そこへシャルロットが歌姫へ立候補したいと突然歌い始めます。リュゲリオが困惑する中、供物とする結晶が反応して歌姫の資格があると判明します。
シャルロットは目立って武装集団に襲われる可能性を承知の上で立候補しました。

天に見守られし者達は星霊祭の成功が今後につながると考え、残り2名の歌姫候補確保のために動き出します。

まずは生存している歌姫候補を助けに行くことにします。
その歌姫候補はララフォルテという森の民で、のどを痛めて故郷近くにあるラウェハラ岬で療養中とのこと。
天に見守られし者達は外大陸にあるラウェハラ岬へ向かうことにします。エーリンゼは神殿に残ることにし、カーヴェイン、シャルロットを含めた4人で向かうことになります。

ラウェハラ岬にある拠点 ジュビリアに到着すると、バーンハルト公国の高等文官 ユーゴがいることにカーヴェインは驚きます。普段はバーンハルト公国の内政を支える大事な存在のようですが、視察を理由にいろんな女性へ声をかけて回っている様子にカーヴェインは戸惑ってしまいます。
そんなユーゴへララフォルテについて聞くと、どうやらププハウスというジュビリアから少し離れた場所にいるようです。
ユーゴは星霊祭にも詳しいようですぐに話を理解していました。

ププハウスへ行くとララフォルテはいましたが、まともに喋ることができないレベルの重症であることを知ります。さらに森の民の郷へ入れてもらえない状況のようで、薬の材料集めに協力してほしいと頼まれます。

天に見守られし者達は直ぐに材料を集め、それらを持ってララフォルテはププハウス内で調合を開始します。

調合が完了した薬を飲んだララフォルテは天に見守られし者達の前で軽く歌い、テンションが高い様子で喜びを爆発させました。

天に見守られし者達はララフォルテの提案で、回復したことをアインレインへ伝えるために一度アステルリーズへ戻ることになります。アインレインへ会いに行くことになるのですが、アバリティアシェルがいることはララフォルテも知っているようでした。

ララフォルテはアインレインへ会うと、早速アインレインの歌唱力について尋ねました。アインレインは渋々歌って見せますが、歌が下手であることを披露してしまっただけでした。
そんな中、アインレインの歌声でシャルロットティリスは涙をこぼします。シャルロットはなぜか懐かしいと言い、ティリスについては全く謎でした。

少し落ち着いた頃にフェステは3人目の話題を出します。
3人目については既に新たな候補が見つかっているようで、リュゲリオがミンスターホルンへ向かったようです。
シャルロットは歌姫としてふさわしくなるための特訓を受けるため、ララフォルテに連れていかれてしまいます。ララフォルテの歌指導は厳しいようで、扉を一枚挟んでも歌と教団に対する情熱があふれてくるほどのもののようです。

天に見守られし者フェステはミンスターホルンへ向かうと、そこには歌姫候補であることが判明したミルレーネがいました。
ミルレーネはワールキンと共に遺跡調査へ熱意を注いでおり、天に見守られし者フェステとは顔見知りでした。
ミルレーネは歌姫になることに乗り気ではありませんでしたが、タワーロック鉱山跡にある遺物を持ってきてくれたら歌姫として星霊祭に参加すると言ってくれました。

天に見守られし者フェステが望みの遺物を持ち帰ると、ミルレーネは遺物に夢中になります。その内容はある歌の断片のようで、その歌はフェステが知っている歌の続きに当たるようです。フェステは遺物に刻まれるほどの古代の歌を知っていることになりますが、なぜ覚えているのかは本人もわからないようです。

これでミルレーネは3人の歌姫となり、星霊祭に必要な3人の歌姫がそろいました。

リュゲリオは星霊祭を開始する号令を出し、アステルリーズ内は星霊祭のために慌ただしく動き始めます。

星霊祭の準備が進められていく中、エーリンゼは神殿にはおらずコイン亭でバイトをしていました。
メイド姿で慣れないバイトをしている中、星霊祭関係でアステルリーズへ訪れていたユーゴがコイン亭にやってきます。
ジュビリアで見せたようにエーリンゼを口説こうとしますが、ジェイクフェステが止めに入ってユーゴは渋々仕事に戻りました。
その後、天に見守られし者フェステエーリンゼと共に神殿へ向かいます。

神殿へ入ろうとすると花火が上がり、3人が星霊祭の成功を祈る中でその失敗を目論む者たちも動き始めていました。

神殿内では星霊の歌姫たちがしきたりから外れることを実践しようと企んでいました。そんな3人を止める者はおらず、エーリンゼは客席へ向かい、天に見守られし者フェステは警備へ参加することにします。

星霊祭ではアステルリーズにある劇場で歌姫たちは歌を披露します。そんな劇場前には多くの人々が集まっていました。

カーヴェインは警備のために劇場前へ待機しており、天に見守られし者フェステで役割分担の認識合わせを行いました。
カーヴェインは劇場内部を、天に見守られし者フェステは神殿内の裏口を守ることにしました。

ついに星霊祭のメインである歌姫たちによる歌の披露がはじまります。
最初こそは厳かで静かな歌い出しでしたが、急に派手な曲調へと変わって舞台の演出も派手になります。歌姫たちの衣装も派手なものとなり、劇場内はコンサートのような盛り上がりを見せます。

そんな中、警備兵に紛れた武装集団が劇場内部と神殿内で動き始めます。
劇場内が歌で派手に盛り上がっている中、天に見守られし者達は武装集団たちを撃退していきます。
劇場が派手に盛り上がっているおかげか戦闘音は一般人たちに気付かれず、舞台装置の一部が破壊されても歌姫たちが臨機応変に対応して一種の演出として扱われました。

 

リュゲリオが心配する中、劇場内の熱狂はピークを迎えて神殿内にあるクロノグラムを生成する装置は人々の熱狂をエネルギーとして力を蓄え始めます。

舞台は無事に終了し、星霊祭は問題なく終えることができました。

星霊祭は終えましたがクロノグラムが生成されるには仕上げとして別の歌を捧げ続ける必要があるようで、すぐには手に入りませんでした。
神殿内にあるクロノグラムを生成する装置の在処は一部の者のみしか知らないはずであるにもかかわらず、神殿内へ侵入してきた武装集団はその装置破壊が目当てであった可能性があるとリュゲリオは推測していました。

そんな武装集団の1人をカーヴェインは生け捕りにしていました。
情報を聞き出そうとすると、大声を上げると同時に毒が体内へ注入されたのか血を流して死んでしまいます。どうやら注入された毒はラウェハラ岬でとれるグリゾニア草の毒のようで、採取場所にアジトがあるかもしれないとララフォルテは考えます。
その話を聞いてシャルロットはラウェハラ岬へ行きたいと言い、カーヴェインも護衛として同行することになります。

 

とある場所、ヴォルディゲンが静養中のところへペストマスクのような仮面をつけた男が現れます。仮面の男はヴォルディゲンの事をよく知っているようで、対等もしくはそれ以上の立場から話しかけていました。
二人は惑星の獣関係で手を結んでいるらしく、仮面の男がこれから実施しようとしていることを止めようとはしませんでした。
ヴォルディゲンはまだしばらく動けそうになさそうな様子です。

天に見守られし者達はラウェハラ岬のグリゾニア草があるという場所へ向かうと、そこには武装したユーゴがいました。
ユーゴはどこかへ誘い込むかのように逃げ出しはじめます。逃げ続けるユーゴが立ち止まると自分の正体を明かしはじめます。
ユーゴはなんと惑星の獣の使徒で、ただシャルロットを抹殺するために行動していたのです。
どうやらシャルロットは絶望の未来で生まれた存在であり、赤子の時に両親が今の時代へシャルロットを送り出したとのことです。
そんなシャルロットはこのままだと必ず未来へ行き絶望の未来で希望を与え続ける存在となり、惑星の獣へ抗う集団「生存戦線」を指揮する立場になるそうです。
それが惑星の獣にとっては目障りだったらしく、ユーゴは「生存戦線」が出来上がるきっかけを潰すために動いていたということです。

ユーゴはついでにカーヴェインの母 アデライードについても語りだします。
どうやらアデライードは腕の立つ剣士だったようで、シャルロットが送り出された過去で邪魔をされないようユーゴの思惑を阻止し続けていたようです。
その結果、アデライードはクロノリープに巻き込まれて今より少し前の時代に飛んでしまったようです。

ユーゴはついに武装集団を呼び出して4人全員を殺そうとしますが失敗してしまいます。
ユーゴはヨルクがアバリティアになった理由は私だとカーヴェインへ打ち明けて煽りだします。カーヴェインは激怒しますが、ユーゴを殺そうとはしませんでした。
ユーゴは残念そうな表情をし、武装集団の1人を爆発させて再度逃げ出します。

ユーゴはバファリアの遺跡がある海神窟の最深部へ逃げました。
その最深部でユーゴは獣の使徒としての姿をあらわにして4人へ襲い掛かります。

ユーゴは瀕死になり、謎の装置近くで膝をつきます。
そこでユーゴは「アリシアの嘆きよ」と言い放った後にその姿は消えてなくなってしまいました。
シャルロットはユーゴがアバリティアシェルに何かしたのではと考え、4人は急いで天恵の聖堂へと急ぎます。

天恵の聖堂ではアバリティアシェルが暴れ出していました。
暴れるティリスは、見慣れてしまったユーゴのような不気味な笑みを浮かべてこっちを見ていました。
そこへ天に見守られし者が持っていたカーヴェインの形見であるイマジンが起動してアバリティアシェルを落ち着かせてしまいます。その後はティリスの様子が落ち着き、なぜかアデライードの声でカーヴェインの名前をささやきました。
アバリティアシェルの中に複数の意思が渦巻いているかのように思わせる光景でした。

アバリティアシェルは突然現れたメルロウフを見るとその場から転移するように消え去ってしまいます。

メルロウフは惑星の獣の暴走を止めるために希望の落とし子であるらしいカーヴェイン天に見守られし者へ「いつもの方法」を行おうとしますが、カーヴェインの形見であるイマジンがそれを防ぎます。

メルロウフは不思議がりながら天に見守られし者達へアバリティアシェルを探すよう伝えて消えてしまいます。

エーリンゼによるとアバリティアシェルはこの時代のどこかへ移動しただけらしく、転移場所が判明するまで待つしかない状況となります。

 

 

===1000年後===

バファリア神族の間ではゾルキシアという集団が力をつけていました。

ゾルキシアに所属するバシュラールは世界を長く保たせようとあらゆる手を施しますが、その行動にはどれほどの命が犠牲になるのかまでは考慮されていませんでした。

バシュラール主導でアバリティアシェル計画が進められ、核となる存在を作りだそうとされます。
その過程で核となる候補として竜族の男 ヴォルディゲンが被検体となります。しかしヴォルディゲンはアバリティアシェルの核になることは出来ず失敗に終わります。ヴォルディゲンは反抗し、クロノリープによって過去へ戻り、惑星の獣を制御するためにアバリティアシェルと一体化するための行動を開始します。


アバリティアシェル計画の進捗がよくない中、エーリンゼは世界の崩壊の原因となったアバリティアを過去で解放していこうと考えます。その考えはバシュラールによって一度反対されましたが、アバリティアシェル計画よりは実現性があるとされました。
エーリンゼの考えは認められ、過去のアバリティアを解放するという計画は実行されます。

その裏でバシュラールは協力者たちとアバリティアシェル計画を進め、虚数世界にいるとされる惑星の獣を制御するために計画の調整を進めながらエーリンゼの監視を行いました。

エーリンゼと従者のティリスは1000年前の世界へクロノリープすることになります。  

 

バシュラールエーリンゼを連れてきてエーリンゼをアバリティアを制御するための機構 アバリティアシェルの核として利用しようとします。

~1~

天に見守られし者達はこの時代の神懸の御柱の頂上へたどり着き、エーリンゼが連れ去られたと思われる場所を目指して神懸の御柱を降りていきます。

その道中でなんとフレルベと再会しますが、どうやら記憶を失っているようで悪意なしに仲間として行動するようになります。

どうやら地下に作られた研究所へ連れ去られたようで、天に見守られし者達は研究所を目指します。
フレルベに追いかけてくる兵士たちを任せながら、天に見守られし者達エーリンゼがいる場所へとたどり着きました。

丁度辿り着いた時にはアバリティアシェルがエーリンゼを取り込もうとしているときでした。
それをティリスが止めようとして割り込み、エーリンゼを助けだしますが代わりにティリスが取り込まれてしまいます。

アバリティアシェルは意志を持ったかのように雄たけびを上げてその場から消え去ってしまいます。バシュラールが追跡したところ、どうやら1000年前の時代にクロノリープしたようです。
時空が歪みはじめた中、突然メルロウフが現れてこのままでは惑星の獣によって世界が滅ぼされてしまうと伝えます。

メルロウフの指示によって各々が動き出し、天に見守られし者達はメルロウフ協力の下で元の時代に戻ることとなります。

~2~へ飛ぶ

バシュラール天に見守られし者達の監視を続けている中、未来の観測ができなくなりました。
時空が安定しなくもなり、危険な中で過去へ人員を派遣しますが成果は得られずしまいでした。
バシュラールは天に見守られし者達に頼るしかないと判断し、事実を伝えました。

ダンケルクの死が過去で確定し、再び未来の観測が可能となります。

 

===2000年後===

~4~

天に見守られし者達が飛ばされてきたこの時代は、滅びが確定してまさに惑星の獣に世界が飲み込まれている最中でした。

この時代でも残っていた神懸りの御柱も破壊されようとしている中、なぜかカナロアで出会った謎の女性がいました。
謎の女性は早く元の時代へ戻るよう言い、エーリンゼは直ぐに元の時代へ飛ぶためにクロノゲートを起動させます。
謎の少女はクロノゲートへ入ることなく、天に見守られし者に「大丈夫。あなたなら」と言い残します。
そして天に見守られし者達は元の時代へと戻ります。

 

~5~へ飛ぶ

 

 

 

 

※このページではブループロトコルの要素を扱っています

 

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【マギレコ二次創作】魔叙事詩カグラ・マギカ 2-3-3 今はただ、間章に浸るだけ

キュウべぇが姿を消した。

前代未聞の状態に私達は困惑していた。

もう直ぐ世界中に自動浄化システムが広がると思っていた子達は落胆していた。

「いつも邪魔だと思うくらい直ぐに現れる奴が、大事な時に顔を出さないなんてどうなってるんだ」

「そうだよ。キュウべぇに頼るしか方法がないんでしょ」

「どこに行ったのかもわからないのに、探すだなんて」

私はわからなかった。

今の状態では、大丈夫だと言ってみんなを安心させられない。

どうすれば、みんなを安心させられるだろうか。

「自動浄化システムが見送りとなったのであれば、先に解決しなければいけない問題がある」

話を切り出したのはひなのさんでした。

「その問題って?」

「難民問題ってやつだ。

捕まらずに逃れていた奴らが、どこからここが安全と聞きつけたのか侵入してくることが増えた。

血の気が多い奴はまだ見たことないが、そんな奴らが来ることも考えるべきだ」

「それって、キュウべぇが伝えてまわっているってことかしら」

やちよさんがそう言い出すと、周りのみんなはきっとそうなのだろうと信じ込もうとしていました

それでみんなが納得できるならいいのだけれど。

「まあまあ、ここで生きるための課題は多いんだからそれらの解決に専念しようじゃないか!」

そう言いながら抱きついてきたのはつるのちゃんだった。

「鶴乃ちゃん!久しぶりだね」

「本当だよ。

ずっとみかづき荘で待っていたのに全然姿を見せないんだもの」

「ごめんね、色々バタバタしていて。

さなちゃんとフェリシアちゃんは元気?」

「うん!2人はみかづき荘の畑を手入れしてるよ」

「畑?そんな規模のものあったっけ」

「いろはちゃん達がいない間に庭を畑に変えていたんだよ」

「そうなんだ」

ひなのさんはしばらくこちらの様子を見ていて、私に話しかけてきました。

「久々の再会なのだろう?会ってくるといいさ」

「え、でも」

「ひとりで全て抱え込む必要はないわぁ。

頼れる人がいるならば頼らないと」

結菜さんが話に割り込んできたのは驚きましたが、そうかもしれない。

「お前、いろはと何かあったのか」

「さあ、何があったのでしょうね。

周囲警戒はこちらで勝手にやらせてもらうわ」

「わかりました。お願いします」

そう言って去っていった結菜さんの姿が見えなくなったくらいのところでひなのさんが話しかけてきました。

「信用していいのか」

「大丈夫ですよ」

「そうか。お前が言うならそうなんだろうな」

周囲を見渡すと灯花ちゃんとねむちゃんは知らないうちにいなくなっていました。

あとでキュウべぇのことを聞いてみないと。

私は久々にみかづき荘への帰路にいました。

いつもの道とは違って瓦礫が転がったままで、目に入る家の中には壁が破壊され、一部は血痕が残ってはいるものの肉塊はきれいに片付けられていました。

そんな風景を見てふと口にしてしまいました。

「ちゃんと片付いてる」

「そうだよ、いろはちゃん達が神浜離れてからとりあえず綺麗にしようってみんなで頑張ったんだから」

「あ、えと、そうなんだ」

鶴乃ちゃんが反応したことで私は口に出していたことに気づきました

「できることからやっていこうってことで、それぞれが思いつくことをやってきたらさ、それぞれ生きていくのが精一杯になっちゃった」

「多くの大人に支えられた環境だったもの。

私たちだけではうまくはいかないのは当然よ。

そういえば鶴乃は家には」

「無事だったよ、家だけは。

片付けはしたけど、またお店っていうには食材もそうだし私の腕もまだまだだし、

悲しい気持ちにしかならないからしばらく戻ってない」

「…そうなのね」

「でもいいんだ。お店自体無くなっていたらダメだったかもしれないけど。

お父さんとかの件は割り切れたから、オッケーオッケー」

いつもの辛い気持ちを偽った笑顔ではない。

本当に吹っ切れたかのような笑顔でした。

「私はまだマシだよ。

中には複雑な感情でふさぎ込んじゃった子がまだいたりで、みんなでどう立ち直らせようか考える時もあったから」

「やっぱりいたんだ、そういう子」

「暇見つけていろはちゃんも会ってきなよ。

今後の方針も見つかるかも」

それぞれが、個々人のことで精一杯。

私だってそう、ういが元に戻ったからいいけどそれまではまわりに目なんて向けられなかった。

だから、どうしたらいいのかもわからず。

「せっかくの帰路なのに、暗い顔をするんだね」

そう話しかけてきたのはワルプルガさんでした。

「ワルプルガちゃん?」

「お母さんだってそうだよ、一時は占領しちゃった場所とはいえ、みんなの家に帰る道なんでしょ?

笑顔じゃないと」

「ワルプルガ、あなた、やっぱり最初の頃より変わっているわよね?」

「そうかな?

目覚めたての時よりはまともになったというのは自分でも理解しているよ」

「だとしてもいきなり大人びすぎよ」

「魔法少女が魔女になった後、その魂はどこにあり続けるのか」

「え?」

「もしこの世に残り続けるものだったとしたら、魔女になった方の私の魂が影響してきたからじゃないかな。

私を生まれなおさせた者達は、ワルプルギスを取り込んで魂ごと修復しようとしたみたいだし」

「彼女達そんなところまで」

「とは言え、私はワタシ。

お母さんの子どもだよ」

そう言ってワルプルガさんはういに笑顔を見せました。

それに応える様にういもワルプルガさんに笑顔を見せました。

過去に生きたワルプルガさんも、こうやってみんなを笑顔にさせようとしていたのだろうな。

私達はついにみかづき荘に着きました。

自分の家のはずなのに、扉を開けるのに緊張してしまいます。

私はドアノブに手をかけ、そして自然とこの言葉を発したのです。

ただいま

扉を開いた先には片付けの手を止めてこっちを見るさなちゃんとフェリシアちゃんがいました。

2人ともに驚きと喜びが混じった様な顔をしていました。

「いろはさん、おかえりなさい」

「ほんとうにいろはなのか、急に前みたいに襲いかかってきたりしないよな?!」

「するわけないよ」

「やっと、みんな元通りになったんだな」

フェリシアちゃんはそう言いながら泣きそうな顔になっていました

「うん、これからはみんなでいられなかった時間を取り戻そうね」

「いろはーーー!」

そう言いながらフェリシアちゃんは抱きついてきました。

「やちよさんも、お疲れ様です」

「迷惑かけたわね、二葉さん」

「ういちゃん、元に戻った様でよかったです」

「さなさん、ご迷惑おかけしました」

こうしてみかづき荘はやっと元に戻ったのです。

「これからはワルプルガちゃんも仲間入りだよ!」

「そうか、ワルプルガさんはういちゃんにつきっきりだものね」

「改めてお世話になります」

今日だけでも、何も考えずみんなとの楽しい時間を過ごしちゃっても、いいかな。

こういうみんなが集まる時は鍋をやるのが一番ではありますが、食糧生産が安定していないのが事実。

今日の食材はどうしようという話になり、ついでに神浜の食料事情を見て回ろうということになりました。

今まで食材を集める場所であった商店街に行ってみるとかつての様な活気はなく、瓦礫を片付ける魔法少女達の姿しかありません。

今食糧のやり取りが行われているのは電波塔跡地の中央区です。

数は少ないものの、寄せ集められたものが仮設倉庫へと仕舞われており、今はそこに保存された缶詰等がなくなるまでに食料問題を解決しようというのが神浜の魔法少女の方針となっています。

「神浜が襲われるまでは畑の下地作りとか、狩りの仕方とかで解決の糸口が見えていたんだけど、このみちゃんとかが紫色の霧を受けて動かなくなっちゃってあんまり進展ないんだよね」

そう鶴乃ちゃんが説明している間に向かっているのは北養区。そこには狩りの手ほどきをしてくれる子達がいるようです。

「狩り関係は時女一族の子達が担当してるんだよ」

「確か静香ちゃん達がいるところだったかな」

「あんまり話したことはないけど、狩りの腕前は確からしいよ」

「それなら肉くらいはあるよな!」

「でも神浜ってそんなに狩れる動物なんていたかしら」

「そうなんだよ、そこが一番気になるんだよ」

そう会話しながら狩場にされている場所へ移動したのですが、思った通り山奥でした。そこは思ったよりも賑やかで、何人かの魔法少女が狩ったであろう動物を囲んでいました。

そんな魔法少女達の中には見知った子もいました。

「まなかさんもここにきていたのですね」

さなちゃんが声をかけたのはレストランで働いていたまなかちゃんでした。

「おや、みなさんお揃いで。

みかづき荘のメンバーが勢揃いだと微笑ましいですね」

「みかづき荘ってことはいろは殿もいるでありますか」

そう声をかけてきたのは、かつて水徳寺で門前払いをしてきた魔法少女でした。

「あなたは確か」

「おお、いたでありますか。

私は三浦旭。時女一族のメンバーであり、今はここで狩りについて取り扱っているであります」

「うわ、血だらけ…」

フェリシアちゃんがそう呟いてしまうくらいに旭さんの服には血がついていました。

「あら、時女一族の子だったのね。

一つ気になるんだけど、聞いていいかしら」

「長くなりそうなら後でいいでありますか。

ちょうど今獲物の解体途中でありまして」

「はい、では少しだけ待ちますね」

やちよさんと鶴乃ちゃん、さなちゃんは食い入る様に解体作業を見学していましたが、私たちには見ていられませんでした。

「お、オレは見覚えのある肉だけをもらうだけだと思っていたのに」

「ああいう生々しいのを見せられちゃうと、ちょっと色々考えちゃうね」

「わたし、あれはダメかも・・・」

「魂をいただくというのはああいうこと。

食糧になった生き物には感謝をしないと」

「…やっぱこいつ前とは違うな」

「ワルプルガちゃん、私より大人かも」

ワルプルガちゃんはポカンとした顔をこちらに向けてきました。

これが見た目は子ども、頭脳は大人ってやつなのでしょうか。

私達が解体作業が終わるのを待っていると山菜をたくさん持った魔法少女達が近づいてきました。

「あら、そんなところでうずくまって何をしているのですか?」

「えっと、動物の解体作業を見ているやちよさん達を待っていて」

「やちよ?!」

山菜を持っている1人の子が驚き出しました。

その驚きに反射で私も驚く声を出してしまいました。

その声を聞いてか解体作業を見ていた魔法少女達が集まってきました。

「なにかあった?!」

「い、いや、ちょっと驚いて声に出ちゃっただけで」

やちよさんの名前に驚いた魔法少女へまなかちゃんが話しかけていました。

「莉愛先輩、また他人に迷惑かけたのですか」

「何もやっていないわよ!」

「何もやっていないならこんな騒ぎになっていませんよ。

今の状況、叫び一つで警戒してしまうのくらい分かってください」

解体作業をしていた旭さんもこちらにきてしまっていたようで山菜を持っている魔法少女の1人に話しかけていました。

「ちか殿、戻ってきていたでありますか!

現在取り込み中でありまして、いろは殿に山菜について話をしてもらえないでありますか!」

「旭!こっちは山菜をまず片付けないといけなんだよ!

その後になるよ!」

「それでいいであります!」

そんな騒ぎもあり、解体作業が終わった頃には夕方になっていました。

どうしよう、先に灯花ちゃんのところへ行った方がよかったかな。

結局、山菜については整理される様子を眺めるだけだったし。

全てが落ち着いた頃に、やっと旭さんと話す機会ができました。

服についた血は綺麗になくなっていました。

ただ着替えただけ、だよね?

「さて、改まって聞きたい話とはなんでありますか」

「この狩場のことよ。

北養区は山奥の土地とは言え、動物の数にも限りがあるはずよ。

そこを考えて狩りを行っているの?」

確かに無闇に狩ると動物達がこの土地から去ってしまったり絶滅する原因になるであります。

でも我らは成長途中の動物、妊婦の動物や巣を直接襲うといったことを避けて個体数軽減はさせない様取り組んでいるでありますよ」

「そんなこと可能なの?」

「ちか殿が動物の声を理解できるゆえ、見た目で判断できない時は助かっているであります」

「え、すごい」

「そんな大したことはしていないですよ。

狩るかどうか判断するのは旭ですから」

「狩られすぎていないか管理しているのも我でありますよ。

狩りは無闇に、そして自由にやられては困るものでありますからな」

「そう、そこまで気が行き届いている様で安心したわ」

狩について話がひと段落した様なので私は時女一族のことについて旭さんに聞きました。

「あの、時女一族って今はどうなっているのか聞いていいですか」

「我らのことでありますか。

まあ情報は共有していた方がいいでありますかな」

「隠しても得もしない話でしょうからね。
今時女一族は分裂状態にあるんですよ」

「え?」

話を聞くと静香ちゃんと一部の時女一族が人へ捕まりに行ってしまったというのです。

まさか神浜にいたのにまだ人を信じようとする魔法少女がいたなんて。

「放っておくわけにもいかないでありますし、そのうち我らは静香殿たちを助けに行くことになるであります」

「そんな、危険すぎます!」

「まだ可能性の話ですよ。

ちはるさんもまだどうしようか悩んでいるところですから」

「そう、ですか」

「さて、ここに来たのは動物解体の見学だけではないのでは?」

「そうだよ、オレ達は肉をもらいにきただけだぞ」

「なら解体したての肉を一部持っていくといいであります。

そんな長く持つものではないので、今日中に食べ切ることをお勧めするでありますよ」

そうしてやっと目当ての食材が手に入ったのですが、時女一族の情報も手に入れられました。

明日も訪れないといけない場所が多そうです。

夜は久々にみんなで鍋を囲んで談笑することができました。

神浜にいない間は何をしていたのか、反対に神浜ではどう過ごしていたかを冗談交じりで話している間にあっという間に鍋は空っぽになってしまいました。

笑顔に囲まれた空間、さつきさんたちと過ごした時よりもキラキラした暖かい空間になっていました。

今まで何気なく、こんな中にいたんだなってしみじみしてしまいました。

 

翌日、私は灯花ちゃんのところへと直行しました。

ういとワルプルガちゃんもついてきた中、灯花ちゃんのところを訪れた理由はアンチマギアを受けた子がなかなか目を覚まさないという状況を知りたいからです。

普通の部屋よりも温度が下げられた専用の部屋に寝かされた子たちは、ソウルジェムが無事でも目を開けることはありません。

こうなってしまった原因は、アンチマギアが原因とは聞いていましたが詳細なことはわからなかったので、二人に聞きに来ていたのです。

「中には時間経過で目を覚ました子がいて、時間とともに効果が減衰するものであることは確かにはなっているよ。

でも目覚めない子はなかなか目覚めないし、即効性がある対策が急務なんだよ」

「それで、それはうまくいっているの?」

「アンチマギアが魔法の成分でできていることはわかったよ。

その魔法はあらゆる魔法を拒絶する効果があって、そのせいで体とのリンクが切られてしまっているみたい」

「じゃあ、ソウルジェム自体には悪影響がないの?」

使い方次第ではソウルジェムを機能不全にもさせることは可能だろう。

アンチマギアに漬けられたソウルジェムはしばらく外部へ魔力を放つこともしなかったからね」

「今動けない子は、どうすることもできないの?」

「体内のアンチマギアを取り除けられれば、かな。

もう肺の中とか腸内とか全て洗浄してしまえればいいんだけど」

「体内洗浄は流石に無理だ」

「じゃないとこの部屋に置いておいたって体が腐るだけだよ」

「そんな」

ういは動かない子をしばらく眺めた後に、こう呟きました。

「本当に何でも拒絶しちゃうのかな」

そのつぶやきに対してワルプルガさんが答えました。

「そうなんじゃないかな。魔法に該当するものは全部ダメかも」

「私達にはどうしようもないよ。

悔しいけど」

まだ起きない子達の体は腐敗が進まないよう、今よりも温度を下げた大きな冷凍庫へ保存しておくしかないだろう」

「そう、だね」

アンチマギアの影響を受けてしまうと対処方法がない。

使用している側ならば、対処法もわかっているのでしょうか。

寒い部屋から出て灯花ちゃんとねむちゃんが普段から使用している部屋へ案内され、みんなが椅子に座ったころを見計らって灯花ちゃんはワルプルガさんに質問しました。

「そういえば、ワルプルガに聞きたいことがあったんだよ」

「なに?」

「ワルプルガってさ、聖女として有名だったわけでしょ?

今のあなたからはそんな感じが見て取れないんだけど、歴史上のワルプルガとは別人なの?」

「私の中にはオリジナルの魂との繋がりはある。だからと言ってこの体へ人格や記憶も綺麗に反映されるとは限らない」

「どうして?」

「オリジナルが魔女になった後、その魂はどこにあるのか。

私を生み出そうとした存在は、もともとオリジナルの私を蘇らせる方法としてワルプルギスの夜を使用して、その中にあるであろう魂をそのまま活用しようとしたみたい。

でも倒されてしまったから蘇生や再現の力でこうして魂との繋がりだけは確立させたという感じ、みたい」

「日継カレン達はそんなことまで考えていたんだ。

じゃああなたは聖女ワルプルガそのものというわけではないんだ」

「どうだろう。たまに私ではない考えが浮かんできたりするから、少しは影響されてきているのかもしれない」

「そこまで行くと魔法少女の死生観の話へと関わってしまうね」

3人はそこからどんどん難しい話へと突入していってしまいました

私とういは3人の話を聞いて、ただ愛想笑いをすることぐらいしかできませんでした。

私はこうして、久々の平和な日々というものを感じていました。

そんな中、その日の夜を境に新たな転換期を迎えてしまうのです。

 

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【マギレコ二次創作】魔叙事詩カグラ・マギカ 2-3-2 偉そうな研究者

日本へ到着し、私は神浜近くにある自衛隊の駐屯地へと向かった。

その駐屯地へはすでに神浜奪還作戦のための人員と物資が運び込まれており、移動命令が降りていた特殊部隊たちも集まっていた。

中にはヨーロッパで唯一成果を上げた特殊部隊も混ざっている。

一度は話をしてみたいと思っていた。

控え室へ突撃すると指揮官のマッケンジーがいた。

マッケンジーは神浜周辺の地図を見ながら何かを悩んでいた。

でも扉が開いた音には反応したようで、こちらを向いた。

「誰だあんたは」

「サピエンス研究所のディアだ。

お前はヨーロッパでの魔法少女狩りで成果を一番出した隊の隊長であったな。

武器庫破壊の主犯を捕らえたとか」

「まずはノックして入れ、礼儀も知らんのか。
3日後のために忙しいんだ。変に精神を使わせるな」

「別に敵地でもないんだし、そこまで気にすることか」

「はぁ、ここには作戦に使用する魔法少女が未施術状態で待機している。

スパイがいるかもと警戒して当然だ」

「流石は考えが違うね」

「で、なんの様だ。

世間話しかしないと言うならば邪魔だから出て行け」

まあどんなやつか見に来ただけだし、お手並みは神浜で見せてもらうか。

「施術は早めにやってくれ。不安で仕方がない」

「わかっているさ。邪魔して悪かったね」

私はマッケンジーの部屋を後にした。

本当ならば自衛隊の長にも顔を合わせたいところだが、魔法少女たちがすでに待機していると言うならばそっちに向かったほうがいいか。

施術の準備はできているし。

私は魔法少女たちが待機している場所へと訪れた。

魔法少女が待機している部屋は3箇所に分られていたが、最近投降してきた魔法少女たちがいたらしく、合計で4つの部屋が用意されていた。

手駒が増えただけだからどうでもいいが、神浜周辺でとらえた魔法少女以外はデータをもらっていないのでこの目で確かめるしかなかった。

部屋の中へ入ると、魔法少女に混じって大人が2人いた。

魔法少女達はただこちらを見つめるしかしなかったが、大人達はこちらに話しかけてきた。

「あなたは?」

「こっちこそ聞きたい。なぜ一般人がここにいる」

「私達は時女の集落から来ました。

この方はあの子の親なのです。心配で来て何かおかしなことがあるでしょうか」

「ならば尚更邪魔だ。これから彼女達に施術を施さなければならないからな」

「施術って、一体何を」

「誰だここの責任者は。施術の邪魔だからこいつらを連れ出せ!」

私は警備の兵に怒鳴りつけた。

すると連絡をとっていたそぶりもないまま自衛隊の1人が歩み寄ってきた。

「親を連れ込んだのは私だ」

「あんた、自衛隊の長じゃないか。

アンチマギアプログラムが発令された上でのこの行為か」

「この集団は日の本のためにと願いを捧げ続けてきた、いわばこの国のためにと命をかけてきたもの達だ。変な気は起こさない。

それに、彼女たちはまだ子どもだ。

親が近くにいた方が安心できるだろう」

これだから日本人は甘い。

「施術を行う。

邪魔だからあいつらを追い出してくれ」

「あんた、さっきから偉そうに喋ってるけど誰だ」

「サピエンス直属の研究者だ。

まさかサピエンスの存在も知らずそんな口を叩いているのか」

「知るか、そんなもの!娘に何をする気だ」

彼女がいきなり刀を取り出したかという時、私と彼女達の間に自衛隊の長が入り込んできた。

「互いに落ち着け。

時女さん、彼女は魔法少女の専門家だ。米国から送られてきた特殊機関で私達は従うしかない」

「高田さん、でも」

「ここはどうかお引き取りを。命をとりはしません」

まあ私たちがやろうとしている施術は魔法少女達の命を握って無理やり従わせるためのもの。

捕らえた魔法少女には必ずと言っていいほど行っていることだ。

大人2人は観念したのか、高田と呼ばれる男に連れられて部屋の外へと出ていった。

邪魔者がいなくなったことを確認して、私は施術を行う研究者達に通信を繋げた。

「準備が整った。施術を始めるぞ」

魔法少女達に行うこと

それは、ソウルジェムへ取り外し不可能な起爆装置を取り付けること。

それは指輪型の時であろうと、魔法少女姿になった時のアクセサリーに形状変化しようと外れることがない起爆装置で、少しでも歯向かうとこちらが握っているボタンで即起爆し、命を落とす。

この説明を先に実施したのは、会議室に集まったメンバーにだった。

サピエンス直属のメンバー、米国の兵達は驚きもしていなかったが、自衛隊の面々はよく驚いていた。

「そんなもの、なぜ!」

「当然だ。

魔法少女がいつ寝返るかわからない上、いつ背後から狙ってくるかもわからない。

安全のためのものだ」

「だが、あんまりな扱いではないか。

彼女達はまだ子どもであると伝えたではないか」

私は起爆装置を高田の前に出した。

「これを押すのはお前の役目だ」

「なんだと?!」

「そんなに慈しむなら、これの扱いはあんたに任せるよ。

でも、あんたの判断でこちらに被害が出ようものなら、米国との関係は改められることになるだろうね」

「た、高田1佐…」

高田は周囲の自衛官に動揺されながらもそのスイッチを受け取った

「いいでしょう。

あなた達と協力することになった以上、責任はしっかり果たします」

「そうかい。

とは言え、こちらは日本語が完全に扱えるものが少なくてね、こちらはこちらで勝手にやらせてもらう。

あなた達は魔法少女達を監視しながら私たちのアシストをしてくれればいい」

「司令書にはあるが意思疎通せずにできることなのか」

「言語の壁があるんだから仕方がないだろう。

どうしても伝えたいことがあれば私を経由してくれ。

まともな案件だけ通してやる」

自衛隊のメンツは納得しない表情だった。

当然だ。国のお偉いさんがいい顔するために安請け合いしたのは目に見えている。

この国はひどくなったものだね。

そんなことを考えていると、高田が提案してきた。

「ならば、翌日の夜に先行して実施したいことがある」

「なんだ、イザベラにはもう通していることか」

「はい、レディには了承を得ていることです」

「いいだろう、聞かせてもらおうか」

 

back:2-3-1

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【マギレコ二次創作】魔叙事詩カグラ・マギカ 2-2-10 偽りの神様

ある日、やちよさんはさつきさんへ3人の子達が学校へ行っていない理由を聞きました。

「事情があるのよ。

もしよければあなたがあの子たちに教えてあげてもいいわよ。

かつては家庭教師が来ていたのだけど、わたしたちだけになってからは誰も教える人がいなかったから」

そう、この神社にはお参りしに来る人と謎のスーツの集団以外全く来ないのです。

3人の子へ勉強を教える人もおらず、さつきさんやキクさんの両親もいません。

きっと踏み込んではいけない事情があるのでしょう。

やちよさんが暇をしている3人へ勉強をしたいか聞くと、ちかちゃんが真っ先に答えました。

「私は嫌かな。あまり勉強得意じゃないし」

他の二人はダンマリでした。

私は二人が言い出せない事情があるのかと思い、ちかちゃんを外へ連れ出すことにしました。

「じゃ、じゃあちかちゃん、ちょっと私に教えて欲しいことがあるんだけど」

「なになに?」

ちかちゃんを私が外へ連れ出した後、その後に残った二人は。

「私は勉強教えて欲しいかな」

「私も・・・」

「最初聞いた時は黙っていたわね。あの子の前では言い出しにくいことなのかしら」

「そうだね。

ちかの前では、“勉強”ってこと自体を話題にするのはよくない」

私はちかちゃんに畑の野菜について聞いていました。

そして聞いてみたのです。

「ねぇ、勉強は嫌いなの?」

そう聞かれると手を動かしながらいつもの元気そうな顔で話はじめました。

「私は勉強ができないからって家を追い出されたの。何が起きたかわからず彷徨っていたところをさつきさんに助けてもらったんだ!

拾ってもらった後も勉強を何度か誘われたんだけど、何をやっても覚えるところか嫌な気持ちになるだけだった。

だからこうやって体動かす方が好き!」

「・・・ごめんね、話しづらいことだったのに」

「いいよ、お姉ちゃんに知って欲しいと思ったから」

この子は拾われた子だった。

このような子へは勉強を強制できない、ではどうやって知識を広げてもらった方がいいのか。

これは魔法少女だけで生きていく上でも大事なことだと思う。

「私、勉強しないから悪い子だと思う?」

「そんなことないよ。こうやって野菜に詳しいでしょ?
それで十分に偉いよ」

「えへへ」

子どもは憎めない。

こんな無邪気な子達が大人になるとああなってしまうのは、そしてこの子のような子どもが増えてしまうのはなぜなのか。

カレンさんが主張していた人間社会の破壊。

それが為されれば、変わるのだろうか。

やちよさんから勉強の話題が終わったという合図が来るまでちかちゃんと外で過ごしました。

その日の夜、やちよさんから勉強を教えた二人について教えてもらいました。

「あの子達、どうやら親に暴力を受けていたみたいで、隙を見て家出したところをさつきさんに拾われたらしいの。

そのせいで人間不信になっているみたいで。

今はさつきさんしか信用していないらしいの」

「そんな辛い事情を話してくれたんですね」

「ええ。少しは心を開いてくれたってことなのかしらね」

あの3人と仲良くなるのはさつきさんを神浜へ連れて行くための過程でしかありません。

3人みんなが魔法少女になってくれればういを助けた後も仲良くできるかもしれない。

私達は後どれほどここに居続けないといけないのだろう。

 

3人が部屋に戻り、環さんと七海さんも部屋へ戻ったことを確認した後、本殿にいるさつきのもとを訪れた。

さつきは札を作る手を止めて窓から外を見ていた。

「また物思いに更けていたのか」

さつきは私の目を見て話しはじめました。

「キク…。

あなたは環さん達をどう思う?」

「あの3人が心を開くくらいいい奴らだし、魔女との戦いも問題ない。

私が言える立場じゃないが、いい加減ここのしがらみから解放される時なんじゃないか」

私と目を合わせながら話していたさつきは、再び窓の外へ向き直ってしまった。

「確かにキクが言えたことじゃないわね。

知ってるでしょ、私は父と母が亡くなった時に約束したのよ。私がここを守っていくって」

「・・・あの二人をここに縛っておく気か」

「仕方がないでしょう?

私はここから離れるわけにはいかないんだから」

何が仕方がないんだか。

さつきのこだわりはわかるが、今私の中では二人への申し訳なさが優っている。

段取りを組んで外に連れ出すしかないか。

「じゃあ、私は勝手にさせてもらうよ」

本殿を出ようとするとさつきは私の左手を掴んできた。

そんなさつきの目には涙が溜まっていた。

「勝手にどっかに行かないでよね・・・。

あなたなしだと、私・・・」

「今後のさつきの態度次第かな」

私はさつきの手を優しく放して本殿を出て行った。

 

「私、どうしたらいいのよ。

教えてよ、お父さん、お母さん…」

 

いつも通りの朝を迎えたかと思いましたが、朝食の席にさつきさんの姿がありませんでした。

「さつき、寝坊かな」

「私起こしてくるね!」

「ああ。いつもの裏口から行くんだぞ」

一人がさつきさんを呼びに行っている間、私達は先に朝食を済ませてしまうことになりました。

「珍しいですね、さつきさんが朝遅いのって」

「誰だってミスはあるさ。疲れてたんだろう」

結局さつきさんとは顔を合わせることなく、私とやちよさん、キクさんで魔女退治に行くことになりました。

ここの魔女は弱く、苦戦することは滅多にありません。

簡単に遭遇した魔女を倒した後、キクさんは真剣な顔で話しかけてきました。

「環、七海少しいいか」

キクさんに呼ばれて私とやちよさんは、キクさんと一緒に人が登れないような建物の屋上へ行きました。

「信頼にあたると思い、あなた達に私とさつきのことを教えてあげる」

===

わたしとさつきはもともと幼馴染の縁で一緒に魔法少女として活動していた。

さつきの魔法少女としての才能はとてつもないものだった。
この町に現れる魔女は相手になんてならず、彼女に刃を向けてきた魔法少女は皆彼女の力でねじ伏せられた。私だって到底かなわない。
だから、この町の魔法少女達はさつきへ大きな信頼を寄せていた。

さつきはあの神社で巫女として育てられてきた。巫女である特権として義務教育を受けることを免除されていて、普通に学校へ行っていた私は少しうらやましく思う時もあった。

だからさつきは同年代のやつと会う機会が少なかったんだが、頻繁に神社へ訪れる男子生徒がいてな。男子生徒が神社へ訪れていた理由は神社に祀られている神様に興味を持ったかららしい。

最初はその男子生徒をさつきは邪険にあしらっていたんだが、なんだかんだ仲良くなってしまってな。
隙があればあの男子生徒のことをわたしへ楽しそうに教えてきた。

「あいつ学校で流行ってるからと言って訳の分からない本を持ってきてね。
絵ばっかりで情報量が全然ない中身でびっくりしたよ」

「それはマンガってやつじゃないのか。
文字で伝えていた情報を絵にかき起こすことでキャラクターの心情を察しさせたりと新しい表現ができるんだ」

「そうなんだ。あいつ、あの本について私と語り合いでもしたかったのかな」

「あいつに興味があるなら、あいつの好きなものから好きになってやったらどうだ」

「ちょっとキク!私はあいつのことどうも思っちゃいないんだから!

でも、ちょっとは興味持ってやるんだから」

「はいはい」

男子生徒は私と同じ学校へ通っていて、周りに誤解されないようさつきをどう思っているか聞いたこともあった。

「さつきのことはどうも思っていないさ。
ただ、一緒にいる時間がもう少しあったらなって思う時がある」

「さつきが学校に来て欲しいってことか?」

「巫女の仕事があるから仕方がないっていうのは知ってる。
ただ、俺が大人になったらあの子をあの神社から連れ出したいとは思ってる。あの神社に祭られている神様ってのは少しうさんくさい気がするんだ。

それに、何かに縛られながら生きるってのはさつきだって望んじゃいないだろ」

「アンタが何か企てるんだっていうなら、私が手伝ってもいいよ」

「その時はお願い、キク」

ただ、あの楽しい日々にも終わりを迎える時が来た。

ある日、学校が丸ごと魔女の結界に飲み込まれるとんでもない事件が起きた。それが起こる前触れはいくらでもあった。

学校周辺で謎の殺人失踪事件が続いていて、その集大成だったのだろう。

たくさんの人々が使い魔の餌食になって次第に狂った人同士で殺し合いが始まった。

その殺し合いに、あの男子生徒も巻き込まれていた。

彼は最後まで冷静だったが、狂った生徒達を止めようとして、その後生徒達に八つ裂きにされた。

その状況を目にしてしまったさつきは、初めて魔法少女として人を殺した。

あの状況ならば、狂った人々を殺すしか手段はなかった。でも、初めて人を殺すという感触に私たちはショックを覚えるほかなかった。

そしてあの男子生徒を助けられなかったさつきに、とどめを刺すような出来事が起きたんだ。

一緒に魔女討伐をしていた魔法少女のうち一人が、目の前で魔女化したんだ。今まで自分が討伐してきた魔女が、元は魔法少女だったことを知ったさつきの精神は限界だった。

さつきはこの町で一番強い。でもメンタルはそうじゃなかった。

彼女は発狂してしまい、相手が元魔法少女だってことから魔女へ手を出せなくなった。

学校を結界に閉じ込めた魔女は強かったが、他の魔法少女達の活躍もあって私がとどめを刺して倒すことができた。

そしてさつきが魔女化しそうな時に私はグリーフシードを押し付けた。

「負けるんじゃない!戻ってこい、さつき!」

さつきは魔女にならずに済んだ。
だがこの件でこの町の魔法少女はさつきに対する信用を失った。

あの時魔法少女が魔女化した個体はあの戦いの中どこかに消えてしまって始末できずにいた。

そいつが数日後、皮肉にも私の家族を皆殺しにした。

私も多少は心にダメージを負っていたのだろう。私は怒り狂った。

そして自我が消えそうな時に、目の前にはグリーフシードを私のソウルジェムに押し付けるさつきの姿があった。

「負けるなって言ったのはあんたじゃん!

私を、ひとりにしないで。あの時助けた責任とってよ!」

行き場を失った私はさつきの神社へと引き取られ、その後間もなくさつきの両親は病でいなくなってしまった。

で、今日の今までここにいる。

===

過酷な経験をしたことを明かされて私はすぐに何と切り出せばいいかわかりませんでした。

「さつきはいなくなった両親の遺言を今も大事にしていて、神社を離れる気はないんだ。

だから、本当は神浜へ行く気なんてなかったんだ」

「そんな。じゃあ、私たちがいくら頑張っても神浜に来てくれない」

私が悩んでいるとやちよさんがキクさんへ尋ねました。

「キクさんの家族を襲ったという魔女、退治はされたのかしら」

「いや、その場を収めるためにさつきが札へ魔女を封印して、今もどこかにいるはずだ」

「その場所って、神社の裏にある」

「環、あの神社に魔女がいると知っているのか」

私はキクさんが魔女を倒さずに放置していることに驚きました。

「え、知ってるならなぜ倒さないんですか」

「あの神社に引き取られてからすぐわかったさ。あそこにいる魔女こそ、さつきが封印した、そして私の家族を奪った魔女だ。

でも何度始末しようとしてもさつきに止められたんだ。
”神様に手を上げるんじゃない”だってさ」

「さつきさん、おかしくないですか」

「ああ、あいつは両親を失ってから明らかにおかしくなってる。でも私はどうしてやればいいかわからないんだ。あのさつきに牙を向けられたら、勝ち目はない」

キクさん達が倒せなかった魔女が、あの神社にいる。

その魔女を、今もさつきさんは封印し続けている。

さつきさんが魔女を倒せないのはわかったけど、さつきさんには何があったのだろう。

私が悩んでいると、やちよさんが話を切り出しました。

「キクさん、少し協力してもらえますか」

 

back:2-2-9

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【マギレコ二次創作】魔叙事詩カグラ・マギカ 2-2-5 変わってしまった身近だった世界

神浜市から人が消えた日、私達は神浜市に滞在するか見滝原へ戻るかの2択でした。
私たちは、そんな2択に意見が分かれていたのです。

「まどか、今見滝原へ戻ったところで私達が今まで通りに過ごせるわけが」

「うん、もう人を信じたいとは思えないって心のどこかでは感じてる。
でも、私は最後まで信じてみたい。人のみんながみんな、酷いことをしないって」

「まどか…」

しばらくの間があった後、話し始めたのは杏子ちゃんでした。

「いいんじゃねぇの、お前がそう決めたんなら」

「杏子ちゃん」

「そうね。鹿目さんの意見を尊重するわ。

私も見滝原には戻ろうと思う。

耐えられないと思ったら、私の家に戻ってきてちょうだい。いつでも、鹿目さんを待っているから」

「ありがとうございます」

じゃああたしらはしばらくマミさんの家にいるってことになるのかな」

「あたしは好きにさせてもらうよ」

「…まどか、無理はしないでね」

私達はいろはちゃんに見滝原へ戻ることを伝え、私は私の家へと帰りました。

 

「ただいま…」

帰ってすぐはママに強く叱られました。

でも次の日からはいつもの日常となりました。

人を信じれなくなった影響で周りの人達と話すときは社交辞令のように対応してしまい、心から会話を楽しめてはいませんでした。

ニュースも、嫌な気持ちになるばかりであまり聞き耳を立てないように、そして見ないように心がけていました。

神浜市の出来事は謎の現象でゴーストシティとなったというニュースが連日流れ、なぜか調査が進まないと言う内容ばかりでした。

学校でも神浜市で起きたことについて話題に上がりましたが、他のことが話題になっていました。

「まどかさん、さやかさんが行方不明の件は本当に何も知りませんの?」

「うん、私もさやかちゃんがどこに行っちゃったかわからないの」

「高学年でも行方不明の方がいらっしゃるみたいで、なんだか最近怖いですわ」

「そう、だね」

いなくなった人のことを、みんなは心配してくれている。それだけで人にも優しさがあると感じることができる。

私は人を信じて、魔法少女でも人と幸せに暮らせる日々を送れると信じていた。

そう信じていたかった。

でも、それは無理なんだって、わからされることとなった。

人の生活に戻って2、3ヶ月後の日曜日の朝、珍しく自力で起きてきたママと一緒にパパの手伝いをしている時でした。

急につけていたテレビのチャンネルが変わり、画面にはアメリカ大統領が映っていました。

「なんだ、チャンネルが急に」

“…私は、世界を揺るがす事実を伝えると同時に、国連へ新たな提案を行うために今みなさまへお話ししています。

皆さん、この世に魔法と呼ぶものがあると思いますか。“

私は演説の内容を聞いて心が落ち着きませんでした。その内容は、魔法が存在すると主張する内容だったからです。

なんで、魔法のことをテレビで。

そしてテレビには神浜市で魔法少女のみんながドッペルを出して人を殺している映像が流れました。

「何だこの映像、神浜市でこんな事が」

私は思わず後退りしてしまいました。

「まどか、大丈夫?」

大統領の演説は続き、その演説の途中で魔法少女が魔女になる姿が中継されました。

そして、その魔女を撃退するアメリカの兵士が映っていました。

「こんな、こんなことをするなんて」

「まろか?」

「まどか、まどか!しっかりしろ!

まったく、なんだこの放送は。チャンネルが変わらないどころか消えもしない」

”このような事態にならないよう、私は化け物へ対抗するための案を用意しています。

それが、「アンチマギアプログラム」です。“

テレビにはアンチマギアプログラムと呼ばれる内容が大統領の演説が流れながら映されていました。

その内容は、魔法少女という存在にさせないための予防接種実施のお知らせ、そして魔法少女を保護する目的とその後の対応が示されていました

その内容を見て思ったことは、魔法少女の自由が奪われてしまうと言うことでした。

テレビで魔法少女の特徴について説明が始まるとママはいきなり私の手を掴みました。

「ちょっとあんた見せなさい!」

「や、やめて」

ママは私の指輪を発見して、怖い顔になってしまいました。

「そうか、あんたの帰りが遅くなったってそう言う!」

「ご、ごめんなさい。

でも私は、ママやパパにタツヤ、それにみんなに危害は加えないから!」

「危ないことに手を出して!」

私は怖くて身を縮めてしまいました。

でも、ママは私にハグをしてきたのです。

「安心しな。ここはあんたの家だ。
そして私達がいる。よその誰かに、引き渡しだなんてしないさ」

「ママ…」

「学校には私から和子に話をしといてやる。

心配するな。まどかも大切な家族だ」

私は思わず涙を流しながらママに抱きついてしまいました。

「ありがとう…」

お母さんが和子先生へ状況を説明すると、わたしは学校が安全な場所と言える状況になるまで、通信教育に切り替えられました。
そして、どうやら私の話をきっかけに学校側は、通信制に切り替えて週に一度だけみんなそろって学校に顔を出すという仕組みに変える流れとなりました。

自分の子どもが魔法少女、あるいはその素質があるかもしれないから無闇に外へ連れ出すのは怖い。
そう考える親が多かったそうです。

学校へ行かなくなってから少しだけ日が経った水曜日、魔法少女検査官と名乗る人たちが各家に訪れて魔法少女がいないか調査を行っていました。

その人達が、ついに私たちの家にも来てしまったのです。

「うちの娘が魔法少女なわけないですよ」

「でもですね、ちゃんと魔法少女の反応がこの家からしているんですよ。

へんに隠すと、貴方達家族が罪に問われるんですよ」

「帰ってください!」

パパが必死に匿ってくれましたが、私はもう決心しました。

「パパ、もういいよ」

人と魔法少女が一緒に暮らせる日々が来ると、私は信じていました。

「だめだ、まどか!」

でも、人と魔法少女が一緒に暮らせない世の中になりました。

それならもう、私はここに居続ける必要はない。

私が検査官の前に出ると、どこからともなく拳銃の音が聞こえて検査官たちは頭を撃ち抜かれて死んでしまいました。

「まどか!」

「ほむらちゃん…」

「もう分かったでしょ、早くマミさん達のところへ!」

唖然としているパパと泣きっぱなしのタツヤの方を振り返りました

そして私は何も言わずにパパとタツヤにハグをしました。

そして、別れの挨拶をしてその場をさりました。

「今まで、ありがとうございました」

 

私とほむらちゃんはマミさん達に合流し、神浜市へと向かいました。

「街中に魔法少女を捕らえるために武装した兵士が数人いたわ。

人気のない場所を通りましょう」

「全く、魔法少女の存在が知れ渡ったらこうなっちまうのか。

笑えねぇよ」

「とにかく神浜へ行きましょう。

あそこにいれば安心できるわ」

私達は神浜へと向かっている最中、神浜の方角で小規模の爆発を何度も発見できました。

「なんか派手にやってるな」

「まさか、魔法少女を捕らえようと本気で」

「急ぎましょう!」

私達が神浜の中へ侵入すると、着地した場所には武装した兵士が4人、瓦礫の隙間から現れました。

「チクショウ!こんなとこにいるなんて」

銃口を向けられてしまい、私は咄嗟に動き出すことができませんでした。

撃たれると思った瞬間、遠くからものすごいスピードで瓦礫が飛んできて2人の兵士の頭を吹き飛ばしました。

残った兵士は銀色の筒をこちらに投げてきました。

「右後ろへ大きく下がって!」

聞き覚えのあるそんな声に従ってみんな後ろへと下がりました。

投げられた筒からは紫色の煙が広がり、左側へと流れていきました。
紫色の煙が展開されている間に、兵士達はどこかへ行ってしまったようです。

「あれなんだ」

「魔法少女が動けなくなってしまう粉です」

声の下方向へ振り返るとそこにはかこちゃんと数人の魔法少女がいました。

「かこちゃん!」

「皆さん、無事で何よりです。よければ協力をお願いします」

「協力と言ったって、何を」

私たちの頭には、突然何かの風景が映し出されました。

そこには3人の魔法少女が気を失ったまま捉えられている様子が映し出されました。

そして、特定の方向になぜか意識が向いたのです。

「その方向に囚われた魔法少女がいます。助けてあげてください」

今のイメージ、まさかかこちゃんがテレパシーで伝えたの?あんなこともできるの?!

「わ、わかったわ」

「かこ!あっちも助けが必要そうだよ!」

遠くからかこちゃんを呼ぶ声が聞こえました。

「では、お願いしましたよ」

そう言ってかこちゃんは声がした方向に行ってしまいました。

私たちが唖然としている中、話し出したのは杏子ちゃんでした。

「んで、どうするよ」

「助けようよ、囚われた子たちを助けるために」

「…人を殺さないといけないことになるかもしれないわよ。鹿目さん、覚悟はあるの?」

マミさんにそう聞かれ、私はすぐに答えられませんでした。

悩んでいると、ほむらちゃんが私の手を握ってきました。

「まどかがやれないなら、私がやる。あなたの代わりに」

私はその発言に対してだけは首をすぐに横へ振れました。

「大丈夫、いざとなった時は」

マミさんは少し不安げな顔をしましたが、私達は囚われた魔法少女を助けに行くことになりました。

覚悟は、決まったはずだから。

 

back:2-2-4

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【マギレコ二次創作】魔叙事詩カグラ・マギカ 2-1-12 お前は永遠に魔法少女と人を戦わせたいのか

レベッカが私に追突した後、結界内からイザベラと刀の女の姿は消えていた。

「逃げられたのか」

「そうね、逃げる術を持っているとは想定以上の存在よ、彼女」

「イザベラもそうだが刀の女も相当だ。
魔法少女でもないのにあいつに力で負けている感覚だった。それに刀を放り投げるなんて行為」

「あれは偶然ね。狙ってもやれるようなことではない。

彼女達の思考は逃げるのが優先だった。もし殺しに来ていたら、ここにいる私達みんな死んでたかもね」

「物騒なこと言うなよ。

んなことより、レベッカはいつまで目を回してんだ!」

「太ももが柔らかくてつい」

私たちが変身を解いて拠点に戻ろうとすると何者かが話しかけてきた。

「あれが話にあった魔法を使う人間ですか」

声が聞こえた方を向くとそこにはピリカがいた。魔女化しない方法を探していたはずでは。

「あんた、カレンと一緒に行動しているはずじゃ」

「ミアラさんが不在だというので、向かったと聞いた場所へと来てみたのです。ミアラさん、戦えないのに何で戦闘の場に出てきたんですか」

「なんで見たままだった。参戦してくれたら仕留められたのに」

「すみません、事情を把握していなかったので静観の択を取りました」

「ピリカの判断は正しかった。理由は戻ってから話そう」

この後イザベラ達が逃げ込んだ場所を襲撃しなかったのは、人間に目立たないため。

まだ私たち魔法少女は、人間に公な存在になってはいけないという方針がある。

だから私達は、大人しく拠点に帰るしかなかった。

 

聖遺物争奪戦とバチカンでの悲劇が終息して数年後、キュゥべえからある話を聞いた。

「魔法少女に対抗しようとする人間?」

「人類がどうなろうがぼくには関係ないが、彼女達は人間が魔法少女を管理しようと企んでいるようだ」

「それ事実なの?」

人類の上に立とうと考えている君たちには重要な情報だと思うけど

「そいつらの中に、魔法を使える人間はいるか?」

「いるよ。もしかしてもう知っていたのかい?」

「マーニャが報告してきたあの話か。確か今はヨーロッパにいるらしいな」

「ならばすぐに消そう。生かしとくと私たちには不利益にしかならないだろ」

「消すかどうかはさておき、私も同行しよう」

「ミアラさん、戦えないあなたは行かないほうがいいと思うが」

「直接会ってみたいのよ、魔法を使う人間にね」

そして私はイザベラという人物に会い、彼女を取り巻く環境がどんなものかを知った。彼女は十分私たちの脅威になることはわかった。

「いいんですかミアラさん、あいつら生きて帰しちゃって」

見逃せば今以上に魔法少女にとってきつい世の中にはなるでしょうね。

でも、待っていれば向こうから宣戦布告してくれるのよ?

私達は正当防衛という流れで人間社会を破壊することができる」

「正当防衛なんて人間社会だけで通じる話でしょ」

「まあ状況は把握した。したっけ、私達は魔女化しない方法探しに戻るよ」

「カレン、イザベラという人物についての情報は集めておいてくれないか。私たちの情報収集能力にも限度がある」

「わかったよミアラ。シオリとピリカにも伝えておく」

私達魔法少女は、人類が作った本来の自分を押しつぶすことでしか幸せになれない人間社会や常識を壊して魔法少女中心の世界を作らないといけない。

今は息を潜めて力を蓄える必要がある。

イザベラという人物が何かやらかしてくれるまで、私達は静かに暮らそう。

なに、まだ時間はあるさ。

 

 

突然襲ってきた激痛は体を焼かれるような痛さで、その後は麻酔を撃たれたのか完全に意識が戻ったら見慣れない天井が見えていた。

周囲を見渡すとどこかの病室のようで、ベッドの隣には椅子に座ってうたた寝しているイザベラがいた。

こんなに不用心なイザベラを見るのは初めてだった。だから、彼女が自分で起きるまではそっとしておくことにした。

ほんの少しではあるがイザベラの寝顔を拝んだ後、目覚めて私が起きていると知ったイザベラは少し照れた表情をしていた。

「寝てしまっていたのか。情けないな、睡眠もコントロールできないなんて」

「無意識に寝てしまえるのは心が安心しきっている証拠さ。いいことじゃないか」

「・・・なんであんな無茶をした。下手したらキアラは死んでいた」

「私はイザベラのボディーガードだ。身を挺して守るのは当然だ」

「自分の命ぐらい大事にしなさいよ、馬鹿」

それからイザベラに私が気を失っている間に何があったのか聞くと、私が気絶してから2日経過していることを知った。

私の手術が終わり、命に別状がないと知ったイザベラは大統領向けに特殊対策課 「サピエンス」の設立依頼書を作成していた。

魔法少女対策を行うという内容を隠し、国を脅かす組織に対抗するための特殊部隊的立場になるような内容にしたという。PMCのような民間軍事企業としてではなく、米国政府公認である軍事組織の一部という位置づけだという。

そしてディアとカルラが滞在できる場所を米国に用意し終え、私とイザベラ以外は既に米国へ移動してしまったという。

私が退院した後、私達はすぐに米国へと移動した。
不思議と、裏路地で襲撃してきた魔法少女達は手を出しては来なかった。

魔法対策としてアンチマギアが作成されたものの、それが魔法少女に有効なのかは実証されていない。

合理的に魔法少女対策用の兵器を開発するために、イザベラはかつてお世話になった非正規のテロリスト達のところを訪れていた。

「その試作品を使って、魔法少女と戦ってくれと。

そして、その魔法少女をなるべく生捕しろってか」

貴女達が魔法少女に関わる依頼をこなせることは十分に知っている。報酬はこれくらいを目安に出すつもりよ」

「・・・なるほど、額は悪くない。

だが、俺たちは政府の犬として活動する気はさらさらない。

試作品とやらのテストをする依頼は他に魔法少女に関わる依頼があったときについでで受けさせてもらう」

「構わないわ」

「それにしてもこれ、魔法少女に害がある成分が入ってるんですね。

私のような魔法少女が扱っても大丈夫なんですか?」

はじめてあった時からいる魔法少女、まだ生き残っていたのか。

「一般人がグレネードぶん投げて、それが足元に転がって自爆するのと一緒だ。

扱いを間違えなきゃ害はないさ」

「なるほど・・・」

「マーニャはドジだし、やりかねないかもな」

「バカにしないでください!他の子たちよりは長生きしてるんですから!」

「バカ騒ぎはよそでやれ。イザベラ、依頼はあんたとの信頼関係があるからこそ受けただけだ。あんたがやろうとしていることはまだ詳しく説明されちゃいない。もし二度目を依頼するんなら、ちゃんと説明の場は設けてもらえるんだろうな」

「ええ。深く尋ねずに聞き入れてくれたこと、感謝します」

こうして裏組織の協力もあり、対魔法少女用の兵器開発と共に捕らわれた魔法少女を使って薬剤の研究も進んだ。

研究員も増え、イザベラの根回しによって武装集団の所持も許可された。

着々と組織化の動きが進んでいった。

対魔法少女兵器の開発以外にも、ディアはとんでもない実験を進めていた事をカルラから聞いた。

「クローン体を遠隔操作するための実験?」

「そうだ。あいつは元々人という貧弱な体を何百年も生きられる形にすることを目的に研究者となった。

いろんな動物を使って実験してきたみたいだが、どうやら代謝を持つ生物はどんなに手を施しても常に激しい動きをしつつ何百年も生きるのは不可能だという結論に至ったらしい。

そこで、体を使い回すことで擬似的に長生きできるクローンに手を出した」

でもクローンを作る技術は人の体を複製できるほど発展していないはず」

「あの子ならできてしまうのさ。

まあ、少しは錬金術を絡めているが」

倫理観がぶっ飛んでいる。ディアは元々倫理観がない人間だというのは理解しているが、超えてはいけない一線をどんどん超えていくな。

「遠隔操作と言っていたな。まさかロボット的なものなのか」

「いや、魔法少女やキュゥべえが使用するテレパシーを模倣した波を使って本体の脳から直接伝達して遠くからでも体を操作できるようにしている」

「何でキュゥべえが実験体になっているんだ」

「とらえた魔法少女をいじっている間に彼女たちしか使用できない特殊な波があることを知ってね。それを解析してみると奴らを認識できるようになった。
そしてキュゥべえとっ捕まえて徹底的に解剖したよ」

「そんなことまでできてしまうのか、あんたたちは」

さらっとカルラはとんでもないことを言った。

キュウべえを生捕?そんなことをしようとも、できるとも思わなかった。
やっぱり天才の考えることはどこかズレていて、ぶっ飛んでいる。

「奴らの本体を逆探知はできなかったものの、おかげで波と複製体のデータがたくさん取れたんだ。

良くも悪くも、クローン技術は実用レベルにまで至ってしまった」

「表社会には発表しないようにしてくださいよ」

「当たり前だ。ディアが出そうとしても私が止める。

そうだ、今夜イザベラを借りる代わりに、ディアの監視を任せていいか?」

「はい、いいですが」

 

 

カルラから食事に誘われた。

珍しくキアラは用事があるらしく、今は私の近くにいない。

一般人には少し高めのレストランの中に、カルラはいた。カルラは個室を予約していて、私達は個室で食事をした。

「それで、食事に誘った理由でもあるの?」

「行動一つ一つに理由がないと気が済まないのか?気まぐれだよ。

とはいえ、相談したいことはある」

「相談?」

「お前の計画している魔法少女狩りというもの、いったいどれだけの規模を考えている」

「規模?それは世界中よ。世界中の魔法少女を人間の管理下に置かないと何されるかわからないじゃない」

「テロリストだって根絶できない世の中だ。全ての魔法少女を管理するなど不可能に近い。

お前は永遠に魔法少女と人を戦わせたいのか」

「そうなるわね。

まあ魔法少女にさせない薬もあるし、自然と数は減るでしょ」

「仮に魔法少女に人類が負けることがあったら、お前はどうする?

「負けさせないし、魔法少女に主導権を握らせるくらいなら全てを終わらせるわ」

「なるほど。

では忠告しとこう。決して地球を死の灰と焦土で覆うようなことは考えるな」

「そんなこと、しないわ」

「・・・そうか。
では話題を変えよう。食事をするのだから、明るい話にしないとな」

序盤の話以外はディアや研究について、そして日常的な話をして食事は終わった。

ディアのクローン研究は興味深く、カルラの統一言語を実現させる技術も気になる。

今度視察にでもいってみようか。

 

 

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【マギレコ二次創作小説】魔叙事詩カグラ・マギカ 3-11 欲望に、忠実に、手を伸ばす

ただアリナ先輩を助けたいだけだった。

何の手掛かりもない中で、カレンさんたちに出会えたことは一筋の光だった。
私は自分のワガママに任せて、神浜マギアユニオンが敵対視しているカレンさんたちに協力した。

その結果がこれ。

アリナ先輩は確かに助かったの。でも、その代わりでいろはさんが捕らえられて、アリナ先輩はあの人たちの言うことを聞かないといけなくなっちゃった。

私が人質になっちゃったから。

アリナ先輩は目覚めた後、私を襲おうとしたドッペルを出したいろはさんをキューブで捕らえたの。

でもその後も私が人質になっていたからアリナ先輩は神浜に張られている被膜ってやつを解除することになった。

やる事はやったのに私達はいまだに捕らえられたまま。でもいつでも逃げようと思えば逃げられるの。

「逃げるってどこに?アリナは家に戻れるけどフールガールはどう思うワケ?」

「逃げるって、それはお家になの」

「聞きたいのはそうじゃないんですケド。ゴーホームではなく、エスケープをチョイスした理由を知りたいだけ」

「今ってあの人たちに監視されてる状態だから、逃げるが正しいの!」

「こーんなフリーハンドな状態で放置するとか、好きなタイミングで帰っていいよって言ってるようなものだよね。

なのにエスケープしないといけないワケ?」

「言いたい事がわからないの」

なんか引っかかる事があるからエスケープしようとしてるんじゃないの?フールガール」

引っかかることは、なくはない。

目の前でキューブに捕らえられて禍々しいオーラを放ったまま動かないいろはさんを巻き込んでしまった事。

でも、それについては後悔していない。

こうしないと、アリナ先輩を助けられなかったんだから。

「環いろは。このまま放置した結果は面白いことになりそうだけど、あいつらの思う通りに事が運ぶのは癪だヨネ」

「どういう事なの?」

「みかづき荘に顔出して、ここに環いろはがいることを伝えるの。そうすれば環いろはは不完全な状態で目覚めて、もしかしたらあいつらの目指す完全体になるのを邪魔できるヨネ。

この状態の環いろはを見たみかづき荘のメンバーの反応も最高そうだし」

「アリナ先輩!」

アリナ先輩はとても楽しそうな顔をして話していた。

でも、こんなの楽しくなれるわけないの。そんなアリナ先輩に、思わず大きな声を出してしまった。

「このままじゃいけないの、わかってる。でもみかづき荘に顔を出したところで、みんな信じてくれるか」

私が答えを出せずにいると、アリナ先輩は勢いよく立ち上がり、座り込んだ私の胸ぐらをつかんで私の目を見つめたの。

「イチゴ牛乳がないから思わず手が出ちゃったヨネ。
いい加減物事はっきりと判断できるようになったらどう?見てるこっちがイライラするんですケド!」

「アリナ、先輩。離して」

「アンタがあの漫画の怪盗みたいになりたいってんなら、まずその優柔不断さをなくしなさいよ。
ほら、何をどうしたいか教えてよ、フールガーーール!!」

目を背けたいけどどこを見ようとしてもアリナ先輩の目が視界から離れない。
ずっと見つめていたら私は恐怖のせいか意識がぼやけてきた。

視界が真っ暗になった中、頭の中に私ではないワタシの声が聞こえてきたの。

[欲望に忠実になればいいのよ。ほしいものは盗み取り、手放したくないものは絶対譲らない]

「そんな欲張りなこと、人として良くないの!」

[そんなきれいごとばかり考えているから、アリナ先輩も遠くへ行っちゃったんじゃない?
他人のことなんて考えず、自分の思うがままで生きればいいんだよ。そうすれば物事はっきりするさ]

「わからない、私にはわからない」

[そう、じゃあ私が欲しい、あんたの体を盗んじゃうね]

こころの中であるはずのワタシが鎌を構えると、私も無意識に魔法少女姿となって鎌で応戦していたの。

[なぜ抗うの?ワタシがアンタと入れ替われば、物事はっきりとさせてほしいものをすべて手中に収めてあげるのに]

きっとここで狩られると死んでしまう。私は。

「死にたくない!」

[その執着、何が原因?優柔不断なあなたにはっきりとわかる?]

「死んじゃいそうだからわかる。私はアリナ先輩が欲しい!
やさしくて、時には厳しくて、何を考えているかわからないけど、大切なことをいろいろ教えてくれる。
そんなアリナ先輩が、マジカルきりんくらいに、好きだから!」

[だからどうした?そんな一方通行な想いでは奪い取ることはできないぞ!]

もう迷わない、そのためには。

「最低限の理性だけ残して、あとは、ワガママになればいいんだぁ!」

そう言って私はワタシを真っ二つに刈り上げていた。

[イキナサイ。欲望に、忠実に]

ワタシが消えた後、私は真っ暗な闇の中、左手を前に出して何かをつかんだ。

つかんだとたんに周囲は真っ暗ではなくなり、目の前には胸ぐらをつかまれているアリナ先輩がいた。

「ドッペル出したと思ったら次は何?!」

「みかづき荘に行くの。そのあとはアリナ先輩の好きなように振る舞うといいの。
でももう、手放さないから!」

私はアリナ先輩の答えを聞く前に手を掴み、アリナ先輩と廃墟の外へ出た。

そして私はアリナ先輩を鎌の後ろに乗せてそのままみかづき荘へ向ったの。

空は夕日でオレンジ色になっていてまだ明るい頃、SNSに出ていた廃墟に向かうっていう時間までには間に合うと思う。

「そう、じゃあ好きにさせてもらおうかな。エスコートは任せたから

御園かりん」

 

 

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【DQX】アストルティアアフィーマン エルトナ大陸

このシリーズはアストルティアの記録として文字ではなく主に画像で残す活動を行っていきます。

今回はエルトナ大陸に注目していきます。

 

エルトナ大陸の東側にあるツスクルの村には世界樹の巫女が滞在しています。また、ここには一人前となるためにたくさんのエルフたちが学む学舎が存在し、エルフの要人たちはここで学習を行った経験がある者ばかりです。

ツスクル平野では世界樹を見ることができるほか、光の河や学生たちが使用する学び舎があります。
特にエルフから始めた人は、ここで問いかけられる光の河が悪しきものかどうかという内容が印象深いのではないでしょうか。

ちなみにこの光の河と世界樹の位置関係は西側にある光の河と暗黒大樹と似ています。

 

キリカ草原はただの通過点、となる場合がほとんどです。しかしここにはキリカという僧侶にかかわりの深い人物の聖地となっています。

風の町、と呼ばれるだけあってアズランでは風が止むことはありません。
町中にある凧を朝から晩まで眺めているとわかりますが、ずっと空を舞い続けています。

モリナラ大森林には巨木が並んでいるほか、霧が発生しやすい場所です。
その最深部には神代の遺跡が残っていて特定の時期にしか立ち入ることが許されなかった貴重な場所です。ちなみにここの内部は小さな泉が広がっています。

↑内部の様子

 

スイゼン湿原にはスイの塔があるほか、みかがみの泉に立つともしびの木があります。ともしびの木は魔物払いの効果がある香料の材料となります。

スイの塔は当初から地下へと続く階段が用意されていましたが、バージョン3という長い年月の先に地下に社があることが判明しました。
内部はツスクルの村で使用されている紋章があちらこちらに見受けられ、老朽化による崩落が目立つ他魔物が徘徊するようになっています。

かつては神聖な儀式が行われていたかもしれませんが、見る影もありません。

カミハルムイ城下町にある南門を出るとため池があってここにはコイが生息しています。釣り人がここで勝手にコイを釣っていく様子が見受けられますが、何かがあるわけもなく。

カミハルムイには錬金術によって枯れることがない桜が存在します。
ちなみにカミハルムイにある堀はただのため池ではなく、アズランと繋がっている川の一部です。カミハルムイにある木工ギルドはアズランにある木こりギルドから川に沿って運ばれてきた木を使用しているとのことです。

夢幻の森はかつてカミハルムイ城の城下町だった場所であり、所々に建物の痕跡があります。
かつては鉄道も通っていたらしく、鉄道跡地では幽霊列車を目撃できるという噂があります。

捨てられた城は元カミハルムイ城であり、エルトナの聖地へと続く池が存在しています。

落陽の草原はアストルティアの中でも「秋」を感じられる場所です。また、ここは二代目王者が災厄の王に敗れた土地とされていて、災厄の王が出現した場所でもあります。
神話篇ではとても重要な場所となっています。

現在は暗黒大樹がよく見える状態となっていますが、かつてはお札がたくさん張られた門が存在し、そこにがけっぷち村が存在していました。物語が進むことによってかつてあったものがなくなってしまうのもオープンワールドの醍醐味です。

呪われた大地はアストルティアの中でも一番魔瘴の影響が色濃く見える場所であり、毒の沼地が点在します。
しかしながら少量の魔瘴が漂う程度で済んでいるのは、暗黒大樹がいまだに浄化の能力をもっているからであり、暗黒大樹が消滅すれば魔界以上の魔瘴の濃さとなることでしょう。

呪われた大地にある破魔のヒスイは魔物が近寄らない場所とされていて、魔物をこの場所まで追い込むとどこかへと消えてしまいます。

しかし戦闘中はお構いなしです。

 

 

※このページではドラゴンクエストXの要素を使用しています