二木市という場所は神浜から遠い場所にある町で、
それなりの大所帯で動いているらしく、
なんて考えるならば、
そのルートとなる場所へ到達した頃、
「魔力を調整できる調整屋、か」
「せや、
「その調整っていうのをやるとどうなるの?」
「普段は使えていない魔力を効率よく使えるようになるんや。
「その対価ってものも、勿論あるんだろ?」
「勿論や。報酬として、グリーフシードを要求させてもらうわ。
「なら、試しにシオリのソウルジェムを調整してよ。
「ええよ、んじゃ、建物の中に入りいや」
調整屋という魔法少女に建物の中とは言われても、
「あの、この建物って家主がいるんじゃ」
「心配せんでええよ、
ここら一帯を暴れ回った魔女がいるらしく、
「だとすると、警察が動かないのは結構な怠慢ね」
「さ、そこのソファーに寝転がって。勿論、上半身裸になってな」
「裸に!?」
周りが少し静かになった。
「ピリカ、ジョークだよ」
「んんん」
「あらあら、茹で蛸みたいになってかわええな。でも、
「いいからはじめて頂戴」
「そしたら、落ち着いて深呼吸や」
そう言いながら調整屋はゆっくりとシオリのソウルジェムを触った
触った瞬間、シオリのソウルジェムから紫色の閃光が走り、
「なんや、頭に流れ込むこの情報量は」
「
「シオリ!落ち着いて」
「す、すまんかったな記憶を見てしまうってとこを説明し忘れて」
「そうだな、
でも、それ以上に、
カレンは糸で調整屋を外へ叩き出し、足を思いっきり貫いた。
「ちょっと2人ともなにやってるの!
「いや、こいつの能力は神浜へ大きな禍をもたらす種だ。
「なに、するんや」
「選ばせてやる。ソウルジェムだけ残されるのと、
「どちらもゴメンや。
「そうか、ならば第三の選択肢にするしかないな」
苦しそうな調整屋のソウルジェムを探し、
「お前がやっている調整とやらを試させてもらうよ」
調整屋のソウルジェムに触れるとソウルジェムの内部は火花が散る
「
溶け込むというのは願いによって得られる性質によるものだと予想
映し出されたものはなにがどうなっているか全く分からなかったが
「これは何人か使って試すしかないね」
「シオリ!」
ピリカの大声で我に帰ったシオリは調整屋のソウルジェムから指を
「シオリ、そこまでだ」
調整屋は糸が切れた人形のように横たわっていたが、
ピリカの方を見ると、
そして魔力を治めるとその場に座り込んで泣き出してしまった。
「ピリカ、よく我慢したな」
「なにがあったの」
「話は後だ。わたしはピリカを空家で休めてくる。シオリはその死体の処理をお願い」
なにがあったのか分からないままシオリは死体へ雷をいくつも当て
「それにしても人気がなさすぎるね」
ゴーストタウンとなった住宅街から少し離れて大通りへ出てみると
妙だな。
ゴーストタウンへ戻るとカレンが空き家の前に立っていた。
「ピリカになにがあったのさ」
「シオリ、用量ってのは少しわきまえて行った方がいい。
「あれぐらいのこと今までもやってきたでしょ。
「違うんだ、そうじゃない。
少しピリカの過去を思い起こしてみるが、
「調整を受けていた調整屋は絶頂を繰り返すかのように仰け反り、
ピリカは過去に凌辱され、
「そう、そんな感じだったの」
「ソウルジェムが穢れるスピードも急激に早まった。
「悪かったよ。ピリカが起きたら謝っとく」
「そうしてくれると助かるよ」
しばらくの沈黙が訪れて、なんの音も聞こえやしなかった。
「それにしても、調整とやらを一瞬で物にするのは流石だね」
「当たり前でしょ、
「記憶を探ることができれば、
「でもやっぱいいや。こんな気色悪い技、使う気にもなれないよ」
「そうか、それは残念だ」
この夜の間にシオリとピリカは神浜にある魔女化しないシステムの
得体のしれない力を行使するためには観測、解析、
もし観測対象が概念だった場合、ほぼ不可能に近い。
しかし、概念のあり方を変える方法を私たちは知っている。
「カレンはピリカに対して甘々だよね。
「ピリカは強いんだよ。
「まあ、ピリカの考えは尊重するよ。
カレンとの話し声しか聞こえなかったゴーストタウンへ手を叩くよ
「ピリカを起こしてきて。ゴーストタウンの主が現れそうだ」
ピリカが起きてきてシオリたちは魔女の襲来に備えていた。
「魔女が近くにいるって。でも、
「
「魔女がいるっていつから」
「ちょっと外側を見てまわったらさ、
魔女へ一般人が争うことができないのは世の常。
「魔女達に動きがあったのはあれが原因だろうね」
燃やした死体へ台座に乗っかった球体が針を通して死体の体液を吸
「あれって」
「さあ、親玉の場所まで連れて行ってもらおうじゃないか」
しばらく使い魔の様子を見つめていると死体を持って何処かへ向か
後を追っているとゴーストタウンの中心地で魔女の結界の入り口を
「巣に持ち帰ってじっくり味わうのはアリとそっくりね」
「大抵の使い魔に当てはまるからわかりやすいさ」
結界に入ると珍しく階層が存在せず、
最深部の光景を目にし、ピリカはひどく怯えていた。
宙からは布のようなモノで縛り上げられた数十体の人だったものへ
使い魔の中にはミイラの頭をもぎ取って石を蹴るように遊んでいるものもいた。
「まさかこれ、全員この住宅街にいた人たち」
「案の定警官っぽいのもいくつか見受けられるね」
「いい趣味してるよ、ここの魔女は」
いくつもの魔女空間の中でもドン引きするくらいの光景を見ている
「ピリカ、動けるか」
「大丈夫、わたしだっていつまでも足手まといは嫌だもの」
使い魔達はシオリ達を取り囲むと台座の部品を打ち出しては対面の
もちろんこんな攻撃をまともに回避し続けると体力を浪費するだけ
「賢しい騒がしさだね」
シオリは背中から伸びる二本のリボンを地面に打ちつけ、
同時に使い魔達は衝撃波で倒されたようだ。
「さ、親玉の場所まで一直線だ」
階層がなく、
道中、何度か使い魔が襲いかかってきたが、
暗闇が濃くなってきた頃、
雷の結界を周囲に張って肌に触れさせないようにはしているものの
「シオリ!」
「シオリのことはいいから魔女をやっつけて」
帯を伸ばしたまま現れたのは白子をボール状にまとめたような姿に
体を形成する白子のようなものはボロボロと体からこぼれ落ちては
また、
「姿が見えりゃ、倒したも同然」
カレンが左右から糸をクロスさせて魔女を切り刻もうと試みたもの
「硬すぎだろこいつ」
魔女は他の帯を使ってカレン達も絞め殺そうとしてきた。
そんな中ピリカは炎の剣を使用してシオリを縛ろうとしている帯を
「大丈夫、シオリ」
「問題ないに決まってるでしょ。特大のをお見舞いするから2人で
カレンとピリカが魔女の気を引いている間、
雷の小さな結界を掌サイズの大きさで生成し、
カレンとピリカが気を引いてくれたおかげで雷の結界は破裂寸前の
「2人とも十分だ。特大のをおみまいしてあげる」
2人がシオリの後ろまで下がると、
そうしたらどうだろう、
元々分厚い体をしていた魔女だったが、
魔女は大きな口をこれでもかというくらい大きく開けてそのまま崩
魔女の結界が消えてわかったことだが、
「いつものバカリョクで助かったよ。ありがとね」
「ほんと、
少し前にトラウマをえぐられたというのに、
思わずシオリは顔を曇らせてしまった。
「あ、ごめん。なんか気に触ること言っちゃった?」
「いや、シオリこそ悪かったよ。
ピリカはきょとんとした顔を見せた後すぐに笑顔を見せた。
「ありがと。克服できてないわたしも悪いんだけどね」
「あら、
「ちょっと!本当に反省してるの?!」
カレンはシオリとピリカのやりとりをただただ笑顔で見つめていた
そんな中、カレンが顔色を変えて遠くを見た。
その反応の正体はシオリとピリカにも察知することができた。
「数十人の集団の魔法少女反応だ。
風ひとつ吹かなかったゴーストタウンでは少し冷た目の風が舞い込
「ここは離れようゴーストタウンの時間が動き出す。
「もう、使う人がいなくなっちゃったんだよね。お借りします」
数分するとゴーストタウンとなっていた住宅地に警察が集まってい
布団やら使えそうな物は廃墟へと隠し、