黄昏時が過ぎた頃、日継カレン、紗良シオリ、保別ピリカの3人を
拠点にしてると思われる廃墟には鏡の魔女の結界が広がり、ほとんどの魔法少女が神浜に散り散りとなり、皆が私たちの行方を見失った。
それから間も無く中央区では強力な電撃が走り、
騒ぎ出した人間達の中には神浜市から出ようとするものがいたが、
無理矢理越えようとしてもコンクリートの壁のように通り抜けるこ
人間、魔法少女問わず慌てふためいている頃、
儀式の魔法陣に操られている環いろは、鹿目まどか、
その遺骸へ私は神浜を回って集めた因果の束を遺骸へ繋げた。
「これでワルプルガへ因果が収束した。
次はピリカの番だ」
「うん。
いくよ、イペタム。私たちに希望を!」
そう言ってピリカが魔法少女になったことから手にしている聖遺物
それと同時に縁の線を辿って今までに出会った魔法少女達から希望
イペタムは対象から希望の力を吸い取ってピリカのソウルジェムを
でも欠点もある。
イペタムは妖刀と呼ばれるだけあり、
今回は希望をワルプルガへ流れるようにしているため、
しかしピリカのドッペルはイペタムが本体であるため見た目は服が
蘇生、慈悲、再現、
少女の姿となったワルプルガは頭を地面の方向に向けて結界の中で
「やった!成功だ!」
「後はこの世の知識を与えればすべて完了する。
シオリ、余計な情報は流すんじゃないぞ」
「心配しないで、快く契約してくれるよう知識を与えるから」
いくら蘇ったといえ、記憶が残っている保証はない。
知識のない赤子として復活されても困るのでシオリの電気の力を使
しかし受肉させた時点で9割は目的を達成している。
その結果が今眼下に広がる光景だ。
ワルプルガのために希望を奪われ続ける魔法少女達は苦しそうにドッペルを出
我を忘れて人を襲ったり、貪ったり、
ヒトの身で抗うことなど叶わず、道端であろうと、避難所であろうとかまわずヒトは次々と肉塊へと変わっていった。
まさに逸話にあるワルプルギスの夜そのものだ。
中にはヒトを愛する魔法少女もいただろう。しかしその愛する者も、呪いに飲まれた魔法少女は躊躇なく貪る。
上げる雄たけびは快楽による副産物なのか、それとも後悔の悲鳴なのか誰にも聞き分けることはできない。
普通ならば魔女となるはずだがこの街の特殊な条件のおかげで魔法
犠牲になるのは、ヒトだけだ。
暴れる魔法少女達に電波塔が壊されないよう、
これでワルプルガが完全体になるまで邪魔が入ることはないだろう
ワルプルガの肉体が復活すると魔法陣は消え、反動を受けた3人は
呪いを受けた3人はいずれ眼下の魔法少女達と同じようにドッペル
しかしシオリはそれだは飽き足らないようだ。
「その3人は過剰な穢れを持つのが十分だろう」
そう言ってシオリは穢れを凝縮させたグリーフシードのようなアイ
環いろは、鹿目まどかには深く突き刺さったものの、
驚いた、
「夏目かこ、なぜ動ける」
「本当にあなた達は神浜の魔法少女を知らなさすぎる。
「こいつ、縁を切ったのか。切られた感覚はなかったぞ」
[偽装の力を使ったから当たり前ヨ]
なぜ、死んだ者の声が聞こえる?
[僕たちが一番厄介な存在だと思ったみたいだけど、
あの時確かに屠ったはず。
[さあ、聞かせてもらいましょうか。あなた達の真意を]
「常盤ななかたち、なぜそこに立っている。
[ええ、私たち3人は確かに死にました。
あくまで私たちは一時の記録の再現に過ぎません。
よく見ると夏目かこの頭にある飾りのうち三つの栞が光を放ってい
「そうか、再現の力ってのは便利なものだな」
「邪魔をする気はないです。教えてください、
「それは僕も興味があるね、日継カレン」
足元を見ると久々に見たキュゥべぇの姿があった。
「久しいねキュゥべぇ。これが前に言ったあんたに帰ってくる見返りだよ」
「かつてワルプルガは魔法少女になったが、
もし契約してくれたら、
お手柄だよ、日継カレン」
「キュゥべぇさんと手を組んでいたのですね」
「契約してくれないと自動浄化システムを広げられないからね。
でもそれで終わりじゃない。
見ればわかるだろう、
自動浄化システムが世界に広がれば魔女とならずに人間社会を」
「倫理観を」
「価値観を」
「
そこには歯車のように奴隷となる決まりも生きるために働かなきゃ
魔法少女のための新たな社会システムを構築して皆が曇りなく生きる
「そうですか、
「いずれ魔法少女とヒトは敵対する。
躊躇していたら魔法少女が奴隷にされてしまうぞ。
[敵わないわけですね]
予想外ではあったが結果的に邪魔が入らないのに代わりはなかった
もうすぐ、終わりが始まる。
「なるほどね、
「ま、今はそう思ってくれていいよ」
「…!来る!」
いきなりピリカが反応して何事かと思うと太い蔓が地面から伸びて
「十咎ももこ、大きく想像を超えてきたな。
そこまでして私たちの前へ何故立ちはだかろうとする」
生えていた蔓はすぐに燃えて跡形もなく消えてしまった。
「もうあんた達のやり方が正しかろうがどうだっていい。
あたしらの日常を壊したこと、
「へぇ、悔い改めさせるって、どうやるのさ」
「そりゃもちろん、ぶっ殺すに決まってるだろ!」
十咎ももこが私に斬り掛かってくると、
「相手なら私がします。シオリとカレンには触れさせませんよ」
「舐めんじゃないわよ!」
3対1で戦いが始まった。
ただ倒すだけならここから突き落とせばいいだけだろう。
だが私たちの目的は魔法少女を殺すことではない。
少々好戦的になっているピリカが不安ではあるが、あの3人相手で
「夏目かこ、あなたは加勢しなくていいのかい?」
「あれはももこさん達の問題です。
しかし、別の用ならあります」
そう言うと夏目かこはドッペルを身にまとい、
私は弾き飛ばすことができたが、
「夏目かこ、何をした!」
「過去を教えてもらえないのであれば見るまでです」
夏目かこはピリカとシオリの魔力が篭った栞を掌に乗せ、