早朝に叔父の家へ戻ったが、想像通り私達は叔父に強く叱られた。
朝にはキアラの両親も顔を出し、
でもキアラの両親はキアラへ甘かった。
キアラのやりたいようにすればいいと言い残し、
キアラは私の部屋の隣にある空き部屋に滞在することになったけど
「キアラの両親、少し考えが甘すぎない?まさか、
「いや、今はあれが普通だよ、違ったのは小学校の前半まで。
理由は河原で話したときの通りだよ」
「そうか」
私達はキアラの家へと移動し、キアラの部屋へと入った。
「今は父親の都合で米国で暮らすことになったけど、
部屋にあった竹刀に触れながらキアラはそう喋った。
キアラは持ち出す荷物を整理するとのことなので、
「自分の夢を息子に押し付けるんじゃないと、
妻の父親にもこっぴどく怒られた。
そして私は妻が大きなショックを受けておかしくなってしまっていたことにも気づけなかった。気づいた頃には、もう手遅れだった。
私は目覚めるよう毎日キアラの手を握りながら願った。
悪かった、私を1人にしないでくれと。
そうやって数ヶ月後、やっとキアラが目覚めたんだ。
あれからキアラのわがままは可能な限り聞いてやろうと決めた。すべては私の認識が悪かったせいで招いたことばかりだったからな。
イザベラさん、彼女のこと、よろしく頼むよ」
「お任せください。
この会話を隠れてキアラが聞いていたのは知らなかった。
でも、
性別による育てられ方の違いは当たり前にあることだ。
とはいえ、
きっと苦痛だろうな。私だって耐え切れないだろう。
人間社会の見直しには、
叔父様の屋敷へ着き、荷物を置いたキアラは私の部屋にいた。
「それで、今後あなたはどんな活動をしていきたいわけ?」
「まずは魔法少女について見極めたい。
これらの情報だけで判断するのは早計だ」
「見極めるったって、
「いや、世界中を回って魔法少女が遺した痕跡を探す」
「世界ときたか。世界中旅する資金なんて何処から調達する気だ」
私は静かに地面を指さした。
「はっきり言ってくれないか、私はイザベラほど頭が良くない」
キアラったら、謙遜しちゃって。
「叔父からもらうわ」
「
「まあ、勝算はある」
次の日、私は叔父へ資金援助と旅へ出る許可をお願いしたが、
しかし普通ならばとても難しい難題をクリアした場合に限り承諾し
「おじさんを、大統領にしたらか。なかなか冗談がきつい」
「いえ、
「
「まあ最終的には叔父様の頑張り次第でしょうね。
私達は目立たないところで叔父様のサポートを行うわ。
「なるほど、事実だとしたらあまりよろしくない事態だね」
私は叔父へこのような提案を行った。
叔父の元へ届いた資料、及び会議に必要な資料は私が対処する。
叔父は米国各地を自分の足で見て周り、
「そのやり方は、あいつと同じ」
「叔父様には、父親と同じ道を歩んでもらいます。
叔父は了承し、次の日から実行に移された。
届く資料は文字が多いだけで要点はそれほどでもないものばかり。
そんな中、
「金で物事をねじ伏せる政治家はいると思ったが、
「権力を手に入れるためにはなりふり構わないさ。
「しかし、雇われる魔法少女のふりをして潜入できるのか?」
「キアラは気付かれないように隠れていなさい。
「了解」
「でも悪いわね。まともな武器が拳銃しか支給できなくて。
キアラにぴったりな武器を用意してもらってるから少しの間辛抱してね」
「いや、ガードマンとして認めてもらえただけで十分だけど」
私はキアラと別れ、
路地裏にはマスクとフードを身につけた二人組がいた。
「アンタが雇ってほしいと言う魔法少女か」
「魔法少女を何処で知ったかは知らないけど、
「いいだろう」
フードの2人は誰かと無線で連絡しているような素振りを見せた後
「開いてすぐ表示される人物を人気のないところで始末しろ」
記載されていた人物は財務長官だった。
確か裏金関連の政策実現に向けて動いていて、
「いいわ。報酬はいつ?」
「始末を確認したらその端末へ場所を送る。
私は端末をそっと床に置き、素早く2人の首を絞めた。
2人は銃器を携帯していたが突然襲い掛かられ、
すると物陰から1人の少女が出てきて私にナイフを向けてきた。
だが、
もしかしてキアラ、武器なんていらないんじゃないのか。
「魔力を感じる。
酸素不足で動きが鈍くなっていた2人を気絶させ、
「あなたの雇い主は何処にいるの?」
「教えるわけないでしょ」
「雇われないと生きていけないって、
「仕事はやっていたさ。だが、
だから私達は普通に働けない。
あなたも魔法少女ならわかるでしょ!」
「魔女、休みの日に狩ればいいだけでしょ?」
「そんな都合よく見つかるわけないだろ。
グリーフシード、キュウべえが言っていたやつか。
「分かったらこいつに離すよう指示して!
私が魔法少女について詳しく聞こうとすると路地裏の奥から数人の
「ただ金目当てで釣れたやつかと思ったが、
「ボス…」
少女の反応を見るに、
「アンタ、政治家とつながってるようだけど何が目的?」
「それは俺も知りたいな。
「これは独断よ。
「それにしては知り過ぎている。
どうだ、少し話をしないか?」
「ボロノスさん、何を」
私に興味を持ってきた。力づくで情報を聞き出そうと思ったけど、
叔父には書き置きをしてあるし、1日くらいなら大丈夫よね。
「ありがとう、私もあなた達について気になっていたの。
キアラ、その子を解放して」
キアラは少女を解放して私の後ろまで戻った。
「じゃあついてこい」
私とキアラは男達が乗ってきた車に乗せられてとある酒場へと着い
お酒しかない店だったため、
「さて、アンタは米国のやり方をどう思う?」
「そうね、今も昔も米国は何処から生まれたか知らない強大な権力で世界を牽
「ほう、たとえば?」
男はタバコに火をつけて私の回答を待っていた。
こいつらは狂信者か?それともただのごろつきの集まりか。
「慢心しているからよ。
自分たちがいつまでもトップだと周りに思い込ませて、
このままだと衰退するだけだから、気に食わないのよ」
「そうか。
一度俺たちの仕事を手伝ってみろ。
「あら、聞くのはこの程度でいいの?なら私からいろいろ聞いてもいいかしら」
「ほう、聞かせてやってもいいが、俺がおまえを認めてやった後に聞いたほうがいいと思うぞ」
殺意の視線を感じる。今はこいつの仕事を手伝うと答える以外選択肢はないようだ。
「いいわ、手伝ってあげる」
「明日、俺たちが出会った場所と時間で打ち合おう。
さ、帰ってもらって構わない」
私とキアラはチップ程度の金を置いて店を去った。
男たちから監視されている気配がなくなった場所でキアラが私に話しかけてきた。
「正気か!
「あの様子、まだテロリストかどうかを判断しきれない」
「どういうことだ?
噂と見た目で判断なんてできないのはどれも一緒だ。
一緒の空間に留まってみて分かったが、
次の日、
「こんなところに奴らが潜伏していたなんて」
「意外だろう。
同行している男がその場を離れようとしたから私は話しかけた。
「あなた達は宗教を信じているの?」
男は少しキョトンとした顔をした後、
「やめてくれ、敵陣の真っただ中で笑い殺す気か。
神はほどほどに信じている。
「そう、それがわかればいい。
キアラ、行くよ」
私達は狂信者達へ圧倒的な力の差を見せつけてリーダーと思われる
そして狂信者たちが崇めていたキリストの像を破壊した。
狂信者を怒り狂わせたかったのか。
「なんだ、仕事が早いじゃないか」
テロリストのリーダーが声をかけてきた。
「お安い御用と言ったでしょ。
どうかしら、
「そう捉えたか。
俺たちは神へ縋ったりしない。
内情を教えてくれた。警戒心を示す方が失礼か。
「私はイザベラよ。あなたたちに協力するわ」
「俺はロバートだ。俺はお前が気に入った。
これからもよろしく頼むぜ、イザベラ。
そうだお前の知りたいと思っていることも可能な限り教えてやる」
「ありがたいわ」
彼らに魔法少女という存在をどこで知ったのか聞いた。話によると彼らの組織の起源はヨーロッパにあるらしく、ヨーロッパで活動しているときは聖遺物と呼ばれる不思議な力がこもったアイテムを集めて金にしていたらしい。
その時に偶然魔法少女と呼ばれる集団が聖遺物の争奪戦をしていると知り、それを機会に魔法少女を利用した活動を始めていったという。
あっさりと認められてしまったが、どうやら彼らは裏仕事に特化しているようだ。もし
今は監視状態でいいだろう、選挙戦も大詰めだ。
叔父は米国中を歩き回り、
今の税で苦しむ人々のラインはどの程度なのか、今流行りの物事は何なのか、国全体での幸福度はどれくらいなのか。
これらのことなんて、部屋に籠って資料を処理しているだけでは正しい判断ができない。
叔父は考え方を少し変えたようで、政策の内容は国民に見合うような内容となっていった。
選挙当日、叔父の支持率は他の政治家を大きく突き放していた。
そして叔父は、見事に大統領の座を射止めた。
「おめでとうございます、叔父様」
「イザベラ、君のおかげでここにくることができた。
以前の私ならここで満足してあとは惰性で続けていたかもしれない
ありがとう」
「それはよかった」
「そうだキアラ、イザベラから頼まれていた君専用の武器が完成しているから渡しておこう」
そう言ってキアラに渡されたのは刀だった。
「これって」
「ずっと竹刀で戦わせるわけにはいかないと言われてね、ボディーガードをしてもらうわけだし日本の刀職人に作ってもらった。
拳銃もそうだが、国の法律には気を付けて持ち歩くんだよ」
「あ、ありがとうございます!」
キアラは今までに見せたことがない笑顔をしていた。
竹刀の状態でも強かったのに、刀なんて手にしたらどんな強さを見せてくれるのか。
こうして私は魔法少女調査のための資金援助を受けることができるようになった。
そして私は今空港にいる。
叔父からの資金援助が約束された今、
それと一緒にロバートの手伝いもさせられることになったが、
「資金援助だけでいいのに、
「時間に縛られなくていいじゃない。旅は追われる中やるものじゃないでしょ」
「まあいいさ。最初はロシア地域だっけ?」
「そう、まずは何の変哲もない街
チェルノブイリから行きましょうか」
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