カレン達は通路を急いで進み、
カレンはデコーダを浮かせて糸をペンタゴンの壁へ貼り付けてワイ
その後を追うようにジーナとかこも壁を登って行ったがカレンには
ペンタゴンの屋上には自動砲塔が用意されていたものの、
そんな屋上をただ通り過ぎたカレンはペンタゴンの中庭まで走り抜
「入場可能コードを確認」
電波塔の扉からアナウンスが聞こえた後、扉はロックが外れる音を出して自動で開いた。
電波塔の中は薄暗く、大きな画面とキーボードが一つ、
カレンがデコーダを端末へ差し込むと画面が起動して接続先を聞い
その選択肢にはマギアネットワークの選択肢もあった。
[ここからはシオリの出番だね。
ピリカは希望を集める準備をして]
[わかったよ]
[後はこいつで集めた希望を願いへ具現化できるかだけど]
シオリはカレンの体を借りてキーボードを打ってネットワークを繋
大きな画面には次々とネットワークが繋がってゆく様子が映し出さ
[アドレス知らなくても繋げてくれるから楽勝だわ]
画面に映し出された接続先に全て接続されたことを確認したシオリ
「イペタム、デコーダを通して希望を集めて!」
目の前にイペタムが現れ、デコーダから希望を吸い上げ始めた。
さらにデコーダにはカレンの糸が接続され、世界中へ語りかけた。
カレンの語り掛けはデコーダによって統合されたインターネット、マギアネットワークを通して世界中の魔法少女達へ伝わった。
[魔法少女達、
だが、何もすることもできないとあきらめないでほしい。
核ミサイルなんてものともしない明るい未来があると、希望を捨てず願ってほしい
その皆が輝かせた希望を、私たちが願いへと変換してみせる。
だから、あきらめず輝かせてほしい、皆の希望を!]
その声を聞いて気絶していたミアラが目を覚ました。
ミアラが目を開けたことで周囲の魔法少女達が歓喜した。
「ミアラ!よかった目を覚ましてくれて!」
「頭痛はひどいが、なんとか生きているようだ。
今の状況は最悪で、頼みの綱はカレンといったところか」
「ミアラにも声が聞こえていたの?」
「
まあ今は願って協力するしかない。皆の未来のためだ」
戦闘が行われていない地域では魔法少女達が核のない未来を思い描
戦闘が行われている地域では、
「人間にさっきの声は聞こえていないのかよ!」
「手を止めないってことはそういうことだろ。
つくづく残念な奴らだと思ってしまうよ」
「仕方ない、
戦闘中の魔法少女はこんな考えに至るものが多かった。
魔法少女達が抱く希望はインターネットを介してデコーダを中継し
「足りない。この程度の希望だと核ミサイルの脅威を覆せない」
[人の罪を覆すほどの希望が足りないって言うのか。
まあ殺された数と戦闘中の魔法少女もいるとしたらそうなってしま
[ダメだよ、敵わないで終わるだなんて]
カレンは電波塔を出て中庭へ出て両手に糸で形成された扇を持った
[カレンやめろ!今やってもソウルジェムが耐えられない!]
シオリがそう言ってもカレンは止まろうとしなかった。
「気にするな。ただ神頼みするだけだ。
神呼びの神楽くらいなら死にはしないよ」
カレンはその場で神呼びの神楽と呼ばれる舞をはじめた。
神呼びの神楽はカレンが異世界から来た人物であることの証である。
カレンがもといた世界では世界の安寧を保つために定期的に行われていた演舞があった。それは神呼びの神楽と呼ばれていた。
例えその世界へ意地でも干渉しようとしない神であったとしても、
神呼びの神楽には舞子となる人物の素質が反映されていて、
そのため舞には舞子の価値観がそのまま反映されて、
カレンの場合は両手の扇を開いたまま周囲から何かを引き寄せる動
再度扇を開いて両手で波を描くように上下へ振り、
これを神から応答があるまで続ける。
両手の扇を閉じて3度ぶつけ合うことは、
神のこれまでの行為を嘲笑う。
カレンが踊る神呼びの神楽は不敬上等な内容であり、「
しかしこれはカレンがいた世界での解釈。
この世界ではこの舞で、一度神に似た何かがカレンへ応答したことが
カレンはそれを頼りに舞を舞っている。
[さあ答えてみろ。
一度繋がったんだ、
カレンはそう思いながら舞い続けた。
そして、聞き覚えがある声が聞こえてきた。
[やっと見つけた。あなたの声は聞こえているよ]
カレンの舞に反応したのは鹿目まどかに似た声の「何か」だった。
その声が聞こえた後に、「何か」は世界中の魔法少女達へ語り掛けた。
[大丈夫、みんなの頑張りを絶望で終わらせたりはしない]
その声が聞こえた後、
ピンク色に光る羽根が地面へ落ちると、
これは魔法少女だけではなくただの人間にも目視できるようで、
「何が起きているんだ」
世界中の戦いが止み、
[お願いだ、みんなの希望を輝かせてくれ。
願ってくれ、核ミサイルが地上に落ちない未来を!]
戦っていた魔法少女達は無理を承知でその場で祈り始めた。
「いいよ願ってやるよ、叶えてくれよカレン!」
この不思議な現象は神浜でも発生していて、
灯花とねむは空から降ってくるピンク色の羽根を見てどこか懐かし
「
「灯花が無理して観測しようとして、
「もう、変な話を掘り返さなくていいから」
「仮説でしかないが、
「これだけじゃ終わらないはずだよ」
そんな中、なぎさは動かなくなったピンク色のキュゥべえを掴み、
「もう、なぎさが探すまでもなかったのです。
あのカレンって奴が円環の理との接触を図った奴だったのですね。
もうここまで繋がったら円環の理とピッタリ繋がったも同然なので
円環の理はそれで良いのですか。
カレンは動きを一度止めて別の舞に切り替えた。
[自称神、希望収集を手伝ってくれ。
願いは私が叶える]
[カレン?]
シオリやピリカも不思議に思う中、カレンは両手の扇を広げた後、
カレンはゆっくりと目を閉じた後に目を開いて両手を天へ向けた。
「希望を、願いへ!」
カレンがそう唱えると電波塔に集まっていた希望は糸をつたって一
[カレンやめろ!こんな量を仲介したらソウルジェムが壊れる!]
[知ったことか。1人の犠牲で一つの世界が救われるんだ。
カレンは扇を地面に向けたまましゃがみ込み、
しばらくはその動作を周囲に行った。
この間に地面からは希望と同じ光が天へ向かっていった。
そして同時に不可思議なことが起こっていた。
カレンへ向けて祈っている魔法少女達の周囲には、
ミアラの近くにはアンカーを操っていた魔法少女が笑顔で現れてい
「なんだよこれ、ずるいじゃないか」
泣いてしまったレベッカの涙を拭ったアンカーを操っていた魔法少
「これは。バチカンの時とは違う。
何が起きてるんだ」
いろは達の近くにはかなえやメルの他に十七夜やみたま、ももこ、
「みんな、力を貸してくれるの?」
いろはがそう尋ねると皆恥ずかしそうな笑顔を見せた後にうなづい
「ありがとう、みんなお願いね」
半透明になっているメンツに十七夜が混ざっていたことにやちよは
ひなのや令達のところへも十七夜は現れ、
欄のところへは燦が現れていた。
「今更目の前に現れてなんの用だ。
化けて出るならみふゆさんのところにでも行け」
燦はどこか自信ありげな顔をした後に欄へ指を差した。
「消えてからもイラつかせる奴だな。
もう構わず成仏しろ」
そう言う欄を燦は困った顔で見つめるだけだった。
ペンタゴン周辺でもこの世を去ったはずの魔法少女達が出現してい
結奈と樹里の近くにはアオとひかる、
その姿を見て、
「あら、もう迎えがくる頃だったかしら」
「縁起でもねぇこと言うんじゃねぇ」
そんな2人を見守っていた博のところへ咲とツバキが戻ってきた。
「博!なんともなかったか」
ツバキがそう博へ話しかけると、
「トドロキ!」
トドロキと呼ばれる魔法少女は三重崎の魔法少女のメンバーであっ
「ふむ、カレンは粋なことをしてくれたようだな」
博が1人で納得しているとツバキがトドロキへ抱きついて泣いてし
質量はあるようで、
「今はあの世と近いってことか?」
「いや、
幽霊みたいにさ」
「幽霊ねぇ。一体何千年分の魂が溜まっているんだか」
ペンタゴンの屋上では空を見上げていたかこの近くにななか、
自分が作り出した再現ではないとわかった瞬間に、
「ごめんなさい。私が弱かったばかりに皆さんを・・・
ごめんなさい・・・」
3人は優しい顔でかこの頭を撫でるだけだった。
そんなかこの様子を眺めていたジーナの近くには、
「なんだよ、あの時と同じ大きさじゃないか。
お前を魔法少女にするべきじゃなかったのに、悪かったな」
ジーナの妹は不安そうな顔をしていたが、
「励ました気か?ありがとよ」
ペンタゴンの外まで来ていたカルラとイザベラは大きなペンタゴン
カルラはイザベラを残骸に寄りかかるよう座らせて、
その瞬間にイザベラの頭には希望を願う魔法少女達の声が聞こえて
「何が、起こっているんだ」
意識が朦朧としているイザベラの近くには半透明な魔法少女が立っ
その姿は黒髪で白人にしては鼻が少し低め、
そして声が聞こえてきた。
「もう、ここまでめちゃくちゃにしちゃって悪い子ね。
でも私はイザベラを否定しないよ。よくここまで頑張ったね、
「誰の声だ?」
イザベラは声がした方向にいる半透明な魔法少女の顔を見ても誰なのかはわからなかった。
しかしその声と漂う魔力からは懐かしさを感じていた。
そんな2人を横目に見ていたカルラは半透明の魔法少女へ話しかけ
「言葉を伝えられるのはお前だけか」
カルラの問いに反応して半透明な魔法少女が反応した。
「
イザベラがお世話になっております」
「円環の理か…
それにしてもこんな結末で褒めるとは、母親としてどうなんだ」
「あら、長く生きているのに何も変えられなかったあなたが言うこと?
人を変えようと一生懸命足掻いたイザベラの方がましじゃないかしら」
「知ったような口を利くじゃないか」
そう話している間にキュゥべえがカルラ達に追いついた。
「やっと追いついた。
イザベラがまだ生きているようで助かったよ」
「何をする気だ」
カルラがそう聞くと、
「それはもちろん」
キュゥべえがイザベラの顔を見ながら問いかけた。
「イザベラ、僕と契約して魔法少女にならないかい?
君ほどの因果量であればこの状況を覆すことが可能だろう」
「この期に及んで貴様は」
カルラはそう言って呆れている中、
イザベラはアンチマギアと失血によって意識が朦朧としている中、
「ふざけるんじゃない。
人類史は人類自らが作り替えたり覆すからこそ意味があるんだ。
魔法少女なんて力、死んでも借りる気はない!」
「やれやれ。
シャルロットからも娘であるイザベラを説得してくれないか」
「私がそんなことをするわけないじゃないの。諦めなさい」
「人間の親子というものには絆というものがあるんじゃないかい?
それならなおさら」
カルラは空を見上げながらキュゥべえへ話しかけた。
「そこまでだインキュベーター。
お前達的には今の状況をどうも思ってはいないのか」
キュゥべえはカルラの隣まで移動してから話しかけた。
「やりようがなければ必死にイザベラを止めていただろうね。
でも今は日継カレン達がどうにかできるという期待があるから焦る
彼女達には実績があるからね。君の友人であるキミアを葬ったのはこの力だよ」
「そうか、キミアに対してこんなことがされていたのか」
「希望を集めて願いを実現させる力、そりゃ興味が湧くよ。
個体数がいれば念密に観察を行いたかったよ」
「だが、今回はどうだろうね」
カレンはペンタゴンの中庭で踊り続けていて、
カレンの体は青白く輝くようになっていて、
そしてついに核ミサイルのカウントがゼロとなり、
カレンは天高く扇を掲げて願った。
「核兵器や放射能による被害を、この世界から打ち消して!」
その願いは世界中の魔法少女達にも伝わり、
地球を包み込む光は全てカレンを通して形成されていった。
カレンの体からは青白い粒子が空へ飛んでいくようになり、
無情にもICBMは空高くへ飛んでいき、外気圏へ突入した。
爆発した後は爆風や放射能が周囲に広がる前に黄色い光が包んでい
次々と核の爆発を包んだ光球が形成されていき、
地上には上空からピンク色に輝く羽根と共に黄色い光が落ちていき
これによって核汚染された地域の放射能が次々と安全値まで減少し
原子炉や原子力発電所では反応が止まっていき、
空はすべての核を搭載したミサイルが外気圏で炸裂するまで、太陽が近くにいるかのような眩しさに包まれていた。
半透明な魔法少女は反比例するように次々と地上から姿を消してい
その様子を見ていたカルラは1人でつぶやいた。
「地上付近で起爆するものはなさそうだ。
放射能については調べてみないと確証は得られないが」
その呟きにキュゥべえが反応した。
「彼女達の願いは実現されているだろうさ。
そうじゃなければこんな奇跡自体が発生しない」
「お前達がやっている願いを叶える方法と近いということか」
「希望を消費しているから僕たちとはプロセスは違う。
彼女達の願いは地球付近だけだが概念を書き換えた。
人間がここまで僕たちに近づいてしまうとは、驚いてしまうよ」
「そうか」
「こんなことはこの世界の概念にとらわれないカレンの能力だからこそ成し得た結果だろう。こんな逸材を残し続けたキミアには感謝しないとね。
カレンは自分の能力を神楽と呼んでいたし、まさに今回の奇跡は
カグラマギカ
と呼ぶべきかな」
「概念にとらわれない能力か」
カルラは心の中でつぶやいた。
キミア、お前はいつも回りくどいが最良の結果を導き出してきた。
魔法少女にこの星を任せるべきというお前の仮説は、
この世界は魔法少女を中心に変わっていくことだろう。
まったく、お前が弟子を取るのは意外だったが、この結果を見て納得だ。
だがお前が死ぬ必要はあったのか?おまえ自身が立証のための生贄とならなくてもよかっただろうに。
いつも結果が出た後の後始末を私に押し付けてきたが、
まあいい、仕方がないからこの星の行く末は見守ってやるよ。
なんだか隣でキミアが私に向かって得意げな笑顔を見せた気がした。
気のせいだろう。あいつは魔法少女じゃない。今は煉獄で彷徨っている頃だろう。
私はいつお前の所へ行けるんだ?
空の光球が全て消えてしばらくすると、
動けるようになったかことジーナがペンタゴンの中庭へ行くと、
近くには2色の砕けたソウルジェムが落ちていた。
「カレンさん!」
かこがカレンに近寄って体を持ち上げると、
「そんな!カレンさんのソウルジェムは」
「こいつのソウルジェムがどこかなんて誰も知らないよ。
ジーナが冷静に答える中、かこはカレンの名前を呼び続けた。
「カレンさん!勝手に死ぬなんて許さないですからね!
目を開けてください、カレンさん!」
目を開けているのか閉じているのかもわからない真っ暗な空間にい
自分の体が見えるまで首を下に向けても真っ暗で何も見えない。
一体ここはどこなんだ。
そんな空間で小さな光が現れた。
ひかり…
進んでいるのかわからない中、カレンは小さな光を目指した。
今は死にたくない理由を見つけたんだ、
小さな光からは小さく声が聞こえてきた。
「…さん、カレンさん!」
私を呼ぶ声が聞こえる。
助かるのか?
ピリカ、シオリ、お前達は。
そう思った時、カレンの背中を2人が押した。
押された勢いでカレンは小さな光に接触した。
カレンは長い夢から覚めたかのような感覚でその場で目を覚ました
目の前にはカレンを抱えているかこと心配そうに見つめているジー
「カレンさん!」
「大丈夫大丈夫だ聞こえてるよ。世界の方は無事か」
「お陰様でな。それで、残りの2人は」
カレンはソウルジェムの中を探ったが自分の魂しかなかった。
「あいつら、私のために」
「まさか、消えたのか」
ジーナにそう聞かれた後、
「…綺麗さっぱり消えたみたいだ。
これはしっかり生き残らないとあいつらに申し訳ないな」
「そりゃな。
お前が生きていないと生き様を失うのがたくさんいるからね。
しっかり生き残ってくれよ」
「ふん、どんとこいさ」
カレンは夕日で照らされた空をしばらく見上げた。
「この世界を救えたで、いいんだよな」
いつの間にか天から降っていたピンク色に輝く羽根は消えていて、
カレンは魔法少女姿に戻り、かこ、
3人はイザベラ、カルラ、
「外まで出てきていたのか」
「ことの顛末を見守る必要があったからね」
カルラがそう答える中、イザベラは動かなかった。
「こいつ死んだのか」
ジーナがそう言うとイザベラが弱々しく口だけ動かした。
「残念ながら生きているさ。
でももう目が使い物にならない上に体まで動かないときた。
私達は、負けたのか」
カレンはイザベラの前に立って答えた。
「そうだ。
負けを認めろ、サピエンスのイザベラ」
「そうか…。
ならば潔く殺したほうがいいんじゃないかな」
「いいや、お前には生き続けてもらう。
何もできず生き続けることは、死よりも辛いものだ。
と言うことで、
「それは…嫌だね!」
イザベラは動けないと言っていたはずの左腕を瞬時に動かしながら指先をカレンがいる
イザベラが引き金に指をかけようとしている中、
しかしイザベラが拳銃の引き金を引く前にイザベラの左手付け根がカレンの
「こうもあっさりとは」
イザベラの左手からは数滴の血しか流れ出ず、
イザベラからは既に魔力を感じられなくなっていた。
「死んでしまいましたか」
かこの言葉にカルラが反応した。
「一矢報いるためにずっと魔力を使って意識を保っていたのだろう。
魔法少女を殺そうという執念だけは最後まですごいと言えただろう
「で、お前はどうだ?
サピエンスの責任者はお前だけだろ?」
ジーナの問いにカルラは両手を挙げて答えた。
「降参だ。この星の管理権は魔法少女に委ねるよ。
それで人類をどうするつもりだ?」
「人類にはこの星を出ていってもらう。
そのためにも、師匠の友人であるあなたには手伝ってもらう」
「やれやれ、弟子にもこき使われるとはね」
カレンはジーナとかこを見た後に言った。
「さて、これからも忙しくなるぞ」
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