魔法少女狩りをしようと思いついて3年経過していまに至る。
3年もかかった、と言うべきかそれともたった3年でと言うべきか
イザベラは魔法少女狩りを実現させてしまった。
魔法少女はグリーフシードがなければ生きてはいけない。だから魔法少女狩りの一貫として普通の兵士でも魔女を倒せるよう対魔女用の兵器開発も完了させて、
そうすれば、魔法少女が人に降伏するのは時間の問題にできると、
しかし、佐鳥かごめという少女が残していったノートによって今までの計画を一部変更せざるを得なくなった。
そのノートには魔法少女が魔女化しないというイレギュラーな土地があると記載があり、その真意を確かめる必要があった。その記載があった土地、神浜は魔法少女が魔女化する資料として利用していたがあの映像に映っていたのは魔女化した結果ではなく「ドッペル」という謎の現象で生まれた魔女もどきらしい。
魔法少女が魔女化しない空間とその恩恵、そして魔法少女の願いがどれほど世界に影響を及ぼせるか知ってい
本来はヨーロッパにあるであろう魔法少女達の本拠地を制圧するた
早急に、そう、早急にだ。
その土地を早めに人間の手中に収められるかどうかで形勢が逆転し
時間の問題で解決できず、
魔法少女が魔女化しない土地、
敗因として既にその土地へ日本中の魔法少女がヨーロッパのように
それでもイザベラは米国の軍しか動かさず、
その理由は、ヨーロッパの動きを警戒していたからだ。
どうやらイザベラはヨーロッパでの武器庫爆破の一件があってから再度各国の
その結果は、まだ多くの魔法少女が動いているというものだった。
敵の急所となるであろう神浜に全力を投じれば簡単に管理下に置け
とはいえ、アンチマギアの量産体制は各国あまりよろしくない。
それはそうだ、
各国、扱いにまだ慣れていないのだ。
そんな状況で神浜に全力投球なんてしたら神浜は取れても他の地域
そうなってしまって魔女化しない仕組みを願いによって世界中に広
イザベラが悩んでいるのは、
そしてイザベラはもっと気にしていることがある。
イザベラはカルラの研究室へ訪れていた。
「じゃあ、
「そうだね。
魔法の類、またはキュゥべえ達が使用するテレパシーの波に近い。
これを事前に防ぐには、
「観測できたのなら、対策できるはずよ」
「もちろん試作はしている。
同調できる目処はついたが実用化には時間がかかる」
「
暗号は適宜変えているけど、
「まあ書面のやりとりという古典的なやり方もあるが、
日本の件も、もしかしたら奴らは対策済みだ」
イザベラは、何か危ないことを考えている顔をしていた。
「変なことは考えるんじゃない。
思わぬ伏兵も参加するのだろう?」
「魔法少女なんて、戦力だなんて考えていないわよ」
イザベラはそう言い捨てて部屋を出て行ってしまった。
私は急いでイザベラの後をついて行った。
イザベラは難しい顔をしていて歩きながらずっと無口だった。
「イザベラ、この中で少し話をしないか」
部屋の中にはキリストの像があり、燭台と8人分の椅子とひざまづ
そこで私は、神についてイザベラへ聞いた。
「イザベラ、君は神という存在を信じているか。
人は絶体絶命になった時、神に祈りを捧げるというが」
「それ、
「あいもかわらず、ひねくれ者だね。
とはいえ、
イザベラ、
「キアラ、
話し合いで終わらそうとしても、きっと奴らは納得しない。
私はホワイトハウスに突然現れた魔法少女のことを思い出した。
“残念だが話し合いで解決すると思うほど我々の考えは甘くない。
「奴らの目的は人類よりも上の立場になること。
私が魔法少女狩りを行おうがそうでなかったとしても、
もう、何もかも手遅れなのよ」
「イザベラ…」
「1か0しか選べないならば、1を手にするために私は足掻くわ。
人類の軌跡を消させはしない。
神なんていないのよ。
いたとしてこんな事態になっているならば、
魔法少女達は、どちらにしても私達を消しにかかってきていた。
イザベラが対抗しようと思ったから、今こうして抗えている。
こんなことになる前に打てた手なんてあっただろうか。
きっと、
「さて、作戦室に行くわよ。作戦開始時間が迫っているわ」
私にはどうすることもできない。
ただできることといえば、イザベラの動向を支えるだけだ。
「了解」
もしもの時も考えて、カルラさんには相談しておこう。
イザベラが、最悪の手段に手を出した時のことを考えて。
私とイザベラは指令室に入り、イザベラは日本の自衛隊へ回線をつないだ。
「責任者につないで頂戴」
作戦室にある一つの画面には日本自衛隊の責任者が映し出された。後ろで兵隊たちがあわただしく右往左往している中、責任者の顔は暗かった。
「・・・なんでしょうか」
「今回の作戦、協力してくれている魔法少女達へ装着したSGボムの発動タイミングはあなたにゆだねています。
もし魔法少女が裏切るようなことがあれば、爆発させれば決定打を与えられそうなタイミングで作動させてくれることを祈っています」
「それは、わかっています」
「いいですね?
今回の作戦への協力具合によって政治等への我が国が貴国へ支援する程度にも影響が出ることをお忘れなく」
「・・・はい」
相手の声からもわかる。魔法少女のソウルジェムを爆破させる役を任されて気乗りしないなんて当然のことだ。
はたして日本の自衛隊はどんな判断を下すのか。
日本の北と南にある米国の駐屯地へは数日前からエアメールを通じて今回の作戦について通知されている。回線をつないで会話すれば済む話ではあるが、イザベラは何を考えてエアメールで通知をしたのか。
「全艦、間もなく予定位置です」
「では作戦を開始しよう。我々は戦況のモニタリングに専念する。
現場での指揮は試作艦艦長のデュラン大佐に一任し、日本の自衛隊の動向も見張ってもらいたい。
今回の作戦でけりがつくよう、諸君の奮闘に期待する。以上だ」
1章 この時間軸にしか存在しない抵抗者(サピエンス)
完
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