【マギレコ二次創作】魔叙事詩カグラ・マギカ 2-4-9 舞台装置が正位置となる時

ドッペル対策で用意された刀をカレンに奪われ、キアラはアンチマギア製の刀を右手で握り、どう取り戻そうかと考えていた。

しかしカレンの周囲では魔力の籠った鉄パイプが3本も浮いていて、自分の対処できる許容範囲を超えていることを理解はできた。

やりようがなく動けない中、イザベラのいる方向から魔法少女の悲鳴が聞こえた。

カレンとキアラは驚いてその方向を向くとイザベラの周囲には魔法少女達が倒れており、ジーナの利き腕を握りつぶそうとしているイザベラがいた。

「ジーナ!」

「キアラは何やってるんだ!」

そう言ってイザベラはジーナの裾を掴んでカレンへ放り投げた。

カレンはジーナを受け止めるのではなく避けてジーナとイザベラの間へ立つように刀でガードの態勢に入った。

イザベラはサブマシンガンの銃口をカレンへ向けていて、引き金を引き続けながらキアラの方向へ歩いて行った。

カレンはジーナを庇うように刀で銃弾を防ぎ、防ぎ切れない分は周囲に浮かんでいた鉄パイプで防いでいた。

イザベラはカレンの前に立ち、カレンへ銃口を向けながらキアラへ話しかけた。

「さっさと立て、それでも私の従者か」

キアラは気が緩んでしまったのか、思わず弱音を吐いてしまった。

「あれは他と違う。目の前に1人だけのはずなのにわたしの四方を囲うような気配に包まれている感じがした。

あの中に何人いるんだ」

「弱音を吐くなと言いたいところだが、あいつ相手は荷が重すぎると認めるよ」

そう言ってイザベラはカレン目掛けて突撃した。

カレンはただ棒立ちするようにし、イザベラの突進後のアクションに備えた。

イザベラはサブマシンガンからカチッという音を鳴らした後に魔法少女達が倒れている方向へ投げた。

その後イザベラの右袖からは鉄製の鞭がニュルリと姿を見せた。

「ジーナからがめったか!」

イザベラは表情変えず鞭を操り、カレンを拘束しようとした。

しかしその先端はカレンが刀を持つ方向を向いていて、刀をどうにかしたいことは感づけた。

カレンは試しに刀で鞭を切り落とそうとするが、鞭と接触して火花をあげるだけで切り落とすことはできなかった。

「どんだけ鈍なんだよこれ!」

「斬る相手が違うんだよ!」

イザベラは左手にナイフを持ってさらにカレンを壁へ追いやろうとした。

それでもカレンの腕力が強めなのか、刀の威力に押されてイザベラの思う方向へカレンは誘導されずにいた。

テレパシーが使えない中、浮いている鉄パイプがカレンの背中を3回叩いた。

シオリが伝えたいことはわかった。

3歩ならまだ余裕はあるな。その前にやれることはあるだろう。

浮いている一つの鉄パイプがイザベラの投げた銃の方へ飛んでいき、銃の引き金部分を破壊した。

「ドローンみたいな付属品が厄介だね」

イザベラがそう言った後、別の鉄パイプはイザベラの背後に回って首を殴ろうとした

イザベラは急にその場で回り始め、勢いに任せて背後にある鉄パイプを左手のナイフで叩き落とした。

アンチマギア製のナイフであったため鉄パイプは制御を失ってそのまま転がってしまった。

鞭はイザベラを囲うような挙動をした後、イザベラは回転をやめて鞭を地面へ叩きつけた。
その後、鞭は地を這う大蛇のようにカレンの左足を狙った。

「まさか魔力を!」

「誰が魔力なんて使うか!」

刀でその鞭を防ぐと、目の前にはアンチマギア製のグレネードが飛んできた。

カレンが焦った顔をしていると周囲に飛んでいた鉄パイプがそのグレネードを打ち返そうとした。

しかし接触式だったのか鉄パイプが触れた瞬間にその場で爆発し、残り一本の浮かんでいた鉄パイプがカレンの前で回転したことで破片がカレンへ当たることはなかった。

アンチマギアの霧でイザベラが見えない中、アンチマギアの影響を受けて魔力で浮いていた鉄パイプが地面へ落ちると、その音を合図にアンチマギアの霧の中からイザベラが飛び出してきた。

「こいつ!」

イザベラは目から血を流しながら右腕に持つ鞭で薙ぎ払うと、それをカレンは刀で防いだ。
イザベラは間髪入れずに右手に持つアンチマギア製のナイフでカレンの左腕を突き刺した。

左腕に激痛が走って苦しみながらも、カレンはイザベラへ問いかけた。

「お前もアンチマギアの影響を受けるだろうに!」

「それがどうした。

全て魔力で動かしているお前達と比べたら軽傷だよ」

そう言いながらイザベラはナイフを下側へ移動した。そのままだと左腕ごと引きちぎられそうな勢いだった。

「返してもらうぞ!」

そう言って腕力を失った左手からイザベラは刀を奪い返した。

「そしてその命も奪わせてもらう!」

そう言ってイザベラがナイフをカレンの左手の甲にある宝石目掛けて振り下ろした。

「したっけ勝てるかい!」

そう言うとなんとカレンの左腕が動き、イザベラの右腕を掴んだ。

骨を砕かれると思ったイザベラは急いで右腕の鞭を手放し、ナイフでカレンの左腕を追い払った。

カレンにナイフが当たることはなく、カレンはゆっくりと鞭を拾い上げた。

イザベラは後ろに下がりながらカレンへ話しかけた。

「何故だ、アンチマギア製のナイフで神経まで到達したはず」

「腕の動かし方にも色々あるってことだ」

イザベラは、微かにカレンの左腕に糸のようなものが見えた。

「なるほど、できるじゃないか」

イザベラはキアラの前に奪い返した刀を突き刺し、キアラからアンチマギア製の刀を奪った。

「あいつを殺すまでだ。あまり気にするな」

そう言ってイザベラはアンチマギア製の刀の柄部分にアンチマギア製のナイフを包帯で巻きつけた。

イザベラは刀を持った状態でカレンへ再度突撃した。

止血のために左腕の根本を糸で縛り付けていたカレンは急いでその場から離れた。

イザベラはそのままの勢いで倒れているジーナへ斬りかかろうとした。

「そうやって!」

カレンは糸を出してジーナや他の倒れている魔法少女達を巻き取り、キアラの近くへ飛ばした。

そしてカレンは鞭でキアラを叩きつけようとした。

キアラは対ドッペル用の刀を引き抜く勢いで鞭を打ち返した。

さらにカレンが鞭で攻撃を加えようとすると、後ろからイザベラが迫ってきた

カレンが鞭で対抗しようとしたものの、鞭をアンチマギア製の刀があっさりと斬り落としてしまった。

「切れ味が違いすぎる」

「適材適所ってやつさ!」

刀を振り上げたイザベラはそのまま柄の部分に縛られたナイフでカレンを突き刺した。

カレンは躊躇なく左腕で受け止め、勢いで床に倒れてしまった。

そのままイザベラに体を踏みつけられてしまい、カレンはイザベラの足をどかそうとするものの何故かイザベラはびくともしなかった。

「なっ!」

「しまいだ!」

頭上では対魔法少女用の刀が、イザベラによって振り上げられていた。

[まさか、殺されるのか]

カレンは心の中でそう思った。

イザベラが刀を振り下ろそうとした時に大広間を閉じていたシャッターが大きく歪み、声が響き渡った。

「アェヤム!」

イザベラの目の前には、歪んだシャッターを突き破って雷の槍が五月雨に飛んできた。
イザベラは命の危険を感じ、カレンへとどめを刺さずにカレンから離れた。

シャッターを吹き飛ばした存在は飛び上がり、カレンとイザベラの間に着地した。

そして立ち上がりながらカレンへ話しかけた。

「まったく、カレンはちょっとでも自分で対処してよね」

「ピリカか!」

[2人共に無事ですか]

使用できないはずのテレパシーが聞こえてきてカレン達は驚いた。

[夏目かこ、何故テレパシーが使える]

[ほんとだ使える!

カレンとコミュニケーション取れなくてヒヤヒヤしたよ]

[随分とボロボロにされたみたいだね]

様子を伺っていたイザベラは口で会話しようとしないカレン達を見て不思議に思っていた。

「増援が来たところで変わらない。

だがその妙な沈黙は、テレパシーが使えるのか」

「さあどうでしょうね」

ピリカがそう言うと、外から不気味な笑い声が小さな衝撃波と共に聞こえてきた。

「今度はなんだ!」

「この声、ワルプルギスの夜…」

ワルプルギスの夜というワードにイザベラは反応した。

「ワルプルギスの夜だと?魔法少女達で消したのではないのか。だとしたらこれは」

[速報速報!ワルプルガが無事に願いを叶えて魔女化することは無くなったよ!

みんな頑張ってね!]

突然聞きなれないテレパシーが聞こえて皆困惑していた。

「使えるようになったのか。ドッペルが」

「いったい何が起きているっていうんだ」

神浜では願いを叶えたワルプルガが魔法少女姿になっており、下半身部分はドッペルに変化していて舞台装置の魔女が頭を上にした状態で不気味な笑い声を世界中に発していた。

その近くでは魔法少女となった佐鳥かごめがアルちゃんを空に掲げ、世界中にドッペルが使えるようになったことを伝えていた。

ワルプルガの様子を見てヨーロッパの魔法少女達は唖然とすることしかできていなかった。

「ワルプルギスの夜ってこんなでかいやつだったのか」

「いや普通じゃない。普通は頭が下のはずだ。

たしか伝承では通常は逆位置状態で、正位置になった時に文明がひっくり返ると言われている」

「じゃあ、まさに今にぴったりじゃないか!」

ワルプルガを見ているほむらは別の感情を抱いていた。

何度も倒そうと試みてきたワルプルギスの夜が、今度は助ける側に回るだなんて。

この時間軸はおかしすぎる。

[でもこの世界ならまどかと自然と仲良く過ごせるようになるのね。

この答えに至ったあなたが羨ましいわ]

ほむらの中にいる謎の存在がほむらへそう語りかけてきた。

「そうね。このまま無事に全てが終われば」

 

二木市の魔法少女達が対抗している通路ではディア達が道を再度塞いだ中、衝撃砲が発射されていた。
わずかな隙間をぬって残ったメンバーは回避した。

十七夜は床にへばりつくことで回避したが、格闘形態に入ったディアによって顔を蹴り飛ばされてしまった。

「神浜の!」

ヨーロッパの魔法少女が十七夜へ声をかけると十七夜は受け身をとって少し体をふらつかせた。

蹴られた左目からは血が出ていた。

「右ではないから問題ない」

「しかしこれどうすれば」

そんな時にこちら側にも例のテレパシーが聞こえてきた。

[速報速報!ワルプルガが無事に願いを叶えて魔女化することは無くなったよ!

みんな頑張ってね!]

「今の聞こえたか!」

「ならば試すしかあるまい」

そう言って十七夜は穢れが溜まりそうな記憶を思い起こし、一気にソウルジェムに穢れを満たした。

その後右目から青い炎が出始め、十七夜の上半身は4本の剣を持ったドッペルへ変化した。

十七夜はシールドを構えた2人のディアの間をかき分けるように剣を差し込んだ。

後ろにいるディアのうち1人が衝撃砲を発するものの、ドッペルの腕が一つ吹っ飛ぶくらいで十七夜は動きを止めなかった

シールド持ちを掻き分けてディア達の中心へ到達した十七夜は剣を振り回した。

その剣を避けるためにディア達は離れたが、シールド持ちの一体を結奈のドッペルが掴み上げた。

「なnドでもにg Iりツブす!」

神浜で戦ったディアと違って周囲に展開できるシールドを持ち合わせていないため、握られたディアはシールドがびくともしない中身体は簡単に潰され、床には大量の血が散らばった。

「限界だったんだ。全部受け取りやがれ!」

そう言って樹里もドッペルを出し、樹里のドッペルがディア達を指さすと口から炎を吐き出し、十七夜を巻き込みながらディア達を燃やし始めた。

爆弾を持っているヨーロッパの魔法少女は暴れるドッペル達を見て驚いていた。

「これが魔女化しない代わりに出るドッペルか。

第三者から見ると恐ろしいことに変わりはないな」

残り5体となったディアはやられるだけではなく。ドッペル用に用意していた銃弾へ換装したガトリングを背負っているコンテナから取り出した。
そして十七夜へ銃口を向けて銃弾を浴びせた。

防御を考えていない十七夜のドッペルは無力に弾痕をつけられて剣は次々と折れていった。

ついに本体も銃弾が貫いていき、後方でディアをさらに握りつぶそうとしていた結奈の腕と体も貫いた。

「まだあんなものを!」

爆弾を持つ魔法少女は接触起爆式の手榴弾をガトリングを持っているディアのいる天井へ投げ、爆発した後破片がディア達に降り注いだ。

これでガトリングを持つディアを含めて2人が死んでしまい、ガトリングは破損して銃口が赤いまま床に落ちた。

ガトリングをモロに受けた十七夜は無事なはずがなく、ドッペルが消えると身体中に穴が空いてかつ右目をソウルジェムと共に破壊されて倒れていた。

結奈はソウルジェムの破壊は免れたものの、ガトリングを防ごうと動いたことで負荷が強かったのかソウルジェムへヒビが入った状態で倒れていた。

そんな間に樹里はドッペルで炎を吐き続けていた。

周囲の壁はアンチマギア製であったがドッペルの魔力には未対応だったのか、熱によって変形が始まっていた。

炎をモノともしないディア達が壁から何かを取り出そうとしても、ハッチになっていると思われる場所が溶接されたように溶けて開かなかった。

ディアはフラフラしながら背負っているコンテナからアサルトライフルを取り出した。

そこに銃弾が飛んできてディアの1人が頭を撃ち抜かれて倒れてしまった。

爆弾を持つ魔法少女が急いで銃弾が飛んできた方向を見ると、そこには三重崎の魔法少女達がいた。

「サバゲ部か!」

「しっちゃかめっちゃかではあるが絶望的ではないようだな」

「手伝え、後一押しだ」

やっと樹里のドッペルがおさまり、ディア達は炎にさらされることは無くなったが、肌が焦げている上に動きがぎこちなかった。

「おかしい、からだがいうことをキカない…」

そう呟きながらコンテナから銃を取り出してもうまく銃を持てず落としてしまったり、コンテナから伸びたアームが変な方向へ向き始めていた。

ライフルを持ったツバキは容赦なくぎこちない動きをするディア達を撃ち抜き、動けるディアはいなくなってしまった。

「あっさり終わってしまったが、何があったんだ」

「私が知るか。

なんであれ道が開けたんだ。本部へ行くぞ」

「おい起きろよ!」

突然の叫び声にびっくりして爆弾を持つ魔法少女達は声を発した樹里のところへ集まった。

樹里はソウルジェムへヒビが入った結奈の体を揺さぶっていた。

博が樹里の腕を掴んで動かせないようにした。

「落ち着け、揺らすと余計割れやすくなる」

「どうすればいいんだよ、樹里さまを1人にするんじゃねぇよ」

「樹里さん・・・」

博は樹里以外の魔法少女達へテレパシーを送った。

[こいつは私が見ておく。3人は本部へ向かってくれ]

[テレパシー使えたのか!

って、別に残らなくてもいいだろ]

[こいつは癇癪持ちと聞いている。

放っておくと何するかわからない。ヒビが入っているこいつも助かる可能性を潰されるかもしれない]

[…勝手にしろ。罠がまだ作動するかもしれないし早めにここからは離れろよ]

[咲、ツバキ、そいつについていけ。

ここは気にするな]

「わかったよ」

3人は本部へ向けて走っていき、博はその場に胡座をかいた。

樹里は泣くだけで特に何かをするわけでもなかった。

生き残った二木市の魔法少女達も、ただその様子を見ることしかできなかった。

 

ケンタッキー州でもワルプルギスの夜の笑い声は響き渡っており、かごめによるアナウンスも広がっていた。

マッケンジー達は不気味な笑い声に警戒していた。

「なんだこれは、魔女によるものか」

ベチャッ

マッケンジーの近くへ強酸性の吐瀉物が飛んできた。

飛ばしてきた方向には魔法少女から魔女のような見た目をしたカバが毒々しい液体を垂らしながらこちらを見ていた。

「結界が展開されない。魔女とは違うのか」

近くの隊員がマッケンジーへ近づいて話しかけた。

「マッケンジー、レディが言っていた魔法少女のまま魔女を出す現象じゃないか」

「もしかしたらがあると言っていたが、本当に起こるとは」

「隊長!他のメンバーからも魔法少女から魔女のようなものを出す現場に遭遇しています。

中には死亡者も発生しています」

マッケンジーは米軍が使用している回線へ繋ぐとそこでは悲惨なやり取りしか聞こえてこなかった。

[魔女の結界が解けた跡から化け物が飛び出している!]

[撤退命令を!結界を展開しない魔女なんて聞いていない!]

[助けてくれ!(骨が砕けるような音)]

「すでに手遅れか」

そう思った時、サピエンスのメンバーたちにイザベラから通信が入った。

「サピエンスのメンバーへ。

裏切者はどの組織にだっているものだ。
これは予定していた通りだ。予定通り奇跡は再び人類を裏切った。

わかっただろう、奇跡はこの程度だ!

だからこそ奇跡に挑戦してやろうではないか。

人類をなめるなと!

人類は醜く多くを自分勝手に犠牲にしてきた。その軌跡の先に私たちがいる。

だからこそ無駄にするな!
人類の底力を、人類の軌跡を誇り、目の前のやつらを進化の糧にしてやろうじゃないか。

醜く抗え、これこそが人間だと。

そうだろう!」

 

ウォーーーーーーーーー!

 

マッケンジー達が歓声をいきなり上げて、周囲の魔法少女達は驚いた。

イザベラの通信が切れた後、マッケンジーはインカムでメンバー全員に伝えた。

「全員私を中心に集結せよ!

集結までは抵抗しようとせずその場を離れることに専念せよ!」

メンバー達が移動を開始すると、魔法少女レーダーを見た隊員が何かに気づいた。

「あいつら俺たちしか眼中にないのか一緒になって集まっている」

「それでいい。

銃は魔女用と魔法少女用両方持った状態にしておけ」

カバの姿をしたドッペルは毒を撒き散らしながらマッケンジー達へ突進した。

マッケンジー達は対魔女用の銃弾で抵抗するが、弾痕をつけるだけで魔女を相手にしているほどのダメージは与えられていなかった。

隊員達はドッペルの突進を避けて魔法少女本体を狙おうとしてもどこにいるのかが特定できなかった。

「本当にこいつ魔女じゃないのか」

サピエンスの隊員達は次々とマッケンジーを中心に集結し、周囲に集まってくる魔法少女へ銃弾をばら撒き続けた。

中には銃弾を受けて倒れる魔法少女もいたが、ドッペルについては全く有効打を与えられていなかった。

マッケンジー達が銃弾をばら撒いている間に衝撃砲を持つメンバーが到着し、衝撃砲がカバの姿をしたドッペルへ直撃した。

衝撃はドッペルの顔左側半分を吹き飛ばし、ドッペルは液状になってその場から消えた。

ドッペルを出していた魔法少女は生きていて、全力疾走をした後かのようにその場で座り込んで深く呼吸をしていた。

他にもドッペルを出している魔法少女達がサピエンスの部隊を取り囲み、攻撃を加えていた。

中には米軍兵士の遺体を引きずりながら近づいてくるドッペルもいた。

「マッケンジー、集まってどうする気ですか!」

「全員撃つのをやめろ!」

マッケンジーがそういうと隊員達は驚いた表情で引き金を引くのをやめた。

魔法少女達も攻撃を止めた。

魔法少女達はサピエンスが攻撃を加えてこないと知ると、武器は構えているものの攻撃は加えてこなかった。

その間に次々とドッペルは消えていった。

マッケンジーは正面の魔法少女達へ大声で語りかけた。

「言葉はわかるか!

お前達の目的は武装集団の殲滅か!」

魔法少女達が顔を合わせてオドオドしている中、マッケンジーの前へ翼を持つ魔法少女が降りて話しかけた。

「貴様のいうとおり我々はサピエンスを中心とした魔法少女を攻撃しようとする連中の殲滅を念頭に置いている。

攻撃しようと考えてもいない民間人を虐殺しようなんてことはしない」

「それは事実か」

「アメリカ大陸では少なくともそうだ。他の場所は知らない。殲滅規模はお任せなのでね」

「判断の難しい回答だな。では今ここから逃げ出した奴の背中は撃たないのか?」

「逃げ出すといいさ。

我々は復讐などという私念に該当するものは無駄だと知っている。

再度銃を向ける時があれば、その時に始末するまでだ」

「そうか。

全員聞いたか!尻尾を巻いて逃げれば見逃してくれるらしい。

逃げたい奴はすぐに逃げろ!」

そう言われて隊員達はその場を動こうとせず、銃のリロードや衝撃砲のチャージを行っていた。

1人の若い隊員がマッケンジーへ話しかけた。

「マッケンジー、これが答えだよ。

覚悟できてるって言ったじゃないか」

マッケンジーは翼の生えた魔法少女へ答えた。

このとおり、この場にいるのは魔法少女を殺したくて仕方がないバカの集まりだ。

主となる者からの激励もあったんだ、なおさらだ」

マッケンジーは背負っていた大剣の先を翼の生えた魔法少女へ向けて、柄のボタンを押すと大剣が中央から割れて銃口が顕になった。

そしてなんの声かけもなく大剣から7.62mmの弾丸が連射された。

魔法少女達は一斉に散った。

サピエンスの隊員達はマッケンジーの攻撃を合図に魔法少女達へ攻撃を開始した。

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