ある日、やちよさんはさつきさんへ3人の子達が学校へ行っていな
「事情があるのよ。
もしよければあなたがあの子たちに教えてあげてもいいわよ。
かつては家庭教師が来ていたのだけど、
そう、この神社にはお参りしに来る人と謎のスーツの集団以外全く来ないのです。
3人の子へ勉強を教える人もおらず、
きっと踏み込んではいけない事情があるのでしょう。
やちよさんが暇をしている3人へ勉強をしたいか聞くと、
「私は嫌かな。あまり勉強得意じゃないし」
他の二人はダンマリでした。
私は二人が言い出せない事情があるのかと思い、ちかちゃんを外へ連れ出すことにしました。
「じゃ、じゃあちかちゃん、ちょっと私に教えて欲しいことがあるんだけど」
「なになに?」
ちかちゃんを私が外へ連れ出した後、その後に残った二人は。
「私は勉強教えて欲しいかな」
「私も・・・」
「最初聞いた時は黙っていたわね。あの子の前では言い出しにくいことなのかしら」
「そうだね。
ちかの前では、“勉強”ってこと自体を話題にするのはよくない」
私はちかちゃんに畑の野菜について聞いていました。
そして聞いてみたのです。
「ねぇ、勉強は嫌いなの?」
そう聞かれると手を動かしながらいつもの元気そうな顔で話はじめまし
「私は勉強ができないからって家を追い出されたの。
拾ってもらった後も勉強を何度か誘われたんだけど、
だからこうやって体動かす方が好き!」
「・・・ごめんね、話しづらいことだったのに」
「いいよ、お姉ちゃんに知って欲しいと思ったから」
この子は拾われた子だった。
このような子へは勉強を強制できない、
これは魔法少女だけで生きていく上でも大事なことだと思う。
「私、勉強しないから悪い子だと思う?」
「そんなことないよ。こうやって野菜に詳しいでしょ?
それで十分に偉いよ」
「えへへ」
子どもは憎めない。
こんな無邪気な子達が大人になるとああなってしまうのは、
カレンさんが主張していた人間社会の破壊。
それが為されれば、変わるのだろうか。
やちよさんから勉強の話題が終わったという合図が来るまでちかちゃんと外で過ごしました。
その日の夜、
「あの子達、どうやら親に暴力を受けていたみたいで、
そのせいで人間不信になっているみたいで。
今はさつきさんしか信用していないらしいの」
「そんな辛い事情を話してくれたんですね」
「ええ。少しは心を開いてくれたってことなのかしらね」
あの3人と仲良くなるのはさつきさんを神浜へ連れて行くための過
3人みんなが魔法少女になってくれればういを助けた後も仲良くで
私達は後どれほどここに居続けないといけないのだろう。
3人が部屋に戻り、
さつきは札を作る手を止めて窓から外を見ていた。
「また物思いに更けていたのか」
さつきは私の目を見て話しはじめました。
「キク…。
あなたは環さん達をどう思う?」
「あの3人が心を開くくらいいい奴らだし、
私が言える立場じゃないが、
私と目を合わせながら話していたさつきは、
「確かにキクが言えたことじゃないわね。
知ってるでしょ、私は父と母が亡くなった時に約束したのよ。
「・・・あの二人をここに縛っておく気か」
「仕方がないでしょう?
私はここから離れるわけにはいかないんだから」
何が仕方がないんだか。
さつきのこだわりはわかるが、
段取りを組んで外に連れ出すしかないか。
「じゃあ、私は勝手にさせてもらうよ」
本殿を出ようとするとさつきは私の左手を掴んできた。
そんなさつきの目には涙が溜まっていた。
「勝手にどっかに行かないでよね・・・。
あなたなしだと、私・・・」
「今後のさつきの態度次第かな」
私はさつきの手を優しく放して本殿を出て行った。
「私、どうしたらいいのよ。
教えてよ、お父さん、お母さん…」
いつも通りの朝を迎えたかと思いましたが、
「さつき、寝坊かな」
「私起こしてくるね!」
「ああ。いつもの裏口から行くんだぞ」
一人がさつきさんを呼びに行っている間、
「珍しいですね、さつきさんが朝遅いのって」
「誰だってミスはあるさ。疲れてたんだろう」
結局さつきさんとは顔を合わせることなく、私とやちよさん、
ここの魔女は弱く、苦戦することは滅多にありません。
簡単に遭遇した魔女を倒した後、
「環、七海少しいいか」
キクさんに呼ばれて私とやちよさんは、キクさんと一緒に人が登れな
「信頼にあたると思い、
===
わたしとさつきはもともと幼馴染の縁で一緒に魔法少女として活動
さつきの魔法少女としての才能はとてつもないものだった。
この町に現れる魔女は相手になんてならず、彼女に刃を向けてきた魔法少女は皆彼女の力でねじ伏せられた。私だって到底かなわない。
だから、この町の魔法少女達はさつきへ大きな信頼を寄せていた。
さつきはあの神社で巫女として育てられてきた。巫女である特権として義務教育を受けることを免除されていて、普通に学校へ行っていた
だからさつきは同年代のやつと会う機会が少なかったんだが、
最初はその男子生徒をさつきは邪険にあしらっていたんだが、
「あいつ学校で流行ってるからと言って訳の分からない本を持ってきてね。
絵ばっかりで情報量が全然ない中身でびっくりしたよ」
「それはマンガってやつじゃないのか。
文字で伝えていた情報を絵にかき起こすことでキャラクターの心情を察しさせたりと新しい表現ができるんだ」
「そうなんだ。あいつ、あの本について私と語り合いでもしたかったのかな」
「あいつに興味があるなら、あいつの好きなものから好きになってやったらどうだ」
「ちょっとキク!私はあいつのことどうも思っちゃいないんだから!
でも、ちょっとは興味持ってやるんだから」
「はいはい」
男子生徒は私と同じ学校へ通っていて、周りに誤解されないようさつきをどう思っているか聞いたこともあった。
「さつきのことはどうも思っていないさ。
ただ、一緒にいる時間がもう少しあったらなって思う時がある」
「さつきが学校に来て欲しいってことか?」
「巫女の仕事があるから仕方がないっていうのは知ってる。
ただ、俺が大人になったらあの子をあの神社から連れ出したいとは思ってる。あの神社に祭られている神様ってのは少しうさんくさい気がするんだ。
それに、何かに縛られながら生きるってのはさつきだって望んじゃいないだろ」
「アンタが何か企てるんだっていうなら、私が手伝ってもいいよ」
「その時はお願い、キク」
ただ、あの楽しい日々にも終わりを迎える時が来た。
ある日、
学校周辺で謎の殺人失踪事件が続いていて、
たくさんの人々が使い魔の餌食になって次第に狂った人同士で殺し
その殺し合いに、あの男子生徒も巻き込まれていた。
彼は最後まで冷静だったが、
その状況を目にしてしまったさつきは、
あの状況ならば、狂った人々を殺すしか手段はなかった。でも、初めて人を殺すという感触に私たちはショックを覚えるほかなかった。
そしてあの男子生徒を助けられなかったさつきに、
一緒に魔女討伐をしていた魔法少女のうち一人が、
さつきはこの町で一番強い。
彼女は発狂してしまい、
学校を結界に閉じ込めた魔女は強かったが、他の魔法少女達の活躍もあって私が
そしてさつきが魔女化しそうな時に私はグリーフシードを押し付け
「負けるんじゃない!戻ってこい、さつき!」
さつきは魔女にならずに済んだ。
だがこの件でこの町の魔法少女はさつきに対する信用を失った。
あの時魔法少女が魔女化した個体はあの戦いの中どこかに消えてし
そいつが数日後、皮肉にも私の家族を皆殺しにした。
私も多少は心にダメージを負っていたのだろう。私は怒り狂った。
そして自我が消えそうな時に、
「負けるなって言ったのはあんたじゃん!
私を、ひとりにしないで。あの時助けた責任とってよ!」
行き場を失った私はさつきの神社へと引き取られ、その後間もなくさつきの両親は病でいなくなってしまった。
で、今日の今までここにいる。
===
過酷な経験をしたことを明かされて私はすぐに何と切り出せばいい
「さつきはいなくなった両親の遺言を今も大事にしていて、神社を離れる気はないんだ。
だから、本当は神浜へ行く気なんてなかったんだ」
「そんな。じゃあ、
私が悩んでいるとやちよさんがキクさんへ尋ねました。
「キクさんの家族を襲ったという魔女、退治はされたのかしら」
「いや、その場を収めるためにさつきが札へ魔女を封印して、
「その場所って、神社の裏にある」
「環、あの神社に魔女がいると知っているのか」
私はキクさんが魔女を倒さずに放置していることに驚きました。
「え、知ってるならなぜ倒さないんですか」
「あの神社に引き取られてからすぐわかったさ。あそこにいる魔女こそ、さつきが封印した、そして私の家族を奪った魔女だ。
でも何度始末しようとしてもさつきに止められたんだ。
”神様に手を上げるんじゃない”だってさ」
「さつきさん、おかしくないですか」
「ああ、あいつは両親を失ってから明らかにおかしくなってる。でも私はどうしてやればいいかわからないんだ。あのさつきに牙を向けられたら、勝ち目はない」
キクさん達が倒せなかった魔女が、あの神社にいる。
その魔女を、今もさつきさんは封印し続けている。
さつきさんが魔女を倒せないのはわかったけど、
私が悩んでいると、やちよさんが話を切り出しました。
「キクさん、少し協力してもらえますか」
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