【マギレコ二次創作】魔叙事詩カグラ・マギカ 2-2-7 事前準備、全ては後のために

神浜市内は環ういとワルプルガを求めて無用な争いが続いていた。

その様子にうんざりした里見灯花がシェルター内に用意した部屋へ環うい、ワルプルガを密かに隠した。

隠された直後は既に誰かが連れ去ったと騒動になったが、里見灯花が放った言葉で争いは急激に減った。

「あなた達が争いばかりしかしないから、うい達はうんざりしてどっかに行っちゃったよ?

さっさとやめなよ、そんな非生産的な行為」

そんな発言があったすぐの頃は激昂して里見灯花を殺そうと動いた魔法少女もいたが、時間が経つにつれてそんな考えを持つ魔法少女の数は減ってようやくまともに生活できる環境作りの動きが増えてきた。

神浜市内の動きが変わっていく中、私はかこさんから鏡屋敷に突然現れた人物達の話を聞かされた。

日継カレンが生きていたこと

人類に反抗しようとする魔法少女の集団

いずれ魔法少女にとって不利益な出来事が起こること

驚くことばかりで私には情報を整理する必要があった。この話を他の人に話してはいけないと釘は刺されたが、とても1人で抱えきれる話じゃない。こんな話を聞かされて、私には何も。

そう悩んでいる時、ふと黒がある話題を出した。

「魔法少女だけで生活していくっていっても、外の様子知りたいよね」

「そうだよね、外から来た人はみんな殺しては死体を埋めるの繰り返しだし、外が今どう神浜市を見ているかは気になるかも」

外の様子を知ること。

そういえばかこさんからはいずれ神浜の外へ出てやるべきことができるかもしれないと言っていた。

今後のことを考えると、みんなに手伝ってもらった方がいい。

そう思い立ってルームシェアしているみんなにかこさんから聞いた話を聞かせた。

みんなキョトンとした顔をしていた中でカオリが意見を出してきた

「あの、外の様子を知る必要があるならまず電波を拾えるようにしませんか

SNSを使えた方がいいですし、テレビとか見れたらいいなって」

「電力関係は今でも問題だな。生きているアンテナ局や電力に強い魔法少女といえば、思い当たるのが1人しかいないな」

「いろはさんは今不在ですし、誰に頼んだらいいんでしょう」

「・・・悩んで動かないよりは思いつく限り行動した方がいい。まずはみふゆさんにアタックしてみよう」

行動方針が決まったところでカオリには3人連れて神浜市周辺のパトロールを任せ、私含めた4人でみふゆさんに会いにいくことになった。

みふゆさんの行方を聞いて回っているとみふゆさんは竜真館でひなのさんと話をしていた。

竜真館は修復作業がされていると聞いてはいたが、見事に修復がされていた。

私は2人に会いにくるとは意外だと驚かれながらも気にせず里見灯花へ電力や電波について相談したいと話した。

灯花であれば里見グループが使用していた予備電力用の発電機がある場所を知っているはずですが、電波については難しいと思いますよ」

「ああいうのは大きな会社が管理している物で、大規模にSNSを使用するレベルだとサーバーの問題でも難しいんじゃないか?」

「あの子ならすぐ解決できるでしょうが、素直に話を聞いてくれるかどうか」

「みふゆさんの話でも聞いてくれないのですか」

「聞いてくれていたら、ワルプルギスの夜を呼び寄せようとしていたあの事件は起きていませんでしたよ。

まあ、話はしてみましょうか。なぜ必要なのかは、欄さんからお話をお願いできますか」

「わかりました」

みふゆさんとの話がひと段落するとひなのさんが話しかけてきました。

「おまえ最近は夏目かこと一緒に行動しているみたいだが、他人についていくなんて珍しいじゃないか」

「どうでしょうかね。
一緒にいれば有益な存在だとわかったからついていっているだけですよ」

「おまえは忙しいことを嫌うやつじゃなかったか?」

「今だってそうですよ。今後忙しくならないために、今忙しくしているだけです」

私達はみふゆさんと里見灯花がいるという電波望遠鏡跡地に来ました。

電波望遠鏡跡地には里見灯花に柊ねむ、そして意外にも宮尾とはぐむが一緒にいた。

「灯花、少しお話があるのですがいいですか?」

「なに?今忙しいんだからくだらない話だったら許さないんだから」

私は里見灯花へ要件を説明した。

「実は神浜市内でかつてのようにSNSで情報のやり取りをできるようにしたいと言うのと、いろんな場所でテレビを見ることができるように電力の安定化をしたいのです。

なのでまずは発電機がある場所を教えてもらえないでしょうか」

「発電機?それは各地にあるシェルターに生きている発電機をそっちでかき集めれば解決するでしょ?

それに外部の電波を拾って情報を入手するのは今私達が現在進行形で進めている最中だよ」

「それ、みんなが扱えるようにってことですか?」

「そんなわけないじゃん。私達のためだよ」

まあ知っていた。環姉妹以外にはなんの配慮も考えていないのは。

「宮尾達はなぜここにいる?」

「ぼくは罪滅ぼしのため。ぼくのせいでここを壊しちゃったみたいだし。
それに、簡単な機械の修理ならできるから灯花様の手伝いをしている」

「わ、わたしはただの付き添いで」

なるほどな。修理だけならば宮尾に任せる方法もあるか。

さて、里見灯花の方だが。

情報収集できる環境を作っている最中だと言うのはわかりましたが、私たちに共有はしてくれませんか?

2人で考えるよりはみんなで考える方がいいと思いますよ」

「・・・何か情報共有しないといけない理由があるの?
専用のSNS作ったところでメンテナンスするのは私でしょ?いやだよ」

あの話をすれば考え直してくれるだろうか。

今は即答できないな。

わたしはみふゆさんにテレパシーで伝えた。

[出直させてください。ちょっと情報を集める必要が出ました]

[わかりました]

「邪魔してすみません。出直させてもらいます」

「じゃあ暇ならそっちで発電機の問題を解決しておいて?
解決したら教えてよ」

「暇があったらですけどね」

「みふゆはいつだって暇でしょ」

「あのですね・・・」

私は別れ際にみふゆさんに質問をされました。

「最近、鏡屋敷の近くで見知らぬ人物を目撃するようになった話をご存知ですか」

「話には聞いています」

あなた達は独自の動きをしていることを私はすでに知っています。何か判明した話があったら教えてください」

「はい」

知っている事実は確かにある。だがそれは話しちゃいけないことだ。

私はかこさんを見つけ出して仲間に事実を伝えたことを除いて今日起きたことを説明した。

「彼女達に協力してもらえるよう、事実を伝えないか?
彼女達の協力を受けるのとそうではないのとでは状況が大きく変わる」

確かに外部の電波を拾うというのは彼女達に頼んだ方が話は早そうですが。

・・・カレンさんに聞いてみます。少し時間をください」

そういわれてから2日後、魔法少女の溜まり場になりつつある竜真館に突然小型テレビが用意されてそのテレビでは普通に画面へいろんな番組が映るようになったと報告を受けた。

突然テレビが使えるようになったことに多くの魔法少女は驚いていましたが、私はすぐにかこさんへ何があったのかを聞きに行った。

かこさんにそう聞くと

「ちょっと失礼します」

そう言われると突然映像が目の前で映ったかのような感覚に襲われた。そして映し出された映像は日継カレンと対面しているかのような映像だった。

[あの3人組のうちの1人か。それは私自ら会いに行った方が早いかもな]

[カレンさん自らがですか。
ややこしい事態にならなければいいのですが。でも一体どうやって]

[おや、珍しい顔と喋っているじゃないか]

[ミアラが来るとは珍しいじゃないか。今日はどうした]

ここで場面が変わり、ミアラという人物はいなくなっていた。

[したっけいくとするか]

そういうと日継カレンはかこさんの腕を掴んだかと思うとあっという間に中央区の電波塔跡地にいた。

[い、いったいどうやって]

[種明かしは別の機会だ。まずは天才のいる場所へ案内してくれないか]

場面が変わり、里見灯花と日継カレンとで口論が起きていた。

[あなたのせいでういが変わっちゃったんでしょ?!ちゃんと責任取ってよ!]

あれはおまえ達が私たちを消したいという私念を消しきれなかった結果だ。
まさかおまえ達には解決できないとでも言いたいのか]

[あなたね!]

[やめましょう!今日はケンカするためにあったのではないんですから]

再び場面が変わり、かこさん達がいる部屋のモニターには少し前の場面にいたミアラという人物が映っていた。

[大体事情は把握したよ。

電波を拾ってテレビを見られる環境を作るのはいいけど、SNSの作成は嫌だからね。

お姉様に頼まれない限りあんな面倒なものの管理はごめんだよ]

[やれやれ。今回通信用に渡したその魔法道具は好きに解析してもらって構わない。
その方が新しい発見がありそうだからね]

[くふふ。思いっきり驚かせてあげるんだから]

[これでいいだろう、夏目かこ]

そこで映像は終わった。

どうやら何分もみていたような映像は現実では数秒の出来事になるくらいの体験だったらしい。

「いまのはいったい」

「頭痛とかしないですか?

実はイメージの共有というものを教わっていて、言葉よりも今のようにイメージを伝えた方が早い場合に便利だと聞いて試したのですが」

なんてとんでもないことを。

便利なのはわかるが、いや、私も覚えた方が今後楽なのか?

「かこさん、この技って」

そう話している時、黒からテレパシーが飛んできた。

[欄さん!急いで竜真館へ来てください!

テレビで魔法少女の話が!]

そう聞いて私はかこさんと一緒に竜真館へと急いだ。

たくさんの魔法少女が取り囲む中、テレビでは神浜の皆がドッペルを出して暴れている様子や、今後魔法少女を拘束する、生み出させないとする政策が世界中で実施される話がされていた。

「なるほど、これが人へ抵抗する理由ですか」

世界が魔法少女にとって生きづらい世界となってしまうことを日継カレン達は知っていた。

そんな話を聞かされて事前に行動したからこそ、この情報は多くの魔法少女の目に止めることができた。

きっといつも以上に神浜周辺を警戒する必要は出てくるだろうが、神浜マギアユニオンのメンバーも、神浜市にいる魔法少女達も疑問なく参加してくれるようになるだろう。

そう考えると、今後起こるであろう忙しさは軽減できた結果じゃないだろうか。

「もっと大変なことになるんだろうな、やれやれ」

 

 

これはついでだが、いずれやろうとしていたことだ。

米軍基地への攻撃合図

これを伝える適役は、神浜にいる魔法少女でなければ誰でもいいのだが、ちょうどよく気になっていた人物がいる。

宝崎市と呼ばれる神浜市の隣町。

ここには魔法少女を世間に広めようとした人間が住んでいた家がある。そこには今、2人の魔法少女しか住んでいないという。

どこに住んでいるのか探していると夜になってしまったが、かつて出会った時の魔力を頼りについに辿り着くことができた。

「里見・・・か。なんでまた天才と同じ苗字の家に」

そう呟いていると、家の中から慌ただしく出てきた魔法少女と、その行動を必死に止めようとする魔法少女が出てきた。

「那由多様、あなたの性格は十分に知っていますが今神浜へ行ったところで」

「ええ、神浜市が大災害に見舞われた後に神浜市へ行きましたが、パパはまだ生きているかもしれません!

だから…ってどうしましたのラビさん」

「あなた、なぜここに」

ラビと呼ばれる魔法少女と那由多という魔法少女はそれぞれ違った表情で私の方を見た。

那由多はキョトンとした顔を向けていて、ラビの方は敵を見つけたかのような顔をしていた。

「取り込み中だったかな?ちょっと用があるんだが」

「・・・那由多様、家の中で待っていてもらえますか」

「えっ!あ・・・はい」

那由多に聞き耳を立てられていると知っている状況で、私とラビは家から少し離れた人気のない場所で話し始めた。

「あの時以来でしょうか。ピュエラケアのメンバーと、私の仲間を殺した、あの時」

「黙ってみていればいいだけだった話だ。変に庇うから2人も仲間を失った」

「いずれ死ぬ運命とはいえ、あの別れ方は望んだ物ではない。
なぜ今になって現れたの」

「確認のためさ。

まだお前は、魔法少女は救われないと諦め続けているのか」

「・・・魔法少女がいくら争ったところで、見えない力でどうせ失敗する。

そう宇宙の法則が決まっているのだから」

氷室ラビ

一度は魔法少女と人が共存することを目指したものの、謎の力でどんな行動も裏目に出て魔法少女を排除する動きを活発化させる結果を作った。

その過程や結果を経て氷室ラビとその仲間は魔法少女の未来に諦めを覚えた。

でもどこかで「もしかしたら」という諦めきれない気持ちもある。

失礼だが、中途半端という言葉が当てはまるか。

「その謎の力へ抗えるよう、動く気はないか?」

「今更何をするというの。

神浜市から人が消えたところで、世界的に注目されればすぐに潰されてしまうでしょう」

「人類に魔法少女が争い、人類中心の世界を破壊する。

その前段階としてお前には情報伝達役を担って欲しい」

「断るわ。私は傍観することしか」

私はラビがつけている指輪に向けて刃を向けた。

「そんなに希望を抱けないというならば、今ここでお前の希望を終わらせてやる!」

「そこまでですわ!」

ずっと立ち聞きしていた那由多が魔法少女姿で私に武器を向けて現れた。

「こいつはあらゆることを諦めかけている。そしていずれ魔法少女が存在すること自体も。

それを知って出てきたのか」

「私は何も知りませんわ。

ただ知っているのは、ラビさんが大事な家族だということだけ。

家族を傷つけられようとする現場を黙ってみているわけにはいきませんわ!」

「では、私がこいつに頼もうとしたことを里見那由多、お前が引き受けるというならば私は危害を加えない。

引き受けないならば、大事な家族とはさよならだ」

「いいでしょう!私が引き受けます」

「ちょっと那由多様!」

私は刃をしまって那由多の方へ向き直った。

「ではまずは住処を神浜市へ移動してくれないか。そして夏目かこ、欄という人物のことを知るんだ」

「もともと神浜市へは行こうとしてはいましたが、そのお二人のことを知ることだけですか?」

「いや、時期が来たらこの魔法石から出る指示に従って夏目かこ、欄へ情報を伝えるんだ」

そう言って私は通信用の魔法石を那由多へと渡した。

「そいつはこちらから一方的にしか通信できないものだ。こちらを呼び出したり魔力の逆探知はできないから気をつけろよ」

「他に気をつけるべきことはありますか」

「そうだな。死ぬんじゃないってことかな。
時期が来るまでに死んでもらうと頼んだ意味がないからね」

「それだけ、ですか」

「したっけ、頼んだよ」

私は立ち去る前に氷室ラビの方を見た。彼女はうつむいたままで顔を上げる様子がなかった。

「一人で勝手に諦めるのはいいが、お前を大事に思ってくれる希望を持った奴がいる。
そいつを置いていくような行為が正しいのかは、認識を改めた方がいい」

さて、せっかく日本の土地まで来ているんだ。

戻るのはオーストラリアの隠れ家でいいか。

私はフィラデルフィアのコイルを使用してその場を後にした。

 

 

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