私は今確かにここにいる。
守ろうと決めた彼女がこの世界にいる。
そして今、
来ることを願っていた日々の内容とは少し違うけれど、
誰も死なずに、そして、
しかし、肝心なのはここからだとわかっています。
未だにこの見滝原ではソウルジェムが濁りきれば他の世界同様魔女
一つの油断が、
こんな心配をしなくて済むよう、
だからと言って私にも方法はわからない。
今は、そんな計画を邪魔する人が現れないよう見守るしかない。
今回はその決意として、入院していた病院の前にいるんだけど、
グリーフシードも多く持っている様子だったし、
なんか決意のために来たはずが、
せっかくここまできたので、
「あれ、ここだったような」
ふと隣を見ると女の子が立っていました。
「あの、ここにあったお菓子屋さんを探しにきたのですか」
「あ、暁美ほむら!っと、
私のことを知っていて、今黒羽って言ったのかな。
「もしかして、マギウスの翼にいたんですか」
「そ、そうですけどもう関係ありません!
例のローブも着ていないし、残党が隙をついて、
「話を戻すんですけど、
「はい、じつは私もあの病院に入院していた時期があって」
「え!」
まさか同じ病院で入院していた子と出会うことになるとは思っても
「入院中に、
できれば、ここのお店の行方を知りたい。
張り紙がないから、お店を閉めてしまった可能性もあるけれど、
「あの、ここのお店について少し聞いて回ってみませんか。
「い、いいんですか!私なんかと一緒で!」
「わ、私こそ一緒に来てくれるなら嬉しいです!」
「ええっと、ではお願いします!あ!
部屋友?
聴きなれない言葉だけど、同居している友達ってことかな。
「はい、よろしくお願いします。黒さん」
こうして黒さんとお菓子屋さんを探すことになったのですが、
聞き込みの結果、
なかなか声をかけることが出来ない私たちでも聞き込みをできたの
私だけだったらお菓子屋さんが移転しているだなんて情報を手に入
街中への移動はバスを利用したのですが、
「私に部屋友ができたのは、マギウスの翼があったからなんです。
きっとマギウスの翼がなかったら、
「マギウスの翼があったから、ですか」
「私は弱くて、
でも、マギウスの翼で白羽根の人に声をかけてもらって、
「そうなんですね。私も特別な人に出会えたから、
「えっと、特別な人って彼氏さんですか」
「ちが、いま、す!」
鹿目さんがいなければ私も孤立したまま、
そう、私にとって鹿目さんは特別な人なんです。
バスを降りて看護婦さんから聞いた場所にくると見慣れた人が声を
「あら暁美さん、こんなところでどうしたの」
「えと、黒さんと一緒にお菓子屋さんを探していたんです」
「黒さんって、お隣にいる子かしら」
(うん、うん!)
黒さんがそう言っているかのように二回うなづいた気がしました。
「そうだったの。それで、
「アラカル亭っていう名前です」
「あら、そこならついさっきなぎさちゃんと一緒に入ったお店ね」
「え!」
巴さんに連れられてアラカル亭の前まで来ました。
「ちょうどいいし、
(うん!うん!)
また頷くだけでした。
「だったらさっさと買ってくるのです!
「もう、
「チーズに合わせるのです!」
「じゃあ、ここで待っているわね」
私と黒さんはアラカル亭で買い物をしながら頷くだけだった理由を
「巴さんって、あの聖女様だよね」
「やっぱり、それで頷くだけだったんですか」
「私は話を聞いていただけで、したっぱだったし、
それに全て終わった頃は東区の車両基地で気絶していましたし」
「じゃあ、今の巴さんが普通だっていうのは」
「もちろん知っていますよ。部屋友に聞いたので」
よかった、事情は知っているみたい。
でもここであの時の話題を再び掘り返すことになるかもしれない。
そう不安になりながら私と鹿目さんの分のお菓子を買い終え、
天井でシーリングファンが回っている。
もうそれだけでおしゃれな感じがするのに、
絶対1人じゃ入れないお店だ!
4人みんな頼んだものが出そろうと巴さんから話を始めました。
「暁美さん、
「本当は気持ちを改めるために病院へ行ったのですが、
「えっと、黒です。神浜から来ました」
「神浜、もしかして神浜の魔法少女かしら」
「今はそうです。前まで黒羽根やってたんです」
「え、そうなのね。じゃあ私は当然知っているわけね」
思った通り、巴さんの声は暗くなってしまいました。
立ち直ったとはいえ、掘り返しちゃったのは不味かったかも。
「でも、巴さんが今の状態が普通なんだなってわかってますし、
黒さんは話し上手じゃないにもかかわらず、
「私、
巴さんはずっと驚いた顔をしていました。少なくとも、
「だから、はあ、気にしなくていいですよ。
はあ、はあ」
酸素不足になる程話しきった黒さんの後に巴さんが話し始めます。
「気を使ってくれてありがとう。でも、
「なら、よかったです」
大丈夫だった。私の目の前には私がよく知る強い巴さんでした。
「なぎさはよくわからないですが、
ふとカウンターを見てみるとちょっと困り顔で見つめている店員さ
「し、失礼しました」
「さ、紅茶が冷めちゃう前に、明るい話題をお話ししましょ」
「ですね」
場の空気が元に戻ったところで、
「黒さん、ザクロのお茶って珍しいと思うんですけど」
「あ、私も気になってたの。
「いえ、じつは私も知らなくて。
「ザクロに思い入れでもあるの?」
「ザクロじゃなくて、ザクロが出てくる物語が好きなんです。
「そうなのね。
「そ、そんな感じです」
思い入れから選ぶこともある。
そもそも今回のお菓子屋さん探しも、
選択に迫られた時、
今後もきっと出てくる選択肢。
ここまできているんだから、最悪の選択をしないようにしたい。
もう時間を戻ることなんて、やりたくないから。
みんなが飲み物を飲み終わる頃、
「暁美さんが買ったお菓子、鹿目さんの分も含めてでしょ」
「え!なんでわかったんですか」
「そりゃあわかるわよ。暁美さん、
やっぱり巴さんには敵わないなぁ。
「でも、たまには自分の身の安全も考えなきゃダメよ。
「はい、気をつけます」
「マミこそ自分のことを考えなきゃいけない立場なのです」
「そ、そうね」
たじたじになる巴さん。
これも、
そう考えていると、黒さんが血相を変えて席に戻ってきました。
「暁美さん、巴さん。友達を助けるために、