【マギレコ二次創作】魔叙事詩カグラ・マギカ 2-2-12 慈悲が過ぎる行為

私達は神浜への移動中にアンチマギアプログラムのことを街頭のテレビで知りました。

「やちよさん、この内容って」

「世界が魔法少女を見る目を変えてしまう。しかも最悪な方向へ」

神浜へ向かう足取りは早くなり、翌日からは街の近くへ行くと武装した兵士を目撃するようになり、時には攻撃を受けることもありました。

魔法少女ではない子達を庇いながら戦うのは困難であり、逃げるという選択肢しかなくまともに戦いはしませんでした。

とはいえ、逃げようと放った攻撃が彼らに効かないことだけはわかっていました。

魔法が効かない相手が神浜にもきているのだということを思うと、みんなが無事か気になって仕方がありませんでした。

神浜へ到着すると神浜は兵士に囲まれてはおらず、魔法少女達がいつも通り歩き回っていました。

私達が最初に顔を合わせた魔法少女は眞尾ひみかさんでした。

「いろはさんにやちよさん!いやぁ無事でよかった!

ん?後ろにいるのは?」

「あの、神浜ではなにかなかった?」

「ええ、いろはさんがいなくなってから色々ありましたよ。

でも大丈夫です!少なくとも今は安全です!」

ひみかさんの話を聞いている最中、遠くから目線を感じたのでその方向を見ると、神浜の魔法少女ではないですが見慣れた顔がありました。

しかしその見慣れた顔が少ないような。

「ひみかさん、あの魔法少女達って」

「ああ、いろはさんも知ってると思いますがプロミスドブラッドって名乗ってるグループですよ。

いろはさんがいなくなった後にういちゃんをさらおうとしてきたんですよ」

「ういを?!」

「でも安心してください。

ういちゃん達は里見さん達が匿ってるようなので無事です」

「よかった」

私は少しプロミスドブラッドに状況を聞きたいと思いました。

でも今はさつきさん達を案内しないといけないし。

私はやちよさんの方へ向き直りました。

「やちよさん、みんなを休める場所まで連れていってもらえますか?

私はプロミスドブラッドの子達に聞きたいことがあるんです」

「出発する前にあれだけ煽ってきたグループよ。

いろは一人を行かせるわけには」

「大丈夫ですよ。

あれ以来この街の見張り能力は向上していますから。

安心してください」

目から光がなくなったひみかさんからそうつたえられました。確かに周りにたくさんの魔法少女の気配が多いような。

「わかったわ。
いろは、無理をしちゃダメよ」

「はい」

さつきさん達のことはやちよさんにまかせ、私はプロミスドブラッドのメンバーに接触しました。

「ちょっといいでしょうか」

「環いろは!戻ってきていたのか」

「ついさっきですけどね。

結菜さん達の姿がないようですが」

「お前に教える必要はn」

「結菜達なら二木市に戻ったよ。仲間がまだ二木市にいるからね」

「それって、あの全国放送が行われる前に、ですか」

「ええ、そうよ」

「ちょっとさくや、何普通に教えちゃってるの」

「私たちじゃ今以上にどうしようもできないでしょ」

きっとあの兵士達が神浜へ来たと同様に二木市にも現れていたのだろう。

あの兵士達が現れてからしばらく経つのに神浜に避難してきていないとなると、苦戦している可能性がある。

それとも。

「プロミスドブラッドのみなさんは二木市に思い入れはありますか。
なければすぐに神浜へ避難してもいいと思いますが」

「地元に思い入れがないわけがないだろ!

あそこには楽しい記憶も、辛い記憶もあるんだ。そう簡単に手放せるわけがない」

「それで、今の生存よりも地元愛を優先して捕まるのを待つのが、結奈さん達の考えなのですか」

「あんた、言わせておけば、
ふざけんじゃないわよ!」

「私は多くの魔法少女を助けたい。

でも、死にたいと思ってる子を無理やり生かそうとは思いません。

教えてください。今結菜さん達は生きようとしてるのですか!」

そういうと一人の魔法少女が近づいてきました。

「確かに結菜さんなら二木市で命を落とそうとか考えかねないっす」

その魔法少女は二木市があるであろう方向へ向いて話を続けました

「でも、少なくともひかるは結菜さん達を死なせたくないっす。
こんな時に、死ぬ必要なんてないっすからね」

「助けに行きませんか。私達で」

私がそういうとプロミスドブラッドの魔法少女達は驚いてこっちを見ました。

「いいの?私達はあなたへ恐喝したり妹さんを攫おうとしたし殺そうともした

そんな私たちを助けようっていうの?」

「もちろんですよ。あれも本意ではなく理由があってのことだと信じていますから」

「お人好しすぎるんじゃないか、環いろはさん。

でも気持ちはありがたいよ」

「では早く向かいましょう!早いだけいいですから」

「ちょっと待て、今の流れで行くことになったのか、しかもこの人数で?!

さくや、私達が命じられたのは神浜の偵察だ。戻ったら何言われるか分からないよ」

「だから危険だとわかっている結奈達を助けに行かないって?

それは違うでしょ」

「それは、そうだけど」

プロミスドブラッドのメンバーが話し合っている間、私は近くにいる魔法少女へ伝言しました。

[聞こえますか]

[いろはさん?!プロミスドブラッドと接触して平気ですか!]

[うん、大丈夫。

やちよさん達に伝えてください。

私はプロミスドブラッドと共に二木市へ行って魔法少女を助けに行きます]

[ええ…ええ?!]

[お願いしますね]

[ちょ、いろはさん!]

私は一方的にテレパシーを切りました。

「ついてきてくれるのはあなただけ?

まあ、あれだけのことをやったら当然か」

「必ず力になります。
案内してください、結奈さん達のいる場所へ!」

「なんか楽しそうなことを企んでるじゃないか。あたし達も混ぜてくれよ」

そう言い寄ってきたのは私たちをずっと見ていた魔法少女達の一部魔法少女姿から武装をしていてとても目立っていたので覚えています。

「三重崎の方達、ですよね」

「そうそう!覚えててくれて嬉しいよ。

二木市の奴らを助けに行くんだろ?

だったら手伝わせてくれ」

「三重崎のあなた達とは交流はなかったはずだけど?」

「そんな冷たいことを言うな。魔法少女同士助け合わないといけなくなったご時世だ。

それに、あの火炎放射器使うやつと戦いたいと思っていたんだ。

一戦も交えずにいなくなられるのはちと寂しいと思ってね」

「あんた達なりの思惑はあるってことだね」

「手数は多い方がいい。それに、環さんよりはあたしたちがあの兵士たちへの対処をよく知っているはずだ。

どうだ、連れていってくれないか」

「ありがとうございます。

あの、お名前を伺っても」

「私の名前だけ覚えてくれればいいよ。

咲(さえき)って名前だ。よろしく。

早速だが妙案があるんだ。ついてきてくれるか?」

私達は咲さん達についていき、辿り着いたのは神浜の車両基地でした。

そして咲さん達は一両の貨物車をいじり始めました。

その様子を見ていたプロミスドブラッドの一人が咲さんへ話しかけました。

「あんた達まさか電車使用して助けに行こうとか考えているわけ?

「そうだがどうした。

ただでさえ包囲されているかもしれない二木市だ。

大人数をスピーディに運搬できるのは車両ぐらいだ。

ちょうど線路がつながってるわけだし、使わない手はないだろう」

「いやいやいや、封鎖されてるかもしれないしそもそも誰が運転するのさ」

「イノッチが運転できる。まあ魔力使えば誰だって運転できるんだけどね
ああ、イノッチはあいつのことだよ」

「よろしく~」

機関部をいじっている子が陽気にこちらへ手を振ってきました。彼女がイノッチさんなのでしょう。

「とんでもない奴らだ」

「ほら、出発するまで何やるか思い浮かばないのならその空のコンテナにドラム缶を積み込んでくれないか」

「何に使うんですか」

「魔法が効かない相手への対抗策さ」

電車の準備が進んでいき、コンテナが3両つながった5両編成の貨物車が用意されました。

私達はコンテナ部分へ乗り込み、日が沈もうかという時に貨物車は車両基地を出発しました。

レールの切り替えはイノッチさんが銃で行い、今まで二木市とつながっていた線路へと合流しました。

思わぬ寄り道をすることとなりましたが、魔法少女を助けるのが第一です。

ういには、それまで待ってもらうことにします。

 

 

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