【マギレコ二次創作】魔叙事詩カグラ・マギカ 2-4-8 鶴と亀がすべった。後ろの正面だぁれ?

もう一つの通路側では唯一立っている状態の結奈がディア達へ棍棒を持って殴りかかった。

後ろに控えていたアサルトライフルを持ったディア2人が結奈へ向けて発砲したが、結奈は棍棒で身を守りながらディア達に突進した。

結奈が持っている棍棒はヨーロッパの魔法少女達が用意していたアンチマギアへ対抗するための武器の一つで、弾幕を受けても壊れないよう頑丈に作られている。

突進した結奈はシールドを持ったディアに激突するとその奥へ手榴弾を5個も投げ入れた。

結奈が急いでその場を去った後、後ろに控えていた盾持ちのディアも含めて4人が手榴弾にシールドを向け、他のディアは盾持ちの後ろへ回った。

手榴弾が炸裂した頃には、盾を踏み台にして弾倉交換中のディアへ結奈が棍棒で殴った

殴られたディアはコンテナに付属するアームを起動させ、剣を取り出して防御をしたが棍棒で簡単に振り払われて頭が吹っ飛んでしまった。

「もう一つ!」

結奈がもう1人を殴ろうとするとチャージが浅い衝撃砲が発射されて結奈へ直撃した。

盾持ちのディアは吹っ飛ぶ結奈を避けるように移動し、結奈は床を転がる程度で済んだ。
しかし装填が終わったアサルトライフルが結奈をとらえていた。

「結奈さん!」

ひかるが体の感覚を消して結奈とディア達の間に立ちはだかった。

そのままひかるはひかる軍団を呼び出してアサルトライフルを持ったディア達へ襲い掛からせた。

ひかる軍団はあっさりと撃ち落とされていき、ひかるにも銃弾が当たっていった。

「ひかる、やめなさい!」

「だったらテメェがまともに動いてやれよ!」

そう言って樹里も痛覚を消してディア達の方向へ火炎放射を放っていた。

炎は壁は愚かシールドで消滅してしまってディア達には届いていなかった。

しかし熱は伝わるようで、銃を持つディアは撃つことをやめて下がっていた。

銃撃がおさまるとひかる軍団は消え、全身で銃弾を受け止めたひかるはその場に倒れてしまった。

「ひかる!」

「バカ!そいつはもうダメだ」

そう言って樹里は結奈を後ろへ引きずっていった。

「離しなさい。グリーフシードがあるし、まだ」

「ユナサンハ…マモル…」

そうひかるから声が聞こえた後、ひかるを中心にして周囲へ衝撃が伝わった。

そして周囲には結界が広がって、シャッターで阻まれていた十七夜達も結界に飲み込まれてシャッターの先で何が起こったのかを見ることができるようになった。

「魔女の結界、誰かが魔女化したのか」

銃を持ったディア達が弾倉交換を行っている間にひかる軍団へ手足が生えたかのような使い魔達が現れ、周囲の生き物へ無差別に攻撃を開始した。

そんな中、使い魔に引っ張られる形で大昔のローマで使われたとされる戦車 メルカバの姿をした魔女が現れた。

魔女は結奈とディア達の間に配置され、そこから動こうとしなかった。

「こいつ、魔女になっても長女を守ろうってか」

「ひかる…」

「まさか、魔女になったのってひかるさん」

「せっかく広くなったんだから動けお前達!」

ヨーロッパの魔法少女は盾持ちのディアの後ろへ爆発物を積極的に投げ込んだ。

投げ込まれた爆発物は銃や衝撃砲で撃ち返されていたが、そのおかげで魔法少女達へ攻撃されることはなかった。

「使い魔は厄介だが、治療するなら今だ」

「治療できるやつはもう逝ったよ」

樹里はそう言い、結奈は十七夜達と一緒にいた二木市の魔法少女に抱えられていた。

「もう1人で動くのもやっとなんですから引きましょうよ」

「引くってどこによ。

ひかるが体を張っているんだからやるしかないでしょ」

「そんな状態で何ができる。ここではドッペルを出せんぞ」

そう言って十七夜は背負っていた槍を手に持ってヨーロッパの魔法少女に混じってディアへの攻撃を開始した。

十七夜が盾持ちのディアを槍で貫こうとすると、急に集結していたディア達が散開し始めた。

十七夜には格闘の姿勢になった1人のディアがナックルを装備して十七夜へ殴りかかった

槍のリーチでは対応が難しく、十七夜は少しでも距離おおくことに専念した。

そうしている間に残り6人のディアは皆銃を持っていて、魔女を囲うように移動して魔女へと攻撃を開始した。

普通の魔女よりは堅かったものの、ダメージは入っているようで弾痕がどんどんついていった。

結奈は立ちあがろうとしても転がった際にアンチマギアに触れてしまったのか足が動こうとしなかった。

「情けないわね全く…」

「ほんとだよ!」

樹里やヨーロッパの魔法少女、生き残った二木市の魔法少女が散ったディア達へ攻撃を開始した。

ディア達は十七夜に対抗しているディアの後ろへ再度集結した。

その頃には魔女はボロボロとなっていて、横へ倒れた後に結界と共に消えてしまった。

結奈の前にはゆっくりと魔女のグリーフシードが出現した。

ディア達は再度シールドと衝撃砲を持ち出して道の封鎖に専念した

爆弾を扱うヨーロッパの魔法少女がつぶやいた。
「結界に紛れて突破できると思ったがそうはいかないか。
あっちの方が地獄かと思ったが、こっちも変わらず地獄。私たちはサピエンスを少々なめ過ぎていたのかもしれない」

 

ケンタッキー州では魔女になる魔法少女が出現している中、翼を持った魔法少女とマッケンジーが対峙していた。

「神浜で見たやつか。ここまで来るとは」

「ゆっくり話す必要はない。失せろ」

そう言ってマッケンジーは手榴弾を魔法少女近くへ投げた。

それは空中でネズミ花火のようにクルクルと回り始め、周囲に火花が散り始めた。

マッケンジーはもう一個投げ込み、手榴弾の間に飛ぶ翼を持つ魔法少女へサブマシンガンを放った。

回避し切れないと判断した翼を持つ魔法少女は急降下し、瓦礫に隠れた。

マッケンジーは腕装備に付属している魔力レーダーで翼を持つ魔法少女の居場所をサーチしたが何故か引っ掛からなかった。

「どういうことだ」

マッケンジーがそう呟くと隣のサピエンス隊員がしゃがむようハンドサインを出し、しゃがんだ2人は会話を始めた。

他の隊員からも魔力レーダーが使えないという報告が出ている。

中には魔女の結界へ入られて追跡不能になるものもあるようだが、結界の外でも感知できていないと」

イザベラから魔力検知ができない魔法少女がいるとは聞いている。
だがその概要は1人しかいないと聞いていないが。

周囲の状況は」

把握できる中で最初は魔法少女達を米軍と挟み込む陣形だったが撃ち落とした船から脱出した魔法少女や結界を移動して迂回した魔法少女もいるため陣形は意味をなしちゃいない」

マッケンジーは通信を繋げて隊員全員へ伝えた。

我々の目的は魔女化を促す他にペンタゴンへ他の魔法少女を近づけさせないことだ。

米軍の開けた穴は埋めるよう動け」

その後マッケンジーはチャンネルをダリウス将軍オンリーに切り替えた。

「将軍、米軍が開けた穴は現地では把握できない。指示を頼む」

「マッケンジー、米軍は船の撃墜のために動いていた。その後は発生した魔女退治と民間人の避難所への誘導だ。
ペンタゴンは飛んできた船のミサイルで外の警備は役に立たなくなっている。
予定通り把握できる限りの魔法少女排除と魔女化に優先しろ」

「全く役に立っていないのか。抜けられたらすぐ地下に到達されるが」

「出来るならやってみせろ。魔力レーダーが役に立たないのだろ?」

「・・・将軍、作戦説明時も伝えたが、勝つ気があるのか?
フィラデルフィアでの出来事以来お前を信用してはいないが、開き直りか?」

「どうとでも思え。
だが今大事なのは何をもって勝ちと判断するかだ。
不利だと判断できる状態になれば全員連れて離脱し、民間人の護衛に専念しろ

バレたら私が責任を取ってやる」

「どういうつもりだ」

「昔の教訓だ。お前なら私の罪を十分に理解できるだろう?
イザベラに賛同して終わりない戦いを行いたいなら止めはしないが、お前がそう判断するとは思えないな」

そう言ってダリウス将軍は通信を切ってしまった。

しばらく動きを止めていたマッケンジーを見て隊員が声をかけた。

「マッケンジー、どうした」

「いや、気にするな」

マッケンジーは全隊員へ回線を繋いだ。

「全員へ。魔法少女のサーチアンドキルに変わりはない。

ただしここからは前言撤回だ。
命は大事にしろ。
無理な進軍は不要。

もう時期状況が変わるだろう・・・

もう一度言う。命を第一に行動せよ」

 

翼を持つ魔法少女は近くに発生した魔女の結界へと逃げていた。
その中で魔女を退治する兵士から身を隠していると、別の魔法少女と出会した。

「おお、ちゃんと生きていたか」

「なんとかね。だがマギアネットワークどころかテレパシーすら使えない状態では、ここで行動する意味もわからん」

「まあ陽動だからね。それにテレパシーが使えない状況なんて何度もシミュレーションされたことじゃないか」

「まあそうだが。

神浜のやつがピリカをしっかりカレンのところへ連れて行ってるといいが」

「なんかサピエンスのやつらからあまりやる気を感じないし、大丈夫だろう」

「消極的すぎるのも何かやってきそうで怖いんだけどな」

結界の中心では魔女が大声で泣き叫び始めた。

「魔女が限界だ。移動しようか」

2人の魔法少女はマッケンジーがいた場所とは反対方向へ向けて結界を出ていった。

他の北アメリカ大陸にいる魔法少女達はサピエンスの部隊をペンタゴンへ向かわせないための陽動に努めていた。

民間人へ攻撃を行おうとする魔法少女達はおらず、逆に魔女が民間人へ手を出そうとすると率先して魔女退治を行っていた。
そんな行動に米軍は少し困惑していた。

「どういうことだ、真っ直ぐペンタゴンへ向かうと思っていたが」

「民間人への攻撃するどころか守ってくれているみたいだし。

一部はペンタゴンへ戻ったほうがいいんじゃないか?」

「俺たちが魔法少女にどう対抗するってんだ。

まだ湧き出るであろう魔女に対抗していればいいんだよ」

「サピエンスがいないと手も足も出せないってか。全く」

米軍の司令部はサピエンス本部とは別に設けられており、前線の状況確認よりもペンタゴン周辺の被害状況確認で忙しくしていた。

ペンタゴン周辺の商業施設は爆風や飛んできた残骸で被害を被っており、住宅地にも一部被害が出ていた。

避難用シェルターへの誘導指示は事前に出てはいたが、避難が完了していなかったため少数だが死者が出ている。

空きのあるシェルター情報のやり取りで精一杯であった。

この避難シェルターへの誘導は世界中でも実施が指示されていた。

アンチマギア生産工場の残党処理をサピエンスへ引き継ぎ終わったフランスの軍隊は避難シェルターへの民間人誘導に専念していた。

「魔法少女がこんなところまで襲ってくるのか?」

「事が起きてからじゃ遅いだろ?後で文句言われるよりはいいじゃないか」

「だとしても世界中って。

世界中に魔女が溢れるわけでもあるまいし」

「黙示録が訪れるかもしれないぞ?」

「もし本当に訪れたら俺は宗教派側に寝返るよ」

そんな雑談ができるほど周囲に危機はなく、劣勢な国へ救援に向かう案が検討され始めている頃だった。

 

アンチマギア生産工場跡地ではサピエンスの部隊が残党探しを開始していた。

「気は抜くな!あの爆風でも生きている可能性があることは忘れるな!」

瓦礫を漁っていた隊員の1人が体の焦げた遺体を発見した。

恐る恐る銃剣で遺体を転がしながらソウルジェムが残っていないか探った。

すると左手だけが何故か焦げておらず、黒くなり掛けの宝石が腕輪についていた。

隊員は急いでソウルジェムを撃って破壊した。

「銃声どうした!」

近くにいる隊員が驚いて近づいてくると銃を撃った隊員が大丈夫だというアクションをした。

「本当に生き残ってるやつがいて驚いたよ…」

「しっかり探しておかないと痛い目見そうだな」

「早く地下通路を探せ!ネズミのように地下で増えられてはたまらん」

各国のアンチマギア生産工場の地下にいた魔法少女達については、中華民国やロシアで行動している魔法少女の一部が地下から地上に出ようとしていた。

「ヨーロッパの魔法少女なんて信じるんじゃなかった。

さっさと地上に出て不利な状態から建て直さないと」

そんな中、一部の魔法少女は地上へ出ようとしなかった。

「やめようよ、出たって撃たれて終わるだけだって。

待っていたらもしかしたら解決手段が出てくるかもしれないし」

「待っていてどんなものが来るっていうんだ。

要のマギアネットワークもこの様だ。人間社会を壊すというから乗ったのに」

そう言って懐疑的になった魔法少女達は地上を目指してしまった。

1人が皆を止めようと声をかけようとしても、もう1人の魔法少女が行かないよう指示した。

「テレパシーが使えない今何を言っても無駄だ。

あいつらのせいで地下の道が見つかるだろうし、なるべく深いところへ行こう。

幸いグリーフシードはあるが、解決してくれる時間はどれほどかかるか」

ヨーロッパで魔法少女の拠点となっている場所ではほとんどがサピエンス本部やアンチマギア生産工場の破壊へ向かったため、マギアネットワークを管理する魔法少女と少数のゲートを護衛する魔法少女しかいなかった。

いまだにミアラは目を覚まさず、回復魔法で目覚めるのを待っているところだった。

そんな中、一枚の鏡が光だしてゲートの防衛を行っていた魔法少女達がその鏡へ銃を向けた。

そこから出てきたのはアメリカにいた魔法少女達だった。そのメンバーはマーニャのところにいたメンバーであったため銃を向けていた魔法少女達はすぐに銃を下ろした。

「お前達、マーニャから捕まったと聞いたが」

「事情は後で話すから、急いで教えて!こいつを神浜に連れて行きたいの。

神浜に通じるゲートはどこ!」

「待て何を言ってるんだ。こいつって誰だよ」

アメリカの魔法少女が指さす先には、白髪のツインテールで目が赤い少女がいた。

「こいつを連れて行ってなんになるんだ」

白髪のツインテール少女が喋り始めた。

「やれやれ、テレパシーが使えなくなるだけで説明が必要になるだなんてね。今だけは声帯のある体であることに感謝しないとね。

神浜にいるワルプルガの願いを叶えてあげないといけないんだ。

そのためには僕が必要。魔法少女ならわかるだろう?」

「まさか、お前!」

ゲートを守っていた魔法少女は、急いで神浜に通じるゲートへ魔法少女達を案内した。

 

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