【マギレコ二次創作】魔叙事詩カグラ・マギカ 2-1-2 さあ、これがあなたたちがフィクションだと嘲笑ったものですよ

神浜にて魔法少女が魔女のような姿になって街の人間を全て殺戮するという事件が起きた。

この出来事は日本からSNSにて世界に発信された。

世界では何が起きたのか分からずに面白がる人間しか出なかったが、これを機会に動き出そうとしている組織がいた。

神浜での異変が起きるまでに魔法少女について様々な報告を国連へ密かに行っていた組織の名前はサピエンス。

サピエンスは魔法少女を人間が管理し、その力を人間の未来に役立てるという名目のもとで動いている組織である。

そんなサピエンスの中心人物であるイザベラは国連の秘密部屋で国のトップたちを集めてある提案を行っていた。

「レディ、君たちには今までに起きた不可解な事件のレポートをもらっているが、こんな非科学的な事に付き合わせる我々の身にもなってくれないか

「あら?日本の神浜市という場所で起きた異変について世界中で騒がれているにもかかわらず、ロシアのお偉い様はあれもフィクションだと思っているのですか」

魔法などというアニメや漫画でしか存在しないものを現実に持ち出されてもねぇ。神浜という場所で起きた事件は、里見という人物が密かに行っていた実験が原因だとも噂されている。
神浜にあった実験室が原因で起きたバイオハザードが原因だと言った方が民衆は納得いく」

「では、我々の兵士たちが命懸けで持ち帰った現場の映像を見ても、神浜にて起きた異変がフィクションだと言えるでしょうか」

イザベラはモニターの電源を入れて用意していた映像を再生した。

その内容は、異変が起きている最中に生存者を保護するために立ち入った兵士が残した映像だった。

映像は激しく揺れながらも、人のような人物から出ている大きな化け物が人々を喰らっている様子が映っていた。

中にはアニメのような魔法によって燃やされる兵士もいて、撃った銃弾は化け物を傷つけてもあまり効果がない様子が目にとれた。

しかし。

「よくできたCG映像ですが、これのどこがノンフィクションだと?」

イザベラはため息をついた後、集まっている5ケ国の代表者たちの顔色を伺いました。

米国大統領以外、イザベラの目を見るものはいませんでした。

「そうですか。

まあ、聞くより見る方が早いとも言いますし、実際に体験してもらいましょうか」

そうイザベラが言うと、イザベラはポケットから穢れが満ちそうなグリーフシードを取り出します。

「なんだねそれは」

「これはグリーフシードという、先ほど映像で見てもらった化け物が生まれる卵です」

「そんなものがあるはずが」

イザベラはロシア代表の声を聞くことなくグリーフシードを卓に力強く突き刺した。

その途端に、周囲には魔女空間が広がっていき、5カ国の代表者もそこに巻き込まれます。

「何が起きているの?」

「それに、何か動くものがいないか?」

それは勿論、魔女の使い魔です。

「イザベラ!危険な場所に連れてくるとはどういう気だ!」

「安心してくださいジェームズさん、彼らが認識してくれればすぐ対処しますよ」

「何かあってからじゃ遅いんだよ!」

「まあまあ、誰も死なせる気はありませんよ。四股が十分に残っているかは別ですが」

そう言ってイザベラは困惑している4カ国の代表者たちに話しかけます。

「さあ、これがあなたたちがフィクションだと嘲笑ったものですよ。フィクションだとしたら、なんの害もないはずですよね?」

「何を企んでいるんだレディ!早く私たちを解放しろ!これ以上の愚弄は国際会議に」

そう言いかけた中華民国の代表者の目の前には小さなタコのような生物が現れます。
その生物は可愛い目を中華民国の代表者へ向けて口を大きく開き、中華民国の代表者の親指を食べてしまったのです。

周囲には叫び声が響きわたります。

「おかしいですね?フィクションなら怪我をするはずがないのに。

これがフィクションではなく、ノンフィクションだとお気づきになりましたか?

もし理解してくれたのであれば、私に泣いて懇願してください。助けてあげますから」

「なんて奴だ」

「どうやら私たちの認識が甘かったようですね」

「ふざけた真似を!私は認めないぞ、こんなこと!」

「キアラ、彼らに銃を渡してあげて」

私はバッグに入っていた4つの拳銃を4カ国の代表者へ地面を滑らすように渡した。

「状況を理解して私側につくという方は銃を取らずに私の方へ、私をこの行いを機に死刑にしたいと思っている方はその拳銃を握って自力で脱出してください」

フランス、英国、米国の代表者はイザベラの方へ向かい、中華民国とロシアの代表者は拳銃を手に取ります。

「ふん、お前たちの力がなくたって」

2人の代表者は使い魔へ向かって発砲しながら出口を探し始めます。
しかし銃弾では使い魔を怯ませることしかできていませんでした。

我々が普段使用している薬莢に火薬を含んだだけの弾丸では化物へ有効打を与えることができません」

イザベラの方へ向かってきた使い魔たちへ私はバッグの中にあるm16a1を出して使い魔たちに弾丸を放ちます。

その銃弾を受けた使い魔達は生き絶えて消えていきました。

「でも、我々サピエンスは化け物に対する特攻兵器の開発に成功しています

私はイザベラへ銃とカートリッジを渡し、リュックを背負った後に対魔女用の剣を抜刀します。

「さて、わからずや達を助けてさっさと脱出しましょう」

3カ国の代表者はイザベラへついていくしかありませんでした。

自分で抵抗しようとしていた2カ国の代表者は弾薬が切れて、使い魔から逃げるという手段しか取れていませんでした。所々かじられて血が出てもいます。

使い魔達は群がって2人の代表者を捕食しようとしていたところ、イザベラの銃弾が使い魔達を貫きます。

「な、なぜ奴らに攻撃が効いている?!」

「サピエンスが開発した対化物兵器ですよ」

私は近づいてくる使い魔を剣で斬りつけながら代表者達を守っていました。
イザベラは、最初は付いてこなかった代表者二人に手を伸ばします。

「さあ立ってください。さっさとここから出ますよ」

座り込んでいた2人の代表者は渋々イザベラの手を取って立ち上がります。

イザベラ達はセンサーを元に魔女へと続く扉を探していき、2階層ほど進んだ先で雰囲気が変わりました。

そこにいたのはマンタのような姿をした魔女でした。

「レディ、あれを倒せばここから出ることができるのですか?」

「そうですよ。まあ私たちに任せておいてください。
キアラ、彼らの護衛はよろしく」

「了解」

イザベラは魔女の方へ走っていき、魔女の周りを走りながら閃光弾を撃つための銃へ特殊な弾丸を込めて魔女へ向かって放っていきました。

特殊な弾丸は魔女へ当たる前に爆発して、周囲には赤紫色の粉が撒き散らされます。

イザベラは手に持った銃で使い魔を追い払いながら合計4発の特殊な弾を放っていました。

4発撃ち終わった頃には魔女の動きが鈍くなって、使い魔ともに地面へ降りた状態となっていました。

「化物の動きが鈍くなっている?」

「あれはアンチマギアという成分を周囲へ振り撒いた結果です。サピエンスが発見した対化物兵器の一つで、化物の動きを鈍らせることができます」

そう話しながら私は剣で元気な使い魔達の相手をしていました。

「では、その剣も?」

「ええ。アンチマギアが練り込まれた金属で鍛えられた剣です。イザベラがあれを倒すまで、私が必ずあなた達をお守りします」

イザベラの方はというと、魔女へ銃弾を浴びせながら致命傷となる場所を探していました。

粉を浴びた使い魔はついに動かなくなったものの、魔女はマンタの目となる場所から伸びた触手へエネルギーを溜めてイザベラへビームを放ちます。

イザベラは素早くかわし、魔女の背後まで円を描くように走り抜けました。

イザベラがビームを放った触手へ銃弾を当てると魔女は苦しみ出します。

「なるほどね」

イザベラはカートリッジを入れ替えて魔女の腹部分で無数に垂れている触手へ銃弾を浴びせました。

「your only place is hell!(お前の居場所は地獄だけだ)」

触手が破裂するほど魔女は苦しんでいき、全ての触手が破裂した頃には魔女が粒子となって消えていき、魔女空間は空間を歪ませながら消えていきました。

私たちが戻ってきたのは、机が真っ二つに割れた状態の今までいた会議室でした。

「キアラ、応急処置を」

私がバッグを下ろして2人の代表者へ応急処置を行う時間は、各代表者達の思考を整理する時間でもありました。

応急処置が終わった頃にイザベラが話し出します。

「今みなさんに体験してもらったのは、私が資料で報告していた化物がノンフィクションだという事実、そして対抗手段はサピエンスしか持っていないというもう一つの事実です。

ここまで見聞きしたことを踏まえて、まだ我々が虚言や戯言を言っていると思う方はいますか?」

5人の代表者は皆揃って首を横に振りました。

「ではやっと本題です」

イザベラはバッグ内に潜めていた小さなアタッシュケースを開くと、そこには小さな試験管に赤紫色の液体が入ったもの4本と分厚い4冊の書類が入っていました。

「ここには化物へ有効打を与える成分「アンチマギア」のサンプルとアンチマギアについての説明、加工方法を記した資料があります。

これらを無償で提供します」

「でもそれは、あくまでサンプル。量産のためにはそのサンプルを、もしくはその原料を手に入れる必要があるかと思いますが」

「そこで取引です。実は量産のための培養槽を既に用意していて、培養方法はお渡しする資料へ記載してあります。

培養槽とある程度の素材をお渡しするのは、我々が兼ねてから計画している「魔法少女狩り」の全国実施許可と民衆への魔法少女予防薬の摂取義務化の議決を可決させることが条件です」

「それで常任理事国である我々を呼んだわけか。それで、そのアンチマギアとやらはビジネスになる話なのか?」

「それは勿論。魔法少女狩りの実施が可能となったら、我々はアンチマギアが含まれた武器を常任理事国ではない各国へ一式をおよそ50万ドルで提供しようと思っています」

「少々良心的ではありますな」

「各国に渡ってほしいという考えも少しはありますから。

その基準価値を参考に、各国は素材量、培養槽増産や研究費といったものを見積もって経済を動かしてもらえればと。

それに、少し大ごとになれば武器生産も回りますから」

「それもそうだな」

「魔法少女は先程の化物と違って知恵があります。
早めに議決に向けた動きをとっていただければ、魔法少女狩りに向けた準備期間もふんだんにとれるでしょう」

「して、君たちの行いたい魔法少女狩りと予防薬摂取にはなんの狙いが?」

「魔法少女は将来、あの化物となります。

今のうちに化物となる前の魔法少女を全員確保し、化物となった際の被害を最小限にするため。

そして、そんな魔法少女になる前に、魔法少女にさせない対策を行うことでこれ以上の化物の発生を防ぐという狙いがあります

それに、人類史をなかったことにされる可能性も減らせます」

「では、そのアンチマギアという物質のビジネス効果は一時的だな」

「案外長引いてしまうかもしれないですよ。

世界からテロリストを完全殲滅できないくらいくらいにね」

この後、中華民国とロシアの代表者が傷を負って会議室から出てきたことが国連内で少し騒動になったが、2カ国の代表者が騒ぎ立てないでほしいと説明したことで表沙汰になることはなかった。

こうして魔法少女狩り、魔法少女予防薬摂取の義務化という話は裏で各国へ糸が引かれていき、2ヶ月後に行われる米国大統領の演説が行われるとともに議会に提案、そのまま議決までのシナリオが決定した。

この2ヶ月の間に4カ国へアンチマギアの培養槽が提供され、専用の兵器ラインの開拓と戦車や戦艦といった大型兵器の転用実験が裏で行われるようになった。

これが世界が変わる引き金となる、魔法少女狩りがおこなわれるまでに起きていた裏の出来事である。

 

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