【マギレコ二次創作】魔叙事詩カグラ・マギカ 2-1-12 お前は永遠に魔法少女と人を戦わせたいのか

レベッカが私に追突した後、結界内からイザベラと刀の女の姿は消えていた。

「逃げられたのか」

「そうね、逃げる術を持っているとは想定以上の存在よ、彼女」

「イザベラもそうだが刀の女も相当だ。
魔法少女でもないのにあいつに力で負けている感覚だった。それに刀を放り投げるなんて行為」

「あれは偶然ね。狙ってもやれるようなことではない。

彼女達の思考は逃げるのが優先だった。もし殺しに来ていたら、ここにいる私達みんな死んでたかもね」

「物騒なこと言うなよ。

んなことより、レベッカはいつまで目を回してんだ!」

「太ももが柔らかくてつい」

私たちが変身を解いて拠点に戻ろうとすると何者かが話しかけてきた。

「あれが話にあった魔法を使う人間ですか」

声が聞こえた方を向くとそこにはピリカがいた。魔女化しない方法を探していたはずでは。

「あんた、カレンと一緒に行動しているはずじゃ」

「ミアラさんが不在だというので、向かったと聞いた場所へと来てみたのです。ミアラさん、戦えないのに何で戦闘の場に出てきたんですか」

「なんで見たままだった。参戦してくれたら仕留められたのに」

「すみません、事情を把握していなかったので静観の択を取りました」

「ピリカの判断は正しかった。理由は戻ってから話そう」

この後イザベラ達が逃げ込んだ場所を襲撃しなかったのは、人間に目立たないため。

まだ私たち魔法少女は、人間に公な存在になってはいけないという方針がある。

だから私達は、大人しく拠点に帰るしかなかった。

 

聖遺物争奪戦とバチカンでの悲劇が終息して数年後、キュゥべえからある話を聞いた。

「魔法少女に対抗しようとする人間?」

「人類がどうなろうがぼくには関係ないが、彼女達は人間が魔法少女を管理しようと企んでいるようだ」

「それ事実なの?」

人類の上に立とうと考えている君たちには重要な情報だと思うけど

「そいつらの中に、魔法を使える人間はいるか?」

「いるよ。もしかしてもう知っていたのかい?」

「マーニャが報告してきたあの話か。確か今はヨーロッパにいるらしいな」

「ならばすぐに消そう。生かしとくと私たちには不利益にしかならないだろ」

「消すかどうかはさておき、私も同行しよう」

「ミアラさん、戦えないあなたは行かないほうがいいと思うが」

「直接会ってみたいのよ、魔法を使う人間にね」

そして私はイザベラという人物に会い、彼女を取り巻く環境がどんなものかを知った。彼女は十分私たちの脅威になることはわかった。

「いいんですかミアラさん、あいつら生きて帰しちゃって」

見逃せば今以上に魔法少女にとってきつい世の中にはなるでしょうね。

でも、待っていれば向こうから宣戦布告してくれるのよ?

私達は正当防衛という流れで人間社会を破壊することができる」

「正当防衛なんて人間社会だけで通じる話でしょ」

「まあ状況は把握した。したっけ、私達は魔女化しない方法探しに戻るよ」

「カレン、イザベラという人物についての情報は集めておいてくれないか。私たちの情報収集能力にも限度がある」

「わかったよミアラ。シオリとピリカにも伝えておく」

私達魔法少女は、人類が作った本来の自分を押しつぶすことでしか幸せになれない人間社会や常識を壊して魔法少女中心の世界を作らないといけない。

今は息を潜めて力を蓄える必要がある。

イザベラという人物が何かやらかしてくれるまで、私達は静かに暮らそう。

なに、まだ時間はあるさ。

 

 

突然襲ってきた激痛は体を焼かれるような痛さで、その後は麻酔を撃たれたのか完全に意識が戻ったら見慣れない天井が見えていた。

周囲を見渡すとどこかの病室のようで、ベッドの隣には椅子に座ってうたた寝しているイザベラがいた。

こんなに不用心なイザベラを見るのは初めてだった。だから、彼女が自分で起きるまではそっとしておくことにした。

ほんの少しではあるがイザベラの寝顔を拝んだ後、目覚めて私が起きていると知ったイザベラは少し照れた表情をしていた。

「寝てしまっていたのか。情けないな、睡眠もコントロールできないなんて」

「無意識に寝てしまえるのは心が安心しきっている証拠さ。いいことじゃないか」

「・・・なんであんな無茶をした。下手したらキアラは死んでいた」

「私はイザベラのボディーガードだ。身を挺して守るのは当然だ」

「自分の命ぐらい大事にしなさいよ、馬鹿」

それからイザベラに私が気を失っている間に何があったのか聞くと、私が気絶してから2日経過していることを知った。

私の手術が終わり、命に別状がないと知ったイザベラは大統領向けに特殊対策課 「サピエンス」の設立依頼書を作成していた。

魔法少女対策を行うという内容を隠し、国を脅かす組織に対抗するための特殊部隊的立場になるような内容にしたという。PMCのような民間軍事企業としてではなく、米国政府公認である軍事組織の一部という位置づけだという。

そしてディアとカルラが滞在できる場所を米国に用意し終え、私とイザベラ以外は既に米国へ移動してしまったという。

私が退院した後、私達はすぐに米国へと移動した。
不思議と、裏路地で襲撃してきた魔法少女達は手を出しては来なかった。

魔法対策としてアンチマギアが作成されたものの、それが魔法少女に有効なのかは実証されていない。

合理的に魔法少女対策用の兵器を開発するために、イザベラはかつてお世話になった非正規のテロリスト達のところを訪れていた。

「その試作品を使って、魔法少女と戦ってくれと。

そして、その魔法少女をなるべく生捕しろってか」

貴女達が魔法少女に関わる依頼をこなせることは十分に知っている。報酬はこれくらいを目安に出すつもりよ」

「・・・なるほど、額は悪くない。

だが、俺たちは政府の犬として活動する気はさらさらない。

試作品とやらのテストをする依頼は他に魔法少女に関わる依頼があったときについでで受けさせてもらう」

「構わないわ」

「それにしてもこれ、魔法少女に害がある成分が入ってるんですね。

私のような魔法少女が扱っても大丈夫なんですか?」

はじめてあった時からいる魔法少女、まだ生き残っていたのか。

「一般人がグレネードぶん投げて、それが足元に転がって自爆するのと一緒だ。

扱いを間違えなきゃ害はないさ」

「なるほど・・・」

「マーニャはドジだし、やりかねないかもな」

「バカにしないでください!他の子たちよりは長生きしてるんですから!」

「バカ騒ぎはよそでやれ。イザベラ、依頼はあんたとの信頼関係があるからこそ受けただけだ。あんたがやろうとしていることはまだ詳しく説明されちゃいない。もし二度目を依頼するんなら、ちゃんと説明の場は設けてもらえるんだろうな」

「ええ。深く尋ねずに聞き入れてくれたこと、感謝します」

こうして裏組織の協力もあり、対魔法少女用の兵器開発と共に捕らわれた魔法少女を使って薬剤の研究も進んだ。

研究員も増え、イザベラの根回しによって武装集団の所持も許可された。

着々と組織化の動きが進んでいった。

対魔法少女兵器の開発以外にも、ディアはとんでもない実験を進めていた事をカルラから聞いた。

「クローン体を遠隔操作するための実験?」

「そうだ。あいつは元々人という貧弱な体を何百年も生きられる形にすることを目的に研究者となった。

いろんな動物を使って実験してきたみたいだが、どうやら代謝を持つ生物はどんなに手を施しても常に激しい動きをしつつ何百年も生きるのは不可能だという結論に至ったらしい。

そこで、体を使い回すことで擬似的に長生きできるクローンに手を出した」

でもクローンを作る技術は人の体を複製できるほど発展していないはず」

「あの子ならできてしまうのさ。

まあ、少しは錬金術を絡めているが」

倫理観がぶっ飛んでいる。ディアは元々倫理観がない人間だというのは理解しているが、超えてはいけない一線をどんどん超えていくな。

「遠隔操作と言っていたな。まさかロボット的なものなのか」

「いや、魔法少女やキュゥべえが使用するテレパシーを模倣した波を使って本体の脳から直接伝達して遠くからでも体を操作できるようにしている」

「何でキュゥべえが実験体になっているんだ」

「とらえた魔法少女をいじっている間に彼女たちしか使用できない特殊な波があることを知ってね。それを解析してみると奴らを認識できるようになった。
そしてキュゥべえとっ捕まえて徹底的に解剖したよ」

「そんなことまでできてしまうのか、あんたたちは」

さらっとカルラはとんでもないことを言った。

キュウべえを生捕?そんなことをしようとも、できるとも思わなかった。
やっぱり天才の考えることはどこかズレていて、ぶっ飛んでいる。

「奴らの本体を逆探知はできなかったものの、おかげで波と複製体のデータがたくさん取れたんだ。

良くも悪くも、クローン技術は実用レベルにまで至ってしまった」

「表社会には発表しないようにしてくださいよ」

「当たり前だ。ディアが出そうとしても私が止める。

そうだ、今夜イザベラを借りる代わりに、ディアの監視を任せていいか?」

「はい、いいですが」

 

 

カルラから食事に誘われた。

珍しくキアラは用事があるらしく、今は私の近くにいない。

一般人には少し高めのレストランの中に、カルラはいた。カルラは個室を予約していて、私達は個室で食事をした。

「それで、食事に誘った理由でもあるの?」

「行動一つ一つに理由がないと気が済まないのか?気まぐれだよ。

とはいえ、相談したいことはある」

「相談?」

「お前の計画している魔法少女狩りというもの、いったいどれだけの規模を考えている」

「規模?それは世界中よ。世界中の魔法少女を人間の管理下に置かないと何されるかわからないじゃない」

「テロリストだって根絶できない世の中だ。全ての魔法少女を管理するなど不可能に近い。

お前は永遠に魔法少女と人を戦わせたいのか」

「そうなるわね。

まあ魔法少女にさせない薬もあるし、自然と数は減るでしょ」

「仮に魔法少女に人類が負けることがあったら、お前はどうする?

「負けさせないし、魔法少女に主導権を握らせるくらいなら全てを終わらせるわ」

「なるほど。

では忠告しとこう。決して地球を死の灰と焦土で覆うようなことは考えるな」

「そんなこと、しないわ」

「・・・そうか。
では話題を変えよう。食事をするのだから、明るい話にしないとな」

序盤の話以外はディアや研究について、そして日常的な話をして食事は終わった。

ディアのクローン研究は興味深く、カルラの統一言語を実現させる技術も気になる。

今度視察にでもいってみようか。

 

 

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