時間遡行者 暁美ほむら
ひとりの少女 鹿目まどかのために何度も時間遡行を繰り返してきた彼女の行いによっていくつもの並行世界を観測することができた。
しかし、そのほとんどは円環の理に導かれて「ないはずのレコード」となってしまっている。
そう、ある一つのレコードを除いて・・・
マギアレコードに実装された眼鏡をはずし、髪を下ろして覚悟を決めた暁美ほむらは、大きな賛否両論を生みました。
その一つの要因と考えられる、覚悟を決めた暁美ほむらのマギアレコードメインストーリーへの不参加と、限定ガチャになる理由。
このページではマギアレコードにおける覚悟を決めた暁美ほむらの位置づけと各並行世界のあらすじを振り返り、今回起きた賛否両論の内容をまとめ、考察を行って結論を私なりに出していきます。
※あくまで一個人の見解です。
・マギアレコードの暁美ほむらと覚悟を決めた暁美ほむら
マギアレコードでいう暁美ほむらとは、眼鏡をかけ、髪を結っている頃の暁美ほむら(眼鏡ver.)を主軸に置いています。まどマギ本編では、こちらの場合がレアであり、眼鏡をはずして覚悟を決めた暁美ほむらがもう一人の主人公として時間遡行を繰り返します。
しかし、マギアレコードの暁美ほむら(眼鏡ver.)は暁美ほむらとはまったく違った考え方をしています。
それでは、どこでこの二人の違いが生まれてしまったのかを見ていきます。
この二人のほむら、スタート地点と魔法少女の真実を知っていることまでは共通しています。つまり、どちらにしろ2回は時間遡行を行っているということです。
変化が生じたのは3周目の世界で見滝原の魔法少女たちに魔法少女の真実を伝えるか、伝えないかの違いです。
マギアレコードのストーリーに登場する暁美ほむら(眼鏡ver.)は、真実を伝えるのに躊躇してしまいました。しかし、暁美ほむらは躊躇なく真実を伝えてしまったがために、鹿目まどかを魔法少女にさせないと覚悟を決めてしまったのです。
明らかな分岐点は「暁美ほむらが魔法少女の真実を伝えたかどうか」という部分です。
さて、この暁美ほむら(眼鏡ver.)と暁美ほむらの圧倒的な違いが実は変身シーンに隠されています。それは、一瞬だけ登場する魔女文字の違いです。
上の画像が暁美ほむら(眼鏡ver.)、下の画像が暁美ほむらの変身ムービーに登場する魔女文字です。
暁美ほむら(眼鏡ver.) のほうに描かれている魔女文字は
PUELLA MAGI
MADOK☆MAGICA
一方、暁美ほむらのほうに描かれている魔女文字は
PUELLA MAGI
MADOKA☆MAGICA
以前から話題になっていたマギアレコードに登場するまどマギ原作出身の魔法少女たちは、なぜか「A」が欠けているのです。
このAが欠けている原因は何なのか、これがアルティメットまどかの変身ムービーの際に明かされました。
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鹿目まどかが契約し、アルティメットまどかへと変わるその瞬間、あるはずの「A」が砕かれてしまっています。これは世界から鹿目まどかという存在が不確か、認識されなくなってしまった「改変後」を意味します。つまり、この表記がされている魔法少女は円環の理が誕生した後の世界の存在であることを表しています。
「A」が欠けていない暁美ほむらは円環の理が誕生する前の存在であり、神浜市に導かれたまどマギ原作出身の魔法少女たちとは別次元の存在であることがここでも示されていたのです。
よって、暁美ほむら(眼鏡ver.)と暁美ほむらは別次元の存在として扱われていることがわかります。
少し横道にそれます。
「始まりと永遠と ~Tha Lost Record~」は円環の理の法則にのっとって世界が改変される際に「ないことになる世界」を振り返るイベントでした。
この時に「ないことになる世界」がなぜ残っているのかという話題になり、その理由は、アルティメットまどかの心の中に「見えないレコード」として残っているからです。
この横道の話を参考にし、マギアレコードに登場する原作出身の魔法少女たちが改変後の世界の魔法少女扱いになっている理由は、 「ないことになる世界」が何者かによって因果を乱され、円環の理があるにもかかわらず魔女がいないレコードと一緒に女神さえも手を出せない魔女がいるレコードとなってしまっているからです。
暁美ほむらが一切マギアレコードの物語に干渉していないのかというと、実は本人が覚えていないだけで干渉はできていた、ということになっています。マギアレコードの物語に干渉した際に暁美ほむらがいた結界は「鏡の魔女の結界」でした。
鏡の魔女の結界は、多くの魔法少女のコピー体がはびこる結界であり、鏡の中を覗けば覗くほどコピー体が増え、覗いた本人を飲み込んでいくという恐ろしい話もあります。
コピー体は本体の魔法少女の思考、性格までコピーできるわけではなく、コピー体によってバラバラです。
今回はこのコピー体の中に、きわめて覚悟を決めた暁美ほむらと類似しているコピー体が存在し、そのコピー体を通してマギアレコードの物語と同調し、干渉できたと考えられます。
この考え方は、ネットを探れば見つかる合わせ鏡で異世界へと到達できるという根拠のない噂を参考にした仕組みだと考えられます。
残念ながら暁美ほむらはこのレコードを否定してしまい、無理やり同調を切ってしまいます。この反動によってマギアレコードの物語は頭からすっぽりと消えてしまったのです。
同時にその場にいたキュウべえは世界の改変に巻き込まれて記憶がなくなってしまうのでもちろん神浜のことは知りません。
このように、暁美ほむらは暁美ほむら(眼鏡ver.)とは別次元の存在であると同時にマギアレコードの物語を否定した暁美ほむらでもあるのです。
・魔法少女まどか☆マギカだから原作の結末を尊重しないといけないの?
マギアレコード以外にも、魔法少女まどか☆マギカを題材にした外伝が存在しています。
それでは原作の各時間軸の流れ、外伝物の時間軸の流れをまとめていきます。
1周目:はじまりのほむら(約一か月)
暁美ほむらが見滝原中学校に転校する。
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魔法少女の巴マミ、鹿目まどかと出会い、暁美ほむらは魔法少女の世界を知る
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ワルプルギスの夜によって巴マミ、鹿目まどかが死亡する。
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暁美ほむらが魔法少女になる。
2周目:魔法少女の真実
暁美ほむらが見滝原中学校に転校する。
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魔法少女の巴マミ、鹿目まどかと出会い、暁美ほむらは自作爆弾による戦い方を知る。
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ワルプルギスの夜を討伐できたものの、鹿目まどかが魔女化する。
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暁美ほむらが時間遡行を行う。
3周目:覚悟の世界
暁美ほむらが見滝原中学校に転校する。
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魔法少女の巴マミ、鹿目まどか、美樹さやかと出会い、暁美ほむらは魔法少女の真実とキュゥべえはだましているということを伝えるが、信じる者はいなかった。(佐倉杏子とも接触済みだが関係は良好ではない)
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美樹さやかの発言をもとに、暁美ほむらは非合法な組織、犯罪組織から調達した銃を使うようになる。
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美樹さやかが魔女化し、魔法少女の真実を目の前で立証されてしまう。巴マミが発狂し、佐倉杏子を撃ち殺す。また巴マミは鹿目まどかによって殺される。
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ワルプルギスの夜を討伐し、鹿目まどかのグリーフシードによって暁美ほむらは魔女化を免れる。鹿目まどかの頼みを聞き入れ、鹿目まどかのソウルジェムを撃ち砕く。
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暁美ほむらが時間遡行を行う。
4周目:孤独と絞られはじめる道しるべ
暁美ほむらは視力の矯正を魔力で行う。
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鹿目まどかとキュゥべえが初めて出会う機会をつぶす。
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暁美ほむらが見滝原中学校に転校する。
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銃器、兵器の調達を軍から行うようになり、他魔法少女との仲間関係を避けるようになる。
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ワルプルギスの夜とひとりで戦うが、勝つことはかなわなかった。鹿目まどかがキュゥべえと契約し、ワルプルギスの夜を一撃で倒した後に魔女化する。
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暁美ほむらが時間遡行を行う。
n周目:イレギュラーな魔法少女たち
魔法少女おりこ☆マギカの世界線。今回は新編となる前の世界を振り返ります。
鹿目まどかとキュゥべえが初めて出会う機会をつぶす。
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暁美ほむらが見滝原中学校に転校する。
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黒い魔法少女という魔法少女を狩る存在が現れたことを知る。
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見滝原中学校に魔女の使い魔が現れ、今まで出たことがない被害が発生する。
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黒い魔法少女 呉キリカが魔女化し、その場に遭遇した巴マミ、佐倉杏子、千歳ゆまと共闘したものの、魔女化した呉キリカに守られていた三国織莉子によって鹿目まどかが殺されてしまう。
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暁美ほむらが時間遡行を行う。
n+N周目:魔法少女まどか☆マギカ
鹿目まどかとキュゥべえが初めて出会う機会をつぶす。
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暁美ほむらが見滝原中学校に転校する。
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鹿目まどかとキュゥべえの接触を許してしまう。
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巴マミがお菓子の魔女の不意打ちによって死亡する。
ここに至るまでに巴マミがお菓子の魔女で脱落する並行世界が多かったと考えられる。
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美樹さやかとキュゥべえとの契約を許してしまう。
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佐倉杏子と共同戦線を組む。
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美樹さやかと佐倉杏子との重なる衝突の末に魔法少女の真実の一つが3人に伝わる。
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美樹さやかを助けるために魔法少女になろうとした鹿目まどかを阻止する。そのころ美樹さやかが魔女化する。
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魔女化した美樹さやかを倒すために佐倉杏子が死んでしまう。
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ワルプルギスの夜とひとりで戦うが、勝つことはかなわなかった。鹿目まどかがキュゥべえと契約し、アルティメットまどかとなる。
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暁美ほむらが今まで巡ってきた並行世界が書き換えられ、鹿目まどかという存在を忘れないまま再編された世界へと戻った。
これまでに登場した魔法少女まどか☆マギカの外伝物は時間遡行の中にあったイレギュラーな世界、あったかもしれない別の町での出来事、大昔の頃にあったとされる魔法少女の戦いといった、原作の結末を尊重した場合がほとんどです。
どの作品もアニメ会社を通したため市場へと出回ることができています。すでにあるタイトルを借りて全く新しい物語を作り、それが市場に出回ったということは必ずそのアニメタイトルの制作会社から許可が出ていることになります。
マギアレコードの物語は、暁美ほむらの時間遡行の最中に起きたイレギュラーとも違った変わった位置に存在します。
変わっている点は、この物語は3周目の世界で暁美ほむら(眼鏡ver.)が真実を伝えることに躊躇してしまった場合とそうではない場合が同時に存在し、マギアレコードのレコード以外はすでに円環の理によって世界が再編されている状態だということです。
マギアレコードの物語は、円環の理ができても尚魔女がいる世界のままだというまどマギの物語の軸から大きく外れた位置に存在するのです。
外伝物ではこのような展開は珍しいことではありません。
ビッグタイトルのうちの一つ、機動戦士ガンダムは原作者がシャアの逆襲によって機動戦士ガンダムの二人の主人公の物語に区切りをつけています。その後に公開されているガンダムUCはマギアレコードと似たように原作者が考えもしないその後をオリジナルの物語で展開させました。過去に存在した兵器、人物たちも存在しますが、原作をよく知る人たちからは高評価でした。
それは、あったかもしれない世界を機動戦士ガンダムを尊重して手掛けられているからです。
ではマギアレコードはどうでしょうか。マギアレコードの物語も結末が変わるオリジナル作品の位置にあります。そこにはまどマギの登場人物たちが登場し、まどマギにあった設定もしっかりと使用されています。
暁美ほむらの実装と同時に開催されたイベントストーリー 「始まりと永遠と ~Tha Lost Record~」は大雑把にまどマギの世界を振り返ると同時にマギアレコードとの関係性を確認するという内容のイベントでした。
この際に戦う魔女たちは現存で存在するものしか使われなかったため、少々不満は出たでしょう。しかし、マギアレコードの運営達が主軸に起きたかったのは「マギアレコードとまどマギの物語との関係性の確認」だと考えられます。
イベントストーリー、暁美ほむらの魔法少女ストーリーをたどるとわかりますが、まどマギの物語を冒涜するような展開はどこにもありません。むしろマギアレコードから入った人たちにまどマギへ興味を持たせる構成となっています。
それでは、今回のイベント、暁美ほむらの実装のどこに穢れの矛が眠っていたのでしょうか?
・愛から生まれた穢れの矛 暁美ほむらの扱い
イベントストーリーでの対戦相手以外に不満が出る要因はありません。イベントストーリーに不満が膨らむのは、そのように考えてしまう大元の原因があるからです。
おそらくもっとも大きな不満、批判を生んだのは暁美ほむらが限定で入手できるという事実です。
マギアレコードで限定入手となっている魔法少女たちはイベント配布、メインストーリーには絡まない外伝物語とのコラボ、季節イベントによる実装がほとんどです。
この関係から考えると、暁美ほむらはまどマギの物語とのコラボによる実装であるため、限定実装という位置になります。
限定実装になるということは、メインストーリーに大きくかかわる存在ではないことも意味します。例外としてホーリーマミがいますが、暁美ほむらの場合は魔法少女ストーリーでマギアレコードの物語とは関わらないことが語られています。
アルティメットまどかが期間限定で実装されたときには起きなかった波紋がなぜ暁美ほむらの時になって大きな波となって批判が生まれてしまったのか。
それは、叛逆の物語で表現されていた愛の重さと関係があります。
まどマギから入った人にとって暁美ほむらの存在が大きい人も存在し、かつてまどマギで活躍した彼女がマギアレコードの物語でどう活躍してくれるのかという期待が膨らんでいたのです。
そこに限定入手という他のまどマギ出身の魔法少女達とは違う扱いであること、イベントストーリーと魔法少女ストーリーによるマギアレコードメインストーリーとの絡みがないことの確定が重なったのが原因でしょう。
期待していたマギアレコードの物語に絡めないガッカリ感、限定入手という二度と手に入らないのではないかという焦り、唯一いつでも手に入らないという扱いが、まどマギから入ったプレイヤーたちに穢れをためてしまったのです。
つまり、暁美ほむらへの愛が大きいが故に生まれてしまった批判の波なのです。
よくよくたどれば、マギアレコードの物語に絡んでおきながら復刻がない限り手に入らない魔法少女も存在します。
そしてアザレアの花咲くで配布キャラとなった三栗あやめ
バイバイまた明日で配布キャラとなった桑水せいか
この二人は復刻が来ない限り二度と手に入らないにもかかわらず、最近のメインストーリーで登場しています。
本来ならばメインストーリーにも登場する魔法少女が復刻にならないと手に入らない事態が注目されるはずなのにあまり話題に上がりません。
これも愛の重さによる違いです。
逆にメインストーリーと絡んでいる様子がないのにいつでも手に入る魔法少女も存在します。それは、おりこマギカに登場する魔法少女たちです。その中のひとりである三国織莉子は☆5昇格と同時にドッペル実装まで至っています。
はたから見ると特別扱いされているように見えますが、おりこマギカはある意味で貴重な作品となっています。なぜかというと、新編発表後におりこマギカの原作者が音信不通となっている事実があります。
マギアレコードの運営とはどのように話を付けたかは謎ですが、おそらく今後おりこマギカに関するイベント、ストーリーの追加はないでしょう。なぜなら、原作者とのコンタクトが叶わないからです。
原作者の了承なしに勝手にタイトルを使うことは著作関係の決まりごとに反する行為です。
限定イベントとなるほど話を練ることができず、キャラクターの実装とドッペル原案をもらってそのあとに音信不通になってしまったのでしょう。だからといっておりこマギカだけを実装しないことになると、原作者との間に何かあったのか、おりこマギカだけ仲間外れという事態を招いてしまいます。
苦肉の策が、恒例ガチャへの実装だったのです。
今回の暁美ほむらの扱い、私は満足です。暁美ほむらがマギアレコードの物語に触れて関わってしまった場合、叛逆の物語の可能性がなくなってしまうかもしれません。
彼女の物語とは別次元であるという扱いは、とてもわくわくし、十分に考えられた結果だと納得できました。
恒例になる、限定になるには理由があります。これを解釈の違いによってお金目当て、失望したと考えるのは暁美ほむらに対する愛が重すぎたからです。
心の内で不満を抱き、離れるのは個人の自由です。しかし、愛から生まれた穢れた矛を振りまわして周囲はおろか、マギアレコードやまどマギを巻き込んでしまうような行為、発言を行うのは考え直すべきことです。
その愛は、作品を愛するための愛ですか?その愛で、愛すべき作品を穢していませんか?
まとめ
・暁美ほむらとマギアレコードの暁美ほむら(眼鏡ver.)は別次元の存在
・暁美ほむら実装時に起きた批判の波は、暁美ほむらに対する愛が大きいから