【マギレコ二次創作】魔叙事詩カグラ・マギカ 2-3-7 神浜鎮圧作戦・その3

特殊部隊か何か知らないけれど、魔法少女をキャッチするために、人間が魔法少女へ襲いかかった。

もっとハードでアメイジングな結果になると思っていたら、あっさりウィンしてつまらない日々が続いてしまった。

でも今目の前では、再び命の削り合いが起きている。

創作意欲が湧き出てきて、今目の前に起きているものをアートとして残してしまいたい!

「もう、アリナ先輩、ただ見ているだけでいいの?」

「ワッツ?

今でもいい感じなのにフールガールは何を求めるわけ?」

「だってほら、魔法少女同士が戦っているのに、人間はそれを見ているだけなの。

あの人たちも、アリナ先輩が望む芸術に参加させてあげたほうがいいと思うの」

「へぇ。

まあ確かに傍観だけさせておくのは癪だよね。

いいよいいよ!あいつらの命の輝きもこの神浜というキャンパスに添えてあげる。

言い出したんだから、フールガールも協力してよね!」

「わかったの!

いっしょに…

“人間を殺しに行くの!”」

そう、フールガールも、この街の魔法少女もみんな変わった。

みんなが殺し合いを躊躇しなくなっただけ、カレンには感謝だよね。

 

 

今目の前にはずっと一緒だと思った親友がいる。

刃を交えたのも、戦いの練習をする時くらいだった。

なのに、どうしてなの、静香ちゃん。

私が静香ちゃんへ命令した人の元へ向かおうとすると静香ちゃんが止めてくる。
逆らったらソウルジェムを破壊されると、静香ちゃんからそう聞いた。
その恐怖だけで、静香ちゃんは私たちの前に立ちはだかっているわけではない。

「あなた達に本当に守るべきものを、思い出させてあげる」

そう言って静香ちゃん達は私たちへ襲いかかってきた。

[旭ちゃん、あの人を追って!
旭ちゃんなら狙えるかもしれないから!]

[残念ながらそうはいかないであります]

[どういうこと?!]

[静香殿の後方には軍人達が控えているのを発見したであります。

我がここで見張っていなければ、奴らが参戦してきた時に我らは敗色が濃くなるでありますよ]

[そんな簡単に私たちは!]

[落ち着いてくださいちゃる]

[すなおちゃん]

[その兵士達がみんなアンチマギアを使ったらどうなると思いますか

静香も、巻き込むかもしれませんよ]

「さっきから動きが鈍いわよ!」

静香ちゃんの攻撃で私はテレパシーに集中できなくなりました。

静香ちゃんの攻撃をやり過ごすのがやっとで、動きをとらえきれない。

水徳寺で訓練をしていた時から、私は静香ちゃんより優位に立てたことはない。

このままでは倒されるだけだと思った時に、頭の中をよぎった言葉があった。

“人というものは常識にとらわれがちだ。

解決の道を見出せない場合は、時に非常識な行いで切り開かれることだってあるのさ“

等々力耕一が苦労した犯人がそう言っていたことを思い出した。

そう、非常識、静香ちゃんにとって非常識になること。

ならば!

私は静香ちゃんが突き攻撃をよく出してくる正面から突撃した。

「訓練から学べてないのかしら。そんなのじゃダメよ!」

そう言って静香ちゃんは予定通り突き攻撃をしてきた。

その剣はそのまま私の左腕の付け根を貫いた。

私は痛みよ消えろ!と心の中で唱え続けて本来来るであろう激痛を無視し続けた。

静香ちゃんが驚いた顔を見せる中、私はそのままの勢いで静香ちゃんの首元に齧り付いた。

いやぁああああ!

静香ちゃんが叫ぶ中、私は十手を空高く掲げて私ごと静香ちゃんを縛り上げた。

[ちゃる!何やってるんですか!]

すなおちゃんのテレパシーを聞くことなく私は静香ちゃんへテレパシーを飛ばした。

[諦めてくれないとこのまま首を噛みちぎるから!]

[やめて、ちゃる…人間を辞めるどころか獣に成り下がるあなたなんて、見たくなかった…]

[ほら、どうするの!]

静香ちゃんは涙を流すもののテレパシーには答えなかった。

そんな中、静香ちゃんを助けにこようとする子達を牽制しながらすなおちゃんが私の十手の紐を魔法で切ってしまった。

驚いて私が静香ちゃんの首から口を話した隙にすなおちゃんに抱え上げられ、そのあと私にすなおちゃんは私の頬を一発叩いた。

「冷静になってください。
人はやめていてもケモノになってしまうなんて許しませんよ!」

「でも、静香ちゃんに勝つにはこうした常識はずれなことじゃないと」

「勝ちにこだわって理性を失っては意味がありません!

少しは加減を考えてください。あのままでは静香もちゃるも死んでいたかもしれませんよ」

そう言いながら血が垂れ続けている左腕の付け根をすなおちゃんは癒してくた。

「あ、ありがとう…」

ドーン!

自衛隊達が待機しているという方向から爆発音が聞こえてきた

みんなが戦いの手を止めて爆発のあった方向を向くと、上空を飛ぶ魔法少女に向けて自衛隊達が発砲している様子を見て取れた。

「何が起きているの?」

状況を飲み込みきれずにいると、テレパシーで旭ちゃんが話しかけてきた。

[自衛隊は上空のものに注目しているであります。

今の隙であればに向こうに行った皆をこちらに連れ戻すチャンスであります!]

「そうか。

静香ちゃん、一緒に!」

静香ちゃんの方を見ると静香ちゃんはフラフラと立ちあがろうとしていた。

「どうして…」

静香ちゃんがそう呟きながら立ち上った。私が噛み付いた方とは逆側に首を傾げながら静香ちゃんはこちらを見ていた。

「どうして、そんなになってしまったの、ちゃる…」

「どうしたの静香ちゃん、私の声が聞こえていないの?」

「みんながちゃるのようになる前に、私が正さなければ!」

そういうと静香ちゃんからドッペルが出現して静香ちゃんのドッペルはこちらに殴りかかってきた。

「静香!」

すなおちゃんは叫ぶことしかせず、私は静香ちゃんの攻撃をわざと受けて穢れを満たしてドッペルを出現させた。

ドッペルの鉤爪が一つ一つ静香ちゃんのドッペルの腕を止めていき、7つ全ての鉤爪が静香ちゃんのドッペルの動きを止めた。

そして私は再び静香ちゃんへ襲い掛かる。

「このわからずや!」

「それはこっちのセリフよ!」

互いの武器が鍔迫り合い、互いに睨み合う中、静香ちゃん側のドッペルは腕が一つ自由に動かせるはずなのに動かない。

ドッペルが躊躇している?

もしそうだとしたら、私と本気で戦う気がないの?

「本気じゃないでしょ、静香ちゃん!」

「私たちの目的は殺し合いじゃない、そうでしょ!」

「だったらどうしたら私たちは元に戻れるの。

人に管理されながら一緒なんて、嫌なんだから!」

「そんなの私も知りたいよ!

わからないよ。みんながこっちにきてくれたら済む話。

それだけ。なのに」

「お願いだから…」

「わからないって言ってるでしょ!」

噛み合わない主張。いや、噛み合うことを拒んでいる。

互いの主張がぶつかり合い、その中で妥協点なんて優しいものは生まれない。

きっと、どちらかが折れなければ終わらない。

だから、止められないんだよ。

 

立ちはだかっている蛇の宮を中心とした二木市の魔法少女達は本気で私たちを殺そうとしている。

そうしなければ殺される、そう彼女達は言っていた。

その手は震えつつも、かつて争いあった時のように。

しかしその力量はたかが知れていた。

次々と蛇の宮の魔法少女達は神浜側についた二木市の魔法少女に膝をついていった。

ひかるの呼び出した軍団に拘束されて跪いたまま動けないアオに対して私は見下ろしながら問いかけた。

「あなた達の命が誰かに握られているのはわかったわ。

そいつらを叩き潰せばあなた達は安心できるのでしょう?」

「やめて!

その人達に歯向かった時点で、私たちはボタンひとつで殺されちゃうの!」

「ならば教えず死ぬか、教えた後私たちがミスをして殺されるか。

アオ、あなたが生きられる可能性はどっちだと思う?」

アオは震えて泣き出してしまった。

「分からないよ。

わからないけど生きたい、私はそれだけだよ!」

「だったら早くそのボタンを持った奴のことを!」

「あらあら、ここはもうギブアップなの?」

聞きなれない声の方を見ると重武装の少女がそこにはいた。

「そのまま殺されちゃうと実験の意味がないからさ、ほら、この町で出るっていう魔女みたいなやつだしてから死んでくれない?」

「あんた、こんなところに来て平気でいられると思ってんのか!」

そう言って樹里が少女めがけて火炎放射を大火力で放ってしまった。

その炎は少女と同じ姿をしたもう1人の少女の盾の目の前で打ち消されてしまった。

「な、もう1人同じやつだって」

「それに、次女さんの炎全然届いてないっすよ」

「魔法製のものが効くわけないじゃないか」

そう言いながら盾を持たない少女はスイッチのようなものを取り出した。

「まさかそれって!」

アオが言っていたスイッチという言葉を思い出して、アオ達に爆弾をつけた犯人であることにはすぐに結びついた。

しかし思考を巡らせている間に少女は数字を打ち込んでスイッチを押してしまった。

すると蛇の宮の魔法少女の1人のソウルジェムが赤くひかりだした。

「い、嫌だ!死にたくない、死にたくないいいいい!」

そう言って少女の方へソウルジェムが赤く光った魔法少女が走り出した。

その魔法少女を少女は掴んで、その体をらんかの方へと放り投げた。

そしてらんかの頭上でソウルジェムは爆発した。

爆発は人の体を包む程度の威力で、至近距離だと爆発に巻き込まれて体が吹き飛ぶかもしれないほどの威力だった。

らんかは自分の武器で爆発を防いでいたが、同時に血飛沫と魔法少女だった肉がらんかの目の前へ落ちてきた。

「な、なんだよ、これ」

「いやぁぁっぁぁ!」

皆が動揺して動けない中、私はすぐに少女へ殴りかかった。

するとすぐに盾を持った少女が前に出てきた。

「邪魔だ!」

盾ごと殴り潰そうと思って振り下ろした棍棒は盾に当たった途端に形を失っていき、持ち手部分まで砂のように崩れ去ってしまった。

「魔法が効かないって、武器まで分解してしまうの?」

盾を持たない少女はアオの方を見て話し出した。

「ほら、死ぬ気で殺し合ってよね、じゃないとあの子みたいになっちゃうよ?」

「貴様!」

樹里が怒りをあらわにしているとアオが何かを呟きながら起き上がった。

「…にたくない。死にたくない。死にたくない」

そう呟くアオのソウルジェムは真っ黒だった。

「じゃあ、あとは楽しんでね」

そう言って少女達はその場から離れていった。

「お前!待ちやがれ!」

追いかけようとする樹里の前にドッペルを出す魔法少女達が立ちはだかった。

「お前ら。

邪魔するってんならウェルダン通り越して炭にしてやる!

あんなもので消される前にさ」

樹里が放った炎をドッペルを出した魔法少女達は受け入れ、次々と焼かれていった。

「ふざけるなフザケルナふざけるなふざけるなふざけるな!!!!

樹里は涙を浮かべながら魔法少女達を燃やしていった。

「死ぬってわかってるなら少しは協力しろっつうの」

結奈はドッペルを出したアオに行く手を阻まれていた。

「わかってる。こうやって姉ちゃん達を邪魔することが間違ってるって」

「ならどうして」

「ワンチャンがないかって思っちゃったからだよ。

もし勝てたら、もし成功したら、今より長く生きられるんじゃないかって」

「今を耐えられてもまた次の戦場でいいように使われるだけよ!

ワンチャンスなんて都合のいいものは」

「もう嫌だよ、早く解放してよ。

お姉ちゃん…」

アオのドッペルのギロチンがアオの首目掛けて自由落下した。

そして飛び出た黄色の液体が人型になって結奈へと襲いかかった。

黄色い人形が襲い掛かろうとするとそこにひかるが現れて人型の動きを抑えていた。

「結奈さん、こいつはひかるが引き受けるっす。

今のうちにアオさんのところへ!」

「助かるわ」

結奈はドッペルを出したままうなだれているアオの顔をあげ、目を見ながら言いつけた。

「私はあなた達を助ける方法を知らない。

でもあなた達を殺すスイッチを持っているあいつを殺せばそのスイッチが押されることは無くなるかもしれない」

話しかけてもアオは何も反応を示さなかった。

「あいつを殺すことに協力しなさい。

人間にいいように使われるのと、私たちに協力するの、どちらかを選びなさい!」

アオは返事をすることなくドッペルは消えてしまいました。

「結奈さん、アオさんは」

アオはその場で顔を上げることなく動こうとしませんでした。

結奈は周囲がどうなっているのかを確認した。
蛇の宮の魔法少女は皆樹里によって消し炭にされたわけではなく、中には神浜側の二木市の魔法少女に拘束されたままになった無事な子もいた。

蛇の宮の魔法少女との戦いが落ち着いたことを確認すると、結奈はテレパシーで皆に伝えた。

[動けるものはついてきなさい。

あの重武装の女を殺しに行くわ]

 

神浜の魔法少女が避難場所にしようとしていた北養区には、マギウスの翼にいた時に教官と呼ばれていた神楽燦が率いる宝崎の魔法少女を中心としたグループが待ち受けていました。

神楽燦が率いる魔法少女グループは神浜側の魔法少女へ攻撃を開始しますが、攻撃を行う魔法少女達は戦いを始める前に、相手へ必ずテレパシーでこう伝えました。

[戦うフリをしてください]

戦いをするフリという言葉にみふゆは困惑しました。

「燦さん、一体どういうつもりですか」

神浜側の魔法少女は困惑する者が多く現れました。

[みふゆさん、どうするんですか]

[きっと本気では来ないはずです。信じて訓練の要領で挑んでください]

そう言われて各々は神楽側の魔法少女達と刃を交え始めます。

言っていたことは本当のようで、どこか本気ではない様子でした。

そんな中、みふゆは燦と対面していました。

[これはどういうことか説明してください。どうして戦うマネなんていうことを]

[仕方がないんです。こうでもしていないと私たちは殺されてしまいますから]

[殺される?どういうことですか]

テレパシーでみふゆは燦から訳を聞き出します。

私はアンチマギアプロジェクトの話が世界に広まったあと、宝崎市を中心とした魔法少女達へ神浜へ行くことをやめるよう言って回っていたのです。

あそこは最も狙われやすい場所であるため、神浜以外で匿ってもらう必要があると考えていました。

その当てが青年会のメンバーでした。

しかし親しかったメンバーは庇ってはくれず、わたし達は特殊部隊に捕まっていたのです。

私は青年会のメンバーへ訳を聞かずにはいられませんでした。
聞いた結果は残酷なものでした。

「どうして、私はみんなと一緒にまつりの存続を願っていたのに」

「悪いな、俺たちじゃ何もできない。世界の決まりになってしまったからな」

「そんな、そんなことって!」

「殺されるわけじゃないんだろ。

落ち着いたら、またやり直せるかもな」

私は裏切られたとは思いたくなかった。

きっとまた戻ってきて元に戻れるとそう思い込み続けました。

でも捕まった後にSGボムというボタンひとつでソウルジェムを破壊されてしまうという状態にされてしまった時、私はひどく後悔したのです。

宝崎の魔法少女には私を責める者もいました。

「あなたが止めさえしていなければ!」

「燦様はみんなのことを思って行動したのですよ。助けられておいてそんなことを言うなんて」

「だって、じゃあこの憤りはどこにぶつければいいのよ!」

「スイッチさえ押されなければ生き延びられる可能性はある。

あの女さえどうにかすれば」

そんな皆が落ち込んでいる中で皆に合意してもらえたのが、戦うフリをしながら助けを求めることだったのです。

[教官らしくないですね。

それで、倒さないといけない相手というのは誰なのですか]

[サピエンスという組織に所属している科学者です。

名前は知らない、銀髪の小さい女で戦場に来ているのは確か。

そいつが殺されたと判明するまではそちらに寝返ることはできません]

[そうですか。

私は教官を信じますよ、いいですね?]

[みふゆさん、ありがとう]

みふゆは銀髪の小さい女がSGボムの起爆装置を握っているとテレパシーで周囲の魔法少女へ伝えていきました。

「灯花へ今のことを伝えてください!

探すくらいはしてくれるはずです」

その話を聞いて反応したのは宮尾とはぐむでした。

[私たちが伝えてきます!]

[場所はわかりますか?]

[手伝いに、何度か行っていたから多分]

[わかりました。

わからなければやっちゃん達に伝えてください。そうすれば確実に伝わります]

[[はい!]]

宮尾達はその場を離れましたが二人をを追おうとする魔法少女はいませんでした。

自衛隊も追うことはありません。

「自衛隊は追おうとはしないのですね」

「彼らは私たちの監視をしているだけです。

もしかしたら、彼らに見られていなければもしかしたら」

戦いながら器用にテレパシーと会話を織り交ぜながら情報交換をしていると、自衛隊が空を見上げて東側へ発砲を始めました。

その方向を見るとそこには鎌に乗った二人組がいて、そのうちの1人はみふゆ達が見慣れた存在でした。

「あれは、アリナ?!」

アリナ達は自衛隊の頭上で手榴弾などの爆発物を放り投げ、自衛隊は逃げ惑って混乱していました。

[皆いまだ、身を隠せ!]

燦達は一斉に森の中へ隠れて自衛隊の目が届かない場所へ姿を隠しました。

「みふゆさん、動くのは私だけでいい。

戦えない魔法少女と一緒にみんなをここに置いてくれませんか。

もちろん、最悪の事態を考えて離れておいた方がいい」

「良いのですか?見つかったらすぐに起爆されてしまうかもしれませんよ」

「SGボムをつけられた時点で、もう死んでいるようなものですよ」

 

back:2-3-6

レコードを撒き戻す:top page

Next:2-3-8